JP6267762B2 - Dcブラシレスモータの駆動装置 - Google Patents
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Description
これらハンドピース、ハンドツールのモータは、手に持って使う製品に搭載されるため、発熱の抑制や、感電防止に配慮した低い電圧で使うことが要求される。また、これらのモータは、低速から高速まで幅広い回転速度の範囲で駆動する必要がある。例えば、インプラントに用いられる歯科用ハンドピースは、インプラントネジを締め付ける場合には、数百rpmの回転速度のモータを減速し数十rpmで使用するが、歯牙を切削する場合には数万rpmの回転速度で使用する。
このDCブラシレスモータの制御として、従来から120°通電による矩形波制御が用いられてきたが、近年では低振動で精密に回転を制御できる180°通電による正弦波制御の用途が拡大している。120°通電による矩形波制御と、180°通電による正弦波制御には、それぞれ長所、短所があって、モータの回転速度などを参照しながら制御を切り替える様々な方法が提案されている。
この切り替え方法の一例が、特許文献1に提案されている。特許文献1の提案では、180°通電による正弦波制御と120°通電による矩形波制御を、インバータのPWM(パルス幅変調、Pulse Width Modulation)波形の変調率が1になったときに切り替えて、最大回転速度のアップと定格効率の向上が図られている。
本発明は、このような課題の解決を図るためになされたものであり、正弦波制御と矩形波制御を選択しながらも、駆動電圧が例えば安全規格で定められる上限値を超えないように制御することのできるDCブラシレスモータの駆動装置を提供することを目的とする。
インバータは、モータに駆動電圧Voを供給する。
制御部は、インバータを介してモータに供給される駆動電圧Voの増減を制御するとともに、180°通電による正弦波及び120°通電による矩形波の一方を選択して駆動電圧Voの波形を制御する。
本発明の制御部は、規定の制限電圧V1の範囲において、駆動電圧Voが増加して制限電圧V1に達するまでは正弦波を選択し、駆動電圧Voが増加して制限電圧V1に達すると正弦波から矩形波に選択を切換える。また、本発明の制御部は、制限電圧V1を超える範囲において駆動電圧Voが減少して、制限電圧V1に達すると矩形波から正弦波に選択を切換える。本発明の制御部は、駆動電圧Voの値を、正弦波から矩形波への選択の切換えをする際には所定値Vhだけ低下させ、逆に矩形波から正弦波への選択の切換えをする際には所定値Vhだけ増加させるように可逆的に制御する。また、本発明の制御部は、インバータに供給される駆動電圧Voとモータの端子に加わるノイズ電圧Vnの重畳電圧Vo+Vnが、規定の電圧Vlim未満となるように駆動電圧Voを制御することを特徴とする。
また、本発明の制御部は、矩形波の選択状態の際に、駆動電圧Voが制限電圧V1から所定値Vhを減じた値よりも小さくなれば、正弦波の状態に移行することができる。
しかも、本発明によれば、モータの駆動電圧Voが規定の電圧V1未満の場合は、正弦波制御によってモータを駆動できるので低振動で精密な回転を実現できる。加えて、モータの駆動電圧Voが規定の電圧V1以上の場合は、矩形波制御によってモータを駆動するので、発熱を伴いやすい弱め界磁制御をすることなく高回転速度まで駆動することができる。
[第1実施形態]
本実施の形態による駆動装置100は、歯科用のハンドピースに組み込まれるDCブラシレスモータ(以下、モータ)10の駆動を制御する
図1において、本実施の形態による駆動装置100は、商用電源1から交流電力の供給を受けてDCブラシレスモータ(以下、モータ)10に供給する駆動電圧Voの増減を制御するとともに、180°通電による正弦波制御(以下、単に正弦波制御)と120°通電による矩形波制御(以下、単に矩形波制御)とから選択して駆動電圧Voの波形を制御する。
