JP6272476B2 - 赤血球溶解のための試薬の使用ならびに該試薬に関連する方法およびキット - Google Patents

赤血球溶解のための試薬の使用ならびに該試薬に関連する方法およびキット Download PDF

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Description

本開示は、赤血球溶解のための試薬の使用、赤血球を溶解する方法および該試薬を含むキットに関する。
診断法および分析法は、通常、最小限に侵襲性で、技術的にロバストであり、そして普遍的に適用可能であることを目的とする。血液は、困難を伴わずに得ることが可能であり、そしてその構成要素の分析は、通常、比較的容易でそして自動化可能であるため、血液分析は、長年、診断および分析ツールとして用いられてきている。
血液は、いくつかの異なる種類の細胞、ならびに様々な塩および特定のタンパク質を含む、他の化合物で構成される。脊椎動物において、血液は、本質的に、血漿中に懸濁された血球で構成される。血液の55%を構成する血漿は、散逸したタンパク質、グルコース、ミネラルイオン、ホルモン、二酸化炭素(血漿は排泄産物輸送のための主な媒体である)、および血球自体を含有する。血球は、主に、赤血球(RBCまたはエリスロサイトとも称される)、白血球(WBCまたはリューコサイトとも称される)および血小板(トロンボサイト)である。脊椎動物血液中の最も豊富な細胞は、赤血球である。ヒトは血液1マイクロリットルあたり、約400〜600万の赤血球を有し、一方、ヒト血液各1マイクロリットル中には、約4,000〜11,000の白血球および約15万〜40万の血小板がある。赤血球は主に、呼吸気体の輸送に関与する。白血球は、免疫系の細胞であり、そして血液およびリンパ系を含めて、全身で見られる。血小板は、哺乳動物の血中を循環し、そして止血に関与して、血餅の形成を導く。
赤血球以外の血液の構成要素、特に細胞性構成要素を分析するためには、赤血球を除去することが望ましいが、これは赤血球が多数あるため容易ではない。このため、溶血、すなわち赤血球の溶解または破裂が用いられてきている。
赤血球溶解のための多くの方法およびプロトコルが開発されてきており、そのいくつかを以下に詳述する:
塩化アンモニウムは、全血中の赤血球の溶解を可能にする、浸透性塩として記載された。古典的な塩化アンモニウム溶解緩衝液は、150mM NHCl、1mM KHCOおよび0.1mM EDTAを含有する。赤血球は、この緩衝液を用いて、定量的に枯渇させることも可能であるが、約30%またはそれより多くの白血球が失われる(例えば、Meryman H. Red Cell Structure and Function 1969; 352−367、Sass M. Am J Physiol. 1979;236(5):C238−43、Claus R.ら Folia Hematol. 1985; 5: 683−688、Terstappenら J Immun Methods. 1989: 103−112を参照されたい)。
US 7,678,583 B2は、中心的な構成要素ピペリジンまたはピロリジン塩酸塩、炭酸水素カリウムおよび炭酸脱水酵素を含む緩衝液を用いて、赤血球を定量的に溶解する方法を開示する。この溶解緩衝液組成は、塩化アンモニウムを用いた溶解法に比較して、定量的な赤血球枯渇を伴い、より高い白血球発見率を生じると記載される。
US 5,840,515は、浸透圧およびpHが白血球完全性を維持するように調整され、そしてサポニンを含有する溶液での赤血球の溶解、そして実質的に類似の組成を有するがサポニンを含有しない溶液で試料を希釈することによる該溶解の阻害によって、血液試料中の白血球を単離しそして区別(differenting)するための方法を記載する。試薬は、0.1〜2g/lのサポニンで構成され、そして200〜400ミリオスモルの浸透圧、および6〜8のpHを有する。
DE 102008032501 A1は、核酸分析のために使用可能であり、そして非イオン性界面活性剤、および増粘剤として作用するポリマーを含有する、一般的な溶解試薬に関する。白血球中の核酸を分析するため、以下の溶解緩衝液組成物を用いて、赤血球を枯渇させる: 320mMショ糖、50mM Tris/Cl pH7.5、5mM MgCl、1% Triton X−100。
US 5,155,044は、本質的に、希釈剤、ギ酸、酢酸およびそれぞれの混合物からなる群より選択される溶解試薬からなる酸性水溶液であって;前記酸性水溶液中の溶解試薬の相対濃度が、全血試料を、溶解赤血球分画、およびこうした白血球の少なくとも5つの下位集団の示差分析を可能にするような状態の本質的に損なわれていない(intact)白血球分画の分配を達成するために十分である、前記酸性水溶液;ならびに約0.05〜約0.2パーセントの範囲の清澄化に有効な量のサポニンを含む、全血の選択的化学処理のための溶解試薬系を開示する。
これらの記載される赤血球溶解プロトコルのすべて、そしてまた上に引用するものを超えたプロトコル変動(低張溶解、界面活性剤依存性溶解、アンモニウムに基づく溶解、酢酸に基づく溶解)が試験されてきており、そして赤血球溶解法の間に、白血球の少なくとも20〜30%が失われるという不都合な点を有する(実施例7を参照されたい)。したがって、これらの方法は、例えば少なくとも90%の高い白血球回収率と組み合わされた定量的赤血球枯渇法には適切ではない。
