JP6286362B2 - 新規ポリロタキサン及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なポリロタキサン及びその製造方法、並びに該ポリロタキサンの原料及び中間体、及びそれらの製造方法に関する。
ポリロタキサンは、該ポリロタキサンを構成する環状分子が直鎖状分子上を移動することにより、ポリロタキサン同士の架橋体、ポリロタキサン以外のポリマーとポリロタキサンとの架橋体などに粘弾性、低い圧縮永久歪みなどの特性が生じる。このような特性を付与できることから、ポリロタキサンは、種々の応用が期待され、その研究開発が盛んに行われている。
例えば、特許文献1は、ポリロタキサンを構成する環状分子であるシクロデキストリンの水酸基の一部又は全部を、ヒドロキシプロピル基を介したカプロラクトンによる修飾基を有するように修飾されるポリロタキサンを開示する。なお、特許文献1は、シクロデキストリンの水酸基をε−カプロラクトンなどで修飾することにより、有機溶剤に可溶な修飾ポリロタキサンを提供する。
特許第4521875号。
しかしながら、特許文献1開示のカプロラクトンによる修飾基を有する修飾ポリロタキサンは、その製法において工程が多く、製品である修飾ポリロタキサンを得るまでに多くの時間を費やすという問題があった。特に、特許文献1開示の工程は、単にカプロラクトンによる修飾基を付与する工程だけでなく、その前段階にヒドロキシプロピル基を付与する工程を設けるため、最終生成物を得るのに、非常に多くの工程が必要であり、非常に多くの時間を費やすという問題があった。また、製造工程、製造時間と共に、製造コストが嵩むという問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決することにある。
具体的には、本発明の目的は、環状分子が重合鎖を有するポリロタキサンであっても、製造工程を従来よりも少なくするか、及び/又は製造時間を少なくした新規ポリロタキサン及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記目的以外に、上記目的に加えて、該新規ポリロタキサンを得るための原料及び中間体、及びそれらの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、次の発明を見出した。
<1> 環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサンの両端に環状分子が脱離しないように封鎖基を配置してなるポリロタキサンであって、環状分子が重合鎖を有し、封鎖基が側鎖を有し該封鎖基側鎖により環状分子が脱離しない、上記ポリロタキサン。
<2> 上記<1>において、重合鎖の平均鎖長が100以上100,000未満、好ましくは200以上50,000未満、より好ましくは200以上10,000未満であるか、及び/又は重合鎖の平均重合度が1以上1000未満、好ましくは2以上500未満、より好ましくは2以上100未満であるのがよい。
<3> 上記<1>又は<2>において、封鎖基側鎖が、重合により得られる重合封鎖基側鎖であるのがよい。
<4> 上記<1>〜<3>のいずれかにおいて、重合鎖が、グラフト重合により得られるグラフト重合鎖であるのがよい。
<5> 上記<1>〜<4>のいずれかにおいて、 重合封鎖基側鎖が、グラフト重合により得られるグラフト重合封鎖基側鎖であるのがよい。
<6> 上記<5>において、グラフト重合封鎖基側鎖の重合ユニットが、グラフト重合鎖の重合ユニットと略同一であるのがよい。
<7> 上記<1>〜<5>のいずれかにおいて、重合封鎖基側鎖が原子移動ラジカル重合により得られるのがよい。
<8> 環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサンの両端に環状分子が脱離しないように封鎖基を配置してなるポリロタキサンであって、
環状分子が重合鎖を有し、封鎖基が側鎖を有し該封鎖基側鎖により環状分子が脱離しないポリロタキサンの製造方法であって、
a)直鎖状分子を準備する工程;
b)該直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上付与し、その各末端に官能基を2以上有する末端多官能化直鎖状分子を得る工程;
c)末端多官能化直鎖状分子と環状分子とを混合し、環状分子の開口部が末端多官能化直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる末端多官能化擬ポリロタキサンを得る工程;
d)末端多官能化擬ポリロタキサンと重合鎖前駆体とを反応させ、環状分子に重合鎖を付与する工程;及び
e)末端多官能化擬ポリロタキサンと封鎖基側鎖前駆体とを反応させ、封鎖基側鎖を有する封鎖基を形成する工程;
を有することにより、上記ポリロタキサンを得る、上記方法。
<9> 上記<8>において、重合鎖の平均鎖長が100以上100,000未満、好ましくは200以上50,000未満、より好ましくは200以上10,000未満であるか、及び/又は重合鎖の平均重合度が1以上1000未満、好ましくは2以上500未満、より好ましくは2以上100未満であるのがよい。
<10> 上記<8>又は<9>において、工程d)及び工程e)を略同時に行うのがよい。
<11> 上記<8>〜<10>のいずれかにおいて、封鎖基側鎖前駆体が第1のグラフト重合用モノマーであり、工程e)において、封鎖基側鎖前駆体と末端多官能化直鎖状分子の各末端に有する2以上の官能基とを反応させて、グラフト重合封鎖基側鎖を形成し、封鎖基が該グラフト重合封鎖基側鎖を有するのがよい。
<12> 上記<8>〜<11>のいずれかにおいて、環状分子がOH基を有し、重合鎖前駆体が第2のグラフト重合用モノマーであり、工程d)において、重合鎖前駆体と環状分子のOH基とを反応させて、グラフト重合鎖を形成し、環状分子が該グラフト重合鎖を有するのがよい。
<13> 上記<12>において、第1のグラフト重合用モノマーと第2のグラフト重合用モノマーが略同一であり、工程d)と工程e)とを略同時に行い、グラフト重合封鎖基側鎖及びグラフト重合鎖を形成するのがよい。
<14> ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、セルロース系樹脂、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、でんぷん等及び/またはこれらの共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびその他オレフィン系単量体との共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等;及びこれらの誘導体又は変性体、ポリイソブチレン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアニリン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ナイロンなどのポリアミド類、ポリイミド類、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどのポリジエン類、ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン類、ポリスルホン類、ポリイミン類、ポリ無水酢酸類、ポリ尿素類、ポリスルフィド類、ポリフォスファゼン類、ポリケトン類、ポリフェニレン類、ポリハロオレフィン類、ポリアセチレン、ポリチオフェンなどの共役高分子類、ポリ乳酸、並びにこれらの誘導体からなる群、好ましくはポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレングリコール、ポリオレフィン系樹脂、ポリジエン類、及びポリシロキサン類からなる群、より好ましくはポリエチレングリコール、ポリブタジエン、及びポリジメチルシロキサンからなる群から選ばれる直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上有する末端多官能化直鎖状分子。
