JP6270514B2 - ボンド磁石用バインダー、ボンド磁石用組成物、ボンド磁石及びその製造方法 - Google Patents

ボンド磁石用バインダー、ボンド磁石用組成物、ボンド磁石及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ボンド磁石用バインダー、ボンド磁石用組成物、ボンド磁石及びその製造方法に関する。
ボンド磁石は、磁石粉を樹脂バインダーと混合して成形した磁石である。ボンド磁石は、焼結磁石に比べて寸法精度が高い、形状の自由度が高い、プレス成形や射出成形で作製できるため大量生産が容易といった特長がある。
特許文献1には、希土類−鉄―窒素系磁石粉体70〜99.5重量%と、熱硬化性フッ素樹脂0.5〜30重量%からなる圧縮成型用磁性材樹脂複合材料が開示されている。また、特許文献2には、エポキシ樹脂を樹脂バインダーとして用いたボンド磁石が開示されている。
特許第3145473号公報 特開2004−193207号公報
エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂は、完全に硬化した場合に期待されるガラス転移温度以上に加熱することで、理想的な硬化物を得ることができる。そのため、耐熱性の高い熱硬化性樹脂の硬化物を得るためには、より高い硬化温度を必要とする。そこで、ボンド磁石を成形する際には、樹脂バインダーが硬化する温度まで加熱する必要がある。しかしながら、ボンド磁石は、酸化され易い磁石粉を含有するため、成形時に樹脂バインダーの硬化温度まで加熱してしまうと、磁石粉の酸化により磁石の磁気特性が低下する。一方、硬化温度の低い樹脂バインダーの場合、磁石の使用温度での耐熱性が十分ではないため、硬化した樹脂の弾性率の変化、分解等により、磁石が劣化してしまう。
本発明は、磁石粉が酸化されない温度で硬化が可能であるにもかかわらず、硬化温度よりも高い磁石の使用温度で耐熱性を有するボンド磁石用バインダー及びボンド磁石用組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、耐熱性が高く、優れた磁気特性を有するボンド磁石及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記式(1)で表されるシルセスキオキサンを含むボンド磁石用バインダーに関する。
[HSiO3/2][RSiO3/2][RSiO3/2][R SiO1/2] (1)
[式中、Rは炭素数2〜20のアルケニル基又はスチリル基を示し、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又はスチリル基を示し、lは0.1以上1未満の数であり、mは0より大きく0.9以下の数であり、nは0以上0.9未満の数であり、かつ、l+m+n=1であり、qは0.2以上1.5未満の数である。]
上記シルセスキオキサンの粘度は、25℃で5Pa・s以下であることが好ましい。また、上記式(1)中、Rは、炭素数2〜20のアルケニル基であることが好ましい。
本発明はまた、上記ボンド磁石用バインダーと磁石粉とを含有するボンド磁石用組成物、及び、該ボンド磁石用組成物を成形してなるボンド磁石に関する。
本発明はさらに、上記ボンド磁石用バインダーと、磁石粉とを混合してボンド磁石用組成物を調製する工程と、該ボンド磁石用組成物を成形する工程とを備えるボンド磁石の製造方法に関する。
本発明によれば、磁石が酸化されない温度で硬化が可能であるにもかかわらず、硬化温度よりも高い磁石の使用温度で耐熱性を有するボンド磁石用バインダー及びボンド磁石用バインダーを含有するボンド磁石用組成物を提供することができる。また、本発明によれば、耐熱性が高く、優れた磁気特性を有するボンド磁石及びその製造方法を提供することができる。
実施例1のシルセスキオキサン硬化物の粘弾性測定結果を示すグラフである。 実施例1のシルセスキオキサン硬化物の熱重量分析結果を示すグラフである。 比較例1のエポキシ樹脂硬化物の粘弾性測定結果を示すグラフである。 比較例1のエポキシ樹脂硬化物の熱重量分析結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
[ボンド磁石用バインダー]
本実施形態のボンド磁石用バインダーは、下記式(1)で表されるシルセスキオキサンを含む。
[HSiO3/2][RSiO3/2][RSiO3/2][R SiO1/2] (1)
式中、Rは炭素数2〜20のアルケニル基又はスチリル基を示し、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又はスチリル基を示す。lは0.1以上1未満の数であり、mは0より大きく0.9以下の数であり、nは0以上0.9未満の数であり、かつ、l+m+n=1であり、qは0.2以上1.5未満の数である。
