以下、添付図面を参照して、本願の開示するシミュレーション装置およびシミュレーションシステムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係るシミュレーションシステムについて説明する。図1は、第1の実施形態に係るシミュレーションシステム2の全体構成図である。本実施形態に係るシミュレーションシステム2は、シミュレーション装置20と、操作装置31とを備える。
かかるシミュレーションシステム2は、使用する場合には、シミュレーション装置20に設けられた端子21を介してワイヤーハーネス40によって車両や航空機などに搭載される制御装置4に接続される。そして、シミュレーションシステム2は、例えば、エンジンやブレーキなどの仮想環境を作り出し、制御装置4に組み込まれた制御プログラムの動作確認および性能評価を行う。
シミュレーション装置20は、LANケーブル22によって操作装置31に接続される。操作装置31は、ユーザから各種操作を受け付ける入力デバイスであり、オペレーションシステムを備える。かかる操作装置31は、CPU(Central Processing unit)ボード上に備えた記憶部に、制御装置4によって制御される制御対象を模擬するシミュレーション用のアプリケーションソフトなどが格納される。
また、操作装置31は、液晶ディスプレイなどで構成された表示部30を備える。かかる表示部30は、GUI(Graphical User Interface)などの表示画面30a上にシミュレーション結果などを表示する。
また、シミュレーション装置20内には、端子21を介して制御装置4と電気信号の入出力動作を行う機能を有する回路が設けられる。かかる回路は、例えば、アナログ信号を処理する回路、デジタル信号を処理する回路、およびパルス信号を処理する回路などである。この例では、各回路に信号線を介して12個の端子21がそれぞれ接続される。
これら回路は、例えば、アナログ信号を処理する回路であればアナログ信号を処理するインターフェイスボード(以下、I/Fボードと記載する。)上に搭載される。かかるI/Fボードは、インターフェイスラック(以下、I/Fラックと記載する。)に収納される。
ここで、図1に示すシミュレーションシステム2を用いて、シミュレーション装置20内の回路の動作異常が疑われる場合に行われる、回路の動作診断の一般的な手法について説明する。なお、以下の説明では、動作診断の対象となる回路を対象回路と称する。
かかる手法は、まず、各端子21に接続されているワイヤーハーネス40を全て取り外す。そして、動作異常が疑われる対象回路に接続される12個の端子21のうち一つの端子21に図示しない診断装置につながるケーブルを取り付けて、かかる端子21を介して診断装置による対象回路の動作診断を行う。かかる端子21を介した対象回路の動作診断が終わると、端子21に接続されているケーブルを取り外して、その隣の端子21にケーブルを接続する。そして、同様にして端子21を介した診断装置による対象回路の動作診断を行う。
このように、端子21毎に診断装置による対象回路の動作診断を行い、対象回路に接続される12個の端子21のなかで対象回路の動作異常にかかわる端子21の特定を行っている。
上記の手法では、端子21毎に診断装置につながるケーブルの取り付けおよび取り外しを手作業で行っているため、対象回路の動作診断を行うのに手間がかかる。
そこで、本実施形態に係るシミュレーションシステム2は、シミュレーション装置20内に対象回路の動作診断を行う診断回路を備えることで、対象回路の動作診断の時間を短縮させた。次に、図2を用いて、本実施形態に係るシミュレーションシステム2について具体的に説明する。
図2は、第1の実施形態に係るシミュレーションシステム2の構成の一例を示すブロック図である。なお、図2では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
つまり、図2に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。たとえば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
図2に示すように、本実施形態に係るシミュレーションシステム2は、シミュレーション装置20と、操作装置31とを備える。シミュレーション装置20は、複数のI/Fボード50を格納するI/Fラック5と、CPUボード60を格納するCPUラック6とを備える。
I/Fボード50は、対象回路56と、診断回路57と、切替回路58と、制御部51とを備える。CPUボード60は、全体制御部70を備える。
対象回路56は、複数の端子21、この例では12個の端子21を介して制御装置4と電気信号の入出力動作を行う機能を有する回路である。具体的には、対象回路56は、制御対象を模擬して制御対象の状態を示す電気信号を制御装置4へ出力する出力動作や、制御装置4から制御装置4の状態を示す電気信号が入力される入力動作を行う。
また、対象回路56は、端子21につながる信号線9が端子21毎にそれぞれ接続される。かかる対象回路56としては、具体的には、アナログ入力回路、アナログ出力回路、デジタル入力回路、デジタル出力回路、パルス入力回路、およびパルス出力回路などである。
診断回路57は、対象回路56の動作診断を行う回路である。かかる診断回路57は、対象回路56の動作診断を行うために、対象回路56が有する機能とは反対の機能を有する。具体的には、例えば、対象回路56がアナログ入力回路である場合、診断回路57としてはアナログ出力回路が用いられる。
