JP6284073B2 - 回転体ミラーを用いたx線集光システムの光学設計方法及びx線集光システム - Google Patents

回転体ミラーを用いたx線集光システムの光学設計方法及びx線集光システム Download PDF

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Description

本発明は、回転体ミラーを用いたX線集光システムの光学設計方法及びX線集光システムに係わり、更に詳しくは大開口の回転体ミラーを用いて発散角の小さなX線の全フラックスを集光することが可能なX線集光システムの光学設計方法及びX線集光システムに関するものである。
波長数ナノメートルからオングストロームのX線は、物質の構造、電子、化学結合状態を観察することができ、更に、透過性も優れていることから物質の内部を観察することができる。X線は物質科学、生命科学など多くの先端科学技術分野で不可欠な光である。このため顕微鏡の高分解能化に不可欠なX線集光素子の研究開発が精力的に行われている。代表的なX線集光素子として、ゾーンプレートとKBミラーがあげられる。軟X線集光に関しては、ゾーンプレートを用いた分解能10nmの軟X線顕微鏡が報告されている(非特許文献1)。また、硬X線集光の分野では、KBミラーによる7nm集光が報告されている(非特許文献2)。しかし、ゾーンプレート、KBミラーともに集光性能は理論的限界に到達しており、さらなる集光性能の向上のために、新たな集光素子が求められている。
X線集光光学素子として主に使用されているゾーンプレートは集光効率が低いうえに、回折現象を利用するため単一の波長にしか用いることができない。一方、反射型の回転体ミラーは大開口、高集光効率、色収差なしの理想的な集光素子である。例えば、特許文献1には、回転放物面又は回転楕円面の反射面を備えたX線集光素子が開示され、特許文献2には、回転楕円面と回転双曲面の一方の焦点を共通にした回転体ミラー(ウォルターミラー)をX線集光光学系に用いるX線装置が開示されている。現在、種々の独創的製造技術を盛り込んだ、回転体ミラー高精度作製プロセスを開発中であり、高精度回転体ミラーの実現は目前に迫りつつある(非特許文献3)。
高精度な回転体ミラー(回転放物ミラー、回転楕円ミラー、Wolterミラーなど)が完成した場合、その導入先として大きな効果が得られると期待されるのが次世代放射光施設である。発振されるX線は、高輝度で完全コヒーレントであるため、集光素子の性能を最大限に引き出すことができる。また、回転体ミラーで集光することにより、X線の性能を最大限に利用することができる。しかし、放射光の発散角は非常に小さく、大開口である回転楕円ミラー1の全面に照射することができないため、一部分のみの照明による集光しかできない(図1参照)。そこで、前置ミラー2によりビームを広げた後、回転楕円ミラー1の全面を利用して集光をすることが考えられるが、回転楕円ミラー1の中央部分を伝播する光を集光することができず、集光強度が低下してしまう(図2参照)。このため、大開口数を活かしたナノ集光と全フラックスを活用することは回転体ミラーの場合難しいとされてきた。
特開2001−343511号公報 特開2012−242165号公報
W. Chao, et al. Optics Express Vol. 20, No. 9, (2012) H. Mimura et al. Nature Physics, Vol.6 pp. 122-125, (2010) T. Saito Proc. Of SPIE Vol. 8501
放射光あるいはX線自由電子レーザを用いたX線顕微鏡の空間分解能向上のためにはX線ナノビームが、検出限界・検出時間の向上のためには強いビーム強度が求められる。そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、回転体ミラーが輪帯開口であることによる唯一の欠点を解消するために、発散角が非常に小さいX線を回転体ミラーの全面に照射しつつ、全フラックスを集光することが可能な新たなX線集光システムの光学設計方法を提供し、その光学設計方法で設計したX線集光システムを提供することにある。
