JP6283245B2 - 化合物半導体基板の製造方法 - Google Patents
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Description
従来、有機金属気相成長法を用いたAlInSb薄膜作製にはAl原料としてトリターシャリーブチルアルミニウム(TTBAl)、In原料としてトリメチルインジウム(TMIn)、Sb原料としてトリエチルアンチモン(TESb)が用いられてきた(特許文献1参照)。
一方、炭素不純物濃度を抑制する手段として、Sb原料としてTESbに替えてトリスジメチルアミノアンチモン(TDMASb)を用いる方法が考えられる。しかし、TTBAlとTDMASbの組み合わせでは気相反応が生じ、基板到達前にTTBAlとTDMASbが反応してしまい、白濁したすなわち表面平坦性が悪いAlInSb層しか得られないことが報告されている(非特許文献1参照)。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、結晶性が良好で表面平坦に優れるAlInSb層を含む化合物半導体基板の製造方法を提供することを目的とする。
<化合物半導体基板の製造方法>
本実施形態の化合物半導体基板の製造方法は、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)を用いてIn原料とSb原料とを基板上に供給し、この基板上に第1の化合物半導体層を成長させる工程(第1の化合物半導体層成長工程)と、第1の化合物半導体層の基板温度を420℃以上525℃以下に保持した状態で、第1の化合物半導体層上に、In原料とSb原料に加えて、供給量を連続的および/または段階的に増やしながらAl原料を供給し、Al原料の供給量を増やした後でIn原料とSb原料およびAl原料の各供給量を一定にすることにより、第1の化合物半導体層上にAlxIn1−xSb層(0<x≦0.7)を形成する工程(第2の化合物半導体層成長工程)と、を備える。ここで、「連続的および/または段階的」、とは、「連続的および段階的の少なくとも一方」の意味であり、連続的、段階的、連続的および段階的、のいずれかの意味である。
In原料とSb原料とを供給し、第1の化合物半導体層を成長させる工程の後に、In原料とSb原料とAl原料とを所定の固定比率で供給する方法では、AlInSb層は白濁化し、また移動度も低くなってしまう。これに対し、本実施形態のようにIn原料とSb原料とに加えて、供給量を連続的および/または段階的に増やしながらAl原料を供給することで、得られるAlInSb層の白濁化を抑制し、かつ結晶性が良好なAlInSb層となる。
このメカニズムの詳細については定かではないものの、初期に大量のAlを供給することで気相中でのTDMASbとの反応が起こりやすくなり、基板上に粒子が堆積してしまう、その粒子を成長核にしてVolmer−Weberモードに移行することによるものと推察される。
本実施形態の化合物半導体基板の製造方法においては、In原料、Sb原料およびAl原料として、以下に示すものを使用する。
非特許文献1で報告されているようにトリターシャリーブチルアルミニウム(TTBAl)とトリスジメチルアミノアンチモン(TDMASb)の組み合わせではAlInSb層の白濁化が生じるため良好なAlInSb層は得られなかった。しかし、本実施形態では、上述した第1の化合物半導体層成長工程と第2の化合物半導体層成長工程とを備えることで、トリターシャリーブチルアルミニウム(TTBAl)とトリスジメチルアミノアンチモン(TDMASb)の組み合わせでも、AlInSb層の白濁化が抑制され、さらにAlInSb層における炭素不純物も抑制される。
また、導電型を制御するために、上述した原料に加えて、ジメチルジンク(DMZn)、ジエチルジンク(DEZn)、ジメチルテルル(DMTe)、ジエチルテルル(DETe)、テトラメチルスズ(TMSn)テトラエチルスズ(TESn)、等のドーパントを供給してもよい。
本実施形態の化合物半導体基板の製造方法において、基板は、有機金属気相成長法を用いてInSb層およびAlInSb層を成長可能なものであれば特に制限されない。InSbと同じ結晶対称性を持っていることが好ましく、さらに安価かつ大型の基板が入手しやすいことから例えばGaAsやInSbが好ましい材料として挙げられる。電子デバイス作製の観点から、基板は電気抵抗率が1×105Ωcm以上のGaAsであることがさらに好ましい。
図1(a)〜(c)は、本実施形態に係る化合物半導体基板の製造方法を工程順に示す断面模式図である。図1(a)に示すように、まず、基板1を用意する。次に、図1(b)に示すように、有機金属気相成長法を用いて、In原料とSb原料とを基板1上に供給し、この基板1上に第1の化合物半導体層11を成長させる(第1の化合物半導体層成長工程)。
