JP6280398B2 - Glp−1分泌促進剤 - Google Patents

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Description

本発明は、20(S)−プロトパナキサジオール 20−O−β−d−グルコピラノシド(M1)を含有するGLP−1分泌促進剤に関する。また、本発明は、薬用人参の発酵生産物や薬用人参の酵素処理物を用いたGLP−1分泌促進剤に関する。
インクレチンとは、食事摂取に伴い消化管から分泌され、膵臓のランゲルハンス島β細胞(膵β細胞)に作用してインスリン分泌を促進するホルモンの総称である。これまでに、GIP(glucose-dependent insulinotropic polypeptyide)とGLP−1(glucagon-like peptide-1)の2種のホルモンがインクレチンとして機能することが確認されている。GIPは上部小腸に存在するK細胞から、GLP−1は、下部小腸に存在するL細胞から食事摂取に応じて分泌され、膵β細胞からのインスリン分泌を促進し、食後の血糖値上昇を抑えることで血糖を一定に保つ役割を果たしている。一方で、分泌されたインクレチンは、体内でジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP−4)によって速やかに不活性化され、その半減期は数分から10分程度とごく短いものであることも知られている。以上のことから、2型糖尿病の治療を目的として、GLP−1受容体作動薬(例えば、リラグルチド)、及びDPP−4阻害薬(例えば、シタグリプチン)が開発されている。
また、GLP−1はインクレチン作用以外に、膵α細胞からのグルカゴン分泌の抑制、中枢神経系での食欲抑制、胃排泄の遅延にも作用を有すことが明らかにされている(非特許文献1)。さらに、GLP−1受容体が膵β細胞以外にも腎臓など体内の多くの臓器や組織で発現していることから、GLP−1は上記以外にも多様な生理作用を有すると考えられ、例えば、GLP−1による血圧降下作用もヒトおよびラットを用いた試験で明らかにされており、GLP−1受容体作動薬が尿へのナトリウム排泄を促進し、アンジオテンシンIIによる血圧上昇も抑制することが見出されている(非特許文献2)。その他、GLP−1は動脈硬化症の抑制や骨強度の維持、末梢概日リズムの調節等への寄与も期待されている(非特許文献3、4及び5)。従って、GLP−1は、糖代謝の恒常性や耐糖能の維持だけでなく生体内の様々な恒常性、及び生活習慣病の予防、改善又は治療のために重要であると考えられている。
オタネニンジン(Panax ginseng C.A. Meyer)をはじめとする薬用人参は、中国、朝鮮半島、日本を中心に古来より生薬として利用されてきた。その有用成分は、ジンセノシドと呼ばれるダラマン骨格を有したサポニン類(ニンジンサポニン)と言われ、抗酸化、抗糖尿病、抗肥満、抗高血圧、抗がん等の様々な生理作用が研究により見出されている(非特許文献6)。また、薬用人参の抽出物の摂取は、グルコース負荷後の血糖値を減少させること(特許文献1)、血中及び腸管内のGLP−1濃度を増加させることが、マウス及びラットを用いた試験で明らかにされている。さらに、オタネニンジン抽出物の主要成分であるジンセノシドRb1、Rb2、Rc、Rdはそれぞれ、腸管L細胞様細胞株(NCI−H716)からのGLP−1分泌を促進することも見出されている(非特許文献7)。
ジンセノシドRb1、Rb2、Rc、Rdのようなプロトパナクサジオール型のニンジンサポニンは、腸内細菌によって20(S)−プロトパナキサジオール 20−O−β−d−グルコピラノシド(M1、compound K)に代謝変換された後に、腸管壁を通過して血中へ移行するとされ、M1が上記に示したようなニンジンサポニンによる生理作用を発揮すると考えられている。ただし、腸管内でのM1生成能には個人差がある。本発明者らは、乳酸菌でオタネニンジンを発酵することにより、M1を含有する「発酵オタネ人参」素材を開発した。この発酵オタネニンジンは、マウスやヒトでの試験にて、発酵前よりもストレスが低減され(特許文献2)、睡眠改善効果が増加することが分かっている(非特許文献8)。しかし、GLP−1分泌に対するM1による作用については不明であった。
これまでに、GLP−1の分泌促進又は分解阻害を目的とした2型糖尿病患者に対する治療薬が開発されている。しかしながら、糖尿病や高血圧、動脈硬化症等の様々な生活習慣病の予防、改善又は治療には、食生活の改善が必須であり、食事・食品を通してGLP−1の活性を維持・向上することが重要であると考えられている。植物抽出物やその成分によるGLP−1分泌促進作用について、いくつか報告されているが(例えば、特許文献3)、その効果は非常に高用量を摂取した時のみ発揮されるか、食品としての安全性が不明なものも含まれていた。従って、より効果的なGLP−1の分泌促進作用を有し、食しても安全なGLP−1分泌促進剤が求められていた。
特開2010−132625号公報 特許第5204771号公報 特開2012−131742号公報
月刊糖尿病 Vol. 1, No.2, 2009/7 Biochemical and Biophysical Research Communications 380, 44-49 (2009) PLoS One 8 (8), e70933 (2013) Journal of Endocrinology 219, 59-68 (2013) PLoS One 8 (11), e81119 (2013) Journal of Ginseng Research 37, 261-268(2013) Journal of Endocrinology 217, 185-196(2013) SLEEP 32, 413-421(2009)
