JP6270487B2 - 不織布の製造装置 - Google Patents

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本発明は、搬送中のウェブに流体を噴射して該ウェブの構成繊維を交絡することにより不織布を製造する装置に関するものである。
例えばウェットティッシュ等の各種製品に用いられる不織布を製造するに際しては、通常、ウェブに対して水等の流体を高圧で噴射することにより該ウェブの構成する繊維を相互に交絡させる。
このようなウェブの構成繊維の交絡を行って不織布を製造する製造装置は、例えば特許文献1に記載されているように、搬送中のウェブを吸引して保持する一対のサクションドラムと、各サクションドラムの外周面上に位置するウェブに対して流体を噴射する噴射装置とを備えているのが通常である。
この種の製造装置は、まず、ウェブを一方のサクションドラムの外周面上に吸引、保持させて、該ウェブの外方側に位置する第1の面に対して前記噴射装置から流体を噴射させる。その後、前記一方のサクションドラムから離れたウェブを、他方のサクションドラムの外周面上に、前記第1の面とは反対側に位置する第2の面が外方を向いた状態で吸引、保持させて、その他方のサクションドラム上に保持させたウェブの第2の面に対して前記噴射装置から流体を噴射させる。
これにより、ウェブの両面側から流体を噴射させて、該ウェブを構成する繊維を相互に交絡させることが可能となっている。
ところで、前記製造装置においては、装置全体のコンパクト化や構造の単純化等の観点から、一対のサクションドラムを相互に近接させて、一方のサクションドラムに吸引、保持させて流体の噴射が終了したウェブを、直接的に他方のサクションドラムに吸引、保持させる構成のものも存在する。
このような構成の製造装置は、一方のサクションドラムによりウェブを吸引、保持して流体を噴射した後、そのウェブを他方のサクションドラムに受け渡す必要があるが、その際、これらの各サクションドラムにおけるウェブの吸引力(保持力)の関係で、ウェブは両サクションドラムの間において、該ウェブの長さ方向の相反する方向に引っ張られる。
このとき、前記ウェブを一対のサクションドラム間で受け渡す際には、搬送の効率や安定性を考慮すると、該ウェブを適度に緊張した状態に維持させながら搬送を行う必要がある。一方で、構成繊維の交絡の進んでいない状態のウェブを長さ方向に引っ張ると、該ウェブが長さ方向に延びて幅が縮小する、いわゆる「幅入り」という現象が発生し易くなり、形成された不織布の形状が歪になるという問題がある。
そのため、前記ウェブを一対のサクションドラム間の受け渡し時においては、該ウェブの構成繊維の交絡が完全でなく、未だ幅入り現象が発生しやすい状態であるため、これらの一対のサクションドラム間のウェブの受け渡しは、該ウェブを搬送に差し支えない範囲においてできるだけ引っ張らずに行うことが肝要となる。
しかしながら、前記一対のサクションドラムの相互の位置関係によっては、各サクションドラムの吸引力やウェブ自体の自重等に起因して、ウェブが一方のサクションドラムと他方のサクションドラムとの間で必要以上に引っ張られてしまう場合がある。
特に、一方のサクションドラムにおいて噴射した水等の流体がウェブに多量に吸収されるため、吸収した流体によってウェブ自体が重くなることから、他方のサクションドラムに受け渡す際に該ウェブが垂れ下がる可能性がある。この場合には、ウェブに過度の引っ張り力が作用するため、幅入りが発生し易い。
特開2006−345980号公報
本発明の技術的課題は、ウェブを一対のサクションドラム間において受け渡す際に幅入り現象が発生することを可及的に抑えることができる不織布の製造装置を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明の不織布の製造装置は、搬送中のウェブに流体を噴射して該ウェブの構成繊維を交絡することにより不織布を製造する装置であって、軸線まわりに回転しながら搬送中のウェブを吸引して、そのウェブの第1面側が外方を向くように該ウェブを外周面において保持する第1サクションドラムと、前記第1サクションドラムの外周面に保持された前記ウェブに対して、該ウェブの第1面側から流体を噴射する第1面側噴射装置と、前記第1サクションドラムよりも搬送方向の下流側に配設されて、軸線まわりに回転しながら該第1サクションドラムから離れたウェブを吸引して、そのウェブの前記第1面側とは反対側に位置する第2面側が外方を向くように該ウェブを外周面において保持する第2サクションドラムと、前記第2サクションドラムの外周面に保持されているウェブに対して、該ウェブの第2面側から流体を噴射する第2面側噴射装置とを備え、
前記第1サクションドラムと第2サクションドラムとは、相互に非接触、且つ各軸線が相互に平行となるように配設されていて、前記第2サクションドラムは、水平方向について、前記第2サクションドラムの外周面における水平方向の下流側に位置する頂部が、前記第1サクションドラムの外周面における水平方向の下流側に位置する頂部の、鉛直方向に延びる接線よりも水平方向の下流側又は該接線上に位置し、且つ、前記第1サクションドラムの軸線と前記第2サクションドラムの軸線との間の水平方向距離L1が、これらの第1サクションドラムの外周径D1と第2サクションドラムの外周径D2との関係においてL1≦0.7(D1+D2)となる位置に配設され、鉛直方向について、前記第2サクションドラムの軸線が、前記第1サクションドラムの軸線よりも下方に位置し、且つ、前記第1サクションドラムの軸線と第2サクションドラムの軸線との間の鉛直方向距離L2がL2≦D1となる位置に配設されているものである。
本発明においては、前記第2サクションドラムは、水平方向について、該第2サクションドラムの外周面における水平方向の上流側に位置する頂部が、前記第1サクションドラムの外周面における水平方向の下流側に位置する頂部の、鉛直方向に延びる接線上となる位置に配設されているものとすることが好ましい。