本発明は、前述の課題解決のために、X線集光システムの集光点となる焦点を下流側に有し、上流側の焦点を光軸からずれた位置に設定した楕円又は楕円と双曲線を組み合わせた一部からなる一次元プロファイルを、光軸周りに1回転して形成される反射面を備えた回転体ミラーの形状を決定するステップと、前記上流側の焦点の軌跡が作る集光リングを通り、前記集光点からX線源へ逆光線追跡を行って光路長一定の拘束条件のもとで、X線源から照射されたX線ビームを反射して広げ前記集光リングに集光する機能を備えたリング集光ミラーの反射面の形状を、逆光線追跡の光線の屈曲点の座標の集合として決定するステップと、よりなることを特徴とする回転体ミラーを用いたX線集光システムの光学設計方法を構成した(請求項1)。
ここで、楕円の一方の焦点をX線集光システムの集光点とし、該集光点を通る光軸に対して楕円の長軸を前記集光点を中心として同一平面上で所定角度回転させ、その一部からなる一次元プロファイルを、光軸周りに1回転して形成される反射面を備えた回転体ミラーの形状を決定するステップを有し、楕円の他方の焦点の軌跡が前記集光リングとなるのである(請求項2)。
あるいは、楕円の一方の焦点と双曲線の一方の焦点を一致させ、双曲線の他方の焦点を前記集光点とし、前記楕円と双曲線が交差する部分を含む該楕円と双曲線の曲線形状を、前記集光点を通る光軸に対して前記集光点を中心として同一平面上で所定角度回転させて前記一次元プロファイルとし、該一次元プロファイルを、光軸周りに1回転して形成される反射面を備えた回転体ミラーの形状を決定するステップを有し、楕円の他方の焦点の軌跡が前記集光リングとなるのである(請求項3)。
また、本発明は、斜入射光学系を構成する回転体ミラーとリング集光ミラーとからなり、X線源から照射されたX線ビームを前記リング集光ミラーで広げてリング状に集光した後、反射面の光軸方向の半径プロファイルが、前記リング集光ミラーで集光した集光リング上の点とシステムの集光点を二つの焦点とする楕円形状あるいは楕円と双曲線を組み合わせた形状を持つ回転体ミラーの楕円形状部分の全面で反射して、X線ビームの全フラックスを集光点に集光することを特徴とする回転体ミラーを用いたX線集光システムを提供する(請求項4)。
ここで、前記リング集光ミラーは、X線源から照射されたX線ビームの光軸に対応する中心部分に特異点を有する非球面ミラーである(請求項5)。
以上にしてなる請求項1に係る発明の回転体ミラーを用いたX線集光システムの光学設計方法及びX線集光システムは、リング集光ミラーと回転体ミラーによる2段集光光学系とし、回転体ミラーが輪帯開口である欠点を解消し、放射光用あるいはXFEL用の集光光学系として理論的に最も理想的である。発散角の小さい放射光の全フラックスをナノ領域に集光できるのは、本X線集光システム以外に発表されていない。世界中でXFELなどの次世代放射光光源の開発が盛んとなっており、また、技術的にも実現可能であることから、今後、放射光の集光システムとして広く普及していくと期待している。
集光ミラーに回転体ミラーを用いることで、色収差なし、大開口、長焦点距離、小型、ナノ集光という利点が得られる。リング集光ミラーで、X線源からの発散角の非常に小さなX線ビームをリング状に集光し、その後放射状に広げていくため、回転体ミラーの中央部分を通る無駄なビームが存在せず、原理的に100%のビーム利用効率を達成できる。そして、前半でリング状に集光し(集光リングを形成)、後半で焦点に集光する二段集光のため、高い縮小倍率を得ることができる。そのため、光源サイズの幾何学的集光サイズを回折限界以下に抑える設計が容易となり、回折限界集光が達成できる。次世代放射光ビームラインに本集光システムを導入することにより、理想的なX線高強度ナノビームが実現され、X線光学分野にブレークスルーをもたらすものである。
