JP6269336B2 - 車両用電力供給システム - Google Patents
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Description
本発明は、自動二輪車等の車両に適用される車両用電力供給システムに関する。
従来、燃料の噴射量や燃料に対する点火タイミングを電子的に制御するフューエルインジェクション(FI:Fuel Injection)仕様の自動二輪車が普及している。このようなFI仕様の自動二輪車において、バッテリの端子電圧が著しく低下した状態であっても、キックペダルを用いたクランキングによる発電機の発電電力をFIシステムに供給し、エンジンのキック始動を可能とする電力変換装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電力変換装置においては、多相(3相)交流電力を発生する発電機の回転数が所定値に到達しない場合には多相交流電力の全相をFIシステムに供給する。これにより、キックペダルを用いたクランキング中には、多相交流電力の全相をFIシステムに供給する。
しかしながら、上述した特許文献1記載の電力変換装置においては、発電機の回転数が所定値に到達すると、多相交流電力の一部の相(2相)を整流してバッテリに供給する一方、多相交流電力の残部の相(1相)を整流してFIシステムに供給する。このため、発電機が発電した多相交流電力をバッテリ及びFIシステムに供給するための回路構成が複雑になるという問題がある。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、複雑な回路構成を必要とすることなくバッテリ及びエンジン負荷に対して電力を供給することができる車両用電力供給システムを提供することを目的とする。
本発明の車両用電力供給システムは、発電機からの交流電力を整流してバッテリ及びエンジン負荷に供給するための第1スイッチ手段と、前記発電機と前記第1スイッチ手段との間に配置され、当該発電機からの交流電力を整流して前記エンジン負荷に供給するための第2スイッチ手段と、前記バッテリ及びエンジン負荷の端子電圧を検出し、当該端子電圧に応じて前記第1、第2スイッチ手段の導通状態を制御する制御手段とを具備し、前記制御手段は、前記バッテリの端子電圧が一定値以上の場合に前記第1スイッチ手段を導通状態とし、前記第2スイッチ手段を非導通状態とする一方、前記エンジン負荷の端子電圧が一定値以下の場合に前記第1スイッチ手段を非導通状態とし、前記第2スイッチ手段を導通状態とすることを特徴とする。
この構成によれば、バッテリの端子電圧が一定値以上の場合には、発電機からの電力をバッテリ及びエンジン負荷の双方に供給できる一方、エンジン負荷の端子電圧が一定値以下の場合には、発電機からの電力をバイパスしてエンジン負荷のみに供給することができる。これにより、一定条件を満たした場合に発電機からの電力の一部の相をバッテリに供給する構成と比べ、簡単な回路構成で発電機からの電力をバッテリ及びエンジン負荷と、エンジン負荷との間で選択的に供給することができる。この結果、複雑な回路構成を必要とすることなくバッテリ及びエンジン負荷に対して電力を供給することが可能となる。
上記車両用電力供給システムにおいて、前記制御手段は、前記第1スイッチ手段を非導通状態とし、前記第2スイッチ手段を導通状態とした後、前記エンジン負荷の端子電圧が予め定めた基準値を上回った場合に前記第1スイッチ手段を導通状態とし、前記第2スイッチ手段を非導通状態とすることが好ましい。この構成によれば、第1スイッチ手段を非導通状態とし、第2スイッチ手段を導通状態とした場合であっても、エンジン負荷の端子電圧が予め定めた基準値を上回った場合には第1、第2スイッチ手段の導通状態が切り替えられるので、エンジン負荷に対して十分に電力が供給された後にはバッテリに電力を供給することが可能となる。
また、上記車両用電力供給システムにおいて、前記発電機からの交流電力を整流して前記バッテリに供給するための第3スイッチ手段を更に具備し、前記制御手段は、前記バッテリ及びエンジン負荷の端子電圧に関わらず、前記第3スイッチ手段を導通状態とするようにしてもよい。この構成によれば、バッテリ及びエンジン負荷の端子電圧に関わらず、発電機からの交流電力がバッテリに供給される。このため、エンジン負荷の端子電圧が一定値以下の場合であってもバッテリに対して発電機による発電電力を供給でき、バッテリに対する電力供給を安定化させることが可能となる。
