以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1および図2を参照して、本実施形態に係る印字装置1の概略構成について説明する。印字装置1は、テープ状の印字媒体50(図2参照)の幅方向に、行単位でキャラクタ(文字、記号、数字および絵文字等)を印字してラベルを作成する小型のラベルプリンタである。以下の説明では、図1および図2の右上側、左下側、右下側、左上側、上側、下側を、それぞれ、印字装置1の後側、前側、右側、左側、上側、下側とする。
図1に示すように、印字装置1の上面にはキャラクタを入力するためのキーボード3が設けられている。キーボード3の後側(紙面右上側)には、電源スイッチ、用途キー、カーソルキー等の機能キー群4が設けられている。用途キーは、後述する印字キー、プレビューキー、プレビュー終了キー、表示切替キー等を含む。以下の説明では、キーボード3と機能キー群4とを総称する場合、操作部2という。機能キー群4の後側には、入力したキャラクタ等を表示するためのディスプレイ5が設けられている。印字装置1の上面の後部には、開閉可能なカバー6が設けられている。印字装置1の左後角には、後述するカット機構(図示略)によって切断された印字済テープを受けるテープトレイ7が設けられている。
図2に示すように、ディスプレイ5の後側には、テープカセット30が上下方向に着脱されるカセット装着部8が形成されている。印字装置1では、カセット装着部8に装着されたテープカセット30を用いて、キーボード3で入力されたキャラクタの印字が実行される。本実施形態のテープカセット30は、略直方体状(箱型)の筐体であるカセットケースの内部に、印字媒体50と印字媒体50への印字に使用されるインクリボン(図示略)が巻回されて収容されている。印字媒体50は、例えば、片面に剥離紙が設けられ、剥離紙を剥離して他の物体に貼りつけることが可能なラベルテープである。テープカセット30は、テープ幅の異なる印字媒体50を収容できる。
カセット装着部8には、印字媒体50を搬送するためのテープ駆動軸11、使用済みのインクリボンを巻き取るためのリボン巻取軸9、キャラクタを印字するサーマルヘッド10(図3参照)などが設けられている。本実施形態では、サーマルヘッド10が、搬送される印字媒体50に未使用のインクリボンを用いて印字を行なう。印字媒体50の搬送方向におけるサーマルヘッド10の下流側には、印字済の印字媒体50を切断するカット機構(図示略)が設けられている。なお、テープカセット30としては、種々の種類のテープカセットを使用することができる。例えば、透明フィルムによって表面が保護されたラミネートテープを作成するためのテープカセットであってもよいし、アイロンを使用して衣類等に貼りつけることのできる布製のテープを作成するためのテープカセットであってもよい。
図3を参照して、印字装置1の電気的構成について説明する。図3に示すように、印字装置1は、制御基板上に形成される制御回路部400を備えている。制御回路部400は、CPU401、ROM402、CGROM403、RAM404、フラッシュメモリ410、入出力インターフェース411などを備え、これらがデータバスを介して接続されている。
ROM402には、CPU401が印字装置1を制御するために実行する各種プログラムが記憶されている。CGROM403には、キャラクタを印字するための印字用ドットパターンデータが記憶されている。RAM404には、テキストメモリ、書式メモリ、印字バッファ等、複数の記憶領域が設けられている。テキストメモリには、キーボード3から入力された印字対象のキャラクタのデータ(以下、「キャラクタデータ」という。)が格納される。書式メモリには、テキストメモリに記憶されたキャラクタを印字媒体50に印字する場合の書式設定(フォント、サイズ、幅、スタイル、下線、配置等)が記憶される。印字バッファには、印字対象の印字用ドットパターンデータが格納される。フラッシュメモリ410には、種々のデータが記憶されている。
入出力インターフェース411には、操作部2、液晶駆動回路(LCDC)405、駆動回路406、407、408などが接続されている。液晶駆動回路(LCDC)405は、ディスプレイ5に表示データを出力するためのビデオRAM(図示略)を有する。駆動回路406は、サーマルヘッド10を駆動するための電子回路である。駆動回路407は、リボン巻取軸9およびテープ駆動軸11を回転させるテープ送りモータ24を駆動するための電子回路である。駆動回路408は、カット機構(図示略)を動作させるカッターモータ25を駆動するための電子回路である。
図4および図5を参照して、印字装置1の操作態様およびディスプレイ5の表示について説明する。本実施形態のディスプレイ5は、操作部2から入力または編集されたキャラクタを、横並び(即ち、行)で構成された表示ラインに配置してドットパターンで表示することができる小型のドットマトリクスLCDである。印字装置1は、あらかじめ機能別・用途別に設けられた複数のモードのうち、ユーザの操作目的に応じた最適なモードを提供するユーザインターフェース機能を有する。各モードでは、ユーザの操作目的に応じた最適な入力画面群が、ディスプレイ5に表示される。
