最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施の形態に係る電波センサは、対象エリアへ電波を送信する送信部と、上記対象エリアからの電波を受信する受信部と、所定の電波の周波数成分と上記受信部によって受信される電波の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号を生成する差分信号生成部と、上記差分信号生成部によって生成された上記差分信号の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成する分析部と、上記分析部によって作成された上記周波数分布情報に基づいて、上記対象エリアにおける検知対象の種類を判別する判別処理を行う判別部とを備える。
このように、検知対象における各表面部分の電波センサに対する相対速度の成分のうち、電波センサに対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った成分である検出対象速度の分布についての情報である周波数分布情報を用いる構成により、周波数分布情報は検知対象の種類に応じて異なることから、検知対象の種類を精度よく判別することができる。
また、画像処理を行うことなく検知対象の種類を判別することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
(2)好ましくは、上記差分信号生成部は、上記送信部によって送信される電波の周波数成分と上記受信部によって受信される電波の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号を生成する。
このような構成により、送信部から送信される電波を差分信号の生成に用いることができ、また、低周波領域の差分信号を処理すればよくなるので、電波センサの製造コストを低減することができる。
(3)好ましくは、上記判別部は、上記周波数分布における周波数成分の大きさが連続して所定値より大きくなる区間の長さに基づいて上記判別処理を行う。
このような構成により、検知対象における各表面部分の検出対象速度のばらつきに基づいて、各表面部分の検出対象速度の分布を表すパラメータを適切に定量化することができる。これにより、電波センサでは、定量化したパラメータに基づいて検知対象の種類を簡易な処理で判別することができる。
(4)より好ましくは、上記判別部は、上記区間の長さと上記区間における各周波数成分の大きさとに基づいて上記判別処理を行う。
このような構成により、検知対象における各表面部分の検出対象速度のばらつきおよび各表面部分からの反射波の振幅に基づいて、各表面部分の検出対象速度の分布を表すパラメータをより適切に定量化することができる。これにより、電波センサでは、定量化したパラメータに基づいて検知対象の種類を簡易な処理で判別することができる。
(5)好ましくは、上記判別部は、上記周波数分布における周波数成分の大きさの変化度合いに基づいて上記判別処理を行う。
このような構成により、検知対象における各表面部分の検出対象速度のばらつきが反映される各表面部分からの反射波の振幅の変化度合いに基づいて、各表面部分の検出対象速度の分布を表すパラメータを適切に定量化することができる。これにより、電波センサでは、定量化したパラメータに基づいて検知対象の種類を簡易な処理で判別することができる。
(6)好ましくは、上記判別部は、上記判別処理として、上記対象エリアにおける人間および車両を判別する。
このような構成により、各表面部分の相対配置を変えながら移動するため各表面部分の検出対象速度のばらつきが大きい人間と、各表面部分の相対配置を維持しながら移動するため各表面部分の検出対象速度のばらつきが小さい車両とを、各表面部分の検出対象速度の分布についての情報である周波数分布情報に基づいて精度よく判別することができる。
(7)好ましくは、上記電波センサは、さらに、上記受信部によって受信される電波に基づいて、上記電波センサに対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った上記検知対象の移動速度を取得する移動速度取得部を備え、上記判別部は、上記周波数分布情報および上記移動速度取得部によって取得された上記移動速度に基づいて上記判別処理を行う。
このように、検知対象全体の検出対象速度を判別処理のための情報として加える構成により、判別部が誤った判別をしてしまう可能性を低下させることができる。
(8)好ましくは、上記電波センサは、さらに、上記受信部によって受信される電波に基づいて、上記対象エリアにおける検知対象と上記電波センサとの間の距離を取得する距離取得部を備え、上記判別部は、上記周波数分布情報および上記距離取得部によって取得された上記距離に基づいて上記判別処理を行う。
このように、電波センサから検知対象までの距離を判別処理のための情報として加える構成により、判別部が誤った判別をしてしまう可能性を低下させることができる。
(9)好ましくは、上記電波センサは、道路上または道路付近に設置され、上記送信部におけるアンテナの指向性の方向は、上記対象エリアにおける検知対象の進行方向と交差する。
このような構成により、移動速度の速い道路上の検知対象の進行方向と移動速度の遅い道路上の検知対象の進行方向とが交差し、両検知対象全体の検出対象速度が近くなる場合であっても、検知対象における各表面部分の検出対象速度の分布についての情報である周波数分布情報に基づいて、検知対象の種類を精度よく判別することができる。
(10)本発明の実施の形態に係る電波センサは、対象エリアへ電波を送信する送信部と、上記対象エリアからの電波を受信する受信部と、上記受信部によって受信される電波の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成する分析部と、上記分析部によって作成された上記周波数分布情報に基づいて、上記対象エリアにおける検知対象の種類を判別する判別処理を行う判別部とを備える。
このように、検知対象における各表面部分の検出対象速度の分布についての情報である周波数分布情報を用いる構成により、周波数分布情報は検知対象の種類に応じて異なることから、検知対象の種類を精度よく判別することができる。
また、画像処理を行うことなく検知対象の種類を判別することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
(11)本発明の実施の形態に係る検知方法は、電波センサにおける検知方法であって、対象エリアへ電波を送信するステップと、上記対象エリアからの電波を受信するステップと、所定の電波の周波数成分と受信する電波の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号を生成するステップと、生成した上記差分信号の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成するステップと、作成した上記周波数分布情報に基づいて、上記対象エリアにおける検知対象の種類を判別する判別処理を行うステップとを含む。
このように、検知対象における各表面部分の検出対象速度の分布についての情報である周波数分布情報を用いる構成により、周波数分布情報は検知対象の種類に応じて異なることから、検知対象の種類を精度よく判別することができる。
また、画像処理を行うことなく検知対象の種類を判別することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る信号制御システムの構成を示す図である。
図1を参照して、信号制御システム201は、電波センサ101と、信号制御装置151と、歩行者用信号灯器161とを備える。信号制御システム201における信号制御装置151および歩行者用信号灯器161は、交通信号機を構成し、たとえば交差点CS1の近傍に設置される。
電波センサ101は、対象エリアA1において移動する検知対象Tgtを検知する動体検知センサとして機能する。電波センサ101は、たとえば交差点CS1へ延びる道路Rd1付近に設置されている。具体的には、電波センサ101は、たとえば道路Rd1付近に設置された支柱P1に固定されている。
歩行者用信号灯器161および信号制御装置151は、たとえば支柱P1に固定されている。電波センサ101および信号制御装置151は、たとえば図示しない信号線で接続されている。信号制御装置151および歩行者用信号灯器161は、たとえば図示しない信号線で接続されている。なお、電波センサ101は、道路Rd1上に設置されてもよいし、自動車に搭載されてもよい。
電波センサ101は、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類を判別する。より詳細には、電波センサ101は、たとえば信号制御装置151の制御に従って、横断歩道PC1を含む対象エリアA1へ電波を送信する。検知対象Tgtは、具体的には、自動車Tgt1および歩行者Tgt2等である。検知対象Tgtは、たとえば対象エリアA1内において移動しており、電波センサ101から送信される電波を反射する。
電波センサ101は、たとえば検知対象Tgtにより反射された電波に基づいて検知対象Tgtの種類を判別する。より詳細には、電波センサ101は、たとえば検知対象Tgtの種類として車両および人間を判別する。電波センサ101は、判別結果を信号制御装置151へ送信する。
歩行者用信号灯器161は、信号制御装置151の制御に従って、「すすめ」または「とまれ」を点灯し、たとえば横断歩道PC1を横断する歩行者Tgt2に対して表示する。
信号制御装置151は、電波センサ101から判別結果を受信すると、受信した判別結果に基づいて歩行者用信号灯器161を制御する。
たとえば、信号制御装置151は、歩行者用信号灯器161において「すすめ」を点灯する残り時間が少ない場合、検知対象Tgtの種類に応じた処理を行う。具体的には、信号制御装置151は、たとえば、電波センサ101から受信した判別結果が検知対象Tgtの種類が人間であることを示すとき、残り時間の延長を行う。なお、信号制御装置151は、たとえば、「すすめ」を点灯する残り時間が少ない旨を歩行者Tgt2に音声で通知してもよい。また、信号制御装置151は、たとえば、判別結果が検知対象Tgtの種類が車両であることを示すとき、残り時間の延長を行わない。
また、信号制御装置151は、たとえば、歩行者用信号灯器161において「とまれ」を点灯している場合において、判別結果が検知対象Tgtの種類が人間であることを示すとき、危険である旨を歩行者Tgt2に音声で警告する。