本発明は、上記現状に鑑み、より効果的なGLP−1の分泌促進作用を有し、食しても安全なGLP−1分泌促進剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、20(S)−プロトパナキサジオール 20−O−β−d−グルコピラノシド(M1)が、GLP−1分泌促進作用を有することを見出した。
本発明者らは、上記以外にも下記するように種々の新知見を得て、さらに鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のGLP−1分泌促進剤等に関する。
[1]20(S)−プロトパナキサジオール 20−O−β−d−グルコピラノシド(M1)を含有することを特徴とするGLP−1分泌促進剤。
[2]M1が、薬用人参の発酵生産物に含有されていることを特徴とする前記[1]に記載のGLP−1分泌促進剤。
[3]M1が、薬用人参の酵素処理物に含有されていることを特徴とする前記[1]に記載のGLP−1分泌促進剤。
[4]薬用人参が、ウコギ科薬用人参である前記[2]又は[3]に記載のGLP−1分泌促進剤。
[5]ウコギ科薬用人参が、オタネニンジン(Panax ginseng C.A. Meyer)である前記[4]に記載のGLP−1分泌促進剤。
[6]薬用人参の発酵生産物が、薬用人参の乳酸菌発酵物である前記[2]、[4]又は[5]のいずれか一項に記載のGLP−1分泌促進剤。
[7]乳酸菌が、ラクトバチルス属の乳酸菌である前記[6]に記載のGLP−1分泌促進剤。
[8]乳酸菌が、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株 (受託番号:FERM BP−10123)である前記[6]又は[7]に記載のGLP−1分泌促進剤。
[9]医薬組成物、食品組成物、又は飼料組成物である前記[1]〜[8]のいずれか一項に記載のGLP−1分泌促進剤。
本発明によれば、GLP−1分泌をより効果的に促進することができる。また、本発明のGLP−1分泌促進剤は、より効果的なGLP−1の分泌促進作用を有し、食しても十分に安全であるため、糖尿病や高血圧、動脈硬化症等の様々な生活習慣病の予防、改善又は治療のために使用することができ、食事などの日常生活の中で、GLP−1の活性を維持・向上することができる。
実施例1のM1及び比較例1のジンセノシドRb1のGLP−1分泌量の測定データである。 実施例2のオタネニンジンの発酵生産物及び比較例2のオタネニンジン抽出物のGLP−1分泌量の測定データである。 実施例3のオタネニンジンの発酵生産物及び比較例3のオタネニンジン抽出物のGLP−1分泌量の測定データである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のGLP−1分泌促進剤は、20(S)−プロトパナキサジオール 20−O−β−d−グルコピラノシド(M1)を含有することを特徴とする。
本発明のGLP−1分泌促進剤は、20(S)−プロトパナキサジオール 20−O−β−d−グルコピラノシド(M1)以外の成分を含んでもよい。
本発明において、GLP−1分泌促進剤とは、GLP−1の分泌を促進する効果を有する剤をいう。
本発明において、20(S)−プロトパナキサジオール 20−O−β−d−グルコピラノシド(M1)としては、従来公知の方法により化学的に合成されたものや市販品などを使用することができる。また、20(S)−プロトパナキサジオール 20−O−β−d−グルコピラノシド(M1)源としては、植物の発酵生産物、植物の酵素処理物等を使用してもよく、該発酵生産物及び酵素処理物をそのまま使用することができるし、該発酵生産物及び酵素処理物を適宜常法により加工したものを使用することができる。これらの発酵方法及び酵素処理方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を使用することができる。
20(S)−プロトパナキサジオール 20−O−β−d−グルコピラノシド(M1)としては、薬用人参の発酵生産物に含有されているM1、薬用人参の酵素処理物に含有されているM1が好ましい。M1源としては、薬用人参の発酵生産物、薬用人参の酵素処理物が好ましい。
本発明において使用される薬用人参としては、特に限定されないが、好ましくは、ウコギ科薬用人参等である。ウコギ科薬用人参としては、例えば、オタネニンジン(高麗人参;Korean ginseng:Panax ginseng C.A.Meyer)、三七ニンジン(Panax notoginseng Burk.)、アメリカニンジン(Panax quinquefolium L.)、竹節ニンジン(Panax japonicus C.A.Meyer)、ヒマラヤニンジン(Panax pseudo−ginseng Wall.subsp.himalaicus Hara)、ベトナムニンジン(Panax vietnamensis Ha et Grushv)等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を使用することができる。薬用人参は、より好ましくは、オタネニンジン等である。
本発明において使用される薬用人参としては、天然品もその加工品も使用することができる。加工品としては、例えば、薬用人参の乾燥物、裁断物、粉砕物、抽出物、ペースト等が挙げられる。前記乾燥方法、裁断方法、粉砕方法、抽出方法、ペースト状化方法は、従来公知の方法を使用することができる。薬用人参は、生の状態のものであってもよく、乾燥状態のものであってもよい。
薬用人参の大きさは、特に限定されないが、例えば、平均長径が0.2mm以下に裁断、粉砕、抽出、ペースト状化されることが好ましい。
本発明において使用される薬用人参の部位は、特に限定されず、どの部位でも使用することができる。例えば、根、茎、葉、花蕾、果実、全草等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。薬用人参の部位は、好ましくは根等であり、より好ましくは、側根、主根等である。
