JP6268759B2 - 太陽電池セル及び太陽電池モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池セル及び太陽電池モジュールに関する。
太陽電池モジュールは、光エネルギーを直接的に電気エネルギーに変換する装置であるため、クリーンエネルギーとして注目を集めており、今後その市場は急激に拡大すると見られている。このような太陽電池モジュールは、一般に、電圧の要求値に応じて複数の太陽電池セルを直列に接続した構造となっている。
太陽電池セルの表面(受光面)には、直線状のフィンガー電極が、互いに平行に複数本形成されている。また、太陽電池セルの裏面には、裏面電極が略全面にわたって形成されている。隣接する太陽電池セル同士は、タブ線によって互いに接続される。タブ線は、一方の太陽電池セルのフィンガー電極と交差すると共に、他方の太陽電池セルの裏面電極に接続される。
従来、タブ線の接続には、良好な導電性を示すハンダが用いられてきた。しかしながら、近年では、ハンダに代えて、接着剤をタブ線の接続に用いる手法が開発されてきている。例えば特許文献1に記載の太陽電池モジュールでは、アルミニウム層からなる裏面電極が用いられ、裏面電極とタブ線との接続部に開口部を形成している。これにより、裏面電極の表面積を減少させ、タブ線と裏面電極とを接着剤で接続する際に必要な圧力を下げることを可能としている。
国際公開第2011/132682号
上述した従来の構成では、開口部において半導体基板が露出した状態となっている。このため、アルミニウム層の無い部分では太陽電池セルの集電効率が十分に確保できなくなるおそれがある。一方、アルミニウム層とタブ線とを接着剤で接着する場合、タブ線接続後にアルミニウム層に凝集破壊が生じ、タブ線が剥離してしまうことがある。したがって、集電効率の確保とタブ線の剥離の防止とを両立できる技術の確立が求められている。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、集電効率を十分に確保できると共にタブ線の剥離を防止できる太陽電池セル及び太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
上記課題の解決のため、本発明に係る太陽電池セルは、基板と、基板の受光面側に設けられた表面電極と、基板の裏面側に設けられた裏面電極と、を備えた太陽電池セルであって、裏面電極は、アルミニウム層によって形成され、基板の裏面側には、裏面電極を他の太陽電池セルの表面電極に接続するタブ線が接着剤層を介して配置される配置領域が設定されており、配置領域の少なくとも一部において、裏面電極の厚みが配置領域以外の裏面電極の厚みよりも小さい薄肉部が形成されていることを特徴としている。
この太陽電池セルでは、裏面電極がアルミニウム層によって形成され、配置領域の少なくとも一部において薄肉となっている。このため、接着剤層を介して裏面電極にタブ線を接続する際、薄肉のアルミニウム層の内部まで接着剤層の接着剤成分を十分に入り込ませることが可能となる。アルミニウム層と接着剤層との結合が強化されることで、タブ線の剥離強度を向上させることができ、タブ線の剥離を防止できる。また、この太陽電池セルでは、薄肉部の形成により、配線領域において基板の裏面側が露出しない。したがって、基板の裏面側を露出させる場合に比べて集電効率を十分に確保できる。
また、アルミニウム層は、アルミニウムを含む電極ペーストを焼成することによって形成されていることが好ましい。電極ペーストの焼成によって形成されたアルミニウム層は、層の内部がポーラス状となる。したがって、アルミニウム層の内部まで接着剤層を一層十分に入り込ませることが可能となり、タブ線の剥離強度をより確実に向上できる。
また、アルミニウム層は、ポーラス状となっていることが好ましい。この場合、アルミニウム層の内部まで接着剤層を一層十分に入り込ませることが可能となる。したがって、タブ線の剥離強度をより確実に向上できる。
また、配置領域に沿って導電性接着剤によって形成された接着剤層が配置されていることが好ましい。接着剤層付きの太陽電池セルとすることで、タブ線の接続の利便性を向上できる。
また、アルミニウム層は、所定厚みの第1の層と、第1の層よりも厚みの小さい第2の層とを有し、薄肉部では、基板の裏面に第2の層のみが位置していることが好ましい。このような第1の層及び第2の層の組み合わせにより、薄肉部を簡単に形成できる。