また、本発明においては、前記第2サクションドラムは、鉛直方向について、前記第1サクションドラムの軸線と該第2サクションドラムの軸線との間の鉛直方向距離L2がL2=D1/2となる位置に配設されているものとするのが好ましい。
さらに、本発明においては、前記第1サクションドラムの外周径と前記第2サクションドラムの外周径とが同径であるものとすることができる。
本発明によれば、第1サクションドラムと第2サクションドラムとの水平方向及び鉛直方向の各位置関係を規定したことにより、これらの第1サクションドラムと第2サクションドラムとの間でウェブを受け渡す際に、該ウェブに必要以上の引っ張り力が作用することを抑止することができる。
これにより、前記ウェブが適度に緊張した状態を維持した状態で、該ウェブを第1サクションドラムから第2サクションドラムに向けて受け渡して搬送することが可能となるため、ウェブに幅入り現象が生じることを安定的に抑止することができる。
図1は本発明に係る不織布の製造装置の一実施の形態における一部の装置を模式的に示す図である。 図2は図1における第1サクションドラムと第2サクションドラムとの位置関係を模式的に示す図である。 図3は、本発明に係る不織布の製造装置の一実施の形態における製造装置全体の概要を模式的に示す図である。 図4は第1サクションドラムと第2サクションドラムとの水平方向についての位置関係を示す図である。ただし、(a)水平方向について、第1サクションドラムと第2サクションドラムとが最も近い状態、(b)水平方向について、第1サクションドラムと第2サクションドラムとが最も遠い状態をそれぞれ示す。 図5は第1サクションドラムと第2サクションドラムとの鉛直方向についての位置関係を示す図である。ただし、(a)鉛直方向について、第1サクションドラムと第2サクションドラムとが最も近い状態、(b)鉛直方向について、第1サクションドラムと第2サクションドラムとが最も遠い状態をそれぞれ示す。 図6は第1サクションドラムの外周径と第2サクションドラムの外周径とが異径である場合を模式的に示す図である。ただし、(a)第1サクションドラムの外周径が第2サクションドラムの外周径よりも大きい場合、(b)第2サクションドラムの外周径が第1サクションドラムの外周径よりも大きい場合をそれぞれ示す。
図1〜図3は本発明の不織布の製造装置の一実施の形態を示すもので、この実施の形態の製造装置1は、軸線まわりに回転しながら搬送中のウェブ2を吸引して外周面に保持する一対のサクションドラム3,4と、これらの一対のサクションドラム3,4が保持しているウェブ2に流体を噴射する噴射装置5〜7を備えている。
そして、各サクションドラム3,4が保持しているウェブ2に対して噴射装置5〜7から流体を噴射することにより、該ウェブ2の構成繊維を交絡して不織布8を形成することが可能となっている。
具体的に、前記製造装置1は、軸線まわりに回転しながら搬送中のウェブ2を吸引し、外周面3aにおいて保持する第1サクションドラム3と、該第1サクションドラム3の外周面3aに保持された前記ウェブ2に対して、該ウェブ2の第1面側2aから流体を噴射する第1面側噴射装置5,6とを備えている。
さらに、前記第1サクションドラム3よりも搬送方向の下流側に配設されて、軸線まわりに回転しながら該第1サクションドラム3から離れたウェブ2を吸引し、外周面4aにおいて保持する第2サクションドラム4と、該第2サクションドラム4の外周面4aに保持されているウェブ2に対して、該ウェブ2の第2面側2bから流体を噴射する第2面側噴射装置7とを有している。
さらに、前記製造装置1は、前記第1サクションドラム3よりも上流側に、前記ウェブ2を第1サクションドラム3に向けて略水平方向に搬送する上流側搬送ベルト11と、該上流側搬送ベルト11上のウェブ2の搬送方向を上方向きに転換させて該ウェブ2を第1サクションドラム3に向けて送る方向転換用ロール12とをそれぞれ備えている。
また、前記第2サクションドラム4よりも下流側には、該第2サクションドラム4によって搬送されたウェブ2(不織布8)を、該第2サクションドラム4の略上方側における第1サクションドラム3寄りの位置において受け取って、次工程に係る設備(この場合、脱水機26)に搬送する下流側搬送ベルト13を備えている。
なお、この実施の形態においては、前記ウェブ2として、種類や繊維長等が相互に異なる第1及び第2繊維積層体を積層したものを用い、これらの2層の繊維積層体からなるウェブ2を順次処理することにより不織布を製造している。
図3に示すように、この製造装置1は、前記上流側搬送ベルト11よりも上流側に、第1の繊維積層体21を構成する繊維をフィーダーから投入して該第1の繊維積層体21を形成する第1のカード機22と、第2の繊維積層体23を構成する繊維の一部又は全部をフィーダーから投入して第2の繊維積層体23の一部又は全部を形成するカード機24とを備えている。そして、これらの第1及び第2の繊維積層体21,23を積層することにより前記ウェブ2を形成することが可能となっている。なお、前記上流側搬送ベルト11は、第1及び第2の繊維積層体21,23を積層させた後のウェブ2を搬送する。
なお、必要に応じて、前記第1の繊維積層体21及び/又は第2の繊維積層体23に対して他の繊維を追加的に投入、積層させるフィーダーを設けてもよい。
また、前記下流側搬送ベルト13よりも下流側には、ウェブ2の構成繊維を交絡させることにより形成された不織布8が含んでいる水分を脱水する、不織布8を搬送する搬送ベルト26a、及び該搬送ベルト上の不織布8から水分を吸引する複数のサクションボックス26bを有する脱水機26を備えている。さらに、前記脱水機26により水分が吸引された不織布8を乾燥させて該不織布中8の繊維を熱融着させる乾燥機27と、該乾燥機27から搬出された不織布8を巻き取る巻取機28を備えている。なお、この巻取機28で巻き取られた不織布8は、例えば、巻き出されて切断された後に各種薬剤に含浸されることにより、製品としてのウェットティッシュに用いられることとなる。
