JP6284860B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の気筒に燃料を噴射する燃料噴射弁に関するものである。
[従来の技術]
従来より、内燃機関(エンジン)の気筒に燃料を噴射する燃料噴射弁の一例として、アクチュエータの変位を利用して制御弁を開閉駆動することで、圧力制御室内の燃料圧力(制御室圧)を調整し、ニードルの開閉動作を制御する燃料噴射弁(以下従来例1のインジェクタ)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この従来例1のインジェクタは、エンジンの気筒内に燃料噴射を行う噴孔を開閉するニードルと、燃料系の高圧側から高圧力の燃料が供給される高圧燃料通路と、この高圧燃料通路とインオリフィスを介して連通する圧力制御室と、この圧力制御室とアウトオリフィスを介して連通する中間燃料通路と、この中間燃料通路の途中に設けられる弁孔を開閉する制御弁と、この制御弁が開弁した際に、圧力制御室内の燃料をアウトオリフィス、中間燃料通路およびオリフィス(弁孔)を介して燃料系の低圧側へ流出させる低圧燃料通路とを備えている。
ところで、高圧燃料通路からインオリフィスを介して圧力制御室内に導入される燃料圧力は、ニードルに対して、ニードルの閉弁方向に付勢する付勢力として作用する。
そして、従来例1のインジェクタでは、制御弁を開弁動作させることで、圧力制御室内の燃料を、アウトオリフィス、中間燃料通路、オリフィス(弁孔)、低圧燃料通路を介して燃料系の低圧側へ排出させている。
これによって、圧力制御室内の燃料圧力を素早く低下させることで、ニードルに作用する閉弁方向の付勢力が低下する。そして、圧力制御室内の燃料圧力がニードル開弁圧まで低下すると、ニードルが開弁動作するため、噴孔からエンジンの気筒内へ向かって燃料が噴射される。
ここで、上記のような燃料噴射弁では、圧力制御室からの燃料排出流量を規制するアウトオリフィス流量を増加させることで、ニードル開弁速度、つまり噴射率の矩形度が向上することが一般に知られている。
[従来の技術の不具合]
ところが、従来例1のインジェクタにおいては、ニードル開弁速度を向上するという目的で、アウトオリフィス流量を増加した場合、制御弁を開弁駆動するアクチュエータに対する指令値、特に微小噴射量時の指令値(通電時間)が極端に小さくなってしまい、アクチュエータの変位を利用して開弁動作を行う制御弁の開弁挙動が不安定となる。これにより、ニードルの開弁動作が不安定となり、エンジンの気筒内へ噴射される燃料の噴射量がばらつくという課題がある。
ここで、従来例1のようにアクチュエータとしてピエゾ素子積層体を主体とするピエゾアクチュエータを用いるインジェクタにおいては、例えばパイロット噴射等の微小噴射量時の指令値(通電時間)が極端に小さくなり、ピエゾの充電期間(通常100μsec程度)以下となってしまう。そして、ピエゾ充電期間以下の指令値は、制御弁の開弁挙動が不安定となる等の理由から使用が困難となる。この結果、制御可能な噴射量下限が増加することになるため、ピエゾアクチュエータの変位を利用して制御弁を開弁駆動する燃料噴射弁の場合、上記の課題がより顕著になる。
特開2010−236375号公報
本発明の目的は、制御弁の開弁時における中間室内の燃料圧力の降下(低下)速度を抑制して、微小噴射量時における制御弁の開弁挙動を安定化させることのできる燃料噴射弁を提供することにある。
請求項1に記載の発明(燃料噴射弁)によれば、制御弁が開弁すると、制御室から低圧室を介して燃料系の低圧側へ燃料が流出し、制御室内の燃料圧力が低下する。このとき、流路開閉弁が開弁していると、導入流路から中間室へ高圧力の燃料が導入される。これにより、制御弁の開弁時における中間室内の燃料圧力の降下(低下)速度を抑制できるので、制御室内の燃料圧力の降下(低下)速度も遅くなる。
その後に、制御弁の開弁時に、流路開閉弁を閉弁すると、導入流路から中間室への高圧力の燃料の導入が遮断される。これにより、制御弁の開弁時における中間室内の燃料圧力の降下(低下)速度が速くなるので、制御室内の燃料圧力の降下(低下)速度も速くなる。
そして、制御室内の燃料圧力、つまりニードルに対して閉弁方向に作用する燃料圧力がニードル開弁圧まで低下すると、ニードルが開弁(リフト)して内燃機関の気筒への燃料噴射が開始される。このように、ニードル開弁応答を遅延させることができるので、微小噴射量制御性を向上させることができる。
また、仮にニードル開弁速度を向上するという目的で、制御弁の開弁時における燃料排出流量を増加した場合であっても、微小噴射量時の指令値の極端な減少を抑制できるので、微小噴射量時における制御弁の開弁挙動を安定化させることができ、最小噴射可能量を低減させることができる。
したがって、ニードルの開弁動作が安定し、内燃機関の気筒へ噴射される燃料の噴射量のばらつきを抑えることができる。
ピエゾインジェクタを示した断面図である(実施例1)。 ピエゾインジェクタの主要部を示した断面図である(実施例1)。 噴射量指令値、制御弁のバルブリフト量、中間室圧、圧力制御室圧、第1圧力従動弁のバルブリフト量、第2圧力従動弁のバルブリフト量および噴射率の変化を示したタイミングチャートである(実施例1)。 制御弁の閉弁時における第2圧力従動弁に作用する油圧力や荷重および受圧面積を示した説明図である(実施例1)。 制御弁の開弁初期時(第1圧力従動弁の閉弁タイミングT1)における第2圧力従動弁に作用する油圧力や荷重および受圧面積を示した説明図である(実施例1)。 制御弁の開弁時(第2圧力従動弁の閉弁タイミングT2)における第2圧力従動弁に作用する油圧力や荷重および受圧面積を示した説明図である(実施例1)。 制御弁の開弁時(第2圧力従動弁の閉弁動作中)における第2圧力従動弁に作用する油圧力や荷重および受圧面積を示した説明図である(実施例1)。 制御弁の開弁時(第2圧力従動弁の閉弁開始タイミング)における第2圧力従動弁に作用する油圧力や荷重および受圧面積を示した説明図である(実施例1)。 燃料噴射量と噴射量指令値(ピエゾ通電時間)との関係を示した特性図である(実施例1)。 (a)はピエゾインジェクタを示した断面図で、(b)は第2圧力従動弁の周辺構造を示した拡大断面図である(実施例2)。 (a)はピエゾインジェクタを示した断面図で、(b)は第2圧力従動弁の周辺構造を示した拡大断面図である(実施例3)。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
[実施例1の構成]
図1ないし図9は、本発明の燃料噴射弁を適用したピエゾインジェクタ(実施例1)を示したものである。
本実施例の内燃機関の燃料噴射弁は、例えば自動車等の車両走行用のディーゼルエンジン等の内燃機関(以下エンジン)の気筒に形成された燃焼室内に霧状に燃料噴霧を噴射する直接噴射タイプのピエゾインジェクタ(以下インジェクタと略す)である。このインジェクタは、内燃機関(エンジン)用の燃料噴射システムとして知られるコモンレール式燃料噴射システム(蓄圧式燃料噴射装置)の燃料噴射弁として使用される。
インジェクタは、エンジンの気筒の燃焼室に連通する複数の噴孔(後述する)を有し、これらの噴孔を開閉するニードル1等を内蔵する有底筒状のノズルボディ2と、外部から導入された高圧力の燃料が流通する高圧燃料通路(後述する)を有し、ニードル1の背圧を制御する制御弁、およびこの制御弁の弁体である制御バルブ3を開閉駆動するアクチュエータ4等を内蔵する円筒状のインジェクタボディ5とを備えている。
インジェクタのノズルボディ2の中心軸線上には、ノズルボディ2の密着面で開口し、この開口側から奥側までノズル軸方向に真っ直ぐに延びる袋孔状のニードル収容孔6が形成されている。このニードル収容孔6の内部には、軸線方向(ノズル軸方向)に往復移動可能なニードル1と、このニードル1の軸線方向の基端部(摺動部:以下ピストン部7)をそのノズル軸方向に往復摺動可能に支持する筒状のノズルシリンダ8と、ニードル1をその閉弁方向に付勢するニードルスプリング9とを備えている。
インジェクタのインジェクタボディ5の中心軸線から所定の径方向距離分だけ偏芯(オフセット)した位置には、軸線方向に真っ直ぐに延びるピエゾ収容孔10が形成されている。このピエゾ収容孔10の内部には、自身が開閉弁することで、圧力制御室(後述する)の燃料圧力を調整する制御弁と、この制御弁の制御バルブ3を開閉駆動するアクチュエータ4と、このアクチュエータ4の伸縮変位を拡大して制御バルブ3に伝える変位拡大機構等が収容されている。
インジェクタボディ5の軸線方向の基端側端部(反噴孔側端部)には、燃料系の高圧側に設けられるサプライポンプまたはコモンレール等の高圧発生部と高圧配管を介して接続されるインレットポートと、燃料系の低圧側に設けられる燃料タンクまたは燃料供給経路の低圧部等と低圧配管を介して接続されるアウトレットポートとが設けられている。このインジェクタボディ5の反噴孔側には、アクチュエータ4のピエゾリード端子と外部回路(外部電源や外部制御回路:ECU)との接続を行うための外部接続用コネクタが設けられている。
また、ニードル収容孔6の内部には、第1圧力従動弁(第1バルブ11、第1サポートスプリング12)等が収容されている。
