JP6267088B2 - 電動機の制御装置 - Google Patents

電動機の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6267088B2
JP6267088B2 JP2014193192A JP2014193192A JP6267088B2 JP 6267088 B2 JP6267088 B2 JP 6267088B2 JP 2014193192 A JP2014193192 A JP 2014193192A JP 2014193192 A JP2014193192 A JP 2014193192A JP 6267088 B2 JP6267088 B2 JP 6267088B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
motor
current
current phase
ratio parameter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014193192A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016067079A (ja
Inventor
太一 宮澤
太一 宮澤
黒田 昌寛
昌寛 黒田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asmo Co Ltd
Denso Corp
Original Assignee
Asmo Co Ltd
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asmo Co Ltd, Denso Corp filed Critical Asmo Co Ltd
Priority to JP2014193192A priority Critical patent/JP6267088B2/ja
Publication of JP2016067079A publication Critical patent/JP2016067079A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6267088B2 publication Critical patent/JP6267088B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Control Of Electric Motors In General (AREA)
  • Control Of Ac Motors In General (AREA)

Description

本発明は、電動機の制御装置に関する。
従来、下記特許文献1に見られるように、電動機を構成する電機子巻線の印加電圧と、電機子巻線に流れる電流との位相差をその目標値に制御する位相差制御を行うセンサレス駆動用制御装置が知られている。この制御装置では、電動機の起動時において、電動機の起動異常の発生を検出する機能を備えている。詳しくは、制御装置は、起動異常判定タイミングにおいて上記位相差を検出し、検出された位相差が予め設定された範囲内にないと判断した場合、電動機に起動異常が発生している旨判断する。
特開2009−254191号公報
ここで、電動機の異常は、起動時のみならず、起動後のセンサレス制御時においても発生し得る。このため、起動後のセンサレス制御時において電動機の異常の有無を判定する技術が望まれる。
本発明は、起動後のセンサレス制御時において電動機に異常が生じている旨判定することができる電動機の制御装置を提供することを主たる目的とする。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