薬用人参の発酵生産物は、前記人参を、微生物を用いて発酵させることにより得られる生産物である。発酵方法は、従来十分に確立されており(例えば、特許3678362号公報に記載の方法)、本発明もそれに従ってよい。
前記発酵は、例えば、薬用人参を含有する培地を常法により減菌処理した後、該培地に微生物を接種し、発酵する方法が好ましく挙げられる。
本発明において使用される培地は、特に限定されないが、例えば、微生物の培養に通常使用される炭素源、窒素源、ミネラル源等を含むもの等を使用することができ、天然培地又は合成培地等を用いることができる。好ましくは、液体培地を用いる。
薬用人参を含有する培地に添加する窒素源としては、特に限定されないが、無機態窒素源としては、例えば、アンモニア、アンモニウム塩等が挙げられ、有機態窒素源としては、例えば、ペプトン、ポリペプトン、尿素、アミノ酸、タンパク質、大豆ペプチド等のペプチド類等が挙げられる。窒素源は、好ましくは、ペプトン、ポリペプトン、ペプチド等である。また、ミネラル源としては、特に限定されないが、酵母エキスや肉エキスの他、K、P、Mg、S等を含む、例えば、リン酸一水素カリウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。これらの窒素源、ミネラル源は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
培地中の窒素源の濃度は、微生物が生育できる通常の濃度であればよく、特に限定されない。培養開始時の窒素源の濃度は、通常は、約0.05〜10重量%が好ましく、約0.1〜5重量%がより好ましい。
前記培地は、前記の窒素源、ミネラル源に加えて、さらに、炭素源、無機質等、pH緩衝剤等を添加しても良い。無機質としては、特に限定されないが、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸カリウム、塩化マグネシウム、食塩、鉄、マンガン、モリブデン、各種ビタミン類等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
pH緩衝剤としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム等が好ましく挙げられる。
本発明において、薬用人参は、発酵原料として培地に添加される。薬用人参は、天然物でもその加工品でも良い。加工品としては、例えば、薬用人参の乾燥物、裁断物、粉砕物、抽出物、ペースト等が挙げられる。これらの製造は従来十分に確立されている。本発明においても、それらに従ってよい。
薬用人参の使用量は、特に限定されず、薬用人参の種類、形状、乾燥状態、及び培養条件等に応じて適宜選択され得る。薬用人参/培地全量の重量比は、好ましくは、約1/100〜50/100であり、より好ましくは、約5/100〜20/100であり、さらに好ましくは、約10/100〜15/100である。
本発明において、薬用人参の重量比の測定に使用する薬用人参は、内温約100〜180℃で約1〜6時間乾燥させた薬用人参に換算したものであることが好ましい。
前記培地は、上述した薬用人参以外の成分や添加剤を含んでも良い。
前記培地のpHは、例えば約3〜7とすることが好ましく、約5〜6.5とすることがより好ましい。pHを制御してもよく、酸又はアルカリを用いてpHの調整を行うことができる。
上記したように、薬用人参は発酵原料として発酵培地に加えられるが、薬用人参として、薬用人参の処理物又は加工品が用いられて良い。処理物としては、薬用人参の抽出物又は薬用人参懸濁液が挙げられる。薬用人参の抽出物は、薬用人参の溶媒抽出物であって良く、該抽出物は、薬用人参の溶媒抽出液そのもの又はその濃縮物、乾燥物であっても良い。懸濁液は、薬用人参を細切、細断又は粉砕したものを、溶媒に懸濁させたものであって良い。抽出物又は懸濁液は、加熱したもの、例えば熱水抽出液を使用しても良い。
前記培地としては、溶媒抽出物を使用せず、例えばペースト状等の流動性又は粘性を有する前記薬用人参、人参茶などを薬用人参加工品として単独で使用することもできる。ペースト、薬用人参加工品等は市販品を使用してもよい。
前記抽出又は懸濁のための溶媒は、特に限定されないが、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、生理食塩水等の水溶液、極性有機溶媒等が好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。極性有機溶媒としては、炭素数1〜4のアルコールが好ましく、これらのアルコールと水を混合して使用することがより好ましい。炭素数1〜4のアルコールの具体的な例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、及びそれらの組み合わせ等が挙げられる。なかでも、エタノールがさらに好ましい。また、必要に応じて抽出又は懸濁に使用した溶媒は減圧留去などの方法で除去してもよい。
前記薬用人参の処理物を製造する際の加熱温度は、特に限定されないが、好ましくは、約15〜150℃であり、より好ましくは、約20〜121℃である。前記薬用人参の処理物を製造する際の加熱時間は、特に限定されないが、好ましくは、約0.1〜72時間であり、より好ましくは、約0.3〜24時間である。
前記の薬用人参の処理物の製造に使用される薬用人参と、抽出又は懸濁のための溶媒との重量比は、薬用人参の種類、形状、乾燥状態、及び培養条件等に応じて適宜選択され得るが、例えば、薬用人参/抽出又は懸濁のための溶媒の重量比は、好ましくは、約1/3〜1/50であり、より好ましくは、約1/4〜1/30である。