<15> ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、セルロース系樹脂、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、でんぷん等及び/またはこれらの共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびその他オレフィン系単量体との共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等;及びこれらの誘導体又は変性体、ポリイソブチレン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアニリン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ナイロンなどのポリアミド類、ポリイミド類、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどのポリジエン類、ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン類、ポリスルホン類、ポリイミン類、ポリ無水酢酸類、ポリ尿素類、ポリスルフィド類、ポリフォスファゼン類、ポリケトン類、ポリフェニレン類、ポリハロオレフィン類、ポリアセチレン、ポリチオフェンなどの共役高分子類、ポリ乳酸、並びにこれらの誘導体からなる群、好ましくはポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレングリコール、ポリオレフィン系樹脂、ポリジエン類、及びポリシロキサン類からなる群、より好ましくはポリエチレングリコール、ポリブタジエン、及びポリジメチルシロキサンからなる群から選ばれる直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上有する末端多官能化直鎖状分子の製造方法であって、
a)直鎖状分子を準備する工程;及び
b)直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上付与する工程:
を有することにより、末端多官能化直鎖状分子を得る、上記方法。
<16> 環状分子の開口部が、直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上有する末端多官能化直鎖状分子によって、串刺し状に包接されてなる末端多官能化擬ポリロタキサン。
<17> 環状分子の開口部が、直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上有する末端多官能化直鎖状分子によって、串刺し状に包接されてなる末端多官能化擬ポリロタキサンの製造方法であって、
a)直鎖状分子を準備する工程;及び
b)直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上付与し、末端多官能化直鎖状分子を得る工程;及び
c)末端多官能化直鎖状分子と環状分子とを混合し、環状分子の開口部が末端多官能化直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる末端多官能化擬ポリロタキサンを得る工程;
を有する、上記方法。
<18> 環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサンの両端に環状分子が脱離しないように封鎖基を配置してなるポリロタキサンであって、
環状分子が重合鎖を有し、
封鎖基が側鎖を有し該封鎖基側鎖により環状分子が脱離しないポリロタキサンの製造方法であって、
a)直鎖状分子を準備する工程;
f)該直鎖状分子の各末端に、原子移動ラジカル重合開始基を付与し、原子移動ラジカル重合開始基付与直鎖状分子を得る工程;
g)環状分子に重合鎖を付与する工程;
h)工程f)で得られた直鎖状分子と工程g)で得られた環状分子とを混合し、溶融させ、環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンを得る工程;及び
i)溶融状態の原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンに、原子移動ラジカル重合用モノマーを添加し、溶融状態とし、前記原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンの各末端である前記原子移動ラジカル重合開始基に、原子移動ラジカル重合用モノマー由来の封鎖基側鎖を付与する工程;
を有することにより、前記ポリロタキサンを得る、上記方法。
<19> 上記<18>において、重合鎖の平均鎖長が100以上100,000未満、好ましくは200以上50,000未満、より好ましくは200以上10,000未満であるか、及び/又は重合鎖の平均重合度が1以上1000未満、好ましくは2以上500未満、より好ましくは2以上100未満であるのがよい。
<20> 上記<18>又は<19>の工程g)において、環状分子と重合鎖前駆体とを反応させ、環状分子に重合鎖を付与するのがよい。
<21> 上記<20>において、重合鎖前駆体が、第2のグラフト重合用モノマーであるのがよい。
<22> 重合鎖を有する環状分子の開口部が、直鎖状分子の各末端に原子移動ラジカル重合開始基を有する原子移動ラジカル重合開始基付与直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる、原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサン。
<23> 重合鎖を有する環状分子の開口部が、直鎖状分子の各末端に原子移動ラジカル重合開始基を有する原子移動ラジカル重合開始基付与直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる、原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンの製造方法であって、
a)直鎖状分子を準備する工程;
f)該直鎖状分子の各末端に、原子移動ラジカル重合開始基を付与し、原子移動ラジカル重合開始基付与直鎖状分子を得る工程;
g)環状分子に重合鎖を付与する工程;及び
h)工程f)で得られた直鎖状分子と工程g)で得られた環状分子とを混合し、溶融させ、環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンを得る工程;
を有する、上記方法。
本発明により、環状分子が重合鎖を有するポリロタキサンであっても、製造工程を従来よりも少なくするか、及び/又は製造時間を少なくした新規ポリロタキサン及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明により、上記効果以外に、又は、上記効果に加えて、該新規ポリロタキサンを得るための原料及び中間体、及びそれらの製造方法を提供することができる。
本発明の新規ポリロタキサンを概念的に示す図である。 実施例5で得られたポリロタキサンのH NMR結果を示す図である。 実施例5で得られたポリロタキサンのサイズ排除クロマトグラフィーの結果を示す図である。 コントロール1で得られた末端グラフト化ポリエチレングリコールのH NMR結果を示す図である。 実施例7で得られた、ポリカプロラクトンがグラフト化されたα−シクロデキストリンのH NMR結果を示す図である。 実施例7で得られた、ポリカプロラクトンがグラフト化されたα−シクロデキストリンのサイズ排除クロマトグラフィーの結果を示す図である。 実施例7で得られたグラフト化ポリロタキサンのH NMR結果を示す図である。 実施例7で得られたグラフト化ポリロタキサンのサイズ排除クロマトグラフィーの結果を示す図である。
以下、本願に記載する発明を詳細に説明する。
本発明は、環状分子が重合鎖を有し且つ封鎖基が側鎖を有し該封鎖基側鎖により環状分子が脱離しない、新規ポリロタキサンを開示する。
また、本発明は、該新規ポリロタキサンの製造方法を開示する。
さらに、本発明は、該新規ポリロタキサンを得る原料及び中間体、並びにそれらの製造方法を開示する。
<新規ポリロタキサン>
本発明の新規ポリロタキサンは、環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサンの両端に環状分子が脱離しないように封鎖基を配置してなり、環状分子は重合鎖を有し、封鎖基が側鎖を有し該封鎖基側鎖により環状分子が脱離しない、という構成を有する。
図1は、本発明の新規ポリロタキサン1を概念的に示す図である。図1において、新規ポリロタキサン1は、直鎖状分子2、環状分子3、環状分子が有する重合鎖4a、4b、4c、4d及び4e、並びに封鎖基側鎖5a、5b、5c、5d及び5eを有する。環状分子3の開口部は直鎖状分子2によって串刺し状に包接されてなる。環状分子3は、それぞれ重合鎖a、4b、4c、4d及び4eを有する。直鎖状分子の末端、具体的には図1の左端側には、封鎖基側鎖5a、5b及び5c、右端側には封鎖基側鎖5d及び5eがそれぞれ配置され、重合鎖4a、4b、4c、4d及び4eをそれぞれ有する環状分子3が脱離しないようになされている。
<<環状分子が有する重合鎖>>
本発明のポリロタキサンは、環状分子が重合鎖を有する。
該重合鎖の平均鎖長、即ち重合鎖の平均分子量が100以上100,000未満、好ましくは200以上50,000未満、より好ましくは200以上10,000未満であるか、及び/又は重合鎖の平均重合度が1以上1000未満、好ましくは2以上500未満、より好ましくは2以上100未満であるのがよい。
