JP6282245B2 - ポリオレフィン系多層樹脂成形物 - Google Patents

ポリオレフィン系多層樹脂成形物 Download PDF

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Description

本発明は、ポリオレフィン系多層樹脂成形物に関する。
ポリオレフィン系樹脂に対して、無機フィラーを配合することはしばしば行われている。無機フィラーを配合する目的は、主に増量剤として使用することで樹脂の使用量を低減し、コストダウンを図るという点にある。このような目的において使用する場合、無機フィラーの配合量は50重量%未満であることが一般的である(特許文献1,2)。これは、無機フィラーの配合量が大きくなると、成形が困難になったり、表面が粉を吹いたりするという問題を生じるおそれがあるからである。表面が粉を吹くと、使用者の服や内容物に粉が付着して汚れの原因となってしまうため、使用可能となる対象が限定されてしまう。
また、フィラーの配合量が多くなると、樹脂中の空隙率が高くなるため、防水性や防湿性が低下してしまう。このため、包装容器や買い物袋等に使用した場合には、水分が内部に浸透してしまうという問題を生じるおそれもある。
一方、包装容器リサイクル法においては、樹脂を50%以上含有するような容器については、リサイクルが義務付けられているのに対して、樹脂の含有量が50重量%未満のものは、包装容器リサイクル法の対象とならない。このため、包装容器や農業用フィルム等において、無機フィラーの配合量を50重量%以上とすることは、コスト上も環境面でも好ましいものである。
ポリオレフィン系樹脂に50重量%以上の無機フィラーを配合した合成紙が特許文献3において開示されている。しかし、無機フィラーを多量に配合した合成紙は、使用時に無機フィラーが脱落することで、表面が粉を吹いたような状態になるという問題を生じる。更に、表面の空隙が多いことによって、インク吸収が生じやすくなって、マット感の強い印刷仕上がりになってしまう。よって、インク吸収量が低いものとすることで、クリヤー感のあるシャープな印刷を行い、かつ、インクの使用量を低減することが望まれている。また、インク使用量が多くなることによるコスト増加も改善が求められる。
また、無機フィラーを多量に含有する層によって最表面層が形成されていると、袋状に加工する際のヒートシール性が得られなくなってしまうため、シート状物をヒートシールによって、袋状に加工する用途においては使用することができない。
上述したような先行文献においては、合成紙において無機フィラーを50重量%以上含有するものが知られているものの、包装容器においては、ポリオレフィン系樹脂に50重量%以上の無機フィラーを配合することは公知ではない。
特開平7−33918号公報 特開2002−179851号 特開平11−277623号
本発明者らは上記現状に鑑み、50重量%以上という高い割合で無機フィラーを配合するものでありながら、フィラーの脱落の問題を生じず、印刷特性においても優れた性質を有し、防水性能やヒートシール性能においても優れた性能を有するポリオレフィン系多層樹脂成形物を得ることを目的とするものである。
本発明は、無機充填剤を65重量%以上含むポリオレフィン系基材層(A)及び樹脂層(B)を有する多層樹脂成形物であって、
ポリオレフィン系基材層(A)に含まれるポリオレフィン樹脂は、(A−1)高密度ポリエチレン、並びに、低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンからなるポリエチレン樹脂であり、該ポリエチレン樹脂成分の少なくとも10重量%が前記低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンからなるもの、又は(A−2)ポリオレフィン樹脂の90重量%以上がポリプロピレン樹脂であるものであり、
樹脂層(B)は、無機充填剤が20重量%未満で最外層を構成するものであり、
該多層樹脂成形物の全樹脂成分が50重量%未満であり、
該多層樹脂成形物は射出成形による2色成形により得られたボトル形状であること
を特徴とするポリオレフィン系多層樹脂成形物である。
上記無機充填剤の少なくとも70重量%が炭酸カルシウムであることが好ましい。