前記培地に前記薬用人参を添加することにより薬用人参を含有する培地が得られる。該培地を常法により滅菌した後、該培地に微生物を接種して発酵することにより、薬用人参の発酵生産物が得られる。滅菌方法としては、例えば、加熱滅菌、高圧蒸気滅菌、ろ過滅菌等が挙げられ、これらに限定されることなく従来公知の方法を使用することができる。
本発明において使用される微生物としては、特に限定されないが、好ましくは、β−グルコシダーゼ、α−アラビノシダーゼおよびα−ラムノシダーゼからなる群より選択される少なくとも1種の酵素を生産する微生物であって、食品に添加することができる微生物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。
前記微生物としては、例えば、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidphilus)、ラクトバチルス・ガセリ(L.gasseri)、ラクトバチルス・マリ(L.mali)、ラクトバチルス・プランタラム(L.plantarum)、ラクトバチルス・ブヒネリ(L.buchneri)、ラクトバチルス・カゼイ(L.casei)、ラクトバチルス・ジョンソニー(L.johnsonii)、ラクトバチルス・ガリナラム(L.gallinarum)、ラクトバチルス・アミロボラス(L.amylovorus)、ラクトバチルス・ブレビス(L.brevis)、ラクトバチルス・ラムノーザス(L.rhamnosus)、ラクトバチルス・ケフィア(L.kefir)、ラクトバチルス・パラカゼイ(L.paracasei)、ラクトバチルス・クリスパタス(L.crispatus)などのラクトバチルス属の乳酸菌;ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptcoccus thermophilus)などのストレプトコッカス属の乳酸菌;ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)などのラクトコッカス属の乳酸菌;ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.longum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(B.adolescentis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B.infantis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve)、ビフィドバクテリウム・カテヌラータム(B.catenulatum)などのビフィドバクテリウム属の乳酸菌;バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などのバチルス属細菌;サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyses cerevisiae)、トルラスポラ・デルブルエッキー(Torulaspora delbrueckii)、キャンジダ・ケフィアなどのサッカロマイセス属酵母;トルラスポラ属酵母;キャンジダ属酵母などが挙げられる。なかでも、ラクトバチルス属の乳酸菌、ストレプトコッカス属の乳酸菌、ラクトコッカス属の乳酸菌、ビフィドバクテリウム属の乳酸菌、サッカロマイセス属酵母等が好ましい。
ラクトバチルス属の乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)、ラクトバチルス・ガセリDSM20243株、ラクトバチルス・プランタラムATCC14947株およびATCC10241株、ラクトバチルス・ブヒネリATCC4005株、ラクトバチルス・カゼイATCC393株、ラクトバチルス・マリATCC27304株、ラクトバチルス・ガリナラムJCM2011株、ラクトバチルス・アミロボラスJCM1126株、ラクトバチルス・ブレビスATCC14869株、ラクトバチルス・ラムノーザスATCC7469株およびATCC53103株、ラクトバチルス・ケフィアNRIC1693株、ラクトバチルス・パラカゼイNCDO−151株等が挙げられる。ラクトコッカス属の乳酸菌としては、ラクトコッカス・ラクチスATCC15577株等が挙げられる。ビフィドバクテリウム属の乳酸菌としては、ビフィドバクテリウム・ビフィダムJCM7002株、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティスATCC15703株等が挙げられる。サッカロマイセス属酵母としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエIFO−0309株およびIFO−2018株等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。
前記微生物のなかでも、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123、受託日:平成15年8月11日)が特に好ましい。該菌株によれば、20(S)−プロトパナキサジオール 20−O−β−d−グルコピラノシド(M1)を効率よく生成することができる。さらに、該菌は、漬物などの一般食品から分離された微生物であることから、食しても安全である。
本発明において、前記培地に微生物を接種する条件は、特に限定されず、例えば、該培地中に微生物を約0.01〜10%接種することが好ましく、約0.1〜5%接種することがより好ましい。
本発明において、薬用人参の発酵温度は、発酵が効率的に実施できれば特に限定されないが、例えば、約25〜37℃が好ましく、約28〜33℃がより好ましい。