そして、インジェクタは、アクチュエータ4の伸縮変位を利用して制御バルブ3を開閉駆動することで、圧力制御室内の燃料圧力を調整(増減)し、ニードル1の開閉動作を制御する。これにより、エンジンの気筒の燃焼室内に噴射される燃料噴射量、噴射時期および噴射パターン(噴射率)が制御される。
制御弁は、制御バルブ3が開弁することで、圧力制御室から燃料排出流路(後述する)を介して燃料系の低圧側(例えば燃料タンクまたは燃料供給経路の低圧部等)へ燃料を流出させる圧力制御弁である。
なお、制御弁の詳細は、後述する。
ノズルボディ2の密着面とインジェクタボディ5の密着面との間には、第2圧力従動弁(第2バルブ13、第2サポートスプリング14、バルブボディ16)およびオリフィスプレート17が設置されている。
そして、インジェクタは、ノズルボディ2の密着面とインジェクタボディ5の密着面との間にバルブボディ16およびオリフィスプレート17を挟み込んだ状態で、インジェクタボディ5の軸線方向の先端側にノズルボディ2を螺子締結により固定するリテーニングナット18を備えている。
また、ノズルボディ2の内部には、外部から高圧力の燃料が導入されるニードル収容孔6が設けられている。このニードル収容孔6は、ニードルスプリング9を収容するスプリング収容室よりも燃料流の下流側に、ニードル1のガイド径よりも孔径が拡げられた燃料溜まり室19を有している。また、ノズルボディ2の先端部には、燃料溜まり室19よりも燃料流の下流側に設けられる凹状のサック室と連通する複数の噴孔20が設けられている。
次に、インジェクタの高圧燃料通路を図1および図2に基づいて簡単に説明する。
高圧燃料通路は、インジェクタボディ5のインレットポートから導入された高圧力の燃料を燃料溜まり室19を介して複数の噴孔20へ供給する第1高圧導入流路(高圧燃料流路)と、この第1高圧導入流路から分岐して第1弁室21を介して圧力制御室22内へ高圧力の燃料を導入する第2高圧導入流路と、第1高圧導入流路から分岐して第2弁室23を介して中間室(24〜27)内へ高圧力の燃料を導入する第3高圧導入流路(高圧燃料流路)とを備えている。
第1高圧導入流路は、インレットポートとニードル収容孔6とを連通する高圧流路孔31〜33、ノズルシリンダ8の外周面とニードル収容孔6の孔壁面との間に形成される燃料流路34、ニードル1の外周面とニードル収容孔6の孔壁面との間に形成される燃料流路(クリアランス)35、および燃料溜まり室19を介して燃料流路35と複数の噴孔20とを連通する燃料流路36等を有している。この燃料流路36は、ニードル収容孔6内に形成されて、インジェクタの開弁時にノズルボディ2のニードルシート面とニードル1の弁部との間に形成される環状の燃料流路、およびこの燃料流路と複数の噴孔20とを連通するサック室を含んでいる。
第2高圧導入流路は、高圧流路孔32、33間の分岐部より分岐し、第1弁室21へ高圧力の燃料を導入する高圧流路孔37、およびこの高圧流路孔37と第1弁室21とを連通する第1インオリフィス孔38を有している。
第1インオリフィス孔38は、第1弁室21を介して、圧力制御室22へ導入される高圧力の燃料の流量を規制する第1入口側絞り孔である。
第3高圧導入流路は、圧力制御室22を迂回して、高圧力の燃料を中間室(24〜27)内へ導入する流路であって、高圧流路孔31〜33および燃料流路36と連通する環状の高圧連通路41、この高圧連通路41と第2弁室23とを連通するようにオリフィスプレート17をその板厚方向(軸線方向)に貫通する高圧流路孔42、この高圧流路孔42と連通する第2弁室23、およびこの第2弁室23と中間室(24〜27)とを連通する第2インオリフィス孔43等を有している。
高圧連通路41、高圧流路孔42および第2弁室23は、第1高圧導入流路と中間室(24〜27)とを連通する高圧連通路(高圧導入流路)を構成している。
第2インオリフィス孔43は、第2圧力従動弁の第2バルブ13の内外を第2バルブ13の半径方向に貫通するように設けられて、中間室(24〜27)へ導入される高圧力の燃料の流量を規制する第2入口側絞り孔である。
なお、高圧連通路から中間室(24〜27)内への燃料流入量は、第2インオリフィス孔43の絞り径によって規制されている。
次に、インジェクタの燃料排出流路を図1および図2に基づいて簡単に説明する。
燃料排出流路は、圧力制御室22内に導入された高圧力の燃料を中間室(24〜27)、低圧室44、低圧流路45およびアウトレットポートを介して、燃料系の低圧側へ流出させる燃料戻し経路である。この燃料排出流路は、圧力制御室22と連通する流路孔47、この流路孔47と中間室(24〜27)とを連通する第1アウトオリフィス孔48、および中間室(24〜27)と低圧室44とを連通する第2アウトオリフィス孔49を有している。
中間室は、圧力制御室22と低圧室44との間に設けられて、制御弁の開弁時に圧力制御室22内の燃料圧力と低圧室44内の燃料圧力との中間圧力の燃料が流通し、且つ制御弁の閉弁時に圧力制御室22内の燃料圧力と同等の燃料圧力の燃料が充満する中間流路である。この中間室は、第1アウトオリフィス孔48と連通する中間流路孔24、25、この中間流路孔24、25と第2アウトオリフィス孔49とを連通する中間制御室26、および第2バルブ13内に形成されて、中間制御室26と連通する中間制御室27を有している。
なお、第2バルブ13の開弁時には、第2インオリフィス孔43を介して、第3高圧導入流路から中間制御室26、27内に高圧力の燃料が導入される。
第1アウトオリフィス孔48は、圧力制御室22から中間室(24〜27)へ流出する燃料の流量を規制する第1出口側絞り孔である。この第1アウトオリフィス孔48は、第1バルブ11の中心軸線上に形成されている。
第2アウトオリフィス孔49は、中間室(24〜27)から低圧室44へ流出する燃料の流量を規制する第2出口側絞り孔である。
ニードル1は、燃料噴射弁の弁部材であって、ニードル収容孔6内に往復移動可能に収容されている。このニードル1の軸線方向の先端側には、ノズルボディ2のニードルシート面に接離して複数の噴孔20を閉鎖、開放する弁部が設けられている。また、ニードル1の軸線方向の基端側には、ノズルシリンダ8のガイド孔(シリンダ孔)の孔壁面に対して往復摺動可能な摺動部(小径部:以下ピストン部)7が設けられている。このピストン部7の端面には、第1サポートスプリング12の一部を収容し、且つ圧力制御室22の一部を形成する収容凹部が設けられている。
また、ピストン部7とニードル軸方向部(中径部)との間には、環状段差が設けられている。
ノズルシリンダ8は、第1バルブ11の外周との間に、第1弁室21と圧力制御室22とを連通する連通路(ノズル軸方向に延びる連通溝等)を形成する内周壁面を有している。このノズルシリンダ8の内周壁面には、ニードル1のピストン部7および第1バルブ11の摺動部を往復移動可能に支持するガイド孔が設けられている。
ノズルシリンダ8は、オリフィスプレート17の結合部に溶接固定により接続されている。このノズルシリンダ8は、オリフィスプレート17の結合部からニードル収容孔6の内部へ突出するように配置されている。
ノズルシリンダ8には、ニードル1の外周の環状段差との間に所定の軸方向距離(ニードル最大リフト量)を隔てて対向する環状段差が一体的に設けられている。この環状段差は、ニードル1がフルリフトした際に、これ以上の移動を規制するためのニードルストッパを構成している。
また、ノズルシリンダ8には、オリフィスプレート17の第1バルブシート面91との間に所定の軸方向距離(プレート収容室)を隔てて対向する環状段差が一体的に設けられている。この環状段差は、第1バルブ11がフルリフトした際に、これ以上の移動を規制するための第1バルブストッパを構成している。
ニードルスプリング9は、ニードル1に対して、ニードル1の閉弁方向に付勢する付勢力(弾性力、スプリングセット荷重:Fsp)を発生するニードル付勢手段(弾性部材)である。このニードルスプリング9は、ニードル1の中径部外周に固定された環状のスプリングシート29とノズルシリンダ8の環状端面(スプリング座部)との間でノズル軸方向に圧縮された状態で配置された圧縮コイルスプリングである。
ここで、燃料溜まり室19は、ニードル収容孔6の中間部に設けられている。この燃料溜まり室19内に導入される燃料圧力は、ニードル1に対して、ニードル1の開弁方向に付勢する付勢力として作用する開弁方向油圧力(FO)である。
複数の噴孔20は、ニードル1の弁部が着座可能なシート部(弁座)よりも燃料流方向の下流側に設けられて、ニードル収容孔6の内外を連通している。つまり、複数の噴孔20は、エンジンの気筒の燃焼室内とノズルボディ2の内部とを連通している。
圧力制御室22は、ニードル1の軸方向の上端面(基端側端面)およびニードル1の基端側凹部の底面とノズルシリンダ8の内周面と第1バルブ11とで囲まれた空間である。この圧力制御室22内に導入される燃料圧力は、ニードル1に対して、ニードル1の閉弁方向に付勢する付勢力として作用する閉弁方向油圧力(FC)である。
次に、制御弁の詳細を図1ないし図8に基づいて簡単に説明する。
制御弁は、バルブボディ16のバルブシート面51に接離して第2アウトオリフィス孔49を開閉する制御バルブ3、この制御バルブ3にアクチュエータ4およびピエゾピストン52の変位を伝えるバルブピストン53、および制御バルブ3をその閉弁方向に付勢するバルブスプリング54等を備えている。