したがって、本開示の目的は,高い生存白血球回収率と組み合わされた、定量的赤血球枯渇のための手段および方法を提供することであった。好ましくは、手段および方法は、白血球形態に影響を及ぼしてはならない。さらに、細胞生存度に対する、または赤血球溶解に続く実験(例えばPCRまたはFACSまたは酵素反応)に対する、負の影響を有する反応は、回避されなければならない。
驚くべきことに、この目的は、赤血球溶解に使用される新規試薬であって、該試薬がHEPES((4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)、NH /NH、キレート剤およびあってもよいCO 2-/CO -を含むか、またはこれらからなり、赤血球溶解中の最終濃度が
− 2.5mmol/l〜12mmol/l HEPES、
− 60mmol/l〜120mmol/l NH /NH
− 0.04mmol/l〜0.8mmol/lキレート剤、および
− 存在する場合、0.15mmol/l〜0.8mmol/l CO 2-/CO -
の範囲である、前記試薬によって解決された。
新規に開発された溶解緩衝液は、主な溶解構成要素として塩化アンモニウムに基づく。しかし、確立された塩化アンモニウム緩衝液に比較して、開発された緩衝液中では、塩化アンモニウムの濃度がより低く、そして他の緩衝剤構成要素、例えばHEPES、キレート剤およびKHCOが試薬混合物に添加されている。白血球回収率が著しくより低い(実施例1および2を参照されたい)確立された方法とは対照的に、この緩衝剤組成は、高い白血球回収率、好ましくは少なくとも90%(実施例4を参照されたい)での定量的赤血球枯渇を可能にする。さらに、細胞生存度または赤血球溶解後の実験に不都合な影響を有することが疑われる構成要素は存在しない。
一般的に用いられる塩化アンモニウム溶解プロトコルに比較して、開発された手段および方法は、溶解法中、6.8〜7.4の間の生理学的に安定なpH値を維持することが可能である(実施例6を参照されたい)。一般的な塩化アンモニウム溶解緩衝液法を用いた際、ほぼ8.0のpH値が測定される。こうした条件下ではまた、非生理学的pH値のために非赤血球細胞も死ぬ。
しかし、赤血球枯渇法によって可能になる全血からの白血球単離は、生理学的および病理生理学的血球および血液関連現象、例えば免疫学的評価、例えば炎症および免疫状態の決定;腫瘍学的アプローチ、例えば異なるタイプの白血病の研究または血中の循環腫瘍細胞の検出;心臓血管的アプローチ、例えば血中の循環内皮細胞の研究;非臨床安全性アプローチ;あるいはフローサイトメトリーアプローチ、例えば血中の有核細胞(白血球およびその他)を研究するためのすべての生理学的および病理生理学的適用に基づくものを研究するための重要な工程である。
したがって、第一の側面において、本開示は、赤血球溶解のための試薬の使用であって、試薬がHEPES((4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)、NH /NH、キレート剤およびあってもよいCO 2-/CO -を含むか、またはこれらからなり、赤血球溶解中の最終濃度が
− 2.5mmol/l〜12mmol/l HEPES、
− 60mmol/l〜120mmol/l NH /NH
− 0.04mmol/l〜0.8mmol/lキレート剤、および
− 存在する場合、0.15mmol/l〜0.8mmol/l CO 2-/CO -
の範囲である、前記試薬の使用に関する。
詳述するように、該試薬を赤血球の溶解に用いてもよい。本開示にしたがって、試薬は水溶液、すなわち水ベースの溶液である。試薬は、水溶液中、上に列挙する構成要素を含むかまたはこれらからなり、これは、水溶液がこれらの構成要素のみからなる(からなる)か、または少なくとも1つのさらなる構成要素もまた包含する(含む)ことを意味する。
本明細書に提示するような特定の態様において、試薬は、以下の剤:ピペリジンまたはその塩、ピロリジンまたはその塩、炭酸脱水酵素、サポニン、界面活性剤、および増粘剤として作用するポリマーの1またはそれより多く、あるいはすべてを含まない。
溶解中、上に列挙する構成要素の最終濃度は上に定義する通りである。溶解中に使用するため、赤血球を含む供給源と混合する、既製の試薬を用いてもよい。この場合、試薬の希釈は、既製の試薬を調製する際に考慮すべきである。例えば、血液または血液産物を供給源として用いる場合、試薬を供給源に添加して(または逆でもよい)、こうして試薬を希釈してもよい。典型的な希釈は、1:10〜10:1(供給源:試薬)であり、したがってそれぞれ、希釈前に1.1倍〜11倍のストック試薬が必要である可能性もある。X倍のストック試薬は、本明細書に示すように、溶解中の最終濃度に比較して、係数Xによって、希釈の前に試薬の構成要素中の濃度が増加していることを意味する。
赤血球溶解は、通常、浸透圧平衡障害に関して見られる機構によって達成される。赤血球は、通常、両凹円盤として形作られる。低張環境において、細胞の球体化(spherisation)および続く体積増加が観察されうる。膜張力が臨界値を超えると、膜は破裂し、したがって赤血球を溶解する。したがって、本文脈中の溶解は、完全性を損なう、浸透圧機構による細胞の破壊を指す。
