<<電子機器について>>
まず、後述する第一及び第二実施形態に共通する電子機器1の構成について説明する。
<電子機器の外観>
図1,2は、それぞれ、実施の形態に係る電子機器1の外観を示す前面図及び裏面図である。本実施の形態に係る電子機器1は、例えば、スマートフォン等の携帯電話機であって、基地局及びサーバー等を通じて他の通信装置と通信することが可能である。図1,2に示されるように、電子機器1の形状は、平面視において略長方形の板状形状となっている。電子機器1の外面(表面)は、図1,2に示されるように、カバーパネル2と筐体3とによって構成されている。
カバーパネル2は、板状であって、平面視において略長方形を成している。カバーパネル2は、図1に示されるように、電子機器1の前面部分における、周縁部分以外の部分を構成している。カバーパネル2は、電子機器1の前面の一部を構成する第1主面70と、第1主面70とは反対側に位置する第2主面71とを有している(後述の図9参照)。以後、第1主面70を「外側主面70」と呼び、第2主面71を「内側主面71」と呼ぶことがある。
カバーパネル2は、透明の硬い材料で形成されている。カバーパネル2の材料には、例えば、サファイアが採用される。サファイア単結晶は、地表に多く存在する石英などのガラス成分より硬い。したがって、例えば、カバーパネル2の材料にサファイア単結晶を採用した場合には、電子機器1を屋外で落としてもカバーパネル2に傷がつきにくい。ここで、サファイア単結晶とは、アルミナ(Al2O3)を主成分とする単結晶のことをいい、本明細書では、Al2O3純度が約90%以上の単結晶のことをいう。傷がよりつき難く、割れや欠け等をより確実に抑制する点で、Al2O3純度は99%以上であることが好ましい。
カバーパネル2に採用される、サファイア等の結晶性材料(ほかには例えば、ダイヤモンド、ジルコニア、チタニア、水晶、タンタル酸リチウム、酸化窒化アルミニウムなど)は、硬くはあるが、変形しにくい材質であることが多い。そのため、後で詳しく述べるが、カバーパネル2がしっかりと支えられていない部分に対して荷重がかけられた場合に、カバーパネル2における当該荷重がかけられた部分が変形しにくく割れる可能性がある。それ故に、後述する第一実施形態および第二実施形態においては、カバーパネル2に割れが生じにくい電子機器1の構成について説明する。
また、カバーパネル2は表示領域2aと周縁領域2bとを備えている。後述する表示装置16によって表示された文字、記号、図形、映像等の各種情報は、カバーパネル2における表示領域2aを通して使用者に視認される。カバーパネル2における、表示領域2aを取り囲む周縁領域2bは、例えばフィルム等が貼られることで黒色となっており、当該周縁領域2bでは表示装置16による表示が使用者に視認されにくい。
また、カバーパネル2の上端部には、前面側撮像部4が備えられている。また、カバーパネル2の内側主面71には、後述するタッチパネル17が貼り付けられている。使用者は、カバーパネル2の表示領域2aを指等で操作することによって、電子機器1に対して各種指示を与えることができる。
筐体3は、電子機器1の前面部分の周縁部分、側面部分及び裏面部分を構成している。筐体3は、例えば、樹脂で形成されている。筐体3における、電子機器1の前面部分の周縁部分を構成する領域には、操作キー5a,5b,5cおよびマイク穴6が設けられている。図1に示される電子機器1では、操作キー5a〜5cはハードウェアキーで構成されているが、操作キー5a〜5cのそれぞれは、表示領域2aに表示されるソフトウェアキーで実現されてもよい。マイク穴6は、加工が困難であることから、カバーパネル2には設けず、カバーパネル2以外の部位に設けてもよい。例えば、上述のように筺体3に設けてもよい。特に通話時にユーザが表示領域2a上を操作するとき、操作音を拾わないように、筺体3の側面または裏面に設けられることが好ましい。
続いて、電子機器1の側面部分には、当該電子機器1の起動を行うサイドキー7が備えられている。また、図2に示されるように、電子機器1の裏面には、撮像装置8aおよび照明装置8bを有する裏面側撮像部8と、スピーカー穴9とが備えられている。照明装置8bは、例えばLEDで構成され、撮像装置8aで撮影を行う際に発光するフラッシュの役割を果たす。
<電子機器の電気的構成>
図3は、電子機器1の電気的構成を示すブロック図である。図3に示されるように、電子機器1には、制御部10と、無線通信部14と、表示装置16と、タッチパネル17と、操作キー5a〜5cと、サイドキー7と、マイク18と、圧電振動素子19と、スピーカー20と、前面側撮像部4と、裏面側撮像部8と、電池21とが設けられている。電子機器1に設けられた、これらの構成要素は、電子機器1の筐体3内に収められている。