本発明は、電動機(10)と、前記電動機に交流電圧を印加可能な電力変換回路(20)とを備えるシステムに適用され、前記電動機を構成する電機子巻線(10u〜10w)の印加電圧と、前記電機子巻線に流れる電流との位相差を算出する位相差算出手段(30a)と、前記位相差算出手段によって算出された位相差をその目標値に制御すべく、前記電力変換回路の操作によって前記電機子巻線の印加電圧を操作する操作手段(30b〜30i)と、前記位相差算出手段によって算出された位相差がその上限閾値を超えた場合と、前記位相差がその下限閾値を下回った場合とに、前記電動機に異常が生じている旨判定する異常判定手段(30j)とを備え、前記電機子巻線に流れる電流の位相である電流位相の変化量に対する前記位相差の変化量の比率を比率パラメータとし、前記電流位相に対して前記位相差が一義的に定まる電流位相領域を単調変化領域とし、前記単調変化領域における前記比率パラメータを、前記単調変化領域における前記比率パラメータの最大値で規格化した値を正規化比率パラメータとし、前記上限閾値は、前記単調変化領域において前記電流位相を進角側に変化させた場合に前記電動機の異常が生じた前記電流位相に対応する前記正規化比率パラメータに基づいて予め適合され、前記下限閾値は、前記単調変化領域において前記電流位相を遅角側に変化させた場合に前記電動機の異常が生じた前記電流位相に対応する前記正規化比率パラメータに基づいて予め適合されていることを特徴とする。
電動機の駆動状態に応じて定まる電流位相領域であって、電流位相に対して位相差が一義的に定まる電流位相領域である単調変化領域が存在する。位相差をその目標値に制御する位相差制御は、実際の電流位相が単調変化領域内となることを条件に成立するものである。このため、実際の電流位相が、単調変化領域外になったり、単調変化領域内であってもその領域の境界値近傍になったりすると、位相差の制御性が大きく低下し、電動機の脱調等、電動機に異常が生じるおそれがある。
ここで、本発明者らは、上記比率パラメータを定義し、さらに、この比率パラメータを用いて上記正規化比率パラメータを定義した。正規化比率パラメータは、電流位相が単調変化領域の中央近傍となる場合よりも、電流位相が単調変化領域の進角側,遅角側境界値近傍となる場合に小さくなる。また、上記中央近傍において位相差制御を正常に実行可能であり、上記境界値近傍において電動機の異常が生じるおそれがある。このため、正規化比率パラメータを、異常判定用の閾値の適合に用いることができる。
そこで、上記発明では、単調変化領域において電流位相を進角側に変化させた場合に電動機の異常が生じた電流位相に対応する正規化比率パラメータに基づいて、異常判定に用いる上限閾値を予め適合する。また、単調変化領域において電流位相を遅角側に変化させた場合に電動機の異常が生じた電流位相に対応する正規化比率パラメータに基づいて、異常判定に用いる下限閾値を予め適合する。こうして適合された上限,下限閾値を用いて、異常判定手段により、起動後のセンサレス制御時において電動機に異常が生じている旨判定することができる。
車載モータ制御システムの全体構成図。 制御装置におけるモータ制御の機能ブロック図。 相電圧と相電流との位相差を示す図。 力率角マップ、進角側マップ及び遅角側マップを示す図。 モータの異常判定処理の手順を示すフローチャート。 dq座標系における各種パラメータを説明するための図。 電流位相及び力率角の関係の計算結果を示す図。 モータの異常が発生する電流位相を調べた実験結果を示す図。 モータの異常が発生する正規化比率パラメータを調べた実験結果を示す図。 正規化比率パラメータの算出手法を説明するための図。 力率角及び正規化比率パラメータの関係の計算結果を示す図。
以下、本発明にかかる制御装置を車載モータ制御システムに適用した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、モータ制御システムは、モータ10、「電力変換回路」としてのインバータ20、及びモータ10を制御対象とする制御装置30を備えている。本実施形態において、モータ10は、車載空調装置を構成する車室内送風用ファンや、車載ラジエータファンの駆動に用いられる。本実施形態において、モータ10は、永久磁石を備える3相同期モータである。
モータ10は、電機子巻線であるU,V,W相巻線10u,10v,10wを備えている。モータ10は、インバータ20を介して、直流電源21(例えばバッテリ)に接続されている。インバータ20は、上アームスイッチSup,Svp,Swpと下アームスイッチSun,Svn,Swnとの直列接続体を備えている。U相上,下アームスイッチSup,Sunの接続点には、U相巻線10uの一端が接続され、V相上,下アームスイッチSvp,Svnの接続点には、V相巻線10vの一端が接続され、W相上,下アームスイッチSwp,Swnの接続点には、W相巻線10wの一端が接続されている。ちなみに、本実施形態では、各スイッチSup〜Swnとして、電圧制御形の半導体スイッチング素子を用い、より具体的には、MOS−FETを用いている。そして、各スイッチSup〜Swnには、各フリーホイールダイオードDup〜Dwnが逆並列に接続されている。なお、各フリーホイールダイオードDup〜Dwnは、MOS−FETのボディダイオードであってもよいし、外付けのダイオードであってもよい。
