JP6279259B2 - 穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造 - Google Patents

穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造 Download PDF

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Description

本発明は、サイズが大小に異なる複数種の各穀粒を、夫々専用の電極ロールを用意するというような煩雑さを伴うことなく、そのままの構造で各々確実に挟持圧砕することができるようにした穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造に関するものである。
従来、一対の電極ロールの周面を所定の間隔で対向配置して回転駆動し、一対の電極ロール間に精米、玄米等の穀類の粒を単粒ずつ送り込み、単粒毎に圧砕しながら前記一対の電極ロール間に挟み込まれた各穀粒の水分を電気抵抗方式で測定する単粒水分測定装置が提案されている。
この種の単粒水分測定装置における電極ロール構造の従来例について、図7、図8を参照して説明する。
図7、図8に示す従来の電極ロール構造は、導電材からなる一対の電極ロール51、52を各々一定の間隔で平行配置した回転軸53、54により回転可能に支持するとともに、一対の電極ロール51、52の周面同士を所定間隔をもって間に穀粒圧砕領域60を形成するように対向配置している。
そして、前記一対の電極ロール51、52を図示しない回転駆動手段で同図に示す矢印方向に回転駆動し、前記穀粒圧砕領域60に供給される単粒毎の穀粒Mを前記一対の電極ロール51、52の回転によりこれらの周面で挟持圧砕し、圧砕片Maの水分による電気抵抗に応じた電気信号(水分測定信号)を前記一対の電極ロール51、52の回転軸53、54に接続した一対の導線55、56を用いて取り出し、図示しない信号処理手段により処理して当該単粒毎の穀粒の水分値等を測定するように構成している。
前記一対の電極ロール51、52の例えば下部位置には、これらの電極ロール51、52の周面に残存する圧砕片59を除去するスクレーパー71、72を配置している。
前記電極ロール51(電極ロール52も同様)の周面形状としては、図9、図10に示すような電極ロール51の周面における回転軸方向に周面全体にわたって多数のV字状溝61を一定間隔で形成した筋目ローレット形状、図11、図12に示すような電極ロール51(電極ロール52も同様)の周面においてこの電極ロール51の回転軸に対して所定角をなす一方向の多数の斜めのV字状溝62を周面全体にわたって形成した斜目ローレット形状、図13、図14に示すような電極ロール51(電極ロール52も同様)の周面においてダイヤ目、クロス目等、電極ロール51の回転軸に対して2方向に交差する所定角をなす多数のV字状溝63を周面全体にわたって形成したアヤ目ローレット形状等が採用されている。
これらのV字状溝61、62、63の目的は、穀粒Mを単粒毎に扶持圧砕することにあるが、穀粒Mのサイズの大小によりそれぞれ専用の電極ロール51、52が必要とされていた。
すなわち、例えば米粒や麦粒等のようなサイズの小さい穀粒Mの場合には、図15、図16に示すV字状溝61の溝ピッチが細かい筋目ローレット形状の電極ロール51、52を採用して当該単粒毎の水分値等を測定するように構成し、また、例えば大豆やコーン等のサイズの大きい穀粒Mの場合には、図17、図18に示すV字状溝61の溝ピッチが粗い筋目ローレット形状の電極ロール51、52を採用して当該単粒毎の穀粒Mの水分値等を測定するように構成しなければならなかった。
この理由は、例えばV字状溝61の溝ピッチが細かい筋目ローレット形状の電極ロール51、52を用いてサイズの大きい穀粒Mの水分測定を実行しようとした場合、この穀粒MがV字状溝61の表面で滑り、確実に一対の電極ロール51、52間に食込ませて通過させることが困難となり、このため、サイズの大きい穀粒Mを確実に扶持させるためにV字状溝61の溝ピッチが粗い電極ロール51、52が必要であった。
