JP6282459B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents
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〔1〕
ABS樹脂(A)と、
平均粒子径5μm以上、15μm以下のアルミフレーク(B)と、
ポリアルキレングリコール(C)と、を含有し、
前記(A)成分100質量部に対する前記(B)成分の含有量が、0.1質量部以上、10質量部以下であり、
前記(B)成分100質量部に対する前記(C)成分の含有量が、5質量部以上、50質量部以下であり、
JIS K7210に準拠し、220℃、98Nの条件下で測定したメルトフローレートが20g/10分以上である、熱可塑性樹脂組成物。
〔2〕
前記ポリアルキレングリコール(C)が、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールのエステル化誘導体、ポリプロピレングリコール、及びポリプロピレングリコールのエステル化誘導体からなる群より選択される少なくとも1種である、〔1〕に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔3〕
前記熱可塑性樹脂組成物中における前記(A)成分の含有量が、50質量%以上である、〔1〕又は〔2〕に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔4〕
〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる、成形体。
ABS樹脂は、ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル系単量体と必要によりその他の共重合可能な単量体をグラフトさせたグラフト重合体と、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体と必要によりその他の共重合可能な単量体を重合させた重合体と、からなる樹脂である。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、平均粒子径5μm以上、15μm以下のアルミフレーク(B)を含有する。アルミフレーク(B)とは、アルミニウムを主成分とした材質からなる薄片のことをいう。
アルミフレークの平均粒子径は、例えば、光学顕微鏡、レーザー顕微鏡やSEM(走査型電子顕微鏡)等の電子顕微鏡により長径を測定し、それを個々のアルミフレークの粒子径とし、n=50以上の任意の部分の測定結果から、すなわち測定サンプル数を50以上として平均値を算出することにより求められる。
ポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールのエステル化誘導体、ポリプロピレングリコール、及びポリプロピレングリコールのエステル化誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。(C)成分としてこれらを用いることで、アルミフレーク(B)の凝集等を低減することができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物には、剛性、耐衝撃性、耐熱性等を損なわない範囲で、必要に応じて他の添加剤を使用してもよい。その他の添加剤としては、例えば、ホスファイト系、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤及び酸化防止剤;亜リン酸塩、次亜リン酸塩等の着色防止剤;核剤;アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系等の帯電防止剤;顔料等の着色剤が挙げられる。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、樹脂原料、アルミペースト及びその他添加剤を予め混合、混練したものを、例えばオープンロール、インテシブミキサー、インターナルミキサー、コニーダー、二軸ローター付の連続混練機、押出機等の一般的な混和機を用いて、上述した構成成分を溶融混練することにより、製造できる。なお、アルミペーストにはミネラルスピリットやポリアルキレングリコール等で湿潤させたものや、ミネラルスピリットで湿潤させたものからミネラルスピリットを除去し、ポリアルキレングリコール等を規定量配合してアルミペーストとしたもの等を用いることができる。本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、上述した(A)〜(C)成分等の他に、上記した製造方法等で使用されたミネラルスピリット等の成分が残存していたとしても十分な効果が得られる。
<熱可塑性樹脂>
(A−1)ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム質重合体の体積平均粒子径0.3μm、アクリロニトリル12質量%、スチレン38質量%、グラフト率45%、還元粘度0.38m3/kgのABS樹脂
(A−2)アクリロニトリル27質量%、スチレン63質量%、ブチルアクリレート10質量%からなり、ポリスチレン換算で重量平均分子量が110,000であるアクリロニトリル・ブチルアクリレート・スチレン共重合体
(A−3)アクリロニトリル30質量%、スチレン70質量%からなり、ポリスチレン換算で重量平均分子量が137,000であるAS樹脂
