JP6272590B2 - エコーキャンセラ装置及び通話装置 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロフォンで検出された音響信号に含まれる音響エコー成分を低減するエコーキャンセル技術に関し、特に、適応フィルタを用いてその音響エコー成分を低減するエコーキャンセル技術に関する。
各々がマイクロフォン及びスピーカを有する2台の通話装置間で双方向通話が行われる場合、一方の通話装置のマイクロフォンで採取された音(たとえば、送話者音声または背景雑音)は、電気通信網を通して相手方の通話装置に伝送された後に、その相手方の通話装置のスピーカで再生される。しかしながら、その再生音が当該スピーカから直接的または間接的にマイクロフォンに回り込んで採取されると、その再生音が発信元の通話装置に送り戻される。このようにして発信元の通話装置に送り戻される再生音は、「音響エコー」と呼ばれている。
音響エコーを抑制するデバイスとしては、適応フィルタを用いたエコーキャンセラが広く使用されている。この種のエコーキャンセラでは、適応フィルタは、スピーカからマイクロフォンに至る音響エコーの伝達経路(以下「エコー経路」ともいう。)の特性を逐次推定すなわち学習して、擬似エコー信号(「エコーレプリカ」とも呼ばれる。)を生成する。そして、発信元の通話装置へ伝送される送話信号からその擬似エコー信号を除去することにより、当該送話信号に含まれる音響エコー成分を低減することができる。したがって、適応フィルタの性能がエコーキャンセラのエコー消去性能を決定するということができる。
このような適応フィルタによるエコー経路特性の学習を阻害する要因としては、マイクロフォンで検出された音響信号への外乱信号の混入が考えられる。適応フィルタにとっては、音響エコーに混入する近端話者音声または背景雑音は、外乱信号であり、エコー経路特性の学習の妨げとなる。特にマイクロフォンに近端話者音声と音響エコーとが混入するダブルトーク(同時通話)状態は、エコー経路特性の学習を阻害する要因として問題となる。
前述のダブルトークに起因する問題に対しては、適応フィルタと、ダブルトークの有無を判定するダブルトーク検出回路とを備えたエコーキャンセラが知られている。この種のエコーキャンセラは、たとえば、下記の非特許文献1に開示されている。非特許文献1に開示されている音響エコーキャンセラは、エコー消去量を検出パラメータとして監視し、当該エコー消去量が所定量以上となったときにダブルトークが発生したと判定して適応フィルタ係数の更新を休止させるダブルトーク検出回路を備えたものである。
また、外乱信号に対するエコー経路特性の学習のロバスト性(頑健性)を向上させるために、2種類のフィルタを備えたエコーキャンセラも知られている。この種のエコーキャンセラは、たとえば、下記の非特許文献2に開示されている。非特許文献2に開示されているエコーキャンセラは、エコー経路特性の学習を行うバックグラウンド(BG)フィルタと、このBGフィルタの学習結果がある程度の時間をかけて反映されるフォアグラウンド(FG)フィルタとを備えており、エコー消去にはFGフィルタが使用される。
なお、特許文献1(特開平6−338827号公報)には、2種類のフィルタとダブルトーク検出回路とを備えたエコーキャンセラが開示されている。
特開平6−338827号公報(たとえば、図1及び段落0014〜0020)
藤井健作,大賀寿郎,"エコー経路変動検出を併用するダブルトーク検出法,"信学論(A), vol. J78-A, no.3, pp. 314-322, March 1995. K. Ochiai, T. Araseki, and T. Ogihara, "Echo canceller with two echo path models," IEEE Transactions on Communications, vol. COM-25, no. 6, pp. 589-595, June 1977.
上記ダブルトーク検出回路を備えた従来のエコーキャンセラでは、そのダブルトーク発生回路の誤判定により適応フィルタが誤学習すれば、エコー消去量が極端に低下することがある。また、上記2種類のフィルタを備えた従来のエコーキャンセラでは、ダブルトークに起因して2種類のフィルタがともに誤学習を起こした場合に、外乱信号に対するロバスト性を維持することができないことがある。よって、上記した従来のエコーキャンセラでは、ダブルトークが発生する環境下で安定したエコー消去性能が得られるとは限らない。
上記に鑑みて本発明の目的は、ダブルトークが発生する環境下で安定したエコー消去性能を維持することができるエコーキャンセラ装置及び通話装置を提供する点にある。
本本発明の第1の態様によるエコーキャンセラ装置は、入力された受話信号列に対してフィルタ係数群を用いたフィルタ演算を実行するとともに、集音部から入力された送話信号に応じて前記フィルタ係数群の更新を行う適応フィルタ部と、前記適応フィルタ部で使用された現在及び過去のフィルタ係数群を取得し、当該現在及び過去のフィルタ係数群をそれぞれ用いたフィルタ演算を前記受話信号の系列に対して実行することにより複数の疑似エコー信号を算出する疑似エコー算出部と、前記集音部から入力された送話信号を一時的に記憶した後に過去の送話信号として出力する送話信号バッファと、前記過去の送話信号と前記複数の疑似エコー信号とに基づき、当該複数の疑似エコー信号にそれぞれ対応する複数のエコー消去量評価値を算出する評価値算出部と、前記複数のエコー消去量評価値に基づいて、前記現在及び過去のフィルタ係数群の中から新フィルタ係数群を選択するフィルタ選択部と、前記受話信号の系列に対して前記新フィルタ係数群を用いたフィルタ演算を実行することにより推定エコー成分を生成するフォアグラウンドフィルタと、前記集音部から入力された送話信号から前記推定エコー成分を差し引いて残差信号を生成する減算器とを備えることを特徴とする。
本発明の第2の態様によるエコーキャンセラ装置は、入力された受話信号列に対してフィルタ係数群を用いたフィルタ演算を実行するとともに、集音部から入力された送話信号に応じて適応的に前記フィルタ係数群の更新を行う適応フィルタ部と、当該入力された受話信号列を一時的に記憶した後に過去の受話信号列として出力する受話信号バッファと、前記適応フィルタ部で用いられた現在及び過去のフィルタ係数群を取得し、前記過去の受話信号列に対して前記現在のフィルタ係数群を用いたフィルタ演算を実行することにより第1の疑似エコー信号を算出するととともに、前記過去の受話信号列に対して前記過去のフィルタ係数群を用いたフィルタ演算を実行することにより第2の疑似エコー信号を算出する疑似エコー算出部と、前記集音部から入力された送話信号を一時的に記憶した後に過去の送話信号として出力する送話信号バッファと、前記送話信号バッファから入力された過去の送話信号と前記第1の疑似エコー信号とに基づいて第1のエコー消去量評価値を算出するとともに、前記過去の送話信号と前記第2の疑似エコー信号とに基づいて第2のエコー消去量評価値を算出する評価値算出部と、前記第1及び第2のエコー消去量評価値を互いに比較してダブルトークの発生の有無を判定するダブルトーク判定器と、前記ダブルトーク判定器による判定結果に応じた反映度合いで前記現在のフィルタ係数群を反映したフィルタ係数群を用いたフィルタ演算を、当該入力された受話信号の系列に対して実行することにより推定エコー成分を生成するフォアグラウンドフィルタと、前記集音部から入力された送話信号から前記推定エコー成分を差し引いて残差信号を生成する減算器とを備えることを特徴とする。
本発明の第3の態様による通話装置は、相手方通話装置との間で通信回線網を介した通信を行う通信機能部と、前記第1または第2の態様によるエコーキャンセラ装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ダブルトークが発生する環境下で安定したエコー消去性能を維持することができる。
本発明に係る実施の形態1に係る通話システムの概略構成を示す図である。 実施の形態1のエコーキャンセラの概略構成を示す図である。 図3A及び図3Bは、実施の形態1に係るエコー消去量評価値の例を示すグラフである。 実施の形態1に係るエコーキャンセル処理の手順の例を概略的に示すフローチャートである。 実施の形態1のエコーキャンセラのハードウェア構成例を示す図である。 実施の形態1のエコーキャンセラの他のハードウェア構成例を示す図である。 本発明に係る実施の形態2のエコーキャンセラの概略構成を示す図である。 実施の形態2に係るエコーキャンセル処理の手順の例を概略的に示すフローチャートである。 実施の形態2に係るダブルトーク判定処理の手順の例を示すフローチャートである。 図10A及び図10Bは、実施の形態2に係るエコー消去量評価値の第1の例を示すグラフである。 図11A及び図11Bは、実施の形態2に係るエコー消去量評価値の第2の例を示すグラフである。 図12A及び図12Bは、実施の形態2に係るエコー消去量評価値の第3の例を示すグラフである。 本発明に係る実施の形態3のエコーキャンセラの概略構成を示す図である。 実施の形態3に係るエコーキャンセル処理の手順の例を概略的に示すフローチャートである。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る種々の実施の形態について詳細に説明する。なお、図面全体において同一符号を付された構成要素は、同一構成及び同一機能を有するものとする。
実施の形態1.