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)11、DSP(Digital Signal Processor)12及び記憶部13等を備えている。制御部10は、電子機器1の他の構成要素を制御することによって、電子機器1の動作を統括的に管理する。記憶部13は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成されている。記憶部13には、電子機器1を制御するための、具体的には電子機器1が備える無線通信部14、表示装置16等の各構成要素を制御するための制御プログラムであるメインプログラム及び複数のアプリケーションプログラム等が記憶されている。制御部10の各種機能は、CPU11及びDSP12が記憶部13内の各種プログラムを実行することによって実現される。
無線通信部14は、アンテナ15を有している。無線通信部14は、電子機器1とは別の携帯電話機あるいはインターネットに接続されたウェブサーバ等の通信装置との通信信号の送受信を、基地局等を介してアンテナ15を用いて行う。
表示装置16は、例えば、液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイである。前述した通り、表示装置16によって表示された各種情報は、表示領域2aを通して電子機器1の外部から視認される。
タッチパネル17は、例えば、投影型静電容量方式のタッチパネルである。タッチパネル17は、カバーパネル2の内側主面71に貼り付けられている。タッチパネル17は、互いに対向配置されたシート状の二つの電極センサを備えている。使用者が指等の操作子で表示領域2aに対して接触すると、タッチパネル17における、当該操作子と対向する部分の静電容量が変化する。そして、タッチパネル17は、静電容量の変化に応じた電気的な信号を制御部10に出力する。このように、タッチパネル17は、操作子の表示領域2aに対する接触を検出することができる。
操作キー5a〜5cおよびサイドキー7は、押下されることで、電気的な指示信号を制御部10に出力する。マイク18には、通話等の際に使用者の音声等が入力され、入力された音声等を電気的な信号に変換して制御部10に出力する。
圧電振動素子19は、カバーパネル2の内側主面71に貼り付けられている。圧電振動素子19は、制御部10から与えられる駆動電圧によって振動させられる。制御部10は、音信号に基づいて駆動電圧を生成し、当該駆動電圧を圧電振動素子19に与える。圧電振動素子19が、制御部10によって音信号に基づいて振動させられることによって、カバーパネル2が音信号に基づいて振動する。その結果、カバーパネル2から使用者に受話音が伝達される。この受話音の音量は、使用者がカバーパネル2に耳を近づけた際に適切に聞こえる程度の音量となっている。圧電振動素子19の詳細およびカバーパネル2から使用者に伝達される受話音については後で詳細に説明する。
なお、以下の説明では、圧電振動素子19によって、カバーパネル2から使用者に受話音が伝達される場合について説明するが、圧電振動素子19の代わりに、例えば、制御部10からの電気的な音信号を音に変換して出力するダイナミックスピーカーを採用してもよい。ダイナミックスピーカーを採用する場合には、カバーパネル2もしくは筐体3に、レシーバ穴が設けられる。ダイナミックスピーカーから出力される音は、カバーパネル2もしくは筐体3に設けられるレシーバ穴から外部に出力される。レシーバ穴から出力される音の音量は、スピーカー穴9から出力される音の音量よりも小さくなっている。
スピーカー20は、制御部10から入力される電気的な音信号を音に変換して出力することで、電子機器1から離れた場所に存在するユーザに着信音などを提供する。前面側撮像部4及び裏面側撮像部8は、静止画像及び動画像を撮像する。電池21は、電子機器1の電源を出力する。電池21から出力された電源は、電子機器1が備える制御部10及び無線通信部14などに含まれる各電子部品に対して供給される。
<圧電振動素子の詳細>
図4,5は、それぞれ、圧電振動素子19の構造を示す上面図及び側面図である。図4,5に示されるように、圧電振動素子19は一方向に長い形状を成している。具体的には、圧電振動素子19は、平面視で長方形の細長い板状を成している。圧電振動素子19は、例えばバイモルフ構造を有している。圧電振動素子19は、シム材19cを介して互いに貼り合わされた第1圧電セラミック板19a及び第2圧電セラミック板19bを備えている。本実施の形態では、第1圧電セラミック板19a及び第2圧電セラミック板19bを備える圧電振動素子が使用されているが、圧電振動素子の構成はこの具体例に限定されない。例えば、圧電板がポリフッ化ビニリデン及びポリ乳酸などの有機圧電材料などで構成された圧電振動素子が使用されても良い。