上記ポリオレフィン系基材層(A)の樹脂成分の少なくとも50重量%がポリエチレン樹脂であることが好ましい
上記ポリオレフィン系多層樹脂成形物は、成形方法が押出成形によるものであることが好ましい。
上記ポリオレフィン系多層樹脂成形物は、成形方法が射出成形による2色成形であることが好ましい。
上記ポリオレフィン系多層樹脂成形物は、成形方法がインフレーション成形であることが好ましい。
本発明は、50重量%以上という高い割合で無機フィラーを配合するものでありながら、フィラーの脱落の問題を生じず、印刷特性においても優れた性質を有するポリオレフィン系多層樹脂成形物である。更に、ヒートシール性や防水性や防湿性においても優れた性質を有するものである。
本発明のポリオレフィン系多層樹脂成形物の多層構造の一例を示す図である。 本発明のポリオレフィン系多層樹脂成形物の多層構造の一例を示す図である。 実施例2の成形物の断面の電子顕微鏡写真である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明は、無機充填剤を60重量%以上含むポリオレフィン系基材層(A)及び無機充填剤が20重量%未満で最外層を構成する樹脂層(B)を有する多層体とすることで、上述した問題を改善するものである。
すなわち、本発明の多層樹脂成形物は、無機充填剤を60重量%以上含むポリオレフィン系基材層(A)と、このような基材層とは組成が異なる樹脂層(B)を設ける点に特徴を有するものである。
(ポリオレフィン系基材層(A))
上記ポリオレフィン系基材層(A)を形成するポリオレフィン樹脂は特に限定されず、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、ポリプロピレン等の一般的に知られる公知のポリオレフィン樹脂を使用することができ、これらを2以上組み合わせた混合物であってもよい。
上記ポリオレフィン系基材層を形成するポリオレフィン樹脂は少なくとも50重量%がポリエチレン樹脂であることが好ましい。このような割合でポリエチレン樹脂を使用することで、150〜200℃という幅広い温度領域で良好な成形加工性が得られるという点で好ましいものである。
上記ポリエチレン樹脂は、高密度ポリエチレン、並びに、低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンからなり、該ポリエチレン樹脂成分の少なくとも10重量%が低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンからなるものであることが好ましい。すなわち、強度に優れる高密度ポリエチレンに対して、成形性を改善するために低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンを併用して使用することが好ましい。このようなポリエチレン樹脂を使用することによって、特に製膜加工性、射出成形性に優れるという点で好ましいものである。なお、上記低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンは、該ポリエチレン樹脂成分の50重量%以下であることが好ましい。
また、ポリオレフィン樹脂の90重量%以上がポリプロピレン樹脂であるようなポリオレフィン樹脂も好適に使用することができる。
上記無機充填剤は、ポリオレフィンに配合される一般的な無機充填剤を使用することができ、例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、マイカ、酸化亜鉛、ドロマイト、ガラス繊維、中空ガラスミクロビーズ、シリカ、チョーク、タルク、ピグメント、二酸化チタン、二酸化ケイ素、ベントナイト、クレー、珪藻土等を挙げることができる。これらのなかでも、特に炭酸カルシウムは、豊富に産出する国産資源として比較的低コストで安定的に入手できるという点で好ましいものである。よって、無機充填剤のうち、70重量%以上が炭酸カルシウムであることが好ましい。
更に、無機充填剤として一部に二酸化チタンを使用することが好ましい。二酸化チタンは、白色度が高いものであることから、これを使用することで印刷特性が向上する点で特に好ましい。二酸化チタンを配合する場合、ポリオレフィン系樹脂層(A)全量に対して、0.5〜5重量%であることが好ましい。上記上限は3重量%であることがより好ましく、上記下限は0.5重量%であることがより好ましい。
