JP6269996B1 - フィルム材のインサート成形方法及びその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】最終成形品の構造に影響を与えることなくフィルム材の不具合を防止することができるフィルム材のインサート成形方法及びその装置を提供する。【解決手段】意匠部5を備えたフィルム材11で構成された第1中間体2の表面に透明樹脂層12を形成するフィルム材11のインサート成形装置において、第1中間体2が配置される第1金型31と、第1金型31と協働してキャビティC1とキャビティC1の周縁外側からキャビティC1内に溶融した透明樹脂材12を供給するサイドゲート38bとを構成する第2金型32とを備え、サイドゲート38b内を流動する透明樹脂材12が第1中間体2のサイドゲート38bに対向した端部分を第1金型31に押圧するように透明樹脂材12の流れ方向を変更する凸部36を有する流れ方向変更手段を設けた。【選択図】 図11

Description

本発明は、意匠部を備えたフィルム材で構成された中間体の表面に透明樹脂層を形成するフィルム材のインサート成形方法及びその装置に関する。
従来より、車両の内外装品や家電製品等の合成樹脂成形品において装飾性を向上させるため、意匠部を備えたフィルム材をインサート成形方法によって透明樹脂層或いは基材樹脂層に貼り付け一体化するものが実用に供されている。
フィルム材を合成樹脂層等に貼り付ける方法としては、意匠部が絵柄や凹凸形状により加飾(予備成形)されたフィルム材を射出成形金型のキャビティ内に配置した後、合成樹脂層等の材料である溶融樹脂材をキャビティ内に射出することで、フィルム材と合成樹脂層等を熱溶着にて接合する方法が採用されている。
溶融樹脂材の導入ゲートがキャビティに対して直接接続された金型で成形した場合、成形品の意匠面にゲート跡が残り、商品性が低下する。
一方、導入ゲートをキャビティの側方に配置し、導入ゲートとキャビティとの間をサイドゲートで連結したサイドゲート方式の金型が存在している。
このサイドゲート方式の金型では、意匠面に形成されるゲート跡を防止することができるものの、サイドゲートからキャビティ内に流入する溶融樹脂材の押圧力によってキャビティ内に配置されたフィルム材に横ずれが生じるという問題があった。
そこで、フィルム材の横ずれ対策が数多く提案されている。
特許文献1の合成樹脂製模様付き透明蓋状体の成形方法は、下面形成用上面と、周壁の内周面形成用外周面とを有する凸状金型部分を可動金型に設け、サイドゲートと対向する凸状金型部分の外縁からフランジを起立し、このフランジ内面に当接するようにフィルム材を凸状金型部分上面に載置させた後、フィルム材をインサート成形する。
これにより、射出成形時、フィルム材を横ずれさせることなく、位置決めしている。
特許文献2の射出成形型は、フィルム材を金型にセットして型閉めした状態で、フィルム材の外周端末部が外側に所定角度で傾斜して反り返る反返り部を収容する反返り部収容凹部を金型成形面にサイドゲートに連続するように凹設している。
これにより、射出成形時、サイドゲートを通過した溶融樹脂材の押圧力で反返り部を反返り部収容凹部に押し付けている。
特開2004−299340号公報 特開2006−231794号公報
特許文献1及び特許文献2の実施の形態1の技術では、金型のキャビティ内における構造変更を伴うため、最終成形品の構造に影響を与える虞がある。
一方、最終成形品の構造に影響を与えない構造として、特許文献2の実施の形態2がある。この特許文献2の実施の形態2は、サイドゲートの上流端まで延設する延設部先端に反返り部を設けて対策が図られているが、ランナー下流の射出成形圧力が高いサイドゲート位置における対策であるため、成形表皮に複雑な形状の反返り部が必要であり、成形表皮をフィルムで構成する場合、同様の成形が困難であった。
溶融樹脂材の押圧力がフィルム材の端部に作用することを防止するため、導入ゲートを超える領域までフィルム材の端部を延長することも考えられる。
しかし、フィルム材端部の延長は、フィルム材の歩留り悪化を招く上、サイドゲート部分の樹脂固形物の再利用を阻害するため、生産コスト的に課題が残る。
本発明の目的は、最終成形品の構造に影響を与えることなくフィルム材の不具合を防止することができるフィルム材のインサート成形方法及びその装置等を提供することである。
請求項1の発明は、意匠部を備えたフィルム材で構成された中間体の表面に透明樹脂層を形成するフィルム材のインサート成形方法において、第1金型と、前記第1金型と協働してキャビティを構成すると共に前記キャビティの周縁外側からキャビティ内に溶融した透明樹脂材を供給するサイドゲートを形成する第2金型と、前記キャビティに供給される溶融した透明樹脂材の流れ方向を変更する流れ方向変更手段とを準備すると共に前記第1金型の前記サイドゲートと導入ゲートとの間に設けられたランナーの上流部分に対応した位置に前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を吸引可能な吸引通路を形成する準備工程と、前記第1金型に前記中間体を配置する配置工程と、前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を吸引して前記第1金型に拘束する拘束工程と、前記第1,第2金型の型閉めにより形成されたキャビティ内に溶融した透明樹脂材を射出すると共に前記ランナー内を流動する前記透明樹脂材が前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を前記流れ方向変更手段によって前記第1金型に押圧する射出工程と、を有することを特徴としている。