試薬の1つの構成要素は、双性イオン性有機化学緩衝剤である、HEPES((4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)である。HEPESは、細胞培養におけるなど、生物学、生化学において、広く用いられているが、これは主に、他の緩衝剤と比較した際、二酸化炭素濃度の変化にもかかわらず、生理学的pHの維持がより優れているためである。水の解離は、温度が低下するとともに減少するが、多くの他の緩衝剤の解離定数(pK)は、温度とともにはそれほど変化しない。HEPESは、水と同様、温度が減少するにつれて、解離が減少する。これによって、HEPESは、低温での酵素構造および機能を維持するためにより有効な緩衝剤となる。緩衝剤は、その緩衝剤のpKaにpHが等しい場合に最も有効であり、そしてその値の上および下の1pH単位の範囲内にある際に最も効率的である。HEPESは、一般的に、細胞培地中のpHレベルを維持するために用いられる。無機重炭酸ナトリウム緩衝系に比較して、HEPESは、7.2〜7.6の生理学的pH範囲で緩衝するためにより適している。HEPESは、陽性および陰性イオン化可能基の両方を含有する「優れた」緩衝剤であり、二級および三級アミン基は正電荷を提供し、そして負電荷はスルホン酸およびカルボン酸基によって提供される。通常、HEPESは、15mM〜25mMの濃度で培地に添加されるが、本開示においては、HEPESの濃度はより低い。
試薬の別の構成要素は、アンモニア(NH)/アンモニウム(NH )緩衝液である。アンモニア+アンモニウムの最終濃度は、60mmol/l〜120mmol/lの上記範囲である。通常、緩衝液は、塩化アンモニウムおよびアンモニアで調製され、ここで、両構成要素の比は、意図されるpHに応じて変化する。緩衝系のpKaは9.25である。
さらに、試薬はキレート剤を含む。キレート剤は、イオンを錯化する剤であり、イオン濃度を減少させる。通常、イオンは、金属イオン、例えばCa、Mg、Fe、ZnおよびCuであるが、非金属イオン、例えばPもまた錯化可能である。多価(金属)イオンと安定な水溶性複合体を形成することによって、キレート剤は、(金属)イオンの正常反応性をブロッキングすることにより、望ましくない相互作用を防止する。適切なキレート剤の例には、EGTA(エチレングリコール四酢酸)、BAPTA(1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)およびNTA(N,N−ビス(カルボキシ−メチル)グリシン)が含まれ、キレート剤としてEDTAを含む試薬が、特に好適な態様に相当する。EDTAは、非常に一般的なキレート剤の例であり、窒素原子および短鎖カルボキシル基を有し、そして抗凝血剤として用いられる。
場合によって、試薬の別の構成要素は、炭酸(CO 2-)/炭酸水素(HCO -)緩衝剤である。炭酸+炭酸水素の最終濃度は、存在する場合、0.15mmol/l〜0.8mmol/lの上記範囲である。通常、緩衝液は、カリウムまたはナトリウム塩などの、炭酸および炭酸水素の塩を、水中に溶解することによって調製され、ここで、炭酸/炭酸水素の比は、pHに応じて変化する。重炭酸のpKaは6.1であり、5.1〜7.1のpHで最適な緩衝能を生じる。
さらなる特定の態様において、上に定義するような1またはそれより多い構成要素は、溶解中、
− 3mmol/l〜11mmol/l HEPES、好ましくは、3mmol/l〜10mmol/l HEPES、より好ましくは、3.5mmol/l〜4.5mmol/l HEPES、
− 70mmol/l〜100mmol/l NH /NH、好ましくは75mmol/l〜85mmol/l NH /NH
− 0.05mmol/l〜0.5mmol/lキレート剤、好ましくは0.06mmol/l〜0.2mmol/lキレート剤、より好ましくは0.07mmol/l〜0.1mmol/lキレート剤、および/または
− 存在する場合、0.3mmol/l〜0.6mmol/l CO 2-/CO -、好ましくは0.3mmol/l〜0.5mmol/l CO 2-/CO -、より好ましくは0.35mmol/l〜0.45mmol/l CO 2-/CO -
の範囲の最終濃度中で存在する。
特定の態様において、上に定義するような構成要素は、溶解中、3mmol/l〜10mmol/l HEPES、70mmol/l〜100mmol/l NH /NH、0.05mmol/l〜0.5mmol/lキレート剤および0.3mmol/l〜0.6mmol/l CO 2-/CO -の範囲の最終濃度で存在する。
さらに別の特定の態様において、上に定義するような構成要素は、好適に、溶解中、3mmol/l〜10mmol/l HEPES、75mmol/l〜85mmol/l NH /NH、0.06mmol/l〜0.2mmol/lキレート剤および0.3mmol/l〜0.5mmol/l CO 2-/CO -の範囲の最終濃度で存在し、特にここで、キレート剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
さらに別の特定の態様において、そして特に好適に、上に定義するような構成要素は、溶解中、3.5mmol/l〜4.5mmol/l HEPES、75mmol/l〜85mmol/l NH /NH、0.07mmol/l〜0.1mmol/lキレート剤および0.35mmol/l〜0.45mmol/l CO 2-/CO -の範囲の最終濃度で存在し、特にここで、キレート剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