回転楕円ミラーを用いた発散角の小さなX線を集光する従来の光学系を示す説明図である。 前置ミラーによりビームを広げた後、回転楕円ミラーの全面を利用して集光する従来の光学系を示す説明図である。 本発明のX線集光システムを示す説明図である。 回転体ミラーの反射面を決定する楕円を示す説明図である。 楕円の長軸を光軸に対して角度φだけ回転させた状態の説明図である。 回転体ミラーの形状を決定した後、リング集光ミラーの形状を決定する手順を示す説明図である。 集光リングと光線の座標を定める媒介変数を示す説明図である。 各ミラーのX線の入射角の関係を示す説明図である。 本発明の光学設計方法によって決定した回転体ミラーの例を示す斜視図である。 同じく回転体ミラーの光軸方向に対する半径プロファイルを示すグラフである。 本発明の光学設計方法によって決定したリング集光ミラーの例を示す斜視図である。 同じくリング集光ミラーの光軸方向の断面プロファイルを示すグラフである。 光学シミュレーションにより本発明のX線集光システムの評価を行うための説明図である。 光線追跡によって求めたリング集光面とその下流側1mと2mの位置での光線分布を示すグラフである。 同じく焦点面での光線分布を示すグラフである。 波動光学シミュレーションにより求めた二次元集光プロファイルを示すグラフである。
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1及び図2は回転楕円ミラーを用いた従来のX線集光光学系を示し、図3は本発明のリング集光ミラーと回転体ミラーを組み合わせたX線集光システムを示している。本実施形態では、主に発散角の非常に小さな軟X線を集光する場合について説明するが、本発明は硬X線にも適用できる技術的思想である。
一般的に、X線は、エネルギーによって、軟X線(約0.1〜2keV)、X線(約2〜20keV)、硬X線(約20〜100keV)と分類されるが、利用分野によってその分類はまちまちであり、X線の一部を軟X線に入れたり硬X線に入れる場合もある。また、X線を広い概念で使用し、その下位概念に軟X線と硬X線があるとする場合もある。本実施形態で言及した波長2〜4nmのX線はいずれにしても軟X線の領域である。
図1及び図2には、回転楕円ミラー1を用いた軟X線集光光学系の欠点を示している。図中、OはX線源、Fは焦点を示している。先ず、図1は発散角の非常に小さな軟X線を回転楕円ミラー1で直接集光する場合を示している。この場合、回転楕円ミラー1の反射面の一部のみしかX線で照射できたないので、回転楕円ミラー1の性能を十分に発揮することができない。図2は、焦点距離の短い前置ミラー2によりビームを広げた後、回転楕円ミラー1の全面を利用して集光する場合を示している。この場合、回転楕円ミラー1の性質上、中央部に侵入するビームは原理的に利用することができず、結果として利用できるビーム強度は低下する。更に、焦点面に直接入射するX線を遮るためにビームストップを使用する必要があり、光学系の複雑化にもつながる。ビーム強度を高めることは、分析技術において検出限界の向上や検出時間の短縮などにつながる重要なファクターの一つと言える。X線源からのビームがミラー全面に照射され、全フラックスを利用できる光学系が理想的である。
本発明は、理想的な集光素子である回転体ミラーを、さらに発展させたX線集光システムを提案する。本発明のX線集光システムの概略図を図3に示す。本X線集光システムは、回転体ミラー3とリング集光ミラー4の2枚の非球面斜入射集光ミラーから構成され、上流側リング集光ミラー4が、下流側に回転体ミラー3が配置されている。X線源Oから照射されたX線5は、リング集光ミラー4によりリング状に広げられ、回転体ミラー3の全面で反射し焦点Fに集光される。本X線集光システムは、以下に示すX線利用分析の性能向上のために必要な3つのメリットを備えている。
1.回転体ミラー
集光ミラーに回転体ミラーを用いることで、色収差なし、大開口、長焦点距離、小型、ナノ集光という利点が得られる。
2.リング集光ミラー
X線ビームをリング状に集光し、その後放射状に広げていくため、回転体ミラーの中央部分を通る無駄なビームが存在せず、理論的に100%のビーム利用効率を達成できる。
3.二段集光
前半でリング状に集光し(集光リングを形成)、後半で焦点に集光するため高い縮小倍率を得ることができる。そのため、光源サイズの幾何学的集光サイズを回折限界以下に抑えることが可能となり、回折限界集光が達成できる。
以上3つのメリットにより、X線集光システムとして、「高輝度」で「色収差なく」「回折限界集光」を達成することができる。