また、薄肉部の厚みは、5μm〜15μmとなっていることが好ましい。この範囲では、アルミニウム層の内部まで接着剤層を一層十分に入り込ませることが可能となる。
また、本発明に係る太陽電池モジュールは、上記太陽電池セルが複数配列され、隣接する太陽電池セルの表面電極と裏面電極とをタブ線で接続してなることを特徴としている。
この太陽電池モジュールでは、太陽電池セルの裏面電極がアルミニウム層によって形成され、配置領域の少なくとも一部において薄肉となっている。このため、接着剤層を介して裏面電極にタブ線を接続する際、薄肉のアルミニウム層の内部まで接着剤層の接着剤成分を十分に入り込ませることが可能となる。アルミニウム層と接着剤層との結合が強化されることで、タブ線の剥離強度を向上させることができ、タブ線の剥離を防止できる。また、この太陽電池モジュールでは、裏面電極における薄肉部の形成により、配線領域において基板の裏面側が露出しない。したがって、基板の裏面側を露出させる場合に比べて集電効率を十分に確保できる。
本発明に係る太陽電池セル及び太陽電池モジュールによれば、集電効率を十分に確保できると共にタブ線の剥離を防止できる。
本発明の第1実施形態に係る太陽電池セルを用いて構成される太陽電池モジュールの一例を示す模式的斜視図である。 図1に示した太陽電池セルを受光面側から見た模式的平面図である。 図1に示した太陽電池セルを裏面側から見た模式的平面図である。 タブ線を接着剤層上に配置した状態で示す図3のIV−IV線模式的断面図である。 第1実施形態に係る太陽電池セルにおける裏面電極の変形例を示す模式的断面図である。 第2実施形態に係る太陽電池セルを裏面側から見た模式的平面図である。 タブ線を接着剤層上に配置した状態で示す図6のVII−VII線模式的断面図である。 タブ線を接着剤層上に配置した状態で示す図6のVIII−VIII線模式的断面図である。 第2実施形態に係る太陽電池セルにおける裏面電極の変形例を示す模式的断面図である。 本発明の効果確認試験の結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る太陽電池セル及び太陽電池モジュールの好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る太陽電池セルを用いて構成される太陽電池モジュールの一例を示す模式的斜視図である。同図に示すように、太陽電池モジュール1は、複数の太陽電池セル2をタブ線3によって互いに電気的に接続することによって構成されている。
太陽電池セル2の一面側は、表面電極が形成された受光面2aとなっており、太陽電池セル2の他面側は、裏面電極が形成された裏面2bとなっている。隣接する太陽電池セル2,2間では、受光面2a側の表面電極と裏面2b側の裏面電極とがタブ線3によって接続されており、これにより、太陽電池セル2が直列に接続されたストリングスが形成されている。
製品としての太陽電池モジュール1は、例えばストリングスを複数配列したマトリクスを備えている。そして、太陽電池モジュール1は、マトリクスを封止用の接着剤シートで挟んだ状態で、保護用の受光面2a側の表面カバー及び裏面2b側のバックシートと共に一括でラミネートされ、周囲にアルミニウム等の金属フレームを取り付けることで完成する。
封止用の接着剤には、例えばエチレンビニルアルコール(EVA)樹脂等の透光性を有する接着剤が用いられる。また、表面カバーには、例えばガラス等の透光性を有する材料が用いられ、バックシートには、例えばガラス又はアルミニウム箔を樹脂フィルムで挟んでなる積層体等が用いられる。
次に、太陽電池セル2について説明する。図2は、太陽電池セルを受光面側から見た模式的平面図であり、図3は、太陽電池セルを裏面側から見た模式的平面図である。図2及び図3に示すように、太陽電池セル2は、基板11を有している。
基板11は、例えばSiの単結晶、多結晶、及び非結晶のうちの少なくとも一つによって略正方形状に形成されている。基板11の四隅は、それぞれ円弧状に面取りされている。基板11の一方面は、太陽電池セル2の受光面2aに対応し、基板11の他方面は、太陽電池セル2の裏面2bに対応している。なお、基板11は、例えば受光面2a側がn型半導体となっており、裏面2b側がp型半導体となっている。
基板11の受光面2a側には、図2に示すように、表面電極として、複数のフィンガー電極12が設けられている。フィンガー電極12は、基板11の受光面2aの略全面において、太陽電池モジュール1のストリングスの延在方向と略直交する方向に形成され、ストリングスの延在方向に沿って所定の間隔をもって配列されている。
