JP6281385B2 - 圧延ロール用超硬合金製外層の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は長尺な圧延ロールに用いる耐摩耗性に優れた超硬合金製外層、及びその製造方法に関する。
薄帯、板材、線材、棒材等の鋼材の圧延に用いられるロールとして、耐摩耗性、耐肌荒れ性等に優れた超硬合金からなる硬質スリーブを金属製軸材に嵌めた複合ロールが用いられている。このような超硬合金製硬質スリーブは通常100〜500 mmの外径及び10〜300 mmの長さを有し、比較的短尺である。
しかし、最近は幅広の薄帯の圧延用に長尺の超硬合金製スリーブを具備する複合ロールが求められている。しかし、長尺の超硬合金製スリーブを一体的に形成するには超硬合金用混合粉の一体的な成形体を焼結する必要があるが、焼結による変形及び撓みが大きすぎるので、長尺の成形体の一体的な焼結は実際不可能であった。そのため、まず短尺の超硬合金製スリーブを複数個作製し、それらを焼結により一体化することが行われている。
例えば特開2001-47112号(特許文献1)は、超硬合金からなる中空円筒状スリーブを同軸的に複数個重ね合せた後、焼結一体化した長尺の超硬合金製スリーブロールを開示している。この超硬合金製スリーブロールは、(1) 80重量%のWC粉末、13重量%のCo粉末、6重量%のNi粉末、及び1重量%のCr粉末を20時間湿式混合した後、乾燥し、(2) 得られた混合粉末を冷間等方圧プレス(CIP)により圧粉成形し、(3) 得られた中空円筒状の圧粉成形体を1350℃で2時間真空焼結し、(4) 所定寸法に仕上加工して超硬合金製スリーブを複数個作製し、(5) 二重円筒状鋼製の熱間等方圧プレス(HIP)用カプセルの内壁及び外壁の間に複数の超硬合金製スリーブを同軸的に積層した状態でセットし、(6) カプセルを密封した後HIP炉に入れ、(7) 1300℃及び100 MPaで2時間HIPにより焼結し、(8) HIP炉から取り出した後、機械加工によりHIPカプセルを除去することにより製造する。この方法により得られる長尺の超硬合金製スリーブロールは、焼結による変形が少ないので、接合一体化した後の機械加工量が少なくてすむという利点を有する。特許文献1は、隣接するスリーブ間に、WC系超硬合金粉末を介在させると、焼結による接合が良好になると記載している。
しかし、特許文献1ではHIPにより超硬合金製スリーブの接合を行うので、製造コストが高いだけでなく、HIP温度が1300℃と比較的低いので接合部へのWC粒子の移動が起こりにくいため、Co、Niなどのバインダが富化した接合部が形成され、他方の部分より早く摩耗してしまうという問題があることが分った。特許文献1は、スリーブの接触面間にWC系超硬合金粉末を介在させて焼結すると、より健全に接合でき、スリーブ同士を重ねた面の継ぎ目の痕跡が消滅すると記載している。しかし、WC系超硬合金粉末の介在により継ぎ目の痕跡がある程度消失するものの、まだ不十分である。すなわち、接合部はバインダの富化により他の部分より耐摩耗性に劣るので、圧延を繰り返すとロールの表面に継ぎ目が現れ、それが圧延材に転写される。また、1300℃を超えるHIP温度で液相を十分に発生させると、HIPカプセルの内面と超硬合金との接触面で、高炭素濃度の超硬合金から低炭素濃度のHIPカプセルに炭素が拡散する。その結果、HIPカプセルの炭素含有量が増加し、それに応じて融点が低下する。HIPカプセルの融点低下によってHIP処理中にHIPカプセルが溶融し、HIP炉を損傷するおそれがある。そのため、HIP温度は自ずと制限され、HIP法で完全な液相接合を行うことは事実上不可能である。
特許第4221703号(特許文献2)は、(1) 内面に超硬合金製スリーブより融点の高いニオブ箔を設けたHIP缶に鋼系又は鉄系の内層を入れ、(2) 内層の外周に複数の外層形成用超硬合金製スリーブを同軸的に積み重ね、(3) 積み重ねたスリーブと内層との間に中間層形成用の超硬合金原料粉末を充填し、(4) HIP缶を溶接により密封した後、700℃で脱気し、(5) 1350℃及び1400気圧で、つまり超硬合金の液相が発生する温度以上でHIPを行い、(6) HIP缶を切除することにより、内層とスリーブ及びスリーブ同士を接合させ、スリーブ同士の接合部に偏析が発生しない超硬合金製圧延用複合ロールを製造する方法を開示している。特許文献2は、ロール軸方向に接合したスリーブの接合部にバインダ相が富化した偏析は見られなかったと記載している。