また、逆にV字状溝61の溝ピッチが粗い電極ロール51、52を用いてサイズの小さい穀粒Mの水分測定を実行しようとした場合、溝ピッチが粗い電極ロール51、52の場合山部と谷部の差が大きいため、サイズの小さい穀粒Mは前記電極ロール51、52による扶持場所により接触圧が不均等となり、電極ロール51、52間から当該穀粒Mがすり抜けたり、不安定な電気信号(水分測定信号)が取り出されたりして、正確な測定が困難であった。
これらの理由により、同一の電極ロール51、52を使用して(すなわち、電極ロール51、52を取り換えることなく)サイズが大小に異なる各穀粒M夫々についての正確な水分測定を実行することは困難であった。
既述した斜目ローレット形状のV字状溝62を設けた電極ロール51、52、更にはアヤ目ローレット形状のV字状溝63を設けた電極ロール51、52の場合も事情は同様である。
特許文献1には、穀粒を単粒ごとに一対の電極ロール間に供給し該穀粒を挟持圧砕しながらこの挟持圧砕時の水分情報を電気的信号として検出する水分測定装置において、上記一対の電極ロールのうち少なくとも一方の電極ロールの表面には電極ロールを支持する回転軸と略平行に複数条のV字状溝を形成して連続の山型条を形成し、この山型条の先端部を平面状とするとともに、他方の電極ロールの表面には回転軸に対して所定角をなす複数条のV字状溝を形成して連続の山型状を形成し、この山形状の先端部を平面状とした構成が提案されている。
特許文献2には、穀粒を圧砕してその水分値を計測するための一対の圧砕ロール電極と、その計測値の換算処理及び平均処理に基づいて穀粒水分値を算出するデータ処理部とから構成され、上記圧砕ロール電極の少なくとも一方には、滞留穀粒を取り込むための横断深溝を周面に形成するとともに、この横断深溝の回動角度位置を検出しうる角度センサを設け、この角度センサにより横断深溝が上記電極間隙狭窄部の角度位置にある場合に上記データ処理部に受けた計測値を除外して穀粒水分値を算出処理するように構成した穀粒乾燥機の穀粒水分測定装置が提案されている。
しかし、上述した特許文献1の一対の電極ロール、特許文献2における一対の圧砕ロール電極のいずれの場合も、サイズが大小に異なる複数種の各穀粒をそのままの構造で夫々確実に挟持圧砕し得るような対策は格別講じられておらず、既述した場合と同様な問題を包含していた。
特開2005−77212号公報 特開2005−326331号公報
本発明が解決しようとする問題点は、サイズが大小に異なる複数種の各穀粒を、夫々専用の電極ロールを用意するというような煩雑さを伴うことなく、そのままの構造で各々確実に挟持圧砕することができるような穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造が存在しない点である。
本発明は、周面同士を所定間隔をもって間に穀粒圧砕領域を形成するように対向配置した一対の導電材からなる電極ロールを備え、前記穀粒圧砕領域に供給される単粒毎の穀粒を前記一対の電極ロールの回転により挟持圧砕して圧砕片の水分による電気抵抗に応じた電気信号を前記一対の電極ロールから取り出し可能とした穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造であって、前記一対の電極ロールは、各々周面に回転方向と平行に複数条の溝ピッチの細かい回転方向V字状溝を連続形成するとともに、各々周面に回転軸と平行な方向に複数条の回転軸方向V字状溝を連続形成して、一対の電極ロールの各周面全体に、前記各回転方向V字状溝、各回転軸方向V字状溝により画される多数の山形状部を列設した形状とし、前記一対の電極ロールのうちの一方の電極ロールにおける複数条の回転軸方向V字状溝の溝ピッチが回転方向V字状溝の溝ピッチより大きい形状とするとともに、この一方の電極ロールにおける多数の山形状部が、回転軸方向から見て頂点が回転方向先方に向かって突出する変形四角錐状を呈する形状とし、前記他方の電極ロールの山形状部を四角錐状とし、前記穀粒圧砕領域を挟んで対向する一方の電極ロールと、他方の電極ロールとを、前記穀粒圧砕領域の位置で各々の山形状部の先端が各々の回転方向V字状溝内に交互に臨む配置で折れ線状の挟持圧砕空間を形成する構成としたことを主要な特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、一対の電極ロールのうちの少なくとも一方の電極ロールにおける複数条の回転軸方向V字状溝の溝ピッチが回転方向V字状溝の溝ピッチより大きい形状とし、この一方の電極ロールにおける多数の山形状