JP6282414B2 - 振動センサ - Google Patents

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Description

本発明は、振動センサに関し、薄膜状の圧電素子を用いたセンサに関する。
機械、電気機器等の制御や振動解析を行うための振動センサが広く用いられている。振動センサは、振動検出対象物に取り付けられ、振動検出対象物から与えられた振動に応じた検出値を出力する。振動センサには、振動によって圧力が与えられ、その圧力に応じた電圧を出力する圧電素子を用いたものがある。
振動センサに用いられる圧電素子には、セラミックを圧電材料として用いたものや、PVDF(Polyvinylidene Fluoride:ポリフッ化ビニリデン)を圧電材料として用いたものがある。また、PVDFを用いたものとしては、これを薄膜状としたピエゾフィルムが広く用いられている。
以下の特許文献1には圧電型振動センサが記載されている。この圧電型振動センサは、圧電フィルムと軟質シートとが積層一体化されてなる振動膜と、振動膜の周縁を支持する枠体と、その枠体の中央に位置するように振動膜の一面に取り付けられた錘とを備える。振動膜の両面には電極膜が形成されており、振動に応じた電圧が電極膜から出力される。また、圧電フィルムはPVDFによって構成されている。
特許文献2には、圧電センサが記載されている。この圧電センサは、下部電極と上部電極と圧電体薄膜とを有し、圧電体薄膜が下部電極と上部電極との間に設けられている。下部電極と圧電体薄膜との間、および上部電極と圧電体薄膜との間の少なくとも一方には、空隙が設けられている。圧電体として、PVDF、セラミクス圧電体等が従来から用いられているとの記載がある。
特開2005−106529号公報 特開2009−156641号公報
振動センサの質量が検出値に与える影響を小さくするため、振動センサは軽量であることが好ましい。そこで、薄膜状に形成された振動センサが考え出されている。しかし、薄膜状の振動センサは、質量が十分でないことによって圧電材料に十分な圧力が与えられず、十分な検出感度が得られないことがある。また、温度変化、電磁波ノイズ等によって検出結果に誤差が生じることがある。
本発明は、振動センサの検出性能を向上させることを目的とする。
本発明は、薄膜状の第1圧電素子と、薄膜状の第2圧電素子と、前記第1圧電素子に接し、前記第1圧電素子に重みを与える錘と、前記第1圧電素子および前記第2圧電素子が並列に接続され、前記第1圧電素子および前記第2圧電素子の各検出値に応じた値を出力するバッファアンプであって、並列に接続された前記第1圧電素子および前記第2圧電素子の出力インピーダンスよりも低い出力インピーダンスを有するバッファアンプと、前記バッファアンプに接続された出力導線であって、前記バッファアンプから各検出値に応じた値が出力されると共に、前記バッファアンプに電源電力を供給する出力導線と、を備え、前記第1圧電素子および前記第2圧電素子は、与えられた振動に対する増減が互いに逆である検出値を前記バッファアンプに出力することを特徴とする。
また、本発明に係る振動センサは、望ましくは、前記第1圧電素子および前記第2圧電素子のそれぞれは、前記検出値としての電圧を出力する正相端子および逆相端子を有し、前記第1圧電素子の正相端子が前記第2圧電素子の逆相端子に接続され、前記第1圧電素子の逆相端子が前記第2圧電素子の正相端子に接続されている。
また、本発明に係る振動センサは、望ましくは、前記錘は板状に形成され、前記錘の底面に前記第1圧電素子が接合され、前記錘の上面に前記第2圧電素子が接合されている。
また、本発明に係る振動センサは、望ましくは、前記出力部は、インピーダンス変換を行うバッファアンプを含む。
本発明によれば、振動センサの検出性能を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る振動センサを示す図である。 本発明の実施形態に係る振動センサの断面図である。 振動センサの変形例を示す図である。