つまり、診断回路57は、対象回路56が制御装置4と電気信号の入出力動作を行う回路であるため、制御装置4に設けられる対象回路と電気信号の入出力動作を行う回路の疑似回路である。かかる診断回路57は、切替回路58と一つの端子Tで電気的に接続される。
切替回路58は、対象回路56に接続された複数の端子21、この例では12個の端子21と診断回路57の信号出力側に接続された一つの端子Tとの間の電気的な接続を端子21毎に切り替える回路である。具体的には、切替回路58は、対象回路56と12個の端子21との間をそれぞれ接続する12個の信号線9に、切替回路58の対象回路56側から延びる12個の信号線8がそれぞれ接続されており、信号線8を切り替えることによって端子21が切り替わる。
上記した対象回路56、診断回路57、および切替回路58は、一つのモジュール10として構成される。例えば、対象回路56がアナログ入力回路である場合には、アナログ入力回路モジュールとして構成される。
制御部51は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)、マイクロコントローラなどの演算装置で構成される。かかる制御部51は、対象回路56、診断回路57、および切替回路58などを制御する機能を備える。具体的には、制御部51は、指示部52と、計測部53と、診断部54とを備える。
指示部52は、対象回路56が入力回路である場合、診断回路57に対してあらかじめ定められた診断回路57の種類に応じた疑似的な指示信号を、信号線71を介して出力する。また、指示部52は、対象回路56が出力回路である場合、対象回路56に対してあらかじめ定められた対象回路56の種類に応じた疑似的な指示信号を、信号線7を介して出力する。また、指示部52は、切替回路58に対して、対象回路56に接続された複数の端子21、この例では12個の端子21と診断回路57に接続された一つの端子Tとの電気的な接続を端子21毎に切り替える切替信号を、信号線72を介して出力する。
計測部53は、対象回路56が入力回路である場合、端子21毎に対象回路56から信号線7を介して出力される出力信号を計測する。また、計測部53は、対象回路56が出力回路である場合、端子毎21に診断回路57から信号線71を介して出力される出力信号を計測する。
診断部54は、対象回路56が入力回路である場合、診断回路57の出力信号を対象回路56に入力するよう指示する指示信号と、対象回路56の出力信号を計測して得られた計測信号とを比較し、比較結果に基づいて対象回路56の動作診断を行う。また、診断部54は、対象回路56が出力回路である場合、対象回路56の出力信号を診断回路57に入力するよう指示する指示信号と、診断回路57の出力信号を計測して得られた計測信号とを比較し、比較結果に基づいて対象回路56の動作診断を行う。
全体制御部70は、例えば、CPU、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。また、全体制御部70は、記憶部71を備える。記憶部71は、例えば、RAM(Random Access Memory)などからなり、対象回路56の動作診断に関する情報を記憶する。
また、全体制御部70は、記憶部71に記憶されている対象回路56の動作診断に関する情報に基づいて対象回路56の動作の診断結果をファイル形式で作成する。なお、ファイル形式としては、例えば、CSV形式などを用いることができる。
操作装置31は、電圧設定部32と、モード切替部33と、表示制御部34とを備える。
電圧設定部32は、対象回路56の動作診断を行う際に、対象回路56あるいは診断回路57から出力信号が出力されるよう指示する指示信号を設定する。具体的には、電圧設定部32は、指示信号に対応した電圧値を対象回路56の種類に応じて所定の電圧値に設定する。
モード切替部33は、ユーザの入力操作に応じて、制御装置4の動作を模擬する模擬モードと対象回路56の動作を診断する診断モードとのうちいずれか一方のモードに切り替える。
表示制御部34は、対象回路56の診断結果を端子21毎に表示部30に表示させる。なお、この表示制御部34による表示部30の制御の詳細については、図10などを参照して後述する。
ここで、図3A〜図5Bを参照して、I/Fボード50に搭載されるモジュール10の種類について説明する。図3A〜図5Bは、第1の実施形態に係るI/Fボード50の構成の一例を示すブロック図である。なお、図3A〜図5Bに示す構成要素のうち、図2に示す構成要素と同様の機能を有する構成要素については、図2に示す符号と同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
図3Aは、アナログ入力モジュール10aがI/Fボード50に搭載されている場合を示している。かかる場合、対象回路56はアナログ入力回路56aであり、診断回路57はアナログ出力回路57aである。また、アナログ入力回路56aに信号線9を介して接続される端子21は、アナログ入力端子21aである。
上記したI/Fボード50では、対象回路56であるアナログ入力回路56aの動作診断を行う場合、制御部51の指示部52は、診断回路57であるアナログ出力回路57aに対してあらかじめ定められた疑似的なアナログ信号である指示信号を、信号線71を介して出力する。
アナログ出力回路57aは、指示信号に応じて指示信号と同じ電圧値である出力信号を出力する。かかる出力信号は、切替回路58、信号線8、および信号線9を介してアナログ入力回路56aに入力される。