式(1)中、[HSiO3/2]で表される単位は、下記式(2)で表されるトリアルコキシシランに基づく構造単位である。
HSi(OX (2)
式(2)中、Xとしては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。式(2)で表されるトリアルコキシシランは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
式(1)中、[RSiO3/2]で表される単位は、下記式(3)で表されるシラン化合物に基づく構造単位である。[RSiO3/2]で表される単位を有することで、[HSiO3/2]で表される単位とのヒドロキシル反応が進行し、シルセスキオキサンの硬化物が得られる。
Si(OX (3)
式(3)中、Xとしては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。Rは炭素数2〜20のアルケニル基又はスチリル基を示すが、炭素数2〜10のアルケニル基又はスチリル基であることが好ましく、ビニル基又はスチリル基であることがより好ましい。式(3)で表されるトリアルコキシシランは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
式(1)中、[RSiO3/2]で表される単位は、下記式(4)で表されるトリアルコキシシランに基づく構造単位である。
Si(OX (4)
式(3)中、Xとしては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を示すが、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、フェニル基又はベンジル基であることがより好ましい。式(4)で表されるトリアルコキシシランは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
式(1)中、[R SiO1/2]で表される単位は、下記式(5)で表されるモノアルコキシシランに基づく構造単位である。シルセスキオキサンを合成する際、上記モノアルコキシシランを添加することで、生成したシルセスキオキサンに残存するシラノール基の量を減らすことができ、シラノール基同士の反応によるゲル化を抑制することができる。すなわち、[R SiO1/2]で表される単位を有することで、シルセスキオキサンの保存安定性が向上する。
SiOX (5)
式(5)中、Xとしては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又はスチリル基を示すが、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基又はスチリル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、ビニル基又はスチリル基であることがより好ましい。式(5)で表されるトリアルコキシシランは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述したアリール基及びアラルキル基中の芳香環の水素原子は、アルキル基、水酸基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
式(1)で表されるシルセスキオキサンは、式(2)及び式(3)で表されるトリアルコキシシランと、式(5)で表されるモノアルコキシシランとを必須成分とするシラン化合物の加水分解縮合により合成することができる。式(1)で表されるシルセスキオキサンの合成方法としては、特に限定されないが、例えば、式(2)及び式(3)で表されるトリアルコキシシランの加水分解縮合を開始した後に、式(5)で表されるモノアルコキシシランを加えて、更に加水分解縮合を行ってもよい。また。式(2)及び式(3)で表されるトリアルコキシシランと、式(5)で表されるモノアルコキシシランとを同時に混合して加水分解縮合を行ってもよい。なお、式(4)で表されるトリアルコキシシランを加える場合は、式(2)及び式(3)で表されるトリアルコキシシランと一緒に用いることが好ましい。
シラン化合物の加水分解縮合の際には、触媒を使用してもよい。触媒はそのまま使用してもよいが、通常、水溶液で使用される。触媒としては、例えば、酸触媒、アルカリ触媒、金属キレート化合物等が挙げられる。