さらに、上記車両用電力供給システムにおいて、前記第1、第2スイッチ手段は、オープン式のサイリスタスイッチで構成されることが好ましい。この構成によれば、第1、第2スイッチ手段がショート式のサイリスタスイッチで構成される場合と比べて発電機やサイリスタスイッチの発熱を低減することが可能となる。
例えば、上記車両用電力供給システムにおいて、前記エンジン負荷は、車両に搭載されるフューエルインジェクションシステムで構成される。この構成によれば、エンジンのキック始動時にバッテリの放電状態に影響を受けることなく、フューエルインジェクションシステムに電力を供給することができる。この結果、フューエルインジェク(FI)仕様のエンジンを安定して稼働させることが可能となる。
本発明の車両用電力供給システムによれば、複雑な回路構成を必要とすることなくバッテリ及びエンジン負荷に対して電力を供給することが可能となる。
以下、本実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。以下においては、本実施の形態に係る車両用電力供給システムが、自動二輪車に適用される場合について説明する。しかしながら、本実施の形態に係る車両用電力供給システムが適用される車両については、自動二輪車に適用されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、キックペダルを用いたエンジンのキック始動機能を有する自動三輪車や自動四輪車に適用することもできる。
図1は、本実施の形態に係る車両用電力供給システムの回路構成の説明図である。図1に示すように、本実施の形態に係る車両用電力供給システム(以下、単に「電力供給システム」という)1は、発電機2と、レギュレータ/レクチファイヤ(以下、「REG/RECT」という)3とを含んで構成される。本実施の形態に係る電力供給システム1において、REG/RECT3には、車両に搭載されるバッテリ4と、ヘッドランプ等の直流負荷A(DC負荷A)5と、フューエルインジェクション(FI)や点火システム等の直流負荷B(DC負荷B)6とが接続されている。なお、DC負荷B6は、特許請求の範囲におけるエンジン負荷を構成する。
発電機2は、車両に搭載される図示しないエンジンによって駆動される。本実施の形態において、発電機2は、単相の交流電力を発電する発電機で構成される。発電機2で発電された交流電力は、REG/RECT3の入力端子IN1、IN2に印加される。なお、発電機2の構成については、単相の交流電力を発電する発電機に限定されるものではなく、複相(例えば、3相)の交流電力を発電する発電機としてもよい。
REG/RECT3は、発電機2で発電された交流電力(交流電流)を整流してバッテリ4等を充電すると共に、バッテリ4の電圧を一定に保つ役割を果たす。特に、REG/RECT3は、バッテリ4及びDC負荷B6の端子電圧に応じて発電機2からの交流電力の供給先を制御する役割を果たす。なお、このREG/RECT3における交流電力の供給先制御の詳細については後述する。
REG/RECT3は、第1調整回路31及び第2調整回路32を有する。また、REG/RECT3は、発電機2に接続される入力端子IN1、IN2を有する。さらに、REG/RECT3は、3つの出力端子OUT1〜OUT3を有する。出力端子OUT1はバッテリ4及びDC負荷A5に接続され、出力端子OUT2はDC負荷B6に接続され、出力端子OUT3は接地される。
第1調整回路31は、ダイオード(整流器)D1、D2と、サイリスタスイッチSCR1、SCR2と、スイッチ制御回路311とを含んで構成される。ここで、サイリスタスイッチSCR1、SCR2は、オープン式のサイリスタスイッチで構成される。なお、サイリスタスイッチSCR1は、特許請求の範囲における第1スイッチ手段を構成する。また、スイッチ制御回路311は、特許請求の範囲における制御手段を構成する。
第2調整回路32は、ダイオードD3と、サイリスタスイッチSCR3と、電界コンデンサ(コンデンサ)C1と、スイッチ制御回路311とを含んで構成される。ここで、サイリスタスイッチSCR3は、オープン式のサイリスタスイッチで構成される。スイッチ制御回路311は、第1調整回路31及び第2調整回路32の共通の構成要素となっている。なお、サイリスタスイッチSCR3は、特許請求の範囲における第2スイッチ手段を構成する。
第1調整回路31において、入力端子IN1、IN2と出力端子OUT1との間には、サイリスタスイッチSCR1、SCR2が接続されている。入力端子IN1、IN2には、それぞれサイリスタスイッチSCR1、SCR2のアノードが接続されている。出力端子OUT1には、サイリスタスイッチSCR1、SCR2のカソードが共通接続されている。サイリスタスイッチSCR1、SCR2の各ゲートには、スイッチ制御回路311が接続されている。