図4に示すように、印字装置1の電源投入直後は、キャラクタ入力モードが実行される。キャラクタ入力モードでは、ユーザにキャラクタを入力させるための入力用画面100がディスプレイ5に表示される。ユーザはキーボード3を用いてキャラクタを入力することができる。入力用画面100で入力されたキャラクタデータは、RAM404のテキストメモリに記憶される。入力用画面100の上部には、情報表示領域81が設けられている。情報表示領域81の右部には、現在入力されているキャラクタを印字した場合の印字媒体50の必要長さの表示82が表示されている。以下では特に説明しないが、必要長さの表示82は、キャラクタの入力、改行の追加、および改行の削除等が行われる度に更新される。情報表示領域81には、入力されるキャラクタに対する書式設定を示す情報等、他の情報も表示されるが、図示は省略している。
情報表示領域81の下側の表示領域83には、ユーザによって入力されたキャラクタが表示される。図4は、ユーザによってキーボード3が操作されて、1行目に「ABC工業株式会社」のキャラクタが入力された場合の入力用画面100を示す。図4に示すように、入力用画面100には、全てのキャラクタを一度に表示できず、キャラクタの一部「工業株式会社」が表示されている。表示領域83の左部(行の先頭)には、1行目であることを示す行表示91が表示されている。例えば、キャラクタが2行分入力された場合、2行目であることを示す行表示が表示される。本実施形態において、2行目には、「ソフトウェア第二開発部」のキャラクタが、ユーザによって入力される。
図5に示すように、書式設定モードでは、ユーザにキャラクタの書式を設定させるための設定用画面110がディスプレイ5に表示される。ユーザは操作部2を用いてキャラクタの書式を設定することができる。本実施形態の設定用画面110では、あらかじめ標準の書式が設定されており、ユーザはカーソルキーを用いて書式を変更できる。具体的には、ユーザは上下キーで設定内容を変更したい項目を選択し、左右キーで選択項目の設定内容を変更する。設定用画面110で設定された書式を示すデータ(以下、「書式データ」という。)は、RAM404の書式メモリに記憶される。
ディスプレイ5の表示には、これらの他に、プレビューモードで表示される実寸プレビュー画面120および印字プレビュー画面130(図11および図12参照)がある。実寸プレビュー画面120および印字プレビュー画面130では、印字媒体50への印字イメージを、実際に印字媒体50への印字が行われる前に、ユーザに確認させることができる。実寸プレビュー画面120および印字プレビュー画面130の詳細については後述する。
図6から図12を参照して、印字装置1のCPU401によるプレビュー処理について説明する。プレビュー処理では、プレビューモードでディスプレイ5に表示される実寸プレビュー画面120および印字プレビュー画面130それぞれの表示内容の制御が行われる。
図6に示すように、CPU401は、プレビュー処理を開始すると、プレビューキーが押下されたか否かを判断する(S1)。プレビューキーは、実寸プレビュー画面120および印字プレビュー画面130によるディスプレイ5の表示を開始するための用途キーである。後述するプレビューキーが押下されたと判断した場合(S1:YES)、CPU401は、RAM404のキャラクタメモリからキャラクタデータを取得する(S2)。CPU401は、RAM404の書式メモリから書式データを取得する(S3)。CPU401は、最大・最小特定処理(S4)、および実寸プレビュー表示処理(S5)を順に実行する。なお、プレビューキーが押下されたと判断されない場合(S1:NO)、CPU401は、処理をS1へ移行する。
図7および図8を参照して、最大・最小特定処理(S4、図6参照)について説明する。最大・最小特定処理は、キャラクタデータと書式データとに基づいて、印字媒体50に印字されるキャラクタのうち最大のキャラクタおよび最小のキャラクタを特定する処理である。図7に示すように、最大・最小特定処理が開始されると、CPU401は、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタを特定するために参照する行が何行目であるかを示す変数Yを初期化して「1」とする(S21)。CPU401は、最大のキャラクタに関する値であるXmax、Ymax、HmaxおよびWmaxを初期化して全て「0」とする(S22)。Xmaxは、最大のキャラクタが各行において何個目のキャラクタであるかを示す値である。Ymaxは、最大のキャラクタが何行目のキャラクタであるかを示す値である。Hmaxは、印字媒体50に印字されるキャラクタのうち最大のキャラクタの印字用ドットパターンにおいて、キャラクタの高さ方向におけるドット数を示す値である。Wmaxは、印字媒体50に印字されるキャラクタのうち最大のキャラクタの印字用ドットパターンにおいて、キャラクタの幅方向におけるドット数を示す値である。HmaxおよびWmaxは、それぞれ0〜255の値で表され、最小値は0、最大値は255である。