フィンガー電極12は、例えば金属ペーストを塗布及び加熱することによって形成されている。フィンガー電極12の厚みは、例えば10μm〜30μmとなっており、フィンガー電極12の幅は、例えば5μm〜90μmとなっている。また、隣り合うフィンガー電極12,12間の間隔は、例えば2mm程度となっている。
フィンガー電極12の形成材料としては、銀を含有したガラスペースト、接着剤樹脂に各種導電性粒子を分散した銀ペースト、金ペースト、カーボンペースト、ニッケルペースト、アルミニウムペースト、及び焼成・蒸着によって形成されるITOなどが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、導電性、安定性、及びコストの観点から、銀を含有したガラスペーストを用いることが好ましい。
受光面2a側では、フィンガー電極12に略直交する向きに一対のタブ線3の配置領域P,Pが設定されている。本実施形態では、フィンガー電極12を連結するバスバー電極は設けられておらず、タブ線3は、後述の接着剤層22を介してフィンガー電極12に直接的に接続されるが、必要に応じバスバー電極を設けてもよい。配置領域Pは、太陽電池モジュール1の集電効率を十分に確保する観点から、受光面2a上の全てのフィンガー電極12に跨るように直線状に設定されている。また、配置領域P,P間の間隔は、タブ線3のアライメント精度を考慮し、タブ線3の幅の2倍程度としておくことが好ましい。
基板11の裏面2b側には、図3に示すように、裏面電極14が設けられている。裏面電極14は、基板11の裏面2b側の略全面にわたって形成されている。裏面2b側においても、受光面2aと同様に、一対のタブ線3の配置領域P,Pが設定されており、タブ線3は、接着剤層22を介して裏面電極14に接続される。配置領域Pは、受光面2a側の配置領域P,Pの位置に対応するように直線状に設定されている。
裏面電極14は、例えばアルミニウムペーストの焼成によって得られたアルミニウム層21によって形成されている。アルミニウム層21の内部は、アルミニウムペーストの焼成時に形成された空隙によってポーラス状をなしている。タブ線3の接続前のアルミニウム層21の空隙率は、例えば10%以上であることが好ましい。また、アルミニウム層21の表面粗さは、中心線平均粗さで2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることが更に好ましい。アルミニウム層21の表面粗さは、例えば十点平均粗さで10μm以下であることが好ましい。これらの表面粗さは、JIS B 0601(1994)及びJIS B 0031(1994)により定義される。
アルミニウム層21は、より具体的には、所定厚みの第1の層21Aと、第1の層21Aよりも厚みの小さい第2の層21Bとを有している。第1の層21Aの厚みは、例えば20μm〜30μm程度となっている。第1の層21Aは、配線領域Pを除いた領域に形成されている。一方、第2の層21Bの厚みは、例えば5μm〜15μm程度となっている。第2の層21Bは、配線領域Pに対応して形成され、配線領域Pにおいて第1の層21A,21A間に露出した状態となっている。
このような第1の層21A及び第2の層21Bの構成により、裏面電極14には、配置領域Pの略全長にわたって、配置領域P以外の部分の厚みよりも小さい薄肉部Sが形成されている。なお、配線領域Pの幅は、上述したように、タブ線3の幅の2倍程度となっており、第1の層21A,21A間に露出する第2の層21Bの幅もタブ線3の幅の2倍程度となっている。第2の層21Bの幅方向の両端部は、配線領域Pの外側に張り出していてもよく、当該張出部分に第1の層21Aが重なっていてもよい(図4参照)。
タブ線3と、フィンガー電極12及び裏面電極14との接続には、例えば導電性接着剤が用いられる。導電性接着剤としては、例えばフィルム形成樹脂を25質量部、熱硬化性樹脂を20質量部、熱硬化性樹脂用の硬化剤を55質量部、シリコーン粒子を10質量部、導電粒子を10質量部、それぞれ含有したものが用いられる。
