JP6281226B2 - 非接触型情報媒体および非接触型情報媒体付属冊子 - Google Patents

非接触型情報媒体および非接触型情報媒体付属冊子 Download PDF

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Description

本発明は、アンテナコイルとICチップとを備え、非接触でICチップに情報を記録させることができる非接触型情報媒体および、この非接触型情報媒体が表紙に使用された冊子に関する。
近年、非接触型情報媒体の普及は著しく、特に非接触ICカードや非接触ICタグを用いたシステムは各方面で利用されている。また、例えばパスポートや預貯金通帳等の冊子形状の情報媒体に非接触型情報媒体が付加された非接触型情報媒体付属冊子が開発されている。これらに利用されている非接触型情報媒体は、アンテナとアンテナに接続された非接触ICチップとからなるICインレットが外装基材で挟み込まれたものである。
この非接触型情報媒体をカバークロスなどとも呼ばれる表紙用部材に貼り合わせた上で、内貼り用紙や本文用紙からなる冊子に貼り付けて装丁して冊子化したものが、非接触型情報媒体付属冊子である。このような非接触型情報媒体付属冊子は、通常の冊子のようにデータの印字やVISAスタンプの付与ができるとともに、電子データの記録も可能であるという特徴がある。
特許文献1には、裏表紙の内部に非接触型情報媒体が内蔵された冊子が開示されている。特許文献1に記載の非接触型情報媒体は、第1の基材、第2の基材、アンテナコイル、ICチップ及び接着剤層で構成されている。第2の基材には所定の広さの開口部が設けられており、この第2の基材が第1の基材の上面側に接着されることにより、開口部が凹部を形成する。そして、この凹部内にはアンテナコイルとアンテナコイルに接続されたICチップとが設けられ、第1の基材の下面側には接着剤層が設けられる。この非接触型情報媒体は、接着剤層によって冊子の裏表紙の内面に貼付されて使用される。
また、一般に流通しているクレジットカードやICカードのように、例えばPVC(polyvinyl chloride)やPET−G(glycol modified polyester)などの熱可塑性の基材からなるシートの間にICチップ及びアンテナ等が挟みこまれ、強い熱圧がかけられることで基材を流動化させて作成される外表面が平滑な非接触型情報媒体が、冊子の表表示又は裏表紙と内貼り用紙との間に接着されて作成される非接触型情報媒体付属冊子も知られている。
このような非接触型情報媒体は、ICチップおよびアンテナがPVCやPET−Gなどのシートで密閉されているため、水分や薬品に対しての耐久性が高い。しかし、このような非接触型情報媒体がそのまま冊子に接着されて使用される場合、剛度が高くなることで表紙が開きにくくなったり、基材と内貼り用紙との接着が困難であったりするなどの問題がある。この問題を解決する手法の一つとして、これらPVCやPET−Gなどのシートの代わりに、熱可塑性を有し基材中に空隙を有する多孔質のシートが利用される。
このような多孔質熱可塑性シートは、樹脂を発泡させることで得られるため一般に材料が柔らかく剛度が低い。また、多孔質熱可塑性シートは、空隙を有し、様々な接着剤の浸透を容易にするため、内貼り用紙との接着性が高くなる。さらに、このような多孔質熱可塑性シートは、適度な圧力がかけられることでICチップおよびアンテナ等と接する内表面における凹凸を吸収する事が可能である。このような多孔質熱可塑性シートが基材として使用される場合、シート自体が熱融着によって接着したり、熱可塑性の接着剤が多孔質熱可塑性シートに塗布された後に熱ラミネート方式により接着したり、一般に使われるような水系や溶剤系の乾燥固化型の接着剤が多孔質熱可塑性シートに塗布されて接着したりすることが可能である。特許文献2は、このような多孔質の熱可塑性部材を使用した非接触型情報媒体の一例である。
特開2002−42068号公報 特開2009−140027号公報
しかしながらこのような多孔質熱可塑性基材は、価格が非常に高いという問題があった。またこのような基材を用いた非接触型情報媒体や非接触型情報媒体付属冊子は、製造が容易で柔軟性にも富み、他の材料との接着性も良い反面、水分や薬品に対する耐久性に劣るという問題があった。この問題を解決するために多孔質熱可塑性基材にバリア層を設ける方式や、接着層にバリア性能を持たせる方式も考案されているが、基材自体に空隙があるために一様な塗膜を形成することが難しく、完全なバリア性を持たせることが困難であった。また、2枚の基材に接着剤を塗工した後、アンテナを2枚の基材で挟んでラミネートする製造方法は、工程数が多く、製造コストがかかるという問題があった。