重合鎖の平均鎖長、即ち重合鎖の平均分子量は、H NMRにより求めることができる。具体的には、H NMRにより本発明のポリロタキサンの構成物、例えば環状分子、直鎖状分子、及び重合鎖などに由来するシグナルを観察し、該シグナルの面積比から重合鎖の平均鎖長、即ち重合鎖の平均分子量を求めることができる。なお、本願において、「平均鎖長」又は「平均分子量」の「平均」とは、上述のように、H NMRのシグナルの面積比から求めることから、環状分子1個当たりに1つの重合鎖を有する場合に換算していることを意味する。実際には、1つの環状分子が2以上の重合鎖を有する場合もあるが、H NMRによる測定法の関係上、環状分子1個当たりに1つの重合鎖を有する場合の「平均」値を本願では採用する。また、「平均」重合度は、「平均」鎖長、即ち「平均」分子量と、該鎖長を構成する重合ユニットとから、求めることができる。
環状分子が重合鎖を有することにより、本発明のポリロタキサンが様々な有機溶剤に可溶となるため、ポリロタキサンのその後の使用に、例えば本発明のポリロタキサン同士の架橋による架橋ポリロタキサンの製造、本発明のポリロタキサン以外のポリマーと本発明のポリロタキサンとの架橋による架橋体の製造などに、有利となる。
また、環状分子が重合鎖を有することにより、該重合鎖を有するポリロタキサンから得られる架橋体は、重合鎖を有しないポリロタキサンから得られる架橋体よりも、環状分子が架橋してできる架橋点がより動きやすくなる、という作用をもたらす。これにより、ポリロタキサンが奏する特性、例えば該ポリロタキサンから得られる架橋体の粘弾性、低い圧縮永久歪みなどの特性が発揮されやすくなるという作用をももたらすことができる。
重合鎖は、重合により形成される鎖状体であれば、特に限定されない。例えば、重合鎖は、重合により得られた鎖状体を環状分子上の基、例えばOH基と反応させて、結合させることにより得られてもよい。または、重合鎖は、環状分子上の基、例えばOH基と反応させて徐々に重合物である鎖状体を得てもよい。
重合鎖は、グラフト重合により得られるのがよい。なお、本願において、「グラフト重合」とは、ある基点、例えば、環状分子のある点、又は封鎖基のある点などから、重合物が徐々に形成され、該重合物が鎖状体となる反応をいう。
本願にいう「グラフト重合」を行う形態として、特に限定されないが、ラジカル重合、例えば原子移動ラジカル重合、イオン重合、開環重合、縮合重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合などを挙げることができ、好ましくは原子移動ラジカル重合、開環重合であるのがよい。
具体的には、重合鎖は、以下のモノマー由来の鎖であるのがよい。
例として、ε-カプロラクトンなどの環状ラクトン;炭酸トリメチレンなどの環状カーボネート;プロピレンオキシドなどの環状エーテル;スチレン、メタクリル酸メチル、アクリルニトリルなどのビニル系モノマー;などを挙げることができるが、これらに限定されない。
<<環状分子>>
環状分子は、上記重合鎖を有し、環状であり、開口部を有し、直鎖状分子によって串刺し状に包接されるものであれば、特に限定されない。
環状分子は、上記重合鎖を付与する際、OH基、NH基、ハロゲン化アルキル基などを有するのがよい。
環状分子として、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選択されるのがよい。α−シクロデキストリンなどの−OH基の一部を、他の基に置換されていてもよい。
<<封鎖基及び封鎖基側鎖>>
本発明のポリロタキサンは、封鎖基が側鎖を有し封鎖基側鎖を形成する。該封鎖基側鎖により環状分子が包接状態から脱離しない。
封鎖基側鎖は、環状分子が包接状態から脱離しないものであれば、特に限定されない。
本願において、封鎖基側鎖とは、ある面において、その鎖の軸方向が直鎖状分子の軸方向の延伸方向にはない鎖であるということができる。なお、封鎖基側鎖の「側鎖」とは、主鎖として直鎖状分子があること、又は主鎖として直鎖状分子の軸方向の延伸方向に鎖があり、それらに対して「側鎖」であることを意味する。より具体的には、封鎖基側鎖は、その鎖の軸方向が直鎖状分子の軸方向の延伸方向と異なる鎖をいう。
封鎖基側鎖の鎖長、即ち封鎖基側鎖の分子量等は、環状分子が包接状態から脱離しないものであれば、特に限定されない。
封鎖基側鎖が、種々の重合により形成される場合、該側鎖は、特に限定されないが、ラジカル重合、例えば原子移動ラジカル重合、イオン重合、開環重合、縮合重合などの各種の重合の形態により形成することができる。
本願の新規ポリロタキサンの製造方法において後述するが、封鎖基側鎖は、グラフト重合により得られるのがよい。なお、「グラフト重合」とは、本願において、上述したものと同じ定義を有する。「グラフト重合」を行う形態は、上述したものと同様であり、特に限定されないが、ラジカル重合、例えば原子移動ラジカル重合、イオン重合、開環重合、縮合重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合などを挙げることができ、好ましくは原子移動ラジカル重合、開環重合であるのがよい。
封鎖基側鎖は、その形成法により依存するが、例えば、ε-カプロラクトンなどの環状ラクトンの開環重合により得られた基、ポリプロピレングリコールアクリラートなどのビニルモノマーのラジカル重合により得られた基、炭酸トリメチレンなどの環状分子カーボネートの開環重合により得られた基を挙げることができるが、これらに限定されない。封鎖基側鎖は、好ましくは、ε-カプロラクトンなどの環状ラクトンの開環重合により得られた基、ポリプロピレングリコールアクリラートなどのビニルモノマーのラジカル重合により得られた基であるのがよい。
<<直鎖状分子>>
本発明のポリロタキサンの直鎖状分子は、用いるシクロデキストリンの開口部に串刺し状に包接され得るものであれば、特に限定されない。
例えば、直鎖状分子として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、セルロース系樹脂(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、でんぷん等及び/またはこれらの共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびその他オレフィン系単量体との共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートや(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合樹脂などのアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等;及びこれらの誘導体又は変性体、ポリイソブチレン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアニリン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ナイロンなどのポリアミド類、ポリイミド類、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどのポリジエン類、ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン類、ポリスルホン類、ポリイミン類、ポリ無水酢酸類、ポリ尿素類、ポリスルフィド類、ポリフォスファゼン類、ポリケトン類、ポリフェニレン類、ポリハロオレフィン類、並びにこれらの誘導体からなる群から選ばれるのがよい。例えばポリエチレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール及びポリビニルメチルエーテルからなる群から選ばれるのがよい。特にポリエチレングリコールであるのがよい。
直鎖状分子は、その重量平均分子量が1,000以上、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは1,000〜50,000であるのがよい。
本願の、ポリロタキサンにおいて、(環状分子、直鎖状分子)の組合せが、(α−シクロデキストリン由来、ポリエチレングリコール由来)であるのがよい。
<新規ポリロタキサンの製造方法>
本発明は、上述の新規ポリロタキサンの新規製造方法を提供する。
上述の新規ポリロタキサンの新規製造方法の態様として、本発明は、以下の方法A(以降、方法Aを単に「末端多官能化経由法」と記載する場合がある)及び方法B(以降、方法Bを単に「溶融法」と記載する場合がある)を提供する。まずは、方法Aについて説明する。
<方法A−末端多官能化経由法−>
方法Aは、以下の工程を有して、本発明のポリロタキサンを調製することができる。
即ち、a)直鎖状分子を準備する工程;
b)該直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上付与し、その各末端に官能基を2以上有する末端多官能化直鎖状分子を得る工程;