図1は、本発明に係る実施の形態1のエコーキャンセラ10を有する2台の通話装置1A,1Bを含む通話システムの概略構成を示す図である。図1に示されるように、2台の通話装置1A,1Bは、通信回線網NWを介して相互に接続されており、同一構成を有する。通話装置1A,1Bの各々は、マイクロフォンを含む集音部MKと、音響波である再生音を出力するスピーカSPとにそれぞれ接続されており、相手方通話装置との間で通信を行う通信機能部11と、相手方通話装置に伝送される送話信号中の音響エコー成分を低減するエコーキャンセラ10とを備えている。集音部MKがスピーカSPと音響的に結合する場合、すなわち、スピーカSPから出力された音響波が、空気、液体または固体などの媒体を伝達して集音部MKに回り込んで検出される場合、集音部MKはその音響波を音響エコーとして検出し得る。通信回線網NWとしては、たとえば、電話回線網、移動体通信網もしくはインターネットなどの広域通信網、またはLAN(Local Area Network)などの小規模通信網が挙げられる。
図2は、実施の形態1のエコーキャンセラ10の概略構成を示すブロック図である。図2に示されるように、エコーキャンセラ10は、集音部MKから入力された音検出信号をサンプリングして送話信号y(n)を出力する信号入力部Sinと、音響エコー成分が低減された送話信号である残差信号e(n)を通信機能部11に出力する回線側信号出力部Soutと、通信機能部11で受信された受話信号x(n)が入力される回線側信号入力部Rinと、受話信号x(n)をスピーカSPに出力する信号出力部Routとを備えている。ここで、送話信号y(n),受話信号x(n)及び残差信号e(n)はいずれも時間離散信号であり、nは、離散的なサンプリング時刻Tを特定する整数である。
また、エコーキャンセラ10は、入力された受話信号x(n)の系列(以下「受話信号列」ともいう。)に対して時間領域のフィルタ係数群w(n)を用いたフィルタ演算を実行する適応フィルタ部20を備えている。この適応フィルタ部20は、LMS(Least Mean Square)法またはNLMS(Normalized Least Mean Square)法などの公知の適応アルゴリズムに従い、送話信号y(n)に応じてフィルタ係数群w(n)を適応的に更新する機能をも有する。
適応フィルタ部20は、図2に示されるように、受話信号列とフィルタ係数群w(n)との畳み込み演算を実行する適応フィルタ21と、この適応フィルタ21のフィルタ出力d(n)を送話信号y(n)から差し引いて誤差信号δ(n)を生成する減算器22と、この誤差信号δ(n)に応じて適応的にフィルタ係数群w(n)の更新を行う適応アルゴリズム部(AAL)23とを備えて構成されている。
受話信号列X(n)は、次式(1)のN次元ベクトルで表現することができる。
Figure 0006272590
ここで、Nは、3以上の整数であり、記号Tは、1行N列の横ベクトルをN行1列の縦ベクトルに変換させる転置を表す記号である。畳み込み演算で使用されるフィルタ係数群w(n)は、次式(2)のN次元ベクトルで表現することができる。
Figure 0006272590
適応フィルタ21は、次式(3)に従って受話信号列X(n)とフィルタ係数群w(n)との畳み込み演算を実行することでフィルタ出力d(n)を算出することができる。
Figure 0006272590
また、減算器22は、次式(4)に示されるように、送話信号y(n)からフィルタ出力d(n)を差し引くことで誤差信号δ(n)を算出する。
Figure 0006272590
適応アルゴリズム部23は、この誤差信号δ(n)の大きさが予め決められた条件下で最小になるようにフィルタ係数群w(n)を逐次修正する。学習同定法とも呼ばれている公知のNLMS法を採用する場合、適応アルゴリズム部23は、次式(5)に従って新たなフィルタ係数群w(n+1)を導出することができる。
Figure 0006272590
ここで、μ(n−1)は、サンプリング時刻Tn−1での係数であり、たとえば、次式(6)で与えられる。
Figure 0006272590
ここで、αは、フィルタ係数群の更新量を調整するためのステップサイズであり、βは、式(6)の中辺の分母が零になることを防止する微少な数である。また、Nは、適応フィルタ21のフィルタ長と一致し、σは、受話信号の分散である。更に、Nσは、受話信号列X(n−1)のノルムの2乗||X(n−1)||(={X(n−1)}・X(n−1))で近似することができる。
そして、適応アルゴリズム部23は、新たなフィルタ係数群w(n+1)で適応フィルタ21における現在のフィルタ係数群w(n)を置き換えることでフィルタ係数群w(n)を更新する。フィルタ係数群w(n)は、スピーカSPから集音部MKに至るエコー経路特性の推定量を表しているため、フィルタ係数群w(n)を逐次更新することは、そのエコー経路特性の逐次推定すなわちそのエコー経路特性の学習を行うことを意味する。なお、適応アルゴリズムは、LMS法及びNLMS法に限定されるものではない。たとえば、アフィン射影法またはRLS(Recursive Least Square)法などの他の適応アルゴリズムで動作するように適応フィルタ部20の構成を適宜変更してもよい。
次に、図2を参照すると、エコーキャンセラ10は、推定エコー成分dFG(n)を算出するエコー推定部30を備えている。このエコー推定部30は、フィルタ係数バッファ31、疑似エコー算出部32、評価値算出部34、バッファ制御部36、信号バッファ37,38及びFG(フォアグラウンド)フィルタ39を含んで構成される。
フィルタ係数バッファ31は、適応フィルタ21におけるフィルタ係数群の更新が行われる度に、適応フィルタ21から供給を受けた更新後のフィルタ係数群を一時的に記憶する。またフィルタ係数バッファ31は、適応フィルタ部20で使用された現在及び過去のフィルタ係数群w(1)(n),w(2)(n)を一時的に記憶する。なお、本明細書において「現在」とは、最新のサンプリング時刻を意味し、「過去」とは、この最新のサンプリング時刻よりも前のサンプリング時刻を意味するものとする。また、以下、説明の便宜上、現在のフィルタ係数群w(n)を「現フィルタ係数群」とも呼び、過去のフィルタ係数群w(n−1)を「旧フィルタ係数群」とも呼ぶこととする。
フィルタ係数バッファ31に記憶される現在及び過去のフィルタ係数群w(1)(n),w(2)(n)と、適応フィルタ部20で使用されたフィルタ係数群との間の関係は、たとえば、次式(7)に示される通りである。
Figure 0006272590