この構成によれば、第1金型と、前記第1金型と協働してキャビティを構成すると共に前記キャビティの周縁外側からキャビティ内に溶融した透明樹脂材を供給するサイドゲートを形成する第2金型と、前記キャビティに供給される溶融した透明樹脂材の流れ方向を変更する流れ方向変更手段とを準備すると共に前記第1金型の前記サイドゲートと導入ゲートとの間に設けられたランナーの上流部分に対応した位置に前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を吸引可能な吸引通路を形成する準備工程を有するため、キャビティ内の構造変更を必要とすることなく溶融した透明樹脂材の流れ方向を変更する流れ方向変更手段を形成することができる。また、前記第1金型に前記中間体を配置する配置工程と、前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を吸引して前記第1金型に拘束する拘束工程と、前記第1,第2金型の型閉めにより形成されたキャビティ内に溶融した透明樹脂材を射出すると共に前記ランナー内を流動する前記透明樹脂材が前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を前記流れ方向変更手段によって前記第1金型に押圧する射出工程とを有するため、ランナーに対向した中間体の端部分を押圧固定することができ、中間体の不具合の発生を防止することができる。
請求項2の発明は、意匠部を備えたフィルム材で構成された中間体の表面に透明樹脂層を形成するフィルム材のインサート成形装置において、前記中間体が配置される第1金型と、前記第1金型と協働してキャビティと前記キャビティの周縁外側からキャビティ内に溶融した透明樹脂材を供給するサイドゲートとを構成する第2金型とを備え、前記第1金型に前記サイドゲートと導入ゲートとの間に設けられたランナーの上流部分に対応した位置に前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を吸引可能な吸引通路を形成し、記ランナー内を流動する前記透明樹脂材が前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を前記第1金型に押圧するように前記透明樹脂材の流れ方向を変更する流れ方向変更手段を設けたことを特徴としている。
この構成によれば、第1金型に前記サイドゲートと導入ゲートとの間に設けられたランナーの上流部分に対応した位置に前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を吸引可能な吸引通路を形成し、ランナー内を流動する前記透明樹脂材が前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を前記第1金型に押圧するように前記透明樹脂材の流れ方向を変更する流れ方向変更手段を設けたため、キャビティ内の構造変更を必要とすることなく溶融した透明樹脂材の流れ方向を変更する流れ方向変更手段を形成することができ、ランナーに対向した中間体の端部分を押圧固定して中間体の不具合の発生を防止することができる。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記中間体にその端部分から前記ランナー内に侵入する延長部を設け、前記流れ方向変更手段が前記延長部よりも上流側近傍位置に配設されたことを特徴としている。
この構成によれば、ランナーに対向した中間体の端部分を確実に押圧固定することができる。
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において、前記中間体の外周端近傍部に放射方向外側に延びる縁部を設け、前記第1,第2金型を型閉めしたとき、前記縁部が前記第1,第2金型の間に挟持されることを特徴としている。
この構成によれば、中間体の外縁全域に亙って金型に固定することができ、射出成形時、中間体の皺の発生を防止することができる。
請求項5の発明は、請求項2〜4の何れか1項の発明において、前記流れ方向変更手段が前記ランナー内の透明樹脂材と対向する凸部を有し、前記凸部が、前記ランナー内を流動する透明樹脂材を前記凸部に対して反対側のランナーの壁部に向けて方向変換することを特徴としている。
この構成によれば、簡単な構成でランナー内を流動する透明樹脂材が中間体のランナーに対向した端部分を第1金型に押圧するように透明樹脂材の流れ方向を変更することができる。
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記中間体の延長部を前記第1金型方向に吸引する吸引通路が前記凸部の下流側位置に設けられたことを特徴としている。
この構成によれば、中間体のランナーに対向した端部分を一層第1金型に押圧することができる。
請求項7の発明は、意匠部を備えたフィルム材で構成された中間体の表面に透明樹脂層を形成するフィルム材のインサート成形装置において、前記中間体が配置される第1金型と、前記第1金型と協働してキャビティと前記キャビティの周縁外側からキャビティ内に溶融した透明樹脂材を供給するサイドゲートとを構成する第2金型とを備え、前記サイドゲートと導入ゲートとの間に設けられたランナー内を流動する前記透明樹脂材が前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を前記第1金型に押圧するように前記透明樹脂材の流れ方向を変更する流れ方向変更手段を設け、前記流れ方向変更手段が、前記ランナーの上流部分に対応した位置で且つ前記中間体の前記ランナーに対向した端部分よりも上流側位置に前記第2金型方向に突出した前記第1金型の立方体状の凸部と、前記第1金型に漸次接近すると共に前記凸部に対向した前記第2金型の前記ランナーの一部を構成する壁部とを有することを特徴としている。