図1には、本発明の実施形態に係る振動センサ10が示されている。この振動センサ10は、錘16によって圧電素子に重みを与えることで検出感度を高めると共に、もう一つの圧電素子を用いて温度変化、電磁波ノイズ等に基づく誤差を低減するものである。この振動センサ10は、例えば、建造物における柱、梁、配管等の振動特性の解析に用いられる。また、振動センサ10は、ロボット等の機械の制御に用いてもよい。
振動センサ10は、センサ本体部12、バッファアンプ34、および筐体30を備える。図1では、筐体30は一点鎖線によって描かれ、その他の構成要素は実線で描かれている。センサ本体部12は、円形薄膜状の第1圧電素子14Aおよび第2圧電素子14Bと、円板状の錘16を備える。錘16の底面には第1圧電素子14Aが接合され、錘16の上面には第2圧電素子14Bが接合されている。第1圧電素子14Aおよび第2圧電素子14Bのそれぞれからは、一対の導線が引き出され、各導線がバッファアンプ34に接続されている。バッファアンプ34には検出値を出力する一対の出力導線36および38が接続され、筐体30の外側に引き出されている。筐体30は、円柱形状に形成され、底面が振動検出対象物に固定される。センサ本体部12の第1圧電素子14Aおよび第2圧電素子14Bは、筐体30を介して振動検出対象物から与えられた振動に応じた電圧をバッファアンプ34に出力する。バッファアンプ34は、各圧電素子から出力された電圧に応じた電圧を検出値として、出力導線36および38に出力する。
図2には、振動センサ10の断面図が模式的に示されている。筐体30は、円筒32A、円筒32Aの上端を塞ぐ円板状の上板32Bおよび円筒32Aの下端を塞ぐ円板状の底板32Cを備えている。筐体30は、金属、プラスチック等の剛性の材料で形成されている。筐体30を金属で形成する場合には、例えば、ステンレス等の防食性の高いものが用いられる。
第1圧電素子14Aは、薄膜状の圧電体22A、上側電極20A、下側電極24A、正相端子26p、逆相端子26nおよび外装樹脂18を備える。本実施形態においては、圧電体22A、上側電極20A、および下側電極24Aの形状は円形とする。圧電体22A、上側電極20Aおよび下側電極24Aは、ラミネート加工等により外装樹脂18に覆われている。圧電体22Aには、例えば、PVDFが用いられる。圧電体22Aの上面には上側電極20Aが設けられ、圧電体22Aの底面には下側電極24Aが設けられている。上側電極20Aおよび下側電極24Aには、それぞれ、正相端子26pおよび逆相端子26nが設けられている。正相端子26pおよび逆相端子26nは、ある導体の電位を基準とした平衡電圧を出力する端子対である。
第2圧電素子14Bは、第1圧電素子14Aと同様の構成を有する。すなわち、第2圧電素子14Bは、薄膜状の圧電体22B、上側電極20B、下側電極24B、正相端子28p、逆相端子28nおよび外装樹脂18を備える。本実施形態においては、圧電体22B、上側電極20B、および下側電極24Bの形状は円形とする。圧電体22B、上側電極20Bおよび下側電極24Bは、ラミネート加工等により外装樹脂18に覆われている。圧電体22Bには、例えば、PVDFが用いられる。圧電体22Bの上面には上側電極20Bが設けられ、圧電体22Bの底面には下側電極24Bが設けられている。上側電極20Bおよび下側電極24Bには、それぞれ、正相端子28pおよび逆相端子28nが設けられている。
錘16の上面には第2圧電素子14Bが接合され、錘16の底面には第1圧電素子14Aが接合されている。また、第1圧電素子14Aの底面は筐体30の底板32Cに接合され、センサ本体部12は、筐体30内に固定されている。
第1圧電素子14Aの正相端子26pは第2圧電素子14Bの逆相端子28nに接続され、さらに、バッファアンプ34の正相入力端子piに接続されている。また、第1圧電素子14Aの逆相端子26nは第2圧電素子14Bの正相端子28pに接続され、さらに、バッファアンプ34の逆相入力端子niに接続されている。
バッファアンプ34は、第1圧電素子14Aおよび第2圧電素子14Bから出力された電圧に基づく電圧を正相出力端子poおよび逆相出力端子noから出力する。バッファアンプ34は、並列に接続された第1圧電素子14Aおよび第2圧電素子14Bのインピーダンスよりも低いインピーダンスを出力インピーダンスとして有する。