スイッチ制御回路311は、予め定めた条件の下にてサイリスタスイッチSCR1〜SCR3の導通状態を制御する。スイッチ制御回路311は、バッテリ4及びDC負荷B6の端子電圧を検出する機能を有し、検出した端子電圧に応じてサイリスタスイッチSCR1〜SCR3の導通状態を制御する。スイッチ制御回路311により制御されるサイリスタスイッチSCR1〜SCR3の導通状態については後述する。スイッチ制御回路311には、サイリスタスイッチSCR1〜SCR3により整流された電力が与えられる。また、スイッチ制御回路311は、出力端子OUT3を介して接地されている。
入力端子IN1とサイリスタスイッチSCR1のアノードとの間と出力端子OUT3との間には、ダイオードD1が接続されている。出力端子OUT3には、ダイオードD1のアノードが接続されている。入力端子IN1とサイリスタスイッチSCR1のアノードとの間には、ダイオードD1のカソードが接続されている。また、入力端子IN2とサイリスタスイッチSCR2のアノードとの間と出力端子OUT3との間には、ダイオードD2が接続されている。出力端子OUT3には、ダイオードD2のアノードが接続されている。入力端子IN2とサイリスタスイッチSCR2のアノードとの間には、ダイオードD2のカソードが接続されている。
第2調整回路32において、サイリスタスイッチSCR1のカソードと出力端子OUT1の間と出力端子OUT2との間には、ダイオードD3が接続されている。入力端子IN1とサイリスタスイッチSCR1のカソードとの間には、ダイオードD3のアノードが接続されている。出力端子OUT2には、ダイオードD3のカソードとサイリスタスイッチSCR3のカソードが接続されている。
入力端子IN1とサイリスタスイッチSCR1のアノードとの間と出力端子OUT3との間には、サイリスタスイッチSCR3及びコンデンサC1が直列に接続されている。入力端子IN1とサイリスタスイッチSCR1のアノードとの間には、サイリスタスイッチSCR3のアノードが接続されている。出力端子OUT3には、コンデンサC1を介してサイリスタスイッチSCR3のカソードが接続されている。サイリスタスイッチSCR3のゲートには、スイッチ制御回路311が接続されている。
REG/RECT3の出力端子OUT1には、ヒューズHを介してバッテリ4及びDC負荷A5が接続されている。ここで、DC負荷A5は、イグニッションスイッチSWを介して出力端子OUT1に接続されている。REG/RECT3の出力端子OUT2には、ヒューズH及びイグニッションスイッチSWを介してDC負荷B6が接続されている。本実施の形態に係る電力供給システム1が適用される車両においては、2系統のイグニッションスイッチSWを有している。
ここで、スイッチ制御回路311によるサイリスタスイッチSCR1〜SCR3の導通状態の制御について説明する。例えば、スイッチ制御回路311は、バッテリ4の端子電圧が一定値(例えば、12V)以上の場合にサイリスタスイッチSCR1、SCR2を導通状態とし、サイリスタスイッチSCR3を非導通状態とする。一方、スイッチ制御回路311は、DC負荷B6の端子電圧が一定値(例えば、10V)以下の場合にサイリスタスイッチSCR1、SCR2を非導通状態とし、サイリスタスイッチSCR3を導通状態とする。さらに、スイッチ制御回路311は、サイリスタスイッチSCR1、SCR2を非導通状態とし、サイリスタスイッチSCR3を導通状態とした後、DC負荷B6の端子電圧が予め定めた基準値(例えば、12V)を上回った場合にサイリスタスイッチSCR1、SCR2を導通状態とし、サイリスタスイッチSCR3を非導通状態とする。このようにサイリスタスイッチSCR1〜SCR3の導通状態を制御することにより、スイッチ制御回路311は、バッテリ4及びDC負荷A5と、DC負荷B6との間で選択的に交流電力の供給先を切り替える。
以下、本実施の形態に係る電力供給システム1における電力供給例について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2及び図3は、本実施の形態に係る電力供給システム1における電力供給の一例の説明図である。なお、ここでは、説明の便宜上、エンジンを始動させる場合を例に説明する。特に、エンジンを始動させる場合を例とするため、エンジンの点火システムに関連するDC負荷B6が駆動される場合について中心に説明する。