次に、第1の化合物半導体層11の基板温度を420℃以上525℃以下に保持した状態で、第1の化合物半導体層11上に、In原料とSb原料に加えて、供給量を連続的および/または段階的に増やしながらAl原料を供給する。そして、Al原料の供給量を連続的および/または段階的に増やした後で、第1の化合物半導体層11上へのIn原料とSb原料およびAl原料の各供給量を一定にする。これにより、図1(c)に示すように、第1の化合物半導体層11上に第2の化合物半導体層21として、AlxIn1−xSb層(0<x≦0.7)を形成する(第2の化合物半導体層成長工程)。
図3(a)はAl原料の供給量を連続的に増やす場合を示している。Al原料の供給量を連続的に増やす場合は、その増加の割合は一定でもよいし、一定でなくてもよい。
図3(b)はAl原料の供給量を段階的に増やす場合を示している。Al原料の供給量を段階的に増やす場合は、図3(b)に示すように1段階で増やしてもよいし、多段階で増やしてもよい。
図3(c)はAl原料の供給量を連続的および段階的に増やす場合を示している。
本実施形態の化合物半導体基板は、基板と、基板上に形成された、InとSbを含みAlを含まない第1の化合物半導体層と、第1の化合物半導体層上に形成された、AlとInとSbを含む第2の化合物半導体層とを備える化合物半導体基板であって、第2の化合物半導体層に含まれる水素原子が1×1015cm−3以上5×1019cm−3以下であり、第2の化合物半導体層に含まれる炭素原子が1×1015cm−3以上5×1018cm−3以下であり、第2の化合物半導体層に含まれる窒素原子が1×1015cm−3以上5×1018cm−3以下である。
本実施形態の化合物半導体基板は、光デバイスへの応用適合性の観点から、第2の化合物半導体層のIII族元素の総量に対するAl組成比が0.1%以上70%以下であり、
第2の化合物半導体層のX線回折によるωスキャンロッキングカーブ測定から算出される半値幅FWHMが、下記の式(1)で算出される範囲であることが好ましい。
a×Al組成比[%]+{−90×ln(t)+730}[arcsec]
≦FWHM[arcsec]≦a×Al組成比[%]+{−90×ln(t)+830}[arcsec]
(a=23.5[arcsec/%]、t=第2の化合物半導体層膜厚(nm))
FWHM[arcsec]≦a×Al組成比[%]+{−90×ln(t)+830}[arcsec]
(a=23.5[arcsec/%]、t=第2の化合物半導体層膜厚(nm))
本実施形態の化合物半導体基板において、第2の化合物半導体層は、第1の化合物半導体層上に形成され、AlとInとSbを含む層である。具体的にはAlInSbおよび、AlInSbとGaおよびAsの混晶からなる層が挙げられる。また、n型導電層とするために、Te、Sn等の所望のドーパントを含んでいてもよく、p型導電層とするために、Zn、Si等の所望のドーパントを含んでいてもよい。
以下、本実施形態の化合物半導体基板およびその製造方法をより詳細に説明するために、具体的な実施例を参酌しながら説明する。
閃亜鉛鉱型である半絶縁GaAs基板を用意した。この半絶縁GaAs基板の電気抵抗率は8×107Ωcmである。この半絶縁GaAs基板上に、基板温度340℃においてInSbの原料としてトリメチルインジウム(TMIn)、トリスジメチルアミノアンチモン(TDMASb)を供給し、V/III比=5.0の条件で第1の化合物半導体層としてInSb層を形成した。V/III比は、III族元素供給量に対するV族元素の供給量の比のことである。このInSb層の形成には、MOCVD装置を用いた。このInSb層の膜厚は700nmであった。
AlInSb形成時のAlとInの原料比をAl/(Al+In)=0.63とした以外は、実施例1と同様の方法で化合物半導体基板を製造した。このAlInSb層の膜厚は700nmであった。このようにして形成された試料(AlInSb層)について、XRD測定を用いてAl組成を調査したところ、Al組成は1%であり、ωスキャンロッキングカーブから算出される半値幅は205arcsecであった。この試料(AlInSb層)についてSIMS測定を行ったところ、水素原子が3×1016cm−3、炭素原子が1×1015cm−3、窒素原子が1×1017cm−3であった。この試料(AlInSb層)の表面についてAFM測定を行ったところ、平均二乗粗さは0.1nmであった。実施例2において得られた化合物半導体基板は、式(1)を満たしていた。