部が、回転軸方向から見て頂点が回転方向先方に向かって突出する変形四角錐状を呈する形状とし、前記他方の電極ロールの山形状部を四角錐状としたことにより、サイズの大きい穀粒の場合に穀粒が一方の電極ロールの表面で滑ることがなくなり、これにより、穀粒を確実に扶持圧砕することができ、また、一対の電極ロールの各回転方向の溝ピッチを細かくし、穀粒圧砕領域を挟んで対向する一方の電極ロールと、他方の電極ロールとを、穀粒圧砕領域の位置で各々の山形状部の先端が各々の回転方向V字状溝内に交互に臨む配置で折れ線状の挟持圧砕空間を形成する構成としたことによりサイズの大きい穀粒の場合に一対の電極ロール間から当該穀粒がすり抜けたり、また、サイズが小さい穀粒に対しても確実に挟持圧砕力を作用させて圧砕片とすることができ、一対の導線から不安定な水分測定信号が取り出されたりするという不都合が無くなり、精米、玄米、もみ、大麦、小麦、裸麦、大豆、コーン等、各種穀粒のサイズの大小を問わず、圧砕対象となる各穀粒Mを夫々専用の電極ロールを用意するというような煩雑さを伴うことなく、そのままの構造で確実に挟持圧砕し、前記一対の導線を用いて圧砕片の水分による電気抵抗に応じた正確な電気信号(水分測定信号)を取り出すことができる穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造を実現し、提供することができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の構成に加えて更に複数条の回転方向V字状溝及び山形状部の外面に接触させて残存する圧砕片を掻き取る連続V字状凹凸部を備えるスクレーパーを各々配置した構成としているので、請求項1記載の発明と同様な効果を奏し、かつ、圧砕片の掻き取理機能を発揮し単粒水分測定時の誤差要因を排除し、測定精度向上に寄与することも可能な穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造を実現し提供することができる。
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造において、一方の電極ロールの回転方向V字状溝が7条、この電極ロールの幅方向の変形四角錐状の山形状部の突出数を8個とし、他方の電極ロールの回転方向V字状溝が6条、この電極ロールの幅方向の四角錐状の山形状部の突出数を7個とし、他方の電極ロールの7個の山形状部の先端を一方の電極ロールの7条の回転方向V字状溝内に臨ませる配置とし、前記穀粒圧砕領域を挟んで対向する一方の電極ロールの8個の変形四角錐状の山形状部、7条回転方向V字状溝と、他方の電極ロールの6条の回転方向V字状溝、7個の四角錐状の山形状部とにより、前記穀粒圧砕領域で折れ線状に連なる挟持圧砕空間を形成する構成の基に。請求項1又は2記載の発明と同様な効果を奏する単粒水分測定用の電極ロール構造を実現し提供することができる。
図1は本発明の実施例に係る穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造を示す概略正面図である。 図2は本実施例に係る穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造を示す概略平面図である。 図3は図2のA部の部分拡大平面図である。 図4は本実施例に係る穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造における一方の電極ロール及び一方のスクレーパーを示す概略拡大正面図である。 図5は本実施例に係る穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造における一方の電極ロール及び一方のスクレーパーを示す概略拡大側面図である。 図6は本実施例に係る穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造を採用した単粒水分測定装置の概略構成を示すブロック図である。 図7は従来の穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造を示す概略正面図である。 図8は従来の穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造における一方の電極ロール及び一方のスクレーパーを示す概略側面図である。 