JP4580481B2 - 球状粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は球状合成樹脂粉末をポリオルガノシルセスキオキサンを主体とするオルガノシロキサン樹脂で被覆してなる球状粉末、その製造方法及びその球状粉末を配合してなる化粧料に関するものである。球状粉末は塗料、合成樹脂、合成ゴム、天然ゴム、艶出し剤、離型剤などへの添加剤として凝集が少なく、分散性に優れ、かつ耐油性に優れるという特性を有し、さらにこの球状粉末を配合してなる化粧料は、粉体の沈降がなく、色ムラがなく仕上がりが美しいという優れた特徴を有する。
【0002】
【従来の技術】
従来から各種球状合成樹脂粉末が提案されている。ポリエチレン、ポリスチレン、メチルメタクリレート樹脂、ウレタン樹脂、6,6−ナイロンなどの各種球状の合成樹脂粉末が提案されている。これらの球状合成樹脂粉末の用途は、合成樹脂、インキ、塗料、化粧料、トナー、顔料、コーティング剤等の添加剤や、液晶スペーサーとして広く使用されている。
しかし、これら球状合成樹脂粉末の多くは流動性の乏しいため取り扱いにくく、また、凝集性が強いため各種基材へ均一に分散させることが困難であるという欠点を有していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
粉体の凝集性を低減する方法としては、例えば、ハイドロジェンポリシロキサンによる処理や、オルガノシラザン化合物による処理が知られている。しかし、ハイドロジェンポリシロキサンによる処理は300 ℃以上の高温を必要とするため、耐熱性の不十分な球状合成樹脂粉末には適しておらず、さらに凝集物が生成するといった問題点があった。
オルガノシラザン化合物による処理は処理される粉末の表面に水酸基等の反応基があることが必要で、無機シリカには適用可能であるが、反応基がないか、もしくは少ない球状合成樹脂粉末では十分な効果は得られなかった。さらに、これらの球状合成樹脂粉末を化粧料に配合した場合、凝集性が強いために、化粧料へ均一に分散させることが困難であるといった問題があり、そのため、粉体の凝集物が残存する問題や、この化粧料を使用したとき、化粧の色ムラが生じるという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、このような問題点を解決するために種々検討し、その結果、平均粒径 0.1〜 100μmの球状合成樹脂粉末にポリオルガノシルセスキオキサンを主体とするオルガノシロキサン樹脂を被覆した球状粉末が流動性、分散性に優れ且つ粉末と基材との相溶性を向上させることを確認して本発明を完成させた。さらに、この球状粉末を化粧料に配合すると、その媒体への分散が容易で、得られた化粧料は粉体の凝集や沈殿が起こらず、さらにこの化粧料を使用したとき、化粧の色ムラがない美しい仕上がりとなるという効果があることを見出し本発明を完成した。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明における球状合成樹脂粉末は炭素、酸素、及び窒素原子を主骨格とする樹脂であり、具体的には、ポリエチレン、ポリスチレン、メチルアクリレート樹脂、メチルメタクリレート樹脂、エチルアクリレート樹脂、エチルメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロンなどが挙げられる。
本発明における球状合成樹脂粉末の平均粒径が、 0.1μm未満であると、粒子の流動性が低く凝集性が高くなるし、さらに 100μmを超えると潤滑性向上の効果が低下するといった問題点があるので、 0.1〜 100μmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは 0.5〜20μmである。
【0006】
本発明の球状粉末はこれらの球状合成樹脂粉末にポリオルガノシルセスキオキサンを主体とするオルガノシロキサン樹脂を被覆することによって得ることができる。
本発明におけるポリオルガノシルセスキオキサンは下記一般式(1)のオルガノシルセスキオキサン単位を構成単位とする。