圧電振動素子19では、第1圧電セラミック板19aに対して正の電圧を印加し、第2圧電セラミック板19bに対して負の電圧を印加すると、第1圧電セラミック板19aは長手方向に沿って伸び、第2圧電セラミック板19bは長手方向に沿って縮むようになる。これにより、図6に示されるように、圧電振動素子19は、第1圧電セラミック板19aを外側にして山状に撓むようになる。
一方で、圧電振動素子19では、第1圧電セラミック板19aに対して負の電圧を印加し、第2圧電セラミック板19bに対して正の電圧を印加すると、第1圧電セラミック板19aは長手方向に沿って縮み、第2圧電セラミック板19bは長手方向に沿って伸びるようになる。これにより、図7に示されるように、圧電振動素子19は、第2圧電セラミック板19bを外側にして山状に撓むようになる。
圧電振動素子19は、図6の状態と図7の状態とを交互にとることによって、撓み振動を行う。制御部10は、第1圧電セラミック板19aと第2圧電セラミック板19bとの間に、正の電圧と負の電圧とが交互に現れる交流電圧を印加することによって、圧電振動素子19を撓み振動させる。
なお、図4〜7に示される圧電振動素子19では、シム材19cを間に挟んで貼り合わされた第1圧電セラミック板19a及び第2圧電セラミック板19bから成る構造が1つだけ設けられていたが、複数の当該構造を積層させても良い。
このような構造を有する圧電振動素子19は、カバーパネル2の内側主面71の周端部に配置される。具体的には、圧電振動素子19は、カバーパネル2の内側主面71の上側端部における、短手方向(左右方向)の中央部に配置される。また、圧電振動素子19は、その長手方向が、カバーパネル2の短手方向に沿うように配置される。これにより、圧電振動素子19は、カバーパネル2の短手方向に沿って撓み振動を行う。そして、圧電振動素子19の長手方向の中心は、カバーパネル2の内側主面71の上側端部における短手方向の中心と一致している。
ここで、上述の図6,7に示されるように、撓み振動を行う圧電振動素子19では、その長手方向の中心が最も変位量が大きくなる。したがって、圧電振動素子19の長手方向の中心が、カバーパネル2の内側主面71の上側端部における短手方向の中心と一致することによって、圧電振動素子19における、撓み振動での変位量が最大となる箇所が、カバーパネル2の内側主面71の上側端部における短手方向の中心に一致するようになる。
<受話音の発生について>
本実施の形態に係る電子機器1では、圧電振動素子19がカバーパネル2を振動させることによって、当該カバーパネル2から気導音及び伝導音が使用者に伝達される。言い換えれば、圧電振動素子19自身の振動がカバーパネル2に伝わることにより、当該カバーパネル2から気導音及び伝導音が使用者に伝達される。
ここで、気導音とは、外耳道孔(いわゆる「耳の穴」)に入った音波(空気振動)が鼓膜を振動させることによって、人の脳で認識される音である。一方で、伝導音とは、耳介が振動させられ、その耳介の振動が鼓膜に伝わって当該鼓膜が振動することによって、人の脳で認識される音である。以下に、気導音及び伝導音について詳細に説明する。
図8は気導音及び伝導音を説明するための図である。図8には、電子機器1の使用者の耳の構造が示されている。図8においては、波線400は気道音が脳で認識される際の音信号(音情報)の伝導経路を示している。実線410は伝導音が脳で認識される際の音信号の伝導経路を示している。
カバーパネル2に取り付けられた圧電振動素子19が、受話音を示す電気的な音信号に基づいて振動させられると、カバーパネル2が振動して、当該カバーパネル2から音波が出力される。使用者が、電子機器1を手に持って、当該電子機器1のカバーパネル2を当該使用者の耳介300に近づけると、あるいは当該電子機器1のカバーパネル2を当該使用者の耳介300に当てると(接触させると)、当該カバーパネル2から出力される音波が外耳道孔310に入る。カバーパネル2からの音波は、外耳道孔310内を進み、鼓膜320を振動させる。鼓膜320の振動は耳小骨330に伝わり、耳小骨330が振動する。そして、耳小骨330の振動は蝸牛340に伝わって、蝸牛340において電気信号に変換される。この電気信号は、聴神経350を通って脳に伝達され、脳において受話音が認識される。このようにして、カバーパネル2から使用者に対して気導音が伝達される。
