上記先行技術による場合、界壁は石膏ボードが貼り付けられた状態で工場から建築現場に搬入される。一般的に、石膏ボードは水に弱く、水に濡れると強度が低下する。このため、雨等に濡れないように雨天時以外に搬入及び施工する必要があるため、天候によっては工期が延びる可能性がある。また、界壁面材を濡らさないよう界壁フレーム枠と界壁面材とを別々に建築現場に搬入し、建物上部に界壁フレーム枠を設置し、かつ、つなぎ材が取り付けられた状態で界壁面材を貼り付けることも考えられるが、界壁フレーム枠につなぎ材が取り付けられた状態では、このつなぎ材が障害となってつなぎ材の上方に界壁面材を貼り付ける作業がやり辛くなる。つまり、建築現場での作業が長くなるため、工期が長くなる。同時に、界壁面材の貼り付け作業の工期が長くなるとそれに伴って天候の制約を受けやすくなる。
本発明は上記問題を考慮し、天候の影響を最小限に抑えると共に容易に施工することができる界壁構造を得ることを目的とする。
請求項1記載の発明に係る界壁構造は、枠材によって平面状に形成されると共に建物の小屋裏内に立設された界壁フレーム枠と、前記枠材に取り付けられると共に、前記界壁フレーム枠に対し面直方向に延出しかつ隣接する前記界壁フレーム枠同士を繋ぐつなぎ材が固定されたつなぎ材受けと、前記界壁フレーム枠を覆うように前記界壁フレーム枠に貼り付けられた界壁面材の一部を構成すると共に前記界壁フレーム枠の前記つなぎ材受けの配置位置を含んで建物上下方向の上側に配置された耐水性を有する第1界壁面材と、前記界壁面材の一部を構成すると共に前記第1界壁面材の建物上下方向下側の端末から建物上下方向の下側に配置された第2界壁面材と、を備えている。
請求項2記載の発明に係る土台水切部材は、請求項1に記載の界壁構造において、前記つなぎ材は、前記界壁面材の表面から離間した位置で前記つなぎ材受けに固定されている。
請求項3記載の発明に係る界壁構造は、請求項1又は請求項2記載の界壁構造において、前記第1界壁面材の表面には、鋼板が配置されている。
請求項4記載の発明に係る界壁構造は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の界壁構造において、前記つなぎ材受けは、前記界壁面材を介して前記界壁フレーム枠に取り付けられている。
請求項5記載の発明に係る界壁構造は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の界壁構造において、前記つなぎ材の長さは、一方の前記界壁フレーム枠の前記つなぎ材受けからこれと隣接する他方の前記界壁フレーム枠の前記つなぎ材受けまでの寸法に設定されている。
請求項6記載の発明に係る界壁構造は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の界壁構造において、前記第1界壁面材の建物上下方向下側の前記端末には板厚方向で段差形状の接合切り欠き部が形成されると共に、前記第2界壁面材の建物上下方向上側の端末には板厚方向で段差形状の接合切り欠き部が形成されており、それぞれの接合切り欠き部が互い違いに嵌合された状態で前記第1界壁面材と前記第2界壁面材とが接合されている。
請求項1記載の本発明によれば、界壁フレーム枠に取り付けられる界壁面材は、つなぎ材受けの配置位置を含んだ建物上下方向の上側が第1界壁面材で構成されると共に下側が第2界壁面材で構成されている。この第1界壁面材は耐水性を有することから、工場等であらかじめ第1界壁面材を貼り付けておくことで、工場から建築現場への搬入及び施工の段階で雨に濡れた場合でも不具合の発生を抑制することができる。また、つなぎ材が界壁フレーム枠に取り付けられた後に建築現場にて界壁面材を貼り付ける場合はつなぎ材が障害となってつなぎ材受けの上方に界壁面材を貼り付ける作業がし辛くなり、工期が長くなる。これに対し、本発明ではつなぎ材が界壁フレーム枠に取り付けられる前にあらかじめ第1界壁面材を界壁フレーム枠に貼り付けることが可能になるので、建築現場での施工作業は、比較的作業がし易いつなぎ材受けの下方に第2界壁面材を貼り付ける作業のみとなる。したがって、第2界壁面材が耐水性を有しない構成とされた場合でも、建築現場での界壁面材の貼り付け作業時間が短く済むことから、天候の影響を受けにくくなる。