本発明のポリオレフィン系基材層(A)は、無機充填剤を60重量%以上含むものである。すなわち、多層樹脂成形物における無機充填剤の配合量を多量にすることによって、成形物全体としての無機充填剤の配合量を50重量%以上のものとするものである。上記無機充填剤の配合量は、65重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることが更に好ましい。また、無機充填剤の配合量が80重量%以下であることが好ましい。無機充填剤が80重量%を超えると、成形性が悪化する点で好ましいものではない。
上記無機充填剤は、表面処理を施したものであってもよい。上記表面処理としては特に限定されず、シランカップリング剤処理、ステアリン酸カルシウム等による金属石鹸処理等を挙げることができる。
本発明のポリオレフィン系基材層(A)は、上記ポリオレフィン及び無機充填剤以外に、通常使用される添加剤を更に配合するものであってもよい。それらの添加剤は当該分野において従来から使用されているもの、例えば、カップリング剤、潤滑剤、分散剤、静電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤等を挙げることができる。
(樹脂層(B))
本発明の多層樹脂成形物は、更に無機充填剤が20重量%未満で最外層を構成する樹脂層(B)を有するものである。すなわち、無機充填剤の配合量が少ない樹脂層(B)を最外層(すなわち、多層体の最外層)に設け、これによって無機充填剤の脱落を防ぎ、印刷特性を向上させるものである。更に、成形体全体としては、無機充填剤の配合量を50%以上とすることで、包装容器リサイクル法の対象にならない点で好ましい。
上記樹脂層(B)は、例えば、多層樹脂成形物がフィルム、シート物形状である場合は、多層フィルムの形で上記ポリオレフィン系基材層(A)と組み合わせることができ、射出成形やブロー成形等の場合は、多層形状に成形した形状とすることができる。
上記樹脂層(B)の組成は、無機充填剤の配合量が20重量%未満であれば特に限定されるものではない。上記樹脂層(B)として、無機充填剤の配合量が小さいものを最外層に設けることによって、上述したポリオレフィン系基材層(A)が最表面層である場合の印刷特性や、粉吹きといった問題を改善することができる。
更に、無機充填剤の配合量が20重量%未満である樹脂層(B)は、空隙率が高い層となることはない。このため、当該樹脂層(B)を水が透過できないため透水性が低くなり、これによって多層体の防水性能が高められるものである。
更には、ポリオレフィン系基材層(A)は、ヒートシール性が悪いという問題もあるが、最外層にヒートシール性に優れる上記樹脂層(B)を設けることによって、このような問題も解消される。例えば、樹脂シートを折りたたみ袋状に加工した樹脂袋や、インフレーション成形によって得られた筒状のフィルムをシールすることによって得られるポリ袋等においては、成形時にヒートシールによって加工されるため、ヒートシール性を有することは極めて重要な性能となる。本発明の多層樹脂成形物は、この点においても優れた性能を有するものである。
上記樹脂層(B)は、無機充填剤を全く配合しないものであってもよい。本発明の目的においては、樹脂層(B)に無機充填剤を配合することは、必要とされる効果を得る上で必要な事項ではないためである。上記無機充填剤の配合量は、10重量%以下であることがより好ましい。
上記樹脂層を形成する樹脂は、上述したポリオレフィン系基材層(A)中に含まれるものと同様に、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。また、ポリオレフィン系基材層(A)と同一の樹脂種を使用するものであることがより好ましい。上記樹脂層(B)において配合してもよい上記無機充填剤としては特に限定されず、上述したポリオレフィン系基材層(A)の無機充填剤として例示したものを同様に使用することができる。