バルブピストン53は、アクチュエータ4への通電(ON)時に、ピエゾ収容孔10の軸線方向の先端側に対して反対側の基端側(反噴孔側)へ向けて駆動される。このバルブピストン53は、ピエゾピストン52との間に形成される収容凹部55内にバルブスプリング54と一緒に収容されるピストン中径部、このピストン中径部の先端面の中央から軸線方向の先端側に延長されたピストン小径部、およびピストン中径部とピストン小径部との間に設けられる環状の段差面(後述する油密室内の油圧力を受ける環状の受圧面)を備えている。
ピストン小径部の軸線方向の先端部には、制御バルブ3を移動可能に収容する収容凹部56が形成されている。この収容凹部56は、ピストン小径部の先端面で開口し、この開口側から奥側まで真っ直ぐに延びる袋孔状の弁体収容孔である。
バルブスプリング54は、制御バルブ3およびバルブピストン53に対して、制御バルブ3の閉弁方向に付勢する付勢力(弾性力、スプリングセット荷重:Fsp)を発生するコイルスプリングである。このバルブスプリング54は、収容凹部55の奥側に固定された環状のスプリングシート57とバルブピストン53のピストン中径部の端面(スプリング座部)との間で軸線方向に圧縮された状態で配置された圧縮コイルスプリングである。
制御バルブ3は、バルブボディ16のバルブシート面51に着座可能なボールバルブ(制御弁の弁体)である。この制御バルブ3は、着座時にバルブピストン53の収容凹部56の底面(円錐面)に当接する当接部、および着座時にバルブボディ16のバルブシート面51に液密的に当接(密着)するシール部等を備えている。
また、制御バルブ3は、仮にバルブピストン53が傾いても、バルブシート面51に対して垂直な力(バルブスプリング54の付勢力)で自身のシール部がバルブボディ16のバルブシート面51に押し付けられるように、つまりバルブボディ16のバルブシート面51で開口する第2アウトオリフィス孔49を確実に密閉(閉鎖)できるように、制御バルブ3の当接部側が球面形状となっており、シール部側が平面形状となっている。
ここで、制御弁は、自身が開弁する、つまりバルブボディ16のバルブシート面51より制御バルブ3が離脱することで、圧力制御室22内に導入される高圧力の燃料を中間室(24〜27)、低圧室44等を介して燃料系の低圧側へ流出させて圧力制御室22内の燃料圧力を低下させる。これにより、ニードル1が開弁してエンジンの気筒の燃焼室内に高圧力の燃料が噴射される。
また、制御弁は、自身が閉弁する、つまりバルブボディ16のバルブシート面51に制御バルブ3が着座することで、圧力制御室22内への高圧力の燃料の導入によって、圧力制御室22内の燃料圧力を上昇させる。これにより、ニードル1が閉弁してエンジンの気筒の燃焼室内への燃料噴射が終了する。
次に、アクチュエータ4の詳細を図1および図2に基づいて簡単に説明する。
アクチュエータ4は、電荷の充放電により軸線方向に伸縮するピエゾ素子をその軸線方向に多数積層してなるピエゾ素子積層体と、このピエゾ素子積層体を保護する筒状の絶縁スリーブ(ケース)と、ピエゾ素子積層体の軸線方向の両端に設けられる絶縁基板とを備えている。このアクチュエータ4は、一対のピエゾリード端子間に、ピエゾ駆動回路(EDU:図示せず)からピエゾ駆動信号(ピエゾ印加電圧またはピエゾ駆動電流)が印加されるように構成されている。
そして、アクチュエータ4は、ECUからEDUに与えられるインジェクタ開弁駆動指令(噴射開始指令)に対応してEDUからピエゾ素子積層体に電圧が印加(通電ON)されると、ピエゾ素子積層体に電荷が充電される。また、アクチュエータ4は、ECUからEDUに与えられるインジェクタ閉弁駆動指令(噴射終了指令)に対応してEDUからピエゾ素子積層体への電圧印加が停止(通電停止OFF)されると、ピエゾ素子積層体から電荷が放電される。
ここで、ピエゾ素子積層体を備えたインジェクタでは、ピエゾ素子積層体の特徴である駆動力の大きさに対する変位量(伸張量)の不足分を補うという目的で、アクチュエータ4と制御バルブ3との間に、ピエゾピストン52とバルブピストン53との受圧面積比に応じてアクチュエータ4の伸張変位を拡大してバルブピストン53に伝える変位拡大機構を備えている。また、変位拡大機構は、ピエゾピストン52の変位方向に対してバルブピストン53の変位方向を反転させる反転機構を備えている。
変位拡大機構は、アクチュエータ4の伸縮変位(伸張、収縮)によりアクチュエータ4と一体往復移動可能に連結したピエゾピストン(大径ピストン)52と、制御バルブ3と一体往復移動可能に連結したバルブピストン(小径ピストン)53と、アクチュエータ4の変位をピエゾピストン52に伝える駆動伝達部材61、62と、ピエゾピストン52を往復摺動可能に支持するアッパーシリンダ64と、バルブピストン53を往復摺動可能に支持するロアシリンダ65とを備えている。
変位拡大機構は、作動油(燃料)が充填された油密室66を備え、アクチュエータ4の伸張変位により油密室66内の燃料圧力(油圧力)が上昇することで、アクチュエータ4およびピエゾピストン52の変位を拡大(駆動力を低減)してバルブピストン53に伝え、このバルブピストン53の変位により制御バルブ3を開閉駆動するように構成されている。
油密室66は、ピエゾピストン52の先端側環状端面とバルブピストン53の環状段差面とアッパーシリンダ64の先端側周壁(開口端面)とロアシリンダ65の基端面とによって囲まれた環状空間である。
ピエゾピストン52は、多数のスリット孔を有する金属薄板を筒状に成形したピエゾスプリング63を備えている。このピエゾスプリング63は、ピエゾピストン52の外周突出部67とアッパーシリンダ64に固定された環状のリング部材68との間に設置されて、ピエゾ素子積層体にプリセット荷重を与えるスリットスプリングである。また、ピエゾスプリング63は、インジェクタボディ5の低圧流路45内に設置されている。
ピエゾピストン52は、駆動伝達部材61、62と一緒に、アクチュエータ4への通電(ON)時に、ピエゾ収容孔10の軸線方向の先端側(噴孔側)へ向けて駆動される。このピエゾピストン52は、アッパーシリンダ64のガイド孔(シリンダ孔)の孔壁面に対して往復摺動可能なピストン大径部が設けられている。
また、ピエゾピストン52の内部には、ピエゾピストン52の先端面で開口し、この開口側から奥側に延びる収容凹部(スプリング収容室)55が形成されている。このピエゾピストン52には、アクチュエータ4の伸縮変位時において、バルブピストン53のピストン中径部を往復移動可能に収容する収容凹部55の容積変化(呼吸作用)によるへばり付きを防止するために、ピエゾピストン52の円筒周壁の外部から収容凹部55内に作動油供給経路を確保するという目的で、円筒周壁の内外を連通する複数の径方向孔(連通孔)69が形成されている。すなわち、複数の連通孔69は、収容凹部55の内部と低圧流路45とを連通している。なお、低圧流路45は、インジェクタボディ5のアウトレットポートと連通している。
次に、第1圧力従動弁の詳細を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。
第1圧力従動弁は、ノズルシリンダ8の開口部に設置されている。この第1圧力従動弁は、第1バルブボディとしてのノズルシリンダ8、このノズルシリンダ8の環状段差によって開弁位置(フルリフト量)が規定される第1弁体(第1バルブ11)、この第1バルブ11をその閉弁方向に付勢する第1サポートスプリング12、およびノズルシリンダ8の環状段差との間に第1バルブ11を往復移動可能に収容するプレート収容室を形成するオリフィスプレート17等を有している。
ノズルシリンダ8は、第1バルブ11の外周との間に、第1弁室21と圧力制御室22とを連通する連通路(ノズル軸方向に延びる連通溝等)を形成する内周壁面を有している。このノズルシリンダ8の内周壁面には、ニードル1のピストン部7および第1バルブ11の摺動部を往復移動可能に支持するガイド孔が設けられている。
オリフィスプレート17には、第1弁室21に臨み、且つ第1バルブ11が着座可能な第1バルブシート面91が形成されている。
また、オリフィスプレート17には、バルブボディ16の高圧流路孔32とノズルボディ2の燃料流路34とを連通する高圧流路孔33、バルブボディ16の高圧流路孔32と第1弁室21とを連通する高圧流路孔37および第1インオリフィス孔38が形成されている。また、オリフィスプレート17には、第1バルブ11の第1アウトオリフィス孔48とを連通する中間流路孔24、ノズルボディ2の高圧連通路41とバルブボディ16の第2弁室23とを連通する高圧流路孔42が形成されている。
なお、第1インオリフィス孔38の下流端および中間流路孔24の上流端は、オリフィスプレート17の第1バルブシート面91で開口している。また、高圧流路孔42の上流端は、オリフィスプレート17の図示下端面で開口している。また、中間流路孔24の下流端および高圧流路孔42の下流端は、オリフィスプレート17の図示上端面で開口している。