さらにさらなる特定の態様において、試薬のpHは、6.4〜7.7の範囲であり、特定の態様において、好適に、試薬のpHは、6.7〜7.4の範囲であり、さらに別の特定の態様において、そして特に好適に、試薬のpHは、6.8〜7.3の範囲である。化学において、pHは、(溶媒和)水素イオンの活性の測定値である。純水は、25℃で7に非常に近いpHを有する。7未満のpHを有する溶液は酸性と言われ、そして7より大きいpHを持つ溶液は、塩基性またはアルカリである。血液のpHは、通常、わずかに塩基性であり、pH 7.35〜pH 7.45の範囲の値を有する。さらに特定の態様において、赤血球の溶解中、pHは、6.4〜7.7、特に6.7〜7.4、さらに特に6.8〜7.3の範囲に維持され、これは非赤血球細胞の生存度を維持するために好適である。
したがって、上に定義するような構成要素は、溶解中、3mmol/l〜10mmol/l HEPES、70mmol/l〜100mmol/l NH /NH、0.05mmol/l〜0.5mmol/lキレート剤および0.3mmol/l〜0.6mmol/l CO 2-/CO -の範囲の最終濃度で存在し、そして試薬のpHは6.4〜7.7、好ましくは6.7〜7.4、より好ましくは6.8〜7.3の範囲である。
さらにより具体的には、上に定義するような構成要素は、好適に、溶解中、3mmol/l〜10mmol/l HEPES、75mmol/l〜85mmol/l NH /NH、0.06mmol/l〜0.2mmol/lキレート剤および0.3mmol/l〜0.5mmol/l CO 2-/CO -の範囲の最終濃度で存在し、そして試薬のpHは6.4〜7.7、特に6.7〜7.4、より特に6.8〜7.3の範囲であり、特にここで、キレート剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
非常に特定の態様において、そして特に好適に、上に定義するような構成要素は、溶解中、3.5mmol/l〜4.5mmol/l HEPES、75mmol/l〜85mmol/l NH /NH、0.07mmol/l〜0.1mmol/lキレート剤および0.35mmol/l〜0.45mmol/l CO 2-/CO -の範囲の最終濃度で存在し、そして試薬のpHは6.4〜7.7、特に6.7〜7.4、より特に6.8〜7.3の範囲であり、特にここで、キレート剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
さらにさらなる特定の態様において、赤血球を含む試料からの、特に血液試料または血液産物からの、赤血球以外の細胞(非赤血球細胞とも称される)の単離に、試薬を用いる。
血液試料を提供するためには、血液を被験体から採取する必要がある。特に、哺乳動物に関しては、これは、被験体から静脈血を採取することによって、好適に実行可能である。静脈血は、哺乳動物から静脈穿刺によって得られることも可能であり、ここで、通常、血液の少量の試料のみ、例えば3ml〜10mlの試料が、本開示で使用するために適切である。血液は、最も一般的には、前腕前面(肘を曲げた内側)の肘正中皮静脈から得られる。この静脈は、皮膚表面近くにあり、そして大きな神経の供給がない。先進国の大部分の血液収集は、プラスチックハブ、皮下針、および真空チューブからなる、真空チューブ系で行われる。しかし、血液はまた、当業者に知られる任意の他の方法によって得られることも可能である。
血液単離後、例えば抗凝血剤を添加することによって、血液をプロセシングすることも可能である。血液を得て、そして場合によってさらにプロセシングした後、血液を直ちに分析のために使用してもよいし、または当業者に知られるように保存してもよい。本開示における特徴「血液産物」は、血液由来の産物を指し、ここで、血液は血液産物が得られるようにプロセシングされている。例には、添加剤(例えばヘパリン)を含む血液、濃厚赤血球、赤血球濃縮物、血小板濃縮物、顆粒球濃縮物、血液幹細胞調製物等が含まれる。
特定の態様において、血液は以下のように単離される:血液を被験体から採取し、そして血液収集のために意図される容器中に収集する。これらの容器は商業的に入手可能であり、そして本明細書に提示するような方法において使用可能である。通常、これらは、EDTAなどの抗凝血剤を含む。例示的な容器は、ルーチンのEDTA Vacutainerチューブ(BD Biosciences、ドイツ・ハイデルベルグ)である。WBCの細胞膜を安定化させるため、当業者に知られる適切な剤を添加してもよい。さらに、中性条件で安定化するように適応された緩衝剤溶液が存在してもよい。血液試料を穏やかに反転させてもよい。その後、試料を直ちに用いてもよいし、または使用まで保存してもよい。
赤血球を含む細胞混合物のための別の供給源には、生検試料、骨髄、尿、糞便、または「混入物質」として赤血球を含む体液が含まれる。
特定の態様において、赤血球または赤血球を含有する試料は、哺乳動物から、特に哺乳動物家畜動物、例えばネコ、イヌ、ウサギ、またはモルモット、あるいは農場動物、例えばウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタまたはラクダから得られる。非常に特定の態様において、赤血球または赤血球を含有する試料は、ヒトから得られる。