なお、信号制御装置151は、電波センサ101から受信する判別結果に基づいて自動車Tgt1に対してサービスを提供してもよい。具体的には、信号制御装置151は、判別結果が検知対象Tgtの種類が人間であることを示すとき、たとえば、横断歩道PC1における歩行者Tgt2に注意すべき旨の警告を自動車Tgt1に与える。
[課題]
対象エリアA1内に位置する検知対象Tgtの種類を判別するために、たとえば、ビーム幅を0.1°程度に狭めた電波を0.1°ごとに照射し、照射した電波の反射波に基づいて、検知対象Tgtの位置、大きさおよび形状をスキャンするレーダを用いることが考えられる。しかしながら、このようなレーダは高価であるため、多数の交差点に設置することは困難である。
また、たとえば、検出対象速度を測定することが可能なドップラーセンサを用いることが考えられる。検出対象速度は、対象物がドップラーセンサに対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った当該対象物の移動速度である。ドップラーセンサは、自動車Tgt1の検出対象速度と歩行者Tgt2の検出対象速度とが大きく異なる場合、検知対象Tgtの種類を判別することが可能である。
一方、たとえばドップラーセンサが支柱P1に固定されている状態において、図1に示す電波センサ101の場合と同様に自動車Tgt1が交差点CS1を速度vcで右折しながら横断歩道PC1を横切る場合、自動車Tgt1のドップラーセンサに対する検出対象速度vcdは、ドップラーセンサおよび自動車Tgt1を結ぶ軸方向への速度vcの成分となる。また、速度vmで横断歩道PC1を横断する歩行者Tgt2のドップラーセンサに対する検出対象速度vmdは、速度vmとほぼ同じである。したがって、図1に示すような場合には、検出対象速度vmdおよび検出対象速度vcdの差が小さくなるため、ドップラーセンサでは、検知対象Tgtの検出対象速度に基づいて検知対象Tgtの種類を判別することが困難となる。
また、たとえば、照射した電波の反射波の強度を用いて対象エリアA1内に位置する検知対象Tgtの種類を判別するための強度センサを用いることが考えられる。たとえば、強度センサが支柱P1に固定されている状態において、図1に示す電波センサ101の場合と同様に自動車Tgt1が歩行者Tgt2より強度センサから離れた場所に位置する場合、強度センサにおける反射波の強度は、以下のようになる。すなわち、反射断面積の大きい自動車Tgt1からの反射波の強度および反射断面積の小さい歩行者Tgt1からの反射波の強度の差が小さくなる。ここで、反射断面積は、検知対象Tgtが強度センサから照射された電波を反射する表面部分の反射率および面積等により定まる値である。この場合、強度センサでは、検知対象Tgtからの反射波の強度に基づいて検知対象Tgtの種類を判別することが困難となる。
そこで、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、以下のような構成および動作により、このような課題を解決する。
[電波センサの構成]
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る信号制御システムにおける電波センサの構成を示す図である。
図2を参照して、電波センサ101は、送信部1と、受信部2と、差分信号生成部19と、A/Dコンバータ(ADC)23と、FFT(Fast Fourier Transform)処理部(分析部)24と、判別部25とを備える。送信部1は、ミリ波生成部11と、送信アンテナ14と、パワーアンプ15と、方向性結合器16とを含む。ミリ波生成部11は、電圧発生部12と、電圧制御発振器13とを含む。受信部2は、受信アンテナ17と、ローノイズアンプ18とを含む。差分信号生成部19は、ミキサ20と、IF(Intermediate Frequency)アンプ21と、ローパスフィルタ22とを含む。なお、送信アンテナ14および受信アンテナ17は、共通のアンテナであってもよい。
送信部1は、対象エリアA1へ電波を送信する。具体的には、送信部1におけるミリ波生成部11は、たとえば76GHz帯の周波数を有する電波すなわちミリ波を生成し、生成したミリ波を方向性結合器16へ出力する。なお、ミリ波生成部11は、たとえば24GHz帯、60GHz帯または79GHz帯の周波数を有する電波を生成してもよい。
より詳細には、ミリ波生成部11における電圧発生部12は、たとえば、定電圧を生成し、生成した定電圧を電圧制御発振器13へ出力する。電圧制御発振器13は、具体的にはVCO(Voltage−controlled oscillator)であり、電圧発生部12から受ける定電圧に応じた周波数を有するミリ波である送信波を生成し、生成した送信波を方向性結合器16へ出力する。
方向性結合器16は、ミリ波生成部11から受ける送信波をパワーアンプ15および差分信号生成部19へ分配する。パワーアンプ15は、方向性結合器16から受ける送信波を増幅し、送信アンテナ14へ出力する。
送信アンテナ14は、パワーアンプ15から受ける送信波を対象エリアA1へ送信する。送信アンテナ14は、図1に示すように、たとえば送信波の指向性の方向Dirが対象エリアA1における検知対象Tgtの進行方向と交差する方向になるように設置される。ここで、送信波の指向性の方向Dirは、たとえば電波センサ101から対象エリアA1の中心Ctrへの方向である。
具体的には、送信アンテナ14は、たとえば、送信波の指向性の方向Dirが対象エリアA1における横断歩道PC1を自動車Tgt1が横切って進行する方向vcすなわちvc2と交差する方向になるように設置される。
好ましくは、送信アンテナ14は、たとえば、送信波の指向性の方向Dirに対する自動車Tgt1が進行する方向vc2の角度αの絶対値が45度以上かつ135度以下になるように設置される。より好ましくは、送信アンテナ14は、たとえば、角度αの絶対値が略直角、具体的には80度以上かつ100度以下になるように設置される。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る受信アンテナおよび検知対象の配置の一例を示す図である。
図3を参照して、受信部2は、対象エリアA1からの電波を受信する。より詳細には、受信部2における受信アンテナ17は、対象エリアA1からのミリ波すなわち反射波を受信する。受信アンテナ17が受信する反射波には、たとえば、対象エリアA1内に位置する検知対象Tgtの表面の一部である表面部分Piが送信アンテナ14により送信された送信波を反射することによって発生する部分反射波が含まれる。
ここで、電波センサ101に対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った表面部分Piの移動速度を検出対象速度vdiと定義する。言い換えると、電波センサ101に対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った受信アンテナ17に対する表面部分Piの相対速度の成分が検出対象速度vdiである。
たとえば、受信アンテナ17に対する表面部分Piの相対速度を部分速度vpiと定義すると、検出対象速度vdiは、表面部分Piから受信アンテナ17への方向の単位ベクトルndiと部分速度vpiとの内積で表される。なお、電波センサ101は、たとえば支柱P1等の地面に対して動かないものに固定されていてもよいし、地面に対して動くものに固定されていてもよい。たとえば電波センサ101が支柱P1に固定されている場合、受信アンテナ17および対象エリアA1は地面に対して固定されるので、部分速度vpiは、表面部分Piの地面に対する相対速度でもある。
検知対象Tgtは、形状を維持する剛体であってもよいし、形状を変える非剛体であってもよい。具体的には、検知対象Tgtが自動車Tgt1である場合、検知対象Tgtは剛体であり、また、検知対象Tgtが歩行者Tgt2である場合、検知対象Tgtは非剛体である。
検知対象Tgtが剛体である場合、表面部分Piの部分速度vpiは、検知対象Tgtにおける表面部分Piの位置によらず概ね同じである。したがって、表面部分Piの検出対象速度vdiは、表面部分Piの位置によらず概ね同じとなる。
具体的には、たとえば、自動車Tgt1が移動するとき、自動車Tgt1におけるフェンダー、窓ガラスおよびドアの相対的な配置は変わらないので、フェンダー、窓ガラスおよびドアの各々の表面部分Pf、PwおよびPdに対応する部分速度vpf、vpwおよびvpdは概ね同じである。したがって、表面部分Pf、PwおよびPdにそれぞれ対応する検出対象速度vdf、vdwおよびvddは、概ね同じである。
一方、検知対象Tgtが非剛体である場合、表面部分Piの部分速度vpiは、検知対象Tgtにおける表面部分Piの位置に応じて異なるときが多い。具体的には、たとえば、歩行者Tgt2が歩行するとき、歩行者Tgt2における腕、足および胴体の相対的な配置が変わるため、腕、足および胴体の各々の表面部分Pa、PlおよびPbにそれぞれ対応する部分速度vpa、vplおよびvpbは、互いに異なるときが多い。
したがって、表面部分Pa、PlおよびPbに対応する検出対象速度vda、vdlおよびvdbは、互いに異なるときが多い。より詳細には、歩行者Tgt2が受信アンテナ17へ向かって歩いている状態において、歩行者Tgt2が腕を受信アンテナ17側へ出そうとしているときの腕に対応する検出対象速度vdaの大きさは、胴体に対応する検出対象速度vdbの大きさより大きい。また、歩行者Tgt2が腕を受信アンテナ17の反対側へ戻そうとしているときの検出対象速度vdaの大きさは、検出対象速度vdbの大きさより小さい。足の場合も同様である。
受信アンテナ17が受信する検知対象Tgtにおける表面部分Piからの部分反射波の周波数f1riは、送信波の周波数f1に対して、表面部分Piに対応する検出対象速度vdiに応じてシフトする。また、部分反射波の振幅は、表面部分Piの反射断面積σiに応じた振幅となる。
より詳細には、送信波T1(t)が以下の式(1)により表される場合において、たとえば受信アンテナ17が送信アンテナ14の近傍に配置されているとき、部分反射波R1i(t)は、四分一 浩二、外2名、”拡大するミリ波技術の応用”、[online]、[平成25年9月20日検索]、インターネット〈URL:http://www.spc.co.jp/spc/pdf/giho21_09.pdf〉(非特許文献1)および稲葉 敬之、桐本 哲郎、”車載用ミリ波レーダ”、自動車技術、2010年2月、第64巻、第2号、P.74−79(非特許文献2)に示すように以下の式(2)により表される。