第1バルブ11は、所定の板厚を有する平板状のプレートバルブであって、プレート収容室内に往復移動可能に収容されている。この第1バルブ11の図示上端面には、第1弁室21に臨み、第1弁室21内の燃料圧力を受圧する開弁側受圧面が設けられている。また、第1バルブ11の図示下端面には、圧力制御室22に臨み、圧力制御室22内の燃料圧力を受圧する閉弁側受圧面が設けられている。また、第1バルブ11の中心軸線上には、流路孔47および第1アウトオリフィス孔48が貫通形成されている。
なお、流路孔47の上流端は、第1バルブ11の図示下端面で開口している。また、第1アウトオリフィス孔48の下流端は、第1バルブ11の図示上端面で開口している。
第1サポートスプリング12は、第1バルブ11に対して、第1バルブ11の閉弁方向に付勢する付勢力(弾性力、スプリングセット荷重:Fsp1)を発生する第1弾性部材である。この第1サポートスプリング12は、第1バルブ11の閉弁側受圧面(スプリング座部)とニードル1の収容凹部の奥側の底面(スプリング座部)との間で軸線方向に圧縮された状態で配置された圧縮コイルスプリングである。
ここで、第1弁室21は、第1バルブ11の開弁側受圧面とオリフィスプレート17の第1バルブシート面91との間に形成される容積可変空間である。この第1弁室21内に導入される燃料圧力は、第1バルブ11に対して、第1バルブ11の開弁方向に付勢する付勢力として作用する開弁方向油圧力(FO)である。
また、圧力制御室22は、第1バルブ11の閉弁側受圧面とニードル1の受圧面との間に形成される容積可変空間である。この圧力制御室22内に導入される燃料圧力は、第1バルブ11に対して、第1バルブ11の閉弁方向に付勢する付勢力として作用する開弁方向油圧力(FC)である。
第1圧力従動弁は、第1バルブ11の開弁側受圧面で受圧する開弁方向油圧力(FU)が、第1バルブ11の閉弁側受圧面で受圧する閉弁方向油圧力(FL)と第1サポートスプリング12の閉弁方向の付勢力(Fsp1)との合力よりも大きい場合、第1バルブ11が、オリフィスプレート17の第1バルブシート面91より離脱して第1インオリフィス孔38を開放する。
第1圧力従動弁は、第1バルブ11の開弁側受圧面で受圧する開弁方向油圧力(FU)が、第1バルブ11の閉弁側受圧面で受圧する閉弁方向油圧力(FL)と第1サポートスプリング12の閉弁方向の付勢力(Fsp1)との合力よりも小さい場合、第1バルブ11が、オリフィスプレート17の第1バルブシート面91に着座(密着)して第1インオリフィス孔38を閉鎖する。
次に、第2圧力従動弁の詳細を図1ないし図8に基づいて簡単に説明する。
第2圧力従動弁は、特許請求の範囲における「流路開閉弁」に相当する。この第2圧力従動弁は、オリフィスプレート17によって開弁位置(フルリフト量)が規定される第2弁体(第2バルブ)13、この第2バルブ13をその開弁方向に付勢する第2サポートスプリング14、およびオリフィスプレート17との間に第2バルブ13と第2サポートスプリング14を往復移動可能に収容するバルブ収容室を形成するバルブボディ16等を有している。
第2バルブ13は、所定のカップ形状に形成されたカップバルブであって、バルブボディ16のバルブ収容室内に摺動可能に挿入配置されている。この第2バルブ13は、バルブ収容室を、第2弁室23と中間室(中間制御室26、27)とに区画している。
また、第2バルブ13は、オリフィスプレート17の第2バルブストッパ(後述する)に当接可能な円板状の座部(径大部)、この座部のエッジラインから先端へ向かって外径が徐々に縮径する円錐台(凸曲面)形状の弁部71、この弁部71の最小外径部と同一の外径の小径筒部(摺動部)72、およびこの小径筒部72のエッジラインから先端へ向かって外径が徐々に縮径する円錐台筒形状の先端筒部等を有している。
第2バルブ13は、第2弁室23と中間室(中間制御室26、27)とを区画するようにバルブ収容室内に配されている。
また、第2バルブ13の弁部71と小径筒部72との間には、外周方向に延びる周方向溝を有する括れ筒部73が設けられている。この括れ筒部73には、第2弁室23と中間室(中間制御室26、27)とを連通する第2インオリフィス孔43が形成されている。この第2インオリフィス孔43は、第2バルブ13の括れ筒部73の内周面と外周面とを連通するように貫通形成されている。
また、先端筒部の図示上端面には、環状端面が設けられている。また、第2バルブ13は、その環状端面で開口し、この開口側から奥側の底面まで延びる収容凹部74を有している。この収容凹部74の内部空間は、中間制御室27として機能する。
第2バルブ13は、バルブ収容室内に往復移動可能に収容されている。この第2バルブ13の図示上端面(環状端面および収容凹部74の底面)には、中間室(中間制御室26、27)に臨み、中間室(中間制御室26、27)内の燃料圧力を受圧する開弁側受圧面が設けられている。また、第2バルブ13の座部の図示下端面には、第2弁室23に臨み、第2弁室23内の燃料圧力を受圧する閉弁側受圧面が設けられている。
第2サポートスプリング14は、第2バルブ13に対して、第2バルブ13の開弁方向に付勢する付勢力((弾性力、スプリングセット荷重:Fsp2)を発生する第2弾性部材である。この第2サポートスプリング14は、第2バルブ13の収容凹部の底面(スプリング座部)とバルブボディ16の中間制御室26の天井面(スプリング座部)との間で軸線方向に圧縮された状態で配置された圧縮コイルスプリングである。
ここで、第2弁室23は、第2バルブ13の閉弁側受圧面(図示下端面)とバルブボディ16の第2バルブシート面92との間に形成される容積可変空間である。この第1弁室21内に導入される燃料圧力は、第1バルブ11に対して、第1バルブ11の開弁方向に付勢する付勢力として作用する開弁方向油圧力(FU)である。
また、中間室(中間制御室26)は、第2バルブ13の開弁側受圧面(図示上端面)とオリフィスプレート17の上端面との間に形成される容積可変空間である。この中間室(中間制御室26、27)内に導入される燃料圧力は、第1バルブ11に対して、第1バルブ11の閉弁方向に付勢する付勢力として作用する閉弁方向油圧力(FL)である。
バルブボディ16は、ノズルボディ2の密着面とインジェクタボディ5の密着面との間に、オリフィスプレート17と一緒に挟み込まれている。このバルブボディ16の図示上端面には、低圧室44に臨み、且つ制御バルブ3が着座可能なバルブシート面(弁座)51が形成されている。
また、バルブボディ16には、インジェクタボディ5の高圧流路孔31とオリフィスプレート17の高圧流路孔33、37とを連通する高圧流路孔32、オリフィスプレート17の中間流路孔24と低圧室44とを連通する中間流路孔25、中間制御室26、27および第2アウトオリフィス孔49が形成されている。また、バルブボディ16には、第2弁室23および中間制御室26、27を含むバルブ収容室が形成されている。
なお、中間流路孔25の上流端は、バルブボディ16の図示下端面で開口している。また、第2アウトオリフィス孔49の下流端は、バルブボディ16のバルブシート面55で開口している。また、バルブ収容室は、バルブボディ16の図示下端面で開口し、この開口側から奥側まで延びる凹溝である。
バルブ収容室は、第2バルブ13との間に第2弁室23を形成する収容孔、および第2バルブ13の小径筒部を往復摺動可能に支持するガイド孔等を有している。バルブボディ16の収容孔面とガイド孔面との間には、第2バルブ13の弁部71が着座可能な第2バルブシート面92が形成されている。この第2バルブシート面92は、収容孔のエッジラインからガイド孔のエッジラインへ向かって内径が徐々に減少する円錐台形状の傾斜面上に設けられている。
オリフィスプレート17は、ノズルボディ2の密着面に液密的に密着する密着面(図示下端面)、およびバルブボディ16の密着面に液密的に密着する密着面(図示上端面)を有している。
オリフィスプレート17の密着面、特にオリフィスプレート17の中心軸線から偏芯した部位は、第2バルブ13がフルリフトした際に、これ以上の移動を規制するための円形状の第2バルブストッパ75を構成している。このオリフィスプレート17の密着面には、第2バルブストッパ75の周囲を取り囲むように環状凹溝76が設けられている。
第2バルブストッパ75は、環状凹溝76の底面から第2バルブ13側へ突出する円形凸部であって、オリフィスプレート17の密着面と同一平面上に形成されている。
環状凹溝76は、オリフィスプレート17の密着面で開口し、この開口側から奥側の底面まで延びる環状凹溝である。そして、第2バルブ13の開弁時には、環状凹溝76の底面と第2バルブ13との間に円環状の第2弁室23が形成される。
第2圧力従動弁は、第2バルブ13の開弁側受圧面で受圧する開弁方向油圧力(FU)が、第2バルブ13の閉弁側受圧面で受圧する閉弁方向油圧力(FL)と第2サポートスプリング14の開弁方向の付勢力(Fsp2)との合力よりも大きい場合、第2バルブ13が、バルブボディ16の第2バルブシート面92より離脱(リフト)し、且つオリフィスプレート17の第2バルブストッパ75に押し当てられて第2インオリフィス孔43を開放する。これにより、第3高圧導入流路(41〜43)が連通状態となるため、第3高圧導入流路(41〜43)から中間室(中間制御室26、27)内に高圧力の燃料が導入される。