フィルム形成樹脂としては、良好なフィルム形成を実施できる観点から、例えばフェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリアミド樹脂等の熱可塑性高分子が用いられる。これらの樹脂の中でも、フェノキシ樹脂を用いることが好ましい。また、熱可塑性高分子の重量平均分子量は、接着剤層22の流動性を考慮し、10000〜10000000であることが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアジン−ビスマレイミド樹脂、及びフェノール樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも、耐熱性を考慮すると、エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
熱硬化性樹脂用の硬化剤とは、熱硬化性樹脂と共に加熱したときに熱硬化性樹脂の硬化を促進する材料を指す。かかる硬化剤としては、例えばイミダゾール系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ポリアミンの塩、アミンイミド、及びジシアンジアミドが用いられる。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が用いられる場合には、例えばイミダゾール系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤、三フッ化ホウ素アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、及びジシアンジアミドを用いることが好適である。
シリコーン粒子としては、例えばシリコーンゴム粒子、シリコーン樹脂粒子、シリコーン複合粒子等が用いられる。シリコーンゴム粒子は、例えば直鎖状のジメチルポリシロキサンを架橋した構造を有するシリコーンゴム粒子である。シリコーン樹脂粒子は、例えばシロキサン結合が(RSiO3/2)nで表される三次元網目状に架橋した構造を有するポリオルガノシルセスキオキサン硬化物の粒子である。
導電粒子としては、例えば金粒子、銀粒子、銅粒子、ニッケル粒子、金めっきニッケル粒子、金/ニッケルめっきプラスチック粒子、銅めっき粒子、ニッケルめっき粒子が用いられる。導電性を確保する点から、導電粒子の平均粒径は、1μm〜20μmであることが好ましく、1μm〜5μmであることがより好ましい。
また、導電性接着剤には、被着体との接着性及び濡れ性を向上させるためのカップリング剤を含有させてもよい。カップリング剤としては、例えばシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。
続いて、裏面電極14とタブ線3との接続について説明する。図4は、タブ線を接着剤層上に配置した状態で示す図3のIV−IV線模式的断面図である。同図に示すように、タブ線3の接続にあたっては、上記の導電性接着剤を用いて形成された接着剤フィルムを配置領域Pに沿って貼り付け、第2の層21B上に接着剤層22を形成する。なお、接着剤層22は、太陽電池セル2側の構成として予め第2の層21B上に形成してあってもよい。次に、接着剤層22上にタブ線3を仮固定する。タブ線3としては、例えば銅リボンの表面をハンダで被覆した幅1mm〜2mm程度のものが用いられる。タブ線3は、特に制限はないが、ハンダで表面を被覆しないものであってもよい。また、タブ線3は、接着剤層22に対向する対向面及びその反対面が平坦面となっていることが好ましい。平坦面の高さ変動(凹凸の差)は、タブ線3の幅方向の500μmの範囲内において、例えば5μmであることが好ましく、2μm以下であることが更に好ましい。
タブ線3を仮固定した後、例えば熱圧着機を用いてタブ線3と裏面電極14とを熱圧着する。熱圧着時の温度は、例えば80℃〜320℃程度である。熱圧着時の圧力は、例えば1.0MPa以上、好ましくは3.0MPa以上である。圧力の付与時間は、例えば1秒〜30秒程度である。熱圧着により、接着剤層22の接着剤成分がアルミニウム層21に入り込み、タブ線3が裏面電極14に対して固着される。
太陽電池セル2では、上述したように、裏面電極14がポーラス状のアルミニウム層21によって形成されている。また、アルミニウム層21は、厚みの異なる第1の層21A及び第2の層21Bによって構成され、配置領域Pには、配置領域P以外の部分の厚みよりも小さい薄肉部Sが形成されている。このため、熱圧着によって裏面電極14にタブ線3を接続する際、薄肉である第2の層21Bの内部まで接着剤層22の接着剤成分を十分に入り込ませることが可能となる。接着剤成分が第2の層21Bの内部に十分に入り込むことで、アルミニウム層21と接着剤層22との結合が強化され、タブ線3の剥離強度を向上させることができ、タブ線3の剥離を防止できる。