この構成によれば、ランナーに対向した中間体の端部分を押圧固定して中間体の不具合の発生を防止することができる。
本発明のフィルム材のインサート成形方法及びその装置によれば、最終成形品の構造に影響を与えることなく、また、フィルム材の端部に複雑な形状を形成することなく、フィルム材の不具合を防止することができる。
実施例1に係るフィルム材のインサート成形方法によって製造された車両のエンブレムの部分縦断面斜視図である。 図1の要部拡大図であって、(a)はa領域、(b)はb領域の拡大図である。 フィルム材のインサート成形方法のフローチャートである。 中間体形成工程のフローチャートである。 色付工程の工程図である。 凹凸作成工程を順番に示す工程図である。 第1中間体の正面図である。 透明樹脂層形成工程のフローチャートである。 第1金型本体と入子型の分解斜視図である。 透明樹脂層形成工程の第1工程における第1,第2金型の縦断面図である。 透明樹脂層形成工程の第2工程における第1,第2金型の縦断面図である。 透明樹脂層形成工程の第3工程における第1,第2金型の縦断面図である。 透明樹脂層形成工程の第4工程における第1,第2金型の縦断面図である。 サイドゲート回りの縦断面図である。 透明樹脂層形成工程における樹脂温度のタイムチャートである。 第1金型本体のロケートピン回りの縦断面図であって、(a)はエジェクト前、(b)はエジェクト時の図である。 基材樹脂層形成工程のフローチャートである。 基材樹脂層形成工程の第1工程における第1,第2金型の横断面図である。 基材樹脂層形成工程の第2工程における第1,第2金型の横断面図である。 基材樹脂層形成工程の第3工程における第1,第2金型の横断面図である。 基材樹脂層形成工程の第4工程における第1,第2金型の横断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明は、本発明を車両のエンブレムの成形方法及びその装置に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
以下、本発明の実施例1について図1〜図15に基づいて説明する。
まず、エンブレム1(インサート成形品)が装着される車両について説明する。
この車両は、フロントグリルの裏面側位置にミリ波レーダ(図示略)を備えている。
ミリ波レーダは、30GHz〜300GHzの周波数、1〜10mmの波長を有するミリ波を用いて、自車両から送信された送信波と対象物(例えば先行車両等)から反射された受信波との差に基づき対象物と自車両との車間距離や相対速度を測定可能に構成され、この検出値を用いてオートクルーズシステム等の運転支援システムが実行される。
ミリ波レーダ前方に存在する壁部肉厚が均一に形成されていない場合、厚肉部分と薄肉部分とのミリ波の透過速度に差が生じ、検出値のばらつきに起因して制御精度が低下するため、本実施例では、レーダの進行経路内に厚みが均一に構成されたエンブレム1が含まれるようにミリ波レーダの設置位置が規定されている。
次に、最終製品であるエンブレム1について説明する。
図1に示すように、エンブレム1は、意匠部が形成された第1中間体2と、この第1中間体2の表面に形成された透明樹脂層3と、第1中間体2の裏面に形成された基材樹脂層4等を備えている。このエンブレム1の厚み寸法は、ミリ波レーダが照射するミリ波の波長の半分の整数倍になるように均一に設定されている。
第1中間体2は、光の透過と反射を波長毎に制御できる波長選択性を備え、レーダ光の反射率90%以上を有し且つ重金属を含まないフィルム材11(例えば東レ株式会社製PICASUS(登録商標))で構成されている。
この第1中間体2は、形状部5aと、この形状部5a周りに形成された背景部5bとから構成された意匠部5を備えている。形状部5aは、金属光沢(例えば銀色等)を備えた所定のマーク形状及びこのマーク形状を囲む楕円形状が背景部5bから表面方向に凸状形成されており、背景部5bは、形状部5aを除く領域に黒色で意匠表現されている。
図1に示すように、第1中間体2の表面は、透明な透明樹脂層3によって一様に覆われている。これにより、意匠部5に深み感を与え、エンブレム1の意匠性を高めている。
透明樹脂層3は、非晶性合成樹脂からなる透明樹脂材12(例えばポリカーボネート(PC))で構成されている。この透明樹脂材12は、分子鎖を有し、溶融状態から冷却、固化する過程で規則的な分子配列をとれないため、ガラス転移温度Tgを超えると機械的強度が急激に低下する特性を有している。
また、透明樹脂材12は、固化状態においてもランダムな配列になることから、結晶性合成樹脂(例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)と比較して加熱又は冷却において容積の膨張又は収縮において緩やかな変化傾向を有している。
本実施例では、透明樹脂層3の外部に露出した表面を紫外線カット効果を備えたハードコート層で一様に被覆している。
以下、第1中間体2の表面に透明樹脂層3が形成された中間構造体を、説明の便宜上、第2中間体6として説明する。
図1,図2(a),図2(b)に示すように、第1中間体2(第2中間体6)の裏面及び第1中間体2の放射方向外側端部の外周部分は、有色(例えば黒色等)の基材樹脂層4によって一様に覆われている。これにより、エンブレム1の剛性を確保しつつ、見栄え向上を図っている。
基材樹脂層4は、非晶性合成樹脂からなる基材樹脂材13(例えばアクリルニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS))で構成されている。この基材樹脂材13は、透明樹脂材12のガラス転移温度Tg(145℃)に比べて低いガラス転移温度を有している。