フィルタ係数バッファ31は、適応フィルタ部20から次のフィルタ係数w(n+1)の供給を受けると、次式(8)に示されるように、記憶済みのフィルタ係数群の中から最も古い時刻のフィルタ係数群を削除し、フィルタ係数群を更新する。
Figure 0006272590
なお、上式(7)に示したように、フィルタ係数バッファ31に記憶される現在及び過去のフィルタ係数群w(n),w(n−1)のサンプリング時刻T,Tn−1が連続していることが好ましいが、これに限定されるものではない。連続しないサンプリング時刻での現在及び過去のフィルタ係数群がフィルタ係数バッファ31に記憶されて利用されてもよい。
信号バッファ37は、遅延回路として機能し、受話信号列X(n−1)を一時的に記憶した後に過去の受話信号列として疑似エコー算出部32に供給する。疑似エコー算出部32は、フィルタ係数バッファ31から読み出されたフィルタ係数群w(1)(n),w(2)(n)をそれぞれ用いたフィルタ演算を過去の受話信号列X(n−1)に対して実行することにより2個の疑似エコー信号d(1)(n),d(2)(n)を算出する。具体的には、k番目の疑似エコー信号d(k)(n)は、次式(9)に従い、k番目のフィルタ係数群w(k)(n)を用いた畳み込み演算により算出される。
Figure 0006272590
また、信号バッファ38は、遅延回路として機能し、送話信号y(n−1)を一時的に記憶した後に過去の送話信号として評価値算出部34に出力する。評価値算出部34は、疑似エコー信号d(1)(n),d(2)(n)と過去の送話信号y(n−1)とに基づき、エコー消去量評価値EV(1)(n),EV(2)(n)を算出する。具体的には、k番目のエコー消去量評価値EV(k)(n)は、次式(10)に示されるように、過去の送話信号y(n−1)とk番目の疑似エコー信号d(k)(n)との差分に対する当該過去の送話信号y(n−1)の比率の2乗として算出される。
Figure 0006272590
更に、評価値算出部34は、次式(11)に示されるようにデシベル表示のエコー消去量評価値dEV(k)(n)を算出し、このエコー消去量評価値dEV(k)(n)をバッファ制御部36に供給する。
Figure 0006272590
図3A及び図3Bは、デシベル表示のエコー消去量評価値dEV(1)(n),dEV(2)(n)の例を示すグラフである。図3A及び図3Bでは、現フィルタ係数群w(n)を用いて算出されたエコー消去量評価値dEV(1)(n)と、旧フィルタ係数群w(n−1)を用いて算出されたエコー消去量評価値dEV(2)(n)とが示されている。
バッファ制御部36は、FGフィルタ39に対してフィルタ選択部として機能する。すなわち、バッファ制御部36は、評価値算出部34から供給されたエコー消去量評価値dEV(1)(n),dEV(2)(n)に基づき、フィルタ係数バッファ31に記憶されているフィルタ係数群w(1)(n),w(2)(n)の中から新たなフィルタ係数群w(p)(n)を選択する。たとえば、エコー消去量評価値dEV(1)(n),dEV(2)(n)のうち最も高いエコー消去量評価値dEV(p)(n)に対応するw(p)(n)が新フィルタ係数群として選択されればよい。図3Aに示されるように旧フィルタ係数群w(n−1)を用いて算出されたエコー消去量評価値dEV(2)(n)よりも、現フィルタ係数群w(n)を用いて算出されたエコー消去量評価値dEV(1)(n)の方が大きい場合、バッファ制御部36は新フィルタ係数w(1)(n)(p=1)を選択することができる。一方、図3Bに示されるように現フィルタ係数群w(n)を用いて算出されたエコー消去量評価値dEV(1)(n)よりも、旧フィルタ係数群w(n−1)を用いて算出されたエコー消去量評価値dEV(2)(n)の方が大きい場合には、バッファ制御部36は旧フィルタ係数群w(2)(n)(p=2)を選択することができる。
次いで、バッファ制御部36は、その選択結果を示す制御信号Cfをフィルタ係数バッファ31に供給する。フィルタ係数バッファ31は、この制御信号Cfに応じて当該新フィルタ係数群w(p)(n)をFGフィルタ39に供給する。これに応じて、FGフィルタ39は、新フィルタ係数群w(p)(n)で自己のフィルタ係数群wFG(n−1)を置き換えることでフィルタ係数群wFG(n−1)をフィルタ係数群wFG(n)に更新することができる。
FGフィルタ39は、フィルタ係数群wFG(n)を用いたフィルタ演算を受話信号列X(n)に対して実行することにより推定エコー成分dFG(n)を生成し、この推定エコー成分dFG(n)を減算器25に供給する。具体的には、FGフィルタ36は、次式(12)に従って受話信号列X(n)とフィルタ係数群wFG(n)との畳み込み演算を実行することで推定エコー成分dFG(n)を生成することができる。
Figure 0006272590
減算器25は、送話信号y(n)と推定エコー成分dFG(n)とを入力とし、次式(13)に示されるように、送話信号y(n)から推定エコー成分dFG(n)を差し引いて残差信号e(n)を生成する。
Figure 0006272590
この残差信号e(n)は、回線側信号出力部Soutによって通信機能部11に出力される。
このようにFGフィルタ39のフィルタ係数群wFG(n−1)を新たなフィルタ係数群w(p)(n)で置き換えることにより、適応フィルタ部20におけるフィルタ係数群の更新結果が短時間でFGフィルタ39に反映されるので、FGフィルタ39のエコー経路変動に対する追従性が高くなる。
これに対して、以下に説明するように、忘却係数γを用い、適応フィルタ部20のフィルタ係数群の更新結果をある程度の時間をかけてFGフィルタ39に反映してもよい。この場合、FGフィルタ36は、次式(14)に示されるように、当該FGフィルタ36で用いられた過去のフィルタ係数群wFG(n−1)と当該新たなフィルタ係数群w(p)(n)との線形結合により合成フィルタ係数群wFG(n)を生成し、自己のフィルタ係数群wFG(n−1)を合成フィルタ係数群wFG(n)に置き換える。
Figure 0006272590
ここで、忘却係数γは、フィルタ係数群w(p)(n)に重み付けられる重み係数である。このような合成フィルタ係数群wFG(n)の使用により、適応フィルタ部20のフィルタ係数群が時間をかけてFGフィルタ36に反映されるため、ダブルトークに対するロバスト性(頑健性)の更なる向上が可能となる。
次に、図4を参照しつつ、上記エコーキャンセラ10の動作例について説明する。図4は、エコーキャンセラ10により実行されるエコーキャンセル処理の手順の一例を概略的に示すフローチャートである。