制御部11は、演算手段11aとしてCPU(Central Processing Unit)、メモリ11bとしてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含むマイクロコンピュータから構成され、メモリ11bに記憶されているプログラムにしたがって演算手段11aが上述した制御信号を送る処理を行う。
制御部11を構成するメモリ11bには、プログラムの他に、正弦波制御と矩形波制御を選択するための基準となる情報が記憶されている。また、メモリ11bには、後述する切り替え回転速度n1、限界回転速度n2、限界回転速度n3、ノイズ電圧Vn、Vn'、通電モードに関する情報が記憶されている。
制御部11にて実行されるモータ10の駆動制御の内容は、後述する。
インバータ8とモータ10の間に介在する検知部20は、モータ10の実回転速度noを検知する。また、検知部20は、モータ10へ供給される駆動電圧Voを検知する。検知部20で検知された実回転速度no、駆動電圧Voは検知部20から制御部11に転送される。なお、検知の具体的な手段は限定されず、公知の如何なる手段をも適用できる。
正弦波制御の場合、図2(a)に示すように、正弦波12をデューティ変調したPWM波形13がモータ端子9に加わる。PWM波形13の波高値は、駆動電圧Voとなる。
ところが、実際にモータ端子9を介してモータ10に加わるPWM波形は、電力スイッチングによるサージやノイズの影響で図3(a)に示すような波形となる。つまり、インバータ8の半導体スイッチがオンする際にノイズ電圧14が発生し、オフする際にもノイズ電圧15が発生するので、PWM波形13は、これらノイズ電圧14、15が付加された電圧特性を示す。
一方、矩形波制御の場合、図2(b)に示すように、矩形波16に誘起電圧17を加えた電圧がモータ端子9に加わる。矩形波16の波高値は、コンバータ出力電圧(駆動電圧)Vo'となる。
ところが、実際にモータ端子9を介してモータ10に加わるPWM波形は、電力スイッチングによるサージやノイズの影響で図3(b)に示すような波形となる。つまり、インバータ8の半導体スイッチがオン/オフする際にノイズ電圧18、19が発生し、ノイズ電圧18、19が付加された電圧特性を示す。
ここで、この規格の定める電圧の最大値をVlimとする。正弦波制御の場合、サージやノイズ電圧は、駆動電圧Voに重畳する。そこで、サージやノイズ電圧の幅をノイズ電圧Vn(図3参照)とすると、Vo+Vnが規格の最大値Vlim未満になるように、駆動電圧Voを制御部11によって制限する必要がある。なお、ノイズ電圧Vnはサージ及びノイズの両者を含めたものであり、次のノイズ電圧Vn'も同様である。矩形波制御の場合も、駆動電圧Vo'、サージやノイズ電圧の幅をノイズ電圧Vn'とすると、Vo'+Vn'が規格の最大値Vlim未満になるように、駆動電圧Vo'を制御部11によって制限する必要がある。本実施の形態による駆動装置100の制御部11は、正弦波制御及び矩形波制御の両者において、Vo+Vn、Vo'+Vn'がVlim未満になるように駆動電圧Vo、Vo'を制御する。
駆動電圧Voは、モータ電圧Vmの波高値よりも高くする必要があるが、PWM波形13の変調率を大きくして、できるだけ駆動電圧Voとモータ電圧Vmの波高値が接近するように制御し、駆動電圧Voの増加を制限する。
この制限電圧V1を設けるところに本実施の形態の特徴の一つがある。つまり、駆動電圧Voの制限電圧V1は、正弦波制御において、Vo+Vnが規格の最大値Vlim未満の値から選ばれる。また、制限電圧V1は、正弦波制御と矩形波制御を選択する基準となる。
モータ回転速度を低速から増加させると、モータ電圧Vmの増加に比例して駆動電圧Voは増加して制限電圧V1に至る。制限電圧V1に対応するモータの回転速度を、制御部11が正弦波制御から矩形波制御に選択を切り替えるモータ回転速度(以下、切り替え回転速度)n1として設定し、制御部11のメモリ11bに記憶する。
矩形波制御に切り替えた後、駆動電圧Vo'が増加するとVo'+Vn'が規格の最大値Vlimに至るが、Vlimに至る所定のモータ回転速度を限界回転速度n3として設定し、制御部11のメモリ11bに記憶する。