酸触媒としては、例えば、有機酸及び無機酸が挙げられる。有機酸としては、例えば、蟻酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、2−エチルヘキサン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、燐酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、フッ酸等が挙げられる。酸触媒は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ触媒としては、例えば、無機塩基及び有機塩基が挙げられる。無機塩基としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられる。アルカリ触媒は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属キレート化合物としては、例えば、チタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物等が挙げられる。金属キレート化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シラン化合物の加水分解縮合は、溶媒中で行ってもよい。溶媒として、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル等のエーテル系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等のエステル系溶媒が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
式(1)で表されるシルセスキオキサンは、例えば、シラン化合物を溶媒に溶解させた溶液に、触媒を含有する水を添加して加水分解し共縮合することで合成される。シラン化合物の種類により、加水分解速度に差がある場合、加水分解速度が遅いシラン化合物を先に加水分解させた後に、加水分解速度が速いシラン化合物を添加して共縮合反応を行ってもよい。
加水分解共縮合の反応温度は、室温〜80℃であり、反応時間は、反応温度等の条件により異なるが、通常、4〜24時間である。なお、シラン化合物の加水分解縮合の際には、アルコールが副生する。このアルコールは、反応終了後に、エバポレータ等の減圧濃縮装置を用い、溶媒と共に除去することができる。
式(1)で表されるシルセスキオキサンの粘度は特に限定されないが、25℃で5Pa・s以下であることが好ましく、3Pa・s以下であることがより好ましく、1Pa・s以下であることが更に好ましい。シルセスキオキサンの粘度の下限値は、取り扱い性の観点から、0.01Pa・s以上であるとよい。シルセスキオキサンの粘度は、JIS K7117−1(1999年度版)に準じ、B型粘度計を用いて測定することができる。
式(1)で表されるシルセスキオキサンの重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、10000以下であることが好ましく、500〜10000であることがより好ましく、1000〜8000であることが更に好ましい。シルセスキオキサンのMwは、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定され、標準ポリスチレン換算した値である。
式(1)で表されるシルセスキオキサンは液状であり、磁石粉との混合が容易であるため、溶媒等を除去した後に、式(1)で表されるシルセスキオキサンをボンド磁石用バインダーとして用いることができる。なお、式(1)で表されるシルセスキオキサンは、溶媒を含む状態でボンド磁石用バインダーとして用いてもよい。
[ボンド磁石用組成物]
本実施形態のボンド磁石用組成物は、上記ボンド磁石用バインダーと、磁石粉とを含有することができる。
組成物中のボンド磁石用バインダーの含有量は、ボンド磁石用バインダー及び磁石粉の総量を基準として、0.5〜30質量%であることが好ましく、1.0〜25質量%であることがより好ましく、1.5〜20質量%であることが更に好ましい。
ボンド磁石用バインダーに含まれる式(1)で表されるシルセスキオキサンは、[HSiO3/2]で表される単位と、炭素数2〜20のアルケニル基又はスチリル基を有する単位とがヒドロシリル化反応することで硬化する。ヒドロシリル化反応は、無触媒でも進行するが、150℃を超える温度で反応を行う必要がある。そこで、ヒドロシリル化反応を促進するために、ボンド磁石用組成物に触媒を添加してもよい。
ヒドロシリル化反応の触媒としては、例えば、白金ジビニルテトラメチルシロキサン錯体、白金シクロペンタジエニル錯体、塩化白金等の白金系触媒、塩化トリス(ジブチルスルフィド)ロジウム等のロジウム系触媒を用いることができる。触媒の添加量は、式(1)で表されるシルセスキオキサン100質量部に対して、0.05〜0.5質量部程度が好ましい。