前記製造装置1において使用される前記ウェブ2は、前述のように、種類や繊維長が異なる繊維を含む第1及び第2の繊維積層体の2層を積層したものを用いることができる。
このとき、前記ウェブ2を形成する前記繊維積層体に用いられる繊維は、製造する不織布の用途等によって任意に選択することができるが、例えば、繊維長20〜70mmの熱融着性繊維、必要に応じて繊維長10mm以下のセルロース系繊維を用いることができる。その他、繊維長20〜70mmの非熱融着性繊維を用いてよい。
なお、前記ウェブ2の坪量としては、20〜100g/m2程度のもの用いることができ、さらに好ましくは30〜90g/m2、より好ましくは40〜80g/m2のもの用いることができる。
前記熱融着性繊維としては、ポリオレフィン系ポリマー、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン;ポリエステル系ポリマー、例えば、テレフタレート系ポリマー、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレート,ポリペンチレンテレフタレート;ポリアミド系ポリマー、例えば、ナイロン6及びナイロン6,6;アクリル系ポリマー;ポリアクリロニトリル系ポリマー;及びそれらの変性物、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
前記熱融着性繊維は、低融点樹脂と、低融点樹脂よりも高い融点を有する高融点樹脂とを含む複合繊維、例えば、芯鞘タイプ、芯鞘の偏芯タイプ、サイドバイサイドタイプの繊維であることが好ましい。
前記セルロース系繊維としては、パルプ、例えば、木材パルプ及び非木材パルプが挙げられる。前記木材パルプとしては、例えば、針葉樹パルプ及び広葉樹パルプが挙げられる。前記非木材パルプとしては、例えば、ワラパルプ、バガスパルプ、ヨシパルプ、ケナフパルプ、クワパルプ、竹パルプ、麻パルプ、綿パルプ(例えば、コットンリンター)等が挙げられる。
また、前記パルプは、その製法に関連して、機械パルプ、例えば、砕木パルプ、リファイナーグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等、又は化学パルプ、例えば、クラフトパルプ、サルファイドパルプ、アルカリパルプ等であることができる。
前記非熱融着性繊維としては、再生セルロース繊維、例えば、レーヨン、例えば、ビスコースから得られるビスコースレーヨン,ポリノジック及びモダール、セルロースの銅アンモニア塩溶液から得られる銅アンモニアレーヨン(「キュプラ」とも称される);有機化合物及び水の混合溶液である有機溶剤を用いた有機溶剤紡糸法によって得られ、セルロース誘導体を経ないリヨセル及びテンセル等が挙げられる。
そして、前記第1サクションドラム3及び第2サクションドラム4は、各外周面3a,4aが、複数の吸引孔が穿設されてメッシュ状に形成された円柱状のもので、該吸引孔を通じて第1サクションドラム3及び第2サクションドラム4のそれぞれの内方側から吸引力を加えることにより外周面3a,4aに前記ウェブ2を吸着する構成となっている。
これらの第1サクションドラム3及び第2サクションドラム4は、相互に非接触、さらに具体的には、前記ウェブ2が第1サクションドラム3の外周面3aと第2サクションドラム4の外周面4aとの間に挟まれて圧縮されることなく搬送自在である程度の間隔が空けられた状態で、且つ各軸線が相互に平行となるように配設されている。したがって、これらの第1サクションドラム3及び第2サクションドラム4を、各軸線まわりに相反する方向に回転させることにより、第1サクションドラム3が保持していた前記ウェブ2を、長さ方向(搬送方向)に適度に緊張させた状態で第2サクションドラム4に受け渡して、搬送方向の上流側から下流側に向けて搬送することができるようになっている。
この実施の形態においては、第1サクションドラム3及び第2サクションドラム4は同形同大に形成されていて、これらの第1サクションドラム3の外周径D1と第2サクションドラム4の外周径D2とは相互に同径となっている。
なお、第1サクションドラム3及び第2サクションドラム4の各外周径D1,D2は、製造する不織布の用途や必要とする大きさに応じた任意の大きさとすることができるが、例えば200〜1700mm程度のものを使用することができる。
さらに、前記第1サクションドラム3及び第2サクションドラム4の各回転速度の関係については、ウェブ2の搬送速度や構成繊維の種類、また第1サクションドラム3及び第2サクションドラム4の位置関係等によって任意に設定されるが、例えば、第2サクションドラム4の回転速度が第1サクションドラムの回転速度の1〜1.1倍程度の回転速度とすることができる。
また、前記第1サクションドラム3は、前記上流側搬送ベルト11から搬送されてきた前記ウェブ2を吸引して、そのウェブ2のうちの第1面側2a(例えば表面側)が外方を向くように外周面3aにおいて保持するようになっている。
図1に示すものの場合、前記第1サクションドラム3は、下方側から搬送されてきた前記ウェブ2を、該外周面3aの上方側に巻き付けて再度下方側に方向転換させるように保持している。
さらに、この第1サクションドラム3は、後述するように、少なくとも2台の第1面側噴射装置5,6から噴射される流体がウェブ2に当たる位置の上流側及び下流側の一定の範囲については、該ウェブ2を吸引して、安定的に保持できるようになっている。
一方、前記第2サクションドラム4は、前記第1サクションドラム3から離れたウェブ2を吸引して、そのウェブ2の前記第1面側2aとは反対側に位置する第2面側2b(例えば裏面側)が外方を向くように外周面4aにおいて保持するようになっている。
図1に示すものの場合、前記第2サクションドラム4は、前記第1サクションドラム3から離れて略上方側から送られてきたウェブ2を、該第2サクションドラム4の下方側に巻き付けて再度上方側に方向転換させるように保持していて、これにより、ウェブ2が裏返って第2面側2bが外方を向いた状態となるようにしている。