尚、ABSに代えて、ポリカーボネート、ポリカABS(PC/ABS)、ポリカPBT(PC/PBT)の何れかによって基材樹脂材13を構成しても良い。
次に、エンブレム1の成形方法について説明する。
以下の説明は、インサート成形装置の説明を含むものである。
図3に示すように、エンブレム1のインサート成形処理手順は、フィルム材11の最終形状の外周端近傍部に放射方向外側に延びる縁部2aを備えた第1中間体2(図7参照)を形成する中間体形成工程S1と、第1,第2金型31,32により縁部2aが固定された第1中間体2の表面に射出成形によって透明樹脂層3を備えた第2中間体6を形成する透明樹脂層形成工程S2と、第2中間体6の裏面に射出成形によって縁部2aの放射方向外側端部を覆う基材樹脂層4を備えたインサート成形品としてのエンブレム1を形成する基材樹脂層形成工程S3とを備えている。
まず、中間体形成工程S1について詳細に説明する。
図4に示すように、中間体形成工程S1は、長尺帯状のフィルム材11の表裏両面に夫々連続して意匠部5に係るスクリーン印刷を行う色付工程S11と、各意匠部5の形状部5aに凹凸形状(凹凸意匠)を形成する凹凸作成工程S12と、長尺帯状のフィルム材11から最終の外形形状になるように不要な部分を取除くトリミングを行ってエンブレム1に対応したフィルム材11の最終形状(第1中間体2)を形成するトリミング工程S13とから構成されている。
図5に示すように、色付工程S11では、矢印方向に移動する長尺帯状のフィルム材11の表裏両面に色付装置21によって連続印刷している。
色付装置21は、フィルム材11の表面に形状部5aの形状に対応したマスク処理を行い、一巡目にて、マスク処理を行ったフィルム材11の表面のマスク処理されていない領域(背景部5b)に黒色塗料を転写し、マスクを取り外して乾燥させた後、二巡目にて、フィルム材11の裏面に灰色塗料を転写し、乾燥させている。
これにより、長尺帯状のフィルム材11に、凹凸が形成されていない形状部5aと背景部5bとからなる複数の意匠部5が連続して印刷される。
凹凸作成工程S12では、長尺帯状のフィルム材11の形状部5aに対応する位置に圧空成形型22,23によって凹凸形状を形成している。
図6(a),図6(b)に示すように、所定位置に配置され且つ加熱軟化されたフィルム材11を圧空成形型22,23の型閉め動作によって挟み込み、型22とフィルム材11の間を真空にすると共に型23側から供給される圧縮空気の圧力によってフィルム材11を型22に密着させて凹凸形状を成形している。
これにより、フィルム材11の形状部5aに対応する位置、所謂中央のマーク及びマークを囲む楕円部分に高低差約5mm程度の凹凸意匠が形成されている。
尚、圧空成形に代えて真空成形で凹凸形状を形成しても良い。
トリミング工程S13では、トリミング装置(図示略)によってフィルム材11から第1中間体2を形成している。
図7に示すように、第1中間体2は、形状部5aと背景部5bからなる意匠部5を含み且つエンブレム1に対応するように正面視にて略楕円状に形成され、外周端近傍部に放射方向外側に僅かに延びる縁部2aを備えている。
縁部2aの放射方向寸法は、透明樹脂層形成工程S2において溶融等により僅かに残る程度の寸法である。
縁部2aは、第1中間体2の全周に亙って一様に形成されている。
この縁部2aには、長径方向両端部に放射方向内側に凹入した略矩形状の1対の凹部2bと、全周に亙って放射方向に延びる複数の切れ込み部2cが設けられている。
縁部2aのうち、後述するランナー38bに対向する部分には、縁部2aの放射方向外側端から放射方向外側に延びる延長部2dが形成されている。
この延長部2dは、先端部分がランナー38b内に部分的に侵入可能な寸法に設定されている(図11参照)。
次に、透明樹脂層形成工程S2について詳細に説明する。
図8に示すように、透明樹脂層形成工程S2は、第1,第2金型31,32を準備する準備工程S21と、第1中間体2を第1金型31に配置する配置工程S22と、第1中間体2を第1金型31に対して位置決め支持する拘束工程S23と、型閉工程S24と、射出機構(図示略)により溶融した透明樹脂材12をキャビティC1内に射出する射出工程S25と、透明樹脂材12を第1冷却速度K1で冷却する第1冷却工程S26と、型開工程S27と、第2中間体6を第2冷却速度K2で冷却する第2冷却工程S28等を有している。ここで、第1,第2金型31,32が、透明樹脂層形成手段に相当している。
準備工程S21では、可動型である第1金型31と、この第1金型31と協働してキャビティC1を構成する固定型である第2金型32とを準備している。
第1金型31は、第1中間体2を水平方向に対して略直交姿勢の状態で支持可能に設けられ、金型温度を調節可能に構成されている。
図9,図10a〜図10dに示すように、第1金型31は、第1中間体2を真空吸引可能な真空ポンプ33(吸引機構)と、本体31aと、この本体31aに設けられた凹所に挿入可能な入子型31b等を備えている。
入子型31bは、平面視にて形状部5aの平面形状と同一形状に形成され、入子型31bの一側半部内には本体31aの一部が予め装填されている。
本体31aと入子型31bは、形状部5aと背景部5bとの境界部に対応した部分に分割隙間(間隔約0.05mm)である第1吸引通路34aを形成している。
第1吸引通路34aは何れも環状に連通されている。また、後述する凸部36の下流側近傍位置には、第2吸引通路34bが形成されている。
第1金型31は、可動部31cと、真空ポンプ33の吸引力を第1,第2吸引通路34a,34bに伝達する複数の溝部34cと、これら複数の溝部34cに均一な吸引力を分配する分配部35と、本体31aのランナー38bの上流部分に対応した位置に形成された凸部36と、1対のロケートピン37(位置決め機構)等を備えている。