図9は従来の穀類の単粒水分測定用の電極ロールの概略拡大側面図である。 図10は図9のB部の部分拡大平面図である。 図11は従来の穀類の単粒水分測定用の電極ロールの他例の概略拡大側面図である。 図12は図11のC部の部分拡大平面図である。 図13は従来の穀類の単粒水分測定用の電極ロールの更に別の例の概略拡大側面図である。 図14は図13のD部の部分拡大平面図である。 図15は従来の穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造における溝ピッチが細かい筋目ローレット形状の一対の電極ロールを示す正面図である。 図16は従来の穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造における溝ピッチが細かい筋目ローレット形状の一対の電極ロールを示す平面図である。 図17は従来の穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造における溝ピッチが粗い筋目ローレット形状の一対の電極ロールを示す正面図である。 図18は従来の穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造における溝ピッチが粗い筋目ローレット形状の一対の電極ロールを示す平面図である。
本発明は、サイズが大小に異なる複数種の各穀粒を、夫々専用の電極ロールを用意するというような煩雑さを伴うことなく、そのままの構造で各々確実に挟持圧砕することができる穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造を提供するという目的を、周面同士を所定間隔をもって間に穀粒圧砕領域を形成するように対向配置した一対の導電材からなる電極ロールを備え、前記穀粒圧砕領域に供給される単粒毎の穀粒を前記一対の電極ロールの回転により挟持圧砕して圧砕片の水分による電気抵抗に応じた電気信号を前記一対の電極ロールから取り出し可能とするとともに、前記一対の電極ロール間の穀粒圧砕領域を除く位置に、前記複数条の回転方向V字状溝及び山形状部の外面に接触させて残存する圧砕片を掻き取る連続V字状凹凸部を備えるスクレーパーを各々配置した穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造であって、前記一対の電極ロールは、各々周面に回転方向と平行に複数条の溝ピッチの細かい回転方向V字状溝を連続形成するとともに、各々周面に回転軸と平行な方向に複数条の回転軸方向V字状溝を連続形成して、一対の電極ロールの各周面全体に、前記各回転方向V字状溝、各回転軸方向V字状溝により画される多数の山形状部を列設した形状とし、前記一対の電極ロールのうちの一方の電極ロールにおける複数条の回転軸方向V字状溝の溝ピッチが回転方向V字状溝の溝ピッチより大きい形状とするとともに、この一方の電極ロールにおける多数の山形状部が、回転軸方向から見て頂点が回転方向先方に向かって突出する変形四角錐状を呈する形状とし、前記他方の電極ロールの山形状部を四角錐状とし、前記穀粒圧砕領域を挟んで対向する一方の電極ロールと、他方の電極ロールとを、前記穀粒圧砕領域の位置で各々の山形状部の先端が各々の回転方向V字状溝内に交互に臨む配置で折れ線状の挟持圧砕空間を形成する構成により実現した。
以下、本発明の実施例に係る穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造について添付の図1乃至図5を参照して詳細に説明する。
本実施例に係る穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造は、図1乃至図3に示すように、導電材からなる一対の電極ロール1、2を各々一定の間隔で平行配置した回転軸3、4により回転可能に支持するとともに、一対の電極ロール1、2の周面同士を所定間隔をもって間に穀粒圧砕領域10を形成するように対向配置している。
そして、前記一対の電極ロール1、2を図1に示す矢印方向に回転駆動し、前記穀粒圧砕領域10に供給される単粒毎の穀粒Mを前記一対の電極ロール1、2の回転によりこれらの周面で挟持圧砕し、圧砕片Maの水分による電気抵抗に応じた電気信号(水分測定信号)を前記一対の電極ロール1、2の回転軸3、4に接続した一対の導線5、6を用いて取り出すように構成している。