また、以下においては、バッテリ4の端子電圧が正常状態にある場合と、バッテリ4の端子電圧が低下した状態(低下状態)にある場合とに分けて説明する。バッテリ4の端子電圧が12V以上の場合に正常状態にあるものとし、バッテリ4の端子電圧が10V以下の場合に低下状態にあるものとする。また、スイッチ制御回路311がサイリスタスイッチSCR1〜SCR3の導通状態を切り替えるバッテリ4及びDC負荷B6の端子電圧の一定値は、それぞれ12V及び10Vであるものとする。
(バッテリ4の端子電圧が正常状態にある場合)
エンジンを始動させるために運転者がイグニッションスイッチSWをオン状態に切り替えると、スイッチ制御回路311によってバッテリ4の端子電圧が検出される。具体的には、REG/RECT3の出力端子OUT1の端子電圧を検出することでバッテリ4の端子電圧が検出される。バッテリ4の端子電圧が正常状態にある場合、バッテリ4の端子電圧として12V以上の電圧が検出される。このように12V以上の電圧を検出すると、スイッチ制御回路311は、サイリスタスイッチSCR1、SCR2を導通状態とし、サイリスタスイッチSCR3を非導通状態とする。
エンジンを始動させるために運転者がイグニッションスイッチSWをオン状態に切り替えると、スイッチ制御回路311によってバッテリ4の端子電圧が検出される。具体的には、REG/RECT3の出力端子OUT1の端子電圧を検出することでバッテリ4の端子電圧が検出される。バッテリ4の端子電圧が正常状態にある場合、バッテリ4の端子電圧として12V以上の電圧が検出される。このように12V以上の電圧を検出すると、スイッチ制御回路311は、サイリスタスイッチSCR1、SCR2を導通状態とし、サイリスタスイッチSCR3を非導通状態とする。
バッテリ4の端子電圧が12V以上の場合、DC負荷B6には、図2に示すように、バッテリ4からの電力がイグニッションスイッチSWを介してDC負荷A5に供給されると共に、第2調整回路32のダイオードD3及びイグニッションスイッチSWを介して供給される。これにより、DC負荷B6を構成するFIシステムが動作して点火制御や燃料制御が行われ、エンジンが始動(駆動)される。そして、このエンジンの駆動に伴って発電機2にて交流電力が発電される。
エンジンの駆動に伴って発電機2により発電された交流電力は、サイリスタスイッチSCR1、SCR2及び出力端子OUT1を介してバッテリ4とDC負荷A5に供給されると共に、サイリスタスイッチSCR1、SCR2、ダイオードD3及び出力端子OUT2を介してDC負荷B6に供給される。すなわち、バッテリ4の端子電圧が一定値(12V)以上の場合には、発電機2からの交流電力がバッテリ4及びDC負荷B6の双方に供給される。
(バッテリ4の端子電圧が低下した状態にある場合)
一方、エンジンを始動させるために運転者がイグニッションスイッチSWをオン状態に切り替えると、スイッチ制御回路311によってバッテリ4の端子電圧が検出される。バッテリ4の端子電圧が低下した状態にある場合、例えば、バッテリ4の端子電圧として10V以下の電圧が検出される。
一方、エンジンを始動させるために運転者がイグニッションスイッチSWをオン状態に切り替えると、スイッチ制御回路311によってバッテリ4の端子電圧が検出される。バッテリ4の端子電圧が低下した状態にある場合、例えば、バッテリ4の端子電圧として10V以下の電圧が検出される。
バッテリ4の端子電圧が10V以下である場合、スイッチ制御回路311によってDC負荷電圧B6の端子電圧が検出される。具体的には、REG/RECT3の出力端子OUT2の端子電圧を検出することでDC負荷B6の端子電圧が検出される。この場合、DC負荷B6の端子電圧として10V以下の電圧が検出される。10V以下の電圧を検出すると、スイッチ制御回路311は、サイリスタスイッチSCR1、SCR2を非導通状態とし、サイリスタスイッチSCR3を導通状態とする。
バッテリ4の端子電圧が10V以下の場合、一般的にはセルモータはエンジンを始動するほど回転出力が出せない。このため、運転者は、キックペダルによるエンジンの始動(キック始動)を試みる。キック始動が行われると、発電機2ではエンジンの駆動に伴って交流電力を発電する。
エンジンの駆動に伴って発電機2により発電された交流電力は、図3に示すように、サイリスタスイッチSCR3を介してコンデンサC1に供給され、これを充電する。なお、サイリスタスイッチSCR1、SCR2は、非導通状態に切り替えられているため、発電された交流電力がバッテリ4の充電に費やされることはない。すなわち、DC負荷B6の端子電圧が一定値(10V)以下の場合には、発電機2からの交流電力がDC負荷B6のみに供給される。