c)末端多官能化直鎖状分子と環状分子とを混合し、環状分子の開口部が末端多官能化直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる末端多官能化擬ポリロタキサンを得る工程;
d)末端多官能化擬ポリロタキサンと重合鎖前駆体とを反応させ、環状分子に重合鎖を付与する工程;及び
e)末端多官能化擬ポリロタキサンと封鎖基側鎖前駆体とを反応させ、封鎖基側鎖を有する封鎖基を形成する工程;
を有することにより、本発明のポリロタキサンを得ることができる。
方法Aを下記スキームAにより説明する。スキームAは、方法Aを概念的に示す。即ち、スキームAは、直鎖状分子2を準備する工程(上記工程a))、直鎖状分子2の各末端に2以上の官能基Xを付与する工程(上記工程b))、工程b)で得られたものに環状分子3を包接させる工程(上記工程c))、環状分子3に重合鎖4を付与する工程(上記工程d))、及び直鎖状分子の各末端に封鎖基側鎖5を有する封鎖基を形成する工程(上記工程e))を概念的に示す。
Figure 0006286362
工程a)は、直鎖状分子を準備する工程である。直鎖状分子として、上述のものを用いることができる。なお、準備には、所望の直鎖状分子を市販購入すること、市販購入したものを修飾すること、例えば後述するように直鎖状分子の各末端にカルボキシル基などを付与して修飾することなどが含まれる。
工程b)は、直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上付与し、その各末端に官能基を2以上有する末端多官能化直鎖状分子を得る工程である。
工程b)は、具体的には、次のように行うことができる。
例えば、各末端に、−NH基を2以上付与する手法として、カルボキシル基又はカルボニル誘導体を各末端に1つ有する直鎖状分子を準備し、その直鎖状分子の各末端に、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン等のアミノ基を3以上有する化合物を結合させる方法がある。
また、各末端に、−OH基を2以上付与する手法として、−OH基あるいは−NH基を各末端に1つ有する直鎖状分子を準備し、その直鎖状分子の各末端に、グルコン酸等のアルドン酸を結合させる方法がある。
さらに、各末端に、−SH基を2以上付与する手法として、カルボキシル基あるいはカルボニル誘導体を各末端に1つ有する直鎖状分子に、2-アミノ-1,5-ペンタンジチオール等のチオール基を2以上有するアミンを結合させる方法がある。
工程c)は、工程b)で得られた末端多官能化直鎖状分子を環状分子と混合し、環状分子の開口部が末端多官能化直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる末端多官能化擬ポリロタキサンを得る工程である。
環状分子として、上述の通り、例えばα−シクロデキストリンなどを用いることができる。また、環状分子は、工程d)において、重合鎖前駆体と反応させて重合鎖を付与するために、OH基、NH基、SH基など、好ましくはOH基を有するのがよい。
工程c)は、従来の擬ポリロタキサンの製造工程と同様に行うことができる。例えば、特許文献1、WO2005/052026号公報などを参照することにより行うことができる。
工程d)は、末端多官能化擬ポリロタキサンと重合鎖前駆体とを反応させ、環状分子に重合鎖を付与する工程である。
重合鎖前駆体は、環状分子に付与されて重合鎖が形成されるものである。重合鎖は、上述したように、例えば、重合により得られた鎖状体を環状分子上の基、例えばOH基と反応させて、結合させることにより得られてもよい。または、重合鎖は、環状分子上の基、例えばOH基と反応させて徐々に重合物である鎖状体を得てもよい。要するに、重合鎖前駆体は、既に鎖状体になっているものであっても、重合前のモノマーなどであってもよい。
重合鎖前駆体は、第2のグラフト重合用モノマーであり、該第2のグラフト重合用モノマーと環状分子のOH基、NH基、SH基などとを反応させて、グラフト重合鎖を形成し、環状分子が該グラフト重合鎖を有するのがよい。
重合鎖前駆体である第2のグラフト重合用モノマーとして、ε-カプロラクトンなどの環状ラクトン;炭酸トリメチレンなどの環状カーボネート;プロピレンオキシドなどの環状エーテル;スチレン、メタクリル酸メチル、アクリルニトリルなどのビニル系モノマー;などを挙げることができるが、これらに限定されない。
また、第2のグラフト重合用モノマー以外の重合鎖前駆体として、上述したように、既に鎖状体になっているもの、例えばポリカプロラクトン、ポリカーボネートなどを挙げることができるが、これに限定されない。また、既に鎖状体になっているものは、その末端に、環状分子上の基、例えばOH基と反応する基、例えばイソシアネート基、カルボン酸ハロゲン化物基などを有するのがよい。
工程d)の条件は、用いる末端多官能化擬ポリロタキサン、用いる重合鎖前駆体、用いる環状分子、特に環状分子の有するOH基などの種類に依存する。
例えば、重合鎖前駆体として、第2のグラフト重合用モノマー、具体的にはε-カプロラクトンを用いる場合、該ε-カプロラクトンが溶媒としても作用するため、その他の溶媒を用いることなく、工程d)を行うことができる。なお、この場合、0℃〜130℃で行うのがよい。
なお、重合鎖は、上述の特性を有する。重合鎖は、例えば、上述の平均鎖長及び/又は平均重合度を有する。
工程e)は、末端多官能化擬ポリロタキサンと封鎖基側鎖前駆体とを反応させ、封鎖基側鎖を有する封鎖基を形成する工程である。
封鎖基側鎖前駆体は、末端多官能化擬ポリロタキサンの各末端に有する2以上の官能基と反応して、環状分子を脱離させない封鎖基側鎖が形成されるものであれば、特に限定されない。
具体的には、封鎖基側鎖前駆体は、鎖状体であっても、重合用モノマーであってもよい。
鎖状体の封鎖基側鎖前駆体として、該鎖状体の末端に、末端多官能化擬ポリロタキサンの各末端に有する2以上の官能基と反応する基、例えばイソシアネート基、カルボン酸ハロゲン化物基などを有するのがよい。このような鎖状体として、片末端イソシアネート変性ポリカプロラクトン、片末端カルボン酸ハロゲン化物変性ポリカプロラクトンなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
封鎖基側鎖前駆体である重合用モノマーは、特に第1のグラフト重合用モノマーであるのがよい。第1のグラフト重合用モノマーとして、ε-カプロラクトンなどの環状ラクトン;炭酸トリメチレンなどの環状カーボネート;プロピレンオキシドなどの環状エーテル;スチレン、メタクリル酸メチル、アクリルニトリルなどのビニル系モノマー;などを挙げることができるが、これらに限定されない。
工程e)の条件は、用いる末端多官能化擬ポリロタキサン、特に該擬ポリロタキサンの末端の官能基の種類、用いる封鎖基側鎖前駆体、用いる環状分子などに依存する。
例えば、封鎖基側鎖前駆体として、第1のグラフト重合用モノマー、例えばε-カプロラクトンを用いた場合、該ε-カプロラクトンが溶媒としても作用するため、その他の溶媒を用いることなく、工程e)を行うことができる。なお、この場合、0℃〜130℃で行うのがよい。
工程e)は、工程d)の前に、又は略同時に、又は工程d)の後に行うことができる。特に、工程e)と工程d)とは略同時に行うのがよい。さらに、工程e)と工程d)とを略同時に行い、第1のグラフト重合用モノマーと第2のグラフト用モノマーとを同種のものを用いることにより、工程d)と工程e)とを一つの工程で行うことができる。これにより、ポリロタキサンの製造時間及び製造コストの削減を図ることができる。
方法A、即ち末端多官能化経由法は、その原料又は中間体である、新規な末端多官能化直鎖状分子及びその製造方法、並びに新規な末端多官能化擬ポリロタキサン及びその製造方法を提供する。
<<方法Aでの新規な末端多官能化直鎖状分子及びその製造方法>>
本発明は、方法Aを介して、新規な末端多官能化直鎖状分子を提供する。即ち、本発明は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、セルロース系樹脂、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、でんぷん等及び/またはこれらの共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびその他オレフィン系単量体との共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等;及びこれらの誘導体又は変性体、ポリイソブチレン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアニリン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ナイロンなどのポリアミド類、ポリイミド類、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどのポリジエン類、ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン類、ポリスルホン類、ポリイミン類、ポリ無水酢酸類、ポリ尿素類、ポリスルフィド類、ポリフォスファゼン類、ポリケトン類、ポリフェニレン類、ポリハロオレフィン類、ポリアセチレン、ポリチオフェンなどの共役高分子類、ポリ乳酸、並びにこれらの誘導体からなる群、好ましくはポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレングリコール、ポリオレフィン系樹脂、ポリジエン類、及びポリシロキサン類からなる群、より好ましくはポリエチレングリコール、ポリブタジエン、及びポリジメチルシロキサンからなる群からなる群から選ばれる直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上有する末端多官能化直鎖状分子を提供する。