前記穀粒Mの種類としては、精米、玄米、もみ、大麦、小麦、裸麦、更には大豆、コーン等のような各種穀類の穀粒を挙げることができる。
前記一対の電極ロール1、2のうちの一方の電極ロール1は、周面に回転方向と平行に複数条の溝ピッチの細かい回転方向V字状溝7aを連続形成するとともに、周面に回転軸3と平行な方向に複数条の回転軸方向V字状溝8aを連続形成して、この一方の電極ロール1の周面全体に、前記各回転方向V字状溝7a、各回転軸方向V字状溝8aにより画される多数の山形状部9aを列設した形状としている。
同様に、他方の電極ロール2は、周面に回転方向と平行に複数条の溝ピッチの細かい回転方向V字状溝7bを連続形成するとともに、周面に回転軸4と平行な方向に複数条の回転軸方向V字状溝8bを連続形成して、この他方の電極ロール2の周面全体に、前記各回転方向V字状溝7b、各回転軸方向V字状溝8bにより画される多数の山形状部9bを列設した形状としている。
前記各回転方向V字状溝7a、各回転方向V字状溝7bの溝ピッチは同一としている。
本実施例においては、前記一方の電極ロール1の回転方向V字状溝7aが7条、この電極ロール1の幅方向の山形状部9aの突出数を8個とし、また、他方の電極ロール2の回転方向V字状溝7bが6条、この電極ロール2の幅方向の山形状部9bの突出数を7個としている。
そして、図2、図3に示すように、前記穀粒圧砕領域10の位置で、他方の電極ロール2の7個の山形状部9bの先端を、一方の電極ロール1の7条の回転方向V字状溝7a内に臨ませ、一方の電極ロール1の両端の2個を除く6個の山形状部9aの先端を、他方の電極ロール2の6条の回転方向V字状溝7b内に臨ませている。
すなわち、前記穀粒圧砕領域10を挟んで対向する一方の電極ロール1と、他方の電極ロール2とを、前記穀粒圧砕領域10の位置で各々の山形状部9a、9bの先端が、各々の回転方向V字状溝7b、7a内に交互に臨む配置とし、これにより、前記穀粒圧砕領域10が穀粒M用の折れ線状に曲折した挟持圧砕空間を形成するように構成している。
また、本実施例においては、図2に示すように、前記一対の電極ロール1、2のうちの少なくとも一方の電極ロール1における複数条の回転軸方向V字状溝8aの溝ピッチαが、回転方向V字状溝7aの溝ピッチβより大きい(α>β)形状としている。
更に、一方の電極ロール1における多数の山形状部9aは、幅方向(回転軸方向)から見てその頂点9cが図1、図2等に示すように、回転方向先方に向かって突出する(すなわち変形四角錐状を呈する)ラチェット形状としている。
これに対して、他方の電極ロール2の山形状部9bは、図1、図2等に示すように、四角錐状としている。
また、本実施例においては、図1に示すように、前記一対の電極ロール1、2間の穀粒圧砕領域10を除く位置、例えば、前記一対の電極ロール1、2の回転軸3、4の直下位置より外側位置に、一対のスクレーパー11、12を配置している
前記一対のスクレーパー11、12の配置は、図1に示す例に限定されるものではなく、前記穀粒圧砕領域10やその近傍領域を除いた適宜位置とすることができる。
一方のスクレーパー11は、図4、図5に示すように、7条の回転方向V字状溝7a及び各山形状部9aの外面に接触させてこれら外面に残存する圧砕片Maを掻き取る連続V字状凹凸部13を備えている。
前記連続V字状凹凸部13は、図5に示すように、前記電極ロール1の7条の回転方向V字状溝7aに対応する7個の山と、8個の山形状部9aに対応する8個の谷とが連なる形状としている。
他方のスクレーパー12は、詳細は図示しないが他方の電極ロール2の回転方向V字状溝7b、山形状部9bの外面に接触させてこれら外面に残存する圧砕片Maを掻き取る連続V字状凹凸部14を備えている。
次に、本実施例に係る穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造の動作を、穀粒Mの挟持圧砕作用を主にしてその効果とともに説明する。
本実施例における穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造において、一対の導線5、6、回転軸3、4を介して前記一対の電極ロール1、2に所定の電圧を印加するとともに、一対の電極ロール1、2を図1に示す矢印方向に回転駆動した状態で、前記一対の電極ロール1、2の上方から穀粒圧砕領域10に穀粒Mを単粒ずつ供給すると、一方の電極ロール1における山形状部9a、他方の電極ロール2における山形状部9bとが、穀粒M内に食い込むようにしてこの穀粒Mを挟持圧砕し、圧砕片Maとする。