このように発電機2が発電した交流電力は、バッテリ4の充電に費やされることなくコンデンサC1の充電に費やされる。このため、コンデンサC1は、短時間で充電される。これにより、コンデンサC1の端子電圧がDC負荷B6を構成するFIシステムと点火システムの動作に必要な電圧を上回ると、コンデンサC1の端子電圧を電源電圧としてFIシステムが動作状態となる。このため、キックペダルによるエンジンの駆動中にFIシステムが速やかに機能してエンジンが始動する。すなわち、エンジンのキック始動時にバッテリ4の放電状態に影響を受けることなく、FIシステムに電力を供給することができる。この結果、FI仕様のエンジンを安定して稼働させることが可能となる。
そして、DC負荷B6の端子電圧が所定の基準値(例えば、12V)以上になると、スイッチ制御回路311は、サイリスタスイッチSCR1、SCR2を導通状態とし、サイリスタスイッチSCR3を非導通状態とする。これにより、エンジンの駆動に伴って発電機2により発電された交流電力は、サイリスタスイッチSCR1、SCR2、出力端子OUT1を介してバッテリ4とDC負荷A5に供給されると共に、サイリスタスイッチSCR1、SCR2、ダイオードD3、出力端子OUT2を介してDC負荷B6に供給される。このため、バッテリ4の端子電圧が低下した状態にあっても、エンジンが始動してDC負荷B6の端子電圧に十分な電圧が検出される場合には発電機2で発電された交流電力がバッテリ4に供給され、これを充電することができ、DC負荷A5にも電力供給される。
以上説明したように、本実施の形態に係る電力供給システム1においては、バッテリ4の端子電圧が一定値以上の場合には、発電機2からの電力をバッテリ4及びDC負荷B6の双方に供給する一方、DC負荷B6の端子電圧が一定値以下の場合には、発電機2からの電力をバイパスしてDC負荷B6のみに供給することができる。これにより、一定条件を満たした場合に発電機2からの電力の一部の相をバッテリ4に供給する構成と比べ、簡単な回路構成で発電機2からの電力をバッテリ4及びDC負荷B6と、DC負荷B6との間で選択的に供給することができる。この結果、複雑な回路構成を必要とすることなくバッテリ4及びDC負荷B6に対して電力を供給することが可能となる。
特に、本実施の形態に係る電力供給システム1において、サイリスタスイッチSCR1〜SCR3は、オープン式(開放式)のサイリスタスイッチで構成している。このため、ショート式(短絡式)のサイリスタスイッチを利用する場合に比べて、発電機2やサイリスタスイッチ自体の発熱を低減することができる。また、発電機2等の発熱に起因するメカロスを低減することができ、結果として電力供給システム1を搭載した車両の燃費を向上することができる。
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている処理や判定の内容については、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、バッテリ4の端子電圧が一定値(例えば、12V)以上の場合にスイッチ制御回路311がサイリスタスイッチSCR1、SCR2を導通状態とし、サイリスタスイッチSCR3を非導通状態とする場合について説明している。しかしながら、スイッチ制御回路311によるサイリスタスイッチSCR1〜SCR3の導通状態の制御については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、スイッチ制御回路311は、バッテリ4及びDC負荷B6の端子電圧に関わらず、サイリスタスイッチSCR2を導通状態とするようにしてもよい。なお、この場合、サイリスタスイッチSCR2は、特許請求の範囲における第3スイッチ手段を構成する。
この場合、バッテリ4及びDC負荷B6の端子電圧に関わらず、発電機2で発電された交流電力は、サイリスタスイッチSCR2及び出力端子OUT1を介してバッテリ4に供給される。このため、DC負荷B6の端子電圧が一定値(例えば、10V)以下の場合であってもバッテリ4に対して発電機2による発電電力を供給でき、バッテリ4に対する電力供給を安定化させることが可能となる。