図4を参照すると、適応フィルタ部20は、サンプリング時刻Tに受話信号列X(n)が入力されるまで待機している(ステップST1のNO)。受話信号列X(n)が入力されると(ステップST1のYES)、適応フィルタ部20は、上述したフィルタ演算を実行してフィルタ係数群を更新する(ステップST2)。フィルタ係数バッファ31は、適応フィルタ21から更新後のフィルタ係数群w(n)の供給を受けると、フィルタ係数群を更新する(ステップST3)。
次に、疑似エコー算出部32は、フィルタ係数群の番号kを「1」に設定し(ステップST4)、フィルタ係数バッファ31から供給されたk番目のフィルタ係数群w(k)(n)を用いたフィルタ演算を実行して疑似エコー信号d(k)(n)を生成する(ステップST5)。この疑似エコー信号d(k)(n)は、評価値算出部34に供給される。次いで、評価値算出部34は、その疑似エコー信号d(k)(n)と過去の送話信号y(n−1)とに基づき、エコー消去量評価値dEV(k)(n)を算出する(ステップST6)。このエコー消去量評価値dEV(k)(n)は、バッファ制御部36に供給される。その後、評価値算出部34は、番号kを1だけインクリメントし(ステップST7)、番号kが最大値M(=2)以下である場合には(ステップST8のYES)、処理手順をステップST5に戻す。
一方、番号kが最大値M(=2)以下ではない場合(ステップST8のNO)、言い換えれば、全ての疑似エコー信号d(1)(n),d(2)(n)についてエコー消去量評価値dEV(1)(n),dEV(2)(n)が算出された場合、処理手順はステップST9に移行する。なお、図4の例では、2個のエコー消去量評価値dEV(1)(n),dEV(2)(n)はこの順番で算出されている(ステップST4〜ST8)が、この代わりに、エコー消去量評価値dEV(1)(n),dEV(2)(n)が同時並列に算出されてもよい。
次のステップST9では、バッファ制御部36は、エコー消去量評価値dEV(1)(n),dEV(2)(n)に基づき、フィルタ係数バッファ31に記憶されているフィルタ係数群w(1)(n),w(2)(n)の中から新たなフィルタ係数群w(p)(n)を選択する(ステップST9)。この選択結果を示す制御信号Cfは、フィルタ係数バッファ31に供給される。次いで、フィルタ係数バッファ31は、制御信号Cfで指定された新たなフィルタ係数群w(p)(n)をFGフィルタ39に供給することにより、FGフィルタ39におけるフィルタ係数群を更新する(ステップST10)。
その後、FGフィルタ39は、受話信号列X(n)に対してフィルタ演算を実行することにより推定エコー成分dFG(n)を生成する(ステップST11)。減算器25は、送話信号y(n)から推定エコー成分dFG(n)を差し引いて残差信号e(n)を生成する(ステップST12)。次いで、回線側信号出力部Soutは、残差信号e(n)を通信機能部11に出力する(ステップST13)。
ステップST13の後、エコーキャンセル処理を続行する場合(ステップST14のYES)、処理手順はステップST1に戻る。一方、エコーキャンセル処理を続行しない場合(ステップST14のNO)、エコーキャンセル処理は終了する。
上記エコーキャンセラ10のハードウェア構成は、たとえば、ワークステーションまたはメインフレームなどの、CPU(Central Processing Unit)内蔵のコンピュータで実現可能である。あるいは、上記エコーキャンセラ10のハードウェア構成は、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field−Programmable Gate Array)などのLSI(Large Scale Integrated circuit)により実現されてもよい。
図5は、DSP、ASICまたはFPGAなどのLSIを用いて構成されるエコーキャンセラ10のハードウェア構成例を示すブロック図である。図5の例では、エコーキャンセラ10は、信号処理回路50、音響入出力部51、回線側入出力部52、記録媒体53及びバスなどの信号路54により構成されている。音響入出力部51は、信号入力部Sin及び信号出力部Routの機能を実現するインタフェース回路であり、回線側入出力部52は、回線側信号出力部Sout及び回線側信号入力部Rinの機能を実現するインタフェース回路である。上記適応フィルタ部20、エコー推定部30及び減算器25の機能は、図5の信号処理回路50及び記録媒体53で実現することができる。記録媒体53は、フィルタ係数バッファ31及び疑似エコーバッファ33として使用され得る。記録媒体53としては、たとえば、SDRAM(Synchronous DRAM)などの揮発性メモリ、HDD(ハードディスクドライブ)またはSSD(ソリッドステートドライブ)を使用することが可能である。
一方、図6は、コンピュータを用いて構成されるエコーキャンセラ10のハードウェア構成例を示すブロック図である。図6の例では、エコーキャンセラ10は、CPU60cを内蔵するプロセッサ60、RAM(Random Access Memory)61、ROM(Read Only Memory)62、音響入出力部63、回線側入出力部64、記録媒体65及びバスなどの信号路66により構成されている。音響入出力部63は、信号入力部Sin及び信号出力部Routの機能を実現するインタフェース回路であり、回線側入出力部64は、回線側信号出力部Sout及び回線側信号入力部Rinの機能を実現するインタフェース回路である。適応フィルタ部20、エコー推定部30及び減算器25の機能は、プロセッサ60及び記録媒体65で実現することができる。記録媒体65は、フィルタ係数バッファ31及び疑似エコーバッファ33として使用され得る。プロセッサ60は、RAM61を作業用メモリとして使用し、ROM62から読み出されたコンピュータ・プログラムに従って動作することにより、適応フィルタ部20、エコー推定部30及び減算器25の機能を実現する。記録媒体65としては、たとえば、SDRAMなどの揮発性メモリ、HDDまたはSSDを使用することが可能である。
以上に説明したように実施の形態1のエコーキャンセラ10は、エコー消去量評価値dEV(1)(n),dEV(2)(n)に基づき、フィルタ係数バッファ31に記憶されている複数のフィルタ係数群w(1)(n),w(2)(n)の中からフィルタ係数群w(p)(n)を選択し、このフィルタ係数群w(p)(n)をFGフィルタ39に設定することができる。よって、適応フィルタ部20においてエコー経路特性の推定精度が低下して誤学習が起きても、その誤学習がFGフィルタ39に反映されることが抑制される。また、近端話者音声または背景雑音といった外乱信号に対するロバスト性の向上も可能である。したがって、ダブルトークが発生する環境下で安定したエコー消去性能を実現することができる。
実施の形態2.