ここで、φ1は初期位相である。Aは送信波の振幅である。Liは受信アンテナ17および表面部分Pi間の距離である。cは光速である。aiはたとえば振幅A、送信アンテナ14および受信アンテナ17のアンテナゲイン、送信波の波長、距離Liならびに反射断面積σi等により定まる値である。
なお、受信アンテナ17は、送信アンテナ14から離れた位置に配置されていてもよいが、電波センサ101の構成を簡易にするために送信アンテナ14の近傍に配置されていることが好ましい。
部分反射波R1i(t)の周波数f1riは、式(2)に示すように、送信波T1(t)の周波数f1に対して、f1×(2×vdi/c)を加えた周波数となる。具体的には、表面部分Piが受信アンテナ17へ近づく方向へ移動するとき、vdiが正となるので周波数f1riは周波数f1より高くなり、また、表面部分Piが受信アンテナ17から遠ざかる方向へ移動するとき、vdiが負となるので周波数f1riは周波数f1より低くなる。
全検知対象、具体的には表面部分Pf、PwおよびPdを含む自動車Tgt1、ならびに表面部分Pa、PlおよびPbを含む歩行者Tgt2からのドップラー反射波R1d(t)は、以下の式(3)により表される。
ここで、Jは全検知対象における表面部分Piの数である。また、受信アンテナ17が受信する反射波R1(t)には、一般に、ドップラー反射波R1d(t)、および検知対象Tgt以外の部分からの非ドップラー反射波R1nd(t)が含まれる。したがって、反射波R1(t)は、ドップラー反射波R1d(t)および非ドップラー反射波R1nd(t)の重ね合わせとなり、以下の式(4)により表される。
ここで、検知対象Tgt以外の部分の検出対象速度がゼロである状況、すなわち非ドップラー反射波R1nd(t)の周波数が送信波T1(t)の周波数f1と同じである状況を想定する。
再び図2を参照して、ローノイズアンプ18は、受信アンテナ17が受信した反射波R1(t)を増幅し、差分信号生成部19へ出力する。
差分信号生成部19は、所定の電波、具体的には方向性結合器16から受ける送信波T1(t)と、ローノイズアンプ18から受ける反射波R1(t)とを乗算し、差分信号および和周波信号を生成する。差分信号生成部19は、生成した差分信号および和周波信号のうち差分信号をA/Dコンバータ23へ出力する。
より詳細には、差分信号生成部19におけるミキサ20は、送信波T1(t)と反射波R1(t)とを乗算し、送信波T1(t)の周波数成分と反射波R1(t)の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号および両周波数成分の和の周波数成分を有する和周波信号を生成する。
ミキサ20において、送信波T1(t)と反射波R1(t)に含まれる部分反射波R1i(t)とから生成される部分差分信号B1i(t)は、以下の式(5)により表される。
ここで、K1iは部分差分信号の振幅である。−4π×f1×Li/cが遅延位相θ1iである。2×f1×vdi/cがドップラー周波数f1diである。また、ドップラー反射波R1d(t)に基づくドップラー差分信号B1d(t)は、以下の式(6)により表される。
ここで、Jは、式(3)の場合と同様に、全検知対象における表面部分Piの数である。また、非ドップラー反射波R1nd(t)に基づく差分信号は、非ドップラー反射波R1nd(t)の周波数が送信波T1(t)の周波数f1と同じであるため、直流成分DC1となる。したがって、反射波R1(t)に基づく差分信号B1(t)は、以下の式(7)により表される。
IFアンプ21は、たとえば低周波数帯から中間周波数帯にかけて大きな増幅率を有するアンプであり、ミキサ20において生成された差分信号B1(t)および和周波信号のうち差分信号B1(t)を大きな増幅率で増幅し、増幅した差分信号B1(t)をローパスフィルタ22へ出力する。
ローパスフィルタ22は、IFアンプ21において増幅された差分信号B1(t)の周波数成分のうち、所定の周波数以上の成分、たとえば1kHz以上の成分を減衰させる。
A/Dコンバータ23は、たとえば所定のサンプリング周波数を用いて差分信号B1(t)のサンプリング処理を行う。より詳細には、A/Dコンバータ23は、ローパスフィルタ22を通過した差分信号B1(t)を、たとえば所定のサンプリング周波数を用いてmビット(mは2以上の自然数)のデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号をFFT処理部24へ出力する。
FFT処理部24は、たとえば、A/Dコンバータ23から受けるデジタル信号に基づいて、差分信号B1(t)の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成する。具体的には、FFT処理部24は、たとえば、A/Dコンバータ23から受けるデジタル信号を所定の観測時間Tobs、具体的には100ミリ秒蓄積する。蓄積されたデジタル信号は、観測時間Tobsに含まれる各サンプリングタイミングtsにおける差分信号B1(ts)の振幅、すなわち時間スペクトルを示す。
FFT処理部24は、時間スペクトルを高速フーリエ変換し、観測時間Tobsにおける差分信号B1(t)の周波数スペクトルを周波数分布情報として作成する。以下、当該周波数スペクトルをドップラースペクトルDS1とも称する。FFT処理部24は、作成したドップラースペクトルDS1を判別部25へ出力する。ドップラースペクトルDS1は、観測時間Tobsにおける差分信号B1(t)に含まれる各周波数成分の振幅を示す。
FFT処理部24が高速フーリエ変換処理の対象とする時間スペクトルは離散的なデータであるので、ドップラースペクトルDS1は、離散的なデータにより構成される。以下、ドップラースペクトルDS1を構成する離散的なデータをDS信号Sf[n]とも称する。なお、FFT処理部24は、たとえば、連続的な時間スペクトルを高速フーリエ変換処理の対象としてもよい。
DS信号Sf[n]は、たとえばインデックスnを有する配列である。インデックスnは、たとえばゼロから(nmax−1)までの整数である。nmaxは、たとえばDS信号Sf[n]の長さである。DS信号Sf[n]のデータ間隔dfすなわちドップラースペクトルの分解能は、たとえば観測時間Tobsの逆数程度である。また、インデックスnに対応する周波数は、たとえばdf×nである。したがって、DS信号Sf[n]は、周波数(df×n)における振幅を示す。
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおけるFFT処理部が生成する歩行者のドップラースペクトルの一例を示す図である。
図4には、たとえば図1に示すように、対象エリアA1において検知対象Tgtである歩行者Tgt2が移動している場合のドップラースペクトルDS1mが示される。横軸は、ドップラー周波数f1dを示し、縦軸は、振幅を示す。
歩行者Tgt2は、たとえば腕を振りながら足を交互に出して歩行することにより移動するので、腕、足および胴体等の各部位における表面部分Piの検出対象速度vdiがばらつく。
このため、歩行者Tgt2の各表面部分Piからの反射波R1i(t)のドップラー周波数f1diがばらつく。したがって、各表面部分Piからの反射波R1i(t)の和であるドップラースペクトルDS1mの広がりが大きくなる。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおけるFFT処理部が生成する自動車のドップラースペクトルの一例を示す図である。
図5には、たとえば図1に示すように、対象エリアA1において検知対象Tgtである自動車Tgt1が移動している場合のドップラースペクトルDS1cが示される。横軸は、ドップラー周波数f1dを示し、縦軸は、振幅を示す。なお、図5に示す横軸および縦軸のスケールは、図4に示す横軸および縦軸のスケールとそれぞれ同じである。
自動車Tgt1は、移動する際にフェンダー、窓ガラスおよびドア等の相対的な配置を変えない。したがって、フェンダー、窓ガラスおよびドア等の各部位における表面部分Piの検出対象速度vdiが概ね同じである。
このため、自動車Tgt1の各表面部分Piからの反射波R1i(t)のドップラー周波数f1diがばらつかないので、各表面部分Piからの反射波R1i(t)の和であるドップラースペクトルDS1cの広がりが小さくなる。
[ドップラースペクトルの広がりに基づく判別処理]
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおける判別部の構成を示す図である。
図6を参照して、判別部25は、ピーク探索部51と、スペクトル広がり算出部52と、判別処理部53とを含む。
判別部25は、FFT処理部24から受けるドップラースペクトルDS1に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類を判別する判別処理を行う。具体的には、判別部25は、判別処理として、FFT処理部24から受けるドップラースペクトルDS1に基づいて対象エリアA1における人間および車両を判別する。
判別部25は、たとえば、ドップラースペクトルDS1における周波数成分の大きさが連続して所定値Thaより大きくなる区間の長さに基づいて判別処理を行う。
以下、判別部25が図4に示すドップラースペクトルDS1mに基づいて判別処理を行う場合について詳細に説明する。すなわち、判別部25におけるピーク探索部51は、FFT処理部24から受けるドップラースペクトルDS1mにおいて、最も大きな振幅を有するピーク位置を探索する。
具体的には、ピーク探索部51は、たとえば、ドップラースペクトルDS1mを構成するDS信号Sfm[0]〜Sfm[nmax−1]において、最も大きな値を有するDS信号Sfm[pm]を特定する。ピーク探索部51は、たとえば、特定したDS信号Sfm[pm]のインデックスpmをスペクトル広がり算出部52へ出力する。
スペクトル広がり算出部52は、たとえば、ドップラースペクトルDS1mにおける周波数成分の大きさが連続して所定値Thaより大きくなる区間の長さをドップラースペクトルDS1mの特徴量として算出する。具体的には、スペクトル広がり算出部52は、たとえば、ピーク探索部51からインデックスpmを受けると、DS信号Sfm[pm]がピークに相当することを認識する。