請求項2記載の本発明によれば、つなぎ材は界壁面材と離間した位置でつなぎ材受けに固定されるため、この固定をするに当たり界壁面材に影響が及ばなくなる。つまり、界壁面材へつなぎ材を固定することを考慮した界壁面材への切り欠き等の加工が不要となる。
請求項3記載の本発明によれば、第1界壁面材の表面には、鋼板が配置されているので、界壁フレーム枠に工場等であらかじめ第1界壁面材を貼り付けた状態で建築現場に搬入して建物へ施工する際に、この第1界壁面材が雨等に濡れた場合でも剛性の低下等不具合の発生を抑制することができる。つまり、天候に左右されることなく搬入及び施工をすることが可能となる。
請求項4記載の本発明によれば、つなぎ材受けは界壁面材を間に挟んで界壁フレーム枠に取り付けられた構成とされている。すなわち、界壁面材は、界壁面材自体につなぎ材受けに合わせた切り欠きを設けることなく界壁フレーム枠全面に取り付けることができる。一般的に、界壁面材に切り欠きを設けるとつなぎ材受けと界壁面材の切り欠きとの間には隙間が発生する。この界壁面材の隙間を通じて火災時には火炎が侵入するため、防火性能が低下する可能性がある。これに対し、本構成では界壁面材に隙間が形成されないため、火災時において火炎の侵入を抑制することができる。
請求項5記載の本発明によれば、つなぎ材は一方のつなぎ材受けからこの一方のつなぎ材受けと隣接する他方のつなぎ材受けまでの寸法に設定されていることから、界壁フレーム枠に取り付けられる界壁面材にはつなぎ材が貫通するための切り欠きが不要となる。したがって、界壁面材に切り欠きが形成されないため、火災時においてこの切り欠きを通じた火炎の侵入を抑制することができる。
請求項6記載の本発明によれば、界壁面材における第1界壁面材と第2界壁面材とは、それぞれの接合切り欠き部同士が互い違いに嵌合された状態で接合されていることから、第1界壁面材と第2界壁面材との間には隙間が形成されない。したがって、界壁面材に隙間が形成されないため、火災時においてこの隙間を通じた火炎の侵入を抑制することができる。
請求項1記載の界壁構造は、天候の影響を最小限に抑えると共に容易に施工することができるという優れた効果を有する。
請求項2記載の界壁構造は、施工がより容易になるという優れた効果を有する。
請求項3記載の界壁構造は、より具体的に天候の影響を最小限に抑えることができるという優れた効果を有する。
請求項4〜6記載の界壁構造は、防火性能を向上させることができるという優れた効果を有する。
以下、図1〜4を用いて、本発明に係る界壁構造の一実施形態について説明する。
図1に示されるように、建物10は、図示しない基礎上に設けられた居室部12と、居室部12の建物上下方向上側に設けられる屋根部14とを有している。居室部12は、梁と柱とで略箱状に形成された躯体に外壁パネル16が建物外側から取り付けられた構成とされており、本実施形態では建物上下方向下側に設けられる一階部分と、この一階部分の建物上下方向上側に設けられる二階部分と、で構成されている(いずれも不図示)。さらに、一階部分及び二階部分はそれぞれ建物上下方向に延出された複数の界壁18によって区切られた図示しない居室を有している。この界壁18は、一階部分から二階部分及び後述する小屋裏20内まで連続して一体的に設けられている。
屋根部14は、いわゆる切妻屋根形状とされており、屋根構造フレーム22と、この屋根構造フレーム22に図示しない屋根面材が建物上方から取り付けられた構成とされている。また、二階部分の天井24と屋根面材との間には小屋裏20が形成されている。