上記樹脂層(B)においても、通常使用される添加剤を更に配合するものであってもよい。それらの添加剤は当該分野において従来から使用されているもの、例えばカップリング剤、潤滑剤、分散剤、および静電防止剤等を挙げることができる。
また、ポリオレフィン系基材層(A)と、樹脂層(B)との比率は特に限定されるものではないが、本発明においては「多層樹脂成形物の全樹脂成分が50重量%未満である」との要件を満たすことが必須であるから、ポリオレフィン系基材層(A)と樹脂層(B)との組成を勘案し、上述した数値範囲を満たすものになるように、それぞれの層の比率を具体的に設定するものである。
(多層構造)
本発明の多層樹脂成形物の多層構造は2層以上のものであれば特に限定はされず、例えば、図1に示した2層構造又は図2に示した3層構造を挙げることができる。3層である場合は、図2に示したように、中間に無機充填剤を60重量%以上含むポリオレフィン系基材層を形成し、その両側に樹脂層を表面層として形成したものであることが好ましい。これによって、上述した目的を好適に達成することができる。また、2層構造である場合、印刷特性、耐水性、ヒートシール特性等、樹脂層(B)によって得られる特性が必要とされる側に、樹脂層(B)を使用することが好ましい。
また、本願発明の樹脂成形体の多層構造は、4層以上の層からなるものであってもよい。すなわち、用途によっては、多層樹脂成形体に対して更に高度な機能を求められる場合がある。このような場合には、更に他の樹脂層を設け、これによって、その他の機能を付与し、多くの用途に使用することも期待される。このような他の樹脂層としては特に限定されず防水性層、ガスバリア層、耐衝撃層、耐摩擦層、接着層、意匠層等を挙げることができる。
(多層樹脂成形体)
本発明の多層樹脂成形物は、成形物全体の換算で全樹脂成分が50重量%未満である。このような範囲内のものとすることで、樹脂の使用量が大幅に低減されるため、環境保護の観点から好ましいものである。
本発明のポリオレフィン系多層樹脂成形物は、公知の多層押出成形によって製造することができる。多層押出成形は、低コストで安定して成形することができる点で好ましい。多層押出成形としては、射出成形、インフレーション成形、Tダイ成形等の公知の方法を挙げることができ、目的とする形状や使用する樹脂の性質に応じて、これらのなかから好適な方法を選択することができる。更に、押出を行った後にブロー成形を行うことによって得られる中空容器であってもよい。
また、単層フィルムをラミネートすることによって多層化する方法等によって得られたものとすることもできる。
本発明のポリオレフィン系多層樹脂成形物は、その形状を限定されるものではないが、例えば、ボトル、ジャー容器、チューブ容器等、容器において使用される通常の形状やフィルム形状又はこれを真空成形、圧空成形等によって成形したものとすることができる。フィルム状物とする場合は、多層インフレーション、多層Tダイ押し出し等の多層成形を行うことによってフィルム形成する方法、単層フィルムをラミネートすることによって多層化する方法等によって得られたものとすることができる。
また、ボトル形状等の容器とする場合は、各種の公知の成形方法を適用することができるが、例えば、射出成形やブロー成型による2色成形等の方法によって得られたものとすることができる。2層からなる容器の場合、樹脂層は目的に応じて容器外側とするものであっても容器内側とするものであってもよい。容器外側とすると、外部における無機充填剤の脱落による外観不良の改善ができ、更に、印刷特性も改善できるという利点がある。容器内側とすると、内填物に脱落した無機充填剤が付着するおそれを生じない点で好ましい。
本発明のポリオレフィン系多層樹脂成形物が、フィルム状の形状を有するものである場合、その厚みは、25〜1500μmであることが好ましい。当該範囲内の厚みとすることで、強度を維持しつつ、紙と同様の感触を得ることができるため、汎用用途において使用することができる。上記上限はより好ましくは、800μmであり更に好ましくは400μmである。上記下限は、より好ましくは30μmである。
フィルム状の形状を有するものとする場合、用途に応じて図1に示した2層構造、図2に示した3層構造のいずれとするものであってもよい。