本実施形態において、駆動電圧Vo、Vo'は、検知部20において検知されるものである。一方、ノイズ電圧Vn、Vn'は予め駆動装置100を動作させることで測定し、その測定結果に基づいて制御部11の記憶部11bに記憶することができるし、駆動電圧Vo、Vo'と同様に検知部20において検知して得ることもできる。
制御部11は、モータ10の回転速度が指令された回転速度(指令値)に達する過程で増加するのに応じて駆動電圧Voを増加させるように制御する。ここで、モータ10の実回転速度noが切り替え回転速度n1未満の領域では、制御部11は駆動電圧Voを正弦波制御とする。この領域では、正弦波12(図2)をデューティ変調したPWM波形13(図2)の変調率を、モータ回転速度とは無関係に1で制御する。
切り替え回転速度n1は、Vo+Vnが規格の最大値Vlimに至る限界回転速度n2までの範囲内で選択される(図5)。切り替え回転速度n1を限界回転速度n2に設定することにより、正弦波制御の回転速度範囲を広げることができる。
制御部11は、矩形波制御に切り替えた後、Vhの幅で低下した駆動電圧Vo'を再度増加させ、Vo'+Vn'が規格の最大値Vlimに至る限界回転速度n3までモータ回転速度を増加させることができる。制御部11は、モータ10の回転速度が限界回転速度n3に達したならば、駆動電圧Vo'が増加するのを禁ずる。
以上のように、Vo'+Vn'が規格の最大値Vlim未満になるように制御しながら、低速から高速までの回転速度の範囲でモータ10を駆動することができる。
始めに、制御部11は現在の通電モードを判定する(S101)。ここで、通電モードとは、正弦波制御か矩形波制御のいずれを制御部11が選択しているかを特定する情報である。この通電モードは、制御部11のメモリ11bに記憶されている。通電モードが矩形波制御ならば(S101 Yes)、制御部11はインバータ8に駆動電圧Voを矩形波として出力するように指示する(S102 矩形波制御)。インバータ8はこの指示に従い、モータ10に駆動電圧Voを矩形波として出力する。
制御部11は、実回転速度noが切り替え回転速度n1に至ったならば(S108 Yes)、インバータ8に駆動電圧Voを正弦波として出力するように指示する(S109 正弦波制御)。インバータ8はこの指示に従い、モータ10に駆動電圧Voを正弦波として出力する。この制御手順は、モータ10の実回転速度noが切り替え回転速度n1以上にあった状態から切り替え回転速度n1未満に減少する場合に対応する。
弱め界磁制御の場合、モータ電圧Vmを制限電圧V1の範囲内で、より高回転速度域まで正弦波制御によって駆動することができるが、d軸電流Idの増加によってモータ電流Imが増加する。弱め界磁制御をする場合としない場合のモータ電流比は、図4のr・Iqと図7のr・Imの比となり、モータ電流の二乗に比例してモータ巻線の発熱が増加する。
歯科、外科治療に用いるハンドピースや、切削、研磨などに用いるハンドツールは手に持って使うため、発熱を抑制する必要がある。そこで、第1実施形態においては、モータ電流が増加して発熱が多くなる弱め界磁制御は避けて、正弦波制御から矩形波制御に切り替えて回転速度の増加を図ることにする。
以上のようにして、モータ端子9を介してモータ10に供給される駆動電圧Voを安全規格等が定める規定の電圧Vlim未満に制御しながら、モータ10の実回転速度noが切り替え回転速度n1未満の場合は正弦波制御により、またモータ10の実回転速度noが規定の回転速度より高い場合は、矩形波制御によって、弱め界磁制御なしで発熱を抑えながら高速まで幅広い範囲でモータ10を駆動する。
第1実施形態は、モータ10の実回転速度noを増加させるのに駆動電圧Voを増加させているが、本発明は駆動電圧Voを一定にしてモータ10の回転速度の増加を図ることもできる。第2実施形態ではその例を図8に基づいて説明する。なお、ここでは正弦波制御のみを駆動電圧Voを一定にする例を説明するが、正弦波制御及び矩形波制御の両者において駆動電圧Voを一定にすることもできるし、矩形波制御のみを駆動電圧Voを一定にすることもできることは言うまでもない。