次いで、CPU401は、最小のキャラクタに関する値であるXminおよびYminをそれぞれ「0」に、HminおよびWminをそれぞれ「255」に初期化する(S23)。Xminは、最小のキャラクタが各行において何個目のキャラクタであるかを示す値である。Yminは、最小のキャラクタが何行目のキャラクタであるかを示す値である。Hminは、印字媒体50に印字されるキャラクタのうち最小のキャラクタの印字用ドットパターンにおいて、キャラクタの高さ方向におけるドット数を示す値である。Wminは、印字媒体50に印字されるキャラクタのうち最小のキャラクタの印字用ドットパターンにおいて、キャラクタの幅方向におけるドット数を示す値である。HminおよびWminは、それぞれ0〜255の値で表される。
次いで、CPU401は、印字媒体50にキャラクタが何行目まで印字されるかを示す総ラベル行数Bを取得する(S24)。例えば、印字媒体50にキャラクタが1行だけ印字される場合の総ラベル行数Bの値は「1」である。印字媒体50にキャラクタが3行印字される場合の総ラベル行数Bの値は「3」である。CPU401は、変数Yの示す値が、総ラベル行数Bの示す値以下であるか否かを判断する(S25)。変数Yの示す値が、総ラベル行数Bの示す値以下である場合(S25:YES)、CPU401は、Y行目に印字されるキャラクタの個数であるキャラクタ数Aを取得する(S26)。CPU401は、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタを特定するために参照するキャラクタが各行の何個目のキャラクタであるかを示す変数Xを初期化して「1」とする(S27)。なお、変数Yの示す値が、総ラベル行数Bの示す値よりも大きい場合(S25:NO)、CPU401は、最大・最小特定処理を終了する。
図8に示すように、CPU401は、変数Xの示す値が、キャラクタ数Aの示す値以下であるか否かを判断する(S31)。変数Xの示す値が、キャラクタ数Aの示す値以下である場合(S31:YES)、CPU401は、Y行目におけるX番目のキャラクタの印字用ドットパターンデータを生成する(S32)。具体的には、CPU401は、テキストメモリに記憶されたY行目におけるX番目のキャラクタのキャラクタデータに対して、書式メモリに記憶されたY行目におけるX番目のキャラクタの書式データを適用して、Y行目におけるX番目のキャラクタの印字用ドットパターンデータを生成する。CPU401は、S32で生成した印字用ドットパターンから、キャラクタの高さ方向におけるドット数H、およびキャラクタの幅方向におけるドット数Wを取得する(S33)。なお、変数Xの示す値が、キャラクタ数Aの示す値よりも大きい場合(S31:NO)、CPU401は、変数Yに「1」を加算して(S34)、処理をS25(図7参照)へ戻す。
CPU401は、S33で取得したドット数HがHmaxよりも大きいか否かを判断する(S35)。ドット数HがHmaxよりも大きい場合(S35:YES)、CPU401は、HmaxおよびWmaxの各値を、S33で取得したドット数Hおよびドット数Wの各値に更新する。あわせて、XmaxおよびYmaxの各値を、XおよびYの各値に更新する。CPU401は、更新したXmax、Ymax、HmaxおよびWmaxの各値を、RAM404の所定記憶エリアに格納する(S38)。
ドット数HがHmax以下である場合(S35:NO)、CPU401は、ドット数HとHmaxとが等しいか否かを判断する(S36)。ドット数HとHmaxとが等しい場合(S36:YES)、CPU401は、S33で取得したドット数WがWmaxよりも大きいか否かを判断する(S37)。ドット数WがWmaxよりも大きい場合(S37:YES)、CPU401は、処理をS38へ移行する。一方、ドット数HがHmaxよりも小さい場合(S36:NO)、およびドット数WがWmax以下である場合(S37)、CPU401は、Xmax、Ymax、HmaxおよびWmaxの各値を更新せず、処理をS39へ移行する。
次いで、CPU401は、S33で取得したドット数HがHminよりも小さいか否かを判断する(S39)。ドット数HがHminよりも小さい場合(S39:YES)、CPU401は、HminおよびWminの各値を、S33で取得したドット数Hおよびドット数Wの各値に更新する。あわせて、XminおよびYminの各値を、XおよびYの各値に更新する。CPU401は、更新したXmin、Ymin、HminおよびWminの各値を、RAM404の所定記憶エリアに格納する(S42)。