屋根構造フレーム22は、界壁18の建物上下方向上側を構成する平面状に形成された界壁フレーム枠26と、建物10の桁方向かつ界壁フレーム枠26の面直方向に延出されかつ隣接する界壁フレーム枠26同士を繋ぐつなぎ材28とで構成されている。界壁フレーム枠26は、枠材としての上弦材30、下弦材32及びスタッド34で構成されている。具体的には、この界壁フレーム枠26は正面視で二等辺三角形形状に形成されており、かつ、二等辺三角形の底辺位置に配置された下弦材32と、この下弦材32の長手方向の中央部に立設される中央部スタッド36と、中央部スタッド36の両側に離間してこれと平行に立設された複数の側部スタッド38と、二等辺三角形の斜辺位置に配置されかつ正面視で山形の上弦材30と、で構成されている。そして、この界壁フレーム枠26は複数設けられると共にそれぞれが桁方向に離間しかつそれぞれが平行に立設されている。
つなぎ材28の長手方向の寸法は、一方の界壁フレーム枠26の後述するつなぎ材受け39からこの一方の界壁フレーム枠26と隣接する他方の界壁フレーム枠26のつなぎ材受け39との間の寸法と略同一に設定されている。すなわち、つなぎ材28の一方の端部が一方の界壁フレーム枠26のつなぎ材受け39に取り付けられると共に、つなぎ材28の一方の端部と反対側の他方の端部が一方の界壁フレーム枠26と隣接する他方の界壁フレーム枠26のつなぎ材受け39に取り付けられることで、一方の界壁フレーム枠26と他方の界壁フレーム枠26とが互いに連結される。これにより、複数の界壁フレーム枠26は互いにつなぎ材28によって連結される構成とされている。
つなぎ材受け39は、断面が略C形状に形成されたチャンネル材で構成されており、このチャンネル材の延出方向が建物上下方向に沿う向きに配置されている。また、本実施形態では、中央部スタッド36の上部に一箇所と、2つの側部スタッド38の上部にそれぞれ一箇所とに後述する第1界壁面材42を介してつなぎ材受けが取り付けられている。そして、図2に示されるように、つなぎ材受け39の側面部44に形成された図示しない貫通孔に図示しない締結材を挿通させて、つなぎ材28と締結させることでつなぎ材受け39とつなぎ材28とが固定される。
界壁フレーム枠26には、界壁フレーム枠26を覆うように界壁面材40が取り付けられている。この界壁面材40は、界壁フレーム枠26における建物桁側と直交する2面にそれぞれ取り付けられていると共に、材質が異なる第1界壁面材42と第2界壁面材46とでそれぞれ構成されている。
第1界壁面材42は、一例として硬質木片セメント板の表面に鋼板としての亜鉛メッキ鋼板66を貼った構成とされており(図4参照)、つなぎ材受け39の配置位置を含んだ界壁フレーム枠26の上部に取り付けられている。具体的には、第1界壁面材42は、第1界壁面材42A、42B、42Cの3枚で構成されており、第1界壁面材42Bと第1界壁面材42Cとは建物上下方向を中心に左右対称の形状に形成されている。また、第1界壁面材42A、42B、42Cの上部は上弦材30に沿って正面視で傾斜された形状とされていると共に、下部は第1界壁面材42を介して界壁フレーム枠26に取り付けられるつなぎ材受け39の下端の位置で水平に形成されている。そして、第1界壁面材42Aは、界壁フレーム枠26の中央部スタッド36を中心として取付けられる。また、第1界壁面材42B、42Cは側部スタッド38を中心として取り付けられる(図3(B)参照)。
第2界壁面材46は、一例として石膏ボードで構成されており、界壁フレーム枠26の下部に取り付けられている。具体的には、第2界壁面材46は、第2界壁面材46A、46B、46C、46D、46Eの5枚で構成されており、第2界壁面材46Aと第2界壁面材46Eとは建物上下方向を中心に左右対称の形状に形成されている。同様に、第2界壁面材46Bと第2界壁面材46Dとは建物上下方向を中心に左右対称の形状に形成されている。また、第2界壁面材46A、46B、46C、46Dの下部は下弦材32に沿った形状に形成されている。そして、第2界壁面材46A、46Eの上部は上弦材30に沿って正面視で傾斜された形状とされている。