また、使用者が、電子機器1を手に持って、当該電子機器1のカバーパネル2を当該使用者の耳介300に当てると、耳介300が、圧電振動素子19によって振動させられているカバーパネル2によって振動させられる。耳介300の振動は鼓膜320に伝わり、鼓膜320が振動する。鼓膜320の振動は耳小骨330に伝わり、耳小骨330が振動する。そして、耳小骨330の振動は蝸牛340に伝わり、蝸牛340において電気信号に変換される。この電気信号は、聴神経350を通って脳に伝達され、脳において受話音が認識される。このようにして、カバーパネル2から使用者に対して伝導音が伝達される。図8では、耳介300内部の耳介軟骨300aも示されている。
なお、ここでの伝導音は、骨導音(「骨伝導音」とも呼ばれる)とは異なるものである。骨導音は、頭蓋骨を振動させて、頭蓋骨の振動が直接蝸牛などの内耳を刺激することによって、人の脳で認識される音である。図8においては、例えば下顎骨500を振動させた場合において、骨伝導音が脳で認識される際の音信号の伝達経路を複数の円弧420で示している。
このように、本実施の形態では、圧電振動素子19が前面のカバーパネル2を適切に振動させることによって、カバーパネル2から電子機器1の使用者に対して気導音及び伝導音を伝えることができる。使用者は、カバーパネル2に耳(耳介)を近づけることによって当該カバーパネル2からの気導音を聞くことができる。また使用者は、カバーパネル2に耳(耳介)を接触させることによって当該カバーパネル2からの気導音及び伝導音を聞くことができる。本実施の形態に係る圧電振動素子19では、使用者に対して適切に気導音及び伝導音を伝達できるように、その構造が工夫されている。使用者に対して気導音及び伝導音を伝えることができるように電子機器1を構成することによって様々なメリットが発生する。
例えば、使用者は、カバーパネル2を耳に当てれば音が聞こえることから、電子機器1において耳を当てる位置をそれほど気にすることなく通話を行うことができる。
また、使用者は、周囲の騒音が大きい場合には、耳をカバーパネル2に強く押し当てることによって、伝導音の音量を大きくしつつ、周囲の騒音を聞こえにくくすることができる。よって、使用者は、周囲の騒音が大きい場合であっても、適切に通話を行うことができる。
また、使用者は、耳栓やイヤホンを耳に取り付けた状態であっても、カバーパネル2を耳(より詳細には耳介)に当てることによって、電子機器1からの受話音を認識することができる。また、使用者は、耳にヘッドホンを取り付けた状態であっても、当該ヘッドホンにカバーパネル2を当てることによって、電子機器1からの受話音を認識することができる。
<<第一実施形態>>
<電子機器の断面図>
ここでは、カバーパネル2に割れが生じにくい電子機器1の構成について説明する。図9は、第一実施形態に係る電子機器1の断面図である。図9は、図1,2に示される矢視A−Aにおける電子機器1の断面図を示している。図10は、第一実施形態に係る電子機器1の分解斜視図を示す図である。なお、図10では、図面の煩雑さを避けるために、複数の電子部品を電気的に互いに接続する複数のケーブル(配線)25(図9参照)及びタッチパネル17など、電子機器1が備える部品の一部の図示を省略して示している。
図9,10に示されるように、本実施の形態における電子機器1の筐体3は、フロント側筐体3aと、バック側筐体3bとで構成されている。フロント側筐体3aとバック側筐体3bとは、つめ等による固定や、ねじ締結などの固定によって、互いに結合される。そして、フロント側筐体3aには、カバーパネル2が貼り付けられる。本実施の形態では、カバーパネル2のうちの、フロント側筐体3a(筐体3)に貼り付けられている領域を「第1領域40」と呼ぶ。
図11は、本実施の形態におけるカバーパネル2を示す図である。図11では、第1領域40が、左上がりの斜線で示されている。図11に示されるように、第1領域40は、カバーパネル2の周縁部分となっている。また、図9に示されるように、第1領域40は、フロント側筐体3aに支えられているため、当該第1領域40は、外部から荷重がかけられても変形しにくく、割れが生じにくい。なお、本実施の形態では、筐体3が、フロント側筐体3aとバック側筐体3bとで構成される場合について説明するが、筐体3は1つの部材のみで構成されても良いし、3つの部材が組み合わされて構成されても良い。
図9,10に示されるように、カバーパネル2の内側主面71には、タッチパネル17および圧電振動素子19が両面テープ、接着剤等で貼り付けられている。表示装置16は、カバーパネル2およびタッチパネル17(より具体的には、タッチパネル17が貼り付けられているカバーパネル2)に対向するように配置されている。本実施の形態では、カバーパネル2のうち表示装置16に対向する領域を「第2領域41」と呼ぶ。図11に示されるように、第2領域41は、カバーパネル2において、第1領域40よりも内側に位置する。図11では、第2領域41が、右上がりの斜線で示されている。