上に詳述するように、赤血球を含む試料からの、赤血球以外の細胞の検出、濃縮または単離において、試薬を用いてもよい。試料は任意の適切な試料であってもよいが、血液試料または血液から得られた試料、例えばプロセシングされた血液試料または血液産物は、特に好適に使用可能な特定の態様である。試薬を用いて、赤血球を含む細胞混合物から赤血球以外の細胞を検出、濃縮または単離することも可能である。赤血球溶解に試薬を用いて、こうして試料中の他の細胞の割合を増加させる。したがって、赤血球以外の細胞は、溶解によって濃縮される。関心対象の細胞の検出、濃縮または単離のさらなる工程を溶解と組み合わせてもよく、これには、遠心分離、例えば分画遠心分離または勾配遠心分離、関心対象の細胞の標識およびそれに続く該細胞の検出または分離、細胞ソーティング、例えばFACSによるものなどが含まれる。関心対象の細胞の検出、濃縮または単離の適切な方法は、当業者に周知である。
明らかに、関心対象の細胞のタイプは、選択する供給源(血液等、上記を参照されたい)、および意図される適用または技術分野に依存する。一般的に、関心対象の細胞は、選択した供給源または試料中に存在する任意の細胞であることも可能である。特定の態様において、赤血球以外の細胞は、白血球、B細胞、T細胞、好酸球、循環内皮細胞、または癌細胞、例えば循環腫瘍細胞、特に循環腫瘍細胞または循環腫瘍微小塞栓であることも可能であり、これらは、診断目的に特に関連する。
本開示は、稀な細胞の検出または単離に特に役立ち、特に集団中、総細胞に対する稀な細胞の比が最大5%、好ましくは最大1%、特に最大0.1%、例えば最大0.01%である。方法はこれらの細胞の割合をかなり増加させ、これによってその検出または単離が容易になるため、稀な細胞で特に有用である。稀な細胞は、特に、患者血液中の、循環腫瘍細胞(CTC)および循環腫瘍微小塞栓(CTM)であることも可能である。この分野の技術的課題は、「稀な」腫瘍細胞(血液1ml中におよそ1000万の白血球および50億の赤血球と混合された僅か数個のCTC)を発見し、そして他の細胞、特に上皮非腫瘍細胞および白血球からこれらを区別可能にすることからなる。しかし、標準的な手段(そしてしたがって第一の診断ツール)によって腫瘍自体が検出可能であるよりずっと前に、これらの細胞は検出可能であり、これは癌性疾患の治療において、明らかに非常に好適である。
明らかに、本開示は、特定の状態、例えば疾患の指標となる細胞の単離または検出に特に関心が持たれる。したがって、検出または単離しようとする細胞は、例えば心臓血管細胞または血管細胞または炎症プロセスによって放出される血管細胞、幹細胞(例えば癌性幹細胞)、微小残存病変の指標となる細胞、癌細胞(例えば白血病細胞)または細菌細胞、例えば感染の指標となるものであることも可能である。この文脈において、方法を、遺伝子型決定、診断、予後、治療の監視等のために用いてもよい。
癌細胞は、特定のマーカーによって特徴付けられる。言及可能である例は:特に、癌遺伝子および腫瘍抑制遺伝子、例えばp53、rasファミリーの遺伝子、erb−B2、c−myc、mdm2、c−fos、DPC4、FAP、nm23、RET、WT1等、LOH、例えばp53に関するもの、DCC、APC、Rb等、そしてまた遺伝性腫瘍におけるBRCA1およびBRCA2、MSH2、MLH1、WT1のマイクロサテライト不安定性等;また腫瘍性RNA、例えばCEA、サイトケラチン、例えばCK20、BCL−2、MUC1、特にその腫瘍特異的スプライス変異体、MAGE3、Muc18、チロシナーゼ、PSA、PSM、BA46、Mage−1等、あるいはそうでなければ形態形成性RNA、例えばマスピン、hCG、GIP、モチリン、hTG、SCCA−1、AR、ER、PR、様々なホルモン等;さらに、特に転移プロファイル、すなわち血管形成、運動性、接着およびマトリックス分解に関与する分子、例えばbFGF、bFGF−R、VEGF、VEGF−R、例えばVEGF−R1またはVEGF−R2、E−カドヘリン、インテグリン、セレクチン、MMP、TIMP、SF、SF−R等の発現、細胞周期プロファイルまたは増殖プロファイル、例えばサイクリン(例えば、サイクリンD、EおよびBの発現比)、Ki67、p120、p21、PCNA等、またはアポトーシスプロファイル、例えばFAS(L+R)、TNF(L+R)、パーフォリン、グランザイムB、BAX、bcl−2、カスパーゼ3等に影響を及ぼすRNAおよびタンパク質である。したがって、他の細胞の濃度を増加させ、そして上記マーカーの検出を可能にするため、赤血球を試料から除去することも可能である。
第二の側面において、本開示は、赤血球を溶解する方法であって
a)赤血球を含む試料を提供し;
b)請求項1〜5のいずれかに定義するような試薬と試料をインキュベーションし、それによって赤血球を溶解し;そして
c)赤血球破片を除去してもよい
工程を含む、前記方法を提供する。
本開示の第二の側面で使用する用語に関しては、本開示の第二の側面にもまた適用可能である、本開示の第一の側面で用いられる用語、実施例および特定の態様を参照されたい。
本明細書に提示するような方法の第一の工程として、赤血球を含む試料を提供する。適切な試料に関する詳細を上に提供する。試料は容器中に含有されてもよく、ここで容器はチューブ、例えば遠心管またはスピンチューブ、シリンジ、カートリッジ、チャンバー、マルチウェルプレート、または試験管、あるいはその組み合わせである。赤血球の溶解あるいは他の細胞の検出または単離を補助するため、試料を前処理してもよい。試料のサイズ/体積は変化させることが可能であり、そして実行しようとする方法に従属して選択することが可能である。例えば、赤血球以外の細胞の単離に該方法を用いる場合、試料サイズは、これらの細胞の頻度に依存するであろう。