次に、本発明に係る実施の形態2について説明する。図7は、実施の形態2のエコーキャンセラ10Aの概略構成を示すブロック図である。上記実施の形態1のエコーキャンセラ10の場合と同様に、本実施の形態のエコーキャンセラ10Aと図1に示した通信機能部11との組み合わせで通話装置を構成することができる。
図7に示されるように、本実施の形態のエコーキャンセラ10Aは、上記実施の形態1のエコーキャンセラ10と同様に、信号入力部Sin、信号出力部Rout、回線側信号出力部Sout及び回線側信号入力部Rinを備えるとともに、適応フィルタ部20及び減算器25を備えている。
また、本実施の形態のエコーキャンセラ10Aはエコー推定部30Aを備えている。このエコー推定部30Aは、フィルタ係数バッファ31、疑似エコー算出部32A、評価値算出部34A、ダブルトーク判定器35、バッファ制御部36A、信号バッファ37,38及びFG(フォアグラウンド)フィルタ39Aを含んで構成される。
図7に示されるフィルタ係数バッファ31は、上記実施の形態1のフィルタ係数バッファ31と同様の機能を有し、適応フィルタ部20で使用された現在及び過去のフィルタ係数群w(1)(n),w(2)(n)を一時的に記憶する。
信号バッファ37は、遅延回路として機能し、受話信号列X(n−1)を一時的に記憶した後に過去の受話信号列として疑似エコー算出部32Aに出力する。疑似エコー算出部32には、信号バッファ37から過去の受話信号列X(n−1)が入力されるとともに、現在の受話信号列X(n)が入力されている。
疑似エコー算出部32Aは、フィルタ係数バッファ31から供給された現在のフィルタ係数群w(1)(n)を用いたフィルタ演算を過去の受話信号列X(n−1)に対して実行することにより疑似エコー信号d (1)(n)を算出するとともに、現在のフィルタ係数群w(1)(n)を用いたフィルタ演算を現在の受話信号列X(n)に対して実行することにより疑似エコー信号d (1)(n)を算出する。また、疑似エコー算出部32Aは、フィルタ係数バッファ31から供給された過去のフィルタ係数群w(2)(n)を用いたフィルタ演算を過去の受話信号列X(n−1)に対して実行することにより疑似エコー信号d (2)(n)を算出し、過去のフィルタ係数群w(2)(n)を用いたフィルタ演算を現在の受話信号列X(n)に対して実行することにより疑似エコー信号d (2)(n)を算出する。
具体的には、疑似エコー算出部32Aは、次式(15A)に従い、現在の受話信号列X(n)とフィルタ係数群w(k)(n)(k=1,2)との畳み込み演算を実行することで疑似エコー信号d (k)(n)を生成することができ、次式(15B)に従い、過去の受話信号列X(n−1)とフィルタ係数群w(k)(n)との畳み込み演算を実行することで疑似エコー信号d (k)(n)を生成することができる。
Figure 0006272590

Figure 0006272590
一方、信号バッファ38は、遅延回路として機能し、送話信号y(n−1)を一時的に記憶した後に過去の送話信号として評価値算出部34Aに出力する。評価値算出部34Aには、信号バッファ38から過去の送話信号y(n−1)が入力されるとともに、現在の送話信号y(n)が入力されている。
評価値算出部34Aは、次式(16A)に従い、現在の送話信号y(n)と疑似エコー信号d (k)(n)とに基づいてエコー消去量評価値EV (k)(n)を算出するとともに、次式(16B)に従い、過去の送話信号y(n−1)と疑似エコー信号d (k)(n)とに基づいてエコー消去量評価値EV (k)(n)を算出する。
Figure 0006272590

Figure 0006272590
更に、評価値算出部34Aは、次式(17A),(17B)に示されるようにデシベル表示のエコー消去量評価値dEV (k)(n),dEV (k)(n)を算出し、これらエコー消去量評価値dEV (k)(n),dEV (k)(n)をダブルトーク判定器35に供給する。
Figure 0006272590

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ダブルトーク判定器35は、現在の受話信号列X(n)及び現在の送話信号y(n)に基づいて算出されたエコー消去量評価値dEV (1)(n),dEV (2)(n)を互いに比較し、且つ、過去の受話信号列X(n−1)及び過去の送話信号y(n−1)に基づいて算出されたエコー消去量評価値dEV (1)(n),dEV (2)(n)を互いに比較して、定常状態、ダブルトーク状態またはエコー経路変動状態のいずれが生じているかを判定する機能を有している。この機能の詳細については後述する。ここで、エコー経路変動は、スピーカSPと集音部MKとの間の音響エコーの伝達経路の変動を意味し、定常状態は、ダブルトーク及びエコー経路変動のいずれも発生していない状態を意味する。ダブルトーク判定器35による判定結果DTは、FGフィルタ39Aとバッファ制御部36Aとにそれぞれ供給される。
FGフィルタ39Aは、フィルタ係数バッファ31から現フィルタ係数群w(1)(n)の供給を受けている。FGフィルタ39Aは、ダブルトーク判定器35による判定結果DTに応じた反映度合いで自己のフィルタ係数群wFG(n)に現フィルタ係数群w(1)(n)を反映させる。たとえば、判定結果DTが定常状態またはエコー経路変動状態を示す場合、FGフィルタ39Aは、自己のフィルタ係数群wFG(n−1)をフィルタ係数群w(1)(n)で置き換えて更新することにより、フィルタ係数群wFG(n)へのフィルタ係数群w(1)(n)の反映度合いを最大にすることができる。一方、判定結果DTがダブルトーク状態を示す場合、自己のフィルタ係数群wFG(n−1)の更新を停止することにより、その反映度合いを最小にすることができる。
また、FGフィルタ39Aは、次式(18)の合成フィルタ係数wFG(n)を使用してもよい。
Figure 0006272590
この場合、忘却係数γを用いて反映度合いを調整することができる。忘却係数γは、零近傍の値に設定されることが好ましく、たとえば、零より大きく且つ0.1以下の範囲内にあることが望ましい。また、たとえば、判定結果DTがエコー経路変動状態を示す場合、FGフィルタ39Aは、忘却係数γの値を定常状態時の値よりも大きい値に設定することにより、エコ経路変動状態時の反映度合いを定常状態時の反映度合いよりも大きくすることができる。一方、判定結果DTがダブルトーク状態を示す場合には、FGフィルタ39Aは、忘却係数γの値を定常状態時の値よりも小さい値に設定することにより、ダブルトーク状態時の反映度合いを定常状態時の反映度合いよりも小さくすることができる。