そして、スペクトル広がり算出部52は、たとえば、DS信号Sfm[pm]に対して低周波側のDS信号において、DS信号Sfm[pm]に最も近く、かつ所定値Tha以下の振幅を有するDS信号Sfm[pm−6]を認識する。スペクトル広がり算出部52は、DS信号Sfm[pm]に対して高周波側のDS信号についても同様に、DS信号Sfm[pm]に最も近く、かつ所定値Tha以下の振幅を有するDS信号Sfm[pm+4]を認識する。
スペクトル広がり算出部52は、認識したDS信号Sfm[pm−6],Sfm[pm+4]に基づいて、インデックスが(pm−5)から(pm+3)までの区間が、DS信号が連続して所定値Thaより大きくなる区間であると認識する。
そして、スペクトル広がり算出部52は、区間の長さに相当する{pm+3−(pm−5)}すなわち「8」をドップラースペクトルDS1mの広がりDSWmとして算出する。スペクトル広がり算出部52は、算出した広がりDSWm、具体的には周波数幅(df×8)を判別処理部53へ出力する。
判別処理部53は、スペクトル広がり算出部52から広がりDSWmを受けると、広がりDSWmおよび所定のしきい値Thbの大小関係に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類が人間であるか、または車両であるかを判別する。
具体的には、判別処理部53は、たとえば、広がりDSWmがしきい値Thb以上である場合、検知対象Tgtの種類が人間であると判別する。また、判別処理部53は、たとえば、広がりDSWmがしきい値Thbより小さい場合、検知対象Tgtの種類が車両であると判別する。
具体的には、歩行者Tgt2の腕、足および胴体等の各部位における表面部分Piの検出対象速度vdiがばらつくため、図4に示すように、ドップラースペクトルDS1mでは、広がりDSWmは大きくなる。この際、広がりDSWmがしきい値Thb以上になるので、判別処理部53は、検知対象Tgtの種類が人間であると判別する。判別処理部53は、判別結果を信号制御装置151へ送信する。
以下、判別部25が図5に示すドップラースペクトルDS1cに基づいて判別処理を行う場合について、簡単に説明する。すなわち、ピーク探索部51は、FFT処理部24から受けるドップラースペクトルDS1cにおいて、最も大きな振幅を有するピーク位置としてDS信号Sfc[pc]を特定し、特定したDS信号Sfc[pc]のインデックスpcをスペクトル広がり算出部52へ出力する。
スペクトル広がり算出部52は、ピーク探索部51から受けるインデックスpcに基づいて、インデックスが(pc−2)から(pc+2)までの区間が、DS信号が連続して所定値Thaより大きくなる区間であると認識する。そして、スペクトル広がり算出部52は、区間の長さに相当する{pc+2−(pc−2)}すなわち「4」をドップラースペクトルDS1cの特徴量である広がりDSWcとして算出する。スペクトル広がり算出部52は、算出した広がりDSWc、具体的には周波数幅(df×4)を判別処理部53へ出力する。
たとえば、自動車Tgt1のフェンダー、窓ガラスおよびドア等の各部位における表面部分Piの検出対象速度vdiがほぼ一定であるため、広がりDSWcは小さくなる。このため、広がりDSWcがしきい値Thbより小さくなるので、判別処理部53は、検知対象Tgtの種類が車両であると判別する。
[ドップラースペクトルの広がりおよびピークの大きさに基づく判別処理]
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおける判別部の変形例の構成を示す図である。
図7を参照して、判別部25の変形例である判別部26は、ピーク探索部51と、スペクトル広がり算出部52と、除算部54と、判別処理部55とを含む。ピーク探索部51およびスペクトル広がり算出部52は、図6に示すピーク探索部51およびスペクトル広がり算出部52とそれぞれ同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
判別部26は、たとえば、ドップラースペクトルDS1における周波数成分の大きさが連続して所定値Thaより大きくなる区間の長さと当該区間における各周波数成分の大きさとに基づいて判別処理を行う。
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る判別部が処理する歩行者のドップラースペクトルの一例を示す図である。横軸は、ドップラー周波数f1dを示し、縦軸は、振幅を示す。図8に示すドップラースペクトルDS1mは、図4に示すドップラースペクトルDS1mと同じである。
以下、判別部26が図8に示すドップラースペクトルDS1mに基づいて判別処理を行う場合について詳細に説明する。すなわち、判別部26におけるピーク探索部51は、ドップラースペクトルDS1mに基づいて、ピークに対応するインデックスpmを特定し、特定したインデックスpmをスペクトル広がり算出部52および除算部54へ出力する。
スペクトル広がり算出部52は、ピーク探索部51から受けるインデックスpmに基づいて、ドップラースペクトルDS1mの広がりDSWmを算出し、算出した広がりDSWmを除算部54へ出力する。
除算部54は、たとえば、ピーク探索部51から受けるインデックスpmに基づいて、DS信号Sfm[pm]をドップラースペクトルDS1mにおけるピークの最大値Pmaxmとして取得する。
除算部54は、たとえば、スペクトル広がり算出部52から受ける広がりDSWmで最大値Pmaxmを除算し、特徴量としてPmaxm/DSWmを算出する。そして、除算部54は、算出したPmaxm/DSWmを判別処理部55へ出力する。
判別処理部55は、たとえば、除算部54からPmaxm/DSWmを受けると、Pmaxm/DSWmが所定のしきい値Thrより小さい場合、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類が人間であると判別する。また、判別処理部55は、たとえば、Pmaxm/DSWmがしきい値Thr以上である場合、検知対象Tgtの種類が車両であると判別する。
具体的には、ドップラースペクトルDS1mでは、図8に示すように、歩行者Tgt2の反射断面積σが小さいためピークの最大値Pmaxmが小さく、かつ、腕、足および胴体等の各部位における表面部分Piの検出対象速度vdiがばらつくため広がりDSWmが大きい。このため、Pmaxm/DSWmがしきい値Thrより小さくなり、判別処理部55は、検知対象Tgtの種類が人間であると判別する。判別処理部55は、判別結果を信号制御装置151へ送信する。
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る判別部が処理する自動車のドップラースペクトルの一例を示す図である。横軸は、ドップラー周波数f1dを示し、縦軸は、振幅を示す。図9に示すドップラースペクトルDS1cは、図5に示すドップラースペクトルDS1cと同じである。
以下、判別部26が図9に示すドップラースペクトルDS1cに基づいて判別処理を行う場合について、簡単に説明する。すなわち、除算部54は、たとえば、ピーク探索部51がドップラースペクトルDS1cに基づいて、ピークに対応するインデックスpcを特定すると、DS信号Sfc[pc]をドップラースペクトルDS1cにおけるピークの最大値Pmaxcとして取得する。
除算部54は、たとえば、スペクトル広がり算出部52から受けるドップラースペクトルDS1cの広がりDSWcで最大値Pmaxcを除算し、特徴量としてPmaxc/DSWcを算出する。そして、除算部54は、算出したPmaxc/DSWcを判別処理部55へ出力する。
具体的には、ドップラースペクトルDS1cでは、図9に示すように、自動車Tgt1の反射断面積σが大きいためピークの最大値Pmaxcが大きく、かつ、フェンダー、窓ガラスおよびドア等の各部位における表面部分Piの検出対象速度vdiがほぼ一定であるためスペクトルの広がりDSWcが小さい。このため、Pmaxc/DSWcがしきい値Thr以上になり、判別処理部55は、検知対象Tgtの種類が車両であると判別する。
[ドップラースペクトルの傾きに基づく判別処理]
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおける判別部の変形例の構成を示す図である。
図10を参照して、判別部25の変形例である判別部27は、ピーク探索部51と、広がり範囲算出部56と、傾き算出部57と、判別処理部58とを含む。ピーク探索部51は、図6に示すピーク探索部51と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
判別部27は、たとえば、ドップラースペクトルDS1における周波数成分の大きさの変化度合いに基づいて判別処理を行う。
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る判別部が処理する歩行者のドップラースペクトルの一例を示す図である。横軸は、ドップラー周波数f1dを示し、縦軸は、振幅を示す。図11に示すドップラースペクトルDS1mは、図4に示すドップラースペクトルDS1mと同じである。
以下、判別部27が図11に示すドップラースペクトルDS1mに基づいて判別処理を行う場合について詳細に説明する。すなわち、判別部27におけるピーク探索部51は、ドップラースペクトルDS1mに基づいて、ピークに対応するインデックスpmを特定し、特定したインデックスpmを広がり範囲算出部56へ出力する。
広がり範囲算出部56は、たとえば、ドップラースペクトルDS1mにおける周波数成分の大きさが連続して所定値Thaより大きくなる対象範囲を算出する。
具体的には、広がり範囲算出部56は、ピーク探索部51から受けるインデックスpmに基づいて、DS信号Sfmの大きさが連続して所定値Thaより大きくなる対象範囲が、インデックスが(pm−5)から(pm+3)までの範囲であると認識する。そして、広がり範囲算出部56は、認識した対象範囲の始点のインデックス(pm−5)および終点のインデックス(pm+3)を傾き算出部57へ出力する。
傾き算出部57は、たとえば、ドップラースペクトルDS1における対象範囲に含まれる周波数成分の大きさの変化度合いの平均を算出する。より詳細には、傾き算出部57は、たとえば、広がり範囲算出部56から対象範囲の始点および終点のインデックスを受けると、対象範囲に含まれるDS信号の傾きの絶対値の平均を算出する。