第二の工程において、上に定義するような試薬と試料をインキュベーションして、それによって赤血球を溶解する。このため、試料を試薬に添加してもよいし、または試薬を試料に添加してもよい。接触の結果が水溶液である。接触は、赤血球の溶解を可能にするために適切な時間、および適切な条件下である。
適切な条件には、存在し、そして必要とされる範囲で、例えば、赤血球以外の細胞の死、あるいは関心対象のタンパク質の変性を回避するための適切な温度および溶液が含まれる。適切な条件は、方法の特定の設計および選択する試料に依存するであろうし、そして当業者は、これらを、一般的な知識に基づいて選択可能であろう。インキュベーション工程は、約5秒から数時間、好ましくは約5分から約30時間で変化しうる。しかし、インキュベーション時間は、方法設計、溶液体積、濃度等に依存するであろう。通常、方法は周囲温度で行われるであろうが、これらは、ある範囲の温度、例えば20℃〜40℃、または22℃〜37℃で実行可能である。接触中、試薬および試料の混合物を攪拌するか、ボルテックス処理するか、または振盪してもよいし、あるいは放置してもよい。
第三のそして場合による工程として、赤血球破片を取り除く、すなわち残り、例えば関心対象の細胞から分離することも可能である。典型的には、細胞破片は、破片および残りの異なる物理的特性に関与する技術、例えば沈降時間およびサイズによって除去される。典型的な方法には、遠心分離および濾過が含まれる。赤血球破片を除去するための方法が当該技術分野に周知である。
本明細書に提示するような特定の態様において、第二および/または第三の工程を反復してもよい。したがって、方法は、1またはそれより多い(例えば2または3の)溶解工程(すなわち工程b))および/または1またはそれより多い(例えば2または3の)洗浄工程(すなわち工程c))を含むことも可能である。非常に特定の態様において、方法は2回の工程b)および1、2または3回の工程c)を含む。
さらに別の特定の態様において、試料は、血液試料または赤血球および他の細胞、特に白血球および/または循環腫瘍細胞を含む試料である(上記の詳細もまた参照されたい)。
さらに別の特定の態様において、本明細書に提示するような方法は、
d)上に記載するように、赤血球を含む試料から、特に血液試料から、赤血球以外の細胞を検出するかまたは単離する
工程をさらに含む。
検出または単離に関するさらなる詳細に関しては、上記を参照されたい。
好ましくは、赤血球以外の細胞は、白血球または循環腫瘍細胞、特に循環腫瘍細胞である(上記の詳細もまた参照されたい)。
好ましくは、工程b)のインキュベーションは、最大30分間、好ましくは最大20分間、より好ましくは最大10分間、特に室温である。
第三の側面において、本開示は
− 本明細書に開示するような使用および方法の文脈において上に定義するような赤血球溶解のための試薬;および
− 赤血球破片を除去するための試薬;および
− 本明細書に開示するような任意の方法を実行するためのあってもよい使用説明書
を含む、赤血球を含む試料から白血球を単離するためのキットに関する。
本開示の第三の側面で使用する用語に関しては、本開示の第三の側面にもまた適用可能である、本開示の第一および第二の側面で用いられる用語、実施例および特定の態様を参照されたい。
特定の態様において、赤血球破片を除去するための試薬は、特に0.1mmol/l〜0.5mmol/lの範囲、好ましくは0.2mmol/l〜0.4mmol/lの範囲、より好ましくは0.25〜0.35mmolの範囲のキレート剤を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)であり、そして/または特に、キレート剤がEDTAである。
PBSは、生物学、生化学および医学分野で一般的に用いられる緩衝溶液である。PBSは、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、そしていくつかの配合物においては、塩化カリウムおよびリン酸カリウムを含む、水ベースの塩溶液である。緩衝剤のリン酸基は、一定のpHを維持するのを補助する。溶液の浸透圧およびイオン濃度は、通常、ヒトの体のものと一致する(等張性)。EDTAを含むPBSもまた、付着し、そして凝集した細胞を遊離させるために用いられる。二価金属、例えば亜鉛を添加して、沈降を補助してもよい。PBSの多くの異なる調製物がある。いくつかの配合物は、カリウムを含有せず、一方、他のものはカルシウムまたはマグネシウムを含有する。一般的に、PBSは、以下の構成要素(mmol/l)を含む:NaCl(137)、KCl(2.7)、NaHPO(10)、KHPO(2.0)。pHは通常、約7.4である。細胞と共に用いる場合、溶液をアリコットに懸濁し、そしてオートクレーブ(20分、121℃、液体サイクル)によって滅菌することも可能である。滅菌は、用途に応じて、必要でない可能性もある。PBSは室温で保存可能である。しかし、濃縮ストック溶液は、冷却した際に沈殿する可能性もあり、そして使用前に、沈殿物が完全に溶解するまで、室温に維持しなければならない。本開示の文脈において、PBSは、例えば、(mmol/lで)NaCl(138)、KCl(2.7)、NaHPO(8)、KHPO(1.5)を含み、そして7.0〜7.6、好ましくは7.2〜7.4のpHを有する。