モータ制御システムは、相電流センサ22と母線電流センサ23とを備えている。本実施形態において、相電流センサ22は、モータ10の相電流を検出する。母線電流センサ23は、各下アームスイッチSun,Svn,Swnのエミッタと直流電源21の負極端子とを接続する電気経路に流れる電流を検出する。なお、本実施形態では、相電流センサ22及び母線電流センサ23として、抵抗体を備えて構成されているものを用いている。
制御装置30は、マイコンを主体として構成され、モータ10の制御量(本実施形態では回転速度)をその指令値(以下、指令回転速度ω*)にフィードバック制御すべく、インバータ20を操作する。詳しくは、制御装置30は、インバータ20を構成するスイッチSup〜Swnをオンオフ操作すべく、上記各種センサの検出値に基づき、各スイッチSup〜Swnに対応する操作信号gup〜gwnを生成し、生成された各操作信号gup〜gwnを各スイッチSup〜Swnに対して出力する。ここで、上アーム操作信号gup,gvp,gwpと、対応する下アーム操作信号gun,gvn,gwnとは、互いに相補的な信号(論理が反転した信号)となっている。すなわち、上アームスイッチと、対応する下アームスイッチとは、交互にオン状態とされる。なお、指令回転速度ω*は、例えば、制御装置30の外部に設けられた制御装置であって、制御装置30よりも上位の制御装置から制御装置30へと入力される。
続いて、図2を用いて、制御装置30によって実行されるモータの位相差制御について説明する。本実施形態にかかる制御は、センサレス正弦波駆動制御である。
位相差算出部30aは、U相について説明すると、相電流センサ22によって検出されたU相電流Irと、後述する電圧位相算出部30bから出力された電圧位相Vθrとに基づいて、正弦波状のU相電流Irと正弦波状のU相電圧Vrとの位相差(以下、力率角ξr)を算出する。本実施形態では、図3(a)に示すように、U相電圧VrがU相電流Irに対して進角している(位相が進んでいる)場合の力率角ξrを正の値で表し、遅角している(位相が遅れている)場合の力率角ξrを負の値で表すこととする。なお、図3(a)はU相電圧Vr及びU相電流Irの推移を示し、図3(b)は各相巻線10u〜10wの鎖交磁束φの推移を示す。ちなみに、位相差算出部30aにおいて、V,W相についての処理も、U相についての処理と同様に行うことができる。また、本実施形態では、相電流センサ22の検出値に基づいて力率角ξrを算出したがこれに限らない。例えば、相電流センサ22を制御システムに備えることなく、母線電流センサ23によって検出された母線電流IDCとスイッチングモードとに基づいて相電流を推定し、推定された相電流を力率角ξrの算出に用いてもよい。
力率角設定部30cは、力率角ξrの目標値である目標力率角ξ*を可変設定する。本実施形態では、指令回転速度ω*、推定トルクTrq及び目標力率角ξ*が関係づけられた力率角マップ(図4参照)が、制御装置30の備える図示しない記憶手段(例えばメモリ)に記憶されている。力率角設定部30cは、指令回転速度ω*及び推定トルクTrqを入力として、力率角マップを用いて目標力率角ξ*を可変設定する。本実施形態において、推定トルクTrqは、フィルタ部30dにおいて、母線電流センサ23によって検出された母線電流IDCにローパスフィルタ処理を施し、ローパスフィルタ処理が施された母線電流IDCをトルク換算することで算出する。
力率偏差算出部30eは、力率角設定部30cから出力された目標力率角ξ*と、位相差算出部30aから出力された力率角ξrとの偏差である力率偏差Δξを算出する。詳しくは、目標力率角ξ*から力率角ξrを減算することで力率偏差Δξを算出する。
第1制御器30fは、力率偏差Δξに基づいて、力率角ξrを目標力率角ξ*にフィードバック制御するための操作量として補正量Δωを算出する。本実施形態では、力率偏差Δξに基づく比例積分制御によって補正量Δωを算出する。
加算部30gは、指令回転速度ω*に補正量Δωを加算することで補正回転速度ωbを算出する。電圧位相算出部30bは、加算部30gから出力された補正回転速度ωbの時間積分値として、電圧位相Vθrを算出する。電圧位相Vθrは、インバータ20から各相巻線10u,10v,10wに印加する電機子電圧ベクトルの位相である。この電圧ベクトルについては、後に図6を用いて説明する。