AlInSb形成時のAlとInの原料比をAl/(Al+In)=0.75とした以外は、実施例1と同様の方法で化合物半導体基板を製造した。このAlInSb層の膜厚は700nmであった。このようにして形成された試料(AlInSb層)について、XRD測定を用いてAl組成を調査したところ、Al組成は40%であり、ωスキャンロッキングカーブから算出される半値幅は1120arcsecであった。この試料(AlInSb層)についてSIMS測定を行ったところ、水素原子が2×1018cm−3、炭素原子が4×1017cm−3、窒素原子が3×1017cm−3であった。この試料(AlInSb層)の表面についてAFM測定を行ったところ、平均二乗粗さは1.5nmであった。実施例3において得られた化合物半導体基板は、式(1)(2)を満たしていた。
AlInSb形成時のAlとInの原料比をAl/(Al+In)=0.90とした以外は、実施例1と同様の方法で化合物半導体基板を製造した。このAlInSb層の膜厚は700nmであった。このようにして形成された試料(AlInSb層)について、XRD測定を用いてAl組成を調査したところ、Al組成は70%であり、ωスキャンロッキングカーブから算出される半値幅は1800arcsecであった。この試料(AlInSb層)についてSIMS測定を行ったところ、水素原子が2×1019cm−3、炭素原子が5×1018cm−3、窒素原子が3×1018cm−3であった。この試料(AlInSb層)の表面についてAFM測定を行ったところ、平均二乗粗さは3.0nmであった。実施例4において得られた化合物半導体基板は、式(1)(2)を満たしていた。
AlInSb形成時の基板温度を420℃とした以外は、実施例1と同様の方法で化合物半導体基板を製造した。このAlInSb層の膜厚は700nmであった。このようにして形成された試料(AlInSb層)について、XRD測定を用いてAl組成を調査したところ、Al組成は3%であり、ωスキャンロッキングカーブから算出される半値幅は230arcsecであった。この試料(AlInSb層)についてSIMS測定を行ったところ、水素原子が2×1017cm−3、炭素原子が5×1016cm−3、窒素原子が2×1017cm−3であった。この試料(AlInSb層)の表面についてAFM測定を行ったところ、平均二乗粗さは0.2nmであった。実施例5において得られた化合物半導体基板は、式(1)を満たしていた。
AlInSb形成時の基板温度を525℃とした以外は、実施例1と同様の方法で化合物半導体基板を製造した。このAlInSb層の膜厚は700nmであった。このようにして形成された試料(AlInSb層)について、XRD測定を用いてAl組成を調査したところ、Al組成は25%であり、ωスキャンロッキングカーブから算出される半値幅は720arcsecであった。この試料(AlInSb層)についてSIMS測定を行ったところ、水素原子が3×1018cm−3、炭素原子が9×1016cm−3、窒素原子が8×1017cm−3であった。この試料(AlInSb層)の表面についてAFM測定を行ったところ、平均二乗粗さは0.4nmであった。実施例6において得られた化合物半導体基板は、式(1)(2)を満たしていた。
閃亜鉛鉱型である半絶縁GaAs基板を用意した。この半絶縁GaAs基板の電気抵抗率は8×107Ωcmである。この半絶縁GaAs基板上に、基板温度340℃においてInSbの原料としてトリメチルインジウム(TMIn)、トリスジメチルアミノアンチモン(TDMASb)を供給して、第1の化合物半導体層としてInSb層を形成した。このInSb層の形成には、MOCVD装置を用いた。
このInSb層上に、基板温度500℃においてAlInSbの原料として、トリターシャリーブチルアルミニウム(TTBAl)、トリメチルインジウム(TMIn)、トリメチルアンチモン(TMSb)を供給して、第2の化合物半導体層としてAlInSb層を形成した。このAlInSb層の形成には、MOCVD装置を用いた。このAlInSb層を成長させる際に、AlとInの原料比がAl/(Al+In)=0.50となるようなAl原料をIn原料とSb原料と共に供給した。1分間の成長の後に、AlInSb層の各元素比率を決める所望の供給量であるAl/(Al+In)=0.70まで供給量を増加させた。
このようにして形成された試料(AlInSb層)について、XRD測定を用いてAl組成を調査したところ、Al組成は10%であり、ωスキャンロッキングカーブから算出される半値幅は400arcsecであった。この試料(AlInSb層)についてSIMS測定を行ったところ、水素原子が1×1019cm−3、炭素原子が3×1018cm−3、窒素原子が1×1015cm−3であった。この試料(AlInSb層)の表面についてAFM測定を行ったところ、平均二乗粗さは0.3nmであった。実施例7において得られた化合物半導体基板は、式(1)を満たしていた。