開示は、本明細書記載の特定の方法論、プロトコル、および試薬には限定されず、それはこれらが変化しうるためである。さらに、本明細書で用いる用語は、特定の態様のみを記載する目的のためではなく、そして本開示の範囲を限定することは意図されない。本明細書において、そして付随する請求項において、単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈が明らかに別に示さない限り、複数の対象物が含まれる。同様に、単語「含む」、「含有する」および「包含する」は、排他的と言うよりも包含的に解釈されるものとする。
別に定義しない限り、すべての技術的および科学的用語、ならびに本明細書で用いる任意の頭字語は、開示の分野の一般的な当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと類似のまたは同等の任意の方法および材料は、本明細書に提示するような実施において使用可能であるが、特定の方法および材料を本明細書に記載する。
本開示は、以下の実施例によってさらに例示されるが、実施例は、単に例示の目的のために含まれ、そして別に特に示さない限り、開示の範囲を限定することを意図しないことが理解されるであろう。
他の細胞を維持しながらの赤血球溶解において、様々な試薬(溶解緩衝液と称される)を試験するため、以下のプロトコルを用いた:
別に示さない限り、全血の1部分を、溶解緩衝液の部分(以下に定義する通り)と混合し、室温で10分間インキュベーションし、そして300xgで15分間遠心分離する。上清を廃棄し、そして細胞ペレットを4部分の溶解緩衝液に再懸濁し、そして300xgで15分間遠心分離する。上清を廃棄し、そして細胞ペレットを、0.3mM EDTAを含有するPBS 4部分に再懸濁し、そして300xgで15分間遠心分離する。上清を廃棄し、そして細胞ペレットを、0.3mM EDTAを含有するPBSの別個の量に再懸濁する。
実施例1:慣用的製品を用いた赤血球溶解
最初の試験において、上記プロトコルにしたがって、慣用的製品の適切さを試験した。以下の慣用的製品を用いた。EasySep(登録商標)赤血球溶解緩衝液(StemCell Technologies、カタログ番号20110)、HetaSep(登録商標)(StemCell Technologies、カタログ番号07806)、Stromatolyser NR溶解(Sysmex、カタログ番号SNR−200、SNR−210A)。
結果を以下の表1に示す:
表1:白血球(WBC)の回収率に対する赤血球溶解のための慣用的製品の影響
Figure 0006272476
上記結果は、慣用的製品では、赤血球溶解中に、高い割合の白血球(WBC)、すなわち最大50%を超える白血球が失われることを示す。
実施例2:NHClを含まない試薬中での赤血球溶解
第二の試験において、上記プロトコルにしたがって、NHClを含まない試薬の適切さを試験した。結果を以下の表2に示す:
表2:白血球(WBC)の回収に対するNHClを含まない試薬の影響
Figure 0006272476
上記結果は、赤血球溶解中に白血球(WBC)のかなりの部分が失われたため、NHClを含まない緩衝液が、意図される使用に適していないことを示す。
実施例3:NHClを含む、異なる試薬中での赤血球溶解
第三の試験において、上記プロトコルにしたがって、NHClを含む、異なる試薬の適切さを試験した。結果を以下の表3に示す:
表3:白血球(WBC)の回収に対する、NHClを含む異なる試薬の影響
Figure 0006272476
上記結果は、赤血球溶解中に少数の白血球(WBC)しか失われなかったため、NHClおよびHEPESを含む緩衝液が、意図される使用に適していることを示す。さらに、EDTAはWBC回収を増加させるようである。
実施例4:NHClおよびHEPESを含む、異なる試薬中での赤血球溶解
第四の試験において、上記プロトコルにしたがって、NHClおよびHEPESを含む、異なる試薬の適切さを試験した。結果を以下の表4に示す:
表4:白血球(WBC)の回収に対する、NHClおよびHEPESを含む、異なる試薬の影響
Figure 0006272476
Figure 0006272476
Figure 0006272476
Figure 0006272476
Figure 0006272476
Figure 0006272476
Figure 0006272476
Figure 0006272476
Figure 0006272476
RBCL緩衝液−赤血球溶解緩衝液(Roche Applied Science、カタログ番号11814389001): 150mM NHCl、1mM KHCO、0.1 mM
再び、上記結果は、赤血球溶解中に少数の白血球(WBC)しか失われなかったため、NHClおよびHEPESを含む緩衝液が、意図される使用に適していることを示す。さらに、EDTAおよびKHCOはWBC回収を増加させる。これらの非存在下で、10mM HEPESは5mM HEPESより優れている。
80mM NHCl+5mM HEPES+0.5mM KHCO+0.1mM EDTAからなる溶解緩衝液(1部分の血液+5部分の溶解緩衝液で用いる、2x溶解(10分))に関して、122試料を試験した。溶解前に存在したWBC(100.00±3.38%)の90.77±3.37%が、溶解後に回収された。
実施例5:NHClおよびHEPESを含む、異なる試薬中での赤血球溶解