可動部31cは、本体31aのランナー38bに対応した位置を除く第2金型32側外周部分に設けられ、第2金型32方向に付勢された状態で本体31aから僅かに(例えば約1.3mm)離隔して配設されている。付勢力及び離隔距離は、この付勢力で可動部31cが第2金型32に当接しているとき、射出工程S25におけるキャビティC1内の空気を外部に排出可能な値に設定されている。
射出工程S25の際、キャビティC1内の透明樹脂材12が所定の充填率(例えば80%)に到達したとき、可動部31cが本体31aに最接近するように第1金型31の進出動作が調整されている。
図10a〜図10dに示すように、複数の溝部34cは、第1,第2吸引通路34a,34bの端部分に夫々対応して形成されている。
分配部35は、第1,第2吸引通路34a,34bを真空ポンプ33に連通している。この分配部35は、入子型31bの第2金型32と反対側部分(第1,第2吸引通路34a,34bの上流側部分)に設けられ、複数の溝部34cに並列状に連結されている。
図9,図11に示すように、立方体状の凸部36は、第1中間体2の延長部2dの上流側近傍位置において、本体31aから直交状に第2金型32方向に突出し、ランナー38b内を型面方向一端側から他端側に亙って横切るように形成されている。
凸部36とランナー38bを構成する第2金型32の凸部36に対向する壁部が、透明樹脂材12の流れ方向変更手段に相当している。
1対のロケートピン37は、第1中間体2の長径方向両端部に形成された1対の凹部2bに夫々嵌合可能に構成されている。これら1対のロケートピン37は、本体31aから第2金型32方向に進出及び後退可能に夫々形成され、透明樹脂層3の受面部3aに係合することにより第2中間体6のエジェクト機能を備えている。
図10a〜図10dに示すように、第2金型32は、第2中間体6を水平方向に対して略直交姿勢の状態で成形可能に設けられ、金型温度を調節可能に構成されている。
第2金型32は、射出機構と、この射出機構とサイドゲートとをランナー38bを介して連通する導入ゲート38aと、ランナー38bの一部を構成し且つ第1金型31に対向した壁部等を備えている。この第2金型32と第1金型31とが型閉めされたとき、第1,第2金型31,32が協働してキャビティC1とランナー38bを形成し、ランナー38bの下流端部がサイドゲートを形成している。
図11に示すように、導入ゲート38aは、第1金型31側程径寸法が大きくなるように設定され、型閉め時、ランナー38bとの連結部には所定容量の容積室が形成されるように構成されている。
図10aに示すように、第1,第2金型31,32を離隔させた状態で、第1中間体2を第1金型31の規定位置に配置する。配置工程S22では、第1中間体2に形成された1対の凹部2bを1対のロケートピン37に夫々嵌合させて位置決めしている。
図10bに示すように、拘束工程S23では、形状部5aと背景部5bとの境界部に対応した第1吸引通路34aを介して第1中間体2を第1金型31方向に吸引する。
形状部5aと背景部5bとの境界部を吸引することにより、商品性を維持しつつ支持能力を向上している。特に、形状部5aが凹凸形状の場合には、境界部(稜線部)に積極的に吸引痕をつけることにより形状部5aの形状精度を高くすることができる。
また、第1吸引通路34aを形状部5aに対応させて環状に連通することにより、第1中間体2を全域に亙って均等な吸引力で吸引固定している。
図10cに示すように、型閉工程S24では、第1金型31が接近移動することにより、第1,第2金型31,32の型面が当接してキャビティC1を形成する。
本体31aに対して位置決めされた第1中間体2が、第1,第2金型31,32による型閉めにより延長部2dに対応した縁部2aを除いて略全周に亙って縁部2aが第1,第2金型31,32に挟持されるため、規定された位置に確実に保持される。
このとき、可動部31cは、所定の付勢力により本体31aから離隔している。
図10dに示すように、射出工程S25では、射出温度T1まで加熱された溶融透明樹脂材12をキャビティC1内に射出する。溶融透明樹脂材12は、射出機構から射出され、導入ゲート38a及びランナー38bを介してキャビティC1内に供給される。
図11の矢印Fに示すように、凸部36が、ランナー38b内を流動する透明樹脂材12を凸部36と反対方向のランナー38bの一部を構成する第2金型32の壁部に向けて方向変換させ、その後、ランナー38bの一部を構成する第2金型32の壁部が、第1中間体2の延長部2dを第1金型31方向に押圧するように透明樹脂材12の流動方向を変更している。これにより、第1中間体2の延長部2dには、第2吸引通路34bからの吸引力と透明樹脂材12からの押圧力とが第1金型31方向に作用している。
また、キャビティC1内の透明樹脂材12の充填率が80%未満の期間は、第2金型32と可動部31cの接触圧力が所定の値に調整されているため、キャビティC1内の空気が透明樹脂材12の流入を阻害することなく外部に排出される。これにより、透明樹脂材12の注入に同期してキャビティC1内から空気を円滑に排出することができる。
第1冷却工程S26では、透明樹脂材12を射出温度T1から金型温度T2(T2<T1)まで第1冷却速度K1で冷却する。これにより、透明樹脂層3を成形している。
透明樹脂材12が非晶性合成樹脂であるため、成形性を考慮したガラス転移温度Tgと金型温度T2との関係は、次式(1)で表すことができる。
Tg−40≦T2≦Tg−20 …(1)
従って、透明樹脂材12がポリカーボネートの場合、250℃≦T1≦320℃、105℃≦T2≦125℃の温度範囲とされ、本実施例では、射出温度T1を300℃、金型温度T2を120℃に設定している。