また、ICチップの薄型化が進んだ結果、従来は340μmの厚みのもの主流であったのに対し、最近では250μmの厚みのものが市場にでてきており、この新しいICチップに対応した非接触型情報媒体の製造方法が求められている。
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、製造が容易で安価かつ、耐久性や柔軟性にもすぐれた非接触型情報媒体およびこれを貼り合わせた非接触型情報媒体付属冊子を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、少なくとも、クロス材または外装基材のいずれか一方と、中間層と、ICチップと、ICチップに接続されたアンテナコイルと、クロス材または外装基材のいずれか他方との順で積層された非接触型情報媒体であって、中間層は、反応型ホットメルト接着剤で構成されると共に、ICチップの少なくとも一部およびアンテナコイルの厚みに対応する深さを有する凹部を備え、クロス材および外装基材の外表面は、平坦であることを特徴とする、非接触型情報媒体が提供される。本発明に係る非接触型情報媒体は、中間層の凹部にICチップの少なくとも一部とアンテナコイルとがはめ込まれ、さらにこの中間層と表面が平坦なクロス材および外装基材とが接着されることにより、平坦な外表面を有する。また、本発明に係る非接触型情報媒体は、ICチップおよびアンテナがクロス材と中間層と外装基材とに覆われてなる構成を有することで、耐久性と柔軟性に優れ、簡便な方法で製造することができる。さらに、本発明に係る非接触型情報媒体は、一面がクロス材からなるため、冊子の表紙用部材として用いることができる。
ICチップは、厚さが340μm未満の薄型であってもよい。このような構成を備えることで、新型の薄型ICチップに対応し、耐久性と柔軟性に優れた非接触型情報媒体を簡便な方法で作成することができる。
反応型ホットメルト接着剤は、タックフリータイムが1分以下の再活性タイプであってもよい。このような構成を備えることで、中間層に用いるホットメルト接着剤にエンボス加工を用いて凹みをつけることが可能となり、加工が容易となる。また、積層させた後に加熱加圧して接着することも可能となり、製造方法の柔軟性が高まる。
外装基材は、紙又は合成紙であってもよい。このような構成を備えることで、外装基材の接着剤適性が向上し、冊子と貼り合わせて非接触型情報媒体付属冊子を作成することが容易となる。また、紙や合成紙はその他の基材に比べて比較的安価であるため、製造コストを低減することができる。
外装基材は、多孔質の熱可塑性基材であってもよい。このような構成を備えることで、外装基材の接着剤適性は高いままで、耐久性を向上させることができる。
アンテナコイルは、中間層に直接埋め込まれる巻き線加工方式によって形成されてもよい。このような構成を備えることで、非接触型情報媒体のアンテナ形成が容易となり、作業性が良くなる。
アンテナコイルは、エッチング方式で形成され、外装基材のアンテナコイルが積層される側には、熱可塑性の接着剤層が設けられ、凹部は、ICチップのリードフレーム部およびアンテナコイルの厚みに対応する深さを有してもよい。このような構成を備えることで、精度の良いアンテナが得られ、非接触型情報媒体の通信特性が向上する。また、接着層を設けることにより耐久性と平滑性が向上する。
凹部は、ICチップのリードフレーム部、ICチップのモジュール部およびアンテナコイルの厚みに対応する深さを有してもよい。このような構成を備えることで、凹部にICチップおよびアンテナコイルが埋め込まれ、中間層、ICチップおよびアンテナコイルがクロス材または外装基材に対して平坦に積層することができる。
外装基材は、ICチップのモジュール部の外形および厚みに合わせた開口部を備え、凹部は、ICチップのリードフレーム部およびアンテナコイルの厚みに対応する深さを有し、外装基材およびモジュール部の外表面は、面一で平坦になってもよい。このような構成を備えることで、非接触型情報媒体の薄型化を実現しながらも、外装基材側の外表面の平滑性を得ることが容易となり、外観性に優れる非接触型情報媒体を得ることができる。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上記のいずれかの非接触型情報媒体を冊子の表紙用部材として本文用紙に接着した、非接触型情報媒体付属冊子が提供される。上記の非接触型情報媒体は、冊子の表紙部材として用いることができるため、非接触型情報媒体付属冊子に用いられる部材を簡略化することができる。このような構成を備えることで、耐久性、柔軟性、外観に優れた非接触型情報媒体付属冊子を得ることができる。
以上説明したように本発明によれば、耐久性と柔軟性に優れ、外表面が平滑で外観性に優れた非接触型情報媒体を作成することができるとともに、その構成と製造工程を簡略化することで大きなコストダウンにつながる。