次に、図3〜図8に基づいて、光学的集光条件の下での複雑な幾何学的形成による回転体ミラー3とリング集光ミラー4の形状を決定するとともに、ミラー配置を決定する光学設計方法を説明する。本発明の回転体ミラーを用いたX線集光システムの光学設計方法は、「集光光学系では全光路長が一定になる必要がある」という要請を用いた、非常にシンプルな手法となっている。回転体ミラー3、リング集光ミラー4の順に設計手法を述べる。
<回転体ミラー>
回転体ミラー3のプロファイルは、一言で言えば「楕円を焦点に関して傾斜させたもの」である。このプロファイルを光軸OAに関して一回転させたものを回転体ミラー3の形状とする。先ず、図4に示す焦点間距離L、最大入射角θ1(楕円の接線と入射X線のなす角度)、ワーキングディスタンスfにより、楕円関数のパラメータa,bが以下の式で計算できる。
Figure 0006284073
Figure 0006284073
図5に示すように、光軸OAに対して焦点Fを中心にして楕円形場の長軸LAを角度φだけ回転させる。楕円形場のもう一方の焦点F1の回転軌跡が集光リングRである。楕円形場を回転させる前の楕円形状を(X,Y)、角度φ回転させた後の楕円形状を(x,y)とすると、
Figure 0006284073
となり、これをもとの楕円関数、
Figure 0006284073
に代入することで、回転体ミラー3のプロファイルである、
Figure 0006284073
を得る。このように、回転体ミラー3の半径プロファイルは光軸方向にx軸、半径方向にy軸をとることで解析的に表現できる。最後に、回転体ミラー3の全長を決定し、実際の回転体ミラー3の反射面形状が決定される。
<リング集光ミラー>
回転体ミラー3が設計できたため、焦点Fから逆方向に光線追跡を実行する。この際、「光源O‐光線上の点‐回転体ミラーでの反射点‐焦点F」を結ぶ光路長が一定となる光線上の点を、リング集光ミラー4の座標とする。この操作を、集光リングRの全周にわたって行い、光路長一定の元で得られた座標P(光線の屈曲点)の集合をリング集光ミラー4の反射面の形状とする(図6参照)。
集光リングRの直径をdとすると、図7のように角度t、θを定めることで、光線を表現する関数を(数6)で決定することができる(pを媒介変数とする、xrは集光リングのx座標)。ここで、光軸OAをx軸にとり、yz面に位置する集光リングR上の点のx軸周りの角度をtとし、この点を通りx軸に交差する光線5のyz面と交わる角度をθとしている。
Figure 0006284073
集光リングRの座標を(xr,yr,zr)、光源Oの座標を(xs,ys,zs)、光源Oから集光リングRまでの光路長をL’とする。さらに、リング集光ミラー4の反射面は前式(数6)の光線上に存在するので、リング集光ミラー4の反射面の座標を前式(数6)の(x,y,z)とすると、次の等式が成り立つ。
Figure 0006284073
(数7)の(x,y,z)に前述の式を代入し、更に、yr=(d/2)sint、zr=(d/2)costを代入して整理することで、媒介変数pの値を求めることができる。
Figure 0006284073
ここで、光源Oの座標(xs,ys,zs)は、図8の基準入射角θ2とパラメータL’を用いて光線追跡により計算することができる。ここで、基準入射角θ2は、リング集光ミラー4の反射面を平面とみなしたときの入射角である。図8において、回転体ミラー3の右端で反射した光線は全て、媒介変数t,θに依らず、光軸上の一点で交わる。また、最大入射角θ1は、楕円の接線と入射X線のなす角度である。また、光源Oのz座標zsは対称性から0とする。以上まとめると、リング集光ミラー4はθ,tの2つの媒介変数を用いることで、次式(数9)のように解析的に表現できる。なお、θの定義域は回転体ミラー3の形状により決定される。
Figure 0006284073
以上が、本X線集光システムの光学設計方法である。前述したパラメータを指定することで、各ミラー形状は一意に決定することができる。ビームラインの全長、ビームのフットプリント、得られる集光径、ミラー反射面の加工の難易度を考慮してパラメータを決定していくことになる。