第2制御器30hは、力率偏差Δξに基づいて、力率角ξrを目標力率角ξ*にフィードバック制御するための操作量として電圧振幅Vmodを算出する。本実施形態では、力率偏差Δξに基づく比例積分制御によって電圧振幅Vmodを算出する。電圧振幅Vmodは、上記電圧ベクトルの大きさである。
正弦波算出部30iは、モータ10のU,V,W相に、下式(eq1)にて表されるように、モータ10の電気角で位相が互いに120°ずれた正弦波のU,V,W相指令電圧Vu*,Vv*,Vw*を印加するための操作信号gup〜gwnを生成してインバータ20に対して出力する。
ここで、上記操作信号gup〜gwnは、例えば、上式(eq1)にて表される正弦波データと、三角波等のキャリア信号との大小比較に基づくPWM処理によって生成すればよい。U,V,W相巻線10u,10v,10wにU,V,W相指令電圧Vu*,Vv*,Vw*を印加するように、各操作信号gup〜gwnに基づいて各スイッチSup〜Swnをオンオフ操作することにより、モータ10の回転速度を指令回転速度ω*に制御する。
フェール判定部30jは、位相差算出部30aから出力された力率角ξr、指令回転速度ω*、及び推定トルクTrqに基づいて、モータ10に異常が生じているか否かを判定する異常判定処理を行う。フェール判定部30jは、異常が生じていると判定した場合、正弦波算出部30iに対してフェール信号FLを出力することで各操作信号gup〜gwnの生成の停止を指示する。これにより、モータ10を停止させる。
本実施形態において、モータ10の異常には、モータ10の脱調(同期外れ)、モータ10の過剰電流異常,過小電流異常、発振などが含まれる。なお、過剰電流異常は、例えば、モータ10に大きな負荷が作用してモータ10の回転が停止された状態において生じる。また、発振は、モータ10が正転逆転を繰り返すことである。
図5に、フェール判定部30jの行う異常判定処理について説明する。この処理は、例えば所定の処理周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、指令回転速度ω*及び推定トルクTrqに基づいて、上限閾値ξHiと下限閾値ξLoとを可変設定する。ここで、上限閾値ξHiは、先の図4に示すように、指令回転速度ω*、推定トルクTrq及び上限閾値ξHiが関係付けられた遅角側マップを用いて設定される。また、下限閾値ξLoは、指令回転速度ω*、推定トルクTrq及び下限閾値ξLoが関係付けられた進角側マップを用いて設定される。遅角側マップ,進角側マップは、制御装置30の上記記憶手段に記憶されている。上限閾値ξHi及び下限閾値ξLoの適合手法については、後に詳述する。
続くステップ11では、位相差算出部30aから出力された力率角ξrが上限閾値ξHiを超えたとの条件、及び力率角ξrが下限閾値ξLo未満であるとの条件の論理和が真であるか否かを判断する。この処理は、モータ10に異常が生じているか否かを判断するための処理である。
ステップS11において力率角ξrが上限閾値ξHi以下であってかつ下限閾値ξLo以上であると判断した場合には、ステップS12に進み、モータ10が正常である旨判定する。一方、ステップS10において肯定判断した場合には、ステップS13に進み、モータ10に異常が生じている旨判定する。そして、正弦波算出部30iに対してフェール信号FLを出力する。
続いて、上限閾値ξHi及び下限閾値ξLoの適合手法について説明する。
まず、図6を用いて、適合手法の説明で用いる各パラメータについて説明する。図6では、モータ10を構成するロータの磁極方向をd軸とし、d軸に直交する方向をq軸としている。
図6において、「Vn」は、インバータ20から各相巻線10u,10v,10wに印加する電機子電圧ベクトルを示し、「Vθ」は、q軸に対する電圧ベクトルVnの電圧位相を示し、「Va」は、電圧ベクトルVnの電圧振幅を示している。「In」は、各相巻線10u,10v,10wに流れる電機子電流ベクトルを示し、「β」は、q軸に対する電流ベクトルInの電流位相を示し、「Ia」は、電流ベクトルInの大きさである電流振幅を示している。「ξ」は、力率角を示している。電圧位相Vθ及び電流位相βは、q軸から反時計まわりに回転した場合を進角とし、q軸から時計まわりに回転した場合を遅角とし、q軸と一致した場合を0°とする。電圧ベクトルVnは、d,q軸電圧Vd,Vqによって表すことができ、電流ベクトルInは、d,q軸電流Id,Iqによって表すことができる。