また、この第2サクションドラム4は、前記第1サクションドラム3から離れたウェブ2を安定的に吸引、保持できるように、第1サクションドラム3から第2サクションドラム4にウェブ2を受け渡される際、該第1サクションドラム3の外周面3aからウェブ2が離れた地点を接点とする接線と接触する部分を含む一定の範囲で該ウェブ2を吸引することができるようになっている。
さらに、この第2サクションドラム4は、後述するように、少なくとも第2面側噴射装置7から噴射される流体がウェブ2に当たる位置を含む一定の範囲についても該ウェブ2を吸引して、安定的に保持することができるようになっている。
前記第1面側噴射装置5,6及び第2面側噴射装置7は、第1サクションドラム3及び第2サクションドラム4の各外周面3a,4aに保持されているウェブ2に対して流体を高圧で噴射し、該ウェブ2の構成繊維を交絡させるものである。なお、この実施の形態においては、噴射する流体として水を用いている。
これらの第1面側噴射装置5,6及び第2面側噴射装置7は、ウェブ2の幅方向に直線的に且つ一定の間隔で配設された複数の噴射ノズル(図示せず)を備えていて、図示しない流体源から送られてきた高圧の流体(水)をウェブ2に向けて噴射することが可能となっている。
また、前記第1面側噴射装置5,6は、前記第1サクションドラム3の外周面3aに保持されている前記ウェブ2の、外方側を向いている第1面側2aに対して水を噴射自在となっている。
この実施の形態においては、前記第1面側噴射装置5,6は、前記第1サクションドラム3の外周面3aにおける前記ウェブ2の搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ1台ずつ、計2台配設されていて、これらの上流側及び下流側の各第1面側噴射装置5,6により、前記ウェブ2の第1面側2aの異なる位置に水を噴射することが可能となっている。
前記上流側及び下流側の各第1面側噴射装置5,6は、前記第1サクションドラム3の外周面3aにおける、鉛直方向において最も高い位置にある頂部31よりも上流側の範囲に対してそれぞれ水を噴射できるように配置されている。なお、この実施の形態においては、第1面側噴射装置5,6は、図1に示すような位置にそれぞれ配設されているが、これらの第1面側噴射装置5,6の各位置については、ウェブ2が第1サクションドラム3によって吸引、保持されている範囲において該ウェブ2に対して確実に水を噴射できる位置であれば、任意の位置に設けることができる。
ここで、これらの上流側及び下流側の各第1面側噴射装置5,6から噴射される水の水圧(噴射ノズルからの噴射時の水圧)については、ウェブ2の厚さや構造繊維の種類によって決定されるが、例えばウェブ2がレーヨンとパルプとで構成される場合には、2〜20MPa程度とすることができる。このとき、急激に高圧で水が噴射されることによりウェブ2の構成繊維がばらばらになって該ウェブ2が損傷しないように、上流側の第1面側噴射装置5から噴射される水の水圧よりも下流側の第1面側噴射装置6から噴射される水の水圧を高くすることが好ましい。これにより、上流側の第1面側噴射装置5からの比較的低い水圧によってウェブ2が損傷しないようにウェブ2の構成繊維の交絡を一旦行った上で、下流側の第1面側噴射装置6からの比較的高い水圧によって該ウェブ2の構成繊維のさらに交絡を進めることができるため、前記ウェブ2の損傷を可及的に抑えることが可能となる。
なお、前記第1サクションドラム3については、少なくとも、前記上流側の第1面側噴射装置5から噴射された水がウェブ2に当たる地点よりも上流側の位置から、前記下流側の第1面側噴射装置5から噴射された水がウェブ2に当たる地点よりも下流側の位置までの一定の範囲については、ウェブ2を確実に吸引、保持することが可能となっている。これにより、前記上流側及び下流側の各第1面側噴射装置5,6からの水がウェブ2に当たる際に、該ウェブ2を安定的に保持することができるようにしている。
一方、前記第2面側噴射装置7は、前記第2サクションドラム4の外周面4aに保持されている前記ウェブ2の、外方側を向いている第2面側2bに対して水を噴射自在となっていて、この実施の形態においては、1台のみ配設されている。
この第2面側噴射装置7は、図1に示すように、前記第2サクションドラム4の外周面4aにおける、鉛直方向において最も高い位置にある頂部41と、水平方向の下流側に位置する頂部42とのほぼ中間の位置に対して水を噴射することができるように配設されている。なお、この実施の形態においては、第2面側噴射装置7は、図1に示すような位置に配設されているが、この第2面側噴射装置7の位置については、ウェブ2が第2サクションドラム4によって吸引、保持されている範囲において該ウェブ2に対して確実に水を噴射できる位置であれば、任意の位置に設けることができる。
ここで、この第2面側噴射装置7から噴射される水の水圧(噴射ノズルからの噴射時の水圧)については、ウェブ2の厚さや構造繊維の種類によって決定されるが、例えばウェブ2がレーヨンとパルプとで構成される場合には、2〜20MPa程度とすることができる。
なお、前記第2サクションドラム4は、前記第2面側噴射装置7からの水がウェブ2に当たる際に、該ウェブ2を安定的に保持することができるように、前記第2面側噴射装置7からの水がウェブ2に当たる地点の上流側及び下流側の一定範囲について前記ウェブ2を確実に吸引、保持することが可能となっている。
ところで、前記第1サクションドラム3と第2サクションドラム4とは、水平方向及び鉛直方向について、相互に接触しない状態(上述のように、さらに具体的には、前記ウェブ2が第1サクションドラム3の外周面3aと第2サクションドラム4の外周面4aとの間に挟まれて圧縮されることなく搬送自在である程度の間隔が形成された状態)において、次のような位置関係となるように配設されている。