また、第2圧力従動弁は、第2バルブ13の開弁側受圧面で受圧する開弁方向油圧力(FU)が、第2バルブ13の閉弁側受圧面で受圧する閉弁方向油圧力(FL)と第2サポートスプリング14の開弁方向の付勢力(Fsp2)との合力よりも小さい場合、第2バルブ13が、オリフィスプレート17の第2バルブストッパ75より離間し、且つバルブボディ16の第2バルブシート面92に着座(密着)して第2インオリフィス孔43を閉鎖する。これにより、第3高圧導入流路(41〜43)が遮断されるため、第3高圧導入流路(41〜43)から中間室(中間制御室26、27)内への高圧力の燃料の導入が中断される。
[実施例1の作用]
次に、本実施例のインジェクタの作用を図1ないし図9に基づいて簡単に説明する。
ここで、本実施例のインジェクタでは、第2インオリフィス孔43の通過流量(第2インオリフィス流量)よりも、第2アウトオリフィス孔49の通過流量(第2アウトオリフィス流量)の方が多くなるように絞り径が設定されている。これにより、制御弁の開弁時における中間室(中間制御室26、27)内の燃料圧力(中間室圧)の低下速度は速い。
また、第2インオリフィス孔43の通過流量(第2インオリフィス流量:Qsub)よりも、第1アウトオリフィス孔48の通過流量(第1アウトオリフィス流量:Qmain)の方が多くなるように絞り径が設定されている。つまりQmain>Qsubのように設定されている。これにより、制御弁の開弁時における圧力制御室22内の燃料圧力(制御室圧)の低下速度よりも、中間室(中間制御室26、27)内の燃料圧力(中間室圧)の低下速度の方が速くなる。
エンジンの運転が開始されると、サプライポンプやコモンレール等の燃料系の高圧部から高圧配管(高圧燃料供給管)、インジェクタボディ5のインレットポートを介してインジェクタの内部(高圧燃料通路)に高圧力の燃料が導入される。
そして、インジェクタの内部に導入された高圧力の燃料の一部は、インジェクタボディ5のインレットポートから高圧流路孔31〜33、燃料流路34、ニードル収容孔6および燃料流路35を通って燃料溜まり室19および燃料流路36に到達する。
一方、インジェクタの内部に導入される高圧力の燃料の残部は、高圧流路孔32、33間の分岐部より分岐して高圧流路孔37、第1インオリフィス孔38、第1弁室21および連通路を通って圧力制御室22に到達する。
ここで、アクチュエータ4のピエゾ素子積層体に電圧が印加されず、制御弁の弁体である制御バルブ3が、バルブスプリング54の付勢力によって閉弁方向に付勢されて、第2アウトオリフィス孔49を閉鎖している場合には、圧力制御室22から中間室(24〜27)、低圧室44を介して、燃料系の低圧側への燃料の流出が停止されている。これにより、第1弁室21内の燃料圧力(開弁方向油圧力:FO)が、圧力制御室22内の燃料圧力(閉弁方向油圧力:FC)と第1サポートスプリング12の付勢力(閉弁方向付勢力:Fsp1)との合力よりも大きくなる。
これによって、第1圧力従動弁の第1弁体である第1バルブ11が、オリフィスプレート17の第1バルブシート面91よりリフト(離脱)して、第1インオリフィス孔38を開放する。すなわち、第1バルブ11が、ノズルシリンダ8のガイド孔でガイドされながら開弁方向に移動し、開弁する。
そして、第1インオリフィス孔38から第1弁室21内に導入された高圧力の燃料は、ノズルシリンダ8の内周と第1バルブ11の外周との間に形成された連通路を通って圧力制御室22内に導入されるため、圧力制御室22内の燃料圧力(閉弁方向油圧力:FC)が増加する。
このとき、ニードル1には、燃料溜まり室19内の燃料圧力(開弁方向油圧力:FO)と、圧力制御室22内の燃料圧力(閉弁方向油圧力:FC)と、ニードルスプリング9のスプリングセット荷重(閉弁方向付勢力:Fsp)とが作用しており、FO<FC+Fspが成立している。
この結果、アクチュエータ4のピエゾ素子積層体に電圧が印加されず、制御バルブ3が閉弁し、第1バルブ11が開弁している時には、ニードル1の弁部がノズルボディ2のニードルシート面に着座するため、複数の噴孔20が閉塞される。
したがって、インジェクタは、ニードル1が閉弁状態を維持するため、エンジンの気筒内への燃料噴射が実施されない。
次に、制御弁の閉弁時における第1、第2圧力従動弁の作動を説明する。
第1インオリフィス孔38および第1弁室21内の燃料圧力と圧力制御室22内の燃料圧力とが均衡した段階で、第1サポートスプリング12の有無に関わらず、第1バルブ11がノズルシリンダ8のガイド孔でガイドされながら閉弁方向に移動して、オリフィスプレート17の第1バルブシート面91に着座する。これにより、第1バルブ11が、閉弁状態となり、第1インオリフィス孔38を閉鎖する。
そして、アクチュエータ4のピエゾ素子積層体への通電が停止(OFF)されている時、つまり制御弁の閉弁時には、図4に示したように、第2バルブ13の閉弁側受圧面に第2弁室23内の燃料圧力(Pc)を受圧しているため、第2バルブ13の閉弁側受圧面には、閉弁方向油圧力:FL(=Pc×S1)が作用している。
なお、Pcは、第2弁室23内の燃料圧力、つまり高圧燃料通路圧である。また、S1は、第2バルブ13の閉弁側受圧面における閉弁方向受圧面積である。
また、第2バルブ13の開弁側受圧面に中間圧力の燃料圧(中間室圧:P0)を受圧しているため、第2バルブ13の開弁側受圧面には、開弁方向油圧力:FU(=P0×S2)が作用している。また、第2バルブ13には、第2サポートスプリング14の付勢力(Fsp2)が作用している。
なお、P0は、制御弁の閉弁時中間室圧(=Pc)である。また、S2は、第2バルブ13の開弁側受圧面における開弁方向受圧面積である。また、Fsp2は、第2サポートスプリング14のセット荷重である。
したがって、第2バルブ13には、閉弁方向油圧力(FL)と開弁方向油圧力(FU)と第2サポートスプリング14の付勢力(Fsp2)とが作用しており、下記の数式1が成立している。
[数1]
Fsp2+P0×S2>Pc×S1
以上により、制御弁の閉弁時には、第2サポートスプリング14の付勢力(Fsp2)と開弁方向油圧力(P0×S2)との合力よりも閉弁方向油圧力(Pc×S1)が上回るため、第2バルブ13の弁部71がバルブボディ16の第2バルブシート面92より離脱(リフト)する。このため、制御弁の閉弁時には、第2圧力従動弁の第2バルブ13が開弁状態にある。
一方、エンジンの当該気筒のインジェクタの噴射タイミング(図3に示したta時刻)になり、ECUからのインジェクタ開弁駆動指令によってアクチュエータ4のピエゾ素子積層体へ電圧が印加されると、ピエゾ素子積層体に電荷が充電される。これに伴って、ピエゾ素子積層体がその軸線方向の一方側へ伸張変位し、駆動伝達部材61、62を介して、ピエゾピストン52をその軸線方向の一方側に駆動する。
このように、アクチュエータ4のピエゾ素子積層体が伸張変位すると、ピエゾピストン52の移動(変位)に伴って、油密室66の容積が縮小されて油密室66内の燃料圧力(油圧力)が上昇する。そして、油密室66内の油圧力が上昇した場合には、バルブピストン53が、ピエゾピストン52の変位方向とは反対側(アクチュエータ側)、つまり制御バルブ3の開弁方向に駆動される。
そして、バルブピストン53の移動に伴って、制御バルブ3が開弁駆動されるため、制御バルブ3がバルブボディ16のバルブシート面51より離脱(リフト)する。これにより、第2アウトオリフィス孔49が開放される。
このとき、第1バルブ11が閉弁状態を維持しているため、圧力制御室22内に導入される高圧力の燃料は、第1バルブ11の中心軸線上に設けられた流路孔47、第1アウトオリフィス孔48を通って、オリフィスプレート17の中間流路孔24内に流入する。
そして、中間流路孔24内に流入した燃料は、バルブボディ16の中間流路孔25、中間制御室26、27および第2アウトオリフィス孔49を通って低圧室44内に流入した後、インジェクタボディ5のアウトレットポートから外部へ流出し、燃料系の低圧側へ排出される。
ここで、第1インオリフィス流量よりも第1アウトオリフィス流量の方が多くなるように構成されているので、圧力制御室22内の燃料圧力は徐々に低下していく。
次に、制御弁の開弁時における第2圧力従動弁の作動を説明する。
制御弁の開弁時、つまり第1圧力従動弁の閉弁タイミング(T1)には、制御弁の開弁(アクチュエータ4のピエゾ素子積層体への通電ON)により、中間室(24〜27)内の燃料圧力(中間圧力=中間室圧)が低下するが、制御弁の開弁初期(図3に示したtb時刻)においては、中間室圧が未だP1までしか低下していない。
したがって、第2バルブ13に作用する付勢力は、下記の数式2となる。
[数2]
Fsp2+P1×S2>Pc×S1
以上により、制御弁の開弁初期には、図5に示したように、第2弁室23から第2バルブ13の弁部71と第2バルブシート面92とのクリアランスおよび第2インオリフィス孔43を通って中間室(中間制御室26、27)へ至る燃料経路が形成されており、第2圧力従動弁の第2バルブ13が未だ開弁状態を保持している。
ここで、第1高圧導入流路(高圧流路孔31〜33)を流通している高圧力の燃料の一部は、ノズルボディ2の密着面とオリフィスプレート17の密着面との間に形成された高圧連通路41からオリフィスプレート17内の高圧流路孔42を通ってバルブボディ16内の第2弁室23に到達している。