具体的には、傾き算出部57は、たとえば、広がり範囲算出部56から始点のインデックス(pm−5)および終点のインデックス(pm+3)を受けると、インデックス(pm−5)から(pm+3)までの各インデックスに対応するDS信号Sfmの傾きの絶対値を算出する。
傾き算出部57は、たとえば、インデックス(pm−5)に対しては、傾きGr[pm−5]の絶対値を、|Sfm[pm−4]−Sfm[pm−5]|/dfと算出する。
傾き算出部57は、インデックス(pm−4)から(pm+3)までの各インデックスに対しても同様に、傾きの絶対値|Gr[pm−4]|〜|Gr[pm+3]|を算出する。そして、傾き算出部57は、たとえば、傾きの絶対値|Gr[pm−5]|〜|Gr[pm+3]|の平均値Avemを特徴量として算出し、算出した平均値Avemを判別処理部58へ出力する。
判別処理部58は、たとえば、傾き算出部57から平均値Avemを受けると、平均値Avemが所定のしきい値Thgより小さい場合、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類が人間であると判別する。また、判別処理部55は、たとえば、平均値Avemがしきい値Thg以上である場合、検知対象Tgtの種類が車両であると判別する。
具体的には、ドップラースペクトルDS1mでは、図11に示すようにピークの最大値であるSfm[pm]が小さく、かつ、DSWmが大きい。このため、平均値Avemがしきい値Thgより小さくなるため、判別処理部58は、検知対象Tgtの種類が人間であると判別する。判別処理部58は、判別結果を信号制御装置151へ送信する。
図12は、本発明の第1の実施の形態に係る判別部が処理する自動車のドップラースペクトルの一例を示す図である。横軸は、ドップラー周波数f1dを示し、縦軸は、振幅を示す。図12に示すドップラースペクトルDS1cは、図5に示すドップラースペクトルDS1cと同じである。
以下、判別部27が図12に示すドップラースペクトルDS1cに基づいて判別処理を行う場合について、簡単に説明する。すなわち、ピーク探索部51は、ドップラースペクトルDS1cに基づいて、ピークに対応するインデックスpcを特定し、特定したインデックスpcを広がり範囲算出部56へ出力する。
広がり範囲算出部56は、ピーク探索部51から受けるインデックスpcに基づいて、インデックスが(pc−2)から(pc+2)までの対象範囲を認識し、対象範囲の始点および終点のインデックスを傾き算出部57へ出力する。
傾き算出部57は、たとえば、広がり範囲算出部56から対象範囲の始点および終点のインデックスを受けると、対象範囲に含まれるDS信号の傾きの絶対値の平均を算出する。
具体的には、たとえば、傾き算出部57は、始点のインデックス(pc−2)に対しては、傾きGr[pc−2]の絶対値を、|Sfc[pc−1]−Sfc[pc−2]|/dfと算出する。傾き算出部57は、インデックス(pc−1)から(pc+2)までの各インデックスに対しても同様に、傾きの絶対値|Gr[pc−1]|〜|Gr[pc+2]|を算出する。そして、傾き算出部57は、たとえば、傾きの絶対値|Gr[pc−2]|〜|Gr[pc+2]|の平均値Avecを特徴量として算出し、算出した平均値Avecを判別処理部58へ出力する。
たとえば、ドップラースペクトルDS1cでは、図12に示すようにピークの最大値であるSfc[pc]が大きく、かつ、広がりDSWcが小さい。このため、平均値Avecがしきい値Thg以上になるため、判別処理部58は、検知対象Tgtの種類が車両であると判別する。
なお、本発明の第1の実施の形態に係る判別部は、たとえば、ドップラースペクトルDS1における所定の周波数範囲において、各周波数成分の大きさの平均とピークの最大値の大きさとの比に基づいて判別処理を行ってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る判別部は、たとえば、ドップラースペクトルDS1における所定の周波数範囲に含まれる各周波数成分の振幅をピークの最大値で規格化し、規格化後の各周波数成分の振幅を当該周波数範囲で積分した値に基づいて判別処理を行ってもよい。
具体的には、判別部は、たとえば、積分した値が所定値より大きい場合、検知対象Tgtの種類が人間であると判別し、また、積分した値が所定値以下である場合、検知対象Tgtの種類が車両であると判別する。
[動作]
図13は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが対象エリアにおける検知対象の種類を判別する際の動作手順を定めたフローチャートである。信号制御システム201における電波センサ101は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。この装置のプログラムは、外部からインストールすることができる。この装置のプログラムは、記録媒体に格納された状態で流通する。
図13を参照して、電波センサ101は、たとえば、観測時間Tobsを1観測サイクルとし、1観測サイクルの間に送信した送信波T1(t)に対する反射波R1(t)に基づいて判別処理を行う。
まず、電波センサ101は、たとえば、信号制御装置151から測定開始命令を受信した場合、観測サイクルをカウントするためのカウント値Ctをゼロに設定し、送信アンテナ14から送信波T1(t)を対象エリアA1へ送信する(ステップS102)。
次に、電波センサ101は、カウント値Ctをインクリメントし、Ct+1回目の観測サイクルを開始する(ステップS104)。
次に、電波センサ101は、Ct+1回目の観測サイクルの間、受信する反射波R1(t)および送信波T1(t)から生成される差分信号B1(t)を蓄積し、蓄積した差分信号B1(t)に基づいて周波数スペクトルすなわちドップラースペクトルDSを作成する(ステップS106)。
次に、電波センサ101は、作成したドップラースペクトルDSを構成するDS信号Sf[0]〜Sf[nmax−1]において、所定値Thaより大きいDS信号Sfがある場合(ステップS108でYES)、ドップラースペクトルDSから評価値として広がりDSWを算出する(ステップS110)。
次に、電波センサ101は、Ctが10以上であるか否かを判断する(ステップS112)。
一方、電波センサ101は、DS信号Sf[0]〜Sf[nmax−1]において、所定値Thaより大きいDS信号Sfがない場合(ステップS108でNO)、Ctが10以上であるか否かを判断する(ステップS112)。
次に、電波センサ101は、Ctが10以上である場合において(ステップS112でYES)、直近の10観測サイクルのうち5以上の観測サイクルにおいて評価値を算出したとき(ステップS114でYES)、直近の10観測サイクルにおいて算出された評価値の平均値Aveを算出する(ステップS116)。
一方、電波センサ101は、Ctが10以上でない場合(ステップS112でNO)、または直近の10観測サイクルのうち5以上の観測サイクルにおいて評価値を算出していない場合(ステップS114でNO)、カウント値Ctをインクリメントし、Ct+1回目の観測サイクルを開始する(ステップS104)。
次に、電波センサ101は、算出した平均値Aveがしきい値Thbより小さい場合(ステップS118でYES)、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類を車両と判別し、判別結果を信号制御装置151へ送信する(ステップS120)。
一方、電波センサ101は、算出した平均値Aveがしきい値Thb以上である場合(ステップS118でNO)、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類を人間と判別し、判別結果を信号制御装置151へ送信する(ステップS122)。
次に、電波センサ101は、カウント値Ctをインクリメントし、Ct+1回目の観測サイクルを開始する(ステップS104)。
なお、電波センサ101は、上記ステップS110において、広がりDSWの代わりに、ピークの最大値および広がりDSWの比または傾きの絶対値の平均値を評価値としてドップラースペクトルDSから算出してもよい。この際、電波センサ101は、上記ステップS118において、上記比または傾きの絶対値の平均値と所定のしきい値との大小関係に基づいて、検知対象Tgtの種類が人間であるか、または車両であるかを判別する。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、送信波および反射波から生成される差分信号に基づいてドップラースペクトルを作成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。電波センサは、たとえば、送信波の周波数と異なる周波数を有するローカル信号および反射波から生成される差分信号に基づいて中間周波数帯の周波数スペクトルIFFSを作成する構成であってもよい。
周波数スペクトルIFFSでは、非ドップラー反射波に基づく差分信号が直流成分にならないため、当該差分信号の周波数fndより高周波領域に電波センサに近づく検知対象Tgtからのドップラー反射波の振幅が位置し、また、周波数fndより低周波領域に電波センサから遠ざかる検知対象Tgtからのドップラー反射波の振幅が位置する。
したがって、電波センサは、周波数スペクトルIFFSにおいて、たとえば、周波数fndに対して高周波領域および低周波領域における対象信号に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類を判別する。
ところで、特許文献1に記載の物体識別装置では、音波または電磁波の照射処理および検出処理と画像処理とを用いて物体の種別を識別するため、装置の構成が複雑になり、かつコストがかかるという問題がある。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、送信部1は、対象エリアA1へ送信波T1(t)を送信する。受信部2は、対象エリアA1からの反射波R1(t)を受信する。差分信号生成部19は、所定の電波の周波数成分と受信部2によって受信される反射波R1(t)の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号を生成する。FFT処理部24は、差分信号生成部19によって生成された差分信号の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成する。そして、判別部25〜27は、FFT処理部24によって作成された周波数分布情報に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類を判別する判別処理を行う。