該新規な末端多官能化直鎖状分子は、次の工程により得ることができる。
即ち、a)直鎖状分子を準備する工程;及び
b)直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上付与する工程:
を有することにより、末端多官能化直鎖状分子を得ることができる。
なお、工程a)の直鎖状分子は、末端多官能化直鎖状分子において記載した限定された直鎖状分子である。
工程a)及びb)は、上述と同様に行うことができる。
<<方法Aでの新規な末端多官能化擬ポリロタキサン及びその製造方法>>
本発明は、方法Aを介して、新規な末端多官能化擬ポリロタキサンを提供する。即ち、本発明は環状分子の開口部が、直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上有する末端多官能化直鎖状分子によって、串刺し状に包接されてなる末端多官能化擬ポリロタキサンを提供する。
ここで「直鎖状分子」は、末端多官能化直鎖状分子において記載した限定された直鎖状分子とは異なり、本発明のポリロタキサンにおいて記載した、限定されていない直鎖状分子を意味する。なお、末端多官能化直鎖状分子において記載した限定された直鎖状分子であることが好ましい。
該新規な末端多官能化擬ポリロタキサンは、次の工程により得ることができる。
即ち、a)直鎖状分子を準備する工程;及び
b)直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上付与し、末端多官能化直鎖状分子を得る工程;及び
c)末端多官能化直鎖状分子と環状分子とを混合し、環状分子の開口部が末端多官能化直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる末端多官能化擬ポリロタキサンを得る工程;
を有することにより、新規な末端多官能化擬ポリロタキサンを得ることができる。
工程a)〜c)は、上述の工程a)〜c)と同様に行うことができる。
<方法B−溶融法−>
方法Bは、以下の工程を有して、本発明のポリロタキサンを調製することができる。
即ち、a)直鎖状分子を準備する工程;
f)該直鎖状分子の各末端に、原子移動ラジカル重合開始基を付与し、原子移動ラジカル重合開始基付与直鎖状分子を得る工程;
g)環状分子に重合鎖を付与する工程;
h)工程f)で得られた直鎖状分子と工程g)で得られた環状分子とを混合し、溶融させ、環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンを得る工程;及び
i)溶融状態の原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンに、原子移動ラジカル重合用モノマーを添加し、溶融状態とし、前記原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンの各末端である前記原子移動ラジカル重合開始基に、原子移動ラジカル重合用モノマー由来の封鎖基側鎖を付与する工程;
を有することにより、本発明のポリロタキサンを得ることができる。
方法Bを下記スキームBにより説明する。スキームBは、方法Bを概念的に示す。即ち、スキームBは、直鎖状分子2を準備する工程(上記工程a))、直鎖状分子2の各末端に原子移動ラジカル重合開始基6を付与する工程(上記工程f))、環状分子3に重合基4を付与する工程(上記工程g))、工程f)で得られたものに、工程g)で得られた環状分子3を包接させる工程(上記工程h))、及び直鎖状分子の各末端に原子移動ラジカル重合により封鎖基側鎖5を有する封鎖基を形成する工程(上記工程i))を概念的に示す。
Figure 0006286362
工程a)は、上述と同様に行うことができる。
工程f)は、直鎖状分子の各末端に、原子移動ラジカル重合開始基を付与し、原子移動ラジカル重合開始基付与直鎖状分子を得る工程である。
本願において「原子移動ラジカル重合開始基」とは、文字通り、「原子移動ラジカル重合」が開始し得る基をいう。また、本願において「原子移動ラジカル重合開始点」について特記する場合、該「原子移動ラジカル重合開始点」とは、「原子移動ラジカル重合」が開始する前に「原子移動ラジカル重合開始部位」に含まれる箇所であり、実際に「原子移動ラジカル重合」が行われると、「原子移動ラジカル重合」によってモノマーが結合する点をいう。例えば、原子移動ラジカル重合開始基として2-ブロモイソブチリルブロミド由来の基、即ち2-ブロモイソブチリル基を用いる場合、該2-ブロモイソブチリル基が「原子移動ラジカル重合開始基」であり、Br原子が移動して生じたラジカルが「原子移動ラジカル重合開始点」である。
原子移動ラジカル重合は、リビングラジカル重合であるため、一般のラジカル重合に起こる副反応がなく、成長反応が均一である。そのため、分子量が揃った重合体および制御されたブロック重合体を得ることができる。なお、原子移動ラジカル重合法についての文献として、特表平10-509475;Matyjaszewski et.al., J. Am. Chem. Soc., 1995, 117, 5614; Science, 1996, 272, 866; Sawamoto et. al., Macromolecules. 1995, 28, 1721;WO1996-30421などが挙げられる(これらの文献はその内容はすべて参考として本明細書に組み込まれる)。
また、原子移動ラジカル重合開始基は、具体的には、次のものであるのがよい。即ち、直鎖状分子の各末端が有機ハロゲン化合物残基で置換され原子移動ラジカル重合開始基を形成するのがよい。ここで、有機ハロゲン化合物残基は、「有機ハロゲン化合物」の残基であれば、特に限定されない。「有機ハロゲン化合物」として、2-ブロモイソブチリルブロミド、2-ブロモブチル酸、2-ブロモプロピオン酸、2-クロロプロピオン酸、2-ブロモイソ酪酸、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、及び2-クロロエチルイソシアネートなどを挙げることができるが、これに限定されない。
工程g)は、環状分子に重合鎖を付与する工程である。
ここで、環状分子として、上述の通り、例えばα−シクロデキストリンなどを用いることができる。また、環状分子は、本工程において、重合鎖前駆体と反応させて重合鎖を付与するために、OH基、NH基などを有するのがよい。
重合鎖前駆体として、上述のもの、即ち第2のグラフト重合用モノマー又はそれ以外を用いることができる。
なお、工程g)の条件は、用いる環状分子、特に環状分子が有するOH基、NH基などの基、用いる重合鎖前駆体に依存する。例えば、環状分子がα−シクロデキストリン、重合鎖前駆体がε-カプロラクトンである場合、窒素雰囲気下、無溶媒下で、温度:0℃〜130℃、時間:12時間の条件で行うことができるが、これに限定されない。
工程g)は、工程a)及び/又は工程f)の前に行っても、後に行っても、略同時に行ってもよい。
工程h)は、工程f)で得られた直鎖状分子と工程g)で得られた環状分子とを混合し、溶融させ、環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンを得る工程である。
溶融の条件は、用いる直鎖状分子、用いる環状分子などに依存するが、工程h)で用いる物質が相溶状態となる温度以上でなければならない。例えば、工程h)で用いる複数の物質のうち、少なくとも1つの物質の融点以上であり且つ用いる複数の物質が相溶状態となるのであれば、該温度であればよい。また、複数の物質のそれぞれの融点以上であればよりよい。具体的には、環状分子としてα−シクロデキストリン、重合鎖として重合度10〜200のポリカプロラクトン、直鎖状分子として重量平均分子量1000〜35000のポリエチレングリコール、原子移動ラジカル重合開始基として2-ブロモイソブチリル基を用いる場合、60〜130℃、常圧、大気下で行うことができる。なお、この工程は、溶媒のない状態で行うことができ、従来の方法において多用した溶媒置換の工程を省くことができ、製造時間及び/又は製造工程を削減することができる。