本発明の第1の実施形態に係る非接触型情報媒体を示す拡大断面図である。 本実施形態に係る非接触型情報媒体におけるICチップおよび巻き線アンテナの接続例を示す平面図である。 本発明の第2の実施形態に係る非接触型情報媒体を示す拡大断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る非接触型情報媒体を示す拡大断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る非接触型情報媒体を示す拡大断面図である。 本発明の一実施形態に係る非接触型情報媒体付属冊子を示す斜視図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.非接触型情報媒体>
[1−1.第1の実施形態]
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る非接触型情報媒体の構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施系形態に係る非接触型情報媒体1を示す拡大断面図である。図2は、本実施形態に係る非接触型情報媒体1におけるICチップ10および巻き線アンテナ20の接続例を示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る非接触型情報媒体1は、クロス材30上に、中間層40、ICチップ10、アンテナコイルである巻き線アンテナ20および外装基材50が順に積層されてなる。
ICチップ10は、モジュール部12とリードフレーム部14とからなる。リードフレーム部14は、図1および図2に示すように、巻き線アンテナ20の端部に接続される。ICチップ10には、用途によって様々な大きさのものが用いられてもよい。例えば、ICチップ10には、電子パスポートに用いられる340μmの厚さのものが用いられてもよく、あるいは薄型タイプの250μm程度の厚さのものが用いられてもよい。
巻き線アンテナ20は、図2に示すように、コイル状に配された銅線等からなり、巻き線加工方式で形成される。巻き線アンテナ20の加工方法は、次の通りである。まず、被覆された銅線等が、加熱されながら中間層40に埋め込まれ、コイル状の巻き線アンテナ20が形成される。次いで、巻き線アンテナ20を形成する銅線等の端部が、ICチップ10のリードフレーム部14に接続される。
クロス材30は、冊子の表紙に用いられる表紙用部材である。クロス材30には、主に樹脂を含浸させた布クロス、樹脂を含浸させた紙クロス、オレフィンや塩ビシートを用いた樹脂クロスの3種類が用いられる。布クロスは、耐久性や風合いに優れ、紙クロスや樹脂クロスはコスト面で優位性があるため、用途に応じて使い分けられる。
中間層40は、反応型ホットメルト接着剤からなり、ICチップ10および巻き線アンテナ20に対応した凹部44を備える。反応型ホットメルト接着剤は、一般的なホットメルト接着剤に比べて、熱を加えられても軟化しにくいため偽造防止に優れる。また、反応型ホットメルト接着剤は、一般的なホットメルト接着剤よりも耐久性に優れる。さらに、中間層40に用いられる反応型ホットメルト接着剤としては、反応型ホットメルト接着剤の中でも、湿気反応型のPUR(poly urethane reactive)と呼ばれる接着剤が特に適している。PURは、ポリウレタンのプレポリマーとイソシアネートとを混合した接着剤であり、加熱溶融した後に水分を利用して反応が進行するものである。PURは、各種保管環境、特に高温高湿下での長期での耐久性や、温度、薬品などに対する耐久性の点ですぐれている。
本実施形態における反応型ホットメルト接着剤は、接着剤が塗布されてから硬化するまでのタックフリータイムの違いから大きく分けて2種類のものが用いられる。一つ目のタイプは、通常の接着剤と同じく、タックフリータイムが比較的長いタイプの接着剤である。このタイプの反応型ホットメルト接着剤は、塗布されて粘着性のある間に被着物が貼りあわせられる。もう一つのタイプは、一旦塗布されるとすぐに固化して粘着性が無くなるタックフリータイムが短いタイプの接着剤である。このタイプの接着剤は、再活性タイプと呼ばれ、塗布面にICチップ10や外装基材50等の被着物が重ねられ、その上から熱圧を加えられることによって接着剤層が再度溶融することで、被着物と塗装面とを接着させる。再活性タイプの反応型ホットメルト接着剤では、固化するまでの時間が短くなるほど作業性が良くなる。本実施形態では、例えばタックフリータイムが1分以下程度の反応型ホットメルト接着剤が用いられる。