以上のように形状を決定した前記回転体ミラー及びリング集光ミラーの反射面は、入射角度に合わせて反射率の高い材料が望ましい。更に、回転体ミラーとして、楕円と双曲線を組み合わせたWolter型の2回反射ミラーにすることで、集光経を1/4、つまり2nm程度にまで絞ることが理論的に可能である。1nmに迫る集光経はX線ミラーによってこそ達成しうるものである。
つまり、Wolter型の回転体ミラー3の形状を決定するステップは、楕円の一方の焦点と双曲線の一方の焦点を一致させ、双曲線の他方の焦点を前記集光点とし、前記楕円と双曲線が交差する部分を含む該楕円と双曲線の曲線形状を、前記集光点を通る光軸OAに対して前記集光点Fを中心として同一平面上で所定角度φだけ回転させて前記一次元プロファイルとし、該一次元プロファイルを、光軸周りに1回転して反射面を決定するステップである。ここで、楕円の他方の焦点の軌跡が前記集光リングとなる。楕円と双曲線の焦点を一致させることで、光路長一定と反射光がすべて双曲線の焦点(集光点)に集まるという性質を併せ持っている。
SPring-8の軟X線ビームラインBL17SU(理研・物理化学III)の50m程度のビームラインを想定し、具体的に設計したミラー形状を以下に示す。X線集光システムにおけるミラーの位置関係は、光源Oからリング集光ミラー4の中心までの距離が47m、リング集光ミラー4の中心から集光リングRまでの距離が1.1m、集光リングRから回転体ミラー3までの距離(焦点間距離L)が6mm、集光リングRから焦点Fまでの距離(焦点距離f)が0.02mである。その他のパラメータとともに表1に諸元を示している。ただし、焦点距離の実際の入力値は楕円を傾斜させたあとの焦点距離fが20mmになるように設定してある。
Figure 0006284073
図9及び図10に回転体ミラーの形状と光軸方向の半径プロファイルを示す。回転体ミラーの形状は、図9のように長さ40mm、大径部分の直径9.7mm、小径部分の直径5.6mmの細長い円筒構造をとる。
図11及び図12にリング集光ミラーの形状と光軸方向のプロファイルを示す。図11のように、細長く略フラットな形状をとる。図12のプロファイルを示すグラフより、リング集光ミラーはミラー中央部分で特異点を持つことがわかる。リング集光ミラーの反射面は、光軸方向の長さ74.2mm、横幅724μm(0.724mm)、中央部分の特異点での深さ10.1μmであり、殆ど細長い線状である。これは、X線源OからのX線の発散角が非常に小さいことによる。
それぞれのミラーでの最大入射角も軟X線を反射するのに十分な入射角となっている。尚、硬X線の場合には、各ミラーへの最大入射角を更に小さな角度に設定する。
最後に、前述の光学設計方法により設計したミラーの形状及び座標を元に、光学シミュレーションによりX線集光システムとしての評価を行った。本発明では、X線集光システムの要求条件として考慮したのは光路長一定という条件のみで光線の反射方向については考慮していない。そこで、X線集光システムの正しさを示すために、光線追跡を実行した。
図13に示すリング集光面RPでの光線分布が図14の中心のリング状の分布である。きれいにリング状に集光していることがわかる。また、リング集光面RPから1m,2m下流の面での光線分布も図14に併せて示している。これらの結果から、図14において内側の放射状の光線はリング集光面RPから1m、外側の放射状の光線はリング集光面RPから2mの面での光線分布である。これにより、リング状に集光した光線が放射状に広がっていき、回転体ミラーの中心付近には無駄なビームが存在しないことがわかる。また、図15は、焦点面FPにおける光線分布である。すべての光線は焦点面FPにおいて、一点(焦点)に集光していることがわかる。
次に、波動光学シミュレーションの結果を図16に示す。この結果から、波動光学的には波長2.4nmの軟X線を8nm(FWHM)のスポット経に集光可能であることが示された。また、サブピークも小さく、非常に品位の高いスポットが得られることが分かった。