しかし、特許文献2の方法はHIPを行うので製造コストが高いという問題がある。その上、もし特許文献2の方法で1350℃を超える温度で液相を十分に発生させようとすると、ニオブ箔でHIP缶を液相から完全に遮断することはできず、HIP缶は溶融して、HIP炉を損傷するおそれがある。また、HIP缶の成分が超硬合金製スリーブに拡散し、スリーブの耐摩耗性を低下させるおそれもある。このように、HIP法で完全な液相接合を行うことは事実上不可能である。
特開平10-263627号(特許文献3)は、軸部の周囲に、その外径とほぼ同じ内径を有する中空状スリーブが一体的に固定された複合スリーブロールであって、前記スリーブは、前記軸部に固定した2個の超硬合金混合粉の成形体を、1120℃で2時間一次焼結し、1250℃で2時間二次焼結し、次いで1330℃で2時間HIP処理することにより形成される複合スリーブロールを開示している。しかし、この複合スリーブロールもHIPにより製造されており、製造コストが高いという問題がある。その上、HIP温度が1330℃と比較的低いので接合部に十分な液相が生成せず、バインダ相の富化が認められる。
特開2001-47112号公報 特許第4221703号公報 特開平10-263627号公報
従って、本発明の目的は、長尺な圧延ロールに用いる継ぎ目がない超硬合金製外層、及びその安価な製造方法を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者等は、積み重ねた複数の超硬合金製中空円筒状スリーブに対してHIP処理する代わりに、超硬合金より小さい熱膨張係数を有する内側部材と外側部材の間隙にスリーブの堆積体を配置し、(a) 真空中でスリーブに液相が生成する温度以上で接合すると、撓みの少ない長尺の焼結体が得られること、さらに(b) スリーブの堆積体と内側部材及び外側部材との間隙に不活性の無機粉末を充填した状態で、真空中でスリーブに液相が生成する温度以上で接合すると、より撓みの少ない長尺の焼結体が得られることを発見し、本発明に想到した。
すなわち、圧延ロール用超硬合金製外層を製造する本発明の第一の方法は、同軸的に積み重ねた複数の超硬合金製中空円筒状スリーブからなる堆積体の内側及び外側にそれぞれ同軸的に内側部材及び外側部材を配置した状態で、真空中で前記スリーブの堆積体を加熱して複数の前記スリーブを接合一体化させ、(a) 前記スリーブの接合温度を、前記スリーブに液相が生成する温度以上とし、(b) 前記内側部材及び前記外側部材を、前記スリーブの接合温度において軟化せず、かつ室温から前記接合温度までの範囲で前記超硬合金より小さい熱膨張係数を有する材料により形成し、かつ(c) 前記スリーブの堆積体と前記内側部材との間隔、及び前記スリーブの堆積体と前記外側部材との間隔を、接合時の加熱による前記スリーブ堆積体の撓みを抑制するように設定することを特徴とする。
圧延ロール用超硬合金製外層を製造する本発明の第二の方法は、同軸的に積み重ねた複数の超硬合金製中空円筒状スリーブからなる堆積体の内側及び外側にそれぞれ同軸的に内側部材及び外側部材を配置した状態で、真空中で前記スリーブの堆積体を加熱して複数の前記スリーブを接合一体化させ、(a) 前記スリーブの接合温度を、前記スリーブに液相が生成する温度以上とし、(b) 前記内側部材及び前記外側部材を、前記スリーブの接合温度において軟化せず、かつ室温から前記接合温度までの範囲で前記超硬合金より小さい熱膨張係数を有する材料により形成し、かつ(c) 前記スリーブの堆積体と前記内側部材との間隙、及び前記スリーブの堆積体と前記外側部材との間隙にそれぞれ、前記接合温度において溶融しない不活性の無機粉末を充填し、もって接合時の加熱による前記スリーブ堆積体の撓みを前記無機粉末により抑制することを特徴とする。
前記第一及び第二の方法に用いる前記内側部材及び前記外側部材の室温から前記接合温度までの熱膨張係数は3×10-6/℃〜10×10-6/℃であるのが好ましい。
前記第一及び第二の方法において、前記接合温度は前記スリーブに液相が生成する温度+(30〜100)℃であるのが好ましい。