このような構成によって、第2バルブ13の開弁時には、第2弁室23内に導入された高圧力の燃料が、第2弁室23から第2バルブ13の第2インオリフィス孔43を通って中間室(中間制御室26、27)内へ供給されるので、図3に示したように、中間室圧が所定圧力値(P1)以上に保たれ、従来例1のインジェクタと比べて中間室圧降下速度が抑制(遅延)される。
制御弁が開弁してから所定の時間(T1からT2までの時間)が経過して、中間室圧が所定圧力値(P2<P1)まで低下すると、下記の数式3が成立する。
[数3]
Fsp2+P2×S2=Pc×S1
これにより、第2バルブ13が、上下圧力差による油圧力により閉弁方向に付勢され、閉弁方向の移動(リフト)を開始する(図6参照)。
その後、図3に示したtc時刻になると、中間室圧が所定圧力値(P3<P2)以下に低下するため、下記の数式4が成立する。
[数4]
Fsp2+P3×S2<Pc×S1
これにより、図7に示したように、第2バルブ13の弁部71がバルブボディ16の第2バルブシート面92に着座(シート)するため、中間室(中間制御室26、27)への高圧力の燃料の供給が遮断される。このとき、第2圧力従動弁の第2バルブ13のバルブリフト量は、L2となる。
ここで、第2バルブ13の閉弁タイミング(T2:閉弁時中間室圧P2)は上下方向の受圧面積によって所望のタイミングに調整することが可能であり、第2圧力従動弁の第2バルブ13の閉弁タイミング(T2)を、第1圧力従動弁の第1バルブ11よりも遅延させることで、従来例1のインジェクタと比べて中間室圧降下速度が抑制される。
上述したように、中間室(中間制御室26、27)への高圧力の燃料の供給が遮断されることで、圧力制御室22内の燃料圧力および中間室(24〜27)内の燃料圧力が急速に低下し、ニードル1の上下圧力差が増加していく。
そして、FO>FC+Fspが成立すると、燃料溜まり室19内の燃料圧力(開弁方向油圧力:FO)が、圧力制御室22内の燃料圧力(閉弁方向油圧力:FC)とニードルスプリング9のスプリングセット荷重(閉弁方向付勢力:Fsp)との合力を上回る。すなわち、圧力制御室22内の燃料圧力、つまりニードル1に対して閉弁方向に作用する燃料圧力(閉弁方向油圧力:FC)がニードル開弁圧(Po)まで低下すると、燃料溜まり室19内の燃料圧力(開弁方向油圧力:FO)によってニードル1が開弁(リフトを開始)する。
この結果、ノズルボディ2のニードルシート面よりニードル1が離脱(リフト)するため、ニードル1が開弁状態となり、複数の噴孔20からエンジンの気筒の燃焼室内への燃料噴射が開始される。したがって、燃料溜まり室19からニードル1の外周とニードル収容孔6の孔壁面との間に形成される筒状の燃料流路36を通ってサック室に導入された高圧力の燃料は、サック室からインジェクタの各噴孔20を通ってエンジンの気筒の燃焼室内へ噴射される。
なお、ニードル1が開弁動作を開始した直後(開弁初期)は、図3に示したように、圧力制御室22内の燃料圧力の低下速度が速いので、噴射率矩形度が良く、噴射率の上昇速度は速い(噴射率波形の傾きが急である)。その後、ニードル1の開弁末期では、図3に示したように、圧力制御室22内の燃料圧力の低下速度が遅くなるので、噴射率の上昇速度は遅くなる(噴射率波形の傾きが緩やかである)。
その後、噴射タイミングからインジェクタの開弁期間(ECUにおいて燃料噴射量と指令噴射圧力とから算出される指令噴射期間、アクチュエータ4のピエゾ素子積層体への通電期間に相当する)が経過すると、ECUからインジェクタ閉弁駆動指令が出力される。
そして、このインジェクタ閉弁駆動指令に対応してEDUからピエゾ素子積層体への電圧印加が停止(通電停止OFF)されると、ピエゾ素子積層体から電荷が放電される。これに伴って、ピエゾ素子積層体が収縮変位し、ピエゾピストン52および駆動伝達部材61、62がピエゾスプリング63の付勢力により押し戻される。
また、インジェクタは、アクチュエータ4が収縮変位すると、ピエゾピストン52が初期位置に戻されるため、油密室66の容積が拡大されて油密室66内の油圧力が低下(降下)する。そして、油密室66内の油圧力が低下した場合には、バルブピストン53が、ピエゾピストン52の変位方向とは反対側(噴孔側)、つまり制御バルブ3の閉弁方向に駆動される。つまり油密室66の油圧力の低下に伴って、バルブピストン53がバルブスプリング54の付勢力によって押し下げられる。
したがって、バルブピストン53の移動に伴って、制御バルブ3が閉弁動作するため、バルブボディ16のバルブシート面51に着座する。これにより、第2アウトオリフィス孔49が閉鎖される。
次に、制御弁の閉弁時における第1圧力従動弁の作動を説明する。
以上のように、制御弁の制御バルブ3が第2アウトオリフィス孔49を閉鎖している場合には、圧力制御室22から中間室(24〜27)、低圧室44を介して、燃料系の低圧側への燃料の流出が停止する。これにより、第1弁室21内の燃料圧力(開弁方向油圧力:FO)が、圧力制御室22内の燃料圧力(閉弁方向油圧力:FC)と第1サポートスプリング12の付勢力(閉弁方向付勢力:Fsp1)との合力よりも大きくなる。
これによって、第1圧力従動弁の第1弁体である第1バルブ11が、オリフィスプレート17の第1バルブシート面91よりリフト(離脱)して、第1インオリフィス孔38を開放する。すなわち、第1バルブ11が、ノズルシリンダ8のガイド孔でガイドされながら開弁方向に移動し、開弁する。
このとき、高圧流路孔31、32、37を通って第1インオリフィス孔38に到達していた高圧力の燃料は、第1インオリフィス孔38から第1弁室21内に導入される。そして、第1弁室21内に導入された高圧力の燃料は、連通路を通って圧力制御室22内に導入されるため、圧力制御室22内の燃料圧力(閉弁方向油圧力:FC)が回復する。
ここで、第1インオリフィス孔38の通過流量を従来例1の第1インオリフィス流量よりも多くすることで、圧力制御室22内の燃料圧力が急速に上昇する。
そして、燃料溜まり室19内の燃料圧力と圧力制御室22内の燃料圧力との間の圧力差が減少し、FO<FC+Fspが成立する。すなわち、圧力制御室22内の燃料圧力、つまりニードル1に対して閉弁方向に作用する燃料圧力(閉弁方向油圧力:FC)がニードル閉弁圧(Pc)まで回復すると、ニードル1が閉弁方向に移動してニードル1の弁部がノズルボディ2のニードルシート面に着座(シート)する。これにより、燃料溜まり室19と複数の噴孔20とを連通する筒状の燃料流路36が遮断されるため、インジェクタの各噴孔20からエンジンの気筒の燃焼室内への燃料噴射が終了する。
なお、ニードル1が閉弁動作を開始した直後(閉弁初期)は、図3に示したように、圧力制御室22内の燃料圧力の上昇速度が遅いので、噴射率の低下速度は遅い(噴射率波形の傾きが緩やかである)。その後、ニードル1の閉弁中期からは、図3に示したように、圧力制御室22内の燃料圧力の上昇速度が速くなるので、噴射率矩形度が良く、噴射率の低下速度は速くなる(噴射率波形の傾きが急である)。
次に、制御弁の開弁時における第1、第2圧力従動弁の作動を説明する。
第1インオリフィス孔38および第1弁室21内の燃料圧力と圧力制御室22内の燃料圧力とが均衡した段階で、第1サポートスプリング12の有無に関わらず、第1バルブ11がノズルシリンダ8のガイド孔でガイドされながら閉弁方向に移動して、オリフィスプレート17の第1バルブシート面91に着座する。これにより、第1バルブ11が、閉弁状態となり、第1インオリフィス孔38を閉鎖する。
そして、アクチュエータ4のピエゾ素子積層体への通電が停止(OFF)され、制御弁が閉弁した後、図3に示したte時刻になると、図8に示したように、中間室(24〜27)内の燃料圧力(中間室圧)が所定圧力値(P4>P3)以上に回復すると、下記の数式5が成立する。
[数5]
Fsp2+P4×S2>Pc×S1
これにより、制御弁の閉弁時には、第2サポートスプリング14の付勢力(Fsp2)と開弁方向油圧力(P0×S2)との合力よりも閉弁方向油圧力(Pc×S1)が上回るため、第2バルブ13の弁部71がバルブボディ16の第2バルブシート面92より離脱(リフト)する。
以上により、制御弁が閉弁した直後に、第2バルブ13が開弁するため、中間室(中間制御室26、27)内への高圧力の燃料供給が再開される。
なお、本実施例のインジェクタの場合、図9に示したように、アクチュエータ4へのピエゾ通電時間(噴射量指令値)に対する燃料噴射量が、従来例1のインジェクタよりも少なくなるが、同一のピエゾ通電時間に対する燃料噴射量の減量分は、ECUで算出された燃料噴射量となるように噴射量指令値(ピエゾ通電時間)を従来例1のインジェクタよりも長く設定することで補うことができる。
[実施例1の効果]
ところで、エンジンの気筒内に燃料を噴射するインジェクタは、圧力制御室からの燃料排出流量を規制する第1アウトオリフィス流量を増加させることで、ニードル開弁速度を向上する(=噴射率矩形度が向上する)ことが一般に知られている。
ここで、噴射率矩形度向上のメリットとしては等容度の向上による燃焼効率の向上、Soot再燃焼時間の増加による排気エミッション低減等が挙げられる。