図9,10に戻り、表示装置16の裏面には、板状部品26がカバーパネル2に対向するように配置される。板状部品26は、外部からの荷重によるカバーパネル2の変形及び割れを抑制するために設けられるもので、例えば、SUS等の金属材料で形成される。第2領域41は、板状部品26の一部と対向している。そして、第2領域41は、電子機器1における筐体3内の部品(図9に示される例では、タッチパネル17、表示装置16、板状部品26、プリント基板27および電池21)に支えられている。第2領域41は、筐体3内の部品の剛性等によって、外部から荷重がかけられても変形しにくく、割れにくい。また、仮に第2領域41が変形したとしても、板状部品26により、カバーパネル2と、筐体3内の部品と、が支えられるため、第2領域41における変形量は小さく、割れにくい。
また、本実施の形態においては、図10に示されるように、フロント側筐体3a(筐体3)と板状部品26とは、一体成形されている。より具体的には、フロント側筐体3aの内面に、インサート形成された板状部品26が配置されている。しかし、板状部品26とフロント側筐体3a(筐体3)とは、例えば、別体で形成され、フロント側筐体3aに板状部品26を固定する態様であってもよい。また、板状部品26には、開口部44が設けられる。板状部品26は、カバーパネル2に対向する第1主面60と、当該第1主面60とは反対側の第2主面61とを有している。
図9,10に戻り、CPU11及びDSP12などの各種部品が搭載されるプリント基板27は、板状部品26の第2主面61に対向するように配置される。プリント基板27は、ケーブル25によって、電子機器1が備える電子部品と電気的に接続される。図9に示される例では、プリント基板27は、4つのケーブル25によって、タッチパネル17、表示装置16、圧電振動素子19および裏面側撮像部8と接続されている。そして、プリント基板27における、板状部品26側の主面とは反対側の主面に対向するように、電池21が配置される。
また、電子機器1には、筐体3内に配置されて、部品を保持するホルダ28が備えられることがある。図9,10に示されるホルダ28は、裏面側撮像部8(つまり、撮像装置8aおよび照明装置8b)を保持しており、フロント側筐体3aに取り付けられている。電子機器1内において、部品が集中して配置される領域に、ホルダ28を設けることで、電子機器1内の部品を整理することができる。
そして、電池21に対向するようにバック側筐体3bが配置される。第一実施形態におけるバック側筐体3bは、支持構造29と一体に成形される。つまり、支持構造29はバック側筐体3bの一部と見なすことが出来る。支持構造29は、板状部品26と同様に、外部からの荷重によるカバーパネル2の変形及び割れを抑制するために設けられる。支持構造29は、第2主面61側から第1主面60側に向かって開口部44を通り、カバーパネル2を支える。本実施の形態では、カバーパネル2のうちの、支持構造29によって支えられる領域を「第3領域42」と呼ぶ。第3領域42は、支持構造29に支えられているため、外部から荷重がかけられても変形しにくく、割れが生じにくい。支持構造29は、例えば、筐体3と同じ材料で形成されている。
ここで、支持構造29は、開口部44を通っていることにより、開口部44より小さいと言える。したがって、支持構造29に支えられている第3領域42は、カバーパネル2における開口部44と対向する領域の内側となる。図11に例示されるように、カバーパネル2における開口部44と対向する領域は、筐体3に支えられる第1領域40の内側であって、第1領域40および第2領域41と離れている(もしくは隣接している)。したがって、カバーパネル2において開口部44に対向する領域より内側となる第3領域42は、第1領域40と第2領域41との間に位置し、第1領域40および第2領域41と離れている。図11では、第3領域42が縦縞模様で示されている。また、カバーパネル2のうちの、フロント側筐体3a等に支えられていない領域(つまり、カバーパネル2の第1領域40、第2領域41および第3領域42以外の領域)を、第4領域43と呼ぶことがある。