即ち、前記第2サクションドラム4は、水平方向について、該第2サクションドラム4の外周面4aにおける水平方向の下流側に位置する頂部42が、前記第1サクションドラム3の外周面3aにおける水平方向の下流側に位置する頂部32の、鉛直方向に延びる接線mよりも水平方向の下流側又は該接線m上に位置している。且つ、この第2サクションドラム4は、前記第1サクションドラム3の軸線(回転の中心O1)と第2サクションドラ4の軸線(回転の中心O2)との間の水平方向距離L1が、第1サクションドラム3の外周径D1と第2サクションドラム4の外周径D2との関係においてL1≦0.7(D1+D2)となる位置に配設されている。
したがって、前記第1サクションドラム3と第2サクションドラム4とが、水平方向において最も近い位置となるのは、図4(a)に示すように、該第2サクションドラム4の外周面4aにおける水平方向の下流側に位置する頂部42が、前記第1サクションドラム3の外周面3aにおける水平方向の下流側に位置する頂部32の、鉛直方向に延びる接線m上に位置する場合である。
また、前記第1サクションドラム3と第2サクションドラム4とが、水平方向において最も遠い位置となるのは、図4(b)に示すように、前記第1サクションドラム3の軸線と第2サクションドラム4の軸線との間の水平方向距離L1がL1=0.7(D1+D2)となる位置にある場合である。
よって、前記第2サクションドラム4は、水平方向については、第1のサクションドラム3との関係において、図4(a)及び図4(b)に示す位置の間の範囲に位置することとなる。
このように、第1サクションドラム3と第2サクションドラム4との水平方向の位置関係を前述のように規定したのは、第1サクションドラム4が吸引、保持しているウェブ2を第2サクションドラムに引き渡す際に、これらの第1サクションドラム3と第2サクションドラム4の保持力(吸引力)によって該ウェブ2が必要以上に長さ方向に引っ張られて、該ウェブ2の長さ方向が伸びて幅方向が狭くなる、いわゆる幅入り現象が生じるのを抑止するためである。
即ち、前記第2サクションドラム4の外周面4aにおける水平方向の下流側に位置する頂部42が、前記第1サクションドラム3の外周面3aにおける水平方向の下流側に位置する頂部32の、鉛直方向に延びる接線mよりも上流側に位置する場合には、第1サクションドラム3を離れたウェブ2が自重で垂れ下がるおそれがある。そのため、前記ウェブ2の安定搬送のためにこれらの第1サクションドラム3と第2サクションドラム4との間において該ウェブ2を長さ方向に引っ張る必要があり、その引っ張り力によってウェブ2に幅入り現象が発生しやすい。
また、前記第1サクションドラム3と第2サクションドラム4との水平方向距離L1が0.7(D1+D2)を越えると、これらの第1サクションドラム3と第2サクションドラム4との間の距離が離れすぎてしまい、ウェブ2が自重で垂れ下がるおそれがある。そうすると、ウェブ2の安定搬送のために該ウェブ2の垂れ下がりを抑えるべく、前記第1サクションドラム3と第2サクションドラム4との間においてウェブ2を長さ方向に引っ張らなければならないため、やはり幅入り現象が発生する可能性が高い。
一方、前記第2サクションドラム4は、鉛直方向について、該第2サクションドラム4の軸線が、前記第1サクションドラム3の軸線よりも下方に位置し、且つ、該第1サクションドラム3の軸線と第2サクションドラム4の軸線との間の鉛直方向距離L2がL2≦D1となる位置に配設されている。
したがって、前記第1サクションドラム3と第2サクションドラム4とが、鉛直方向において最も近い位置となるのは、図5(a)に示すように、該第2サクションドラム4の軸線が、前記第1サクションドラム3の軸線の高さ未満の高さに位置する場合である。
また、前記第1サクションドラム3と第2サクションドラム4とが、鉛直方向において最も遠い位置となるのは、図5(b)に示すように、該第1サクションドラム3の軸線と第2サクションドラム4の軸線との間の鉛直方向距離L2がD1となる位置にある場合である。
前記第2サクションドラム4を、該第2サクションドラム4の軸線が、前記第1サクションドラム3の軸線よりも下方に位置するようにしたのは、次の理由からである。
即ち、前記第1面側噴射装置5,6からの水の噴射によって水分を含んで重くなったウェブ2が、第1サクションドラム3から離れて自重で鉛直下方向に移動する現象を利用して、該ウェ2ブに必要以上の引っ張り力を作用させることなく、且つ該ウェブ2を適度に緊張させた状態で第2サクションドラム4に受け渡すためである。
また、前記第1サクションドラム3の軸線と第2サクションドラム4の軸線との間の鉛直方向距離L2をL2≦D1となる位置とするのは次の理由からである。即ち、鉛直方向距離L2がD1を超えてしまうと、第1サクションドラム3と第2サクションドラム4との間が離れすぎて、ウェブ2を第1サクションドラム3から第2サクションドラム4に安定的に搬送できなくなり、ウェブ2を長さ方向に引っ張る必要があることから、その引っ張り力によって該ウェブ2に幅入り現象が発生する可能性が高くなるためである。
この実施の形態においては、第1サクションドラム3及び第2サクションドラム4の水平方向及び鉛直方向における位置関係を、最も好ましいものとしている。
即ち、図1及び図2に示すように、水平方向について、前記第2サクションドラム4を、該第2サクションドラム4の外周面4aにおける水平方向の上流側に位置する頂部43が、第1サクションドラム3の外周面3aにおける水平方向の下流側に位置する頂部32の、鉛直方向に延びる接線m上となる位置に配設している。
この場合、第1サクションドラム3から離れるウェブ4を鉛直下方向に移動させて、該ウェブ2の長さ方向が鉛直下方向に向いたままの状態で第2サクションドラム2に受け渡すことができる。これにより、前記第1サクションドラム3と第2サクションドラム4との間に位置するウェブ2には自重による鉛直方向の力のみを作用させることができるため、前記第1サクションドラム3及び第2サクションドラム4の回転速度の調整等によってウェブ2に積極的に引っ張り力を作用させる必要がなく、該ウェブ2の長さ方向に過度の引っ張り力が作用することがほとんどない。