駆動電圧Voの制限電圧V1は、正弦波制御において、Vo+Vnが規格の最大値Vlimより低くなるように設定する。このとき、駆動電圧Voが制限電圧V1と一致するよう一定に制御する。一方、矩形波制御定においては、回転速度の増加に応じて駆動電圧Voを増加させるように制御する。
モータ10の実回転速度noが増加して切り替え回転速度n1に至ると、制御部11は正弦波制御から矩形波制御に選択を切り替える。正弦波制御でのPWM変調率が1の場合よりも、矩形波制御でPWMデューティ100%の方が電力の利用率が大きくなるので、切り替え前後でモータの回転速度が同じであるなら、駆動電圧VoをVhだけ低下させることができる。
第1実施形態及び第2実施形態はモータ10の回転速度を正弦波制御と矩形波制御の選択の基準にするが、本発明は選択の基準としてモータ10の回転速度ではなく電圧値(駆動電圧Vo)を用いることもできる。この例を第3実施形態として説明する。
正弦波制御と矩形波制御の選択の基準として電圧値を用いる制御手順を、図9に示すフローチャートを参照して説明する。なお、第3実施形態における基本的な制御手順は、図6に示した第1実施形態の制御手順と同様であるので、ここでは相違点を中心にして説明する。図9において、図6と同じ処理には図6と同じ符号(ステップ(S)No.)を付している。
矩形波制御を出力している間(S103)にVo+VnがVlimに至っているか否かを判定する(S203)。Vo+VnがVlimに至っていれば、制御部11はそれ以上の駆動電圧Voの増加を禁止する(S104)ことで、規格の定める電圧の最大値未満での駆動を保障する。
一方、正弦波制御を行なっている場合(S105)には、駆動電圧Voが正弦波制御の制限電圧V1に至っているか否かを判定する(S206)。VoがV1に至っていれば(S206 No)、制御部11は通電モードを矩形波制御に切り替える(S207)。
5 降圧コンバータ
8 インバータ
10 DCブラシレスモータ(モータ)
11 制御部
20 検知部
Claims (4)
- DCブラシレスモータに駆動電圧Voを供給するインバータと、
前記インバータを介して前記モータに供給される前記駆動電圧Voの増減を制御するとともに、180°通電による正弦波及び120°通電による矩形波の一方を選択して前記駆動電圧Voの波形を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
規定の制限電圧V1の範囲において、前記駆動電圧Voが増加して前記制限電圧V1に達するまでは前記正弦波を選択し、
前記駆動電圧Voが増加して前記制限電圧V1に達すると前記正弦波から前記矩形波に選択を切換え、
前記制限電圧V1を超える範囲において前記駆動電圧Voが減少して、前記制限電圧V1に達すると前記矩形波から前記正弦波に選択を切換えるとともに、
前記駆動電圧Voの値を、前記正弦波から前記矩形波への選択の切換えをする際には所定値Vhだけ低下させ、逆に前記矩形波から前記正弦波への選択の切換えをする際には前記所定値Vhだけ増加させるように可逆的に制御し、さらに、
前記駆動電圧Voとノイズ電圧Vnの重畳電圧Vo+Vnが、規定の電圧Vlim未満となるように前記駆動電圧Voを制御する、
ことを特徴とするDCブラシレスモータの駆動装置。 - 前記制御部は、
前記正弦波の選択状態及び前記矩形波の選択状態の一方又は双方において、前記モータの実回転速度noの増減にかかわらず前記駆動電圧Voを一定に制御する、
請求項1に記載のDCブラシレスモータの駆動装置。 - 前記制御部は、
前記正弦波の選択状態の際に、前記正弦波をデューティ変調したPWM波形の変調率を変える、
請求項2に記載のDCブラシレスモータの駆動装置。 - 前記制御部は、
前記矩形波の選択状態の際に、前記駆動電圧Voが前記制限電圧V1から前記所定値Vhを減じた値未満になれば、前記正弦波の状態に移行する、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のDCブラシレスモータの駆動装置。
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