なお、図9,10に示される例では、支持構造29は、バック側筐体3bにおける、開口部44と対向する領域に設けられているが、支持構造29が設けられる箇所はこれに限られない。例えば、支持構造29は、筐体3における、電子機器1の側面部分を構成する領域の内面に設けられていてもよい。この場合には、支持構造29は、例えば、当該領域の内面から内側に延びた後に開口部44に向かってL字状に曲がるような形状となる。この場合には、L字状の支持構造29がカバーパネル2を支えることになる。このようなL字状の支持構造29を採用するよりも、図9,10に示されるように、筐体3における、開口部44と対向する領域からまっすぐに延びて開口部44を通ってカバーパネル2を支える支持構造29を採用する方が、安定してカバーパネル2を支えることができる。
<フロント側筐体および板状部品>
ここでは、板状部品26について説明する。図12は、フロント側筐体3aおよび板状部品26を示す前面図である。本実施の形態においては、既述したように、フロント側筐体3aおよび板状部品26は、一体成形されている。図12に示されるように、板状部品26は、例えば、フロント側筐体3aの内側に配置されるように形成される。なお、図12では、わかりやすくするため、板状部品26を斜線で示している。板状部品26は、例えば、平面視において略長方形を成している。
また、板状部品26には、開口部44が設けられる。図9,12に示されるように、開口部44は、例えば貫通穴であって、第1主面60から第2主面61まで貫通している。開口部44は、例えば、ケーブル25を通したい箇所や、前面側撮像部4などの電子機器1を構成する電子部品を配置する場合に邪魔となる箇所や、アンテナ15の性能を維持するために(板状部品26の材料である)金属が邪魔となる箇所などに設けられる。
図12に例示される開口部44は、長方形の形状である貫通穴と円形状の貫通穴とを結合した形となっている。長方形の貫通穴には、図9に示されるように複数のケーブル25が通される。このように、開口部44を利用してケーブル25を配線することで、ケーブル25を効率よく配線することができる。また、円形状の貫通穴には、前面側撮像部4が配置される。前面側撮像部4は、例えば、プリント基板27に実装、あるいはホルダ28に保持されており、円形状の貫通穴を通って電子機器1の前面に露出(図1参照)する。なお、円形状の貫通穴にも、支持構造29を通しても良い。
図12に示される開口部44の形状、位置および大きさは一例である。開口部44は、図13に示されるように設けられていてもよい。図13は、フロント側筐体3aおよび板状部品26を示す図である。図13では、図12と同様に、板状部品26を斜線で示している。
図13に示される板状部品26では、開口部44が切り欠きで形成されている。図13に示されるように開口部44が、切り欠きで形成される場合であっても、支持構造29が当該開口部44を通ってカバーパネル2を支えることが可能である。
また、図12,13に示される例では、開口部44は、板状部品26の短手方向に細長く形成される場合について示されている。しかし、例えば、開口部44を、板状部品26の長手方向に細長く形成してもよい。また、図12,13に示される例では、開口部44は、板状部品26を平面視した際の上端部に設けられている。しかし、例えば、板状部品26を平面視した際の下端部に開口部44を設けてもよい。開口部44の形状や位置は、開口部44を設ける目的に応じて適宜変更することができる。
<支持構造の形状>
本実施の形態のように支持構造29を設けることで、当該支持構造29が邪魔となってケーブル25の配線が困難となる場合がある。このような場合には、図14に示されるような支持構造29を形成して、ケーブル25の配線を行うことができる。図14は、支持構造29を示す図である。
図14に示される支持構造29には、ケーブル25を通す開口部45が設けられている。図14に示されるように、開口部45は、例えば支持構造29を貫通する貫通穴であって、ケーブル25が通される。図14に示されるように、支持構造29に開口部45を設けることによって、支持構造29がケーブル25の配線の邪魔にならない。
なお、開口部45の位置、大きさ及び形状は、図14に示される例に限られず、ケーブル25の形状や、ケーブル25が通る位置などに応じて適宜変更することができる。例えば、図15に示されるように、開口部45は切り欠きで構成されても良い。また、図14に例示される支持構造29では、開口部45は1つしか設けられていないが、1つの支持構造29に複数の開口部45が設けられていてもよい。
また、支持構造29に開口部45を設ける代わりに、図16に示されるように、支持構造29を互いに離れた複数の支持部分30a,30bで構成しても良い。以後、支持部分30a,30bを特に区別する必要がない場合には、支持部分30と呼ぶ。図16に示されるように、支持部分30aと支持部分30bとの間には、隙間46が存在する。そして、ケーブル25は、隙間46を通って配線される。このように、ケーブル25が、支持構造29を構成する複数の支持部分30の隙間46を通ることで、支持構造29がケーブル25の配線の邪魔にならない。