閃亜鉛鉱型である半絶縁GaAs基板を用意した。この半絶縁GaAs基板の電気抵抗率は8×107Ωcmである。この半絶縁GaAs基板上に、基板温度340℃においてInSbの原料としてトリメチルインジウム(TMIn)、トリスジメチルアミノアンチモン(TDMASb)を供給して、InSb層を形成した。このInSb層の形成には、MOCVD装置を用いた。
このInSb層上に、基板温度500℃においてAlInSbの原料として、トリターシャリーブチルアルミニウム(TTBAl)、トリメチルインジウム(TMIn)、トリスジメチルアミノアンチモン(TDMASb)を供給してAlInSb層を形成した。このAlInSb層の形成には、MOCVD装置を用いた。Al/(Al+In)=0.70となるようなAlとInの原料比で、AlInSb層を形成した。
閃亜鉛鉱型である半絶縁GaAs基板を用意した。この半絶縁GaAs基板の電気抵抗率は8×107Ωcmである。この半絶縁GaAs基板上に、基板温度340℃においてInSbの原料としてトリメチルインジウム(TMIn)、トリスジメチルアミノアンチモン(TDMASb)を用いて、InSb層を形成した。このInSb層の形成には、MOCVD装置を用いた。
このInSb層上に、基板温度535℃においてAlInSbの原料として、トリターシャリーブチルアルミニウム(TTBAl)、トリメチルインジウム(TMIn)、トリスジメチルアミノアンチモン(TDMASb)を供給してAlInSb層を形成した。このAlInSb層の形成には、MOCVD装置を用いた。このAlInSb層を成長させる際に、Al/(Al+In)=0.50となるようなAl原料をIn原料とSb原料と共に供給した。1分間の成長の後に、所望の原料比であるAl/(Al+In)=0.70まで、Alの供給量を増加させた。このときV/III比=5.0の条件で成膜を行った。
このようにして形成された試料(AlInSb層)について、外観は白濁しており、XRD測定からAlInSbのピークを分離すること、ωスキャンロッキングカーブから半値幅を算出することは困難であった。また、この試料(AlInSb層)の表面は凹凸が大きいことから、正確な膜厚およびSIMS測定を行うことが困難であった。この試料(AlInSb層)の表面についてAFM測定を行ったところ、平均二乗粗さは13.5nmであった。
閃亜鉛鉱型である半絶縁GaAs基板を用意した。この半絶縁GaAs基板の電気抵抗率は8×107Ωcmである。この半絶縁GaAs基板上に、基板温度340℃においてInSbの原料としてトリメチルインジウム(TMIn)、トリスジメチルアミノアンチモン(TDMASb)を用いて、InSb層を形成した。このInSb層の形成には、MOCVD装置を用いた。
このInSb層上に、基板温度400℃においてAlInSbの原料として、トリターシャリーブチルアルミニウム(TTBAl)、トリメチルインジウム(TMIn)、トリスジメチルアミノアンチモン(TDMASb)を供給してAlInSb層を形成した。このAlInSb層の形成には、MOCVD装置を用いた。このAlInSb層を成長させる際に、Al/(Al+In)=0.50となるようなAl原料をIn原料とSb原料と共に供給した。1分間の成長の後に、所望の原料比であるAl/(Al+In)=0.70まで供給量を増加させる。このときV/III比=5.0の条件で成膜を行った。
このようにして形成された試料(AlInSb層)について、外観は白濁しており、XRD測定からAlInSbのピークを分離すること、ωスキャンロッキングカーブから半値幅を算出することは困難であった。また、この試料(AlInSb層)の表面は凹凸が大きいことから、正確な膜厚およびSIMS測定を行うことが困難であった。この試料(AlInSb層)の表面についてAFM測定を行ったところ、平均二乗粗さは10.5nmであった。
閃亜鉛鉱型である半絶縁GaAs基板を用意した。この半絶縁GaAs基板の電気抵抗率は8×107Ωcmである。この半絶縁GaAs基板上に、基板温度340℃においてInSbの原料としてトリメチルインジウム(TMIn)、トリスジメチルアミノアンチモン(TDMASb)を用いて、InSb層を形成した。このInSb層の形成には、MOCVD装置を用いた。
このInSb層上に、基板温度500℃においてAlInSbの原料として、トリターシャリーブチルアルミニウム(TTBAl)、トリメチルインジウム(TMIn)、トリスジメチルアミノアンチモン(TDMASb)を供給してAlInSb層を形成した。
このAlInSb層の形成には、MOCVD装置を用いた。このAlInSb層を成長させる際に、Al/(Al+In)=0.50となるようなAl原料をIn原料とSb原料と共に供給した。1分間の成長の後に、所望の原料比であるAl/(Al+In)=0.92までAl原料の供給量を増加させる。このときV/III比=5.0の条件で成膜を行った。