RSiO3/2・・・・・・(1)
式中のRはメチル、エチル、プロピル、ブチル基などのアルキル基;フェニル、トリル等のアリール基、ビニル、アリル等のアルケニル基;β−フェニルエチル基、β−フェニルプロピル基のようなアラルキル基;クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などのハロゲン化炭化水素基;さらにはエポキシ基、アミノ基、メルカプト基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等の反応性基を有する有機基から選択される1種または2種以上の、炭素数1〜20の1価の有機基である。なお、Rはその50モル%以上がメチル基であることが好ましいが、他の基が含有されると、本発明の球状粉末の基材との相溶性、潤滑性などが更に改良される。また、上記RSiO3/2単位の他にその被覆性を損なわない範囲で R SiO2/2単位、R SiO1/2 単位、SiO単位が含有されていてもよい。このような R SiO2/2単位、R SiO1/2 単位、SiO単位はRSiO3/2 100モルに対して0〜20モルが好ましく20モルを超えるとシルセスキオキサン表面被覆性や潤滑性を損なうので好ましくない。(ここにRは上記と同じ1価の有機基である)
【0007】
本発明におけるポリオルガノシルセスキオキサンを主体とするオルガノシロキサン樹脂は球状合成樹脂粉末の全表面を均一に被覆していてもよいし、表面の一部を被覆していてもよい。このポリオルガノシルセスキオキサンを主体とするオルガノシロキサン樹脂の使用量は、球状合成樹脂粉末の 100重量部に対し 0.5重量部未満では得られる球状粉末の流動性、分散性及び基材との相溶性が乏しくなるため、 0.5重量部以上が必要であるが、経済的な観点から、 0.5重量部から 100重量部とすることが好ましい。
【0008】
本発明の球状粉末の製造方法は、平均粒径が 0.1〜 100μmの球状合成樹脂粉末の水性分散液に、アルカリ性物質またはアルカリ性水溶液とオルガノトリアルコキシシランを主体とするオルガノアルコキシシランを添加し、加水分解、縮合反応させるものである。上記製造に際しては球状合成樹脂粉末を水に分散させるが、これは球状合成樹脂粉末をそのまま水中に分散させるか、適当な界面活性剤を溶解させた水溶液に、球状合成樹脂粉末を分散させることにより、容易に行うことができる。
【0009】
本発明で使用される界面活性剤については特に制限はなく、例えば第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩等の陽性イオン系界面活性剤、アルキルベタイン等の両性イオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤、有機スルホン酸塩、アルキル硫酸塩エステル等の陰イオン系界面活性剤が挙げられるが、これらの1種または2種以上を併用することができる。
【0010】
本発明における球状合成樹脂粉末の水分散液 100重量部中における球状合成樹脂粉末の量は、これが1重量部未満では目的とする球状合成樹脂粉末の生産効率が低くなるし、60重量部より多いとポリオルガノシルセスキオキサンを主体とするオルガノシロキサン樹脂を球状合成樹脂粉末に被覆させることが困難となり、粒子の凝集、融着が生じることがあるので、1〜60重量部の範囲が必要であり、好ましくは5〜40重量部である。
【0011】
本発明における球状合成樹脂粉末の水分散液にはアルカリ性物質または、アルカリ性水溶液が添加されるが、このアルカリ性物質またはアルカリ性水溶液は後述するオルガノアルコキシシランの加水分解及び縮合を促進させるために使用するものであり、ここで反応液のpHが10.0より低いと、オルガノアルコキシシランの加水分解及び縮合反応が十分に進行せず、またそれに伴って粒子相互の融着を生じる場合もあり、またpHが13.0より高いと、オルガノアルコキシシランの加水分解速度が大きくなるため、球状合成樹脂粉末表面以外の部分で加水分解反応が生じ、球状合成樹脂粉末表面にポリオルガノシルセスキオキサンを主体とするオルガノシロキサン樹脂を効率よく生成被覆させることが困難となるので、そのpHが10.0〜13.0、特に10.5〜12.5の範囲にあることが好適である。