続いて、適合手法について説明する。この適合手法は、後述する正規化比率パラメータに基づくものである。詳しくは、ブラシレス同期モータの電圧方程式は、下式(eq2)で表される。
上式(eq2)において、「Ld,Lq」はd,q軸インダクタンスを示し、「Ra」は巻線抵抗を示し、「ω」はモータの電気角速度を示し、「φa」は鎖交磁束の大きさを示し、「p」は微分演算子を示す。上式(eq2)において、定常状態を想定して過渡項を除くと、下式(eq3)が導かれる。
上式(eq3)と下式(eq4)とから、電圧位相Vθを表す下式(eq5)が導かれる。
上式(eq5)を用いて、力率角ξは下式(eq6)で表される。
上式(eq6)は、力率角ξと電流位相βとの間に相関があることを示している。ここで、図7に、電流振幅Iaと正の相関を有するモータのトルクを様々な値T1〜T5に設定した場合の電流位相βと力率角ξとの計算結果を示す。図7によれば、基準となる電流位相βである基準位相(0°を例示)に対して、電流位相βが進角側に向かうほど、力率角ξが小さくなり、その後、電流位相βの進角に伴い力率角ξが大きくなる。一方、電流位相βが遅角側に向かうほど、力率角ξが大きくなり、その後、電流位相βの遅角に伴い力率角ξが小さくなる。つまり、各トルクの計算結果のそれぞれにおいて、電流位相βが進角側に向かうにつれて力率角ξが単調減少する領域(換言すれば、電流位相βと力率角ξとに比例関係が成立する領域)である単調変化領域が存在する。単調変化領域では、電流位相βに対して力率角ξが一義的に定まる。位相差制御は、電流位相βが単調変化領域内となることを条件に成立する制御である。
ここで、電流位相βの変化量を力率角ξの変化量で除算した値の絶対値を比率パラメータと定義する。単調変化領域において、基準位相に対して電流位相βが進角側,遅角側にいくほど、比率パラメータが小さくなる傾向にある。比率パラメータが小さい電流位相領域(単調変化領域の境界値近傍)においては、位相差の制御性が大きく低下し、脱調等のモータ10の異常が生じるおそれがある。特に本実施形態では、比率パラメータが0になる電流位相領域において位相差の制御が不能となる。
図8は、位相差制御を行いながら電流位相βを基準位相(例えば0°)から進角側,遅角側に変化させたときにモータ異常が生じた電流位相βを、モータの回転速度及びトルクのそれぞれと関係付けて調べた実験結果である。ここで、図8には、モータ異常が生じた電流位相βを脱調点「×」として示している。なお、図8では、モータ異常の調査対象とする電流位相βの絶対値を90°以内とした。これは、電流位相βの絶対値が90°を超えると、モータ10のトルクの正負が逆転するためである。
図示されるように、回転速度及びトルクを様々な値に設定した場合であっても、基準位相から進角側,遅角側に略同じ位相だけシフトした電流位相βにおいてモータ異常が生じている。
図9に、図8に示した実験結果を、正規化比率パラメータSthを用いて整理したものを示す。詳しくは、図9は、電流位相βを変化させた場合に、モータ異常が生じた電流位相に対応する正規化比率パラメータSthを示す。図9(a)〜(c)は、図8(a)〜(c)に対応している。ここで正規化比率パラメータSthとは、下式(eq7)に示すように、単調変化領域における比率パラメータ「Δβ0/Δξ0」を、単調変化領域における比率パラメータの最大値「Δβmax/Δξmax」で規格化した値のことである。
図10を用いて、本実施形態にかかるモータ異常が生じた電流位相に対応する正規化比率パラメータSthの算出手法について説明する。なお、図10では、基準位相近傍で正規化比率パラメータが最大「Δβmax/Δξmax」となる例を示している。
図10(a)には、基準位相に対して進角側に電流位相βを変化させた場合に、モータ異常が発生した電流位相β2に対応する正規化比率パラメータSthについて示している。詳しくは、進角側に電流位相βを変化させた場合に、モータ異常が生じる直前の電流位相β1とモータ異常が生じた電流位相β2との差を第1偏差Δβ0として算出する。また、進角側に電流位相βを変化させた場合に、モータ異常が生じる直前の電流位相β1に対応する力率角ξ1と、モータ異常が生じた電流位相β2に対応する力率角ξ2との差を第2偏差Δξ0として算出する。そして、第1偏差Δβ0の絶対値を第2偏差Δξ0の絶対値で除算した値を、モータ異常が発生した電流位相β2に対応する正規化比率パラメータSthとして算出する。