このようにして形成された試料(AlInSb層)について、外観は白濁しており、XRD測定からAlInSbのピークを分離すること、ωスキャンロッキングカーブから半値幅を算出することは困難であったためXRFによるAl組成測定を行ったところ、Al組成が75%であることを算出した。また、この試料(AlInSb層)の表面は凹凸が大きいことから、正確な膜厚およびSIMS測定を行うことが困難であった。この試料(AlInSb層)の表面についてAFM測定を行ったところ、平均二乗粗さは12.5nmであった。
閃亜鉛鉱型である半絶縁GaAs基板を用意した。この半絶縁GaAs基板の電気抵抗率は8×107Ωcmである。この半絶縁GaAs基板上に、基板温度350℃においてV/III比=4.0の条件で第1の化合物半導体層としてInSb層を形成した。このInSb層の形成には、MBE装置を用いた。このInSb層の膜厚は700nmであった。このInSb層上に、基板温度350℃においてAlInSb層を形成した。
このAlInSb層の形成には、MBE装置を用いた。このAlInSb層を成長させる際に、Al/(Al+In)=0.08となるようなAl原料をIn原料とSb原料と共に供給した。このときV/III比=4.0の条件で成膜を行った。このAlInSb層の膜厚は700nmであった。
AlInSb層を成長させる際に、Al/(Al+In)=0.25となるようなAl原料量に変更した以外は比較例5と同様の方法で化合物半導体基板を製造した。このようにして形成された試料(AlInSb層)について、XRD測定を用いてAl組成を調査したところ、Al組成は25%であり、ωスキャンロッキングカーブから算出される半値幅は1400arcsecであった。この試料(AlInSb層)についてSIMS測定を行ったところ、水素原子、炭素原子、窒素原子がそれぞれ1×1015未満であることを確認した。この試料(AlInSb層)の表面についてAFM測定を行ったところ、平均二乗粗さは1.0nmであった。比較例6において得られた化合物半導体基板は、式(1)(2)を満たしていなかった。
(結果)
上記実施例1〜7および比較例1〜6の製造方法の条件および得られた化合物半導体基板の測定結果を表1に示す。
(1)実施例1〜7は、表面温度420℃以上525℃以下において、In原料とSb原料に加えて、供給量を連続的および/または段階的に増やしながらAl原料を供給し、Al原料の供給量を増やした後でIn原料とSb原料とAl原料の各供給量を一定にすることによりAlInSb層を形成した。実施例1〜7によれば、Al原料を常に一定に供給した比較例1や、表面温度535℃とした比較例2、表面温度を400℃とした比較例3と比較して、良好な結晶性を示し、かつ表面平坦性に優れたAlInSb層を含む化合物半導体基板が得られた。
(2)MOCVDを用いた実施例1〜7(特に実施例3,4,6)によれば、従来方法のMBEでは良好な結晶性を保つのが困難であったAl組成比が20%以上のAlInSb層(比較例6)と比較して、良好な結晶性のAlInSb層を含む化合物半導体基板が得られた。
11 第1化合物半導体層
21 第2化合物半導体層
51 成長室
52 ステージ
53 排気用配管
54 排気ポンプ
60 供給ライン
61 In用配管
62 Sb用配管
63 Al用配管
Claims (3)
- 有機金属気相成長法を用いて、トリメチルインジウム(TMIn)および/またはトリエチルインジウム(TEIn)であるIn原料と、トリスジメチルアミノアンチモン(TDMASb)であるSb原料と、を基板上に供給し、該基板上に第1の化合物半導体層を成長させる工程と、
前記第1の化合物半導体層の基板温度を420℃以上525℃以下に保持した状態で、前記第1の化合物半導体層上に、前記In原料と前記Sb原料に加えて、供給量を連続的および/または段階的に増やしながら、トリターシャリーブチルアルミニウム(TTBAl)であるAl原料を供給し、前記Al原料の供給量を増やした後で前記In原料と前記Sb原料および前記Al原料の各供給量を一定にすることにより、前記第1の化合物半導体層上にAlXIn1-XSb層(0<x≦0.7)を形成する工程と、
を備える化合物半導体基板の製造方法。 - 前記基板が配置される成長室への前記In原料、前記Sb原料および前記Al原料の各供給を、それぞれ独立した供給ラインにて行う請求項1記載の化合物半導体基板の製造方法。
- 前記基板は、電気抵抗率が1×105Ωcm以上のGaAs基板である請求項1または請求項2に記載の化合物半導体基板の製造方法。
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