【0012】
本発明におけるアルカリ性物質またはアルカリ性水溶液の種類は、オルガノアルコキシシランの加水分解及び縮合反応の触媒作用を有するものであれば特に制限はないが、通常、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;、アンモニアまたはモノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン等のアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウムヒドロキシドなどが好ましく、これらの中では水への溶解性、触媒活性が優れ、且つ揮発させることにより粉末から容易に除去可能であることからアンモニアが最も好適であり、これは一般に市販されているアンモニア水溶液(濃度28重量%)を用いればよい。
【0013】
本発明におけるオルガノアルコキシシランは加水分解、縮合反応して、球状合成樹脂粉末表面をポリオルガノシルセスキオキサンを主体とするオルガノシロキサン樹脂で被覆するのであるが、このうちオルガノトリアルコキシシランとしては一般式(2)
RSi(OR)・・・・・・(2)
で示されるものが使用可能である(ここにRは前記と同じ1価の有機基、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素数1〜6のアルキル基を示す)。これらは例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフロロヘキシルトリメトキシシランなどであり、単独あるいは2種類以上の組み合わせで使用することができる。
本発明においては、これらオルガノトリアルコキシシランは特に50モル%以上がメチルトリメトキシシランであることが好ましいが、これに上記他のオルガノトリアルコキシシランを併用すれば、得られる球状合成樹脂粉末の基材との相溶性、潤滑特性などを更に改良することが期待される。
【0014】
本発明におけるオルガノトリアルコキシシランとともに一般式
R Si(OR) ,R SiOR,Si(OR)
(Rは同一または異種の前記と同じ有機基、Rは前記と同じ基を示す)で示されるオルガノモノアルコキシシラン、オルガノジアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランをポリオルガノシルセスキオキサンを主体とするオルガノシロキサン樹脂の表面被覆性を損なわない範囲で使用することが可能である。
上記オルガノアルコキシシランの添加量は、主成分としてのオルガノトリアルコキシシラン100 重量部に対して20重量部以下が好ましく、20重量部を超えるとトリアルコキシシランの表面被覆性を損なうので好ましくない。
【0015】
本発明におけるオルガノアルコキシシランの球状合成樹脂粉末に対する添加量は、球状合成樹脂粉末の水分散液の水 100重量部に対して、これが多すぎると塊状物の発生する恐れがあるので、30重量部以下とすることがよい。
【0016】
本発明における加水分解、縮合反応時に攪拌回転数があまり大きいと、特にオルガノアルコキシシランの使用量が多きときに、粒子同士の凝集あるいは融着を生じる傾向があるので、出来るだけ穏やかな条件で攪拌を行なうことが好ましい。用いる攪拌装置としては一般にプロペラ翼、平板翼などが好適である。なお、本発明における加水分解、縮合反応の反応温度は0℃未満では液が凝固してしまい、また60℃より高くすると生成したポリオルガノシルセスキオキサンを主体としたオルガノシロキサン樹脂のみからなる粒子が生成し、粒子相互が凝集あるいは融着することがあるので、0℃〜60℃、特に5〜20℃の範囲とすることが必要である。
【0017】