また、発酵時間は、前記培地の組成、該培地の微生物の接種量、前記発酵温度等に応じて適宜設定され得るが、例えば、約2〜21日が好ましく、約7〜14日がより好ましい。発酵は、好気条件下で行ってもよく、嫌気条件下で行っても良い。発酵後は、さらに常法により加熱減菌することが好ましい。
発酵が終了した後、発酵液から発酵生産物を採取する。採取は、公知の方法に従って、行なわれて良い。例えば、発酵液を静置して、上澄み液を集め濃縮することにより、又は上澄み液を抽出、濃縮するなどの手段によって、行なわれて良い。
薬用人参の発酵生産物は、薬用人参を発酵させて得られた発酵物(発酵液)そのもの、該発酵物を常法により加工したもの、該発酵物を常法により精製したものを含む。これらの加工方法としては、例えば、希釈、濃縮、乾燥、溶媒による抽出等が挙げられる。精製方法としては、例えば、ろ過、遠心分離等が挙げられる。
薬用人参の酵素処理物は、前記人参を酵素処理させることにより得られる生産物である。酵素処理の方法は、従来公知の方法を使用することができる。酵素処理方法は、従来十分に確立されており(例えば、J Agric Food Chem 2012 60(14):3776-81に記載の方法)、本発明もそれに従ってよい。
前記酵素処理物の製造方法について、好ましい実施態様を以下に説明する。
酵素処理に使用する酵素としては、例えば、β―グルコシダーゼ、α―アラビノシダーゼ、α―ラムノシダーゼ、α―ガラクトシダーゼ、β―ガラクトシダーゼ、キシラナーゼ、ラクターゼ、α―アミラーゼ、β―アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。酵素は、好ましくは、β―グルコシダーゼ、α―アラビノシダーゼ、α―ラムノシダーゼ等であり、より好ましくは、β―グルコシダーゼ等である。これらは1種単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
酵素処理における温度は、特に限定されず、酵素や薬用人参の種類等により適宜設定され得るが、好ましくは、約10〜90℃であり、より好ましくは、約30〜50℃である。酵素処理の時間は、特に限定されないが、好ましくは、約1時間〜2週間であり、より好ましくは、約4時間〜1週間である。
前記薬用人参、その処理物又はその加工品と酵素とを接触させ、酵素反応終了後に酵素反応液から酵素処理生産物を採取する。採取方法は、公知方法に従って行なわれて良く、例えば、上記した発酵液から発酵生産物を採取する手段にしたがって行なわれて良い。
薬用人参の酵素処理物は、薬用人参を酵素処理させて得られた処理物そのもの、該処理物を常法により加工したもの、該処理物を常法により精製したものを含む。これらの加工方法及び精製方法としては、上記した発酵生産物を加工及び精製する手段にしたがって行なわれて良い。
上述のようにして得られた発酵生産物及び酵素処理物は、M1を含有する。該発酵生産物及び酵素処理物において、M1の含有量は、特に限定されないが、他の成分と比較して多く含有されていることが好ましく、ジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rdと比較して多く含有されていることが好ましい。
前記発酵生産物及び酵素処理物は、そのままでGLP−1分泌促進剤に使用してもよいし、ろ過、遠心分離、殺菌(加熱殺菌等)、濃縮、乾燥(凍結乾燥等)、抽出等の処理を施してから使用してもよい。これらの処理方法は、従来公知の方法を使用することができる。
本発明のGLP−1分泌促進剤は、医薬組成物、食品組成物、健康食品、サプリメント又は飼料組成物として使用することができる。
本発明のGLP−1分泌促進剤を医薬組成物として用いる場合には、本発明のGLP−1分泌促進剤と製薬学的に許容される製剤用添加物を含む医薬組成物の形態で投与することが好ましい。医薬組成物の形態としては、例えば、カプセル剤、錠剤(糖衣錠もしくは腸溶錠等のコーティング錠又は多層錠を含む)、散剤もしくは顆粒剤等の経口固形製剤の形態をとっていてもよいし、経口液体製剤の形態をとっていてもよいし、注射剤や点滴剤、坐剤等の非経口製剤の形態をとっていてもよい。これら製剤は、自体公知の方法により製造することができる。
カプセル剤、錠剤、散剤もしくは顆粒剤等の固形製剤に通常使用されている製剤用添加
物としては、例えば、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、結晶セルロー
ス等)、結合剤(例えば、デンプン糊液、ヒドロキシプロピルセルロース液、カルメロー
ス液、アラビアゴム液、ゼラチン液、アルギン酸ナトリウム液等)、崩壊剤(例えば、デ
ンプン、カルメロースナトリウム、炭酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸
マグネシウム、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等)、界面活性剤(例え
ば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、増粘剤(例えば、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ
エチレングリコール等)等が挙げられるが、これらに限定されない。錠剤又は顆粒剤は、
コーティング剤(例えば、ゼラチン、白糖、アラビアゴム、カルナバロウ、酢酸フタル酸
セルロース、メタアクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、カ
ルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)等で剤皮を
施してもよい。カプセル剤は、ハードカプセルの他、マイクロカプセル又はソフトカプセ
ル等であってもよい。固形製剤は、従来公知の方法により製造することができる。