本発明のポリオレフィン多層樹脂成形物は、農業用シートや薬、食品、化粧料等の包装容器として使用することができる。また、買い物袋等に使用される樹脂シートを加工して得られる袋体としても好適に使用できる。農業用シートとして使用する場合は、果実保護袋、果樹の保温用シート、地面の冷却を防止するための保温シート等の目的で使用することができる。更に、紙の代替品として使用することもできる。また、製造においてヒートシール加工を行うことで所望の形状を得るものであってもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(マスターバッチ1の製造)
高密度ポリエチレンに、炭酸カルシウム粒子を、樹脂/炭酸カルシウム/二酸化チタン=30/68/2の重量比となるように使用して、二軸混練機によって混練し、チップ化することで、マスターバッチ樹脂を得た。
(マスターバッチ2の製造)
高密度ポリエチレンに代えて、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとを85:15の重量比で混合した混合ポリエチレンを使用した以外はマスターバッチ1と同様の方法でマスターバッチ樹脂を得た。
(マスターバッチ3の製造)
高密度ポリエチレンに代えて、高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)とを85:15の重量比で混合した混合ポリエチレンを使用した以外はマスターバッチ1と同様の方法でマスターバッチ樹脂を得た。
(マスターバッチ4の製造)
高密度ポリエチレンに代えて、ポリプロピレンを使用した以外はマスターバッチ1と同様の方法でマスターバッチ樹脂を得た。
参考例1:射出成形による2色成形)
2色成形が可能である射出成形機によって、2層からなるボトル形状の容器を得た。
2層のうち内側層であるポリオレフィン系基材層(A)は、マスターバッチ1をそのまま成形することで形成した。また、最外層である樹脂層(B)は、内側層において使用したものと同一種のポリエチレン樹脂であって無機フィラーを含有しないものによって形成した。得られた成形品全体に対して、無機充填剤は65重量%となった。
得られたボトルの外側面に印刷を施したところ、マット感のないクリヤーな仕上がりとなった。また、外面に水を噴霧しても、水が容器内部にまで浸透することはなかった(参考例1)。
(実施例2〜4)
マスターバッチ1にかえてマスターバッチ2〜4を使用して、上述した参考例1と同様の成形を行った。なお、各実施例において、樹脂層(B)は、内側層において使用したものと同一種の樹脂であって無機フィラーを含有しないものによって形成した。
これらについても、参考例1のものと同様に、優れた性質を有する成形品を得ることができた。
なお、マスターバッチ2〜4を使用した場合のほうが、射出成形性は良好であり、参考例1よりも実施例2〜4のほうが、不良品の発生率は低かった。
参考例5:2層インフレーションフィルム)
上述したマスターバッチ1及びマスターバッチ1の製造に使用したものと同一で、無機フィラーを含有しないポリエチレン樹脂を使用して、多層インフレーション成形装置を使用して、2層フィルムを成形した。得られた成形品全体に対して、無機充填剤は65重量%となった。また、フィルムの厚みは、50μmであった。参考例5によって得られたフィルムについて、切断した断面の電子顕微鏡写真を図3に示した。
(実施例6、7)
マスターバッチ1にかえてマスターバッチ2,3を使用して、上述した参考例5と同様の成形を行った(実施例6,7)。なお、各実施例において、樹脂層(B)は、内側層において使用したものと同一種の樹脂であって無機フィラーを含有しないものによって形成した。得られたフィルムは参考例5と同様に優れた性質を有するものであった。
なお、マスターバッチ2,3を使用した場合のほうが、インフレーション成形性は良好であり、参考例5よりも実施例6,7のほうが、不良品の発生率は低かった。
(実施例8)
上述したマスターバッチ4及びマスターバッチ4の製造に使用したものと同一で、無機フィラーを含有しないポリプロピレン樹脂を使用して、Tダイ押出成形装置を使用して、2層フィルムを成形した。得られた成形品全体に対して、無機充填剤は65重量%となった。また、フィルムの厚みは、50μmであった。