また、制御部51の指示部52は、切替回路58に対して切替信号を、信号線72を介して出力することで、アナログ出力回路57aとアナログ入力回路56aとの電気的な接続をアナログ入力端子21a毎に切り替える。
また、制御部51の計測部53は、アナログ出力回路57aの出力信号が入力されたアナログ入力回路56aから信号線7を介して出力される出力信号をアナログ入力端子21a毎に測定する。
図3Bは、アナログ出力モジュール10bがI/Fボード50に搭載されている場合を示している。かかる場合、対象回路56はアナログ出力回路56bであり、診断回路57はアナログ入力回路57bである。また、アナログ出力回路56bに信号線9を介して接続される端子21は、アナログ出力端子21bである。
上記したI/Fボード50では、対象回路56であるアナログ出力回路56bの動作診断を行う場合、制御部51の指示部52は、アナログ出力回路56bに対してあらかじめ定められた疑似的なアナログ信号である指示信号を、信号線7を介して出力する。
アナログ出力回路56bは、指示信号に応じて固有の電圧値である出力信号を出力する。かかる出力信号は、信号線9、信号線8、および切替回路58を介してアナログ入力回路57bに入力される。
また、制御部51の指示部52は、切替回路58に対して切替信号を、信号線72を介して出力することで、アナログ出力回路56bとアナログ入力回路57bとの電気的な接続をアナログ出力端子21b毎に切り替える。
また、制御部51の計測部53は、アナログ出力回路56bの出力信号が入力されたアナログ入力回路57bから信号線71を介して出力される出力信号をアナログ出力端子21b毎に測定する。
図4Aは、デジタル入力モジュール10cがI/Fボード50に搭載されている場合を示している。かかる場合、対象回路56はデジタル入力回路56cであり、診断回路57はデジタル出力回路57cである。また、デジタル入力回路56cに信号線9を介して接続される端子21は、デジタル入力端子21cである。
上記したI/Fボード50では、対象回路56であるデジタル入力回路56cの動作診断を行う場合、制御部51の指示部52は、診断回路57であるデジタル出力回路57cに対してあらかじめ定められた疑似的なオン/オフのデジタル信号である指示信号を、信号線71を介して出力する。
デジタル出力回路57cは、指示信号に応じて指示信号と同じ電圧値であるオン/オフの出力信号を出力する。かかる出力信号は、切替回路58、信号線8、および信号線9を介してデジタル入力回路56cに入力される。
また、制御部51の指示部52は、切替回路58に対して切替信号を、信号線72を介して出力することで、デジタル出力回路57cとデジタル入力回路56cとの電気的な接続をデジタル入力端子21c毎に切り替える。
また、制御部51の計測部53は、デジタル出力回路57cの出力信号が入力されたデジタル入力回路56cから信号線7を介して出力される出力信号をデジタル入力端子21c毎に測定する。
図4Bは、デジタル出力モジュール10dがI/Fボード50に搭載されている場合を示している。かかる場合、対象回路56はデジタル出力回路56dであり、診断回路57はデジタル入力回路57dである。また、デジタル出力回路56dに信号線9を介して接続される端子21は、デジタル出力端子21dである。
上記したI/Fボード50では、対象回路56であるデジタル出力回路56dの動作診断を行う場合、制御部51の指示部52は、デジタル出力回路56dに対してあらかじめ定められた疑似的なオン/オフのデジタル信号である指示信号を、信号線7を介して出力する。
デジタル出力回路56dは、指示信号に応じて固有の電圧値であるオン/オフの出力信号を出力する。かかる出力信号は、信号線9、信号線8、および切替回路58を介してデジタル入力回路57dに入力される。
また、制御部51の指示部52は、切替回路58に対して切替信号を、信号線72を介して出力することで、デジタル出力回路56dとデジタル入力回路57dとの電気的な接続をデジタル出力端子21d毎に切り替える。
また、制御部51の計測部53は、デジタル出力回路56dの出力信号が入力されたデジタル入力回路57dから信号線71を介して出力される出力信号をデジタル出力端子21d毎に測定する。
図5Aは、パルス入力モジュール10eがI/Fボード50に搭載されている場合を示している。かかる場合、対象回路56はパルス入力回路56eであり、診断回路57はパルス出力回路57eである。また、パルス入力回路56eに信号線9を介して接続される端子21は、パルス入力端子21eである。
上記したI/Fボード50では、対象回路56であるパルス入力回路56eの動作診断を行う場合、制御部51の指示部52は、診断回路57であるパルス出力回路57eに対してあらかじめ定められた疑似的なパルス信号である指示信号を、信号線71を介して出力する。
パルス出力回路57eは、指示信号に応じて指示信号と同じパルス幅である出力信号を出力する。かかる出力信号は、切替回路58、信号線8、および信号線9を介してパルス入力回路56eに入力される。
また、制御部51の指示部52は、切替回路58に対して切替信号を、信号線72を介して出力することで、パルス出力回路57eとパルス入力回路56eとの電気的な接続をパルス入力端子21e毎に切り替える。
また、制御部51の計測部53は、パルス出力回路57eの出力信号が入力されたパルス入力回路56eから信号線7を介して出力される出力信号をパルス入力端子21e毎に測定する。