したがって、水平方向については、前記ウェブ2の幅入り現象の原因となる要素がほぼなくなるため、該幅入り現象をより効果的に抑止することが可能である。また、第1サクションドラム3と第2サクションドラム4との間でのウェブ2の受け渡しについても、該ウェブ2は鉛直下方向のみに移動して水平方向にはほとんど移動しないため、ウェブ2の搬送もきわめて安定的に行うことができる。
また、鉛直方向については、前記第2サクションドラム4を、前記第1サクションドラム3の軸線と該第2サクションドラム4の軸線との間の鉛直方向距離L2がL2=D1/2となる位置に配設したものとしている。
この場合、第1サクションドラム3から離れて鉛直下方向に向かって移動するウェブ2の自重により、該ウェブ2の長さ方向に適度な緊張を付与することができる程度の引っ張り力を確保することができ、且つその引っ張り力を確保することができる範囲において最も短時間でウェブ2を第1サクションドラム3から第2サクションドラム4に受け渡すことが可能となる。
これにより、前記水平方向の位置との関係で、前記ウェブ2の幅入り現象を最も効果的且つ安定的に抑止することとが可能である。また、第1サクションドラム3と第2サクションドラム4との間でのウェブ2の受け渡しの際も、該ウェブ2の適度な緊張を保ちながら短時間で行うことができるため、ウェブ2の搬送をより安定的に行うことができる。
前記構成を有する不織布の製造装置1においては、上流側搬送用ベルト11によって搬送されてきたウェブ2を第1サクションドラム3の外周面3aに吸引、保持させて、該ウェブ2の第1面側2aに対して第1面側噴射装置5,6から水を噴射することにより、該ウェブ2の構成繊維を第1面側3aから交絡させる。さらに、第1面側噴射装置5,6による水の噴射が終了したウェブ2を、第2サクションドラム4に受け渡して、該ウェブ2を該第2サクションドラム4の外周面4aに、そのウェブ2の第2面側2bが外方に向いた状態で吸引、保持させる。そして、前記第2サクションドラム4に保持させたウェブ2の第2面側2bに対して、第2面側噴射装置7から水を噴射し、該ウェブ2の構成繊維を第2面側2bから交絡させる。
なお、ウェブ2の両面に対する水の噴射により構成繊維の交絡が完了すると、一定の強度を有する不織布8として第2サクションドラム4から下流側搬送ベルト13に受け渡され、次工程となる脱水等に係る脱水機26に搬送されることとなる。
このとき、前記ウェブ2を第1サクションドラム3から第2サクションドラム4に受け渡す際においては、これらの第1サクションドラム3と第2サクションドラム4との水平方向及び鉛直方向の各位置関係を一定の範囲で規定しているため、第1サクションドラム3と第2サクションドラム4との間において、前記ウェブ2に必要以上の引っ張り力が作用することを抑止することができる。その一方で、第1サクションドラム3と第2サクションドラム4との間においては前記ウェブ2に適度な緊張を維持した状態で該ウェブ2の搬送、受け渡しを行うことが可能である。
これにより、前記ウェブ2の第1サクションドラム3から第2サクションドラム4への受け渡し時に、該ウェブ2に幅入り現象が発生することを効果的且つ安定的に抑止することができ、また、第1サクションドラム3と第2サクションドラム4との間でのウェブ2の搬送、受け渡しもきわめて安定的に行うことができる。
前記実施の形態においては、前記第2サクションドラム4は、水平方向について、該第2サクションドラム4の外周面4aにおける水平方向の上流側に位置する頂部43が、前記第1サクションドラム2の外周面における水平方向の下流側に位置する頂部32の、鉛直方向に延びる接線m上となる位置に配設されている。
しかしながら、第2サクションドラムの水平方向の位置については、このような位置に限定されない。即ち、前記第2サクションドラムの外周面における水平方向の下流側に位置する頂部が、第1サクションドラムの外周面における水平方向の下流側に位置する頂部の、鉛直方向に延びる接線よりも水平方向の下流側又は該接線上に位置し、且つ、前記第1サクションドラムの軸線と第2サクションドラムの軸線との間の水平方向距離L1が、第1サクションドラムの外周径D1と第2サクションドラムの外周径D2との関係においてL1≦0.7(D1+D2)となる位置に配設されていれば、どの位置であってもよい。
このとき、第1サクションドラムと第2サクションドラムとの水平方向における位置関係については、例えば、第1サクションドラム及び第2サクションドラムの外周径が一般的な径である516mmである場合には、第1サクションドラムと第2サクションドラムとの鉛直方向の位置関係にもよるが、これらの前記第1サクションドラムと第2サクションドラムが接触しない状態において、水平方向距離L1を0〜710mm程度とすることができる。さらに好ましくは125〜600mm、より好ましくは250〜500mmとすることである。
第2のサクションドラムの水平方向の位置をこの範囲にすることにより、第1サンクションドラムと第2サクションドラムの周速差が小さくても前記ウェブに適度な張力を付与して垂れ下がることを抑止しながら安定的に搬送することができる。これにより、ウェブの幅入りを抑えながら、該ウェブを適度に緊張させた状態で第1サクションドラムから第2サクションドラムに一層安定的に受け渡すことが可能となる。
したがって、前記実施の形態のように、前記第2サクションドラムを、該第2サクションドラムの外周面における水平方向の上流側に位置する頂部が、前記第1サクションドラムの外周面における水平方向の下流側に位置する頂部の、鉛直方向に延びる接線上となるように位置させた場合に次ぐ効果を得ることができる。
ただし、いずれの場合においても、第1サクションドラムと第2サクションドラムとは、鉛直方向の位置関係も考慮して、相互に非接触となる位置に設けることが肝要である。