また、太陽電池セル2では、薄肉部Sの形成により、配線領域Pにおいて基板11の裏面2b側が露出せず、アルミニウム層21の第2の層21Bによって覆われた状態となっている。したがって、基板11の裏面2b側を露出させる場合に比べて、アルミニウムが基板11に拡散して基板11の裏面2bにP型半導体層が十分に形成されるので、集電効率を十分に確保できる。
なお、図4に示した例では、配線領域Pに対応して第2の層21Bを形成しているが、図5に示すように、基板11の裏面2b側の略全面にわたって第2の層21Bを形成し、配線領域P以外の部分において、第2の層21Bに重なるように第1の層21Aを形成してもよい。このような態様であっても、配置領域Pには、配置領域P以外の部分の厚みよりも小さい薄肉部Sが形成されるので、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態に係る太陽電池セルを裏面側から見た模式的平面図である。同図に示すように、第2実施形態に係る太陽電池セル32は、薄肉部Sのパターンが第1実施形態と異なっている。より具体的には、太陽電池セル32では、基板11の裏面2b側から順にアルミニウム層21の第2の層21Bと第1の層21Aとが裏面2b側の略全面にわたって形成されている。そして、配置領域Pにおいて、第1の層21Aが矩形のパターンで等間隔に開口し、第2の層21Bが露出することで、薄肉部Sが形成されている。
開口パターンにおける配置領域Pの長手方向の長さは、例えば1mm〜30mm程度の範囲で設定される。開口パターンにおける配置領域Pの幅方向の長さは、第1実施形態と同様に、例えばタブ線3の幅の2倍程度に設定される。開口パターンの間隔は、開口パターンにおける配置領域Pの長手方向の長さに対して、例えば0.2倍〜0.3倍程度となっている。薄肉部Sが形成されていない位置では、図7に示すように、タブ線3は、接着剤層22を介して第1の層21A及び第2の層21B上に配置された後、接着剤層22を介して第1の層21A及び第2の層21Bに固着される。一方、薄肉部Sが形成されている位置では、図8に示すように、タブ線3は、接着剤層22を介して第2の層21B上に配置された後、接着剤層22を介して第2の層21Bに固着される。
このような太陽電池セル32においても、アルミニウム層21は、厚みの異なる第1の層21A及び第2の層21Bによって構成され、配置領域Pには、配置領域P以外の部分の厚みよりも小さい薄肉部Sが形成されている。このため、熱圧着によって裏面電極14にタブ線3を接続する際、薄肉である第2の層21Bの内部まで接着剤層22の接着剤成分を十分に入り込ませることが可能となる。接着剤成分が第2の層21Bの内部に十分に入り込むことで、アルミニウム層21と接着剤層22との結合が強化され、タブ線3の剥離強度を向上させることができ、タブ線3の剥離を防止できる。
また、太陽電池セル32においても、薄肉部Sの形成により、配線領域Pにおいて基板11の裏面2b側が露出せず、アルミニウム層21の第2の層21Bによって覆われた状態となっている。したがって、基板11の裏面2b側を露出させる場合に比べて、アルミニウムが基板11に拡散して基板11の裏面2bにP型半導体層が十分に形成されるので、集電効率を十分に確保できる。
なお、図9に示すように、開口パターンが形成された第1の層21Aを基板11の裏面2b側に形成し、第1の層21A及び第1の層21Aの開口パターンから露出する基板11の裏面2b側を覆うように第2の層21Bを形成してもよい。このような態様であっても、配置領域Pには、配置領域P以外の部分の厚みよりも小さい薄肉部Sが形成されるので、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。また、開口パターンの形状は、矩形に限られず、多角形、円形といった他の形状であってもよい。
[効果確認試験]
本発明の効果確認試験について説明する。本試験は、タブ線の配置領域におけるアルミニウム層の厚みを変化させながら、接着剤層を介してアルミニウム層に固着させた1.5mm幅のタブ線の剥離強度(タブ線1本あたりの引っ張り力)を測定したものである。剥離強度の測定には、オリエンテック社製のテンシロン(STA−1150)を用い、太陽電池セルの法線方向に50mm/分の速度でタブ線を引き上げ、引き上げに要する力を記録して測定値とした。