このように、検知対象Tgtにおける各表面部分Piの検出対象速度vdiの分布についての情報である周波数分布情報を用いる構成により、周波数分布情報は検知対象Tgtの種類に応じて異なることから、検知対象Tgtの種類を精度よく判別することができる。
また、画像処理を行うことなく検知対象Tgtの種類を判別することができるので、電波センサ101を低コストかつ簡易な構成にすることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、差分信号生成部19は、送信部1によって送信される送信波T1(t)の周波数成分と受信部2によって受信される反射波R1(t)の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号B1(t)を生成する。
このような構成により、送信部1から送信される送信波T1(t)を差分信号B1(t)の生成に用いることができ、また、低周波領域の差分信号B1(t)を処理すればよくなるので、電波センサ101の製造コストを低減することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、判別部25は、周波数分布における周波数成分の大きさが連続して所定値Thaより大きくなる区間の長さに基づいて判別処理を行う。
このような構成により、検知対象Tgtにおける各表面部分Piの検出対象速度vdiのばらつきに基づいて、各表面部分Piの検出対象速度vdiの分布を表すパラメータを適切に定量化することができる。これにより、電波センサ101では、定量化したパラメータに基づいて検知対象Tgtの種類を簡易な処理で判別することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、判別部26は、周波数分布における周波数成分の大きさが連続して所定値Thaより大きくなる区間の長さと当該区間における各周波数成分の大きさとに基づいて判別処理を行う。
このような構成により、検知対象Tgtにおける各表面部分Piの検出対象速度vdiのばらつきおよび各表面部分Piからの反射波の振幅に基づいて、各表面部分Piの検出対象速度vdiの分布を表すパラメータをより適切に定量化することができる。これにより、電波センサ101では、定量化したパラメータに基づいて検知対象Tgtの種類を簡易な処理で判別することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、判別部27は、周波数分布における周波数成分の大きさの変化度合いに基づいて判別処理を行う。
このような構成により、検知対象Tgtにおける各表面部分Piの検出対象速度vdiのばらつきが反映される各表面部分Piからの反射波の振幅の変化度合いに基づいて、各表面部分Piの検出対象速度vdiの分布を表すパラメータを適切に定量化することができる。これにより、電波センサ101では、定量化したパラメータに基づいて検知対象Tgtの種類を簡易な処理で判別することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、判別部25〜27は、判別処理として、対象エリアA1における人間および車両を判別する。
このような構成により、各表面部分Piの相対配置を変えながら移動するため各表面部分Piの検出対象速度vdiのばらつきが大きい人間と、各表面部分Piの相対配置を維持しながら移動するため各表面部分Piの検出対象速度vdiのばらつきが小さい車両とを、各表面部分Piの検出対象速度vdiの分布についての情報である周波数分布情報に基づいて精度よく判別することができる。
たとえば、道路Rd1上または道路Rd1付近において、自動車Tgt1等の移動速度の大きい検知対象Tgtの進行方向Dcと、歩行者Tgt2等の移動速度の小さい検知対象Tgtの進行方向Dwとが平行に近い場合、進行方向DcまたはDwにおける自動車Tgt1全体および歩行者Tgt2全体の検出対象速度が大きく異なるので、検出対象速度の大きさに基づいて検知対象Tgtの種類を容易に判別することが可能である。
一方、図1に示すように、たとえば、進行方向Dcすなわち速度vcの方向と進行方向Dwすなわち速度vmの方向とのなす角度が直角に近づく場合、方向Dirとほぼ平行な進行方向Dwにおける自動車Tgt1および歩行者Tgt2の検出対象速度が近くなるときがある。このとき、検出対象速度の大きさに基づいて検知対象Tgtの種類を判別することが困難となる。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサは、道路Rd1上または道路Rd1付近に設置される。そして、送信部1における送信アンテナ14の指向性の方向Dirは、対象エリアA1における検知対象Tgtの進行方向と交差する。
このような構成により、移動速度の速い道路Rd1上の検知対象Tgtの進行方向Dcと移動速度の遅い道路Rd1上の検知対象Tgtの進行方向Dwとが交差し、両検知対象Tgt全体の検出対象速度が近くなる場合であっても、検知対象Tgtにおける各表面部分Piの検出対象速度vdiの分布についての情報である周波数分布情報に基づいて、検知対象Tgtの種類を精度よく判別することができる。
なお、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、検知対象Tgtとして自動車Tgt1および歩行者Tgt2の種類を判別する構成であるとしたが、これに限定するものではない。電波センサは、たとえば、自動車Tgt1および歩行者Tgt2に加えて自転車およびオートバイ等の二輪車を含む検知対象Tgtの種類の判別に適用することも可能である。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電波センサと比べて、検知対象全体の検出対象速度および検知対象までの距離に関する情報を判別処理のための情報として加える電波センサに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電波センサと同様である。
[電波センサの構成]
図14は、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサの構成を示す図である。
図14を参照して、電波センサ102は、第1の実施の形態に係る電波センサ101と比べて、判別部25,26,27の代わりに、判別部35,36,37をそれぞれ備え、さらに、周波数切替部34を備える。受信部2およびA/Dコンバータ23は、図2に示す受信部2およびA/Dコンバータ23とそれぞれ同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
電波センサ102におけるミリ波生成部11は、対象エリアA1へ異なる周波数の電波を送信アンテナ14経由で交互に送信する。差分信号生成部19は、所定の電波の周波数成分と受信アンテナ17によって受信される電波の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号を生成する。FFT処理部24は、差分信号生成部19によって生成された差分信号の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を、送信される異なる周波数の電波ごとに作成する。判別部25は、FFT処理部24によって作成された各周波数の電波に対応する周波数分布情報に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類を判別する判別処理を行う。
図15は、本発明の第2の実施の形態に係る周波数切替部が出力する信号のレベルおよびミリ波生成部が生成するミリ波の周波数の時間変化の一例を示す図である。
図15を参照して、電波センサ102は、たとえば、非特許文献1および非特許文献2に記載された2周波CW(Continuous−Wave)方式に従って、検知対象Tgt全体の検出対象速度vdおよび検知対象Tgtまでの距離Lを取得し、取得した検出対象速度vdおよび距離Lに基づいて判別処理を行う。以下、検知対象Tgt全体の検出対象速度vdを代表速度vdとも称する。
より詳細には、電波センサ102における周波数切替部34は、送信アンテナ14から送信される送信波の周波数を所定時間ごとにf1およびf2に交互に切替える。具体的には、周波数切替部34は、図15に示すように、たとえば2マイクロ秒ごとにハイレベルおよびローレベルの切り替わる切替信号をFFT処理部24および送信部1へ出力する。
送信部1における電圧発生部12は、たとえば、周波数切替部34から受ける切替信号のレベルに応じた電圧を生成し、生成した電圧を電圧制御発振器13へ出力する。電圧制御発振器13は、たとえば、図15に示すように、ローレベルの切替信号に応じた電圧を電圧発生部12から受ける場合、周波数f1を有する送信波T1(t)を生成する。また、電圧制御発振器13は、たとえば、ハイレベルの切替信号に応じた電圧を電圧発生部12から受ける場合、以下の式(8)に示す周波数f2を有する送信波T2(t)を生成する。周波数f1とf2との差は、たとえば数MHzである。
ここで、φ2は初期位相である。なお、送信波T2(t)の振幅および送信波T1(t)の振幅はたとえば共にAである。
電圧制御発振器13は、生成した送信波T1(t)および送信波T2(t)を送信アンテナ14へ交互に出力する。電圧制御発振器13から交互に出力された送信波T1(t)および送信波T2(t)は、送信アンテナ14から対象エリアA1へ送信される。
受信部2は、送信アンテナ14から送信波T1(t)が送信されている期間、式(4)に示す反射波R1(t)を受信する。また、受信部2は、送信アンテナ14から送信波T2(t)が送信されている期間、式(2)〜(4)と同様に導出される、以下の式(9)に示す反射波R2(t)を受信する。
差分信号生成部19は、送信アンテナ14から送信波T1(t)が送信されている期間、式(7)に示す差分信号B1(t)を生成する。また、差分信号生成部19は、送信アンテナ14から送信波T2(t)が送信されている期間、式(2)〜(7)と同様に導出される、以下の式(10)に示す差分信号B2(t)を生成する。