図5Bは、パルス出力モジュール10fがI/Fボード50に搭載されている場合を示している。かかる場合、対象回路56はパルス出力回路56fであり、診断回路57はパルス入力回路57fである。また、パルス出力回路56fに信号線9を介して接続される端子21は、パルス出力端子21fである。
上記したI/Fボード50では、対象回路56であるパルス出力回路56fの動作診断を行う場合、制御部51の指示部52は、パルス出力回路56fに対してあらかじめ定められた疑似的なパルス信号である指示信号を、信号線7を介して出力する。
パルス出力回路56fは、指示信号に応じて固有のパルス幅をもった出力信号を出力する。かかる出力信号は、信号線9、信号線8、および切替回路58を介してパルス入力回路57fに入力される。
また、制御部51の指示部52は、切替回路58に対して切替信号を、信号線72を介して出力することで、パルス出力回路56fとパルス入力回路57fとの電気的な接続をパルス出力端子21f毎に切り替える。
また、制御部51の計測部53は、パルス出力回路56fの出力信号が入力されたパルス入力回路57fから信号線71を介して出力される出力信号をパルス出力端子21f毎に測定する。
次に、図6を参照して、本実施形態に係るシミュレーションシステム2が対象回路56a〜56fの動作診断について実行する処理手順について説明する。図6は、第1の実施形態に係るシミュレーションシステム2が対象回路56a〜56fの動作診断について実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、シミュレーションシステム2は、まず、ユーザの入力操作に応じて、制御装置4の動作を模擬する模擬モードから対象回路56の動作を診断する診断モードへ切り替えたあと、電圧設定部32が指示信号に対応した電圧値を対象回路56の種類に応じて所定の電圧値に設定する(ステップS101)。なお、対象回路56の種類の判定は、ユーザが種類を入力することで行うか、あるいは対象回路56に種類を示す情報をあらかじめ付与しておき、制御部51が対象回路56より種類を示す情報を入手することにより行えばよい。また、模擬モードから診断モードへ切り替える際は、あらかじめシミュレーションシステム2から制御装置4を取り外していることが望ましい。
続いて、シミュレーションシステム2のシミュレーション装置20は、制御部51の指示部52が、対象回路56が入力回路である場合に診断回路57に対して設定した指示信号を出力し、対象回路56が出力回路である場合に対象回路56に対して設定した指示信号を出力する(ステップS102)。
そして、シミュレーション装置20は、制御部51の計測部53が、対象回路56が入力回路である場合に診断回路57からの出力信号を計測し、対象回路56が出力回路である場合に対象回路56からの出力信号を計測する(ステップS103)。
そのあと、シミュレーション装置20は、制御部51の診断部54が、設定した指示信号と、対象回路56あるいは診断回路57からの出力信号を計測して得られた計測信号とを比較し、比較結果に基づいて対象回路56の動作診断を行う(ステップS104)。
ここで、図7A〜図9を参照して、アナログ系、デジタル系、およびパルス系の対象回路56における具体的な動作診断の方法について説明する。なお、以下の説明では、対象回路56に接続される全12個の端子21を、第1端子21〜第12端子21と称する。
まず、図7A〜図7Cを参照して、アナログ系の対象回路56、つまり、アナログ入力回路56aおよびアナログ出力回路56bにおける具体的な動作診断の方法について説明する。図7A〜図7Cは、第1の実施形態に係るアナログ系の対象回路56の動作診断の方法を説明する説明図である。
図7Aに示すように、設定した指示信号の電圧値が5.0Vで、第1端子21a,21bにおけるアナログ入力回路56a,57bからの出力信号を計測して得られた計測信号の計測値が5.0Vであるとする。
かかる場合、制御部51の診断部54は、設定電圧値と計測値とが同じ値であることから、第1端子21a,21bにおけるアナログ入力回路56aおよびアナログ出力回路56bが正常な動作をしているとして、「OK」の診断結果を出す。
一方、設定した指示信号の電圧値が5.0Vで、第1端子21a,21bにおけるアナログ入力回路56a,57bからの出力信号を計測して得られた計測信号の計測値が5.3Vであるとする。
かかる場合、制御部51の診断部54は、設定電圧値と計測値とが同じ値でないことから、第1端子21a,21bにおけるアナログ入力回路56aおよびアナログ出力回路56bが異常な動作をしているとして、「NG」の診断結果を出す。
上記の診断方法では、制御部51の指示部52が、アナログ出力回路57a,56bに対して指示信号を1回出力しているが、同じ指示信号を複数回出力してもよい。そして、制御部51の診断部54が、指示信号の出力毎に、設定した指示信号と、アナログ入力回路56a,57bからの出力信号を計測してもよい。
具体的には、図7Bに示すように、設定した指示信号の電圧値が5.0Vで、1回目の計測値が5.0Vで、2回目の計測値が4.9Vで、3回目の計測値が5.1Vで、4回目の計測値が5.0Vで、5回目の計測値が5.0Vとする。
かかる場合、制御部51の診断部54は、設定電圧値と5回行った計測の平均値とが同じ値であることから、第1端子21a,21bにおけるアナログ入力回路56aおよびアナログ出力回路56bが正常な動作をしているとして、「OK」の診断結果を出す。