工程i)は、溶融状態の原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンに、原子移動ラジカル重合用モノマーを添加し、溶融状態とし、前記原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンの各末端である前記原子移動ラジカル重合開始基に、原子移動ラジカル重合用モノマー由来の封鎖基側鎖を付与する工程である。
この工程の溶融の条件は、用いる擬ポリロタキサン、用いる原子移動ラジカル重合用モノマー等に依存するが、工程h)と同様に、工程i)で用いる物質が相溶状態となる温度以上でなければならない。また、工程h)と同様に、工程h)で用いる複数の物質のそれぞれの融点以上であればよりよい。例えば、工程h)と同様に、60〜130℃、常圧、大気下で行うことができる。なお、この工程は、溶媒のない状態で行うことができ、従来の方法において多用した溶媒置換の工程を省くことができ、製造時間及び/又は製造工程などを削減することができる。
<<方法Bでの新規な原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサン及びその製造方法>>
本発明は、方法Bを介して、新規な原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンを提供する。即ち、本発明は、重合鎖を有する環状分子の開口部が、直鎖状分子の各末端に原子移動ラジカル重合開始基を有する原子移動ラジカル重合開始基付与直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる、原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンを提供する。
ここで、重合鎖、環状分子、直鎖状分子、原子移動ラジカル重合開始基の語は、上述と同じ定義を有する。
また、該新規な原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンは、次の工程により得ることができる。
即ち、a)直鎖状分子を準備する工程;
f)該直鎖状分子の各末端に、原子移動ラジカル重合開始基を付与し、原子移動ラジカル重合開始基付与直鎖状分子を得る工程;
g)環状分子に重合鎖を付与する工程;及び
h)工程f)で得られた直鎖状分子と工程g)で得られた環状分子とを混合し、溶融させ、環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンを得る工程;
を有することにより、新規な原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンを得ることができる。
なお、工程a)、g)及びh)は、上述と同じ定義を有する。
本発明の新規なポリロタキサンは、従来のポリロタキサンと同様な応用に用いることができる。例えば、新規なポリロタキサン同士を架橋させて得られる架橋ポリロタキサン、新規なポリロタキサンと従来のポリロタキサンとを架橋させて得られる架橋ポリロタキサン、新規なポリロタキサン以外のポリマーと新規なポリロタキサンとを架橋させて得られる架橋体、新規なポリロタキサンを有する組成物などを挙げることができるがこれらに限定されない。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
以下、実施例1〜6により、下記スキーム1に沿って、本発明のポリロタキサンを調製する。なお、スキーム1における図番は、図1に用いたものと同じものを用いる。
Figure 0006286362
<A−1. 両末端多官能基化ポリエチレングリコールA−1(分子量2万)の合成>
ポリエチレングリコールビスアミン(重量平均分子量2万)1.00gとグルコノラクトン356mgを50mL三口フラスコに取り、メタノール20mLを加えて50℃に加熱することで溶解させた。この溶液を65℃のオイルバスで加熱し一晩還流した。反応液は室温に冷却後、エバポレーターによって溶媒留去して白色粉末を得た。この粉末にジクロロメタンと食塩水を加えて分液操作を行い、有機層を回収し、エバポレーターによって溶媒留去することで、白色固体である両末端グルコン酸化ポリエチレングリコールA−1 900mgを得た。
<A−2. 両末端多官能基化ポリエチレングリコールA−2(分子量3350)の合成>
ポリエチレングリコールビスアミン(重量平均分子量3350)2.00gとグルコノラクトン1067mgを100mL三口フラスコに取り、メタノール40mLを加えて50℃に加熱することで溶解させた。この溶液を70℃のオイルバスで加熱し一晩還流した。反応液は室温に冷却後、エバポレーターによって溶媒留去して白色粉末を得た。この粉末にジクロロメタンと食塩水を加えて分液操作を行い、有機層を回収し、エバポレーターによって溶媒留去することで、白色固体である両末端グルコン酸化ポリエチレングリコールA−2 1.70gを得た。
<B−1. 両末端多官能基化ポリエチレングリコールA−1のシクロデキストリンによる包接−末端多官能基化擬ポリロタキサンB−1の調製−>
実施例1で得た両末端多官能基化ポリエチレングリコールA−1 300mgを50mLナスフラスコに取り、イオン交換水2.4mLを加えて溶解した。また、20mLビーカーにα−シクロデキストリン(以下、単に「α−CD」と略記する場合がある)1.20gを取り、イオン交換水7.5mLを加えて溶解した。それぞれの溶液を混合し、室温で一晩撹拌したところ白濁したゲルになった。これを凍結乾燥させることで、白色粉末である末端多官能基化擬ポリロタキサンB−1 1.5gを得た。
<B−2. 両末端多官能基化ポリエチレングリコールA−2のシクロデキストリンによる包接−末端多官能基化擬ポリロタキサンB−2の調製−>
実施例3において、「両末端多官能基化ポリエチレングリコールA−1」の代わりに、『実施例2で得た両末端多官能基化ポリエチレングリコールA−2』を用いた以外、実施例3と同様な方法により、白色粉末である末端多官能基化擬ポリロタキサンB−2 1.5gを得た。
<C−1. 末端多官能基化擬ポリロタキサンB−1のポリロタキサン化>
実施例3で得た末端多官能基化擬ポリロタキサンB−1 100mgを50mL二口フラスコに取り、ε−カプロラクトン1.00gを加えて撹拌し、分散液を得た。その後、ジアザビシクロウンデセン30mgを添加し60℃で90時間撹拌した。得られた反応液をメタノールに滴下することで懸濁液を得、懸濁液のろ過によって固体を得た。これを減圧乾燥することで、やや白濁したフィルム状の固体であるポリロタキサンC−1を得た。
H NMRとサイズ排除クロマトグラフィーにより合成の確認を行った。
図2に、溶媒としてジメチルスルホキシド−d6(DMSO−d6)を用いた、ポリロタキサンC−1のH NMR結果を示す。図2のH NMR結果から、ポリエチレングリコール由来の3.5ppmのシグナル、α−CD由来の4.8ppm及び3.2〜3.8ppmのシグナル、α−CDに付与される重合鎖及び末端多官能基化擬ポリロタキサンの末端の封鎖基側鎖であるポリカプロラクトン基由来の3.9ppm、2.3ppm及び1.2〜1.6ppmのシグナルがそれぞれ観察され、所望のポリロタキサン、即ち、α−CDがポリカプロラクトン基由来の重合鎖を有し且つポリカプロラクトン基由来の封鎖基側鎖を有するポリロタキサンが合成されていることを確認した。このことから、従来、特に特許文献1において2以上の工程によって行っていた環状分子への重合鎖付与及び封鎖基導入を一つの工程、即ち上記C−1の工程で行うことができ、工程数を減らせて、製造時間も減ることがわかった。
また、図3に、溶媒としてDMSOを用いた、ポリロタキサンC−1のサイズ排除クロマトグラフィーの結果を示す。図3の結果から、ポリロタキサンC−1は、用いた原料であるポリエチレングリコールビスアミン又は実施例1で得た両末端多官能基化ポリエチレングリコールA−1の分子量(2万)よりも5倍以上に高分子量化した単体であることが確認された。
さらに、α−CDに付与される重合鎖は、その平均鎖長、即ちα−CD1分子あたり1つの重合鎖が結合しているとしたときの分子量(平均分子量)が400程度であることを図2のH NMR結果、特に各シグナルの面積比から、確認した。また、重合ユニットであるカプロラクトンの平均重合度が4程度であることも確認した。
なお、ポリロタキサンC−1では、α−CDの脱離が確認されないことから、封鎖基が存在することを確認した。
また、両末端多官能基化ポリエチレングリコールA−1の両末端に、ポリカプロラクトン基由来の基が結合していることは、次のコントロール1及び2により確認した。即ち、上記C−1の工程において、末端多官能基化擬ポリロタキサンB−1の代わりに、原料である「両末端多官能基化ポリエチレングリコールA−1」又は「両末端多官能基化ポリエチレングリコールA−2」を用いることにより、原料である「両末端多官能基化ポリエチレングリコールA−1」又は「両末端多官能基化ポリエチレングリコールA−2」の両末端に、ポリカプロラクトン基由来の基が結合していること、が確認された。