また、参考例5及び実施例6〜8の当該フィルムについて、180℃でのヒートシールテストを行ったところ、通常のポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムと同等のヒートシールを行うことができた。
更に、樹脂層(B)側に印刷を施したところ、クリヤーでマット感のない印刷を行うことができた。また、樹脂層(B)側に水を噴霧しても、水が容器内部にまで浸透することはなかった。
上述した参考例5及び実施例6〜8のフィルムをそれぞれ折りたたみ、紙袋様のバッグ形状のものとした。その際、底部でヒートシールを行った。得られたバッグは、いずれも充分なヒートシール強度を有し、透水性のない優れた性能を有するものであった。
参考例9:3層インフレーションフィルム)
上述したマスターバッチ1及びマスターバッチ1の製造に使用したものと同一で、無機フィラーを含有しないポリエチレン樹脂を使用して、多層インフレーション成形装置を使用して、3層フィルムを成形した。3層の2つの最外層を樹脂層(B)とし、内層をポリオレフィン系基材層(A)とした。得られた成形品全体に対して、無機充填剤は65重量%となった。また、フィルムの厚みは、50μmであった。
マスターバッチ1にかえてマスターバッチ2,3を使用して、上述した参考例9と同様の成形を行った(実施例10、11)。得られたフィルムは参考例9と同様に優れた性質を有するものであった。
なお、マスターバッチ2,3を使用した場合のほうが、インフレーション成形性は良好であり、参考例9よりも実施例10,11のほうが、不良品の発生率は低かった。
(実施例12)
上述したマスターバッチ4及びマスターバッチ4の製造に使用したものと同一で、無機フィラーを含有しないポリプロピレン樹脂を使用して、Tダイ押出成形装置を使用して、3層フィルムを成形した。3層の2つの最外層を樹脂層(B)とし、内層をポリオレフィン系基材層(A)とした。得られた成形品全体に対して、無機充填剤は65重量%となった。また、フィルムの厚みは、50μmであった。
参考例9及び実施例10〜12のフィルムも、同様にヒートシール性、印刷性、耐水性において優れた性質を有するものであった。更に、フィルムを折りたたみ、紙袋様のバッグとし、180℃でヒートシールを行うと、充分なヒートシール強度を有し、透水性のない優れた性能を有するものであった。
(透湿性)
参考例5のフィルムについて、透湿性を測定した。その結果、7.5〜9.0g/m/24hrであり、低い透湿性を有することが明らかになった。これによって、本発明のフィルムが高い防湿性を有することが示された。



(比較例1)
インフレーション成形によって、マスターバッチ2を用いて製造されたポリオレフィン系基材層(A)のみからなる単層のフィルムを得た。
このフィルムは、ヒートシール性が悪く、ヒートシールによる成形はできない。更に、印刷した場合にマット感のある仕上がりとなった。また、片面に水を噴霧すると、反対側にまで透水したため、耐水性のないフィルムであった。
本発明のポリオレフィン系多層樹脂成形物は、包装容器、農業用シート等の分野において好適に使用することができる。
1 ポリオレフィン系基材層(A)
2 樹脂層(B)

Claims (2)

  1. 無機充填剤を65重量%以上含むポリオレフィン系基材層(A)及び樹脂層(B)を有する多層樹脂成形物であって、
    ポリオレフィン系基材層(A)に含まれるポリオレフィン樹脂は、(A−1)高密度ポリエチレン、並びに、直鎖状低密度ポリエチレンからなるポリエチレン樹脂であり、該ポリエチレン樹脂成分の少なくとも10重量%が前記直鎖状低密度ポリエチレンからなるもの、又は(A−2)ポリオレフィン樹脂の90重量%以上がポリプロピレン樹脂であるものであり、
    樹脂層(B)は、無機充填剤が20重量%未満で最外層を構成するものであり、
    該多層樹脂成形物の全樹脂成分が50重量%未満であり、
    該多層樹脂成形物は射出成形による2色成形により得られたボトル形状であること
    を特徴とするポリオレフィン系多層樹脂成形物。
  2. 無機充填剤の少なくとも70重量%が炭酸カルシウムである請求項1に記載のポリオレフィン系多層樹脂成形物。
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