正相出力端子poおよび逆相出力端子noには、振動解析回路(図示せず)に至る出力導線36および38がそれぞれ接続されている。振動解析回路は、振動センサ10から出力された電圧または電流に基づいて、振動センサ10が検出した振動を表すデータを取得する。
バッファアンプ34のインピーダンス変換作用により、振動センサ10から振動解析回路には、十分な電圧および電流が供給される。なお、振動解析回路は、出力導線36および38を介して、バッファアンプ34に直流の電源電力を供給してもよい。
次に、振動センサ10の動作について説明する。振動検出対象物40の振動は、筐体30の底板32Cを介して第1圧電素子14Aに伝えられる。この振動による加速度に応じて第1圧電素子14Aの圧電体22Aは、上側電極20Aと下側電極24Aとの間に第1振動電圧を発生する。この第1振動電圧は、正相端子26pおよび逆相端子26nからバッファアンプ34の正相入力端子piおよび逆相入力端子niに出力される。
第1圧電素子14Aに伝えられた振動は、さらに、錘16を介して第2圧電素子14Bに伝えられる。この振動による加速度に応じて第2圧電素子14Bの圧電体22Bは、上側電極20Bと下側電極24Bとの間に第2振動電圧を発生する。この第2振動電圧は、正相端子28pおよび逆相端子28nから、バッファアンプ34の逆相入力端子niおよび正相入力端子piに出力される。すなわち、第2圧電素子14Bは、第1振動電圧とは、振動に伴う加速度に対する増減が逆の関係、すなわち、逆位相の関係にある第2振動電圧をバッファアンプ34に出力する。
バッファアンプ34は、正相入力端子piと逆相入力端子niとの間の電圧に比例した電圧を、正相出力端子poおよび逆相出力端子noから出力導線36および38に出力する。
ここで、第1圧電素子14Aは、錘16によって重みが与えられ、錘16によって筐体30の底板32Cに押さえ付けられている。錘16は慣性によって一定の位置に留まろうとするため、振動する第1圧電素子14Aには下方向の圧力が与えられる。一方、第2圧電素子14Bの上面には、第2圧電素子14Bを錘16に押さえ付ける部材が設けられていない。したがって、第1圧電素子14Aの加速度感度は、第2圧電素子14Bの加速度感度よりも大きい。加速度感度は、ある一定の加速度に応じて出力される電圧の大きさとして定義され、加速度感度が大きい程、同一の振動に応じて出力される電圧は大きい。
第1圧電素子14Aの加速度感度は、錘16の質量を大きくする程大きくなる。そこで、本実施形態に係る振動センサ10においては、第1振動電圧から第2振動電圧を減じた電圧が、振動検出のために十分な大きさとなるように錘16の質量が決定されている。例えば、第1振動電圧が第2振動電圧の10倍以上となるように錘16の質量が決定されている。
このように、第1圧電素子14Aが錘16によって筐体30の底板32Cに押さえ付けられることで、第1圧電素子14Aの加速度感度(検出感度)が大きくなり、振動センサ10から出力される検出値は、第1圧電素子14Aから出力される電圧に支配される。これによって、振動センサ10の検出感度が向上する。
以下に説明するように、振動センサ10は、温度変化、電磁波ノイズ等によって生じる誤差を低減する機能を有する。
第1圧電素子14Aに温度変化が生じた場合、第1圧電素子14Aの圧電体22Aは、上側電極20Aと下側電極24Bとの間に温度変化に応じた誤差電圧を発生する。この第1誤差電圧は、正相端子26pおよび逆相端子26nからバッファアンプ34の正相入力端子piおよび逆相入力端子niに出力される。
他方、第2圧電素子14Bに同様の温度変化が生じた場合、第2圧電素子14Bの圧電体22Bは、上側電極20Bと下側電極24Bとの間に温度変化に応じた誤差電圧を発生する。この第2誤差電圧は、正相端子28pおよび逆相端子28nからバッファアンプ34の逆相入力端子niおよび正相入力端子piに出力される。すなわち、第2圧電素子14Bは、第1誤差電圧とは逆極性の第2誤差電圧をバッファアンプ34に出力する。また、温度変化に応じた第1誤差電圧および第2誤差電圧は、錘16の質量とは関連性の低い電圧である。そのため、第1誤差電圧および第2誤差電圧は、同一値または近似した値となる。したがって、第1誤差電圧および第2誤差電圧は、バッファアンプ34から出力される検出値の誤差を低減するように作用する。