前記第一及び第二の方法において、前記内側部材及び前記外側部材は黒鉛又はキャスタブル耐火物からなるのが好ましい。
前記第二の方法において、前記無機粉末はアルミナ粉末であるのが好ましい。アルミナ粉末は10〜1000μmの平均粒径を有するのがより好ましい。
上記方法により製造された本発明の圧延ロール用超硬合金製外層は、前記スリーブの接合部に前記超硬合金中のバインダ相が富化していないことを特徴とする。
本発明の方法は、高価なHIP処理を行わずに超硬合金製スリーブを接合するので、スリーブの接合部にバインダ相の富化がない長尺の圧延ロール用超硬合金製外層を安価に製造することができる。特に、スリーブ堆積体と内側部材及び外側部材との間隙に不活性の無機粉末を充填した状態でスリーブに液相が生成する温度以上で接合すると、スリーブ堆積体の撓みをさらに抑制することができ、後加工が少なくてすむ超硬合金製外層を製造することができる。
本発明の第一の方法の工程を示す断面図である。 本発明の方法により接合されたスリーブの接合部及びその付近の組織を示す概略断面図である。 本発明より低い温度で接合されたスリーブの接合部及びその付近の組織を示す概略断面図である。 本発明の第二の方法の第一の例の前半の工程を示す断面図である。
本発明の実施形態を添付図面を参照して以下詳細に説明するが、本発明は勿論それらに限定されるものではない。各実施形態に関する説明は、特に断りがなければ他の実施形態にも適用できる。
[1] 第一の方法
(1) 組立
図1に示すように、スリーブ1に液相が生成する温度以上の接合温度において溶融・軟化しない材料からなる支持板2上に、複数の超硬合金製中空円筒状スリーブ1を同軸的に積み重ねるとともに、その内側に同軸的に内側部材片3を配置する[工程(a)]。スリーブ1の積み重ねと内側部材片3の配置の順序は限定的でない。支持板2としては、黒鉛板が好ましい。必要に応じて、支持板2上にアルミナ粉末のような離型材を塗布しても良い。
次に、同軸的に積み重ねた複数のスリーブ1からなる中間的な堆積体11’の外側に、同軸的に外側部材片4を配置する[工程(b)]。図示の例では、1つの内側部材片3に対して3つのスリーブ1及び2つの外側部材片4を配置するが、積み重ねるスリーブ1及び外側部材片4の数はこれらに限定されない。従って、本発明の説明において、「内側部材片」と「内側部材」及び「外側部材片」と「外側部材」を区別しないことがある。
上記操作を繰り返し、最終的な数のスリーブ1を同軸的に積み重ねた堆積体11と、堆積体11の内側に同軸的に配置した複数の内側部材片3からなる内側部材13と、堆積体11の外側に同軸的に配置した複数の外側部材片4からなる外側部材14とからなる組立体100を得る。勿論、外層が余り長尺でない場合、内側部材13及び外側部材14をそれぞれ1つの内側部材片3及び外側部材片4により形成しても良いが、一体的に長尺な外層を形成するには複数の内側部材片3を積み重ねて内側部材13とし、複数の外側部材片4を積み重ねて外側部材14とするのが好ましい。
各スリーブ1は、相対密度が99%以上の超硬合金の焼結体であるのが好ましい。複数のスリーブ1を堆積した状態でスリーブに液相が生成する温度以上で接合するので、下の方のスリーブ1に大きな負荷がかかる。そのときの変形(特に撓み)をできるだけ小さくするために、スリーブ1を高強度の焼結体としておくのが好ましい。超硬合金は、硬質相としてWC、バインダ相としてCoをベースにNi及び/又はCrを含有したものが好ましい。超硬合金は微量の不可避的不純物を含んでもかまわない。WC:70〜90質量%、Co/Ni(質量比)=1/1〜4/1からなるものがより好ましい。また、WCの平均粒径は1〜10μmが好ましい。また、隣接するスリーブ1がスリーブに液相が生成する温度以上で接合するので、スリーブ1の端面(接合の際に界面となる面)はできるだけ平坦であるのが好ましい。そのため、各スリーブ1の端面を研磨しておくのが好ましい。スリーブ1の両端面の平行度(マイクロゲージを用いて測定)は0.05 mm以下が好ましく、0.01 mm以下がより好ましい。またスリーブ1の端面の表面粗さRaは0.3μm以下が好ましく、0.1μm以下がより好ましい。