図12に示すように、溶融透明樹脂材12がキャビティC1内に供給されるt1〜t2の期間(射出工程S25)は、透明樹脂材12の温度が射出温度T1に維持され、射出工程S25の終了と同時に透明樹脂材12の冷却が開始される。
第1冷却速度K1は、射出温度T1と、金型温度T2と、冷却期間(t3−t2)との関係によって次式(2)のように設定されている。
(T1−Tg+40)/(t3−t2)≦K1≦(T1−Tg+20)/(t3−t2) …(2)
尚、冷却期間(t3−t2)は、成形能率と成形性とを考慮して透明樹脂材12の種類毎に予め設定されている。
また、第1冷却工程S26と同時に保圧工程が開始される。
この保圧工程は、第1冷却工程S26の期間のうち所定期間第1中間体2と透明樹脂層3とをキャビティC1内で保圧している。
型開工程S27は、t3〜t4の期間に実行され、第1金型31を第2金型32から離隔するように後退移動させた後、第2中間体6を取り出す。
図2(b),図13(a)に示すように、第2中間体6の透明樹脂層3には、凹部2bに対応した位置に放射方向内側に凹設された矩形状の受面部3aが設けられ、1対のロケートピン37の放射方向内側端部分が、第2中間体6の放射方向外側端部分に部分的に重なり合うことにより係合可能に夫々形成されている。
それ故、図13(b)に示すように、型開き後、1対のロケートピン37の進出動作により第2中間体6が第1金型31から取り出される。
尚、受面部3aは、角状(矩形状)の凹設部に限らず、傾斜による凹設部であっても良い。傾斜による凹設部の場合、反射光の急激な輝度変化がなく、見栄え改善による商品性向上を図ることができる。
第2冷却工程S28では、キャビティC1の外に取り出された第2中間体6を第1冷却速度K1よりも速い第2冷却速度K2で常温(例えば20〜30℃)まで冷却する。
図12に示すように、第1金型31から取り出された第2中間体6は、型開工程S28の終了と同時に冷却が開始され、t4〜t5の期間冷却される。
これにより、熱収縮速度の速い第1中間体2と、この第1中間体2と一体化された熱収縮速度の遅い透明樹脂層3との収縮量を揃えることができ、両者間に生じる剥離に起因した隙間の発生を抑制している。
第2冷却工程S28の第2冷却速度K2は、2℃/sec以上で透明樹脂層3の収縮促進効果が発揮され、4℃/sec以上で高い効果を期待することができる。
第2中間体6は、第1金型31からの取り出しと同時に常温水に浸けられている。
第2中間体6の冷媒は、所定の冷却速度を管理できれば良く、ウォータミストによって冷却しても良く、ドライアイスによって冷却することも可能である。
次に、基材樹脂層形成工程S3について詳細に説明する。
図14に示すように、基材樹脂層形成工程S3は、第1,第2金型41,42を準備する準備工程S31と、第2中間体6を第1金型41に配置する配置工程S32と、第2中間体6を第1金型41に対して位置決め支持する拘束工程S33と、型閉工程S34と、射出機構(図示略)により溶融した基材樹脂材13をキャビティC2に射出する射出工程S35と、基材樹脂材13を冷却する冷却工程S36と、型開工程S37等を有している。ここで、第1,第2金型41,42が、基材樹脂層形成手段に相当している。
準備工程S31では、固定型である第1金型41と、この第1金型41と協働してキャビティC2を構成する可動型である第2金型42とを準備している。
第1金型41は、第2中間体6を水平方向に対して略直交姿勢の状態で支持可能に設けられ、金型温度を調節可能に構成されている。
図15a〜図15dに示すように、第1金型41は、1対の開口部41aと、第2中間体6を真空吸引可能な真空ポンプ43(吸引機構)と、1対の開口部41aに真空ポンプ43の吸引力を夫々伝達する1対の吸引通路44と、真空ポンプ43の吸引力を通路毎に均一化して分配する分配部45等を備えている。
尚、説明の便宜上、図15a〜図15dは横断面図を示している。
1対の開口部41aは、第2中間体6の透明樹脂層3を吸引するように構成され、略椀状に夫々形成されている。これら開口部41aは、透明樹脂層3の表面から第1中間体2までの厚みが第2中間体6の平均厚みよりも厚い領域に対応するように略対称位置に配置されている。本実施例では、第2中間体6の中心に対して長径方向両側の背景部5bの位置P(図7参照)に対応した位置に1対の開口部41aを配設している。
1対の開口部41aは、真空ポンプ43と1対の吸引通路44及び分配部45を介して夫々連通されている。分配部45は、一端部が真空ポンプ43に接続され、他端部が1対の吸引通路44の上流側端部と並列状に接続されている。
図15a〜図15dに示すように、第2金型42は、第2中間体6を水平方向に対して略直交姿勢の状態で成形可能に設けられ、金型温度を調節可能に構成されている。
第2金型42は、射出機構(図示略)と、この射出機構とキャビティC2とを連通する導入ゲート48等を備えている。この第2金型42と第1金型41とが型閉めされたとき、第1,第2金型41,42が協働してキャビティC2を形成している。
キャビティC2の形状は、最終のインサート成形品の厚みが略均一で且つ第1中間体2の縁部2aの放射方向外側端部の表面及び受面部3aを覆う基材樹脂層4を形成するように構成されている。
導入ゲート48は、キャビティC2の中央部分に対応するように形成され、第1金型41側程径寸法が大きくなるように構成されている。
図15aに示すように、第1,第2金型41,42を離隔させた状態で、第2中間体6を第1金型41の規定位置に配置する。
配置工程S32では、透明樹脂層3の長径方向両側の背景部5bに対応した領域(位置Pに対応した領域)が1対の開口部41aに当接するように位置決めしている。
図15bに示すように、拘束工程S33では、1対の開口部41aを介して第2中間体6を第1金型41方向に吸引する。第2中間体6を長径方向に略3等分した位置で支持するため、均等な吸引力で支持能力を高くすることができる。