触媒を添加した場合、ヒドロシリル化反応は、室温〜150℃の温度で数分〜60分程度の条件で行うことができる。
ボンド磁石用組成物が触媒を含有する場合、硬化時間を調整するために硬化遅延剤又は禁止剤を更に含有することができる。硬化遅延剤として、例えば、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンが挙げられる。禁止剤としては、例えば、アセチレンアルコールが挙げられる。
式(1)で表されるシルセスキオキサンは、磁石粉の酸化が起こらない温度(例えば、150℃以下)で硬化することができる。その硬化物の弾性率は、硬化温度よりも高い温度(例えば、200℃)でも変化が少なく、熱分解も生じず、非常に熱的に安定である。そのため、本実施形態のボンド磁石用組成物から作製されるボンド磁石は、優れた磁気特性を有し、かつ、耐熱性にも優れたものとなる。
磁石粉としては、一般的にボンド磁石に用いられる磁石粉を用いることができ、例えば、フェライト磁石粉、鉄−窒素磁石粉、サマリウム−コバルト磁石粉、ネオジウム−鉄−ボロン磁石粉、サマリウム−鉄−窒素磁石粉等が挙げられる。中でも、希土類元素を含む磁石粉が好ましく、サマリウム(Sm)又はネオジウム(Nd)を含む磁石粉がより好ましい。
ボンド磁石用組成物は、ボンド磁石用バインダー及び磁石粉の総量を基準として、磁石粉を70〜99.5質量%含有することが好ましく、75〜99質量%含有することがより好ましく、80〜98.5質量%含有することが更に好ましい。
[ボンド磁石]
本実施形態のボンド磁石は、上述のボンド磁石用バインダーと、磁石粉とを混合してボンド磁石用組成物を調製する工程と、該ボンド磁石用組成物を成形する工程とを備える方法により作製することができる。すなわち、本実施形態のボンド磁石は、上述のボンド磁石用組成物を成形してなるものである。ボンド磁石は、磁石粉がボンド磁石用バインダーによって結合された状態となっている。
式(1)で表されるシルセスキオキサンは液状であることから、ボンド磁石用バインダーとして用いた場合に、磁石粉との混合が比較的容易である。また、本実施形態のボンド磁石用組成物は、150℃以下での硬化が可能なため、磁石粉を酸化させずにボンド磁石の作製が可能となる。
特に、サマリウム−鉄−窒素ボンド磁石(以下、「SmFeN磁石」と略す。)は加熱により酸化され易いため、ボンド磁石の作製工程は酸化が始まる温度である180℃以下で行うことが望まれている。本実施形態のボンド磁石用組成物は、比較的低温で硬化することができるため、SmFeN磁石の作製に有用である。
以下、本発明に係る具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(1)ボンド磁石用バインダー
トリエトキシシラン(東京化成工業株式会社製)2.87g(17.5mmol)及びビニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名「LS−815」)2.59g(17.5mmol)を2−プロパノール7.5g及びトルエン30gに加え、40℃で混合した溶液に、1.2質量%の塩酸水溶液2.4gと2−プロパノール7.6gの混合溶液を1時間かけて滴化して加水分解縮合反応を開始した。次いで、メトキシトリメチルシラン(信越化学工業株式会社製、商品名「LS−510」)1.04g(10mmol)を2−プロパノール9.0gに溶解した液を1時間かけて滴化しながら加え、40℃で加水分解縮合反応を塩酸水溶液の滴化開始から24時間行った。反応後、2−プロパノール、トルエン及び副生成物を減圧除去することで、液状のシルセスキオキサンを得た。得られたシルセスキオキサンをボンド磁石用バインダーとして用いた。
シルセスキオキサンの分子量を下記条件で測定したところ、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は5400であり、多分散度は2.4であった。
(条件)
試料:0.1質量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液
装置:Agilent Technologies社製1200シリーズ
検出器:RI
カラム:Polymer Laboratories社製 PLgel 10μm MIXED−D
溶離液:THF
測定温度:40℃
流速:1.0mL/分
シルセスキオキサンの粘度をB型粘度計用いて測定したところ、25℃で0.8Pa・sであった。
(2)粘弾性測定