これら2点、即ち、i)ポリロタキサンC−1でα−CDの脱離がないこと;及びii)コントロール1又は2において、末端グラフト化ポリエチレングリコールの両末端にポリカプロラクトン基由来の基が結合していること;から、ポリロタキサンC−1がポリカプロラクトン基由来の封鎖基側鎖を有している、と同定された。
<コントロール1>
両末端多官能基化ポリエチレングリコールA−2(重量平均分子量3350)20mgを10mL二口フラスコに取り、ε−カプロラクトン650mgを加えて撹拌し、分散液を得た。その後、1mol/Lテトラブチルアンモニウムフルオリドテトラヒドロフラン溶液0.2mlを添加し130℃で12時間撹拌した。得られた反応液をヘキサンに滴下することで懸濁液を得、懸濁液のろ過によって固体を得た。これを減圧乾燥することで、35mgの固体である末端グラフト化ポリエチレングリコールを得た。
H NMRとサイズ排除クロマトグラフィーにより合成の確認を行った。
図4に、溶媒としてCDClを用いた、末端グラフト化ポリエチレングリコールのH NMR結果を示す。このH NMR結果から、ポリエチレングリコール由来の3.6ppmのシグナルと、末端グラフト化ポリエチレングリコールの末端の封鎖基側鎖であるポリカプロラクトン基由来の4.0ppm、2.3ppm及び1.2〜1.6ppmのシグナルがそれぞれ観察された。
また、溶媒としてDMSOを用いた、末端グラフト化ポリエチレングリコールのサイズ排除クロマトグラフィーの結果、分子量7000相当のシグナルを示したことから、末端グラフト化ポリエチレングリコールは、用いた原料であるポリエチレングリコールビスアミン又は実施例2で得た両末端多官能基化ポリエチレングリコールA−2の分子量(3350)の倍程度に高分子量化したことが確認された。
さらに、封鎖基側鎖は、その平均鎖長、即ちポリエチレングリコールの各末端1つあたり1つの重合鎖が結合しているとしたときの分子量(平均分子量)が1300程度であることを図4のH NMR結果、特に各シグナルの面積比から、確認した。
<コントロール2>
コントロール1で、A−2の代わりに両末端多官能基化ポリエチレングリコールA−1(分子量2万)を使った以外、同様の方法により、45mgの固体である末端グラフト化ポリエチレングリコールを得た。コントロール1と同様に、H NMRとサイズ排除クロマトグラフィーにより合成の確認を行った。
溶媒としてCDClを用いたH NMR結果から、ポリエチレングリコール由来の3.6ppmのシグナルと、末端グラフト化ポリエチレングリコールの末端の封鎖基側鎖であるポリカプロラクトン基由来の4.0ppm、2.3ppm及び1.2〜1.6ppmのシグナルがそれぞれ観察された。さらに、封鎖基側鎖は、その平均鎖長、即ちポリエチレングリコールの各末端1つあたり1つの重合鎖が結合しているとしたときの分子量(平均分子量)が1800程度であることをH NMRの各シグナルの面積比から、確認した。
<C−2. 末端多官能基化擬ポリロタキサンB−1のポリロタキサン化>
実施例5の反応温度と反応時間である「60℃で90時間」を『室温で46時間』とした以外、実施例5と同様な方法により、やや白濁したフィルム状の固体であるポリロタキサンC−2を得た。
実施例5と同様に、H NMRとサイズ排除クロマトグラフィーにより合成の確認を行い、所望のポリロタキサン、即ち、α−CDがポリカプロラクトン基由来の重合鎖を有し且つポリカプロラクトン基由来の封鎖基側鎖を有するポリロタキサンが合成されていることを確認した。
α−CDに付与される重合鎖は、その平均鎖長が9900程度であり、重合ユニットであるカプロラクトンの平均重合度が90程度であることを確認した。
<C−3. 末端多官能基化擬ポリロタキサンB−1のポリロタキサン化>
実施例5の「ジアザビシクロウンデセン30mg、60℃で90時間撹拌」の代わりに「『ジアザビシクロノネン』10mg、60℃で41時間撹拌」した以外、実施例5と同様の方法により、やや白濁したフィルム状の固体であるポリロタキサンC−3を得た。
実施例5と同様に、H NMRとサイズ排除クロマトグラフィーにより合成の確認を行い、所望のポリロタキサン、即ち、α−CDがポリカプロラクトン基由来の重合鎖を有し且つポリカプロラクトン基由来の封鎖基側鎖を有するポリロタキサンが合成されていることを確認した。
α−CDに付与される重合鎖は、その平均鎖長が5600程度であり、重合ユニットであるカプロラクトンの平均重合度が50程度であることを確認した。
<C−4. 末端多官能基化擬ポリロタキサンB−2のポリロタキサン化>
実施例5で「末端多官能基化擬ポリロタキサンB−1」の代わりに『実施例4で得た末端多官能基化擬ポリロタキサンB−2』を用いた以外、実施例5と同様の方法により、やや白濁したフィルム状の固体であるポリロタキサンC−4を得た。
実施例5と同様に、H NMRとサイズ排除クロマトグラフィーにより合成の確認を行い、所望のポリロタキサン、即ち、α−CDがポリカプロラクトン基由来の重合鎖を有し且つポリカプロラクトン基由来の封鎖基側鎖を有するポリロタキサンが合成されていることを確認した。
H NMRから、ポリエチレングリコール、α−CD、α−CDに付与される重合鎖、及び末端多官能基化擬ポリロタキサンの末端の封鎖基側鎖である複数の重合基をそれぞれ確認した。このことから、従来、特に特許文献1において2以上の工程を行っていた環状分子への重合鎖付与及び封鎖基導入を一つの工程で行うことができ、工程数を減らせて、製造時間も減ることがわかった。
また、サイズ排除クロマトグラフィーから、ポリロタキサンC−1は、用いた原料であるポリエチレングリコールビスアミンの分子量(3350)よりも5倍以上に高分子量化した単体であることが確認された。
さらに、α−CDに付与される重合鎖は、重合ユニットであるカプロラクトンの平均重合度が2、平均鎖長、即ち鎖の平均分子量が200程度であることを、実施例5と同様に、H NMRにより確認した。
<溶融工程を用いるポリロタキサンの調製>
<<実施例9−1 直鎖状分子への原子移動ラジカル重合点の導入>>
二口ナスフラスコにポリエチレングリコール4000(和光純薬、Mw=2,850)10gをいれ、真空ポンプで2時間乾燥した後、窒素置換した。これに脱水ジクロロメタン50ml、4-ジメチルアミノピリジン0.31g、トリエチルアミン0.7mlを加えて溶解させた。この溶液を氷冷バスで冷やしながら、該溶液に2-ブロモイソ酪酸ブロミド0.8mlをゆっくりと滴下した後、1時間攪拌した。その後、室温下で12時間攪拌した。
反応後、溶液をろ過してヘキサンで再沈殿を行った。得られた沈殿物を脱イオン水に溶解した後、ジクロロメタンで抽出を行った。得られた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去して原子移動ラジカル重合点が導入されたポリエチレングリコール9.74gを得た。
<<実施例9−2 α−CDへのポリカプロラクトングラフト鎖の導入>>
二口ナスフラスコにα−CD 20gをいれ、真空ポンプで2時間乾燥した後、窒素置換した。これにモレキュラーシーブスで脱水乾燥したε−カプロラクトン200gをいれて110℃のオイルバスで加温しながら1時間攪拌した。この分散溶液にジアザビシクロウンデンセン2.7mlを加えて130℃のオイルバスで加温しながら12時間攪拌した。得られた生成物をトルエン200gで溶解させた後、メタノールで再沈殿を行った。得られた沈殿物を減圧下で溶媒を除去してのポリカプロラクトンがグラフト化されたα−CD130gを得た。
図5に、溶媒としてCDClを用いた、ポリカプロラクトンがグラフト化されたα−CDのH NMR結果を示す。図5のH NMR結果から、α−CD由来のシグナルである3.6〜3.7ppm及び4.8〜5.0ppm、α−CDに付与される重合鎖由来のシグナルである1.4ppm、1.65ppm、2.3ppm及び4.15ppmがそれぞれ確認された。
また、図6に、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いた、ポリカプロラクトンがグラフト化されたα−CDのサイズ排除クロマトグラフィーの結果を示す。図6の結果から、ポリカプロラクトンがグラフト化されたα−CDは、用いた原料であるα−CDの分子量よりも10倍以上に高分子量化した単体であることが確認された。
ポリカプロラクトン鎖は、重合ユニットであるカプロラクトンの平均重合度が約80、平均鎖長、即ち鎖の平均分子量が約9200であることを、H NMR及びGPCにより確認した。
<<実施例9−3 溶融による擬ポリロタキサンの形成、及び原子移動ラジカル重合による封鎖基側鎖を有する封鎖基による末端封鎖>>