一方、設定した指示信号の電圧値が5.0Vで、1回目の計測値が5.0Vで、2回目の計測値が5.1Vで、3回目の計測値が5.1Vで、4回目の計測値が5.1Vで、5回目の計測値が5.2Vとする。
かかる場合、制御部51の診断部54は、設定電圧値と5回行った計測の平均値とが同じ値でないことから、第1端子21a,21bにおけるアナログ入力回路56aおよびアナログ出力回路56bが異常な動作をしているとして、「NG」の診断結果を出す。
なお、上記の診断方法では、制御部51の診断部54が設定電圧値と平均値とが同じ値である場合に、「OK」の診断結果を出しているが、平均値が所定の範囲にある場合に、「OK」の診断結果を出してもよい。
また、上記の診断方法では、制御部51の診断部54が、一つの設定電圧値で診断を行っているが、電圧設定部32が指示信号の電圧値を変更することで、異なる電圧値の指示信号を複数設定し、各設定電圧値において診断を行ってもよい。
具体的には、図7Cに示すように、1回目の設定電圧値が5.0Vで、かかる設定電圧値に対するアナログ入力回路56a,57bからの出力信号を計測して得られた計測信号の計測値が5.0Vであるとする。また、2回目の設定電圧値が10.0Vで、かかる設定電圧値に対するアナログ入力回路56a,57bからの出力信号を計測して得られた計測信号の計測値が10.0Vであるとする。
かかる場合、制御部51の診断部54は、1回目の設定電圧値とかかる設定電圧値に対する計測値とが同じ値であり、2回目の設定電圧値とかかる設定電圧値に対する計測値とが同じ値である。制御部51の診断部54は、1回目と2回目の診断結果が「OK」であることから、第1端子21a,21bにおけるアナログ入力回路56aおよびアナログ出力回路56bが正常な動作をしているとして、「OK」の診断結果を出す。
一方、1回目の設定電圧値が5.0Vで、かかる設定電圧値に対するアナログ入力回路56a,57bからの出力信号を計測して得られた計測信号の計測値が5.0Vであるとする。また、2回目の設定電圧値が10.0Vで、かかる設定電圧値に対するアナログ入力回路56a,57bからの出力信号を計測して得られた計測信号の計測値が5.0Vであるとする。
かかる場合、制御部51の診断部54は、1回目の設定電圧値とかかる設定電圧値に対する測定値とが同じ値であり、2回目の設定電圧値とかかる設定電圧値に対する測定値とが異なる値である。制御部51の診断部54は、1回目の診断結果が「OK」であり、2回目の診断結果が「NG」であることから、第1端子21a,21bにおけるアナログ入力回路56aおよびアナログ出力回路56bが異常な動作をしているとして、「NG」の診断結果を出す。
次に、図8A〜図8Bを参照して、デジタル系の対象回路56、つまり、デジタル入力回路56cおよびデジタル出力回路56dにおける具体的な動作診断の方法について説明する。図8A〜図8Bは、第1の実施形態に係るデジタル系の対象回路56の動作診断の方法を説明する説明図である。
図8Aに示すように、L信号(オフ信号)における設定した指示信号の電圧値が0Vで、L信号の上限閾値が1.0Vで、H信号(オン信号)における設定した指示信号の電圧値が5.0Vで、H信号の下限閾値が4.0Vで、H信号の上限閾値が6.0Vであるとする。つまり、図8Bに示すように、L信号とH信号とが交互に切り替わっているデジタル波形Dにおいて、L信号の上限閾値R1=1.0V、H信号の下限閾値R2=4.0V、およびH信号の上限閾値R3=6.0Vを設定したとする。
そして、デジタル入力回路56c,57dからの出力信号を計測して得られた計測信号の計測値において、設定電圧値が0VにおけるL信号の計測値が0.5Vで、設定電圧値が5.0VにおけるH信号の計測値が4.8Vであるとする。
かかる場合、L信号の計測値が0V〜1.0V(上限閾値R1)の範囲内にあり、H信号の計測値が4.0V(下限閾値R2)〜6.0V(上限閾値R3)の範囲内にある。
したがって、制御部51の診断部54は、L信号の計測値およびH信号の計測値が所定の範囲内にそれぞれあることから、第1端子21c,21dにおけるデジタル入力回路56cおよびデジタル出力回路56dが正常な動作をしているとして、「OK」の診断結果を出す。
一方、デジタル入力回路56c,57dからの出力信号を計測して得られた計測信号の計測値において、設定電圧値が0VにおけるL信号の計測値が3.0Vで、設定電圧値が5.0VにおけるH信号の計測値が5.0Vであるとする。
かかる場合、L信号の計測値が0V〜1.0V(上限閾値R1)の範囲内になく、H信号の計測値が4.0V(下限閾値R2)〜6.0V(上限閾値R3)の範囲内にある。
したがって、制御部51の診断部54は、L信号の計測値が所定の範囲内にないことから、第1端子21c,21dにおけるデジタル入力回路56cおよびデジタル出力回路56dが異常な動作をしているとして、「NG」の診断結果を出す。
なお、制御部51の診断部54は、L信号の上限閾値R1、H信号の下限閾値R2、およびH信号の上限閾値R3を自由に設定可能である。これにより、制御部51の診断部54は、対象回路56であるデジタル入力回路56cおよびデジタル出力回路56dに対して、高い精度で動作診断を行うことができる。
また、デジタル系の対象回路56の動作診断においても、アナログ系の対象回路56の動作診断と同じように、電圧設定部32が指示信号の電圧値を変更することで、異なる電圧値の指示信号を複数設定し、各設定電圧値において診断を行ってもよい。