液体製剤には、例えば、糖類(例えば、ショ糖、ソルビット、果糖等)、グリコール類
(例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール等)、分散又は増粘剤(例えば
、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等)、乳化剤(例えば、グリセリン
脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等)、溶解補助剤(例えば、アラビアゴム、ポリ
ソルベート80等)、pH調整剤(例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム等)、防腐
剤(例えば、パラオキシ安息香酸エステル類等)等を配合してもよい。
本発明のGLP−1分泌促進剤を食品組成物として用いる場合には、本発明のGLP−1分泌促進剤をそのまま食品として使用してもよく、該促進剤と食品衛生上許容される添加物や通常の食品原料を含む形態としてもよい。
前記食品組成物は、食品衛生上許容される添加剤と共に、例えば、カプセル剤、錠剤(糖衣錠等のコーティング錠又は多層錠、あるいは口中崩壊剤等を含む)、散剤もしくは顆粒剤等の固形組成物の形態をとっていてもよいし、液体組成物の形態をとっていてもよい。該添加剤としては、例えば賦形剤(例えば、乳糖、デキストリン、コーンスターチ、結晶セルロース等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等)、結合剤(例えば、デンプン糊液、ヒドロキシプロピルセルロース液、アラビアゴム液等)、溶解補助剤(例えば、アラビアゴム、ポリソルベート80等)、甘味料(例えば、砂糖、果糖、ブドウ糖液糖、ハチミツ、アスパルテーム等)、着色料(例えば、β−カロテン、食用タール色素、リボフラビン等)、保存料(例えば、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸メチル、亜硫酸ナトリウム等)、増粘剤(例えば、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム等)、酸化防止剤(例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、トコフェロール等)、香料(例えば、ハッカ、ストロベリー香料等)、酸味料(例えば、クエン酸、乳糖、DL−リンゴ酸等)、調味料(例えば、DL−アラニン、5’−イノシン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウム等)、乳化剤(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等)、pH調整剤(例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム等)、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、色素等が挙げられる。該固形組成物は、常法に従って製造することができる。また、液体組成物は、上記経口投与に適する液体製剤と同様にして製造することができる。
また、本発明のGLP−1分泌促進剤又は該促進剤を含む固形組成物もしくは液体組成物を、飲食品に配合することによって、食品組成物を製造することができる。そのような飲食品としては、例えば、菓子類(例えば、ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック菓子、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(例えば、そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(例えば、ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(例えば、味噌、醤油等)、スープ類、飲料(例えば、ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や栄養補助食品(例えば、栄養ドリンク等)等が挙げられる。
本発明のGLP−1分泌促進剤を健康食品として用いる場合には、本発明のGLP−1分泌促進剤をそのまま使用してもよく、該促進剤と食品衛生上許容される添加物や通常の健康食品原料を含む形態としてもよい。健康食品とは、保健、健康維持・増進等の目的とした食品組成物を意味し、認可された特定機能性食品や、特定機能性食品の認可のないいわゆる健康食品が含まれる。前記健康食品は、例えば、液体又は半固形、固形の製品であって、クッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、ヨーグルト、まんじゅう等の菓子類、清涼飲料、栄養飲料、スープ等が挙げられる。また、そのままお湯や水に溶かして飲用しても良い。これらの液体又は半固形、固形の製品は、常法に従って製造することができる。
本発明のGLP−1分泌促進剤をサプリメントとして用いる場合には、本発明のGLP−1分泌促進剤をそのまま使用してもよく、該促進剤と食品衛生上許容される添加物や通常のサプリメント用原料を含む形態としてもよい。サプリメントとは、栄養素等を補うための栄養補助食品、栄養機能食品等を意味するだけではなく、健康の保持・回復・増進等のために役立つ機能等を有する健康補助食品、健康機能食品等をも意味する。このようなサプリメントの形状としては、例えば、タブレット状、丸状、カプセル(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)状、粉末状、顆粒状、細粒状、トローチ状、液状(シロップ状、乳状、懸濁状を含む)等が挙げられる。これらは、常法に従って製造することができる。