ここで、K2iは部分差分信号の振幅である。−4π×f2×Li/cが遅延位相θ2iである。2×f2×vdi/cがドップラー周波数f2diである。
FFT処理部24は、たとえば、周波数切替部34がローレベルおよびハイレベルの切替信号を出力する期間、A/Dコンバータ23から受けるデジタル信号に基づいて差分信号B1(t)およびB2(t)の周波数分布と位相分布とをそれぞれ作成する。
より詳細には、FFT処理部24は、差分信号B1(t),B2(t)からドップラースペクトルDS1,ドップラースペクトルDS2をそれぞれ生成する。また、FFT処理部24は、たとえば、差分信号B1(t),B2(t)から位相スペクトルPS1,PS2をそれぞれ生成する。位相スペクトルPS1,PS2は、観測時間Tobsにおける差分信号B1(t),B2(t)にそれぞれ含まれる各周波数成分の位相を示す。
FFT処理部24は、生成したドップラースペクトルDS1,DS2および位相スペクトルPS1,PS2を判別部35へ出力する。
[代表速度および距離を加えた判別処理]
図16は、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサにおける判別部の構成を示す図である。
図16を参照して、判別部35は、本発明の第1の実施の形態に係る判別部25と比べて、さらに、距離取得部32と、移動速度取得部33とを含む。
移動速度取得部33は、たとえば、受信部2によって受信される反射波R1(t)またはR2(t)に基づいて、自己の電波センサ102に対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った検知対象Tgtの移動速度すなわち代表速度vdを取得する。
具体的には、移動速度取得部33は、たとえば、ピーク探索部51からドップラースペクトルDS1のピークの最大値に対応するインデックスpmを受けると、FFT処理部24から受けるドップラースペクトルDS1を参照し、インデックスpmに対応するピークドップラー周波数f1dmaxを算出する。周波数f1dmaxは、たとえばdf×pmである。
なお、移動速度取得部33は、たとえば、ドップラースペクトルDS2に基づいて、ドップラースペクトルDS2のピークの最大値に対応するピークドップラー周波数f2dmaxを算出してもよい。
移動速度取得部33は、たとえば、式(5)および(10)に基づく以下の式(11)を用いてピークドップラー周波数f1dmaxまたはf2dmaxから算出される速度vdを、代表速度vdとして算出する。移動速度取得部33は、算出した代表速度vdを判別処理部53へ出力する。
距離取得部32は、たとえば、受信部2によって受信される反射波R1(t),R2(t)に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtと自己の電波センサ102との間の距離Lを取得する。
具体的には、距離取得部32は、たとえば、ピーク探索部51からインデックスpmを受けると、ドップラースペクトルDS1を参照し、インデックスpmに対応するピークドップラー周波数f1dmaxを算出する。そして、距離取得部32は、たとえば、FFT処理部24から受ける位相スペクトルPS1を参照し、ピークドップラー周波数f1dmaxにおける位相θ1dmaxを取得する。
同様に、距離取得部32は、たとえば、FFT処理部24から受ける位相スペクトルPS2を参照し、ピークドップラー周波数f2dmaxにおける位相θ2dmaxを取得する。
距離取得部32は、たとえば、式(5)および(10)に基づく以下の式(12)を用いて、位相θ1dmax,θ2dmaxから距離Lを算出する。距離取得部32は、算出した距離Lを判別処理部53へ出力する。
判別処理部53は、ドップラースペクトルDS1またはDS2、移動速度取得部33から受ける代表速度vd、および距離取得部32から受ける距離Lに基づいて、判別処理を行う。
具体的には、判別処理部53は、たとえば、ドップラースペクトルDS1またはDS2から算出される広がりDSWに基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類が人間であると判別すべき場合において、以下の処理を行う。
すなわち、判別処理部53は、たとえば、代表速度vdが所定のしきい値Thv、具体的には30キロメートル毎時より大きいとき、判別処理を保留する。
より詳細には、代表速度vdがしきい値Thvより大きい場合、検知対象Tgtの種類は車両である可能性が高い。したがって、広がりDSWに基づく判別が誤っている可能性が高い。
また、判別処理部53は、たとえば、距離Lが所定のしきい値Thlより大きいとき、判別処理を保留する。
より詳細には、たとえば、電波センサ102と対象エリアA1との距離が既知の30〜40メートルである場合において、距離取得部32から受ける距離Lが100メートルであるとき、正しく測定されていない可能性が高い。したがって、広がりDSWに基づく判別が誤っている可能性が高い。
上記のように、広がりDSWに基づく判別が誤っている可能性が高い場合において、判別処理を保留することにより、判別処理部53が誤った判別結果を信号制御装置151へ送信してしまうことを回避することができる。
なお、電波センサ102は、判別部35の代わりに、判別部36または37を備えていてもよい。判別部36または37は、判別部35と同様に、本発明の第1の実施の形態に係る判別部26または27が行う判別処理に対して、代表速度vdおよび検知対象Tgtまでの距離Lに関する情報を判別処理のための情報としてそれぞれ加える。
また、判別部35,36,37は、距離取得部32から受ける距離Lに応じて、判別処理にそれぞれ用いるしきい値Thb,Thr,Thgを変更してもよい。
具体的には、たとえば、判別部36は、距離取得部32から受ける距離Lが30メートル未満であるか否かに応じてしきい値Thrを変更する。より詳細には、判別部36は、たとえば、距離Lが30メートル未満である場合にしきい値Thrとして用いる値を距離Lが30メートル以上である場合にしきい値Thrとして用いる値より大きくする。
これにより、たとえば、広がりDSWの距離Lに対する変化があまりない一方、距離Lが小さいほどピークの最大値Pmaxが大きくなる場合においても、判別部36は、Pmax/DSWに基づいて検知対象Tgtの種類を精度よく判別することができる。
[動作]
図17は、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサが対象エリアにおける検知対象の種類を判別する際の動作手順を定めたフローチャートである。
図17を参照して、ステップS202〜S220の動作は、図13に示すフローチャートにおけるステップS102〜S120の動作と同様であるため、ここでは詳細な説明は繰り返さない。
次に、電波センサ102は、算出した平均値Aveがしきい値Thb以上である場合(ステップS218でNO)、代表速度vdおよび検知対象Tgtまでの距離Lを算出する(ステップS222)。
次に、電波センサ102は、算出した代表速度vdがしきい値Thv以下であり、かつ算出した距離Lがしきい値Thl以下である場合(ステップS224でNO)、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類を人間と判別し、判別結果を信号制御装置151へ送信する(ステップS226)。
一方、電波センサ102は、算出した代表速度vdがしきい値Thvより大きいか、または算出した距離Lがしきい値Thlより大きい場合(ステップS224でYES)、判別処理を保留する。
次に、電波センサ102は、カウント値Ctをインクリメントし、Ct+1回目の観測サイクルを開始する(ステップS204)。
なお、電波センサ102は、上記ステップS222において、Ct回目のドップラースペクトルDSに基づいて代表速度vdおよび距離Lを算出してもよいし、直近の10サイクル分のドップラースペクトルDSに基づく代表速度vdおよび距離Lの平均を算出してもよい。
また、代表速度vdについては、2周波CW方式を用いなくても算出することが可能である。したがって、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサ101により行われる判別処理に、ピークドップラー周波数f1dmaxおよび式(11)を用いて算出した検知対象全体の検出対象速度に関する情報を判別処理のための情報として加えてもよい。
また、電波センサ102は、上記ステップS224において、代表速度vdおよび距離Lのいずれか一方に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類を人間と判別するか、判別処理を保留するかの判断を行ってもよい。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電波センサと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサでは、移動速度取得部33は、受信部2によって受信される反射波R1(t)またはR2(t)に基づいて、自己の電波センサ102に対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った検知対象Tgtの代表速度vdを取得する。そして、判別部35〜37は、周波数分布情報および移動速度取得部33によって取得された代表速度vdに基づいて判別処理を行う。
このように、代表速度vdを判別処理のための情報として加える構成により、判別部35〜37が誤った判別をしてしまう可能性を低下させることができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサでは、距離取得部32は、受信部2によって受信される反射波R1(t),R2(t)に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtと自己の電波センサ102との間の距離Lを取得する。そして、判別部35〜37は、周波数分布情報および距離取得部32によって取得された距離Lに基づいて判別処理を行う。
このように、電波センサ102から検知対象Tgtまでの距離Lを判別処理のための情報として加える構成により、判別部35〜37が誤った判別をしてしまう可能性を低下させることができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電波センサと比べて、反射波から直接周波数分布情報を作成する電波センサに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電波センサと同様である。