なお、AS樹脂の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(東ソー社製、商品名「HLC8220GPC」)、カラム(東ソー社製、商品名「TSK−GEL」、G6000HXL−G5000HXL−G5000HXL−G4000HXL−G3000HXLを直列に連結したもの)を用いて測定を行った。樹脂試料20mg±0.5mgをテトラヒドロフラン10mLに溶解した後、その溶液を0.45μmのフィルターで濾過した。濾過後の溶液を40℃のカラムに100μL注入し、検出器RI温度を40℃に設定して測定し、市販の標準ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。
体積平均粒子径はABS樹脂(A−1)をエポキシ樹脂に包埋させ、四酸化オスミウム、四酸化ルテニウム等の染色剤にて染色処理して、超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行い、超薄切片の任意の範囲10μm×10μmを撮影、染色部が上記ゴム質重合体部分として観察され、染色部の体積平均粒子径を測定し、上記ゴム質重合体の体積平均粒子径とした。
原料のアルミペーストとして、以下のものを使用した。
・旭化成アルミペーストFD−4070:
平均粒子径7μm、平均厚み0.12μmのアルミフレーク(B−1)100質量部に対して、ミネラルスピリット(C−2)40質量部を含有する、アルミペースト
・旭化成アルミペースト0−2100:
平均粒子径10μm、平均厚み0.20μmのアルミフレーク(B−2)100質量部に対して、ミネラルスピリット(C−2)35質量部を含有する、アルミペースト
アルミフレークの平均粒子径は、セイシン企業社製、レーザーミクロンサイザー「LMS−24」を用いて測定した。アルミフレークの平均厚みは、金属成分1g当たりの水面拡散面積WCA(m2/g)を測定し、下式により算出した。
平均厚み(μm)=0.4/[WCA(m2/g)]
水面拡散面積WCAの測定は、前処理として、アルミフレーク粉末約1gに、5%ステアリン酸のミネラルスピリット溶液を1〜2mL加え、予備分散後、石油ベンジン50mL加え混合し、40〜45℃で2時間加温後、フィルターで吸引濾過し、パウダー化した。前処理以外はJIS K5906に準じた方法で行った。
また、ポリエチレングリコールとして、ADEKA社製 商品名「アデカPEG400」を用いた。
旭化成ケミカルズ社製、旭化成アルミペーストFD−4070をアルミフレーク換算量で100gとなるよう秤量し、それとポリエチレングリコール11gをミキサーに入れ、攪拌しながら温度80℃、気圧1kPaに8時間保持してミネラルスピリットを揮発させてアルミペースト1を得た。
得られたアルミペースト1は、平均粒子径7μm、平均厚み0.12μmであるアルミフレーク(B−1)100質量部に対し、(C−1)ポリエチレングリコール10質量部、(C−2)ミネラルスピリット1質量部の割合で含有するものであった。
原料として使用するアルミペーストを旭化成アルミペーストFD−4070から旭化成アルミペースト0−2100に変更した以外は、アルミペースト1と同様の方法にてアルミペースト2を作製した。
得られたアルミペースト2は、平均粒子径10μm、平均厚み0.20μmであるアルミフレーク(B−2)100質量部に対し、(C−1)ポリエチレングリコール10質量部、(C−2)ミネラルスピリット1質量部の割合で含有するものであった。
旭化成ケミカルズ社製、旭化成アルミペーストFD−4070をそのまま用いた。
旭化成ケミカルズ社製、旭化成アルミペースト0−2100をそのまま用いた。
上記熱可塑性樹脂やアルミペーストを、下記表1に示す組成で混合し、田辺プラスチック機械社製「VS30単軸押出機」を用いて250℃で溶融混練して、ペレットを得た。得られたペレットを、ISO 1133に基づき荷重98N、温度220℃の条件にてMFRを測定した。また前記ペレットを、東芝機械社製「IS55EPN射出成形機」を用い、シリンダー設定温度250℃にて射出成形して、長さ90mm、幅45mm、厚み2.5mmの試験片を作製し、下記評価を実施した。
上記試験片の長さ90mm×幅45mmの両面について、直径0.3mm以上の凝集物の個数を測定し評価した。
5点: 0個
4点: 1個〜2個
3点: 3個〜4個
2点: 5個
1点: 6個以上
Claims (4)
- ABS樹脂(A)と、
平均粒子径5μm以上、15μm以下のアルミフレーク(B)と、
ポリアルキレングリコール(C)と、を含有し、
前記(A)成分は、ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル系単量体と必要によりその他の共重合可能な単量体をグラフトさせたグラフト重合体と、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体とブチルアクリレートと必要によりその他の共重合可能な単量体を重合させた重合体とからなる樹脂であり、
前記(A)成分100質量部に対する前記(B)成分の含有量が、0.1質量部以上、10質量部以下であり、
前記(B)成分100質量部に対する前記(C)成分の含有量が、5質量部以上、50質量部以下であり、
JIS K7210に準拠し、220℃、98Nの条件下で測定したメルトフローレートが20g/10分以上である、熱可塑性樹脂組成物。 - 前記ポリアルキレングリコール(C)が、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールのエステル化誘導体、ポリプロピレングリコール、及びポリプロピレングリコールのエステル化誘導体からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂組成物中における前記(A)成分の含有量が、50質量%以上である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる、成形体。
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