本発明のGLP−1分泌促進剤を例えば家畜などのための飼料組成物として用いる場合には、本発明のGLP−1分泌促進剤をそのまま使用してもよく、該促進剤と一般的な飼料添加物や飼料用原料を含む形態としてもよい。
本発明のGLP−1分泌促進剤を医薬組成物、食品組成物、健康食品、サプリメント又は飼料組成物として使用する場合、該促進剤の投与量または摂取量は、特に限定されないが、例えば、成人1人1日当たり、M1を約0.01〜50mg/kg・体重、好ましくは約0.1〜10mg/kg・体重、となるように投与または摂取するのがGLP−1分泌促進効果を効果的に得られる点で好ましい。
本発明を以下の実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<M1によるGLP−1分泌促進作用の評価>
(実施例1)
<M1の作製>
ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を、前培養培地(組成:グルコース30g/L、酵母エキス10g/L、大豆ペプチド5g/L、KHPO 2g/L、MgSO・7HO 0.5g/L)20mLに1白金耳植菌し、28℃にて48時間静置培養した。培養後の培養液2mLを、新たな前培養培地120mLに植菌し、28℃にて48時間静置培養した。
上記培養後の培養液20mLを、高圧蒸気滅菌(121℃、20分間)した仕込み液(
オタネニンジン(側根)粉末130g/L、酵母エキス10g/L、大豆ペプチド5g
/L、炭酸カルシウム10g/L)1Lに植菌し、28℃で10日間発酵した。得られた
培養液を、水酸化ナトリウムでpH5.0に調整し、次いで、噴霧乾燥することにより、
オタネニンジンの発酵生産物を得た。
得られたオタネニンジンの発酵生産物25gに50%エタノールを500mL加えて懸濁した後、遠心分離を行って、上清分画を回収した。得られた上清分画を、水で平衡化した分離精製用樹脂カラム(樹脂:三菱化学社製、(登録商標)ダイヤイオンHP20、カラム:φ200mm、高さ75cm)に導入し、カラム容積の3倍量の50%エタノールを流した。次に、カラム容積の3倍量の100%エタノールを流して吸着物を溶出させた。得られた溶出液中の溶媒を減圧留去し、凍結乾燥してM1を含むサポニン粗分画10gを得た。このサポニン粗分画5gをさらに逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(メルク社製、シリカゲルRP−8、250g、溶出溶媒:80%メタノール)にて分離精製し、0.5gのM1を得た。得られたM1の純度は、95%以上であった。
<細胞培養>
NCI−H716細胞(ヒト腸管由来細胞株;ATCC社より購入)は37℃、5% CO存在下で培養し、継代用培地としてRPMI1640(10%ウシ胎児血清、50 Units/mL ペニシリン、50μg/mL ストレプトマイシン含有;Invitrogen社製)を使用した。マトリゲル(90 μL/well;BD社製)でコーティングした24ウェルプレートに細胞を5×10個/ウェルとなるようにDMEM培地(10%ウシ胎児血清、50 Units/mL ペニシリン、50μg/mL ストレプトマイシン含有、高グルコース;Invitrogen社製)に懸濁して添加した。2日間培養後、KRBバッファー(Krebs−Ringer bicarbonate、0.2% BSA含有)に前記のM1を50μMとなるよう添加したものに培地を交換し、さらに2時間培養した。その後、培養上清をマイクロチューブに回収し、セリンプロテアーゼ阻害剤としてphenylmethylsulphonyl fluoride (50μg/mL、Sigma社製)を添加した。また、細胞はセルリカバリーソリューション(BD社製)を用いて回収し、RIPA(radioimmune precipitation assay)バッファーで細胞抽出物を作製した。培養上清および細胞抽出物は、測定に使用するまで−70℃以下で保存した。
<GLP−1分泌量の測定>
培養上清中に分泌されたGLP−1の濃度を、「GLP−1, Active form Assay Kit」(IBL社製)を使用し、ELISA法で測定した。また、細胞抽出物中のタンパク質濃度を、BCAプロテインアッセイキット(Thermo社製)を用いて測定し、GLP−1分泌量をタンパク質濃度で標準化し、被験物質無添加(=対照)を1として表した。結果を図1に示す。
(比較例1)
実施例1においてM1をジンセノシドRb1(和光純薬工業社製)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行ない、細胞培養及びGLP−1分泌量の測定を実施した。GLP−1分泌量の測定結果を図1に示す。これらの結果から、M1が、ジンセノシドRb1と比較して優れたGLP−1分泌促進作用を有することがわかった。
<オタネニンジンの発酵生産物によるGLP−1分泌促進作用の評価>
<オタネニンジンの発酵生産物>
(実施例2)
ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を、前培養培地(組成:グルコース30g/L、酵母エキス10g/L、大豆ペプチド5g/L、KHPO 2g/L、MgSO・7HO 0.5g/L)20mLに1白金耳植菌し、28℃にて48時間静置培養した。培養後の培養液2mLを、新たな前培養培地120mLに植菌し、28℃にて48時間静置培養した。
上記培養後の培養液20mlを、高圧蒸気滅菌(121℃、20分間)した仕込み液(
オタネニンジン(側根)粉末130g/L、酵母エキス10g/L、大豆ペプチド5g/L、炭酸カルシウム10g/L)1Lに植菌し、28℃で10日間醗酵した。得られた培養液を、水酸化ナトリウムでpH5.0に調整し、次いで、噴霧乾燥することにより、オタネニンジンの発酵生産物145gを得た。