本発明における加水分解、縮合反応のためのアルカリ性物質またはアルカリ性水溶液の添加はオルガノアルコキシシランの添加と同時に行っても、オルガノアルコキシシラン添加後に行ってもよいが、オルガノアルコキシシランの添加量が多い場合には、予め球状合成樹脂粉末の水分散液に添加しておくのがよい。
このオルガノアルコキシシランはこの反応系に一度に添加してもよいが、添加量が多いときにはこれを一度に添加すると粒子相互に凝集あるいは融着が生ずることがあるので、時間をかけて徐々に少量ずつ添加することがよい。
【0018】
本発明における加水分解、縮合反応中の攪拌はオルガノアルコキシシラン添加終了後、加水分解、縮合反応が完結するまではしばらく攪拌を継続する。また、加水分解、縮合反応を短時間で完結させるためには反応液を加熱してもよく、更に必要であれば酸性物質を添加して中和してもよい。
上記反応終了後は、例えば加熱脱水、濾過、遠心分離、デカンテーションなどの方法により分散液を濃縮した後、必要に応じて水洗を行い、更に常圧もしくは減圧下での加熱乾燥、または加熱気流中に分散液を噴霧するスプレードライ、流動熱媒体を使用しての加熱乾燥などにより水分を除去すれば、球状合成樹脂粉末表面をポリオルガノシルセスキオキサンを主体とするオルガノシロキサン樹脂で被覆した目的とする球状粉末が得られる。得られた球状粉末が若干凝集している場合には、ジェットミル、ボールミル、ハンマーミルなどの粉砕器を適宜使用して粉砕してもよい。
【0019】
本発明の化粧料の製造においては、本発明の球状粉末の他に、一般に化粧料に添加される粉体類、結合油剤、界面活性剤、香料、防腐剤、溶剤などを任意に配合することができる。
【0020】
本発明の化粧料の製造方法は従来公知の方法で行えばよい。例えば、本発明の球状粉末を他の粉体類と共にヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、らいかい機、ナウターミキサーなどの混合機を用いて混合し、更にこの混合物を別途溶解あるいは混合、分散した結合油剤、界面活性剤などと、リボンブレンダー、プラネタリーミキサーなどを用いて混合する。次いで必要に応じてこれをプレス成形し化粧料を得ることができる。
【0021】
本発明の化粧料としては、ファンデーション類、各種クリーム類、防臭パウダー、プレストパウダー、おしろいパウダー、ひげ剃りパウダー、ドライシャンプーなどのパウダー製品類、口紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナーなどのメイクアップ化粧料、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナー、ヘアリンス、ヘアクリーム、ヘアスプレー、ヘアセット剤、染毛剤などのヘアケア化粧料、化粧落としなどの洗浄料、ロールオン、スプレーなどの各種制汗剤などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の球状粉末の平均粒子径、形状、表面状態、流動性、分散性の測定及び評価は下記の方法に従って行なった。
(平均粒径の測定)
得られた球状粉末を界面活性剤を用いて水に分散させ、その分散液を用いてマルチサイザーII(米国コールターエレクトロニクス社製商品名)により粒径(μm)を測定した。
(形状、表面状態の観察)
得られた球状粉末の形状、表面状態を電子顕微鏡により 2,000〜 8,000倍で観察した。
(分散性の評価)
粉体特性測定装置・パウダーテスターPT-E型[ホソカワミクロン(株)製商品名]を用いて、振幅1mmの振動を与え、 200メッシュ、 100メッシュ、60メッシュの篩分け性を測定した。(90秒間、試料量2g )
(流動性の評価)
排出口の内径が4mmのロートに試料 10gを入れ、粉体特性測定装置・パウダーテスターPT-E型(前出)を用いてロートに振幅1mmの振動を与え、試料がロートから全量排出されるまでの時間(秒)を測定した。
【0023】
[実施例1]