[電波センサの構成]
図18は、本発明の第3の実施の形態に係る電波センサの構成を示す図である。
図18を参照して、電波センサ103は、第1の実施の形態に係る電波センサ101と比べて、送信部1、差分信号生成部19、A/Dコンバータ23およびFFT処理部24の代わりに、送信部3、A/Dコンバータ43およびFFT処理部(分析部)44を備える。送信部3は、第1の実施の形態に係る送信部1と比べて、方向性結合器16を含まない。
ミリ波生成部11、送信アンテナ14、パワーアンプ15、受信部2および判別部25は、図2に示すミリ波生成部11、送信アンテナ14、パワーアンプ15、受信部2および判別部25とそれぞれ同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
A/Dコンバータ43は、たとえばミリ波帯の周波数成分を有する信号を処理することが可能であり、所定のサンプリング周波数を用いて反射波R1(t)のサンプリング処理を行う。より詳細には、A/Dコンバータ43は、ローノイズアンプ18から受ける反射波R1(t)を、たとえば所定のサンプリング周波数を用いてmビット(mは2以上の自然数)のデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号をFFT処理部44へ出力する。
FFT処理部44は、たとえば、A/Dコンバータ43から受けるデジタル信号に基づいて反射波R1(t)の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成する。具体的には、FFT処理部44は、たとえば、A/Dコンバータ43から受けるデジタル信号を高速フーリエ変換し、観測時間Tobsにおける反射波R1(t)のミリ波周波数スペクトルMWFS1を周波数分布情報として作成する。FFT処理部44は、作成したミリ波周波数スペクトルMWFS1を判別部25へ出力する。
なお、FFT処理部44が作成するミリ波周波数スペクトルMWFS1は、本発明の第1の実施の形態に係るFFT処理部24が作成するドップラースペクトルDS1と比べて、周波数f1より高周波領域に電波センサ103に近づく検知対象Tgtからのドップラー反射波R1d(t)の振幅が位置し、また、周波数f1より低周波領域に電波センサ103から遠ざかる検知対象Tgtからのドップラー反射波R1d(t)の振幅が位置する。
したがって、電波センサ103は、ミリ波周波数スペクトルMWFS1において、たとえば、周波数f1に対して高周波領域および低周波領域における対象信号に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類を判別する。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電波センサと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
以上のように、本発明の第3の実施の形態に係る電波センサでは、送信部3は、対象エリアA1へ送信波T1(t)を送信する。受信部2は、対象エリアA1からの反射波R1(t)を受信する。FFT処理部44は、受信部2によって受信される反射波R1(t)の周波数分布に関する情報であるミリ波周波数スペクトルMWFS1を作成する。そして、判別部25〜27は、FFT処理部44によって作成されたミリ波周波数スペクトルMWFS1に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類を判別する判別処理を行う。
このように、検知対象Tgtにおける各表面部分Piの検出対象速度vdiの分布についての情報である周波数分布情報を用いる構成により、周波数分布情報は検知対象Tgtの種類に応じて異なることから、検知対象Tgtの種類を精度よく判別することができる。
また、画像処理を行うことなく検知対象Tgtの種類を判別することができるので、電波センサ103を低コストかつ簡易な構成にすることができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第4の実施の形態>
本実施の形態は、第3の実施の形態に係る電波センサと比べて、検知対象全体の検出対象速度および検知対象までの距離に関する情報を判別処理のための情報として加える電波センサに関する。以下で説明する内容以外は第3の実施の形態に係る電波センサと同様である。
[電波センサの構成]
図19は、本発明の第4の実施の形態に係る電波センサの構成を示す図である。
図19を参照して、電波センサ104は、第3の実施の形態に係る電波センサ103と比べて、判別部25,26,27の代わりに、判別部35,36,37をそれぞれ備え、さらに、周波数切替部34を備える。
A/Dコンバータ43は、図18に示すA/Dコンバータ43と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。周波数切替部34、ミリ波生成部11、送信アンテナ14、パワーアンプ15、受信部2および判別部35〜37は、図14に示す周波数切替部34、ミリ波生成部11、送信アンテナ14、パワーアンプ15、受信部2および判別部35〜37とそれぞれ同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
FFT処理部44は、たとえば、周波数切替部34がローレベルおよびハイレベルの信号を出力する期間、A/Dコンバータ43から受けるデジタル信号に基づいて反射波R1(t),R2(t)の周波数分布と位相分布とをそれぞれ作成する。
より詳細には、FFT処理部44は、反射波R1(t),R2(t)からミリ波周波数スペクトルMWFS1,MWFS2をそれぞれ生成する。また、FFT処理部44は、たとえば、反射波R1(t),R2(t)からミリ波位相スペクトルMWPS1,MWPS2をそれぞれ生成する。FFT処理部44は、生成したミリ波周波数スペクトルMWFS1,MWFS2およびミリ波位相スペクトルMWPS1,MWPS2を判別部35へ出力する。
なお、FFT処理部44が作成するミリ波位相スペクトルMWPS1,MWPS2は、ミリ波周波数スペクトルMWFS1,MWFS2と同様に、周波数f1,f2の各々より高周波領域に電波センサ104に近づく検知対象Tgtからのドップラー反射波R1d(t),R2d(t)の位相が位置し、また、周波数f1,f2の各々より低周波領域に電波センサ104から遠ざかる検知対象Tgtからのドップラー反射波R1d(t),R2d(t)の位相が位置する。
また、電波センサ104は、ミリ波周波数スペクトルMWFS1およびMWFS2における対象信号のドップラー周波数を算出する場合、たとえば当該対象信号の周波数と周波数f1およびf2との差の周波数をドップラー周波数としてそれぞれ算出する。そして、電波センサ104は、算出したドップラー周波数および式(11)から代表速度vdを算出する。
その他の構成および動作は第3の実施の形態に係る電波センサと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
以上のように、本発明の第4の実施の形態に係る電波センサでは、移動速度取得部33は、受信部2によって受信される反射波R1(t)またはR2(t)に基づいて、自己の電波センサ104に対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った検知対象Tgtの代表速度vdを取得する。そして、判別部35〜37は、周波数分布情報および移動速度取得部33によって取得された代表速度vdに基づいて判別処理を行う。
このように、代表速度vdを判別処理のための情報として加える構成により、判別部35〜37が誤った判別をしてしまう可能性を低下させることができる。
また、本発明の第4の実施の形態に係る電波センサでは、距離取得部32は、受信部2によって受信される反射波R1(t),R2(t)に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtと自己の電波センサ104との間の距離Lを取得する。そして、判別部35〜37は、周波数分布情報および距離取得部32によって取得された距離Lに基づいて判別処理を行う。
このように、電波センサ104から検知対象Tgtまでの距離Lを判別処理のための情報として加える構成により、判別部35〜37が誤った判別をしてしまう可能性を低下させることができる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
対象エリアへ電波を送信する送信部と、
前記対象エリアからの電波を受信する受信部と、
所定の電波の周波数成分と前記受信部によって受信される電波の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号を生成する差分信号生成部と、
前記差分信号生成部によって生成された前記差分信号の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成する分析部と、
前記分析部によって作成された前記周波数分布情報に基づいて、前記対象エリアにおける検知対象の種類を判別する判別処理を行う判別部とを備え、
前記差分信号生成部は、前記送信部によって送信される電波の周波数成分と前記受信部によって受信される電波の周波数成分との差の周波数成分を有する前記差分信号である低周波差分信号を生成し、
前記分析部は、前記低周波差分信号の周波数スペクトルを前記周波数分布情報として作成し、
前記判別部は、前記周波数スペクトルにおける周波数成分の大きさが連続して所定値より大きくなる区間の長さに基づく前記判別処理、前記区間の長さと前記区間における各周波数成分の大きさの最大値との比に基づく前記判別処理、および前記周波数スペクトルにおける周波数成分の傾きの絶対値に基づく前記判別処理の少なくともいずれか1つを行い、
前記判別部は、前記判別処理として、前記対象エリアにおける人間および車両を判別し、
前記電波センサは、道路上または道路付近に設置され、
前記送信部におけるアンテナの指向性の方向は、前記対象エリアにおける検知対象の進行方向と交差し、前記アンテナは、好ましくは、前記指向性の方向に対する前記検知対象が進行する方向の角度の絶対値が45度以上かつ135度以下になるように設置され、より好ましくは、前記角度の絶対値が略直角になるように設置される、電波センサ。