FGフィルタ39Aは、実施の形態1のFGフィルタ39と同様に、フィルタ係数群wFG(n)を用いたフィルタ演算を受話信号列X(n)に対して実行することにより推定エコー成分dFG(n)を生成し、この推定エコー成分dFG(n)を減算器25に供給する。減算器25は、送話信号y(n)から推定エコー成分dFG(n)を差し引いて残差信号e(n)を生成する。この残差信号e(n)は、回線側信号出力部Soutによって通信機能部11に出力される。
一方、バッファ制御部36Aは、適応フィルタ部20に対してフィルタ選択部として機能する。すなわち、バッファ制御部36Aは、フィルタ係数バッファ31に記憶された現在及び過去のフィルタ係数群w(1)(n),w(2)(n)の中から、ダブルトーク判定器35による判定結果DTに応じた新たなフィルタ係数群w(p)(n)を選択する。そして、バッファ制御部36Aは、その選択結果を示す制御信号Cfaをフィルタ係数バッファ31に供給する。フィルタ係数バッファ31は、制御信号Cfaで指定された新たなフィルタ係数群w(p)(n)を適応フィルタ部20に供給することにより、適応フィルタ部20におけるフィルタ係数群を更新する。たとえば、判定結果DTが定常状態またはエコー経路変動状態を示す場合、バッファ制御部36Aは、現在のフィルタ係数群w(1)(n)を選択し、判定結果DTがダブルトーク状態を示す場合には、過去のフィルタ係数群w(2)(n)を選択することができる。
次に、図8を参照しつつ、上記エコーキャンセラ10Aの動作例について説明する。図8は、エコーキャンセラ10Aにより実行されるエコーキャンセル処理の手順の一例を概略的に示すフローチャートである。図8のステップST1〜ST8の処理内容は、上記実施の形態1に係る図4のステップST1〜ST8の処理内容と同じであるので、それらの処理内容の説明を省略する。
図9は、図8のステップST20のダブルトーク判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。図9を参照すると、ダブルトーク判定器35は、過去の受話信号列X(n−1)及び過去の送話信号y(n−1)に基づいて算出されたエコー消去量評価値dEV (1)(n),dEV (2)(n)を互いに比較する(ステップST30)。エコー消去量評価値dEV (2)(n)よりもdEV (1)(n)の方が大きいと判定した場合(ステップST30のYES)、ダブルトーク判定器35は、定常状態が生じていると判定する(ステップST31)。図10A及び図10Bは、この状態におけるエコー消去量評価値dEV (1)(n),dEV (2)(n)の大小関係と、エコー消去量評価値dEV (1)(n),dEV (2)(n)の大小関係とを例示する図である。図10Bに示されるように、図10Aに示す大小関係が成立するとき、エコー消去量評価値dEV (1)(n)は、dEV (2)(n)よりも大きいと考えられる。
一方、ダブルトーク判定器35は、エコー消去量評価値dEV (1)(n)がdEV (2)(n)以下と判定した場合(ステップST30のNO)、更に、現在の受話信号列X(n)及び現在の送話信号y(n)に基づいて算出されたエコー消去量評価値dEV (1)(n),dEV (2)(n)を互いに比較する(ステップST32)。エコー消去量評価値dEV (2)(n)よりもdEV (1)(n)の方が大きい判定した場合(ステップST32のYES)、ダブルトーク判定器35は、エコー経路変動状態が生じたと判定する(ステップST33)。図11A及び図11Bは、この状態におけるエコー消去量評価値dEV (1)(n),dEV (2)(n)の大小関係と、エコー消去量評価値dEV (1)(n),dEV (2)(n)の大小関係とを例示する図である。
ステップST32でエコー消去量評価値dEV (1)(n)がdEV (2)(n)以下と判定した場合は(ステップST32のNO)、ダブルトーク判定器35は、ダブルトーク状態が生じたと判定する(ステップST34)。図12A及び図12Bは、この状態におけるエコー消去量評価値dEV (1)(n),dEV (2)(n)の大小関係と、エコー消去量評価値dEV (1)(n),dEV (2)(n)の大小関係とを例示する図である。その後、処理手順は図8のステップST21に移行する。なお、上記ステップST30,ST32の判定は、それぞれ閾値を使用して実行されてもよい。
次のステップST21(図8)では、判定結果DTに応じた反映処理が行われる。すなわち、FGフィルタ39Aは、判定結果DTに応じた反映度合いで自己のフィルタ係数群wFG(n)にそのフィルタ係数群w(1)(n)を反映させる。並行して、バッファ制御部36Aは、フィルタ係数バッファ31に記憶された現在及び過去のフィルタ係数群w(1)(n),w(2)(n)の中から判定結果DTに応じた新たなフィルタ係数群w(p)(n)を選択し、その選択結果を示す制御信号Cfaをフィルタ係数バッファ31に供給する。フィルタ係数バッファ31は、制御信号Cfaに応じて当該新たなフィルタ係数群w(p)(n)を適応フィルタ21に供給することにより、適応フィルタ21のフィルタ係数群を新たなフィルタ係数群w(p)(n)で置き換えて更新する。
次のステップST22では、FGフィルタ39Aは、フィルタ係数群wFG(n)を用いたフィルタ演算を受話信号列X(n)に対して実行することにより推定エコー成分dFG(n)を生成する。次いで、減算器25は、送話信号y(n)から推定エコー成分dFG(n)を差し引いて残差信号e(n)を生成する(ステップST23)。そして、この残差信号e(n)は、回線側信号出力部Soutによって通信機能部11に出力される(ステップST24)。
ステップST24の後、エコーキャンセル処理を続行する場合(ステップST25のYES)、処理手順はステップST1に戻る。一方、エコーキャンセル処理を続行しない場合(ステップST25のNO)、エコーキャンセル処理は終了する。
なお、本実施の形態のエコーキャンセラ10Aのハードウェア構成は、たとえば、ワークステーションまたはメインフレームなどの、CPU内蔵のコンピュータで実現可能である。あるいは、エコーキャンセラ10Aのハードウェア構成は、DSP、ASICまたはFPGAなどのLSIにより実現されてもよい。実施の形態1の場合と同様に、エコーキャンセラ10Aのハードウェア構成を、図5または図6に示した構成で実現することも可能である。
以上に説明したように実施の形態2のエコーキャンセラ10Aは、定常状態、エコー経路変動状態またはダブルトーク状態のいずれが発生したかを判定し、その判定結果に応じてFGフィルタ39Aのフィルタ係数群及び適応フィルタ部20のフィルタ係数群を最適化することができる。したがって、実施の形態1の場合よりも安定したエコー消去性能を実現することができる。
実施の形態3.