第2界壁面材46Bの建物上下方向上側の端部51は第1界壁面材42Bの建物上下方向下側の端末53と接合されると共に、第2界壁面材46Dの建物上下方向上側の端部51は第1界壁面材42Cの建物上下方向下側の端末53と接合される。同様に、第2界壁面材46Cの建物上下方向上側の端部51は第1界壁面材42Aの建物上下方向下側の端末53と接合される。具体的には、図4に示されるように、第2界壁面材46は、下貼り石膏ボード48と上貼り石膏ボード50とが重ねられて構成されており、この下貼り石膏ボード48の上端面52と第1界壁面材42の下端面54とが当接するように界壁フレーム枠26にビス56によって取り付けられている。すなわち、第2界壁面材46の建物上下方向上側の端部51には、板厚方向で段差形状の接合切り欠き部63が形成されている。また、第1界壁面材42の建物上下方向下側の端末53には、建物上下方向に沿って設けられた接合切り欠き側面58と、この接合切り欠き側面58の上部に設けられかつ接合切り欠き側面58と略直交する向きに延出された接合切り欠き上面60とで形成された接合切り欠き部62が設けられている。さらに、この接合切り欠き部62の接合切り欠き側面58は、下貼り石膏ボード48の外側面64と略同一面上になるように形成されている。また、上貼り石膏ボード50は、上貼り石膏ボード50の上端面52が接合切り欠き上面60と当接するように界壁フレーム枠26にビス56によって取り付けられている。つまり、第1界壁面材42の接合切り欠き部62と第2界壁面材46の接合切り欠き部63とは互い違いに嵌合されることで、第1界壁面材42と第2界壁面材46とは隙間ない状態で接合される。したがって、第1界壁面材42と第2界壁面材46とで構成された界壁面材40は界壁フレーム枠26に隙間なく取り付けられる。なお、第1界壁面材42及び第2界壁面材46の接合部分と界壁フレーム枠26との間には、亜鉛メッキ鋼板66が設けられており、この亜鉛メッキ鋼板66を介して下貼り石膏ボード48及び第1界壁面材42がビス56により界壁フレーム枠26に締結される。
次に、図3を用いて、上述した界壁18の組み立て順について説明する。
図3(A)に示されるように、上弦材30と下弦材32と中央部スタッド36と側部スタッド38とにより界壁フレーム枠26が組み立てられる。そして、図3(B)に示されるように、第1界壁面材42が界壁フレーム枠26の上部に取り付けられる。さらに、図3(C)に示されるように、第1界壁面材42が取り付けられた界壁フレーム枠26には、第1界壁面材42を介して中央部スタッド36及び側部スタッド38につなぎ材受け39が取り付けられる。ここまでの組み立て作業は工場等で行われる。
この状態で、界壁フレーム枠26は工場から建築現場へと輸送されて、建築現場においてクレーン等で建物10の屋根部14へ吊り込んで小屋裏20内に設けられる。そして、図3(D)に示されるように、つなぎ材28を界壁フレーム枠26のつなぎ材受け39に取り付けることで、屋根構造フレーム22が形成される。
図3(E)に示されるように、つなぎ材28を界壁フレーム枠26に取り付けられた状態で第2界壁面材46が界壁フレーム枠26の下部へ取り付けられる。これにより、防火性能を有する界壁18が建物10の小屋裏20内にも形成される。
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
ここで、図5に示される対比例を用いながら、本実施形態の作用並びに効果を説明することにする。なお、対比例中、本実施形態と同一構成部分については同一番号を付してその説明を省略する。