また、上記実施の形態においては、スイッチ制御回路311が、バッテリ4及びDC負荷B6の端子電圧の双方を検出し、その検出結果に応じてサイリスタスイッチSCR1〜SCR3の導通状態を制御している。しかしながら、スイッチ制御回路311がサイリスタスイッチSCR1〜SCR3を制御するための判断要素については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、スイッチ制御回路311は、DC負荷B6の端子電圧のみに応じてサイリスタスイッチSCR1〜SCR3の導通状態を制御するようにしてもよい。
例えば、DC負荷B6の端子電圧にサイリスタスイッチSCR1〜SCR3の導通状態を制御するための複数の閾値(例えば、第1閾値、第2閾値)を設定しておき、これらの閾値と検出したDC負荷B6の端子電圧との比較結果に応じてサイリスタスイッチSCR1〜SCR3の導通状態を制御するようにしてもよい。この場合、スイッチ制御回路311は、DC負荷B6の端子電圧が第1閾値(例えば、12V)以上の場合にサイリスタスイッチSCR1、SCR2を導通状態とし、サイリスタスイッチSCR3を非導通状態とする一方、DC負荷B6の端子電圧が第2閾値(例えば、10V)以下の場合にサイリスタスイッチSCR1、SCR2を非導通状態とし、サイリスタスイッチSCR3を導通状態とすることができる。このように変更する場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
以上説明したように、本発明は、複雑な回路構成を必要とすることなくバッテリ及びエンジン負荷に対して電力を供給することができるという効果を有し、例えば、キックペダルによるエンジンを始動する機能を有する車両に有用である。
1 車両用電力供給システム
2 発電機
3 レギュレータ/レクチファイヤ(REG/RECT)
31 第1調整回路
311 スイッチ制御回路
32 第2調整回路
4 バッテリ
5 直流負荷A(DC負荷A)
6 直流負荷B(DC負荷B)
C1 電界コンデンサ(コンデンサ)
D1〜D3 ダイオード(整流器)
SCR1〜SCR3 サイリスタスイッチ
IN1、IN2 入力端子
OUT1〜OUT3 出力端子
SW イグニッションスイッチ
2 発電機
3 レギュレータ/レクチファイヤ(REG/RECT)
31 第1調整回路
311 スイッチ制御回路
32 第2調整回路
4 バッテリ
5 直流負荷A(DC負荷A)
6 直流負荷B(DC負荷B)
C1 電界コンデンサ(コンデンサ)
D1〜D3 ダイオード(整流器)
SCR1〜SCR3 サイリスタスイッチ
IN1、IN2 入力端子
OUT1〜OUT3 出力端子
SW イグニッションスイッチ
Claims (5)
- 発電機からの交流電力を整流してバッテリ及びエンジン負荷に供給するための第1スイッチ手段と、前記発電機と前記第1スイッチ手段との間に配置され、当該発電機からの交流電力を整流して前記エンジン負荷に供給するための第2スイッチ手段と、前記バッテリ及びエンジン負荷の端子電圧を検出し、当該端子電圧に応じて前記第1、第2スイッチ手段の導通状態を制御する制御手段とを具備し、
前記制御手段は、前記バッテリの端子電圧が一定値以上の場合に前記第1スイッチ手段を導通状態とし、前記第2スイッチ手段を非導通状態とする一方、前記エンジン負荷の端子電圧が一定値以下の場合に前記第1スイッチ手段を非導通状態とし、前記第2スイッチ手段を導通状態とすることを特徴とする車両用電力供給システム。 - 前記制御手段は、前記第1スイッチ手段を非導通状態とし、前記第2スイッチ手段を導通状態とした後、前記エンジン負荷の端子電圧が予め定めた基準値を上回った場合に前記第1スイッチ手段を導通状態とし、前記第2スイッチ手段を非導通状態とすることを特徴とする請求項1記載の車両用電力供給システム。
- 前記発電機からの交流電力を整流して前記バッテリに供給するための第3スイッチ手段を更に具備し、前記制御手段は、前記バッテリ及びエンジン負荷の端子電圧に関わらず、前記第3スイッチ手段を導通状態とすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用電力供給システム。
- 前記第1、第2スイッチ手段は、オープン式のサイリスタスイッチで構成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両用電力供給システム。
- 前記エンジン負荷は、車両に搭載されるフューエルインジェクションシステムであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両用電力供給システム。
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