なお、支持構造29を構成する支持部分30の形状および大きさは互いに異なっていてもよい。図16に例示される支持構造29では、支持部分30aより支持部分30bの方が大きい。また、図16に示される支持構造29では、2つの支持部分30で構成されているが、支持構造29を構成する支持部分30の数は2つに限られない。
<比較対象機器>
さて、ここで本実施の形態の電子機器1と比較される電子機器(以後、「比較対象機器」と呼ぶ)について説明する。図17は、図9に示される電子機器1の断面図に対応する、比較対象機器の断面図である。
図17に示されるように、比較対象機器には、支持構造29が設けられていない。既述したように、カバーパネル2は変形しにくい材料で形成されているため、図18に示されるように、カバーパネル2における、他の部品で支持されていない第4領域43に石50が当たる等によって荷重がかけられた場合には、第4領域43で割れ51が生じる可能性がある。図18は、比較対象機器の断面図である。
これに対して、第一実施形態の電子機器1には、カバーパネル2を支持する支持構造29が設けられていることから、図19に示されるように、カバーパネル2における、支持構造29で支持されている領域に対して荷重がかけられた場合であっても、当該領域で割れが発生することを抑制することができる。よって、第一実施形態の電子機器1は、比較対象機器に比べて、カバーパネル2が割れにくい。
<<第二実施形態>>
図20は、第二実施形態に係る電子機器1の断面図である。図21は、第二実施形態に係る電子機器1の分解斜視図を示す図である。なお、図面の煩雑さを避けるために、図21では、図10と同様に、タッチパネル17など、電子機器1が備える部品の一部を省略して示している。
図20,21に示されるように、第二実施形態では、ホルダ28と支持構造29とが一体成形されている。また、バック側筐体3bと支持構造29とは一体成形されていない。なお、第二実施形態における電子機器1の残余の構成は、第一実施形態と同様である。
図20,21に示されるホルダ28は、第一実施形態で説明したホルダ28と同様に、フロント側筐体3aに固定される。フロント側筐体3a側から電子機器1の組立を行う場合には、ホルダ28をフロント側筐体3aに固定するときに、開口部44に支持構造29が通される。具体的には、図20,21に示される電子機器1を、フロント側筐体3a側から組み立てる場合には、まず、板状部品26の第1主面60側に存在する、タッチパネル17、表示装置16および圧電振動素子19等の部品がカバーパネル2に取り付けられる。それから、フロント側筐体3aがカバーパネル2に取り付けられる。そして、フロント側筐体3aにホルダ28が固定される。このときに、ホルダ28に一体成形された支持構造29が開口部4に通され、当該支持構造29によってカバーパネル2は支持される。
これに対して、例えば、支持構造29とバック側筐体3bとを一体成形し、フロント側筐体3a側から電子機器1の組立を行う場合には、電子機器1の組立の最終工程で、つまり、電子機器1を構成するバック側筐体3b以外の部品を全て組み立てた後に、バック側筐体3bを取り付ける。このバック側筐体3bを取り付ける工程で、開口部44に支持構造29を通すことになる。バック側筐体3bを取り付ける場合に支持構造29を開口部44に通す際には、バック側筐体3bが邪魔になって支持構造29と開口部44とが同時に見えにくくなり、支持構造29を開口部44に通しにくくなることがある。
筐体3内に収納されるホルダ28は、バック側筐体3bよりも小さいことから、支持構造29が、フロント側筐体3aに固定されるホルダ28と一体成形されている場合には、開口部44に支持構造29を通すときに、ホルダ28が邪魔になって開口部44と支持構造29とが同時に見えにくくなることを抑制することができる。その結果、電子機器1の組立が容易となる。
なお、上記の説明では、ホルダ28がフロント側筐体3aに固定される場合について説明したが、これに限られない。例えば、ホルダ28はバック側筐体3bに固定される態様であってもよい。
<<第一変形例>>
図22は、第一変形例に係るフロント側筐体3aおよび板状部品26を示す図である。図22では、板状部品26を斜線で示している。図23は、本変形例に係る電子機器1の断面図を示している。
第一変形例に係るフロント側筐体3aおよび板状部品26では、板状部品26に開口部44が設けられる第一実施形態とは異なり、フロント側筐体3aに開口部44が設けられる。本変形例における電子機器1の残余の構成は、第一実施形態と同様である。