また、前記実施の形態においては、前記第2サクションドラム4は、鉛直方向について、前記第1サクションドラム3の軸線と第2サクションドラム4の軸線との間の鉛直方向距離L2がL2=D1/2となる位置に配設されている。
しかしながら、第2サクションドラムの鉛直方向の位置については、このような位置に限定されず、前記第2サクションドラムの軸線が、前記第1サクションドラムの軸線よりも下方に位置し、且つ、前記第1サクションドラムの軸線と第2サクションドラムの軸線との間の鉛直方向距離L2がL2≦D1となる位置に配設されていれば、どの位置であってもよい。
このとき、第1サクションドラムと第2サクションドラムとの鉛直方向における位置関係については、例えば、第1サクションドラム及び第2サクションドラムの外周径が一般的な径である516mmである場合には、第1サクションドラムと第2サクションドラムとの水平方向の位置関係にもよるが、これらの前記第1サクションドラムと第2サクションドラムが接触しない状態において、水平方向距離L2を0〜500mm程度とすることができる。さらに好ましくは100〜400mm、より好ましくは200〜300mmとすることである。
第2のサクションドラムの鉛直方向の位置をこの範囲にすることにより、ウェブを長さ方向に積極的に引っ張らなくても該ウェブが幅入りしない程度の緊張を維持しながら、該ウェブを比較的短時間で第1サクションドラムから第2サクションドラムに受け渡すことが可能となる。これにより、ウェブの第1サクションドラムから第2サクションドラムへの受け渡しを一層安定的に行うことができるため、より安定的なウェブの搬送が可能となり、第1サクションドラムの軸線と第2サクションドラムの軸線との間の鉛直方向距離L2をL2=D1/2とした場合に次ぐ効果を得ることが可能である。
ただし、いずれの場合においても、第1サクションドラムと第2サクションドラムとは、水平方向の位置関係も考慮して、相互に非接触となる位置に設けることが肝要である。
さらに、前記実施の形態においては、第1サクションドラム3の外周径D1と第2サクションドラム4の外周径D2とを同径としていたが、これらの第1サクションドラムの外周径と第2サクションドラムの外周径とは必ずしも同径でなくてもよい。
即ち、第1サクションドラムの外周径と第2サクションドラムの外周径とが異径である場合、図6(a)に示すように第1サクションドラム3’の外周径D1’の方が大径であっても、図6(b)に示すように第2サクションドラム4’の外周径D2’の方が大径であってもよい。
しかしながら、いずれの場合であっても、第2サクションドラムは、水平方向について、該第2サクションドラムにおける水平方向の下流側に位置する頂部が、第1サクションドラムの外周面における水平方向の下流側に位置する頂部の鉛直方向に延びる接線よりも水平方向の下流側又は該接線上に位置し、且つ、前記第1サクションドラムの軸線と第2サクションドラムの軸線との間の水平方向距離L1が、第1サクションドラムの外周径D1と第2サクションドラムの外周径D2との関係においてL1≦0.7(D1+D2)となる位置に配設する必要がある。
一方、鉛直方向については、第2サクションドラムは、前記第2サクションドラムの軸線が、前記第1サクションドラムの軸線よりも下方に位置し、且つ、前記第1サクションドラムの軸線と第2サクションドラムの軸線との間の鉛直方向距離L2がL2≦D1となる位置に配設する必要がある。
なお、図6(a),(b)に示すものの場合、前記第2サクションドラム4’は、水平方向について、該第2サクションドラム4’の外周面における水平方向の上流側に位置する頂部43’が、第1サクションドラム3’の外周面における水平方向の下流側に位置する頂部32’の鉛直方向に延びる接線m’上となる位置に配設されている。鉛直方向について、前記第2サクションドラム4’は、前記第1サクションドラム3’の軸線と第2サクションドラム4’の軸線との間の鉛直方向距離L2’がL2’=D1’/2となる位置に配設されている。
また、前記実施の形態においては、前記ウェブ2として、種類や繊維長等が相互に異なる第1及び第2繊維積層体を積層したものを用い、これらの2層の繊維積層体からなるウェブ2を順次処理することにより不織布を製造している。
しかしながら、不織布の製造に用いるウェブは、必ずしも2層の繊維積層体により形成されているものである必要はなく、1層あるいは3層以上の繊維積層体により形成されているものであってもよい。
本発明の不織布の製造装置による効果を確認するため、本発明に係る製造装置と本発明に依らない製造装置とについて、性能を比較する比較実験を行った。
具体的に、本発明に係る製造装置は、第1サクションドラムに対する第2サクションドラムとの水平方向及び鉛直方向の位置が本発明の範囲内に配設されているもの(実施例1、実施例2)を用いた。一方、本発明に依らない製造装置は、第1サクションドラムに対する第2サクションドラムの水平方向及び鉛直方向の位置が本発明の範囲外に配設されているもの(比較例1、比較例2)を用いた。
そして、同じ構成繊維を有する同幅のウェブを、第1サクションドラム(SD1)から第2サクションドラム(SD2)に向けて搬送すると共に、第1サクションドラム及び第2サクションドラムにおいて、実施例1,2及び比較例1,2のいずれについても、同じ噴射条件(水圧等)で水を噴射してウェブの構成繊維を交絡させることにより不織布を形成した。
この比較実験においては、実施例1,2及び比較例1,2について、ウェブが弛むことなく該ウェブを第1サクションドラムから第2サクションドラムに安定的に受け渡しできる必要最低限の張力を発生させるため、第1サクションドラムの回転速度(周速)に対する第2サクションドラムの回転速度を調整し、測定した。
また、第1サクションドラムに吸引される前のウェブの幅(SD1入口ウェブ幅)と、構成繊維の交絡後、第2サクションドラムから離れた不織布の幅(SD2出口不織布幅)とをそれぞれ測定した。
そして、SD1入口ウェブ幅とSD2出口不織布幅との差から幅縮み率(%)を求めて、第1サクションドラムと第2サクションドラムとの位置関係が、製造される不織布に与える影響を、幅縮み率に基づいて評価した。