上記シルセスキオキサン100質量部に、白金触媒である白金カルボニル・シクロビニルシロキサン錯体(Gelest社製、商品名「SIP6829.2」)0.5質量部を添加した後、120℃で1時間加熱して、シルセスキオキサン硬化物を得た。硬化物を、厚み0.05cmで0.5×4cmの短冊状に成形した試験片について、ティー・エイ・インスツルメント社製の粘弾性測定装置「RSA III」を用い、昇温速度5℃/分、周波数1Hz条件で粘弾性を測定した。シルセスキオキサン硬化物の粘弾性測定結果を図1に示す。
(3)熱重量分析
上記硬化物について、ティー・エイ・インスツルメント社製のQ600型熱重量測定装置を用い、窒素気流下、昇温度速度20℃/分で室温から1000℃まで加熱した際の重量減少を観測した。図2は、シルセスキオキサン硬化物の熱重量減少曲線を示すグラフである。
(4)ボンド磁石の作製
上記シルセスキオキサン100質量部に、白金触媒である白金カルボニル・シクロビニルシロキサン錯体(Gelest社製、商品名「SIP6829.2」)0.5質量部を添加した後、サマリウム−鉄−窒素磁石粉(SmFe17、粒径3μm、住友金属鉱山株式会社製、商品名「Powder C」)と混合し、ボンド磁石用組成物を調製した。ボンド磁石用組成物中のシルセスキオキサンとサマリウム−鉄−窒素磁石粉との混合割合は、質量比で6.2:93.8、体積比で3:7であった。次いで、ボンド磁石用組成物を100℃、0.6GPaで、10分間圧縮成形することで、ボンド磁石を作製した。
[比較例1]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:184〜194、東都化成株式会社製、商品名「YD128」)に、硬化剤としてビスクロロアミノフェニルフルオレン(3M社製、アミン当量:104)を等量で配合した混合物を、硬化条件を変更して硬化させてエポキシ樹脂硬化物を得た。エポキシ樹脂硬化物について、実施例1のシルセスキオキサン硬化物と同じように粘弾性及び熱重量分析を行った。なお、120℃4時間の硬化条件では、エポキシ樹脂の硬化が不十分であった。
150℃4時間の熱処理で得られたエポキシ樹脂硬化物について、粘弾性測定結果を図3に、熱重量減少曲線を図4に示す。
実施例1のシルセスキオキサン硬化物及び比較例1のエポキシ樹脂硬化物について、Tg、2%重量減少温度、5%重量減少温度及び400℃での重量減少率を表1に示す。
Figure 0006270514
実施例1のシルセスキオキサン硬化物は、120℃で熱硬化させたにもかかわらず、室温から200℃付近まで弾性率(E’)の変化はほとんどなく、ガラス転移温度(Tg)を示すtanδのピークは観察されなかった。また、シルセスキオキサン硬化物の400℃での重量減少率は、0.3%であり、非常に耐熱性が高いことが確認された。よって、上記シルセスキオキサンをバインダーとして用いて作製されるボンド磁石は200℃程度の高温でも耐熱性を有するといえる。
一方、比較例1のエポキシ樹脂硬化物は、硬化温度にTgが依存しており、380℃付近から熱分解が始まっており、シルセスキオキサン硬化物の耐熱性には及ばないことが確認された。
本発明のボンド磁石用バインダーは、耐熱性が高く、150℃以下での硬化が可能なため、磁石粉を酸化させることなくボンド磁石の作製が可能である。

Claims (6)

  1. 下記式(1)で表されるシルセスキオキサンを含む、ボンド磁石用バインダー。
    [HSiO3/2][RSiO3/2][RSiO3/2][R SiO1/2] (1)
    [式中、Rは炭素数2〜20のアルケニル基又はスチリル基を示し、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又はスチリル基を示し、lは0.1以上1未満の数であり、mは0より大きく0.9以下の数であり、nは0以上0.9未満の数であり、かつ、l+m+n=1であり、qは0.2以上1.5未満の数である。]
  2. 前記シルセスキオキサンの粘度は、25℃で5Pa・s以下である、請求項1に記載のボンド磁石用バインダー。
  3. 前記Rが、炭素数2〜20のアルケニル基である、請求項1又は2に記載のボンド磁石用バインダー。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のボンド磁石用バインダーと、磁石粉と、を含有するボンド磁石用組成物。
  5. 請求項4に記載のボンド磁石用組成物を成形してなる、ボンド磁石。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のボンド磁石用バインダーと、磁石粉とを混合してボンド磁石用組成物を調製する工程と、
    前記ボンド磁石用組成物を成形する工程と、
    を備える、ボンド磁石の製造方法。
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