ドット数HがHmin以上である場合(S39:NO)、CPU401は、ドット数HとHminとが等しいか否かを判断する(S40)。ドット数HとHminとが等しい場合(S40:YES)、CPU401は、S33で取得したドット数WがWminよりも小さいか否かを判断する(S41)。ドット数WがWminよりも小さい場合(S41:YES)、CPU401は、処理をS42へ移行する。一方、ドット数HがHminよりも大きい場合(S40:NO)、およびドット数WがWmin以上である場合(S41:NO)、CPU401は、Xmin、Ymin、HminおよびWminの各値を更新せず、処理をS43へ移行する。CPU401は、変数Xに「1」を加算して(S43)、処理をS31へ戻す。
CPU401は、全ての行における全てのキャラクタ毎に、S25からS43の処理を繰り返し実行する。なお、変数Yの示す値が、総ラベル行数Bの示す値よりも大きい場合(S25:NO、図7参照)、全ての行における全てのキャラクタについてS25からS43の処理が実行された状態となる。CPU401は、最大・最小特定処理を終了する。
次いで、図9を参照して、実寸プレビュー表示処理(S5、図6参照)について説明する。実寸プレビュー表示処理は、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタが印字媒体50に印字される大きさと同じ大きさのキャラクタを示すキャラクタ画像をディスプレイ5に表示するための処理である。具体的には、CPU401は、ディスプレイ5が表示する1ドットの高さ方向の長さおよび幅方向の長さを取得する。あわせて、CPU401は、サーマルヘッド10がキャラクタを印字媒体50へ印字する際の1ドットの高さ方向の長さおよび幅方向の長さを取得する。CPU401は、これらに基づいて、印字用ドットパターンデータを、印字媒体50に印字されるキャラクタの大きさと同じ大きさのキャラクタを示すキャラクタ画像に変換するための表示倍率である実寸表示倍率を算出する。CPU401は、算出した実寸表示倍率に基づいて、印字用ドットパターンデータを、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタが印字媒体50に印字される大きさと同じ大きさのキャラクタを示すキャラクタ画像に変換する。これにより、CPU401は、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタが印字媒体50に印字される大きさと同じ大きさのキャラクタを示すキャラクタ画像をディスプレイ5に表示することができる。
図9に示すように、実寸プレビュー表示処理が開始されると、CPU401は、ディスプレイ5における1ドットの高さ方向の長さを示す値であるDspH、および1ドットの幅方向の長さを示す値であるDspWを取得する(S51)。DspHおよびDspWの各値は、あらかじめROM402等に記憶されていてもよい。CPU401は、サーマルヘッド10が印字媒体50に印字する際の1ドットの高さ方向の長さを示す値であるHeadH、および1ドットの幅方向の長さを示す値であるHeadWを取得する(S52)。
CPU401は、HeadHをDspHで除することによって、キャラクタ画像の高さ方向の実寸表示倍率を算出する。CPU401は、HeadWをDspWで除することによって、キャラクタ画像の幅方向の実寸表示倍率を算出する(S53)。次いで、CPU401は、Ymax行目におけるXmax番目のキャラクタ(最大のキャラクタ)について印字用ドットパターンデータを生成する(S54)。CPU401は、Ymin行目におけるXmin番目のキャラクタ(最小のキャラクタ)について印字用ドットパターンデータを生成する(S55)。CPU401は、最大のキャラクタの印字用ドットパターン、および最小のキャラクタの印字用ドットパターンのそれぞれを、S53で算出した実寸表示倍率に基づいて、最大のキャラクタのキャラクタ画像および最小のキャラクタのキャラクタ画像に変換する(S56)。以下、最大のキャラクタのキャラクタ画像を最大キャラクタ画像、最小のキャラクタのキャラクタ画像を最小キャラクタ画像という。その後、CPU401は、変換した最大キャラクタ画像および最小キャラクタ画像をディスプレイ5に表示し(S57)、実寸プレビュー表示処理を終了する。
図11を参照して、実寸プレビュー表示処理(図9参照)によって制御される実寸プレビュー画面120について説明する。本実施形態でユーザによって入力される1行目のキャラクタ群「ABC工業株式会社」、および2行目のキャラクタ群「ソフトウェア第二開発部」のうち、最大のキャラクタは、1行目における5番目のキャラクタの「業」である。最小のキャラクタは、2行目における5番目のキャラクタの「ェ」である。実寸プレビュー画面120では、S56(図9参照)において印字用ドットパターンデータから変換された、最大のキャラクタ「業」が印字媒体50に印字される大きさと同じ大きさの最大キャラクタ画像94である「業」を示す画像が表示される。また、最小のキャラクタ「ェ」が印字媒体50に印字される大きさと同じ大きさの最小キャラクタ画像96である「ェ」を示す画像が表示される。