この場合、穀粒圧砕領域10においてサイズが大きい(粒径が大きい)例えば大豆やコーンのような穀粒Mを圧砕する場合においては、前記一対の電極ロール1、2のうちの一方の電極ロール1における各回転軸方向V字状溝8aの溝ピッチαが、回転方向V字状溝7aの溝ピッチβより大きい(α>β)形状としているので、穀粒Mが一方の電極ロール1の表面で滑ることがなくなり、これにより、穀粒Mを確実に扶持圧砕することが可能となる。
また、一方の電極ロール1における多数の山形状部9aの形状を、回転方向先方に向かって突出する変形四角錐状を呈するラチェット形状としていることで、穀粒Mに対する扶持圧砕効果を更に高めることが可能となる。
次に、前記一対の電極ロール1、2における各回転方向V字状溝7a、各回転方向V字状溝7bの溝ピッチが同一で、かつ、溝ピッチを細かするとともに、前記穀粒圧砕領域10の位置で一対の電極ロール1、2の各々の山形状部9a、9bの先端が、各々の回転方向V字状溝7b、7a内に交互に臨む配置とし、前記穀粒圧砕領域10が折れ線状に曲折した挟持圧砕空間を形成するように構成しているので、穀粒圧砕領域10においてサイズが小さい(粒径が小さい)例えば精米、玄米等の穀粒Mを挟持圧砕する場合でも、一方の電極ロール1における山形状部9a、他方の電極ロール2における山形状部9bとが、各々穀粒M内に確実に食い込むことになり、これにより、サイズが小さい穀粒Mに対しても確実に挟持圧砕力を作用させて圧砕片Maを生成することができ、一対の電極ロール1、2間から当該穀粒Mがすり抜けたり、一対の導線5、6から不安定な水分測定信号が取り出されたりするという不都合が無くなる。
また、本実施例によれば、上述した一方の電極ロール1、他方の電極ロール2の山形状部9a、9bの配置構造により、前記穀粒圧砕領域10に対して供給される単粒毎の穀粒Mの位置が、仮に穀粒圧砕領域10において回転軸方向に位置ずれしたような場合においても、当該穀粒Mの外周部に接触するいずれかの山形状部9a、9bが当該穀粒M内に食い込むようにしてこの穀粒Mを確実に挟持圧砕することができ、単粒ずつ供給される穀粒Mに対する挟持圧砕機能を常に的確に発揮させることができる。
以上説明した本実施例によれば、精米、玄米、もみ、大麦、小麦、裸麦、大豆、コーン等々、各種穀粒Mのサイズの大小を問わず、圧砕対象となる各穀粒Mを夫々専用の電極ロールを用意するというような煩雑さを伴うことなく、そのままの構造で確実に挟持圧砕して、前記一対の導線5、6を用いて圧砕片Maの水分による電気抵抗に応じた正確な電気信号(水分測定信号)を取り出すことができる穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造を実現し、提供することができる。
また、本実施例に係る穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造によれば、一対の電極ロール1、2の各周面全体にわたって回転方向V字状溝7a、7b、回転軸方向V字状溝8a、8b、山形状部9a、9bを形成しているので、単粒毎の穀粒Mを一対の電極ロール1、2の各周面のいずれの位置で挟持圧砕したとしても、支障なく当該穀粒Mの水分測定データを得ることができ、特許文献2に記載されているような水分測定データの一部を除外する処理手段が不要となる。
なお、上述した実施例では、一対の電極ロール1、2のうち、一方の電極ロール1のみにラチェット形状を呈する山形状部9aを設けた構造について説明したが、一対の電極ロール1、2の双方にラチェット形状を呈する山形状部9aを設けた穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造とすることも勿論可能である。
次に、上述した本実施例の穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造を採用して構成した単粒水分測定装置21の概要について図6を参照して説明する。