同様に、第1圧電素子14Aに電磁波ノイズが到来した場合、第1圧電素子14Aは、電磁波ノイズに応じた第1誤差電圧をバッファアンプ34に出力する。そして、第2圧電素子14Bに電磁波ノイズが到来した場合、第2圧電素子14Bは、電磁波ノイズに応じた第2誤差電圧をバッファアンプ34に出力する。ここで、バッファアンプ34に出力される第1誤差電圧および第2誤差電圧は互いに逆極性である。また、電磁波ノイズに応じた第1誤差電圧および第2誤差電圧は、錘16の質量とは関連性の低い電圧である。そのため、電磁波ノイズに応じた第1誤差電圧および第2誤差電圧は、同一値または近似した値となる。したがって、第1誤差電圧および第2誤差電圧は、バッファアンプ34から出力される誤差電圧を低減するように作用する。
このように、振動センサ10においては、第1圧電素子14Aおよび第2圧電素子14Bに、錘16との関連性が低い誤差電圧を出力させるような要因が生じた場合、バッファアンプ34から出力される誤差電圧が低減される。したがって、温度変化、電磁波ノイズ等によって、振動センサ10による検出値に現れる誤差が低減され、検出精度が向上する。
なお、上記では、第2圧電素子14Bを錘16に接合した構成について説明した。第2圧電素子14Bは、錘16から重みを与えられる必要はないため、筐体30内のその他の位置に配置してもよい。例えば、図3に示されるように第2圧電素子14Bの上面を、筐体30の上板32Bに接合してもよい。また、第2圧電素子14Bを、第1圧電素子14Aおよび錘16に隣接させて、筐体30の底板32Cに接合してもよい。第1圧電素子14Aおよび第2圧電素子14Bは、円形でなくてもよく、矩形やその他の多角形形状であってもよい。
10 振動センサ、12 センサ本体部、14A 第1圧電素子、14B 第2圧電素子、16 錘、18 外装樹脂、20A,20B 上側電極、22A,22B 圧電体、24A,24B 下側電極、26p,28p 正相端子、26n,28n 逆相端子、30 筐体、32A 円筒、32B 上板、32C 底板、34 バッファアンプ、36,38 出力導線、40 振動検出対象物。

Claims (3)

  1. 薄膜状の第1圧電素子と、
    薄膜状の第2圧電素子と、
    前記第1圧電素子に接し、前記第1圧電素子に重みを与える錘と、
    前記第1圧電素子および前記第2圧電素子が並列に接続され、前記第1圧電素子および前記第2圧電素子の各検出値に応じた値を出力するバッファアンプであって、並列に接続された前記第1圧電素子および前記第2圧電素子の出力インピーダンスよりも低い出力インピーダンスを有するバッファアンプと、
    前記バッファアンプに接続された出力導線であって、前記バッファアンプから各検出値に応じた値が出力されると共に、前記バッファアンプに電源電力を供給する出力導線と、
    を備え、
    前記第1圧電素子および前記第2圧電素子は、
    与えられた振動に対する増減が互いに逆である検出値を前記バッファアンプに出力することを特徴とする振動センサ。
  2. 請求項1に記載の振動センサにおいて、
    前記第1圧電素子および前記第2圧電素子のそれぞれは、
    前記検出値としての電圧を出力する正相端子および逆相端子を有し、
    前記第1圧電素子の正相端子が前記第2圧電素子の逆相端子に接続され、前記第1圧電素子の逆相端子が前記第2圧電素子の正相端子に接続されていることを特徴とする振動センサ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の振動センサにおいて、
    前記錘は板状に形成され、
    前記錘の底面に前記第1圧電素子が接合され、
    前記錘の上面に前記第2圧電素子が接合されていることを特徴とする、振動センサ。
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