印字媒体50への印字イメージをディスプレイ5に表示する場合、印字媒体50に印字される全てのキャラクタについて、印字される大きさと同じ大きさのキャラクタ画像をディスプレイ5に表示させる表示態様も考えられる。しかし、キャラクタ画像の大きさおよびディスプレイ5の表示領域の大きさによっては、印字装置1は、全てのキャラクタ画像を一度にディスプレイ5に表示できない場合がある。このような場合に、印字媒体50へのキャラクタの印字イメージを確認するためには、ユーザは、ディスプレイ5に表示される印字イメージを繰り返しスクロールする等の操作が必要となる。特に、印字媒体50に印字されるキャラクタの数が多い場合等には、ディスプレイ5の印字イメージの操作が煩雑になる可能性がある。ディスプレイ5における印字イメージの表示は、所望する大きさのキャラクタが印字媒体50に印字されるか否かを、実際に印字媒体50への印字が行われる前にユーザに確認させるために行われる。本実施形態において、CPU401は、印字される大きさと同じ大きさでディスプレイ5に表示するキャラクタ画像を、ユーザに特に大きさを正確に把握させることの必要な最大キャラクタ画像94および最小キャラクタ画像96に限定する。これにより、印字装置1は、ディスプレイ5における印字イメージの操作性の悪化を防止しつつ、印字イメージのうち必要な情報について一覧性を高めて、印字媒体50に印字されるキャラクタの大きさの目安をユーザに容易に把握させることができる。
なお、実寸プレビュー画面120において、最大キャラクタ画像94および最小キャラクタ画像96に加えて、他の情報を表示することも可能である。例えば、最大キャラクタ画像94および最小キャラクタ画像96が印字媒体50に印字される大きさと同じ大きさであることを端的に示す「実寸プレビュー」との表示92、最大キャラクタ画像94が最大のキャラクタであることを示す「Max:」との表示93、最小キャラクタ画像96が最小のキャラクタであることを示す「Min:」との表示95等が表示されてもよい。
図6の説明に戻る。実寸プレビュー表示処理(S5)が終了すると、CPU401は、表示切替キーが押下されたか否かを判断する(S6)。表示切替キーは、ディスプレイ5における実寸プレビュー画面120と、後述する印字プレビュー画面130とを相互に切り替えるための用途キーである。表示切替キーが押下されたと判断した場合(S6:YES)、CPU401は、印字プレビュー表示処理(S7)を実行する。
図10を参照して、印字プレビュー処理(S7、図6参照)について説明する。印字プレビュー処理は、実際に印字媒体50への印字が行われる前に、印字イメージの全体をディスプレイ5に表示するための処理である。ディスプレイ5に表示される印字イメージの全体において、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタを、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタ以外の他のキャラクタとは異なる態様で表示する点が、本実施形態の特徴である。
印字プレビュー表示処理が開始されると、CPU401は、参照する行数を示す変数Yを初期化して「1」とする(S61)。CPU401は、印字プレビュー表示処理において生成する印字イメージデータのベースとなるベースプレビューデータを生成する(S62)。ベースプレビューデータは、ユーザによって入力された全てのキャラクタが印字媒体50に印字される印字イメージの全体を構成する画像データである。CPU401は、RAM404のテキストメモリに記憶されたキャラクタデータ、および書式メモリに記憶された書式データを参照して、全てのキャラクタの印字イメージを含むベースプレビューデータを生成する。
次いで、CPU401は、印字媒体50の総ラベル行数Bを取得する(S63)。なお、CPU401は、総ラベル行数Bを、RAM404のテキストメモリに記憶されたキャラクタデータを参照して取得してもよい。また、CPU401は、最大・最小特定処理のS24(図7参照)で取得した総ラベル行数BをRAM404の所定記憶エリアに格納しておき、所定記憶エリアを参照することで総ラベル行数Bを取得してもよい。CPU401は、変数Yの示す値が、総ラベル行数Bの示す値以下であるか否かを判断する(S64)。変数Yの示す値が、総ラベル行数Bの示す値以下である場合(S64:YES)、CPU401は、Y行目のキャラクタ数Aを取得する(S65)。なお、CPU401は、キャラクタ数Aを、RAM404のテキストメモリに記憶されたキャラクタデータを参照して取得してもよい。また、CPU401は、最大・最小特定処理のS26(図7参照)で取得したキャラクタ数AをRAM404の所定記憶エリアに格納しておき、所定記憶エリアを参照することでキャラクタ数Aを取得してもよい。CPU401は、参照するキャラクタが各行の何個目のキャラクタであるかを示す変数Xを初期化して「1」とする(S66)。