この比較実験に用いる不織布の製造装置は、前記第1サクションドラムと第2サクションドラムの位置関係以外に係る構成については、実施例1,2及び比較例1,2のいずれの場合も、各サクションドラムの外周径等を含め、前記実施の形態において説明した製造装置の構成と同じである。また、第1サクションドラムや第2サクションドラムの各吸引力についても実施例1,2及び比較例1,2のいずれの場合も、同じ条件とした。
また、実施例1及び実施例2は、第1サクションドラムに対する第2サクションドラムの水平方向の位置及び鉛直方向の位置が本発明の範囲内にある例であるが、第1サクションドラムと第2サクションドラムとの位置関係については、実施例2の場合の位置関係よりも、実施例1の場合の位置関係の方を、最も好ましい位置関係、即ち前記実施の形態で説明した図2に示す位置関係に近い設定とした。
前記比較実験の結果を表1に示す。
Figure 0006270487
表1に示すように、実施例1及び実施例2については、形成された不織布の幅縮み率が、一般に限度とされている3.0%以下となった。
したがって、本発明の製造装置において、ウェブを第1サクションドラムから第2サクションドラムに安定的に受け渡すに際して、第1サクションドラムと第2サクションドラムとの周速差を小さく抑えながらも、ウェブを弛ませることなく安定的に搬送することができる上、受け渡す際にウェブに幅入り現象が発生することが抑えられておりことがわかる。特に、実施例1については、幅縮み率が2.0%以下にまで抑えられ、幅入りがきわめて効果的に抑止されていると考えられる。
一方、比較例1及び比較例2については、形成された不織布の幅縮み率が3.0%超となって、顕著な幅入り現象が発生していることから、生産性等に大きな影響を与えると考えられる。
このように、本発明の製造装置によれば、ウェブを一対のサクションドラム間において受け渡す際に幅入り現象が発生することを可及的に抑えるという技術的課題が解決される
ことが実証された。
1 不織布の製造装置
2 ウェブ
3 第1サクションドラム
4 第2サクションドラム
5,6 第1面側噴射装置
7 第2面側噴射装置
32 第1サクションドラムの外周面における水平方向の下流側に位置する頂部
42 第2サクションドラムの外周面における水平方向の下流側に位置する頂部
43 第2サクションドラムの外周面における水平方向の上流側に位置する頂部

Claims (5)

  1. 搬送中のウェブに流体を噴射して該ウェブの構成繊維を交絡することにより不織布を製造する装置であって、
    軸線まわりに回転しながら搬送中のウェブを吸引して、そのウェブの第1面側が外方を向くように該ウェブを外周面において保持する第1サクションドラムと、
    前記第1サクションドラムの外周面に保持された前記ウェブに対して、該ウェブの第1面側から流体を噴射する第1面側噴射装置と、
    前記第1サクションドラムよりも搬送方向の下流側に配設されて、軸線まわりに回転しながら該第1サクションドラムから離れたウェブを吸引して、そのウェブの前記第1面側とは反対側に位置する第2面側が外方を向くように該ウェブを外周面において保持する第2サクションドラムと、
    前記第2サクションドラムの外周面に保持されているウェブに対して、該ウェブの第2面側から流体を噴射する第2面側噴射装置とを備え、
    前記第1サクションドラムと第2サクションドラムとは、相互に非接触、且つ各軸線が相互に平行となるように配設されていて、
    前記第2サクションドラムは、
    水平方向について、前記第2サクションドラムの外周面における水平方向の下流側に位置する頂部が、前記第1サクションドラムの外周面における水平方向の下流側に位置する頂部の、鉛直方向に延びる接線よりも水平方向の下流側又は該接線上に位置し、
    且つ、前記第1サクションドラムの軸線と前記第2サクションドラムの軸線との間の水平方向距離L1が、これらの第1サクションドラムの外周径D1と第2サクションドラムの外周径D2との関係においてL1<0.7(D1+D2)となる位置に配設され、
    鉛直方向について、前記第2サクションドラムの軸線が、前記第1サクションドラムの軸線よりも下方に位置し、
    且つ、前記第1サクションドラムの軸線と第2サクションドラムの軸線との間の鉛直方向距離L2がL2<D1となる位置に配設されている、不織布の製造装置。
  2. 前記第2サクションドラムは、水平方向について、該第2サクションドラムの外周面における水平方向の上流側に位置する頂部が、前記第1サクションドラムの外周面における水平方向の下流側に位置する頂部の、鉛直方向に延びる接線上となる位置に配設されている、請求項1に記載の不織布の製造装置。
  3. 前記第2サクションドラムは、鉛直方向について、前記第1サクションドラムの軸線と該第2サクションドラムの軸線との間の鉛直方向距離L2がL2=D1/2となる位置に配設されている、請求項1又は請求項2に記載の不織布の製造装置。
  4. 前記第1サクションドラムの外周径と前記第2サクションドラムの外周径とが同径である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の不織布の製造装置。
  5. 前記第1面側噴射装置は、前記第1サクションドラムの外周面における、鉛直方向において最も高い位置にある頂部よりも上流側の範囲に対してそれぞれ水を噴射できるように配設されており、かつ前記第2面側噴射装置は、前記第2サクションドラムの外周面における、鉛直方向において最も高い位置にある頂部と、水平方向の下流側に位置する頂部とのほぼ中間の位置に対して水を噴射することができるように配設されている、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の不織布の製造装置。
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