図1に示すように、中間層40の凹部44以外の厚さ42は、ICチップ10の厚さよりも厚く形成されることが望ましい。この中間層40に対して、ICチップ10や巻き線アンテナ20に沿った形で凹部44が形成されることにより、ICチップ10と中間層40とが一体化する際に外表面側が平滑になる。
外装基材50は、例えばPVC、PET−Gのような熱可塑性樹脂シートや、紙、含浸紙、合成紙等からなる。外装基材50の厚さは、例えば10μmから200μm程度である。
本実施形態に係る非接触型情報媒体1は、例えば冊子の表紙用部材として用いられるため、外装基材50には柔軟性と耐久性が求められる。ここで、非接触型情報媒体1を冊子と貼り合せて非接触型情報媒体付属冊子とする場合、一般的には図示しないカバークロスと外装基材50とが接着剤で接着され、さらに外装基材50が接着されたカバークロスと本文用紙とが接着剤で接着される。このため、外装基材50には、接着剤適正が求められる。さらに、カバークロスや本文用紙は紙からなるため、接着剤には紙の貼り付けに適した水系のエマルジョン接着剤が用いられることが多い。このため、外装基材50は、特に水系接着剤適性がある一般的な紙、含浸紙、多孔質の樹脂シートおよび易接着処理を施した樹脂シート等が用いられることが望ましい。
外装基材50に紙が用いられる場合、コストが安く、接着剤との接着が容易であり、冊子化の際の親和性が高く、従来使用されていた冊子化装置もそのまま使用することが出来るというメリットがある。また、外装基材50に浸透紙が用いられる場合、基本的に紙を用いるメリットに加え、物理強度や薬品耐久性をさらに向上させることができる。さらに、外装基材50に合成紙が用いられる場合、合成紙は紙に似た物性をもつ樹脂シートであり、表面が多孔質である場合が多いため、接着剤の適性が紙と近く、冊子化の際の親和性は高い。一方、合成紙が用いられる場合、コストが紙よりも高くなる。また、合成紙が用いられる場合、紙とは異なり熱可塑性がある場合が多いため、ホットメルト接着剤が設けられる際などに、外装基材50が変形したりしないかを注意する必要がある。さらに、合成紙が用いられる場合、再活性タイプの反応型ホットメルト接着剤を使用する際にも再加熱により熱がかかるため、外装基材50が変形したりしないかを注意する必要がある。
また、外装基材50にPET−G等の熱可塑性樹脂シートが用いられる場合、耐久性は高くなるものの、本実施形態の構成を用いるメリットは少なく、一般的なICカードの製法のように単純に樹脂シートにICチップ10と巻き線アンテナ20を挟んで熱圧で成型する方が適する。
以上、本実施形態に係る非接触型情報媒体1の構成について説明した。次に、本実施形態に係る非接触型情報媒体1の製造方法について説明をする。
図1に示すように、まず、クロス材30に中間層40として反応型ホットメルト接着剤が塗工される。このとき、中間層の厚み42はICチップ10の厚みより1〜10μm程度厚いことが望ましい。
次いで、中間層40の外装基材50と接する側である上側にICチップ10と同じ形で、ICチップ10に対応した深さの凹部44が形成される。凹部44は、ホットメルト接着剤が柔らかいうちにICチップ10が押し付けられることで形成されてもよく、クロス材30と中間層40とICチップ10と巻き線アンテナ20と外装基材50とが順に積層された後に、熱圧がかけられ中間層40が流動化することで形成されてもよい。また、一旦冷却されて固化した中間層40に対して加熱した金型などを押し付けてエンボス加工をすることで、凹部44が形成されてもよい。エンボス加工により凹部44を形成する際には、タックフリータイムが短い再活性タイプのホットメルト接着剤が用いられることが望ましい。
さらに、凹部44に合わせてICチップ10が取り付けられ、巻き線アンテナ20がICチップ10に接合される。このとき、巻き線アンテナ20は、中間層40にコイル状に埋め込まれた後に、ICチップ10のリードフレーム部14に接合される。
その後、外装基材50と中間層40とが貼り合わされ、非接触型情報媒体1が完成する。このとき、中間層40の反応型ホットメルト接着剤に粘着性がある場合には、そのまま貼りあわせることができる。一方、反応型ホットメルト接着剤に再活性タイプの接着剤が用いられる場合、外装基材50が積層された後に加熱加圧が行われることで貼り合わせすることができる。なお、貼り合せの際に適度な圧力をかけることで非接触型情報媒体1の外表面全体が平滑となり、外観性にすぐれた非接触型情報媒体1を得ることができる。