CPU401は、変数Xの示す値が、キャラクタ数Aの示す値以下であるか否かを判断する(S67)。変数Xの示す値が、キャラクタ数Aの示す値以下である場合(S67:YES)、CPU401は、変数XがXmaxと等しく且つ変数YがYmaxと等しいか、または、変数XがXminと等しく且つ変数YがYminと等しいか否かを判断する(S68)。変数XがXmaxと等しく且つ変数YがYmaxと等しいか、または、変数XがXminと等しく且つ変数YがYminと等しい場合(S68:YES)、CPU401は、Y行目におけるX番目のキャラクタの印字用ドットパターンデータを生成する(S69)。
次いで、CPU401は、S69で生成した印字用ドットパターンデータを白黒反転させた画像データである反転データを生成する(S70)。CPU401は、S62で生成したベースプレビューデータのY行目におけるX番目のキャラクタに対応する画像データを、反転データに置換する(S71)。CPU401は、変数Xに「1」を加算して(S72)、処理をS67へ移行する。なお、変数XとXmaxとが異なる、または変数YとYmaxとが異なる場合、および、変数XとXminとが異なる、または変数YとYminとが異なる場合(S68:NO)、CPU401は、S69からS71の処理を行わず、処理をS72へ移行する。
一方、変数Xの示す値が、キャラクタ数Aの示す値よりも大きい場合(S67:NO)、CPU401は、変数Yに「1」を加算して(S75)、処理をS64(図7参照)へ戻す。また、変数Yの示す値が、総ラベル行数Bの示す値よりも大きい場合(S64:NO)、CPU401は、処理をS77へ移行する。S77において、CPU401は、ベースプレビューデータに対して最大のキャラクタおよび最小のキャラクタに対応する画像データが反転データに置換されたプレビューデータを、ディスプレイ5に一度に表示できる大きさの画像データに縮小する処理を実行する。CPU401は、S77で縮小処理を行ったプレビューデータを、ディスプレイ5に表示して(S78)、印字プレビュー処理を終了する。
図12を参照して、印字プレビュー表示処理(図10参照)によって制御される印字プレビュー画面130について説明する。印字プレビュー画面130では、ユーザによって入力されるキャラクタ群による印字イメージを、ディスプレイ5に一度に表示できる。これにより、印字装置1は、印字媒体50への印字イメージの全体を、ユーザに確認させることができる。印字プレビュー画面130では、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタを、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタ以外の他のキャラクタ群とは異なる反転データ97,98によって、白黒反転表示する。これにより、印字装置1は、実寸プレビュー画面120で表示される最大キャラクタ画像94および最小キャラクタ画像96に対応するキャラクタが、印字イメージ全体においていずれのキャラクタに対応するのかを、印字プレビュー画面130で表示することができる。
なお、本実施形態の印字プレビュー画面130では、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタを、反転データ97,98によって白黒反転表示するが、印字プレビュー画面130における最大のキャラクタおよび最小のキャラクタの表示態様はこれに限定されない。例えば、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタを枠で囲んで表示する、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタを点滅表示する等、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタを、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタ以外の他のキャラクタ群から最大のキャラクタおよび最小のキャラクタが識別できる態様であればよい。
図6の説明に戻る。印字プレビュー表示処理(S7)が終了すると、CPU401は、表示切替キーが押下されたか否かを判断する(S8)。表示切替キーが押下されたと判断された場合(S8:YES)、CPU401は、処理をS5に戻す。これにより、CPU401は、実寸プレビュー画面120と印字プレビュー画面130とを相互に切り替えることができる。印字装置1は、実寸プレビュー画面120と印字プレビュー画面130とを相互に切り替え可能にすることによって、印字媒体50に印字されるキャラクタ全体の印字イメージと、実際に印字媒体50に印字されるキャラクタの大きさの目安とを、ユーザに明確に把握させることができる。
一方、表示切替キーが押下されないと判断された場合(S8:NO)、CPU401は、プレビュー終了キーが押下されたか否かを判断する(S9)。プレビュー終了キーは、実寸プレビュー画面120および印字プレビュー画面130によるディスプレイ5の表示を終了するための用途キーである。プレビュー終了キーが押下されたと判断された場合(S9:YES)、CPU401は、印字キーが押下されたか否かを判断する(S11)。印字キーは、印字装置1に印字媒体50への印字を実行させるための用途キーである。プレビュー終了キーが押下されたと判断されない場合(S9:NO)、CPU401は、処理をS8へ戻す。