かかる場合、制御部51の診断部54は、各設定電圧値に応じてL信号の上限閾値R1、H信号の下限閾値R2、およびH信号の上限閾値R3を設定する。
次に、図9を参照して、パルス系の対象回路56、つまり、パルス入力回路56eおよびパルス出力回路56fにおける具体的な動作診断の方法について説明する。図9は、第1の実施形態に係るパルス系の対象回路56の動作診断の方法を説明する説明図である。
図9に示すように、設定した指示信号の電圧値が5.0Vで、かかる設定電圧値に対するパルス幅が100μsで、パルス入力回路56e,57fからの出力信号を計測して得られた計測信号の計測値に対するパルス幅が100μsであるとする。
かかる場合、制御部51の診断部54は、設定電圧値のパルス幅と計測値のパルス幅とが同じ値であることから、第1端子21e,21fにおけるパルス入力回路56eおよびパルス出力回路56fが正常な動作をしているとして、「OK」の診断結果を出す。
一方、設定した指示信号の電圧値が5.0Vで、かかる設定電圧値に対するパルス幅が100μsで、パルス入力回路56e,57fからの出力信号を計測して得られた計測信号の計測値に対するパルス幅が120μsであるとする。
かかる場合、制御部51の診断部54は、設定電圧値のパルス幅と計測値のパルス幅とが同じ値でないことから、第1端子21e,21fにおけるパルス入力回路56eおよびパルス出力回路56fが異常な動作をしているとして、「NG」の診断結果を出す。
また、パルス系の対象回路56の動作診断においても、アナログ系の対象回路56の動作診断と同じように、電圧設定部32が指示信号のパルス幅を変更することで、異なるパルス幅の指示信号を複数設定し、各パルス幅において診断を行ってもよい。
そして、シミュレーション装置20は、記憶部71が、上述した第1端子21におけるアナログ系、デジタル系、およびパルス系の対象回路56の診断結果を記憶する。
図6の説明に戻り、シミュレーション装置20は、第1端子21における対象回路56の動作診断が終わったあと、かかる対象回路56に接続される12個全ての端子21に対して対象回路56の動作診断を行ったか否かを判定する(ステップS105)。
ここで、全ての端子21に対して対象回路56の動作診断を行っていない場合(ステップS105,No)、シミュレーション装置20は、制御部51の指示部52が、切替回路58に対して切替信号を出力して隣の第2端子21に切り替える(ステップS106)。そして、シミュレーション装置20は、ステップS102からの処理を繰り返す。
また、全ての端子21に対して対象回路56の動作診断を行った場合(ステップS105,Yes)、シミュレーション装置20は、記憶部71に記憶されている情報に基づいて端子21毎の対象回路56の診断結果を作成する(ステップS107)。
そして、シミュレーションシステム2は、操作装置31の表示制御部34が、対象回路56に接続される12個全ての端子21における診断結果(図10参照)をGUIなどの表示画面30a上に表示(ステップS108)させることで、処理を終了する。
なお、図10は、第1の実施形態に係る診断結果の表示例を示す図である。図10に示すように、この例では、対象回路56であるアナログ入力回路56aに接続される12個の端子21aのなかで第12端子21aが、アナログ入力回路56aの動作異常にかかわる端子21aであることが分かる。
そのあと、シミュレーションシステム2は、ユーザの入力操作に応じて、診断モードから対象回路56の応答性を確認する確認モードに切り替える。シミュレーションシステム2は、確認モードを実行することにより、動作診断を行って一定時間経過後の対象回路56の状態を確認する。
上述した第1の実施形態に係るシミュレーション装置20は、対象回路56と、診断回路57と、制御部51とを備える。制御部51は、対象回路56が入力回路である場合、診断回路57の出力信号を対象回路56に入力するよう指示する指示信号と、対象回路56の出力信号を計測して得られた計測信号とを比較し、比較結果に基づいて対象回路56の動作診断を行う。
また、制御部51は、対象回路56が出力回路である場合、対象回路56の出力信号を診断回路57に入力するよう指示する指示信号と、診断回路57の出力信号を計測して得られた計測信号とを比較し、比較結果に基づいて対象回路56の動作診断を行う。
これにより、第1の実施形態に係るシミュレーション装置20は、対象回路56の動作診断を短時間で行うことができる。
また、上述した第1の実施形態に係るシミュレーション装置20は、対象回路56と診断回路57との電気的な接続を端子21毎に切り替える切替回路58を備える。そして、制御部51は、切替回路58によって端子21毎に対象回路56と診断回路57との電気的な接続を切り替えることで、切り替えられた端子21に対応する対象回路56の動作診断を行う。
これにより、第1の実施形態に係るシミュレーション装置20は、対象回路56の動作異常にかかわる端子21を短時間で特定することができる。
また、上述した第1の実施形態に係るシミュレーション装置20は、診断回路57が、切替回路58と一つの端子Tで電気的に接続される。
これにより、上述した第1の実施形態に係るシミュレーション装置20は、診断回路57に複数の端子を設けることなく、切替回路58に接続される専用の一つの端子Tで、対象回路56の動作診断を端子21毎に行うことができる。
また、上述した第1の実施形態に係るシミュレーション装置20は、制御部51が、電圧設定部32によって複数設定された指示信号を、設定された指示信号毎に対象回路56あるいは診断回路57に出力する。