図6に示す単粒水分測定装置21は、この単粒水分測定装置21の全体の制御を行う制御部22と、この単粒水分測定装置21の動作プログラムを格納したプグラムメモリ23と、一対の電極ロール1、2を回転駆動する電極ロール回転駆動手段24と、一対の電極ロール1、2の回転軸3、4に接続した導線5、6を介して、前記一対の電極ロール1、2に所定の電圧を印加するとともに、圧砕片Maの水分による電気抵抗に応じた電気信号(水分測定信号)を前記一対の電極ロール1、2、一対の回転軸3、4、一対の導線5、6を介して取り込み、単粒毎の穀粒Mの電気抵抗値を求めて単粒毎に水分測定データとして出力する水分測定回路部25と、スタート、ストップボタン、時刻の表示/設定ボタン、穀粒Mの粒種設定ボタン、測定する穀粒M粒数の設定ボタン、測定結果に基づくヒストグラムの表示設定ボタン、等を備える操作入力部26と、各種測定結果を表示する液晶ディスプレイ又は蛍光表示管等から構成される表示部27と、水分測定回路部25からの単粒毎の水分測定データを粒種、測定時刻に対応付けて順に記憶していく水分測定データ蓄積記憶部28と、水分測定データ蓄積記憶部28に記憶した多数の単粒毎の水分測定データを基に、測定粒数、個別水分値、平均水分値、標準偏差、水分分布(ヒストグラム)等を求める水分測定データ演算処理部29と、水分測定データ演算処理部29の処理結果を記憶する処理結果記憶部30と、例えばパーソナルコンピュータ31等に処理結果をデータ送信するためのコンピュータ用インターフェース32と、水分測定データ演算処理部29の処理結果をプリントアウトするためのプリンタ33に処理結果をデータ送信するためのプリンタ用インターフェース34と、を有している。
前記単粒水分測定装置21は、更に、詳細は省略するが前記一対の電極ロール1、2間の穀粒圧砕領域10へ多数の穀粒Mを単粒毎に順に送り込むためのホッパー、単粒送り機構等を備える単粒送り込み系35と、前記一対の電極ロール1、2間の穀粒圧砕領域10で圧砕され加工する圧砕片Maを外部に搬出する搬出トレイ等を備える圧砕片搬出系36を具備している。
前記単粒水分測定装置21によれば、単粒送り込み系35から一対の電極ロール1、2間の穀粒圧砕領域10への穀粒Mの単粒毎の送り込み、穀粒圧砕領域10における既述したような一対の電極ロール1、2による穀粒Mの挟持圧砕、水分測定回路部25による単粒毎の穀粒Mの水分測定データの出力、水分測定データ演算処理部29による測定粒数、個別水分値、平均水分値、標準偏差、水分分布(ヒストグラム)等を経て、表示部27による測定結果の表示処理、パーソナルコンピュータ31等への測定結果の送信処理、プリンタ33による測定結果のプリントアウト処理を効率よく実施できる。
この場合、既述したように、精米、玄米、もみ、大麦、小麦、裸麦、大豆、コーン等、各種穀粒Mのサイズの大小を問わず、圧砕対象となる各穀粒Mを夫々専用の電極ロールを用意するというような煩雑さを伴うことなく、そのままの構造で前記一対の電極ロール1、2間の穀粒圧砕領域10において確実に挟持圧砕し、各穀粒Mの正確な水分測定信号を得ることできるという優れた効果を奏する。
本発明の穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造は、卓上型単粒水分測定器や、穀類の水分乾燥機に組み込む単粒水分測定器用として広範に適用可能である。また、本発明の穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造は、精米、玄米、もみ、大麦、小麦、裸麦、更には大豆、コーン等のような各種穀粒の単粒毎の圧砕処理用として広範に適用可能である。
1 電極ロール
2 電極ロール
3 回転軸
4 回転軸
5 導線
6 導線
7a V字状溝
7b V字状溝
8a V字状溝
8b V字状溝
9a 山形状部
9b 山形状部
9c 頂点
10 穀粒圧砕領域
11 スクレーパー
12 スクレーパー
13 連続V字状凹凸部
14 連続V字状凹凸部
21 単粒水分測定装置
22 制御部
23 プグラムメモリ
24 電極ロール回転駆動手段
25 水分測定回路部
26 操作入力部
27 表示部
28 水分測定データ蓄積記憶部
29 水分測定データ演算処理部
30 処理結果記憶部
31 パーソナルコンピュータ
32 コンピュータ用インターフェース
33 プリンタ
34 プリンタ用インターフェース
35 単粒送り込み系
36 圧砕片搬出系
M 穀粒
Ma 圧砕片