以上、本発明の第1の実施形態に係る非接触型情報媒体1について説明をした。本実施形態に係る非接触型情報媒体1は、クロス材30と外装基材50との間に、反応型ホットメルト剤からなる中間層40と、ICチップ10と、巻き線アンテナ20とが積層され、中間層40にICチップ10および巻き線アンテナ20の厚みに対応して凹部44が形成される。これにより、耐久性と柔軟性に優れ、外表面が平滑で外観性に優れた非接触型情報媒体1を提供することができる。また、中間層40を介してクロス材30と外装基材50とが接着されることにより、例えば基材であるクロス材30と外装基材50とにそれぞれ接着剤を塗工した後、間にICチップ等を介在させて接着させる場合に比べ、工程数を少なくでき、製造コストを削減することができる。
[1−2.第2の実施形態]
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施形態に係る非接触型情報媒体1について説明をする。図3は、本発明の第2の実施形態に係る非接触型情報媒体1を示す拡大断面図である。本実施形態に係る非接触型情報媒体1は、第1の実施形態と比較して、非接触型情報媒体1を構成する各部材の積層される順序や向きが異なるが、それ以外の構成については同様である。
図3を参照すると、本実施形態に係る非接触型情報媒体1は、クロス材30と、巻き線アンテナ20と、ICチップ10と、中間層40と、外装基材50とが順に積層される。また、ICチップ10は、リードフレーム部14の外装基材50側である上側にモジュール部12が設けられ、第1の実施形態と逆向きとなる。さらに、凹部44は、中間層40のクロス材30側である下側に形成される。
本実施形態に係る非接触型情報媒体1の製造方法について説明する。まず、外装基材50に中間層40が塗布され、中間層40に凹部44が形成される。中間層40の素材や厚み42、凹部44の形成方法は、第1の実施形態と同様である。次いで、中間層40の凹部44に合わせてICチップ10が取り付けられ、巻き線アンテナ20がICチップ10に接合される。さらに、クロス材30と中間層40とが貼り合わされ、非接触型情報媒体1が完成する。
また、本実施形態に係る非接触型情報媒体1は、第1の実施形態と同様に、中間層40として反応型ホットメルト接着剤層が均一に設けられた外装基材50に、ICチップ10、巻き線アンテナ20およびクロス材30が積層され、熱圧がかけられ反応型ホットメルト接着剤層が流動化することにより、中間層40に凹凸が形成されてもよい。
以上、本発明の第2の実施形態に係る非接触型情報媒体1について説明をした。本実施形態に係る非接触型情報媒体1は、クロス材30と外装基材50との間に、反応型ホットメルト剤からなる中間層40と、ICチップ10と、巻き線アンテナ20と、クロス材30とが積層され、中間層40にICチップ10および巻き線アンテナ20の厚みに対応して凹部44が形成される。これにより、第1の実施形態と同様に、耐久性と柔軟性に優れ、外表面が平滑で外観性に優れた非接触型情報媒体1を提供することができる。また、例えば基材であるクロス材30と外装基材50とにそれぞれ接着剤を塗工した後、間にICチップ等を介在させて接着させる場合に比べ、工程数を少なくでき、製造コストを削減することができる。
[1−3.第3の実施形態]
次に、図4を参照して、本発明の第3の実施形態に係る非接触型情報媒体1について説明をする。図4は、本発明の第3の実施形態に係る非接触型情報媒体1を示す拡大断面図である。本実施形態に係る非接触型情報媒体1は、第2の実施形態と比較すると、中間層40、および外装基材50の構成が異なるが、それ以外の構成については同様である。
図4を参照すると、本実施形態に係る非接触型情報媒体1における中間層40の厚み42は、リードフレーム部14の厚みと同程度であり、第1および第2の実施形態における中間層40の厚み42よりも小さくなる。また、中間層40の凹部44の深さは、リードフレーム部14の厚みと同じであり、第1および第2の実施形態における凹部44の深さよりも浅くなる。ここで、中間層40の厚み42は、リードフレーム部14よりもやや厚いくらいが望ましい。これは、中間層40の厚み42がリードフレーム部14よりも厚くなりすぎると、非接触型情報媒体1全体の厚みが厚くなるためであり、厚みが厚くなることで要求寸法や柔軟性の点で問題となる。
また、本実施形態に係る非接触型情報媒体1は、外装基材50のICチップ10に対応する部分に開口部52が設けられる。開口部52は、モジュール部12の外形に合わせて形成される。さらに、外装基材50の厚さは、モジュール部12の厚さと同じぐらいであることが望ましく、50μmから200μm程度の厚さのものが用いられる。このように、開口部52がモジュール部12の外形および厚みに合わせて形成されることで、開口部52にモジュール部12がはめ込まれて積層される。このとき、外装基材50およびモジュール部12の外表面が面一で平坦になり、非接触型情報媒体1全体として平滑な外表面が形成される。