図10(b)には、基準位相に対して遅角側に電流位相βを変化させた場合に、モータ異常が発生した電流位相β4に対応する正規化比率パラメータSthについて示している。詳しくは、遅角側に電流位相βを変化させた場合に、モータ異常が生じる直前の電流位相β3とモータ異常が生じた電流位相β4との差を第1偏差Δβ0として算出する。また、遅角側に電流位相βを変化させた場合に、モータ異常が生じる直前の電流位相β3に対応する力率角ξ3と、モータ異常が生じた電流位相β4に対応する力率角ξ4との差を第2偏差Δξ0として算出する。そして、第1偏差Δβ0の絶対値を第2偏差Δξ0の絶対値で除算した値を、モータ異常が発生した電流位相β4に対応する正規化比率パラメータSthとして算出する。
こうして算出された正規化比率パラメータSthについて図9を用いて説明すると、トルク及び回転速度のそれぞれを様々な値に変化させた場合であっても、モータ異常が生じる正規化比率パラメータSthは大きく相違しない。本実施形態では、トルク及び回転速度を様々に設定した場合において、正規化比率パラメータSthが60%〜100%の範囲でモータが正常に駆動した。しかしながら、正規化比率パラメータSthが60%未満では、モータ異常が生じ得るといった結果となった。
このため、本実施形態では、指令回転速度ω*及びトルクTrqのそれぞれを様々な値に設定した場合において、電流位相βを基準位相に対して進角側に変化させたときに、正規化比率パラメータSthが60%となる時の電流位相に対応する力率角ξを上限閾値ξHiとして適合する。これにより、指令回転速度ω*及びトルクTrqと関係付けられて上限閾値ξHiが規定された遅角側マップを作成する。
また、本実施形態では、指令回転速度ω*及びトルクTrqのそれぞれを様々な値に設定した場合において、電流位相βを基準位相に対して遅角側に変化させたときに、正規化比率パラメータSthが60%となる時の電流位相に対応する力率角ξを下限閾値ξLoとして適合する。これにより、指令回転速度ω*及びトルクTrqと関係付けられて下限閾値ξLoが規定された進角側マップを作成する。
図11(a)に、トルクを様々な値に設定した場合の力率角ξと正規化比率パラメータSthとの関係の計算結果を示す。正規化比率パラメータSthは、トルクが大きくなるほど低くなる。また、図11(b)に、回転速度を様々な値に設定した場合の力率角ξと正規化比率パラメータSthとの関係の計算結果を示す。正規化比率パラメータSthは、回転速度が低くなるほど低くなる。なお、図11では、基準位相に対して電流位相βが進角側の場合の正規化比率パラメータSthを負の値で示している。
このように、本実施形態では、遅角側,進角側において正規化比率パラメータSthが60%となる時の電流位相に対応する力率角ξを上限閾値ξHi,下限閾値ξLoとして予め適合した。指令回転速度ω*及びトルクTrqのそれぞれを様々な値に設定した場合であっても、正規化比率パラメータSthが60%以上であればモータ10の異常は生じない。このため、正規化比率パラメータSthが60%となる時の電流位相に対応する力率角を各閾値ξHi,ξLoとして予め適合することで、単調変化領域において電流位相が基準位相から変化して遅角側,進角側境界値に到達する十分前の電流位相において、脱調等のモータ10の異常を事前に判定することができる。
さらに、本実施形態によれば、位相差算出部30aから出力された力率角ξrと力率角マップとを参照するタイミングと略同じタイミングにおいて、フェール判定部30jにてモータ10の異常を判定することができる。加えて、マップを用いた異常判定のため、制御装置30の演算負荷を低減でき、ひいては制御装置30のコストを低減できる。なお、異常判定処理に基づくモータ10の異常は、位相差制御の実行中であれば、モータ10の定常運転時に加え、過渡運転時においても判定可能である。
(その他の実施形態)
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上限閾値ξHi及び下限閾値ξLoのそれぞれを、正規化比率パラメータSthが60%未満の値(例えば50%)となる時の電流位相に対応する力率角に適合してもよい。また、上限閾値ξHi及び下限閾値ξLoのそれぞれの適合で用いる正規化比率パラメータとして、互いに同じ値を用いず、例えば、進角側で60%を用いて遅角側で50%を用いる等、互いに異なる値を用いてもよい。