内側部材13及び外側部材14は、スリーブに液相が生成する温度以上の接合温度において軟化しない必要がある。内側部材13及び外側部材14には接合の際にスリーブ堆積体11の撓みを抑制する役割があるので、接合温度で軟化するとその役割を果たせない。
内側部材13及び外側部材14の室温から前記接合温度までの熱膨張係数は、スリーブ1を形成する超硬合金の熱膨張係数より小さい必要がある。内側部材13が超硬合金より大きな熱膨張係数を有すると、接合温度でスリーブ堆積体11と内側部材13との間隙が小さくなりすぎ、内側部材13の熱膨張によりスリーブ堆積体11が破損するおそれがある。また、外側部材14が超硬合金より大きな熱膨張係数を有すると、スリーブ堆積体11と外側部材14との間隙が大きくなり、スリーブに液相が生成する温度以上に加熱したときにスリーブ堆積体11の撓みを抑制することができない。内側部材13及び外側部材14の室温から接合温度までの熱膨張係数はそれぞれ3×10-6/℃〜10×10-6/℃であるのが好ましい。
上記要件を満たす内側部材13及び外側部材14用の材料として、黒鉛及びキャスタブル耐火物が好ましい。キャスタブル耐火物としては、アルミナ耐火物が好ましい。室温から接合温度までの熱膨張係数は、黒鉛が4.4×10-6/℃〜5.5×10-6/℃であり、アルミナ耐火物が6×10-6/℃〜8×10-6/℃である。
スリーブ堆積体11と内側部材13との室温における間隔D1及びスリーブ堆積体11と外側部材14との室温における間隔D2は、接合時の加熱によるスリーブ堆積体11の撓みを抑制するように設定する。スリーブ堆積体11は、接合するために液相生成温度以上に加熱すると外側に撓む傾向がある。スリーブ堆積体11の撓みの程度はその高さ及び外径に依存する。間隔D2を撓んだスリーブ堆積体11が外側部材14の内面に適度に接する程度に設定すると、外側部材14によりスリーブ堆積体11の撓みが効果的に抑制される。しかし、間隔D2が小さすぎて、撓んだスリーブ堆積体11が外側部材14の内面を強く押し過ぎると、外側部材14が破損するおそれがある。
具体的には、スリーブの液相生成温度TLより50〜200℃低い温度TL’に達すると、スリーブ堆積体11の外周面と外側部材14の内面とが接するように間隔D2を設定するのが好ましい。スリーブ1の外径をr1とし、室温から接合温度までの熱膨張係数をC1とし、外側部材14の内径をr2とし、室温から接合温度までの熱膨張係数をC2とすると、室温TRから温度TL’まで加熱したときにスリーブ堆積体11の外周面と外側部材14の内面とが接触する条件は、式(1):D2=(C1×r1−C2×r2)×(TL’−TR)である。
スリーブ堆積体11は内側部材13より熱膨張が大きいので、室温から接合温度まで加熱すると間隔D1は拡大する。そのため、加熱接合時のスリーブ堆積体11の撓みを効果的に抑制できるように間隔D1はできるだけ小さい方が良い。しかし、実際の施工上、室温での間隔D1は好ましくは3 mm以下である。
(2) 接合
組立体100を真空炉(図示せず)に入れ、真空中(1〜30 Pa)でスリーブ1に液相が生成する温度以上に加熱し、隣接するスリーブ1の界面で接合を起こさせる。この時の加熱温度(接合温度)はTL+30℃〜TL+100℃(ただし、TLはスリーブ1に液相が生成する温度である。)であるのが好ましい。接合温度がTL+30℃より低いと、十分な液相が生成しない。また、接合温度がTL+100℃より高いと、スリーブ1の熱変形が大きくなる。接合温度はTL+30℃〜TL+80℃がより好ましい。スリーブ1の液相生成温度TLは、スリーブ1の試料の示差熱分析(DTA)において加熱過程において吸熱反応開始温度とする。例えばWC-Co-Ni系超硬合金(WC:80質量%、Co/Niの質量比=2/1)の場合、液相生成温度TLは約1300℃である。
図2は接合したスリーブ1の接合部付近の組織を概略的に示す。接合温度では、バインダ相であるCo及びNiが液相化するのでWC粒子は移動し、接合部にWC粒子が少ない領域(バインダ相が富化した領域)は生成しない。これに対して、図3に示すように、スリーブ1を液相生成温度TL未満の温度(例えば1300℃)で接合した場合、接合部にバインダ相が浸入するが、十分に液相化していないためにWC粒子が移動せず、WC粒子が少ない領域(バインダ相が富化した領域)が生成される。バインダ相の富化領域は超硬合金の他の部分より耐摩耗性に劣るので、バインダ相が富化した接合部が優先的に摩耗し、圧延ロール表面に筋ができる。これは圧延材に転写されるので、圧延材の品質を低下させる。