以上、本発明の第3の実施形態に係る非接触型情報媒体1について説明した。本実施形態に係る非接触型情報媒体1は、中間層40の厚み42がリードフレーム部14の厚みと同程度であり、外装基材50に開口部52が設けられる。したがって、非接触型情報媒体1の各構成が積層された状態において、開口部52にモジュール部12がはめ込まれ、外装基材50の外表面とモジュール部12の外表面とが面一で平坦となることにより、非接触型情報媒体1全体として平滑な外表面が得られると同時に、第1および第2の実施形態に比べて厚みを薄くすることができる。
[1−4.第4の実施形態]
次に、図5を参照して、本発明の第4の実施形態に係る非接触型情報媒体1を説明する。図5は、本発明の第4の実施形態に係る非接触型情報媒体1を示す拡大断面図である。本実施形態に係る非接触型情報媒体1は、第3の実施形態と比較すると、アンテナコイル、および外装基材50の構成が異なるが、それ以外の構成については同様である。また、この図5では外装基材50には開口部を設けない構成を説明しているが、図4に示した第3の実施形態にあるように、外装基材50に開口部52を設けた構成を利用することも可能である。
図5に示すように、本実施形態に係る非接触型情報媒体1は、アンテナコイルとしてエッチング方式で形成されるエッチングアンテナ24が用いられ、巻き線アンテナ20が用いられる第1〜3の実施形態と異なる。通常、ICカード等の非接触型情報媒体には、巻き線アンテナ20、エッチングアンテナ24および印刷アンテナ等のアンテナコイルが用いられる。巻き線アンテナ20は、上述のようにコイル状に配された銅線からなり、アンテナ形成が容易で、薬品耐性が高いというメリットがある。一方、巻き線アンテナ20は、価格が高く、酸化による腐食が進行しやすいというデメリットがある。エッチングアンテナ24は、主にアルミか銅の薄膜がエッチングされることで形成され、周波数安定性などの通信特性が良いと言うメリットがある。一方、エッチングアンテナ24は、アルミの薄膜で形成される場合、酸化に対しては強いものの、電解質などの薬品には弱いというデメリットがある。印刷アンテナは、基材にアンテナとなる金属が印刷されることで形成される。印刷アンテナは、一般的に耐久性が低い。このため、本発明におけるアンテナコイルには、巻き線アンテナ20またはエッチングアンテナ24が用いられることが望ましい。
なお、巻き線アンテナ20は、エッチングアンテナ24に比べて簡易にアンテナを形成することができる反面、周波数特性などの安定性では劣る部分がある。このため、巻き線アンテナ20とエッチングアンテナ24とは、用途によって使い分けられる。本実施形態では、通信特性向上のため、アンテナコイルとしてエッチングアンテナ24が用いられる。
また、図5に示すように、本実施形態に係る非接触型情報媒体1は、本実施形態では第1〜3の実施形態と異なり、外装基材50のエッチングアンテナ24が設けられる側には、接着剤層60が設けられる。
巻き線アンテナ20が用いられる場合、アンテナの直径は小さいため、接着性に影響することは無いが、エッチングアンテナ24が用いられる場合、エッチングアンテナコイル26自体の幅が広く、エッチングアンテナコイル26が構成されるアンテナ基材28自体の幅もあるため、接着性が低下する。図5に示す例において、仮に接着剤層60が無い場合、アンテナ基材28と外装基材50とは接着しないことになり、耐久性の点で問題となる。このため、外装基材50のエッチングアンテナ24と接する側、あるいはエッチングアンテナ24の外装基材50と接する側に接着剤層60が設けられる必要がある。
図5に示す外装基材50に開口部52を設けない構成の場合、接着剤層60は、適切な厚みで設けられることで、モジュール部12、エッチングアンテナコイル26およびアンテナ基材28の凹凸が吸収され、外表面が平滑な非接触型情報媒体1を作成することができる。また、外装基材50に開口部52を設けた構成の場合、モジュール部12の厚みと外装基材50に接着剤層60を設けた厚みとをほぼ同一にすることにより、外表面が平滑な非接触型情報媒体1を作成することができる。
以上、本実施形態に係る非接触型情報媒体1の構成について説明した。次に、本実施形態に係る非接触型情報媒体1の製造方法について説明する。
本実施形態に係る非接触型情報媒体1は、接着剤層60が設けられた外装基材50と、中間層40が塗布されたクロス材30との間に、エッチングアンテナ24とエッチングアンテナ24の開口部にモジュール部12がはめ込まれたICチップ10とが介在する状態で、外装基材50とクロス材30とが張り合わされることで作成される。