これにより、上述した第1の実施形態に係るシミュレーション装置20は、対象回路56の動作診断の精度を高めることができる。
また、上述した第1の実施形態に係るシミュレーション装置20は、対象回路56、診断回路57、切替回路58、および制御部51が同一のI/Fボード50上に設けられる。
これにより、上述した第1の実施形態に係るシミュレーション装置20は、I/Fボード50上で、対象回路56の動作診断を行うことができる。
また、上述した第1の実施形態に係るシミュレーションシステム2は、表示制御部34が、対象回路56の診断結果を端子21毎に表示部30に表示させる。
これにより、上述した第1の実施形態に係るシミュレーションシステム2は、端子21毎の対象回路56の診断結果をユーザに提供することができる。ユーザは、かかる診断結果に基づいて、対象回路56の動作異常にかかわる端子21を確認することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るシミュレーション装置について説明する。かかるシミュレーション装置は、I/Fボード上における各モジュールの搭載位置、および搭載位置における対象回路の種類を特定する特定部を備える。
図11を参照して、第2の実施形態に係るシミュレーション装置について説明する。なお、第2の実施形態に係るシミュレーション装置は、I/Fボード上にアナログ系回路、デジタル系回路、およびパルス系回路のモジュールが複数搭載されている他は、第1の実施形態に係るシミュレーション装置20と同じ構成である。
図11は、第2の実施形態に係るI/Fボード50の構成の一例を示すブロック図である。なお、図11に示す構成要素のうち、図3A〜図5Bに示す構成要素と同様の機能を有する構成要素については、図3A〜図5Bに示す符号と同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
図11に示すように、第2の実施形態に係るシミュレーション装置20は、I/Fボード50上に、制御部51と、この例では6つのモジュール10a〜10fとを備える。
制御部51は、I/Fボード50上における各モジュール10a〜10fの搭載位置、および搭載位置における対象回路56a〜56fの種類を特定する特定部80を備える。なお、指示部52、計測部53、および診断部54は図示を省略している。
具体的に説明すると、特定部80は、各モジュール10a〜10fに対して、特定信号を出力する。そして、各モジュール10a〜10fは、特定信号に応じて、各モジュール10a〜10f自身が保有する位置信号および対象回路56a〜56fの種別信号を特定部80に出力する。
つまり、特定部80は、各モジュール10a〜10fから出力される位置信号および種別信号に基づいて、I/Fボード50上における各モジュール10a〜10fの搭載位置A〜F、および搭載位置A〜Fにおける対象回路56a〜56fの種類を特定する。
第2の実施形態に係るシミュレーションシステム2は、操作装置31の表示制御部34が、各モジュール10a〜10fの搭載位置A〜F、搭載位置A〜Fにおける対象回路56a〜56fの種類、および各対象回路56a〜56fに接続される12個全ての端子21a〜21fにおける診断結果を表示画面30a上に表示させる(図12A参照)。
なお、図12Aは、第2の実施形態に係る診断結果の表示例を示す図(その1)である。図12Aに示すように、例えば、搭載位置Aにあるアナログ入力回路56aにおいて、第2端子21aおよび第3端子21aが、アナログ入力回路56aの動作異常にかかわる端子21aであることが分かる。
また、第2の実施形態に係るシミュレーションシステム2は、操作装置31の表示制御部34が、図12Aに示す診断結果に基づいて、対象回路の動作異常にかかわる端子および異常端子を有する対象回路の搭載位置を選択的に表示画面30a上に表示するようにしてもよい(図12B参照)。
なお、図12Bは、第2の実施形態に係る診断結果の表示例を示す図(その2)である。図12Bに示すように、例えば、搭載位置Fにあるパルス出力回路56fにおいて、第11端子21fおよび第12端子21fが、パルス出力回路56fの動作異常にかかわる端子21fであることが分かる。
上述した第2の実施形態に係るシミュレーション装置20は、モジュール10a〜10fから出力される電気信号に基づいて、I/Fボード50上における各モジュール10a〜10fの搭載位置A〜F、および搭載位置A〜Fにおける対象回路56a〜56fの種類を特定する特定部80を備える。
これにより、上述した第2の実施形態に係るシミュレーション装置20は、I/Fボード50上で、対象回路56a〜56fの搭載位置A〜Fおよび搭載位置A〜Fにおける対象回路56a〜56fの種類を特定することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るシミュレーション装置について説明する。かかるシミュレーション装置は、I/Fボード上に、制御部、複数のCAN通信回路、および開閉回路を備える。
図13を参照して、第3の実施形態に係るシミュレーション装置について説明する。なお、第3の実施形態に係るシミュレーション装置は、I/Fボード上に、複数のCAN通信回路、および開閉回路が搭載されている他は、第1の実施形態に係るシミュレーション装置20と同じ構成である。