実施例7−1で得た、原子移動ラジカル重合点が導入されたポリエチレングリコール0.5gと、実施例7−2で得た、ポリカプロラクトンがグラフト化されたα−CD 0.5gをサンプル瓶にいれ、80℃のホットプレート上で溶融させた後、7時間攪拌して擬ポリロタキサンを形成した。
得られた擬ポリロタキサンにポリ(プロピレングリコール)アクリラート(Aldrich、Mn=475) 0.2ml、臭化銅(II)50mg、トリス(2-ピリジルメチル)アミン70mg、L-アスコルビン酸0.1gを加えて80℃のホットプレート上で12時間攪拌した。反応後、生成物をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させてメタノールで再沈殿した。得られた沈殿物を減圧下で溶媒を除去して、封鎖基側鎖としてポリ(プロピレングリコール)基を有する封鎖基により末端が封鎖されたグラフト化ポリロタキサン25mgを得た。
図7に、溶媒としてCDClを用いた、グラフト化ポリロタキサンのH NMR結果を示す。図7のH NMR結果から、ポリエチレングリコール由来の3.65ppmのシグナル、α−CD由来の4.8〜5.0ppmのシグナル、α−CDに付与される重合鎖由来の1.4ppm、1.65ppm、2.3ppm及び4.15ppmのシグナル、及び封鎖基側鎖のポリプロピレングリコール鎖由来の1.15ppmのシグナルがそれぞれ確認された。
また、図8に、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いた、グラフト化ポリロタキサンのサイズ排除クロマトグラフィーの結果を示す。図8の結果から、封鎖基側鎖としてポリ(プロピレングリコール)基を有する封鎖基により末端が封鎖されたグラフト化ポリロタキサンは、用いた原料であるポリカプロラクトンがグラフト化されたα−CDの分子量よりも3倍以上に高分子量化した化合物、すなわち重合鎖を有するα−CDと封鎖基側鎖を有するポリエチレングリコールから成るポリロタキサンであることが確認された。
実施例9の方法は、従来、特に特許文献1において2以上の工程を行っていた環状分子への重合鎖付与及び封鎖基導入の工程を減らすことができた。特に、実施例9の方法では、溶融状態を用いることにより、溶媒なしで行うことができ、溶媒変更のための時間及び工程数を削減できることがわかった。

Claims (12)

  1. 環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサンの両端に前記環状分子が脱離しないように封鎖基を配置してなるポリロタキサンであって、
    前記環状分子が重合鎖を有し、
    前記封鎖基が側鎖を有し該封鎖基側鎖により前記環状分子が脱離しないポリロタキサンの製造方法であって、
    a)直鎖状分子を準備する工程;
    b)該直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上付与し、その各末端に官能基を2以上有する末端多官能化直鎖状分子を得る工程;
    c)末端多官能化直鎖状分子と環状分子とを混合し、前記環状分子の開口部が前記末端多官能化直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる末端多官能化擬ポリロタキサンを得る工程;
    d)前記末端多官能化擬ポリロタキサンと重合鎖前駆体とを反応させ、前記環状分子に重合鎖を付与する工程;及び
    e)末端多官能化擬ポリロタキサンと封鎖基側鎖前駆体とを反応させ、封鎖基側鎖を有する封鎖基を形成する工程;
    を有することにより、前記ポリロタキサンを得る、上記方法。
  2. 前記工程d)及び前記工程e)を同時に行う請求項記載の方法。
  3. 前記封鎖基側鎖前駆体が第1のグラフト重合用モノマーであり、工程e)において、前記封鎖基側鎖前駆体と前記末端多官能化直鎖状分子の各末端に有する2以上の前記官能基とを反応させて、グラフト重合封鎖基側鎖を形成し、前記封鎖基が該グラフト重合封鎖基側鎖を有する請求項又は記載の方法。
  4. 前記環状分子がOH基を有し、前記重合鎖前駆体が第2のグラフト重合用モノマーであり、工程d)において、前記重合鎖前駆体と前記環状分子の前記OH基とを反応させて、グラフト重合鎖を形成し、前記環状分子が該グラフト重合鎖を有する請求項のいずれか1項記載の方法。
  5. 前記封鎖基側鎖前駆体である前記第1のグラフト重合用モノマーと前記第2のグラフト重合用モノマーとが同一であり、前記工程d)及び前記工程e)を同時に行い、前記グラフト重合封鎖基側鎖と前記グラフト重合鎖とを形成する請求項記載の方法。
  6. 環状分子の開口部が、直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上有する末端多官能化直鎖状分子によって、串刺し状に包接されてなる末端多官能化擬ポリロタキサン。
  7. 環状分子の開口部が、直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上有する末端多官能化直鎖状分子によって、串刺し状に包接されてなる末端多官能化擬ポリロタキサンの製造方法であって、
    a)直鎖状分子を準備する工程;及び
    b)前記直鎖状分子の各末端に、−NH、−OH、及び−SHからなる群から選ばれる官能基を2以上付与し、末端多官能化直鎖状分子を得る工程;及び
    c)前記末端多官能化直鎖状分子と環状分子とを混合し、前記環状分子の開口部が前記末端多官能化直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる末端多官能化擬ポリロタキサンを得る工程;
    を有する、上記方法。
  8. 環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサンの両端に前記環状分子が脱離しないように封鎖基を配置してなるポリロタキサンであって、
    前記環状分子が重合鎖を有し、
    前記封鎖基が側鎖を有し該封鎖基側鎖により前記環状分子が脱離しないポリロタキサンの製造方法であって、
    a)直鎖状分子を準備する工程;
    f)該直鎖状分子の各末端に、原子移動ラジカル重合開始基を付与し、原子移動ラジカル重合開始基付与直鎖状分子を得る工程;
    g)前記環状分子に前記重合鎖を付与する工程;及び
    h)工程f)で得られた直鎖状分子と工程g)で得られた環状分子とを混合し、溶融させ、前記環状分子の開口部が前記直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンを得る工程;及び
    i)溶融状態の原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンに、原子移動ラジカル重合用モノマーを添加し、溶融状態とし、前記原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンの各末端である前記原子移動ラジカル重合開始基に、原子移動ラジカル重合用モノマー由来の封鎖基側鎖を付与する工程;
    を有することにより、前記ポリロタキサンを得る、上記方法。
  9. 前記工程g)において、前記環状分子と重合鎖前駆体とを反応させ、前記環状分子に重合鎖を付与する請求項記載の方法。
  10. 前記重合鎖前駆体が、第2のグラフト重合用モノマーである請求項記載の方法。
  11. 重合鎖を有する環状分子の開口部が、直鎖状分子の各末端に原子移動ラジカル重合開始基を有する原子移動ラジカル重合開始基付与直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる、原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサン。
  12. 重合鎖を有する環状分子の開口部が、直鎖状分子の各末端に原子移動ラジカル重合開始基を有する原子移動ラジカル重合開始基付与直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる、原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンの製造方法であって、
    a)直鎖状分子を準備する工程;
    f)該直鎖状分子の各末端に、原子移動ラジカル重合開始基を付与し、原子移動ラジカル重合開始基付与直鎖状分子を得る工程;
    g)前記環状分子に前記重合鎖を付与する工程;及び
    h)工程f)で得られた直鎖状分子と工程g)で得られた環状分子とを混合し、溶融させ、前記環状分子の開口部が前記直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる原子移動ラジカル重合開始基付与擬ポリロタキサンを得る工程;
    を有する、上記方法。
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