・各上アームスイッチSup,Svp,Swpのコレクタと直流電源21の正極端子とを接続する電気経路に流れる電流を検出する母線電流センサの検出値をフィルタ部30dの入力としてもよい。
・モータとしては、永久磁石型のものに限らず、例えば巻線界磁型のものであってもよい。また、モータとしては、3相のものに限らず、4相以上のものであってもよい。さらに、モータの用途としては、ファン駆動用に限らず、例えばポンプ駆動用であってもよい。
・モータ10に交流電圧を印加可能な電力変換回路としては、3相インバータに限らず、交流電圧を印加可能であれば他の電力変換回路であってもよい。
10…モータ、20…インバータ、30…制御装置。

Claims (5)

  1. 電動機(10)と、前記電動機に交流電圧を印加可能な電力変換回路(20)とを備えるシステムに適用され、
    前記電動機を構成する電機子巻線(10u〜10w)の印加電圧と、前記電機子巻線に流れる電流との位相差を算出する位相差算出手段(30a)と、
    前記位相差算出手段によって算出された位相差をその目標値に制御すべく、前記電力変換回路の操作によって前記電機子巻線の印加電圧を操作する操作手段(30b〜30i)と、
    前記位相差算出手段によって算出された位相差がその上限閾値を超えた場合と、前記位相差がその下限閾値を下回った場合とに、前記電動機に異常が生じている旨判定する異常判定手段(30j)とを備え、
    前記電機子巻線に流れる電流の位相である電流位相の変化量に対する前記位相差の変化量の比率を比率パラメータとし、
    前記電流位相に対して前記位相差が一義的に定まる電流位相領域を単調変化領域とし、
    前記単調変化領域における前記比率パラメータを、前記単調変化領域における前記比率パラメータの最大値で規格化した値を正規化比率パラメータとし、
    前記上限閾値は、前記単調変化領域において前記電流位相を進角側に変化させた場合に前記電動機の異常が生じた前記電流位相に対応する前記正規化比率パラメータに基づいて予め適合され、
    前記下限閾値は、前記単調変化領域において前記電流位相を遅角側に変化させた場合に前記電動機の異常が生じた前記電流位相に対応する前記正規化比率パラメータに基づいて予め適合されていることを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 前記上限閾値は、前記電動機の回転速度及び前記電動機のトルクのそれぞれに応じて定まる前記単調変化領域において前記電流位相を進角側に変化させた場合に前記電動機の異常が生じた前記電流位相に対応する前記正規化比率パラメータに基づいて予め適合され、
    前記下限閾値は、前記電動機の回転速度及び前記電動機のトルクのそれぞれに応じて定まる前記単調変化領域において前記電流位相を遅角側に変化させた場合に前記電動機の異常が生じた前記電流位相に対応する前記正規化比率パラメータに基づいて予め適合され、
    前記電動機の回転速度及び前記電動機のトルクのそれぞれに基づいて、前記上限閾値及び前記下限閾値のそれぞれを可変設定する設定手段をさらに備える請求項1記載の電動機の制御装置。
  3. 前記上限閾値は、前記単調変化領域において前記電流位相を進角側に変化させた場合に、前記正規化比率パラメータが0よりも大きくてかつ0.6以下の規定値となる時の前記位相差に適合され、
    前記下限閾値は、前記単調変化領域において前記電流位相を遅角側に変化させた場合に、前記正規化比率パラメータが前記規定値となる時の前記位相差に適合されている請求項1又は2記載の電動機の制御装置。
  4. 前記規定値は0.6である請求項3記載の電動機の制御装置。
  5. 前記電動機は、車載ファンの駆動に用いられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動機の制御装置。