得られたオタネニンジンの発酵生産物5gに対して50%エタノールを100mL添加し、室温で約1時間撹拌してオタネニンジンの発酵生産物を抽出した後、ろ紙でろ過した。ろ液をロータリーエバポレーターに供して溶媒を除去し、少量の蒸留水を加えて再懸濁させた後に凍結乾燥させ、オタネニンジンの発酵生産物の抽出物を得た。オタネニンジンの発酵生産物中のM1、ジンセノシドRb1、Rb2、Rc、Rdの含有量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて以下の条件により測定した。
HPLC測定条件
上記オタネニンジンの発酵生産物の抽出物を50%エタノールに溶解させて試料溶液とし、HPLC分析に供した。分離カラムにYMC−Pack ODS−A (I.D. 250×4.6mm、 S−5μm、 12nm;YMC社製)を使用し、紫外吸光光度計(SPD−M10Avp;Shimadzu社製)で解析した。既知の濃度の標準溶液と比較することで、試料溶液中のM1とプロトパナクサジオール系人参サポニン(ジンセノシドRb1、Rb2、Rc、Rd)の含有量を算出した。結果を表1に示す。
被験物質としてM1の代わりに上記オタネニンジンの発酵生産物の抽出物を使用し、オタネニンジンの発酵生産物の濃度が図2中に示す濃度となるように該抽出物を添加した以外は実施例1と同様の方法を用いて、GLP−1分泌量を測定した。結果を図2に示す。図2中に示すオタネニンジンの発酵生産物の濃度は、該発酵生産物中のM1、ジンセノシドRb1、Rb2、Rc及びRdの含有量の合計濃度を示す。
<オタネニンジン抽出物>
(比較例2)
オタネニンジンの乾燥根をミルで粉砕し、直径約0.2mmの粉末状にした。このオタネニンジン粉末5gに対して50%エタノールを100mL添加し、室温で約1時間撹拌してオタネニンジンに含有される成分を抽出した。ろ紙でろ過した後、ろ液をロータリーエバポレーターに供して溶媒を除去し、少量の蒸留水を加えて再懸濁させた後に凍結乾燥し、オタネニンジン抽出物を得た。実施例2においてオタネニンジンの発酵生産物の抽出物をオタネニンジン抽出物に変更した以外は実施例2と同様の方法を用いて、得られたオタネニンジン抽出物中のM1、ジンセノシドRb1、Rb2、Rc、Rdの含有量を、HPLCで測定し、算出した。結果を表1に示す。また、被験物質としてM1の代りにオタネニンジン抽出物を使用した以外は実施例1と同様の方法を用いて細胞培養し、GLP−1分泌量を測定した。結果を図2に示す。図2中に示すオタネニンジン抽出物の濃度は、該抽出物中のM1、ジンセノシドRb1、Rb2、Rc及びRdの含有量の合計濃度を示す。
図2の結果から、実施例2のオタネニンジンの発酵生産物は、比較例2のオタネニンジン抽出物と比較して、優れたGLP−1分泌促進作用を有することがわかった。
(実施例3)
実施例2において、オタネニンジンの発酵生産物の抽出溶媒(50%エタノール)を90%メタノールに変更した以外は実施例2と同様の方法を用いてオタネニンジンの発酵生産物の抽出物を作製し、オタネニンジンの発酵生産物中のM1とジンセノシドRb1、Rb2、Rc、Rdの含有量を算出した(表1)。また、該発酵物を使用して細胞培養し、GLP−1分泌量を測定した(図3)。
(比較例3)
オタネニンジン粉末に添加する抽出溶媒(50%エタノール)を90%メタノールに変更した以外は比較例2と同様の方法を用いてオタネニンジン抽出物を作製し、該抽出物中のM1とジンセノシドRb1、Rb2、Rc、Rdの含有量を算出し(表1)、該抽出物を使用して細胞培養し、GLP−1分泌量を測定した(図3)。
表1の結果から、実施例2及び3のオタネニンジンの発酵生産物には、Rb1、Rb2、Rc、Rdに比してM1が豊富に含有されることが確認できた。一方、比較例2及び3の未発酵のオタネニンジン抽出物には、M1が検出されず、該抽出物中のM1の含有量は検出限界以下であることが確認できた。
また、図3の結果から、実施例3のオタネニンジンの発酵生産物は、比較例3のオタネニンジン抽出物と比較して、優れたGLP−1分泌促進作用を有することがわかった。
本発明のGLP−1分泌促進剤は、より効果的にGLP−1分泌を促進し、食しても安全であるため、糖尿病や高血圧、動脈硬化症等の様々な生活習慣病の予防、改善又は治療のために使用することができる。

Claims (9)

  1. 20(S)−プロトパナキサジオール 20−O−β−d−グルコピラノシド(M1)を含有することを特徴とするGLP−1分泌促進剤(ただし、醗酵人参エキスを有効成分として含有する、抗糖尿病剤を除く)
  2. M1が、薬用人参の発酵生産物に含有されていることを特徴とする請求項1に記載のGLP−1分泌促進剤。
  3. M1が、薬用人参の酵素処理物に含有されていることを特徴とする請求項1に記載のGLP−1分泌促進剤。
  4. 薬用人参が、ウコギ科薬用人参である請求項2又は3に記載のGLP−1分泌促進剤。
  5. ウコギ科薬用人参が、オタネニンジン(Panax ginseng C.A. Meyer)である請求項4に記載のGLP−1分泌促進剤。
  6. 薬用人参の発酵生産物が、薬用人参の乳酸菌発酵物である請求項2、4又は5のいずれか一項に記載のGLP−1分泌促進剤。
  7. 乳酸菌が、ラクトバチルス属の乳酸菌である請求項6に記載のGLP−1分泌促進剤。
  8. 乳酸菌が、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株 (受託番号:FERM BP−10123)である請求項6又は7に記載のGLP−1分泌促進剤。
  9. 医薬組成物、食品組成物、又は飼料組成物である請求項1〜8のいずれか一項に記載のGLP−1分泌促進剤。
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