以上2つの光学シミュレーションにより、本X線集光システムが、幾何学的にも波動光学的にもX線集光光学系として機能することが示された。幾何学的には、一切の近似を含むことなくシミュレーションを行い、すべての光を完全に無収差で集光することを示した。波動光学的にも、集光経は回折限界の理論値にほぼ一致していることを示した。これらのシミュレーション結果は、本発明の設計理論が正しいことを裏付けており、また、高輝度で色収差なく回折限界集光可能であることの根拠も同時に示したことになる。
分析の高精度化や新たなサイエンスの創出のために、放射光やX線の重要性はますます高まっている。本発明のX線集光システムは、X線自由電子レーザ(XFEL)を始めとした次世代放射光光源への導入が可能である。XFELは発散角が小さいフルコヒーレントなビームであり本X線集光システムはその集光に非常に適している。XFELと本X線集光システムを組み合わせることでこれまでになく高輝度なナノビームを形成できる。
高輝度ナノビームを利用することでさまざまなX線応用分析の向上が期待できる。例えば、サンプルにビームを照射した場合S/N比の大きいデータが取得できるため、結晶化されていないタンパク質でも構造解析が可能となり、製薬開発プロセスの短縮化が期待できる。また、超短パルスナノビームという特性を生かして、細胞のリアルタイム高分解能観察に応用することも可能である。更に、集光点が波長に依存しないため、X線吸収微細構造(XAFS)などの波長を変化させながら行う実験を効率的に行うことが可能である。
1 回転楕円ミラー
2 前置ミラー
3 回転体ミラー
4 リング集光ミラー
5 光線(X線)
O 光源(X線源)
F 焦点(集光点)
R 集光リング
OA 光軸
LA 長軸
f ワーキングディスタンス
L 焦点間距離

Claims (5)

  1. X線集光システムの集光点となる焦点を下流側に有し、上流側の焦点を光軸からずれた位置に設定した楕円又は楕円と双曲線を組み合わせた一部からなる一次元プロファイルを、光軸周りに1回転して形成される反射面を備えた回転体ミラーの形状を決定するステップと、
    前記上流側の焦点の軌跡が作る集光リングを通り、前記集光点からX線源へ逆光線追跡を行って光路長一定の拘束条件のもとで、X線源から照射されたX線ビームを反射して広げ前記集光リングに集光する機能を備えたリング集光ミラーの反射面の形状を、逆光線追跡の光線の屈曲点の座標の集合として決定するステップと、
    よりなることを特徴とする回転体ミラーを用いたX線集光システムの光学設計方法。
  2. 楕円の一方の焦点をX線集光システムの集光点とし、該集光点を通る光軸に対して楕円の長軸を前記集光点を中心として同一平面上で所定角度回転させ、その一部からなる一次元プロファイルを、光軸周りに1回転して形成される反射面を備えた回転体ミラーの形状を決定するステップを有し、楕円の他方の焦点の軌跡が前記集光リングとなる請求項1記載の回転体ミラーを用いたX線集光システムの光学設計方法。
  3. 楕円の一方の焦点と双曲線の一方の焦点を一致させ、双曲線の他方の焦点を前記集光点とし、前記楕円と双曲線が交差する部分を含む該楕円と双曲線の曲線形状を、前記集光点を通る光軸に対して前記集光点を中心として同一平面上で所定角度回転させて前記一次元プロファイルとし、該一次元プロファイルを、光軸周りに1回転して形成される反射面を備えた回転体ミラーの形状を決定するステップを有し、楕円の他方の焦点の軌跡が前記集光リングとなる請求項1記載の回転体ミラーを用いたX線集光システムの光学設計方法。
  4. 斜入射光学系を構成する回転体ミラーとリング集光ミラーとからなり、X線源から照射されたX線ビームを前記リング集光ミラーで広げてリング状に集光した後、反射面の光軸方向の半径プロファイルが、前記リング集光ミラーで集光した集光リング上の点とシステムの集光点を二つの焦点とする楕円形状あるいは楕円と双曲線を組み合わせた形状を持つ回転体ミラーの楕円形状部分の全面で反射して、X線ビームの全フラックスを集光点に集光することを特徴とする回転体ミラーを用いたX線集光システム。
  5. 前記リング集光ミラーは、X線源から照射されたX線ビームの光軸に対応する中心部分に特異点を有する非球面ミラーである請求項4記載の回転体ミラーを用いたX線集光システム。
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