本試験では、まず、テキスチャ加工済み及びSiN膜形成済みの125mm角のブルーセルを用意した。次に、基板の裏面のSi面にアルミニウムペーストをスクリーン印刷して第2の層の前駆体パターンを形成し、150℃で1分間の乾燥を行った。さらに、基板の裏面のSi面にアルミニウムペーストをスクリーン印刷して第1の層の前駆体パターンを形成し、150℃で1分間の乾燥を行った。第1の層及び第2の層の形成後、基板の表面のSi面に銀を含有するガラスペーストをスクリーン印刷してフィンガー電極の前駆体パターンを形成し、150℃で1分間の乾燥を行った。次に、前駆体が印刷された太陽電池セルを350℃、800℃、550℃の各温度で連続的に30秒ずつ加熱し、所望の電極パターンを形成した。
なお、市販のα−Terpineol(有機溶剤)をアルミニウムペーストに添加し希釈をすることで、第2の層を形成するためのアルミニウム層の厚み調整を行った。厚みが10μmのアルミニウム層の形成には、アルミニウムペースト100gに対してα−Terpineolを50g添加し、撹拌を行った。厚みが23μmのアルミニウム層の形成には、アルミニウムペースト100gに対してα−Terpineolを10g添加し、撹拌を行った。また、厚みが35μmのアルミニウム層の形成には、α−Terpineolの添加を行わなかった。
電極パターンの形成後、導電性フィルムを温度90℃、圧力1Mpa、時間1秒の条件で4箇所の配置領域に仮固定した。導電性接着フィルムには、セパレータと導電性接着剤層との2層から構成される日立化成株式会社製の導電フィルム(CF−205、幅1.2mm)を用いた。次に、導電性フィルムのセパレータを剥離し、導電性接着剤からなる接着剤層を形成した。次いで、接着剤層上にタブ線を70℃で積層し、太陽電池セルを得た。タブ線には、日立電線株式会社製のタブ線(SSA−TPS−0.2×1.5(20))を用いた。また、タブ線の接続には、芝浦メカトロニクス株式会社製のTAB Stringer ATS−200を用いた。タブ線の接続条件は、温度190℃、圧力2MPa、時間5秒とした。
図10は、本発明の効果確認試験の結果を示すグラフである。同図に示すように、アルミニウム層の厚みが35μmの場合には、タブ線の剥離強度は0.23N/TABであった。これに対し、アルミニウム層の厚みが23μmの場合には、タブ線の剥離強度は0.95N/TABであり、アルミニウム層の厚みが10μmの場合には、タブ線の剥離強度は2.32N/TABであった。この結果から、配置領域にアルミニウム層の薄肉部を形成することで、タブ線の剥離強度を向上できることが確認できた。
1…太陽電池モジュール、2,32…太陽電池セル、2a…受光面、2b…裏面、3…タブ線、11…基板、12…フィンガー電極(表面電極)、14…裏面電極、21…アルミニウム層、21A…第1の層、21B…第2の層、22…接着剤層、P…配置領域、S…薄肉部。

Claims (5)

  1. 基板と、前記基板の受光面側に設けられた表面電極と、前記基板の裏面側に設けられた裏面電極と、を備えた太陽電池セルであって、
    前記裏面電極は、アルミニウム層によって形成され、
    前記基板の裏面側には、前記裏面電極を他の太陽電池セルの表面電極に接続するタブ線が接着剤層を介して配置される配置領域が設定されており、
    前記配置領域の少なくとも一部において、前記裏面電極の厚みが前記配置領域以外の前記裏面電極の厚みよりも小さい薄肉部が形成されており、
    前記アルミニウム層は、ポーラス状となっており、
    前記配置領域に沿って導電性接着剤によって形成された前記接着剤層が配置されていることを特徴とする太陽電池セル。
  2. 前記アルミニウム層は、アルミニウムを含む電極ペーストを焼成することによって形成されていることを特徴とする請求項1記載の太陽電池セル。
  3. 前記アルミニウム層は、所定厚みの第1の層と、前記第1の層よりも厚みの小さい第2の層とを有し、
    前記薄肉部では、前記基板の裏面に前記第2の層のみが位置していることを特徴とする請求項1又は2記載の太陽電池セル。
  4. 前記薄肉部の厚みは、5μm〜15μmとなっていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の太陽電池セル。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の太陽電池セルが複数配列され、
    隣接する太陽電池セルの前記表面電極と前記裏面電極とを前記タブ線で接続してなることを特徴とする太陽電池モジュール。
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