図15cに示すように、型閉工程S34では、第2金型42が接近移動することにより、第1,第2金型41,42が当接してキャビティC2を形成する。
図15dに示すように、射出工程S35では、射出温度T3まで加熱された溶融基材樹脂材13をキャビティC2内に射出する。溶融基材樹脂材13は、射出機構から射出され、導入ゲート48を介してキャビティC2内に供給される。
基材樹脂材13がABSの場合、射出温度(溶融温度)T3が180〜270℃であり、ポリカーボネートのガラス転移温度Tgよりも高いため、透明樹脂層3の軟化に起因した吸引痕が懸念されるが、溶融基材樹脂材13の熱が最も伝達され難い部分(位置Pに対応した領域)で支持することにより、吸引痕の発生を回避している。また、第1中間体2の縁部2aに放射方向に延びる複数の切れ込み部2cが形成されているため、皺対策に加えて、溶融基材樹脂材13の縁部2aの表面側への回り込み性を高めている。
冷却工程S36では、基材樹脂材13を射出温度T3から金型温度T4(T4<T3)まで一定の冷却速度で冷却する。溶融基材樹脂材13を固化させることにより、基材樹脂層4を成形している。基材樹脂材13がABSの場合、40℃≦T4≦80℃の温度範囲とされる。
冷却工程S36の冷却速度は、射出温度T3と、金型温度T4と、冷却期間との関係によって設定され、冷却期間は、成形能率と成形性とを考慮して基材樹脂材13の種類毎に予め設定している。
また、冷却工程S36と同時に保圧工程が開始される。
この保圧工程は、冷却工程S36の期間のうち所定期間第2中間体6と基材樹脂層4とをキャビティC2内で保圧している。
型開工程S37では、第2金型42を第1金型41から離隔するように後退移動させた後、エジェクト機構(図示略)により最終製品であるエンブレム1を取り出し、透明樹脂層3の表面にハードコート処理を施す。
次に、本実施例のフィルム材のインサート成形方法及びその装置における作用、効果について説明する。
本インサート成形方法によれば、第1金型31と、第1金型31と協働してキャビティC1を構成すると共にキャビティC1の周縁外側からキャビティC1内に溶融した透明樹脂材12を供給するサイドゲートを形成する第2金型32と、キャビティC1に供給される溶融した透明樹脂材12の流れ方向を変更する凸部36を含む流れ方向変更手段とを準備する準備工程S21を有するため、キャビティC1内の構造変更を必要とすることなく溶融した透明樹脂材12の流れ方向を変更する流れ方向変更手段を形成することができる。また、第1金型31に第1中間体2を配置する配置工程S22と、第1,第2金型31,32の型閉めにより形成されたキャビティC1内に溶融した透明樹脂材12を射出すると共にサイドゲートと導入ゲート38aとの間に設けられたランナー38b内を流動する透明樹脂材12が第1中間体2のランナー38bに対向した端部分を流れ方向変更手段によって第1金型31に押圧する射出工程S25とを有するため、ランナー38bに対向した第1中間体2の端部分を押圧固定することができ、第1中間体2の不具合の発生を防止することができる。
意匠部5を備えたフィルム材11で構成された第1中間体2の表面に透明樹脂層12を形成するフィルム材11のインサート成形装置において、第1中間体2が配置される第1金型31と、第1金型31と協働してキャビティC1とキャビティC1の周縁外側からキャビティC1内に溶融した透明樹脂材12を供給するサイドゲートとを構成する第2金型32とを備え、サイドゲートと導入ゲート38aとの間に設けられたランナー38b内を流動する透明樹脂材12が第1中間体2のランナー38bに対向した端部分を第1金型31に押圧するように透明樹脂材12の流れ方向を変更する凸部36を有する流れ方向変更手段を設けている。
これにより、キャビティC1内の構造変更を必要とすることなく溶融した透明樹脂材12の流れ方向を変更する流れ方向変更手段を形成することができ、ランナー38bに対向した第1中間体2の端部分を押圧固定して第1中間体2の不具合の発生を防止することができる。
第1中間体2にその端部分からランナー38b内に侵入する延長部2dを設け、流れ方向変更手段が延長部2dよりも上流側近傍位置に配設されたため、ランナー38bに対向した第1中間体2の端部分を確実に押圧固定することができる。
第1中間体2の外周端近傍部に放射方向外側に延びる縁部2aを設け、第1,第2金型31,32を型閉めしたとき、縁部2aが第1,第2金型31,32の間に挟持されるため、第1中間体2の外縁全域に亙って第1,第2金型31,32に固定することができ、射出成形時、第1中間体2の皺の発生を防止することができる。
流れ方向変更手段がランナー38b内の透明樹脂材12と対向する凸部36を有し、凸部36が、ランナー38b内を流動する透明樹脂材12を凸部36に対して反対側のランナー38bの壁部に向けて方向変換するため、簡単な構成でランナー38b内を流動する透明樹脂材12が第1中間体2のランナー38bに対向した端部分を第1金型に押圧するように透明樹脂材の流れ方向を変更することができる。
第1中間体2の延長部2dを第1金型31方向に吸引する第2吸引通路34bが凸部36の下流側位置に設けられたため、第1中間体2のランナー38bに対向した端部分を一層第1金型31に押圧することができる。
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、形状部が凹凸形成された意匠部の例を説明したが、少なくとも、中間層が意匠部を備えたフィルム材で形成されれば良く、意匠部が色彩のみで区別された形状部と背景部とにより形成されたインサート成形品であっても良い。この場合、形状部と背景部との色彩境界部が、金型本体と入子型間の分割隙間に対応するように形成する。また、第1中間体の表裏両面に合成樹脂層を設けた例を説明したが、少なくとも、第1中間体の表裏両面のうち一方の面に合成樹脂層を設けても良く、また、合成樹脂層を複数積層することも可能である。