第五の試験において、上記プロトコルにしたがって、80mM NHCl+10mM Hepes+0.1mM EDTAを含む試薬の適切さを試験した。WBCおよびRBCの回収に加えて、回収されたWBCの生存性をトリパンブルー排除試験によって測定した。したがって、WBCを、トリパンブルー(Sigma、カタログ番号T8154−20ML)(希釈WBC懸濁物:トリパンブルー=1:2)で染色し、そしてC−Chip計数チャンバー(Biochrom、カタログ番号P DHC−N01)を用いて、染色された細胞(死んだ細胞)を計数した。結果を以下の表5に示す:
表5:白血球(WBC)および赤血球(RBC)の回収および生存度に対する試薬の影響
Figure 0006272476
上記結果は、RBCの数が劇的に減少する一方、WBCの数および生存度が非常に高いレベルで維持されることを示し、赤血球の特異的溶解に関する試薬の適切さを立証する。
実施例6:NHClおよびHEPESを含む、異なる試薬中での赤血球溶解
第六の試験において、上記プロトコルにしたがって、NHClおよびHEPESを含む、異なる試薬の適切さを試験した。結果を以下の表6に示す:
表6:白血球(WBC)の回収および溶解後のpH値に対する試薬組成の影響
Figure 0006272476
80〜120mmol NHCl+5mM〜10mmol/l HEPES+0.1mM EDTA+0〜0.5mM KHCOを含む様々な緩衝液を、その有効性に関して試験した。上記結果は、試験した緩衝液のいずれも、非常に高レベルでのWBCの数の維持に適していたことを示し、赤血球の特異的溶解に関する試薬の適切さを立証する。さらに、第一および第二の溶解後の上清中のpH値は、6.7〜7.7の範囲、特に6.9〜7.3の範囲であった。
実施例7:異なる溶解構成要素を含む異なる試薬中の赤血球溶解
第七の試験において、現存する赤血球溶解プロトコルの有効性を、示すように試験した。結果を以下の表7に示す:
表7:白血球の回収に対する、慣用的赤血球溶解プロトコルの影響
Figure 0006272476
Figure 0006272476
上記結果は、試験した緩衝液のいずれも、高レベルでのWBC数の維持に適していなかったことを示し、本明細書に提示するような試薬に関連する好適な影響が立証される。

Claims (15)

  1. 赤血球溶解のための試薬の使用であって、試薬がHEPES4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)、NH /NH、キレート剤およびあってもよいCO 2−/CO を含むか、またはこれらからなり、赤血球溶解中の最終濃度が
    − 2.5mmol/l〜12mmol/l HEPES、
    − 60mmol/l〜120mmol/l NH /NH
    − 0.04mmol/l〜0.8mmol/l キレート剤、および
    − 存在する場合、0.15mmol/l〜0.8mmol/l CO 2−/CO
    の範囲であって、
    当該試薬はサポニンを含まない、前記試薬の使用。
  2. 溶解中の最終濃度が
    − 3mmol/l〜11mmol/l HEPES、
    − 70mmol/l〜100mmol/l NH /NH
    − 0.05mmol/l〜0.5mmol/l キレート剤、および/または
    − 存在する場合、0.3mmol/l〜0.6mmol/l CO 2−/CO
    の範囲である、請求項1の使用。
  3. キレート剤がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である、請求項1または2の使用。
  4. 試薬のpHが、6.4〜7.7の範囲である、請求項1〜3のいずれか一項の使用。
  5. 赤血球溶解中、pHが、6.4〜7.7の範囲に維持される、請求項4の使用。
  6. 赤血球を含む試料から、赤血球以外の細胞の検出、濃縮、または単離において前記試薬を用いる、請求項1〜5のいずれか一項の使用。
  7. 赤血球以外の細胞が、白血球、循環内皮細胞、または循環腫瘍細胞である、請求項6の使用。
  8. 赤血球を溶解する方法であって
    a)赤血球を含む試料を提供し;
    b)請求項1〜5のいずれか一項に定義される試薬と該試料をインキュベーションし、それによって赤血球を溶解し;そして
    c)赤血球破片を除去してもよい
    工程を含む、前記方法。
  9. 前記試料が、血液試料または赤血球および他の細胞を含む試料である、請求項8の方法。
  10. d)赤血球を含む試料から、赤血球以外の細胞を検出するかまたは単離する
    工程をさらに含む、請求項8または9の方法。
  11. 赤血球以外の細胞が、白血球または循環腫瘍細胞である、請求項10の方法。
  12. 工程b)のインキュベーションが、最大30分間である、請求項8〜11のいずれか一項の方法。
  13. − 請求項1〜5のいずれか一項に定義される赤血球溶解のための試薬;および
    − 赤血球破片を除去するための試薬
    を含む、赤血球を含む試料から白血球を単離するためのキット。
  14. − 請求項8〜12のいずれか一項の方法を実行するための使用説明書
    をさらに含む、請求項13のキット。
  15. 赤血球破片を除去するための試薬が、キレート剤を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、請求項13または14のキット。
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