しかしながら、上述したように、第1アウトオリフィス流量を増加させた高応答(高矩形度)のインジェクタでは、第1アウトオリフィス流量の拡大に伴って、例えばパイロット噴射等の微小噴射量時の噴射量指令値(ピエゾ通電時間)が極端に短くなり、ピエゾ充電期間(通常100μsec程度)以下となる可能性がある(図9参照)。なお、ピエゾ充電期間とは、ピエゾ素子積層体への電圧印加を開始してからピエゾ素子積層体に電荷が充電される(充電が完了する)までの期間である。
ピエゾ充電期間以下の噴射量指令値は、自身が開弁することで、圧力制御室から低圧室を介して燃料系の低圧側へ燃料を流出させて圧力制御室内の燃料圧力(ニードルの閉弁方向油圧力)を低下させる制御バルブの開弁挙動が不安定となる等の理由から、インジェクタへの噴射量指令値としての使用が困難であった。このため、上記のピエゾ通電時間の極端な短縮は、制御可能な噴射量下限値(最小噴射量:従来)が増加することを意味する(図9参照)。
そこで、上記の問題を解決するという目的で、所望の閉弁タイミングで第1インオリフィス孔38を閉弁可能な第1圧力従動弁の第1バルブ11、所望の閉弁タイミングで第2インオリフィス孔43を閉弁可能な第2圧力従動弁の第2バルブ13をインジェクタ内部に設けることで、制御弁の開弁時における中間室(24〜27)内の燃料圧力(中間室圧)の降下速度を抑制する。これに伴って、圧力制御室22内の燃料圧力(制御室圧)の降下速度を抑制することで、例えばパイロット噴射等の微小噴射量時の噴射量指令値(ピエゾ通電時間)の極端な減少を抑制(=最小噴射可能量の低減)するように構成した。
すなわち、本実施例のインジェクタは、ピエゾ素子積層体を主体とするアクチュエータ4の伸張変位を利用して制御弁の制御バルブ3を開弁駆動し、圧力制御室22から低圧室44等を介して燃料系の低圧側(例えば燃料タンク等)へ燃料を流出させて圧力制御室22内の燃料圧力を低下させてニードル1を開弁動作させ、エンジンの気筒内へ燃料を噴射するピエゾインジェクタである。このインジェクタでは、制御弁の開弁時に、第1アウトオリフィス孔48を介して圧力制御室22と連通し、且つ第2アウトオリフィス孔49を介して低圧室44と連通する中間室(24〜27)に対して、圧力制御室22を迂回して、高圧力の燃料を導入する第3高圧導入流路の閉弁(遮断)を機械的に行うのではなく、上下圧力差に対応して閉弁動作を行う第2圧力従動弁の第2バルブ13を用いている。
これによって、増設した第2インオリフィス孔43を含む第3高圧導入流路を閉弁(遮断)させる流路開閉弁を閉弁駆動するアクチュエータに対する、ECUからの要求出力(開弁指令)の増加はなく、第2インオリフィス孔43の閉弁タイミングは、第2バルブ13の上下受圧面積と中間室(24〜27)内の燃料圧力(中間室圧)とで決まるため、制御バルブ3の開弁動作およびアクチュエータ4の伸張変位に依らず任意のタイミングに設定可能であるという作用効果を具備する。このため、第1バルブ11の閉弁タイミング(T1)に対して、第2バルブ13の閉弁タイミング(T2)を遅延させることで、制御弁の開弁時における中間室(24〜27)内の燃料圧力(中間室圧)の抑制降下を抑制することができる。
すなわち、アクチュエータ4のピエゾ素子積層体への電圧の印加によって制御弁の開弁初期においては、第1圧力従動弁の第1バルブ11が閉弁状態であり、中間室(24〜27)内の燃料圧力(中間室圧)は低下する。このとき、第2圧力従動弁の第2バルブ13が開弁状態を維持しているので、第2インオリフィス孔43を介して、中間室(24〜27)内へ高圧力の燃料が導入されるため、中間室圧の低下が抑制される。その後、中間室圧が所定値(P2)以下に低下すると、第2バルブ13が上下圧力差による油圧力によって閉弁し、中間室(24〜27)内への高圧力の燃料が遮断される。
これによって、制御弁の開弁時における中間室(24〜27)内の燃料圧力の降下(低下)速度を抑制できるので、圧力制御室22内の燃料圧力の降下(低下)速度も遅くなる。そして、圧力制御室22内の燃料圧力、つまりニードル1に対して閉弁方向に作用する燃料圧力がニードル開弁圧まで低下すると、ニードル1が開弁(リフト)してエンジンの気筒の燃焼室内への燃料噴射が開始される。このように、ニードル開弁応答を遅延させることができるので、アクチュエータ4としてピエゾ素子積層体を用いたインジェクタの高応答化(=第1アウトオリフィス流量増加)時における例えばパイロット噴射等の微小噴射量制御性を向上させることができる。
また、仮にニードル開弁速度を向上するという目的で、制御弁の開弁時における燃料排出流量を増加した場合であっても、例えばパイロット噴射等の微小噴射量時の噴射量指令値の極端な減少を抑制できるので、制御弁の開弁挙動を安定化させることができ、最小噴射可能量を低減させることができる。
したがって、ニードル1の開弁動作が安定し、エンジンの気筒の燃焼室内へ噴射される燃料の噴射量のばらつきを抑えることができる。
また、第1インオリフィス流量を第2インオリフィス流量よりも多くなるように設定することで、制御弁の閉弁時(アクチュエータ4への通電OFF時)に第2バルブ13が速やかに開弁し、中間室(24〜27)内の燃料圧力の上昇速度を速くできるので、ニードル1の閉弁応答性を高めることができる。
したがって、ニードル1の開弁応答を遅延し、且つニードル1の閉弁応答を早期化することができるので、応答性と噴射量制御性とを両立することができる。
[実施例2の構成]
図10は、本発明の燃料噴射弁を適用したピエゾインジェクタ(実施例2)を示したものである。
ここで、実施例1と同じ符号は、同一の構成または機能を示すものであって、説明を省略する。
本実施例のインジェクタ内部に組み込まれる第2圧力従動弁は、オリフィスプレート17の第2バルブストッパ75によってフルリフト量が規定される第2バルブ13、第2バルブ13をその開弁方向に付勢する第2サポートスプリング14、およびオリフィスプレート17との間に第2バルブ13を往復摺動可能に収容すると共に、第2バルブ13との間に第2サポートスプリング14を収容するバルブボディ16等を有している。
第2バルブ13は、バルブボディ16のバルブ収容室を、第2弁室23と中間室(中間制御室26)とに区画している。
第2バルブ13は、第2バルブストッパ75に当接可能な円板状の座部(径大部、開弁側受圧部)、この座部のエッジラインから先端へ向かって外径が徐々に縮径する円錐台(凸曲面)形状の弁部81、この弁部81の最小外径部と同一の外径の摺動部(小径軸部)82、およびこの小径軸部82のエッジラインから先端へ向かって外径が徐々に縮径する円錐台形状の先端頭部(閉弁側受圧部)等を有している。
また、第2バルブ13の弁部81と小径軸部82との間には、外周方向に延びる周方向溝を有する括れ軸部83が設けられている。この括れ軸部83には、第2弁室23と中間室(中間制御室26)とを連通する第2インオリフィス孔43および傾斜流路孔84が形成されている。この第2インオリフィス孔43は、第2バルブ13の括れ部の外周面と傾斜流路孔84の孔壁面とを連通するように半径方向に沿うように形成されている。
第2サポートスプリング14は、第2バルブ13に対して、第2バルブ13の開弁方向に付勢する付勢力(Fsp2)を発生する第2弾性部材である。この第2サポートスプリング14は、バルブボディ16の中間制御室26の天井面(スプリング座部)と第2バルブ13の先端頭部の先端面(スプリング座部)との間で板厚方向(軸線方向)に圧縮された状態で配置された板状の皿ばね(複数の屈曲部を有する金属板スプリング)である。
バルブボディ16には、実施例1と同様に、第2バルブ13の座部および弁部81との間に第2弁室23を形成する収容孔、および第2バルブ13の小径軸部82を往復摺動可能に支持するガイド孔等が設けられている。このバルブボディ16には、第2バルブ13の弁部が着座可能な第2バルブシート面92が形成されている。
以上のように、本実施例のインジェクタにおいては、皿ばねよりなる第2サポートスプリング14を中間制御室26内に配置することにより、中間制御室26の容積を実施例1よりも縮小化することが可能なため、ニードル1および第2バルブ13の閉弁応答性の向上が可能であり、同一噴射量指令値での噴射量を実施例よりもさらに低減することができる。また、その他、本実施例のインジェクタにおいては、実施例1と同様な効果を奏する。
参考例の構成]
図11は、参考例の燃料噴射弁を適用したピエゾインジェクタを示したものである。
ここで、実施例1及び2と同じ符号は、同一の構成または機能を示すものであって、説明を省略する。
参考例のインジェクタ内部に組み込まれる第2圧力従動弁は、括れ筒部73に第2インオリフィス孔43が貫通形成されていない点を除けば実施例1と同様な構造の第2バルブ13、この第2バルブ13をその開弁方向に付勢する第2サポートスプリング14、第2バルブ13をその閉弁方向に付勢する第3サポートスプリング15、第2バルブ13を往復摺動可能に収容すると共に、第2バルブ13との間に第2サポートスプリング14を収容するバルブボディ16、および第2バルブ13との間に第3サポートスプリング15を収容するオリフィスプレート17等を有している。