Claims (3)

  1. 周面同士を所定間隔をもって間に穀粒圧砕領域を形成するように対向配置した一対の導電材からなる電極ロールを備え、前記穀粒圧砕領域に供給される単粒毎の穀粒を前記一対の電極ロールの回転により挟持圧砕して圧砕片の水分による電気抵抗に応じた電気信号を前記一対の電極ロールから取り出し可能とした穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造であって、
    前記一対の電極ロールは、各々周面に回転方向と平行に複数条の溝ピッチの細かい回転方向V字状溝を連続形成するとともに、各々周面に回転軸と平行な方向に複数条の回転軸方向V字状溝を連続形成して、一対の電極ロールの各周面全体に、前記各回転方向V字状溝、各回転軸方向V字状溝により画される多数の山形状部を列設した形状とし、
    前記一対の電極ロールのうちの一方の電極ロールにおける複数条の回転軸方向V字状溝の溝ピッチが回転方向V字状溝の溝ピッチより大きい形状とするとともに、この一方の電極ロールにおける多数の山形状部が、回転軸方向から見て頂点が回転方向先方に向かって突出する変形四角錐状を呈する形状とし、前記他方の電極ロールの山形状部を四角錐状とし、
    前記穀粒圧砕領域を挟んで対向する一方の電極ロールと、他方の電極ロールとを、前記穀粒圧砕領域の位置で各々の山形状部の先端が各々の回転方向V字状溝内に交互に臨む配置で折れ線状の挟持圧砕空間を形成する構成としたこと、
    を特徴とする穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造。
  2. 周面同士を所定間隔をもって間に穀粒圧砕領域を形成するように対向配置した一対の導電材からなる電極ロールを備え、前記穀粒圧砕領域に供給される単粒毎の穀粒を前記一対の電極ロールの回転により挟持圧砕して圧砕片の水分による電気抵抗に応じた電気信号を前記一対の電極ロールから取り出し可能とするとともに、前記一対の電極ロール間の穀粒圧砕領域を除く位置に、前記複数条の回転方向V字状溝及び山形状部の外面に接触させて残存する圧砕片を掻き取る連続V字状凹凸部を備えるスクレーパーを各々配置した穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造であって、
    前記一対の電極ロールは、各々周面に回転方向と平行に複数条の溝ピッチの細かい回転方向V字状溝を連続形成するとともに、各々周面に回転軸と平行な方向に複数条の回転軸方向V字状溝を連続形成して、一対の電極ロールの各周面全体に、前記各回転方向V字状溝、各回転軸方向V字状溝により画される多数の山形状部を列設した形状とし、
    前記一対の電極ロールのうちの一方の電極ロールにおける複数条の回転軸方向V字状溝の溝ピッチが回転方向V字状溝の溝ピッチより大きい形状とするとともに、この一方の電極ロールにおける多数の山形状部が、回転軸方向から見て頂点が回転方向先方に向かって突出する変形四角錐状を呈する形状とし、前記他方の電極ロールの山形状部を四角錐状とし、
    前記穀粒圧砕領域を挟んで対向する一方の電極ロールと、他方の電極ロールとを、前記穀粒圧砕領域の位置で各々の山形状部の先端が各々の回転方向V字状溝内に交互に臨む配置で折れ線状の挟持圧砕空間を形成する構成としたこと、
    を特徴とする穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造。
  3. 一方の電極ロールの回転方向V字状溝が7条、この電極ロールの幅方向の変形四角錐状の山形状部の突出数を8個とし、他方の電極ロールの回転方向V字状溝が6条、この電極ロールの幅方向の四角錐状の山形状部の突出数を7個とし、他方の電極ロールの7個の山形状部の先端を一方の電極ロールの7条の回転方向V字状溝内に臨ませる配置とし、前記穀粒圧砕領域を挟んで対向する一方の電極ロールの8個の変形四角錐状の山形状部、7条回転方向V字状溝と、他方の電極ロールの6条の回転方向V字状溝、7個の四角錐状の山形状部とにより、前記穀粒圧砕領域で折れ線状に連なる挟持圧砕空間を形成する構成としたこと、
    を特徴とする請求項1又は2記載の穀類の単粒水分測定用の電極ロール構造。
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