エッチングアンテナ24は、アンテナ基材28にエッチングアンテナコイル26が設けられる構成である。アンテナ基材28には、PET(polyethylene terephthalate)、PEN(polyethylene naphthalate)等のプラスティックフィルムが用いられる。このアンテナ基材28上に、メッキ法、蒸着法、貼りあわせ法などにより、金属の薄膜が形成される。次いで、金属薄膜が形成されたアンテナ基材28上に樹脂が印刷されることによって、アンテナコイルパターンのマスク層が形成される。さらに、マスク層が形成されたアンテナ基材28が腐食液に漬けられてエッチング処理されることにより、樹脂が印刷されたマスク層以外の部分が溶けてなくなる。これにより、目的とするパターンにエッチングされたエッチングアンテナコイル26を得ることができる。さらに、アンテナ基材28には、モジュール部12をはめ込むことができる大きさの開口部が形成される。
また、エッチングアンテナコイル26が形成された面の反対側の面には、アンテナジャンパーが必要であるが、これはあらかじめ両面に金属薄膜と印刷パターンとが設けられて同時にエッチング処理が行われるか、あるいは一面にアンテナコイルパターンが形成された後に反対側の面にアンテナジャンパー線のみが貼り付けられることで形成される。
以上、本発明の第4の実施形態に係る非接触型情報媒体1について説明した。本実施形態に係る非接触型情報媒体1は、アンテナコイルとしてエッチングアンテナ24が用いられ、外装基材50に接着剤層60が設けられる。これにより、耐久性に優れ、巻き線アンテナ20が用いられる第1〜3の実施形態よりも通信特性に優れた非接触型情報媒体1を提供することができる。
<2.非接触型情報媒体付属冊子>
次に、図6を参照して、本発明の一実施形態に係る非接触型情報媒体付属冊子について説明をする。図6は、本発明の一実施形態に係る非接触型情報媒体付属冊子2を示す斜視図である。本実施形態に係る非接触型情報媒体付属冊子2は、上記の第1〜4の実施形態のいずれかに係る非接触型情報媒体1を冊子の表示用部材として用いた冊子である。
本実施形態に係る非接触型情報媒体付属冊子2は、例えば電子パスポートやICチップ入りの預貯金通帳、年金手帳、船員手帳等の冊子である。非接触型情報媒体付属冊子2は、上記の第1〜4の実施形態に係る非接触型情報媒体1の外装基材50に、本文用紙70が接着剤によって接着されることで作成される。ここで、接着剤には作業性や環境の面から水系のエマルジョン接着剤が使用されることが好ましい。これは、一般的な冊子を製造するための設備は、紙と紙や、布と紙の貼り合わせを行うことが多いためである。このため、外装基材50は、紙、合成紙、多孔質基材であることが望ましい。
図6に示す例では、外装基材50と本文用紙70とが接着される構成であるが、本発明はこれに限らない。例えば、図6に示す構成に加えて、外装基材50と本文用紙70との間にカバークロスが設けられ、外装基材50とカバークロスとが接着剤で接着され、カバークロスと本文用紙70とが接着剤で接着される構成であってもよい。
以上、本発明の一実施形態に係る非接触型情報媒体付属冊子2について説明した。本実施形態に係る非接触型情報媒体付属冊子2は、第1〜4の実施形態のいずれかに係る非接触型情報媒体1と、本文用紙70と接着されることで作成される。これにより、耐久性、柔軟性、外観に優れた非接触型情報媒体付属冊子2を提供することができる。また、本実施形態に係る非接触型情報媒体付属冊子2は、非接触型情報媒体1の製造コストが低いことに加え、非接触型情報媒体1が冊子の表紙用部材として用いられるため、従来の非接触型情報媒体を表紙用部材に張り合わせて作成される冊子に比べ、構成と製造工程を大幅に簡略化することができ、製造コストをさらに削減することができる。
次に、図2を参照して、非接触型情報媒体1の実施例を説明する。ICチップ10には薄型タイプで250μmの厚さのものを使用し、巻き線アンテナ20には銅線を使用した。クロス材30に、230μmの厚さの紙クロス(東洋クロス株式会社製)を使用した。外装基材50には70μmのコットンペーパー(アルジョウィギンズ社製)を使用した。まず、このクロス材30上に、ホットメルトコーターを使用して、反応型ホットメルト接着剤(エスダイン9628:積水フーラー株式会社製)を260μm塗工し、中間層40を設けた。この接着剤のタックフリータイムは20〜40秒である。次いで、表面に離型コーティングを施した金型を使用して中間層40に熱圧をかけ、ICチップ10と同じ形状で、最大深さ250μm程度の凹部44を設けた。さらに、中間層40上にワイヤボンディング方式によって巻き線アンテナ20を形成し、その両末端と凹部44にはめ込まれたICチップ10のリードフレーム部14とを抵抗溶接法により接合した。
その後、外装基材50を中間層40の上に重ね、ヒートプレス機で熱圧をかけて反応型ホットメルト接着剤を再活性化させて接着させた。温度は100℃から150℃の間に設定し、プレス圧力と時間は外表面の平滑性を確認しながら適宜調整した。以上の工程により、非接触型情報媒体1を作成した。