第2バルブ13は、オリフィスプレート17の第2バルブストッパ75に当接可能な座部(径大部)、バルブボディ16の第2バルブシート面92に着座可能な弁部71、バルブボディ16のガイド孔に往復摺動可能に支持される小径筒部(摺動部)72、周方向溝が形成された括れ筒部73、およびバルブボディ16の天井面との間に第2サポートスプリング14を収容する収容凹部74等を有している。
小径筒部72には、バルブボディ16のガイド孔との間に、第2弁室23と中間制御室26とを連通する連通路(小径筒部72の軸線方向に延びる連通溝等)を形成する外周面が設けられている。なお、連通溝は、少なくとも1本以上形成されていれば良い。また、連通溝は、バルブボディ16のバルブ収容室の内周壁面に形成されていても良い。
第2サポートスプリング14は、第2バルブ13に対して、第2バルブ13の開弁方向に付勢する付勢力(Fsp2)を発生する第2弾性部材である。
第3サポートスプリング15は、第2バルブ13に対して、第2バルブ13の閉弁方向に付勢する付勢力(Fsp3)を発生する第3弾性部材である。この第3サポートスプリング15は、第2バルブ13の座部の図示下端面(スプリング座部)とオリフィスプレート17のスプリング収容室77の底面(スプリング座部)との間で軸線方向に圧縮された状態で配置された圧縮コイルスプリングである。
バルブボディ16の内周壁面には、第2バルブ13の小径筒部72の摺動部分(連通溝を除く部分)を往復移動可能に支持するガイド孔が設けられている。
オリフィスプレート17は、第2バルブストッパ75の端面で開口し、この開口側から奥側の底面まで真っ直ぐに延びるスプリング収容室77を有している。また、オリフィスプレート17には、高圧連通路41と連通する高圧流路孔42、およびこの高圧流路孔42と第2弁室23とを連通する第2インオリフィス孔43が形成されている。
第2弁室23は、高圧力の燃料が流通し、且つ第2インオリフィス孔43と中間室(中間制御室26、27)とを連通する連通路を構成している。また、第2インオリフィス孔43は、オリフィスプレート17の端面で開口し、且つ高圧流路孔42と第2弁室23との間に設けられている。
第2バルブ13は、第2弁室23と中間室(中間制御室26、27)とを区画するようにバルブ収容室内に配されている。
参考例のインジェクタでは、第2圧力従動弁の第2バルブ13をバルブボディ16のガイド孔と摺動構造とすることで、第3高圧導入流路(23、41〜43)と中間室(中間制御室26、27)とを分離している。
一方、参考例のインジェクタにおいては、図11に示したように、第2インオリフィス孔43を高圧流路孔42と第2弁室23との間(第3高圧導入流路の途中)に設置することで、第3高圧導入流路(23、41〜43)と中間室(中間制御室26、27)とを分離している。
但し、参考例のインジェクタの場合には、第2弁室23と中間室(中間制御室26、27)との燃料圧力がほぼ等しくなるため、第2バルブ13をその閉弁方向に付勢する第3サポートスプリング15を設置する必要があることに加えて、中間室(中間制御室26、27)の容積が増加するため、実施例2と比べて油圧応答性(中間室圧の上昇速度や低下速度)が低下する。
[変形例]
本実施例では、第1圧力従動弁の第1バルブ11を上下圧力差に応じて開閉動作するように構成しているが、第1圧力従動弁の第1バルブ11を開閉駆動する第1アクチュエータを設け、所定の開弁タイミングまたは閉弁タイミングで、エンジン制御ユニット(電子制御装置:ECU)からの開弁指令または閉弁指令により第1アクチュエータの駆動力によって第1圧力従動弁の第1バルブ11を開閉駆動しても良い。
本実施例では、第2圧力従動弁の第2バルブ13を上下圧力差に応じて開閉動作するように構成しているが、第2圧力従動弁の第2バルブ13を開閉駆動する第2アクチュエータを設け、所定の開弁タイミングまたは閉弁タイミングで、エンジン制御ユニット(電子制御装置:ECU)からの開弁指令または閉弁指令により第2アクチュエータの駆動力によって第2圧力従動弁の第2バルブ13を開閉駆動しても良い。
本実施例では、圧力制御室内の燃料圧力を増減制御する制御弁の弁体である制御バルブ3を開弁駆動するアクチュエータ4として電荷の充放電により軸線方向に伸縮するピエゾ積層体を想定しているが、制御弁の弁体を開弁駆動または閉弁駆動するアクチュエータとして、ソレノイドアクチュエータ、電動アクチュエータ、磁歪素子等を駆動源とするアクチュエータを使用しても良い。
本実施例では、制御弁を、ボールバルブよりなる制御バルブ3、この制御バルブ3と一体移動可能なバルブピストン53、および制御バルブ3をその閉弁方向に付勢するバルブスプリング54等によって構成しているが、制御弁を、バルブピストン53およびバルブスプリング54のみによって構成しても良い。
本実施例では、インジェクタの外部から高圧力の燃料を燃料溜まり室19を介して噴孔20へ供給する第1高圧導入流路(インジェクタ内部流路)から分岐した第3高圧導入流路(23、41〜43)を経て中間室(24〜27)内へ高圧力の燃料を導入しているが、インジェクタの外部から直接高圧力の燃料を第3高圧導入流路に導入した後に、インジェクタ内部の第2インオリフィス孔43を介して中間室(24〜27)内へ高圧力の燃料を導入するようにしても良い。
また、インジェクタの外部で高圧力の燃料を作り、この高圧力の燃料をインジェクタの外部から直接第3高圧導入流路に導入し、この第3高圧導入流路から第2インオリフィス孔43の有無に関わらず、中間室(24〜27)内へ高圧力の燃料を導入するようにしても良い。
本実施例では、本発明の燃料噴射弁として、ノズルボディ2に往復移動可能に収容されるニードル1によって複数の噴孔20を開閉するタイプの燃料噴射弁(インジェクタ)を採用しているが、本発明の燃料噴射弁として、ノズルボディ2に往復移動可能に収容される2つの第1、第2ニードルによって複数の第1、第2噴孔を段階的に開閉する可変噴孔タイプの燃料噴射弁(インジェクタ)を採用しても良い。
また、第2圧力従動弁を複数配置しても良い。
また、内燃機関(エンジン)として、ディーゼルエンジンの代わりに、ガソリンエンジンを用いても良い。
また、燃料タンク内に貯留された燃料をサプライポンプを介して内燃機関の燃料噴射弁(インジェクタ)へ供給する燃料供給経路の低圧部とは、サプライポンプの加圧室よりも上流側の燃料供給経路のことを指す。
また、本発明の燃料噴射弁を、例えばガソリンエンジン等の内燃機関(エンジン)の気筒内または気筒に連通する吸気ポート内に燃料を噴射するフューエルインジェクタに適用しても良い。
1 ニードル
3 制御バルブ(制御弁の弁体)
11 第1バルブ(第1圧力従動弁の弁体)
13 第2バルブ(第2圧力従動弁の弁体)
20 噴孔
21 第1弁室
22 圧力制御室
23 第2弁室
26 中間制御室
27 中間制御室

Claims (3)

  1. (a)内燃機関の気筒に燃料噴射を行う噴孔(20)を開閉するニードル(1)と、
    (b)このニードル(1)に対して閉弁方向に作用する燃料圧力を蓄える制御室(22)と、
    (c)自身が開弁することで、前記制御室(22)から低圧室(44)を介して燃料系の低圧側へ燃料を流出させて前記制御室(22)内の燃料圧力を低下させる制御弁(3、53、54)と
    を備え、
    前記制御弁(3、53、54)を開閉動作させることで、前記制御室(22)内の燃料圧力を調整して、前記ニードル(1)の開閉動作を制御する燃料噴射弁において、
    前記燃料噴射弁は、前記制御室(22)と前記低圧室(44)との間に設けられて、前記制御室(22)内の燃料圧力と前記低圧室(44)内の燃料圧力との中間圧力の燃料が流通する中間室(24〜27)と、
    前記制御室(22)を迂回して、前記中間室(24〜27)へ高圧力の燃料を導入する導入流路(23、31〜33、41〜43)と、
    この導入流路(23、31〜33、41〜43)を開閉する流路開閉弁(13〜16)とを備え
    前記流路開閉弁は、前記中間室(24〜27)内の燃料圧力に対応して、前記導入流路(23、31〜33、41〜43)を開閉する弁体(13)、およびこの弁体(13)に対して開弁方向または閉弁方向に付勢する弾性部材(15、16)を有し、
    前記導入流路は、高圧力の燃料が流通する高圧燃料流路(23、31〜33、41、42)、およびこの高圧燃料流路(23、31〜33、41、42)と前記中間室(24〜27)とを連通するインオリフィス(43)を有し、
    前記弁体(13)は、前記高圧燃料流路(23、31〜33、41、42)と前記中間室(24〜27)とを区画しており、
    前記インオリフィス(43)は、前記弁体(13)に設けられていることを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射弁において、
    前記燃料噴射弁は、自身の変位を利用して前記制御弁(3、53、54)を開閉駆動するアクチュエータ(4)を備えたことを特徴とする燃料噴射弁。
  3. 請求項2に記載の燃料噴射弁において、
    前記アクチュエータ(4)は、電荷の充放電により伸縮するピエゾ素子積層体を有していることを特徴とする燃料噴射弁
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