図5に示されるように、界壁100は、界壁フレーム枠102と、界壁面材104とを含んだ構成とされている。この界壁フレーム枠102は、上弦材30と下弦材32と図示しない中央部スタッド36と図示しない側部スタッド38とで構成されており、正面視で二等辺三角形に形成されている。
この界壁フレーム枠102には、工場等であらかじめ界壁面材104が取り付けられている。具体的には、界壁フレーム枠102における桁側と直交する2面にそれぞれ界壁面材104が取り付けられている。この界壁面材104は、小屋裏20部分を防火構造とするために、防火性を有する石膏ボードによって構成されている。
また、界壁フレーム枠102には、建物桁方向に延出されたつなぎ材106が複数取り付けられている。このつなぎ材106は、建物10の屋根部14の一方の端から反対側の他方の端まで連続して延出されており、複数の界壁フレーム枠102が互いにつなぎ材106によって連結されることで屋根フレーム108が構成されている。したがって、界壁面材104には、つなぎ材106が貫通するための切り欠き110が形成されている。
上述のとおり、石膏ボードで構成された界壁面材104は、工場にてあらかじめ界壁フレーム枠102に取り付けられているため、建築現場にて高所である小屋裏での界壁面材104の貼り付け作業が不要となる。しかしながら、界壁100は界壁面材104が貼り付けられた状態で工場から建築現場に搬入される。一般的に、界壁面材104を構成する石膏ボードは水に弱く、水に濡れると強度が低下する。このため、雨等に濡れないように雨天時以外に搬入及び施工する必要があるため、天候によっては工期が延びる可能性がある。また、界壁面材104を濡らさないよう界壁フレーム枠102と界壁面材104とを別々に建築現場に搬入し、建物上部に界壁フレーム枠102を設置し、かつ、つなぎ材106が取り付けられた状態で界壁面材104を貼り付けることも考えられるが、界壁フレーム枠102につなぎ材106が取り付けられた状態では、このつなぎ材106が障害となってつなぎ材106の上方に界壁面材104を貼り付ける作業がやり辛くなる。つまり、建築現場での作業が長くなるため、工期が長くなる。同時に、界壁面材104の貼り付け作業の工期が長くなるとそれに伴って天候の制約を受けやすくなる。
さらに、つなぎ材106が貫通するための切り欠き110を設けるために界壁面材104への加工工数が増えると共に、つなぎ材106と界壁面材104の切り欠き110との間に隙間が発生することから、火災の際にこの隙間から火炎が侵入する可能性があり、防火性能を向上させることができない。
これに対し、図2に示されるように、本発明によれば、界壁フレーム枠26に取り付けられる界壁面材40は、つなぎ材受け39の配置位置を含んだ建物上下方向の上側が第1界壁面材42で構成されると共に下側が第2界壁面材46で構成されている。この第1界壁面材42は耐水性を有することから、工場等であらかじめ第1界壁面材42を貼り付けておくことで、工場から建築現場への搬入及び施工の段階で雨に濡れた場合でも不具合の発生を抑制することができる。また、つなぎ材28が界壁フレーム枠26に取り付けられた後に建築現場にて界壁面材40を貼り付ける場合はつなぎ材28が障害となってつなぎ材受け39の上方に界壁面材40を貼り付ける作業がし辛くなり、工期が長くなる。これに対し、本発明ではつなぎ材28が界壁フレーム枠26に取り付けられる前にあらかじめ第1界壁面材42を界壁フレーム枠26に貼り付けることが可能になるので、建築現場での施工作業は、比較的作業がし易いつなぎ材受け39の下方に第2界壁面材46を貼り付ける作業のみとなる。したがって、第2界壁面材46が耐水性を有しない構成とされた場合でも、建築現場での界壁面材40の貼り付け作業時間が短く済むことから、天候の影響を受けにくくなる。これにより、天候の影響を最小限に抑えると共に容易に施工することができる。