1リットルのガラスフラスコに水649.0g、平均粒径 6.0μmのポリスチレンパウダーSBX-6 [積水化成品工業(株)製商品名]を 60.1g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル・エマルゲン109 P [花王(株)製商品名]0.3g、およびアンモニア水(濃度28重量%)15.2g を仕込み、SBX−6の水分散溶液を調製した。攪拌翼回転数200rpmの条件で錨型攪拌翼で攪拌しながら、液温を8℃まで冷却した。この液にメチルトリメトキシシラン8.2gを20分かけて滴下し、この間液温を5〜10℃に保ち、更に室温で1時間攪拌し、55〜60℃まで加熱し、引き続き1時間攪拌を行い、得られた液を加圧濾過器を用いて水分約30重量%のケーキ状物とした。このケーキ状物を 1,000mlの水で2回洗浄し、熱風循環乾燥機中で 105℃の温度で12時間乾燥し、乾燥物をジェットミルで解砕し、球状粉末を得た。これを光学顕微鏡で観察したところ、シリコーンレジン層で均一に被覆された平均粒径 6.2μmの球状粉末であることが確認された。
また、この球状粉末の分散性及び流動性を調べたところ、表1に示したような良好な結果を得た。
【0024】
[実施例2]
実施例1において、合成樹脂として平均粒径が 9.9μmのメチルメタクリレート樹脂・MX-1000 [綜研化学(株)製商品名]を用いた以外は実施例1と全く同様にして、球状粉末の製造を行い、得られた球状粉末の形状、平均粒径、流動性、分散性を測定し、評価し、表1に示したような良好な結果を得た。
【0025】
[実施例3]
実施例1において、合成樹脂として平均粒径が 8.7μmのポリエチレン・フロービーズLE1080[住友精化(株)製商品名]を用い、熱風循環乾燥の条件を70℃で24時間乾燥とした以外は実施例2と全く同様にして、球状粉末を製造し、得られた球状粉末の形状、平均粒径、流動性、分散性を測定し、表1に示したような良好な結果を得た。平均粒径の低下は凝集粒子が減少した結果である。
【0026】
[比較例1〜3]
実施例1〜3で使用したスチレン樹脂粉末、メチルメタクリレート樹脂粉末、ポリエチレン粉末などのそのままのものについて、平均粒径、形状、分散性、流動性を測定した。表1に示したような結果を得た。
【0027】
【表1】
Figure 0004580481
【0028】
以下で具体的な化粧料としてファンデーション類、リンス、ヘアスプレーを製造してそれを評価した。
[実施例4]
(ファンデーションの製造)
〈原料成分〉
1 酸化チタン 12.0重量%
2 酸化亜鉛 9.5重量%
3 カオリン 35.0重量%
4 タルク 20.0重量%
5 ベンガラ 0.8重量%
6 黄酸化鉄 2.5重量%
7 黒酸化鉄 0.2重量%
8 球状粉末(実施例1の製品) 7.0重量%
9 流動パラフィン 4.0重量%
10 オクタメチルシクロテトラシロキサン 5.0重量%
11 ジメチルポリシロキサン(粘度6cs) 5.0重量%
12 パルミチン酸イソプロピル 3.0重量%
13 グリセリン 3.0重量%
14 防腐剤 適量
15 香料 適量
〈製造方法〉
A:成分1〜10を均一に混合する。
B:成分11〜14を混合しAを加える。
Bに成分15を加えて、金型にプレス成形する。
上記製造方法により製造したファンデーションの使用感及び使用性について、女性10名のパネラーにより評価しところ、10名とも従来品に比較して、使用時のマットやスポンジへの取れ易さが良好で、ケーキングしにくく、塗工時の伸展性、滑らかさ、さらさら感に優れているとの評価であった。
【0029】
[実施例5]
(リキッドファンデーションの製造)
〈原料成分〉
1 トリオクタン酸グリセリル 10.0重量%
2 ネオペンチルグリコールのイソオクタン酸ジエステル 7.0重量%
3 デキストリンの脂肪酸エステル 1.5重量%
4 12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル 0.5重量%
5 ホホバ油 5.0重量%
6 ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル・KF6026[信越化学工業(株)
製商品名] 1.0重量%
7 酸化チタン 8.0重量%