さらに、図6を参照して、非接触型情報媒体付属冊子2の実施例を説明する。上記実施例により得られた非接触型情報媒体1の外装基材50に水性の酢酸ビニル系接着剤(コニシ株式会社製)を塗布し、冊子の本文用紙70を貼り合わせることによって非接触型情報媒体付属冊子2を作成した。
(効果の確認)
上記の実施例で作成した非接触型情報媒体1は、柔軟で平滑な外観であり、表面が紙であるため容易に冊子化できることが確認された。またこの非接触型情報媒体1に対して各種薬品への浸漬テストおよび、スタンプ試験、ペン試験などの物理耐久性試験を行った結果、外装基材50にPET−Gなどが用いられた一般的なICカードと同様の耐久性を示した。これにより発明の効果が確認された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、非接触型情報媒体1は、クロス材30と、中間層40と、ICチップ10と、アンテナ
コイルと、外装基材50とを備える構成としたが、本開示はこれに限らず、さらに他の部材を備えてもよい。
本発明は新しい構成の非接触型情報媒体および非接触型情報媒体付属冊子を提案している。本発明の構成を用いることで外観が平滑で、各種耐久性に優れた非接触型情報媒体を提供することができ、加工工程も簡略化することができる。本発明の非接触型情報媒体を冊子の表紙用部材として用いることで、例えば電子パスポートやICチップ入りの預貯金通帳、年金手帳および船員手帳などを作成することができる。
1 非接触型情報媒体
2 非接触型情報媒体付属冊子
10 ICチップ
12 モジュール部
14 リードフレーム部
20 巻き線アンテナ
24 エッチングアンテナ
26 エッチングアンテナコイル
28 アンテナ基材
30 クロス材
40 中間層
42 厚さ
44 凹部
50 外装基材
52 開口部
60 接着剤層
70 冊子の本文用紙

Claims (10)

  1. 少なくとも、クロス材または外装基材のいずれか一方と、中間層と、ICチップと、該ICチップに接続されたアンテナコイルと、該クロス材または該外装基材のいずれか他方との順で積層された非接触型情報媒体であって、
    前記中間層は、反応型ホットメルト接着剤で構成されると共に、前記ICチップの少なくとも一部および前記アンテナコイルの厚みに対応する深さを有する凹部を備え、
    前記外装基材は、前記ICチップのモジュール部の外形に合わせた開口部を備え、
    前記外装基材の厚みは、前記モジュール部の厚みと同じであり、
    前記クロス材の外表面は、平坦であり、
    前記外装基材及び前記モジュール部の外表面は、面一で平坦であることを特徴とする、非接触型情報媒体。
  2. 前記中間層の厚み及び前記凹部の深さは、前記ICチップのリードフレーム部の厚みとそれぞれ同じであることを特徴とする、請求項1に記載の非接触型情報媒体。
  3. 前記ICチップは、厚さが340μm未満の薄型であることを特徴とする、請求項1または2に記載の非接触型情報媒体。
  4. 前記反応型ホットメルト接着剤は、タックフリータイムが1分以下の再活性タイプであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の非接触型情報媒体。
  5. 前記外装基材は、紙又は合成紙であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の非接触型情報媒体。
  6. 前記外装基材は、多孔質の熱可塑性基材であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の非接触型情報媒体。
  7. 前記アンテナコイルは、前記中間層に直接埋め込まれる巻き線加工方式によって形成されていることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の非接触型情報媒体。
  8. 前記アンテナコイルは、エッチング方式によって形成されていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の非接触型情報媒体。
  9. 前記中間層は、湿気反応型のホットメルト接着剤で構成されることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の非接触型情報媒体。
  10. 請求項1乃至9のいずれ1項に記載の非接触型情報媒体を冊子の表紙用部材として本文用紙に接着した、非接触型情報媒体付属冊子。
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