接合したスリーブ11は、所望の外径、内径及び長さに機械加工することにより圧延ロールの外層用の円筒状外層を得る。
[2] 第二の方法
第二の方法は、主にスリーブ堆積体と内側部材及び外側部材との間隙に不活性の無機粉末を充填する点で第一の方法と異なる。以下、相違点を中心に第二の方法を説明するが、説明のない点については第一の方法と本質的に同じで良い。
(1) 組立
図4に示すように、支持板2上に内側部材片3と複数の超硬合金製スリーブ1の堆積体11’とを同軸的に配置し[工程(a)]、さらにスリーブ堆積体11’の外側に、複数の外側部材片4からなる外側部材14を同軸的に配置する[工程(b)]。スリーブ堆積体11’と内側部材片3及び外側部材14との間隙16,17にそれぞれ、無機粉末18を充填する[工程(c)]。無機粉末18は接合温度において溶融せず、かつ不活性であることが必要である。ここで「不活性」とは、接合温度で超硬合金に対して実質的に悪影響を及ぼさないことを意味する。このような無機粉末18として、アルミナ粉末が好ましい。無機粉末18の平均粒径は10〜1000μmが好ましく、100〜700μmがより好ましい。
上記操作を繰り返し、最終的な数のスリーブ1を同軸的に積み重ねたスリーブ堆積体11と、スリーブ堆積体11の内側に同軸的に配置した複数の内側部材片3からなる内側部材13と、スリーブ堆積体11の外側に同軸的に配置した複数の外側部材片4からなる外側部材14と、スリーブ堆積体11と内側部材13及び外側部材14との間隙16,17に充填された無機粉末18とからなる組立体110を得る[工程(d)]。
無機粉末16の等方圧作用を効果的に発揮させるために、スリーブ堆積体11と外側部材14との間隔D2をスリーブ外径に対して5〜15%とするのが好ましい。なお、間隔D1は第二の方法の場合、施工上、常温で間隔D1は0.5〜30 mmが好ましい。
(2) 接合
組立体110を、第一の方法と同様に真空炉(図示せず)に入れ、真空中(1〜30 Pa)でスリーブ1に液相が生成する温度以上に加熱し、隣接するスリーブ1の界面で接合を起こさせる。加熱接合時にスリーブ堆積体11が外側部材14より大きく半径方向に熱膨張するので、スリーブ堆積体11と外側部材14との間隙D2は減少し、そこに充填された無機粉末18は圧縮される。その結果、無機粉末18がスリーブ堆積体11に等方的な圧力を及ぼすので、スリーブ堆積体11の熱変形が効果的に抑制される。
[3] 外層と軸材との固相接合
第一及び第二の方法のいずれの場合も、得られた超硬合金製円筒状外層の中空部に軸材を嵌入し、真空炉中で加熱することにより外層と軸材との固相接合を行う。軸材は鋳鉄及び鋳鋼のいずれでも良い。鋳鉄及び鋳鋼の熱膨張係数は超硬合金製外層の熱膨張係数より大きいので、加熱により外層と軸材とは密着し、容易に固相接合される。外層と軸材との間に、必要に応じて中間層を介在させても良い。
本発明の第一及び第二の方法はいずれも、ロール長が500 mm以上、特に500〜3000 mmの長尺な圧延ロールの外層を製造するのに好適である。このとき、スリーブ1の長さは150 mm程度で良い。
本発明を以下の実施例により詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
WCが80質量%で、Co/Niの質量比が2/1の超硬合金製のスリーブ1(外径:365 mm、内径:310 mm、高さ120 mm)5個と、黒鉛製の内側部材片3(直径:300 mm、高さ250 mm)3個と、黒鉛製の外側部材片4(外径:500 mm、内径:405 mm、高さ250 mm)3個と、450〜600μmの範囲に80%以上が入る粒径分布及び500μmの平均粒径を有するアルミナ粉末とを用い、第二の方法により、図4(d)に示す組立体110を作製した。スリーブ堆積体11と内側部材13との間隙の幅D1は5 mmであり、スリーブ堆積体11と外側部材14との間隙の幅D2は20 mmであった。