2〕前記実施形態においては、車両の外装品であるエンブレムの例を説明したが、車両の内装品に適用しても良く、また、車両以外の装飾品に適用可能である。
また、透明樹脂層がPC、フィルム材が重金属を含まない特定材質、基材樹脂層がABSの例を説明したが、少なくとも設計条件に合致した材質であれば良く、任意に選択することができる。
3〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態や各実施形態を組み合わせた形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
1 エンブレム
2 第1中間体
2a 縁部
2d 延長部
3 透明樹脂層
5 意匠部
11 フィルム材
12 透明樹脂材
31 第1金型
32 第2金型
34b 第2吸引通路
36 凸部
38b ランナー
C1 キャビティ

Claims (7)

  1. 意匠部を備えたフィルム材で構成された中間体の表面に透明樹脂層を形成するフィルム材のインサート成形方法において、
    第1金型と、前記第1金型と協働してキャビティを構成すると共に前記キャビティの周縁外側からキャビティ内に溶融した透明樹脂材を供給するサイドゲートを形成する第2金型と、前記キャビティに供給される溶融した透明樹脂材の流れ方向を変更する流れ方向変更手段とを準備すると共に前記第1金型の前記サイドゲートと導入ゲートとの間に設けられたランナーの上流部分に対応した位置に前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を吸引可能な吸引通路を形成する準備工程と、
    前記第1金型に前記中間体を配置する配置工程と、
    前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を吸引して前記第1金型に拘束する拘束工程と、
    前記第1,第2金型の型閉めにより形成されたキャビティ内に溶融した透明樹脂材を射出すると共に前記ランナー内を流動する前記透明樹脂材が前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を前記流れ方向変更手段によって前記第1金型に押圧する射出工程と、
    を有することを特徴とするフィルム材のインサート成形方法。
  2. 意匠部を備えたフィルム材で構成された中間体の表面に透明樹脂層を形成するフィルム材のインサート成形装置において、
    前記中間体が配置される第1金型と、
    前記第1金型と協働してキャビティと前記キャビティの周縁外側からキャビティ内に溶融した透明樹脂材を供給するサイドゲートとを構成する第2金型とを備え、
    前記第1金型に前記サイドゲートと導入ゲートとの間に設けられたランナーの上流部分に対応した位置に前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を吸引可能な吸引通路を形成し、
    記ランナー内を流動する前記透明樹脂材が前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を前記第1金型に押圧するように前記透明樹脂材の流れ方向を変更する流れ方向変更手段を設けたことを特徴とするフィルム材のインサート成形装置。
  3. 前記中間体にその端部分から前記ランナー内に侵入する延長部を設け、
    前記流れ方向変更手段が前記延長部よりも上流側近傍位置に配設されたことを特徴とする請求項2に記載のフィルム材のインサート成形装置。
  4. 前記中間体の外周端近傍部に放射方向外側に延びる縁部を設け、
    前記第1,第2金型を型閉めしたとき、前記縁部が前記第1,第2金型の間に挟持されることを特徴とする請求項2又は3に記載のフィルム材のインサート成形装置。
  5. 前記流れ方向変更手段が前記ランナー内の透明樹脂材と対向する凸部を有し、
    前記凸部が、前記ランナー内を流動する透明樹脂材を前記凸部に対して反対側のランナーの壁部に向けて方向変換することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のフィルム材のインサート成形装置。
  6. 前記中間体の延長部を前記第1金型方向に吸引する吸引通路が前記凸部の下流側位置に設けられたことを特徴とする請求項5に記載のフィルム材のインサート成形装置。
  7. 意匠部を備えたフィルム材で構成された中間体の表面に透明樹脂層を形成するフィルム材のインサート成形装置において、
    前記中間体が配置される第1金型と、
    前記第1金型と協働してキャビティと前記キャビティの周縁外側からキャビティ内に溶融した透明樹脂材を供給するサイドゲートとを構成する第2金型とを備え、
    前記サイドゲートと導入ゲートとの間に設けられたランナー内を流動する前記透明樹脂材が前記中間体の前記ランナーに対向した端部分を前記第1金型に押圧するように前記透明樹脂材の流れ方向を変更する流れ方向変更手段を設け、
    前記流れ方向変更手段が、前記ランナーの上流部分に対応した位置で且つ前記中間体の前記ランナーに対向した端部分よりも上流側位置に前記第2金型方向に突出した前記第1金型の立方体状の凸部と、前記第1金型に漸次接近すると共に前記凸部に対向した前記第2金型の前記ランナーの一部を構成する壁部とを有することを特徴とするフィルム材のインサート成形装置。
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