また、つなぎ材28は界壁面材40と離間した位置でつなぎ材受け39に固定されるため、この固定をするに当たり界壁面材40に影響が及ばなくなる。つまり、界壁面材40へつなぎ材28を固定することを考慮した界壁面材40への切り欠き等の加工が不要となる。これにより、施工がより容易になる。
さらに、第1界壁面材42の表面には、亜鉛メッキ鋼板66が配置されているので、この第1界壁面材42は耐水性を有する。したがって、界壁フレーム枠26に工場等であらかじめ第1界壁面材42を貼り付けた状態で建築現場に搬入して建物10へ施工する際に、第1界壁面材42が雨等に濡れた場合でも剛性の低下等不具合の発生を抑制することができる。つまり、天候に左右されることなく搬入及び施工をすることが可能となる。これにより、より具体的に天候の影響を最小限に抑えることができる。
さらにまた、つなぎ材受け39は界壁面材40を間に挟んで界壁フレーム枠26に取り付けられた構成とされている。すなわち、界壁面材40は、界壁面材40自体につなぎ材受け39に合わせた切り欠き68を設けることなく界壁フレーム枠26の全面に取り付けることができる。一般的に、界壁面材40に切り欠きを設けるとつなぎ材受け39とこの切り欠きとの間には隙間が発生する。この界壁面材40の隙間を通じて火災時には火炎が侵入するため、防火性能が低下する可能性がある。これに対し、本発明では界壁面材40に隙間が形成されないため、火災時において火炎の侵入を抑制することができる。これにより、防火性能を向上させることができる。
また、つなぎ材28は一方のつなぎ材受け39からこの一方のつなぎ材受け39と隣接する他方のつなぎ材受け39までの寸法に設定されていることから、界壁フレーム枠26に取り付けられる界壁面材40にはつなぎ材28が貫通するための切り欠きが不要となる。したがって、界壁面材40に切り欠きが形成されないため、火災時においてこの切り欠きを通じた火炎の侵入を抑制することができる。これにより、防火性能をより向上させることができる。
さらに、界壁面材40における第1界壁面材42と第2界壁面材46とは、それぞれの接合切り欠き部62、63同士が互い違いに嵌合された状態で接合されていることから、第1界壁面材42と第2界壁面材46との間には隙間が形成されない。したがって、界壁面材40に隙間が形成されないため、火災時においてこの隙間を通じた火炎の侵入を抑制することができる。これにより、防火性能をより一層向上させることができる。
なお、本実施形態では、第1界壁面材42が硬質木片セメント板の表面に亜鉛メッキ鋼板を貼った構成とされると共に第2界壁面材46が石膏ボードで構成されている。一般的に、硬質木片セメント板の表面に亜鉛メッキ鋼板を貼った構成と比較し石膏ボードはコストが安価となる。したがって、第1界壁面材42はつなぎ材受け39の下端から界壁フレーム枠26の建物上下方向上側に貼り付けられた構成とすることで、界壁フレーム枠26の全面に第1界壁面材42が貼り付けられた構成と比較しコストを抑制することができる。また、これに限らず、現場作業を短縮するためにつなぎ材受け39の下端からさらに建物上下方向下側まで延出させた第1界壁面材42を貼り付けて第2界壁面材46を必要最小限の範囲に貼り付けた構成としてもよい。
さらに、本実施形態では、第1界壁面材42と第2界壁面材46とが異なる材質の面材とされているが、これに限らず、同一の材質により構成されてもよい。これにより、第2界壁面材46が第1界壁面材42と同様に耐水性を有する構成とされることで、あらかじめ工場等で第1界壁面材42及び第2界壁面材46を貼り付けることが可能となるので、天候の影響を受けずかつ現場作業をより短縮することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。