次に、本発明に係る実施の形態3について説明する。図13は、実施の形態3のエコーキャンセラ10Bの概略構成を示すブロック図である。上記実施の形態1のエコーキャンセラ10の場合と同様に、本実施の形態のエコーキャンセラ10Bと図1に示した通信機能部11との組み合わせで通話装置を構成することができる。
図13に示されるように本実施の形態のエコーキャンセラ10Bは、上記実施の形態2のエコーキャンセラ10Aと同様に、信号入力部Sin、信号出力部Rout、回線側信号出力部Sout及び回線側信号入力部Rinを備えるとともに、適応フィルタ部20、減算器25及びエコー推定部30Aを備える。本実施の形態のエコーキャンセラ10Bの構成は、エコー推定部30Aの後段に残留エコー抑圧部40を備える点を除いて、上記実施の形態2のエコーキャンセラ10Aの構成と同じである。残留エコー抑圧部40は、減算器25から出力された残差信号e(n)に含まれる残留エコー成分を抑圧してエコー抑圧信号S(n)を生成する機能を有している。このような機能は、公知技術を使用して実現すればよく、特に限定されるものではない。たとえば、下記の非特許文献3に開示されている残留エコー抑圧技術を使用することができる。
・非特許文献3:S. Gustafsson, R. Martin, P. Jax, and P. Vary, “A Psychoacoustic Approach to Combined Acoustic Echo Cancellation and Noise Reduction,” IEEE TRANSACTIONS ON SPEECH AND AUDIO PROCESSING, VOL. 10, NO. 5, JULY 2002.
たとえば、ITU−T勧告P.341には、ハンズフリー通話中のエコー消去量として46dBを確保すべきと記載されている。このようなエコー消去量を確保するために残留エコー抑圧部40を使用することができる。
また、本実施の形態の残留エコー抑圧部40は、ダブルトーク判定器35による判定結果DTに応じて残留エコー成分を抑圧する度合い(抑圧強度)を調整する機能を有する。たとえば、判定結果DTがダブルトーク状態を示している場合は、定常状態時よりも抑圧強度を弱めて送話音声を隠滅させないようにすることができる。また、判定結果DTがエコー経路変動状態を示している場合は、適応フィルタ部20のエコー経路変動への追従が遅れている可能性があるので、定常状態時よりも抑圧強度を高めることで、エコーキャンセラ10Bの出力信号から残留エコー成分を減少させることができる。
図14は、実施の形態3のエコーキャンセラ10Bにより実行されるエコーキャンセル処理の手順の一例を概略的に示すフローチャートである。図14のステップST1〜ST23の処理内容は、上記実施の形態2に係る図8のステップST1〜ST23の処理内容と同じであるので、それらの処理内容の説明を省略する。
図14を参照すると、ステップST40では、残留エコー抑圧部40は、ダブルトーク判定器35による判定結果DTに応じた度合いで残差信号e(n)中の残留エコー成分を抑圧してエコー抑圧信号S(n)を生成する。次いで、回線側信号出力部Soutは、そのエコー抑圧信号S(n)を通信機能部11に出力する(ステップST41)。その後、エコーキャンセル処理を続行する場合(ステップST42のYES)、処理手順はステップST1に戻る。一方、エコーキャンセル処理を続行しない場合(ステップST42のNO)、エコーキャンセル処理は終了する。
以上に説明したように実施の形態3のエコーキャンセラ10Bは、ダブルトーク判定器35による判定結果DTに応じた度合いで残留エコー成分を抑圧する残留エコー抑圧部40を備えているので、送話音声の隠滅感を少なくしつつ残留エコー成分を抑圧することが可能である。
以上、図面を参照して本発明に係る種々の実施の形態について述べたが、これら実施の形態は本発明の例示であり、これら実施の形態以外の様々な形態を採用することもできる。たとえば、上記実施の形態1〜3では、フィルタ係数バッファ31に記憶された2個のフィルタ係数群w(1)(n),w(2)(n)を用いてエコーキャンセル処理が実行されたが、これに限らず、3個以上のフィルタ係数群を用いてエコーキャンセル処理が実行されてもよい。
なお、本発明の範囲内において、上記実施の形態1〜3の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、または各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
本発明に係るエコーキャンセラ装置及び通話装置は、たとえば、固定電話機、拡声機能付き携帯電話機、ハンズフリー通話システム及びテレビ電話会議システムに使用され得る。
1A,1B 通話装置、10,10A,10B エコーキャンセラ、11 通信機能部、20 適応フィルタ部、21 適応フィルタ、22 減算器、23 適応アルゴリズム部(AAL)、25 減算器、30,30A エコー推定部、31 フィルタ係数バッファ、32,32A 疑似エコー算出部、34,34A 評価値算出部、35 ダブルトーク判定器、36,36A バッファ制御部(フィルタ選択部)、37,38 信号バッファ、39,39A FG(フォアグラウンド)フィルタ、40 残留エコー抑圧部、50 信号処理回路、51 音響入出力部、52 回線側入出力部、53 記録媒体、54 信号路、60 プロセッサ、61 RAM、62 ROM、63 音響入出力部、64 回線側入出力部、65 記録媒体、66 信号路、MK 集音部、SP スピーカ。

Claims (18)

  1. 入力された受話信号列に対してフィルタ係数群を用いたフィルタ演算を実行するとともに、集音部から入力された送話信号に応じて前記フィルタ係数群の更新を行う適応フィルタ部と、
    前記適応フィルタ部で使用された現在及び過去のフィルタ係数群を取得し、当該現在及び過去のフィルタ係数群をそれぞれ用いたフィルタ演算を前記受話信号の系列に対して実行することにより複数の疑似エコー信号を算出する疑似エコー算出部と、
    前記集音部から入力された送話信号を一時的に記憶した後に過去の送話信号として出力する送話信号バッファと、
    前記過去の送話信号と前記複数の疑似エコー信号とに基づき、当該複数の疑似エコー信号にそれぞれ対応する複数のエコー消去量評価値を算出する評価値算出部と、
    前記複数のエコー消去量評価値に基づいて、前記現在及び過去のフィルタ係数群の中から新フィルタ係数群を選択するフィルタ選択部と、
    前記受話信号の系列に対して前記新フィルタ係数群を用いたフィルタ演算を実行することにより推定エコー成分を生成するフォアグラウンドフィルタと、
    前記集音部から入力された送話信号から前記推定エコー成分を差し引いて残差信号を生成する減算器と
    を備えることを特徴とするエコーキャンセラ装置。
  2. 請求項1記載のエコーキャンセラ装置であって、当該入力された受話信号列を一時的に記憶した後に過去の受話信号列として出力する受話信号バッファを更に備え、
    前記疑似エコー算出部は、前記過去の受話信号列に対して前記現在及び過去のフィルタ係数群をそれぞれ用いたフィルタ演算を実行することにより前記複数の疑似エコー信号を算出することを特徴とするエコーキャンセラ装置。