なお、S6の判断において、表示切替キーが押下されたと判断されない場合(S6:NO)、CPU401は、プレビュー終了キーが押下されたか否かを判断する(S10)。プレビュー終了キーが押下されたと判断された場合(S10:YES)、CPU401は、処理をS11の判断へ移行する。プレビュー終了キーが押下されたと判断されない場合(S10:NO)、CPU401は、処理をS6の判断へ戻す。
印字キーが押下されたと判断された場合(S11:YES)、CPU401は、入力用画面100で入力されたキャラクタを、設定用画面110で設定された書式で印字する印字処理を実行する(S12)。具体的には、RAM404に記憶されたキャラクタデータ、およびRAM404に記憶された書式データを参照する。CPU401は、キャラクタデータを印字媒体50に印字するための印字用ドットパターンデータを、書式データに基づいて作成し、RAM404の印字バッファに記憶する。CPU401は、印字バッファに記憶した印字用ドットパターンデータに基づいて駆動回路406を駆動し、サーマルヘッド10の発熱素子を通電させることによって、印字媒体50に印字を行う。また、CPU401は、駆動回路407を駆動し、テープ送りモータ24を駆動して印字媒体50を送る。これによって、印字媒体50にキャラクタが印字される。その後、CPU401は、処理をS1へ戻す。なお、印字キーが押下されたと判断されない場合(S11:NO)、CPU401は、処理をS1へ戻す。
以上説明したように、印字装置1のCPU401は、印字媒体50に印字される複数のキャラクタそれぞれの高さ方向におけるドット数Hのうち、最大値を示すHmaxを特定し、特定したHmaxをRAM404の所定記憶エリアに格納する(S35〜S38)。また、CPU401は、特定したHmaxに対応するキャラクタが印字媒体50へ印字される大きさと同じ大きさの最大キャラクタ画像94を、実寸プレビュー画面120においてディスプレイ5に表示する(S57)。例えば、印字媒体50にキャラクタが印字される領域よりも、ディスプレイ5の表示領域が小さい場合であっても、印字媒体50に印字されるキャラクタのうち、高さ方向において最大のキャラクタと同じ大きさの最大キャラクタ画像がディスプレイ5に表示される。ユーザは、最大キャラクタ画像94を、ディスプレイ5において確認することで、印字装置1によって印字されるキャラクタ全体の大きさの目安を把握できる。したがって、印字装置1は、印字媒体50へ印字されるキャラクタの大きさを、ユーザに容易に把握させることができる。
CPU401は、テキストメモリに記憶されたY行目におけるX番目のキャラクタのキャラクタデータに対して、書式メモリに記憶されたY行目におけるX番目のキャラクタの書式データを適用して、Y行目におけるX番目のキャラクタの印字用ドットパターンデータを生成する(S32)。CPU401は、S32で生成した印字用ドットパターンから、ドット数Hを取得する(S33)。したがって、CPU401は、印字媒体50に印字されるキャラクタのうち、高さ方向において最大のキャラクタの印字用ドットパターンデータに基づいて、最大キャラクタ画像94をディスプレイ5に表示させることができる。
CPU401は、印字媒体50に印字される複数のキャラクタそれぞれの高さ方向におけるドット数Hのうち、最小値を示すHminを特定し、特定したHminをRAM404の所定記憶エリアに格納する(S39〜S42)。また、CPU401は、特定したHminに対応するキャラクタが印字媒体50へ印字される大きさと同じ大きさの最小キャラクタ画像96を、実寸プレビュー画面120においてディスプレイ5に表示する(S57)。したがって、印字装置1は、印字媒体50へ印字される最大のキャラクタの大きさおよび最小の大きさのキャラクタを、ユーザに容易に把握させることができる。
CPU401は、ドット数HとHmaxとが等しい場合、印字用ドットパターンから取得したキャラクタの幅方向におけるドット数Wが、最大値Wmaxよりも大きいか否かを判断する(S37)。ドット数WがWmaxよりも大きい場合、CPU401は、最大値を示すWmaxを特定し、特定したWmaxをRAM404の所定記憶エリアに格納する(S38)。また、CPU401は、特定したHmaxおよびWmaxに対応するキャラクタが印字媒体50へ印字される大きさと同じ大きさの最大キャラクタ画像94を、実寸プレビュー画面120においてディスプレイ5に表示する(S57)。したがって、印字装置1は、印字媒体50に印字される最大のキャラクタと同じ大きさを示す最大キャラクタ画像94をディスプレイ5に表示させることができる。