組立体110を真空炉(20 Pa)に入れ、1400℃で2時間加熱し、スリーブ1を接合させた。得られたスリーブ接合体(圧延ロール用超硬合金製外層)の接合部の断面を光学顕微鏡(1000倍)で観察した結果、図2のように接合部におけるCo/Niのバインダ相の富化は認められず、接合部にもWC粒子は母材と同様に分布していた。さらに、スリーブ接合体の撓みを評価するためにその最大外径と最小外径の差を求めたところ、1 mmと小さかった。
1・・・スリーブ
11,11’・・・スリーブ堆積体
11a・・・接合体
2・・・支持板
3・・・内側部材片
13・・・内側部材
4・・・外側部材片
14・・・外側部材
16・・・スリーブ堆積体と内側部材との間隙
17・・・スリーブ堆積体と外側部材との間隙
18・・・無機粉末
100,110・・・組立体
D1・・・スリーブ堆積体と内側部材との間隙の幅
D2・・・スリーブ堆積体と外側部材との間隙の幅

Claims (7)

  1. 同軸的に積み重ねた複数の超硬合金製中空円筒状スリーブからなる堆積体の内側及び外側にそれぞれ同軸的に内側部材及び外側部材を配置した状態で、真空中で前記スリーブの堆積体を加熱して複数の前記スリーブを接合一体化させることにより圧延ロール用超硬合金製外層を製造する方法であって、(a) 前記スリーブの接合温度を、前記スリーブに液相が生成する温度以上とし、(b) 前記内側部材及び前記外側部材を、前記スリーブの接合温度において軟化せず、かつ室温から前記接合温度までの範囲で前記超硬合金より小さい熱膨張係数を有する材料により形成し、かつ(c) 前記スリーブの堆積体と前記内側部材との間隔D 1 、及び前記スリーブの堆積体と前記外側部材との間隔D 2 を、
    D 1 ≦3 mm、及び
    D 2 =(C 1 ×r 1 −C 2 ×r 2 )×(T L ’−T R ) [ただし、C 1 はスリーブの室温から接合温度までの熱膨張係数、C 2 は外側部材の室温から接合温度までの熱膨張係数、r 1 はスリーブの外径、r 2 は外側部材の内径、T L ’はスリーブの液相生成温度より50〜200℃低い温度、T R は室温を表す。]を満たすように設定することを特徴とする方法。
  2. 同軸的に積み重ねた複数の超硬合金製中空円筒状スリーブからなる堆積体の内側及び外側にそれぞれ同軸的に内側部材及び外側部材を配置した状態で、真空中で前記スリーブの堆積体を加熱して複数の前記スリーブを接合一体化させることにより圧延ロール用超硬合金製外層を製造する方法であって、(a) 前記スリーブの接合温度を、前記スリーブに液相が生成する温度以上とし、(b) 前記内側部材及び前記外側部材を、前記スリーブの接合温度において軟化せず、かつ室温から前記接合温度までの範囲で前記超硬合金より小さい熱膨張係数を有する材料により形成し、かつ(c) 前記スリーブの堆積体と前記内側部材との間隙、及び前記スリーブの堆積体と前記外側部材との間隙にそれぞれ、前記接合温度において溶融しない不活性の無機粉末を充填し、もって接合時の加熱による前記スリーブ堆積体の撓みを前記無機粉末により抑制することを特徴とする方法。
  3. 請求項1又は2に記載の圧延ロール用超硬合金製外層の製造方法において、前記内側部材及び前記外側部材の室温から前記接合温度までの熱膨張係数が3×10-6/℃〜10×10-6/℃であることを特徴とする方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の圧延ロール用超硬合金製外層の製造方法において、前記接合温度が前記スリーブに液相が生成する温度+(30〜100)℃であることを特徴とする方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の圧延ロール用超硬合金製外層の製造方法において、前記内側部材及び前記外側部材が黒鉛又はキャスタブル耐火物からなることを特徴とする方法。
  6. 請求項2に記載の圧延ロール用超硬合金製外層の製造方法において、前記無機粉末がアルミナ粉末であることを特徴とする方法。
  7. 請求項6に記載の圧延ロール用超硬合金製外層の製造方法において、前記アルミナ粉末が10〜1000μmの平均粒径を有することを特徴とする方法。
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