第一実施形態に係る板状部品26は、筐体3における、カバーパネル2の周縁部分(第1領域40)を支持する側面部分まで延びていたが、本変形例に係る板状部品26は、当該側面部分まで延びていない。本変形例に係るフロント側筐体3aは、図22,23に示されるように、筐体3における、カバーパネル2の周縁部分を支持する側面部分の内面から内側に延びた突出部分800を有している。突出部分800は、カバーパネル2と対向するように板状部品26まで延びている。突出部分800は、カバーパネル2に対向する第1の面80と、当該第1の面80とは反対側の第2の面81とを有している。そして、開口部44が、第1の面80から第2の面81にかけて突出部分800を貫通する貫通穴で形成される。
このように、開口部44が、フロント側筐体3aに設けられる場合であっても、図23に示されるように、支持構造29は当該開口部44を通ってカバーパネル2を支えることが可能である。したがって、開口部44が、フロント側筐体3aに設けられる場合であっても、既述した第一実施形態と同様に扱うことができる。
また、フロント側筐体3aに設けられる開口部44は、図24に示されるように、フロント側筐体3aに設けられた切り欠きで形成される場合であってもよい。図24は、フロント側筐体3aおよび板状部品26を示す図である。図24では、図22と同様に、板状部品26を斜線で示している。図24に示されるように、開口部44が、フロント側筐体3aに設けられた切り欠きで形成される場合であっても、支持構造29が当該開口部44を通ってカバーパネル2を支えることが可能である。
なお、第一実施形態ではなく、第二実施形態において、開口部44がフロント側筐体3aに設けられたフロント側筐体3aおよび板状部品26を採用してもよい。
<<第二変形例>>
図25は、第二変形例に係るフロント側筐体3aおよび板状部品26を示す図である。図25では、板状部品26を斜線で示している。図26は、第二変形例に係る電子機器1の断面図を示している。
本変形例に係る板状部品26は、第一変形例と同様に、筐体3における、カバーパネル2の周縁部分を支持する側面部分まで延びていない。そして、板状部品26は、平面視において表示装置16と同じ大きさとなっている。カバーパネル2において、表示装置16が対向する第2領域41は、板状部品26が対向する領域(板状部品26が表示装置16を介して対向する領域)となっている。また、フロント側筐体3aは、第一変形例のような突出部分800は有していない。カバーパネル2には、フロント側筐体2aおよび板状部品26の両方と対向していない領域47が存在する。本変形例における電子機器1の残余の構成は、第一実施形態と同様である。
本変形例では、支持構造29が、カバーパネル2における、フロント側筐体2aおよび板状部品26の両方と対向していない領域44を支持している。カバーパネル2では、支持構造29で支持されている第3領域42が、筐体3で支持されている第1領域40と、板状部品26及び表示装置16と対向している第2領域41との間に位置しており、かつ第1領域40及び第2領域41と離れている。
このように、本変形例においても、カバーパネル2は支持構造29によって支えられていることから、カバーパネル2は割れにくくなる。
なお、第二実施形態において、本変形例に係るフロント側筐体3aおよび板状部品26を採用することも可能である。
<<第三変形例>>
図27は、第三変形例に係る電子機器1の断面図である。図27に示されるように、本変形例に係る電子機器1では、板状部品26、電池21及びプリント基板27が、当該電子機器の前面側から裏面側にかけてこの順で配置されている。つまり、本変形例に係る電子機器1は、第一実施形態で説明した電子機器1のプリント基板27および電池21の配置位置を入れ替えた態様である。なお、本変形例における電子機器1の残余の構成は、第一実施形態と同様である。
このように、プリント基板27および電池21の配置位置を入れ替えた場合にも、支持構造29でカバーパネル2を支えることは可能である。したがって、プリント基板27および電池21の配置位置を入れ替えた場合であっても、第一実施形態と同様に扱うことができる。なお、第二実施形態、第一変形例及び第二変形例において、プリント基板27および電池21の配置位置を入れ替えても良い。
上記の例では、本願発明を携帯電話機に適用する場合を例にあげて説明したが、本願発明は、スマートフォン等の携帯電話機以外の電子機器、例えばタブレット端末等にも適用することができる。
以上のように、電子機器1は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。