  3. 請求項1記載のエコーキャンセラ装置であって、前記フィルタ選択部は、前記現在及び過去のフィルタ係数群の中から、前記複数のエコー消去量評価値のうち最も高いエコー消去量評価値に対応するフィルタ係数群を前記新フィルタ係数群として選択することを特徴とするエコーキャンセラ装置。
  4. 請求項1記載のエコーキャンセラ装置であって、前記評価値算出部は、前記過去の送話信号と前記疑似エコー信号との差分に対する当該過去の送話信号の比率の2乗を前記エコー消去量評価値として算出することを特徴とするエコーキャンセラ装置。
  5. 請求項1記載のエコーキャンセラ装置であって、前記フォアグラウンドフィルタは、前記新フィルタ係数群のみを用いたフィルタ演算により前記推定エコー成分を生成することを特徴とするエコーキャンセラ装置。
  6. 請求項1記載のエコーキャンセラ装置であって、
    前記フォアグラウンドフィルタは、当該フォアグラウンドフィルタで用いられた過去のフィルタ係数群と前記新フィルタ係数群との線形結合により合成フィルタ係数群を生成するとともに、前記合成フィルタ係数群を用いたフィルタ演算により前記推定エコー成分を生成することを特徴とするエコーキャンセラ装置。
  7. 入力された受話信号列に対してフィルタ係数群を用いたフィルタ演算を実行するとともに、集音部から入力された送話信号に応じて適応的に前記フィルタ係数群の更新を行う適応フィルタ部と、
    当該入力された受話信号列を一時的に記憶した後に過去の受話信号列として出力する受話信号バッファと、
    前記適応フィルタ部で用いられた現在及び過去のフィルタ係数群を取得し、前記過去の受話信号列に対して前記現在のフィルタ係数群を用いたフィルタ演算を実行することにより第1の疑似エコー信号を算出するととともに、前記過去の受話信号列に対して前記過去のフィルタ係数群を用いたフィルタ演算を実行することにより第2の疑似エコー信号を算出する疑似エコー算出部と、
    前記集音部から入力された送話信号を一時的に記憶した後に過去の送話信号として出力する送話信号バッファと、
    前記送話信号バッファから入力された過去の送話信号と前記第1の疑似エコー信号とに基づいて第1のエコー消去量評価値を算出するとともに、前記過去の送話信号と前記第2の疑似エコー信号とに基づいて第2のエコー消去量評価値を算出する評価値算出部と、
    前記第1及び第2のエコー消去量評価値を互いに比較してダブルトークの発生の有無を判定するダブルトーク判定器と、
    前記ダブルトーク判定器による判定結果に応じた反映度合いで前記現在のフィルタ係数群を反映したフィルタ係数群を用いたフィルタ演算を、当該入力された受話信号の系列に対して実行することにより推定エコー成分を生成するフォアグラウンドフィルタと、
    前記集音部から入力された送話信号から前記推定エコー成分を差し引いて残差信号を生成する減算器と
    を備えることを特徴とするエコーキャンセラ装置。
  8. 請求項7記載のエコーキャンセラ装置であって、前記フォアグラウンドフィルタは、前記ダブルトークが発生したと判定されたとき、前記ダブルトークが発生しないと判定されたときよりも前記反映度合いを小さくすることを特徴とするエコーキャンセラ装置。
  9. 請求項7記載のエコーキャンセラ装置であって、
    前記疑似エコー算出部は、当該入力された受話信号列に対して前記現在のフィルタ係数群を用いたフィルタ演算を実行することにより第3の疑似エコー信号を算出するとともに、当該入力された受話信号列に対して前記過去のフィルタ係数群を用いたフィルタ演算を実行することにより第4の疑似エコー信号を算出し、
    前記評価値算出部は、前記集音部から入力された送話信号と前記第3の疑似エコー信号とに基づいて第3のエコー消去量評価値を算出するとともに、前記集音部から入力された送話信号と前記第4の疑似エコー信号とに基づいて第4のエコー消去量評価値を算出し、
    前記ダブルトーク判定器は、更に、前記第3及び第4のエコー消去量評価値を互いに比較して前記ダブルトークの発生の有無を判定する、
    ことを特徴とするエコーキャンセラ装置。
  10. 請求項9記載のエコーキャンセラ装置であって、前記ダブルトーク判定器は、前記第1のエコー消去量評価値が前記第2のエコー消去量評価値以下であり、且つ前記第3のエコー消去量評価値が前記第4のエコー消去量評価値以下であるときに、前記ダブルトークが発生したと判定することを特徴とするエコーキャンセラ装置。
  11. 請求項10記載のエコーキャンセラ装置であって、前記ダブルトーク判定器は、前記第1のエコー消去量評価値が前記第2のエコー消去量評価値以下であり、且つ前記第3のエコー消去量評価値が前記第4のエコー消去量評価値を超えるときに、エコー経路変動が発生したと判定することを特徴とするエコーキャンセラ装置。
  12. 請求項11記載のエコーキャンセラ装置であって、前記ダブルトーク判定器は、前記第1のエコー消去量評価値が前記第2のエコー消去量評価値を超えるときに、エコー経路が定常状態にあると判定することを特徴とするエコーキャンセラ装置。
  13. 請求項7記載のエコーキャンセラ装置であって、前記現在及び過去のフィルタ係数群の中から、前記ダブルトーク判定器による判定結果に応じた新フィルタ係数群を選択するフィルタ選択部を更に備え、
    前記フィルタ選択部は、前記新フィルタ係数群で前記適応フィルタ部におけるフィルタ係数群を置き換えることを特徴とするエコーキャンセラ装置。
  14. 請求項13記載のエコーキャンセラ装置であって、前記現在及び過去のフィルタ係数群を一時的に記憶するフィルタ係数バッファを更に備え、
    前記フィルタ係数バッファは、前記フィルタ選択部による制御を受けて前記新フィルタ係数群を前記適応フィルタ部に供給することを特徴とするエコーキャンセラ装置。
  15. 請求項7記載のエコーキャンセラ装置であって、
    前記フォアグラウンドフィルタは、当該フォアグラウンドフィルタで用いられた過去のフィルタ係数群と前記適応フィルタ部で用いられた当該現在のフィルタ係数群との線形結合により合成フィルタ係数群を生成し、前記合成フィルタ係数群を用いたフィルタ演算により前記推定エコー成分を生成することを特徴とするエコーキャンセラ装置。
  16. 請求項7記載のエコーキャンセラ装置であって、前記残差信号中の残留エコー成分を抑圧する残留エコー抑圧部を更に備え、
    前記残留エコー抑圧部は、前記ダブルトーク判定器による判定結果に応じて前記残留エコー成分を抑圧する度合いを調整することを特徴とするエコーキャンセラ装置。
  17. 相手方通話装置との間で電気通信網を介して通信を行う通信機能部と、
    前記通信機能部から入力された受話信号列を音響波に変換して放射するスピーカ及び集音部に接続された請求項1記載のエコーキャンセラ装置とを備え、
    前記エコーキャンセラ装置は、前記受話信号列を用いて、前記集音部から入力された送話信号中の音響エコー成分を低減させることを特徴とする通話装置。
  18. 相手方通話装置との間で電気通信網を介して通信を行う通信機能部と、
    前記通信機能部から入力された受話信号列を音響波に変換して放射するスピーカ及び集音部に接続された請求項7記載のエコーキャンセラ装置とを備え、
    前記エコーキャンセラ装置は、前記受話信号列を用いて、前記集音部から入力された送話信号中の音響エコー成分を低減させることを特徴とする通話装置。
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