図13は、第3の実施形態に係るI/Fボード50の構成の一例を示すブロック図である。なお、図13に示す構成要素のうち、図3A〜図5Bに示す構成要素と同様の機能を有する構成要素については、図3A〜図5Bに示す符号と同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
図13に示すように、第3の実施形態に係るシミュレーション装置20は、I/Fボード50上に、第1CAN通信回路90aと、第2CAN通信回路90bと、開閉回路92と、制御部51とを備える。制御部51は、指示部52と、計測部53と、診断部54とを備える。
第1CAN通信回路90aは、信号線91aを介して通信端子21gに接続される。第2CAN通信回路90bは、信号線91bを介して通信端子21gに接続される。
開閉回路92は信号線91aと信号線91bとの間に接続され、第1CAN通信回路90aと第2CAN通信回路90bとの間の電路を開閉する。
指示部52は、開閉回路92に対して、第1CAN通信回路90aと第2CAN通信回路90bとの間の電路を開閉する開閉信号を、信号線93を介して出力する。また、指示部52は、第1CAN通信回路90aおよび第2CAN通信回路90bのうちいずれか一方を診断回路として指定する指定信号を、信号線94a,94bを介して出力する。
上記したI/Fボード50では、第1CAN通信回路90aの動作診断を行う場合、指示部52は、第2CAN通信回路90bに対して指定信号を、信号線94bを介して出力するとともに、あらかじめ定められた擬似的な通信データである指示信号を、信号線94bを介して出力する。また、指示部52は、開閉回路92に対して電路を閉じる信号を、信号線93を介して出力する。
第2CAN通信回路90bは、指示信号に応じて固有の通信データである出力信号を出力する。かかる出力信号は、信号線91b、開閉回路92、および信号線91aを介して第1CAN通信回路90aに入力される。
計測部53は、第2CAN通信回路90bの出力信号が入力された第1CAN通信回路90aから信号線94aを介して出力される通信データである出力信号を測定する。
また、上記したI/Fボード50では、第2CAN通信回路90bの動作診断を行う場合、指示部52は、第1CAN通信回路90aに対して指定信号を、信号線94aを介して出力するとともに、あらかじめ定められた疑似的な通信データである指示信号を、信号線94aを介して出力する。また、指示部52は、開閉回路92に対して電路を閉じる信号を、信号線93を介して出力する。
第1CAN通信回路90aは、指示信号に応じて固有の通信データである出力信号を出力する。かかる出力信号は、信号線91a、開閉回路92、および信号線91bを介して第2CAN通信回路90bに入力される。
計測部53は、第1CAN通信回路90aの出力信号が入力された第2CAN通信回路90bから信号線94bを介して出力される通信データである出力信号を測定する。
ここで、図14を参照して、CAN通信回路90a,90bにおける具体的な動作診断の方法について説明する。図14は、第3の実施形態に係るCAN通信回路90a,90bの動作診断の方法を説明する説明図である。
図14に示すように、設定した指示信号におけるデータ信号が「AAAA」で、診断回路として第2CAN通信回路90bを指定し、対象回路である第1CAN通信回路90aからの出力信号を計測して得られた計測信号におけるデータ信号が「AAAA」であるとする。また、第1CAN通信回路90aの動作診断が終わったあと、診断回路として第1CAN通信回路90aを指定し、対象回路である第2CAN通信回路90bからの出力信号を計測して得られた計測信号におけるデータ信号が「AAAA」であるとする。
かかる場合、第1CAN通信回路90aおよび第2CAN通信回路90bにおいて、設定データと計測データとが同じ値である。したがって、制御部51の診断部54は、通信端子21gにおける第1CAN通信回路90aおよび第2CAN通信回路90bは、正常な動作をしているとして、「OK」の診断結果を出す。
一方、設定した指示信号におけるデータ信号が「AAAA」で、診断回路として第2CAN通信回路90bを指定し、対象回路である第1CAN通信回路90aからの出力信号を計測して得られた計測信号におけるデータ信号が「AAAB」であるとする。また、第1CAN通信回路90aの動作診断が終わったあと、診断回路として第1CAN通信回路90aを指定し、対象回路である第2CAN通信回路90bからの出力信号を計測して得られた計測信号におけるデータ信号が「AAAB」であるとする。
かかる場合、第1CAN通信回路90aおよび第2CAN通信回路90bにおいて、設定データと計測データとが異なる値である。したがって、制御部51の診断部54は、通信端子21gにおける第1CAN通信回路90aおよび第2CAN通信回路90bは、異常な動作をしているとして、「NG」の診断結果を出す。
上述した第3の実施形態に係るシミュレーション装置20は、制御部51が、第2CAN通信回路90bを診断回路として第1CAN通信回路90aの動作診断を行ったあと、第1CAN通信回路90aを診断回路として第2CAN通信回路90bの動作診断を行う。
これにより、上述した第3の実施形態に係るシミュレーション装置20は、CAN通信回路90a,90bのように同じ通信機能を有する回路同士で各CAN通信回路90a,90bの動作診断を行うことができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均など物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。