8 無機有色顔料 4.0重量%
9 マイカ 3.0重量%
10 タルク 3.0重量%
11 球状粉末(実施例2の製品) 2.0重量%
12 1,3−ブチレングリコール 7.0重量%
13 香料 適量
14 防腐剤 適量
15 精製水 残量
〈製造方法〉
A:成分1〜6を混合し加熱溶解する。これに成分7〜11を均一に分散させる。
B:成分12、成分14〜15を混合し加温する。
C:AにBを加えて攪拌乳化する。
Cを冷却し、成分13を加えてリキッドファンデーションを得る。
上記製造方法により製造したリキッドファンデーションの使用感及び使用性について、女性10名のパネラーにより評価しところ、10名とも従来品に比較して、塗工時の伸び、塗布後のさらさら感、滑らかさに優れているとの評価であった。
【0030】
[実施例6]
(リンスの製造)
〈原料成分〉
1 エチレングリコールのステアリン酸ジエステル 3.0重量%
2 セタノール 2.0重量%
3 プロピレングリコールのステアリン酸モノエステル 3.0重量%
4 ジメチルポリシロキサン(粘度100cs ) 3.0重量%
5 ステアリン酸モノグリセリル 4.0重量%
6 ポリオキシエチレン(EO付加モル=3)ステアレート 4.0重量%
7 塩化アセチルトリメチルアンモニウム 5.0重量%
8 ポリオキシエチレン(EO付加モル=20)セチルエーテル 2.0重量%
9 球状粉末(実施例2の製品) 2.0重量%
10 1,3−ブチレングリコール 5.0重量%
11 防腐剤 適量
12 香料 適量
13 精製水 残量
〈製造方法〉
A:成分1〜9を攪拌混合する。
B:成分10、11及び13を混合、加温する。
C:AにBを添加し混合した後、冷却し成分12を添加してリンスを得る。
上記製造方法により製造したリンスの使用感を女性10名のパネラーにより評価しところ、10名とも従来品に比較して、使用時にべたつきや重さがなく、毛髪に優れた艶を与え、さらさら感、櫛通りのよい、使用後もリンス効果の持続性も優れているとの評価であった。
【0031】
[実施例7]
(ヘアスプレーの製造)
〈原料成分〉
1 ジメチルポリシロキサン(粘度100 万cs) 3.0重量%
2 デカメチルシクロペンタシロキサン 75.0重量%
3 球状粉末(実施例2の製品) 7.0重量%
4 香料 適量
5 噴射剤 残量
〈製造方法〉
A:成分1〜4を混合する。
Aをエアゾール用缶に詰めた後、成分5を充填しエアスプレーを得る。
得られたヘアスプレーの使用感及び使用性を女性10名のパネラーにより評価しところ、10名とも従来品に比較して、使用時にべたつきや重さがなく、毛髪に優れた光沢を与え、さらさら感、なめらかさ、しっとり感、櫛通りのよい、使用感も効果の持続性も優れているとの評価であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明は球状合成樹脂粉末にポリオルガノシルセスキオキサンを主体とするオルガノシロキサン樹脂を被覆した球状粉末に関するもので、凝集が少なく分散性に優れ、取り扱い易いという特徴を有し、さらに得られた球状粉末を配合してなる化粧料は、分散性に優れ、粉末の沈降がなく、さらに色ムラがなく、化粧仕上がりが良好であるという特徴を有する。

Claims (1)

  1. 平均粒径 0.1〜 100μmであって、ポリエチレン、ポリスチレン、メチルアクリレート樹脂、メチルメタクリレート樹脂、エチルアクリレート樹脂、又はエチルメタクリレート樹脂からなる球状合成樹脂粉末の水分散液に、アルカリ性物質又はアルカリ性水溶液を添加して、当該アルカリ性物質又はアルカリ性水溶液を配合した上記球状合成樹脂粉末の水分散液を調製し、次いで、これにオルガノトリアルコキシシランを主体とするオルガノアルコキシシランを添加し、加水分解、縮合反応させることを特徴とする、上記球状合成樹脂粉末にポリオルガノシルセスキオキサンを主体とするオルガノシロキサン樹脂を被覆してなる球状粉末の製造方法。
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