CPU401は、実寸プレビュー表示処理(S5)、および印字プレビュー表示処理(S7)を実行することによって、実寸プレビュー画面120(図11参照)および印字プレビュー画面130(図12参照)をディスプレイ5に表示できる。印字装置1は、印字プレビュー画面130をディスプレイ5に表示させることで、印字媒体50に印字されるキャラクタ全体の印字イメージをユーザに把握させることができる。また、印字装置1は、実寸プレビュー画面120で最大キャラクタ画像94および最小キャラクタ画像96をディスプレイ5に表示させることで、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタの大きさをユーザに把握させることができる。CPU401は、表示切替キーが押下されたか否かを判断することによって(S6およびS8)、実寸プレビュー画面120と、印字プレビュー画面130とを相互に切り替えることができる。
CPU401は、印字プレビュー画面130において、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタに対応する画像データを反転データに置換することができる(S71)。CPU401は、実寸プレビュー画面120で表示される最大キャラクタ画像94および最小キャラクタ画像96に対応するキャラクタを、印字プレビュー画面130において白黒反転させて表示することができる。したがって、印字装置1は、印字媒体50に印字される複数のキャラクタのうち、最大のキャラクタおよび最小のキャラクタがいずれのキャラクタであるかを、ユーザに容易に把握させることができる。
本実施形態において、印字装置1は、本発明の「印刷装置」に相当する。ディスプレイ5が、本発明の「表示部」に相当する。S2の処理を行うCPU401は、本発明の「キャラクタ取得手段」として機能する。S3の処理を行うCPU401は、本発明の「書式データ取得手段」として機能する。S12の処理を行うCPU401は、本発明の「印刷制御手段」として機能する。S33の処理を行うCPU401は、本発明の「第一データ取得手段」および「第二データ取得手段」として機能する。S35〜S37の処理を行うCPU401は、本発明の「特定手段」として機能する。S51からS57の処理を行うCPU401は、本発明の「第一表示制御手段」として機能する。S32の処理を行うCPU401は、本発明の「生成手段」として機能する。S78の処理を行うCPU401は、本発明の「第二表示制御手段」として機能する。S6およびS8の処理を行うCPU401は、本発明の「表示切替手段」として機能する。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、CPU401は、S32の処理に替えて、Y行目におけるX番目のキャラクタのキャラクタデータに対して、Y行目におけるX番目のキャラクタの書式データを適用した場合におけるドット数Hおよびドット数Wを計算によって算出してもよい。即ち、CPU401は、Y行目におけるX番目のキャラクタの印字用ドットパターンデータを実際に生成するのではなく、キャラクタデータおよび書式データに基づいてドット数Hおよびドット数Wを算出して取得してもよい。
また、CPU401は、最小のキャラクタに関する値であるXmin、Ymin、HminおよびWminを、必ずしも特定しなくてもよい。最大キャラクタ画像94をディスプレイ5に表示することによって、印字媒体50に印字される最大のキャラクタの大きさをユーザに把握させることができれば、最大のキャラクタ以外のキャラクタの大きさについてもある程度目安を付けさせることができる場合もある。このような場合には、CPU401は、Xmin、Ymin、HminおよびWminに関する処理を省略することで、印字装置1の処理の軽減を図ることができる。
また、CPU401は、S33において、必ずしもドット数Wを取得しなくてもよい。この場合、S33においてドット数Hのみを取得し、S36およびS37の処理を行わなくてもよい。即ち、ドット数Wによらず、Hmaxを特定してもよい。キャラクタの高さ方向における大きさによって、最大のキャラクタの大きさをユーザにある程度把握させることは可能なためである。これにより、CPU401は、印字装置1の処理の軽減を図ることができる。
また、本実施形態では、表示切替キーが押下されたか否かによって、実寸プレビュー画面120と印字プレビュー画面130とを相互に切り替える。実寸プレビュー画面120と印字プレビュー画面130との切り替えの態様は上記実施形態に限られず、例えば、実寸プレビュー画面120と印字プレビュー画面130とが、自動的に、一定時間ごとに交互に切り替わる態様であってもよい。
上記実施形態では、プレビューキーが押下される度に、プレビュー処理(図6参照)における全ての処理が実行される。例えば、印字媒体50へキャラクタが印字される印字領域が、ディスプレイ5の表示領域よりも大きく、印字イメージをディスプレイ5に一度に表示できない場合に、実寸プレビュー表示処理(図9参照)が実行されることとしてもよい。この場合、図6におけるS5の処理の前に、キャラクタデータおよび書式データに基づく印字領域についての情報、およびディスプレイ5の表示領域の情報を取得して、双方の情報を比較すればよい。