JP2014193192A 2014-09-23 2014-09-23 電動機の制御装置 Expired - Fee Related JP6267088B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014193192A JP6267088B2 (ja) 2014-09-23 2014-09-23 電動機の制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014193192A JP6267088B2 (ja) 2014-09-23 2014-09-23 電動機の制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016067079A JP2016067079A (ja) 2016-04-28
JP6267088B2 true JP6267088B2 (ja) 2018-01-24

Family

ID=55804352

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014193192A Expired - Fee Related JP6267088B2 (ja) 2014-09-23 2014-09-23 電動機の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6267088B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6690662B2 (ja) * 2018-03-29 2020-04-28 ダイキン工業株式会社 電源品質管理システムならびに空気調和装置

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009254191A (ja) * 2008-04-09 2009-10-29 Sharp Corp モータ制御装置、圧縮装置、冷凍装置および空調装置
JP2011050170A (ja) * 2009-08-27 2011-03-10 Sharp Corp インバータ装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016067079A (ja) 2016-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6167982B2 (ja) モータ駆動装置および電動圧縮機
JP3681318B2 (ja) 同期モータ制御装置及びそれを用いた車両
US9013137B2 (en) Apparatus for calculating rotational position of rotary machine
JP6580899B2 (ja) ドライブシステムおよびインバータ装置
JP5549384B2 (ja) 電動機の制御装置および電動機制御システム
JP5838038B2 (ja) モータ制御装置
JP5958477B2 (ja) インバータ装置
EP2600518A1 (en) Control apparatus for ac rotating machine
JP6217554B2 (ja) インバータ装置
JP4926492B2 (ja) モータ制御装置
JP6241460B2 (ja) 電動機の制御装置
WO2017056258A1 (ja) 電力制御方法、及び、電力制御装置
JP2019208329A (ja) センサレスベクトル制御装置及びセンサレスベクトル制御方法
JP6267088B2 (ja) 電動機の制御装置
JP2018007390A (ja) モータ制御装置
WO2019207754A1 (ja) 電動機制御装置
WO2021200389A1 (ja) モータ制御装置、モータシステム及びモータ制御方法
JP6354523B2 (ja) 電動機の制御装置
JP2018121421A (ja) 同期モータの制御装置
JP6733579B2 (ja) モータ駆動装置
JP2021022965A (ja) 誘導電動機の駆動装置、駆動方法、および電気車
JP6493135B2 (ja) 車載用電動圧縮機
JP6544204B2 (ja) モータの制御装置
JP4727405B2 (ja) 電動機の制御装置
JP2020078108A (ja) 回転電機の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170313

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6267088

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees