JP6264317B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

内燃機関の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6264317B2
JP6264317B2 JP2015066599A JP2015066599A JP6264317B2 JP 6264317 B2 JP6264317 B2 JP 6264317B2 JP 2015066599 A JP2015066599 A JP 2015066599A JP 2015066599 A JP2015066599 A JP 2015066599A JP 6264317 B2 JP6264317 B2 JP 6264317B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
control
term
value
command value
switching
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015066599A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016186250A (ja
Inventor
真介 青柳
真介 青柳
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2015066599A priority Critical patent/JP6264317B2/ja
Publication of JP2016186250A publication Critical patent/JP2016186250A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6264317B2 publication Critical patent/JP6264317B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関し、より詳しくは、内燃機関を構成するアクチュエータの制御アルゴリズムを2つの制御アルゴリズムの間で切り替える制御装置に関する。
内燃機関には、スロットル、EGR弁、可変ノズルなどの様々なアクチュエータが設けられ、これらアクチュエータの操作によって内燃機関の運転が制御されている。上記に例示したアクチュエータは、その操作量が連続可変或いは多段可変である。操作量を決定する指令値は制御装置により計算される。指令値の計算はアクチュエータの制御アルゴリズムにのっとって行われる。例えば、フィードフォワード制御(以下、FF制御)とフィードバック制御(以下、FB制御)とによりアクチュエータが制御される場合、指令値はフィードフォワード項(以下、FF項)とフィードバック項(以下、FB項)の和として算出される。FB項は、具体的には、P項、I項、及びD項の何れか或いはその組み合わせである。
一つのアクチュエータに対して複数の制御アルゴリズムが選択的に適用される場合がある。一つの制御アルゴリズムからもう一つの制御アルゴリズムへ切り替える場合、指令値の計算方法が切り替えられるため、切り替えの直後に指令値が急変するおそれがある。アクチュエータに対する指令値の急変は、アクチュエータの操作によって制御される制御量の変動を生じさせる。単に指令値の急変を抑えることを目的とするのであれば、フィルタ処理やなまし処理によって指令値の変化を抑えればよい。しかし、そのような処理を指令値に対してほどこした場合、制御量に対する制御性自体が低下してしまう。このため、かねてより、制御アルゴリズムの切り替えの際に生じうる指令値の急変を、制御性を低下させることなく抑えることが求められている。
下記の特許文献1及び特許文献2には、制御アルゴリズムの切り替えの際に生じうる指令値の急変を抑えることを目的とした技術が開示されている。以下、その概要と問題点について説明する。
下記の特許文献1には、燃料噴射システムの高圧ポンプの制御アルゴリズムを、FF制御とFB制御とを併用するFF−FB併用制御と、FB制御のみを実行するFB単独制御との間で切り替える制御装置が開示されている。この制御装置は、FF−FB併用制御からFB単独制御への切り替えの際、切り替え前におけるFF制御用のFF項を切り替え後のFB制御用のI項の初期値として設定するように構成されている。また、この制御装置は、FB単独制御からFF−FB併用制御への切り替えの際、FB制御用のI項を切り替え後のFF制御用のFF項の初期値として設定するように構成されている。
下記の特許文献2には、ベルト式無段変速機の油圧制御用のソレノイドバルブの制御アルゴリズムを、FF制御及びFB制御を共に実行する第1の制御と、FB制御のみを実行する第2の制御との間で切り替える制御装置が開示されている。この制御装置は、第1の制御から第2の制御への切り替えの際、切り替え前におけるFF制御用のFF項と、切り替え時点におけるFB制御用のI項とを合算し、切り替え後におけるFB制御用のI項の初期値として設定するように構成されている。また、この制御装置は、第2の制御から第1の制御への切り替えの際、切り替え前におけるFB制御用のI項から、切り替え時点におけるFF制御用のFF項を減算し、切り替え後におけるFB制御用のI項の初期値として設定するように構成されている。
しかしながら、特許文献1に開示された技術には改善の余地がある。FB単独制御からFF−FB併用制御へ切り替えられた最初の制御周期では、FF制御用のFF項の初期値は、前回の制御周期のFB制御用のI項の値とされる。ところが、次の制御周期では、FF制御用のFF項の値は、要求燃料噴射量とエンジン回転速度に応じてマップにより設定される。このため、最初の制御周期と次の制御周期との間で、FF制御用のFF項が急変し、ひいては、ソレノイドバルブに与える指示値が急変するおそれがある。
特許文献2に開示された技術にも改善の余地がある。第2の制御から第1の制御へ切り替えられた最初の制御周期では、前回の制御周期のFB制御用のI項から、今回の制御周期のFF制御用のFF項を減算することにより、切り替え後のI項の初期値が求められる。しかし、本出願に係る発明者による計算の結果、指令値の急変を確実に抑えるためには、切り替え後のI項の初期値の計算において、前回の制御周期のI項のみを考慮するだけでは十分ではないことが確認されている。また、I項は、その前回値と今回の更新量(偏差にIゲインを乗じて得られる値)との和で表わされるが、上記のようにI項の初期値を設定する場合、今回の更新量はI項には反映されない。I項の更新量は偏差に応じて変化する値であって、FB制御による目標値への追従性を確保するために必要な変化量である。このため、I項に今回の更新量が反映されない場合、制御量に対する制御性が低下してしまう。
以上述べたように、従来提案されている方法では、少なくとも、FB制御のみを含む制御アルゴリズムから、FF制御及びFB制御を含む制御アルゴリズムへの切り替えの際に、アクチュエータに対する指示値が急変するおそれは解消されているとは言えなかった。
特開2007−218144号公報 特開2006−275172号公報 特開2003−166445号公報
本出願に係る発明者は、制御アルゴリズムの切り替えに係る上述の問題をより一般化して捉え、ある制御アルゴリズム(FB制御のみを含む制御アルゴリズムには限定されない)から、FF制御及びFB制御を含む制御アルゴリズムへの切り替えにおいて、制御性を低下させることなくアクチュエータに与える指令値の急変を抑えることができないか検討した。
本発明は、上記の検討から創案されたものである。本発明は、制御アルゴリズムの切り替えによりアクチュエータに与える指令値が急変することを、制御量に対する制御性を低下させることなく抑えることのできる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る内燃機関の制御装置は、上記の目的を達成するため、
第1の制御アルゴリズムと、I制御を含むFB制御とFF制御とを含む第2の制御アルゴリズムとの間で前記内燃機関のアクチュエータの制御アルゴリズムを切り替える制御アルゴリズム切替手段と、
前記第1の制御アルゴリズムが選択されている場合、前記第1の制御アルゴリズムにしたがって所定の制御周期ごとに前記アクチュエータに与える指令値を計算する第1の計算手段と、
前記第2の制御アルゴリズムが選択されている場合、前記第2の制御アルゴリズムにしたがって前記制御周期ごとに前記アクチュエータに与える前記指令値を計算し、前記第1の制御アルゴリズムが選択されている場合、少なくとも前記FF制御のFF項を計算する第2の計算手段と、を備え、
前記第2の計算手段は、前記第1の制御アルゴリズムから前記第2の制御アルゴリズムへの切り替え後の最初の制御周期では、前記第1の計算手段により計算された前記指令値の前回値から、前記FF制御のFF項の前回値を差し引いた値を前記I制御のI項の前回値として、前記指令値の今回値を計算するように構成されることを特徴とする。
本発明に係る制御装置によれば、第1の制御アルゴリズムからFF制御及びFB制御を含む第2の制御アルゴリズムへの切り替えの際、第1の制御アルゴリズムにより計算された指令値の前回値から、FF制御のFF項の前回値を差し引いた値をI制御のI項の前回値として、指令値の今回値が計算されるので、制御アルゴリズムの切り替えによりアクチュエータに与える指令値が急変することを、制御量に対する制御性を低下させることなく抑えることができる。
本発明の実施の形態に係るエンジンシステムの構成を示す図である。 スロットル操作のルーチンを示すフローチャートである。 運転条件が一定の場合の実施例及び比較例の制御結果を示すグラフ群である。 切り替え時に運転条件が急変した場合の比較例の制御結果を示すグラフ群である。 切り替え時に運転条件が急変した場合の実施例の制御結果を示すグラフ群である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数にこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造やステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
1.エンジンシステムの構成
図1は、本発明の実施の形態に係るエンジンシステムの構成を示す図である。本実施の形態の内燃機関は、ターボ過給機付きの圧縮着火式内燃機関(以下、単にエンジンという)である。エンジン2には4つの気筒が直列に設けられ、気筒ごとにインジェクタ8が設けられている。エンジン2には吸気マニホールド4と排気マニホールド6が取り付けられている。吸気マニホールド4にはエアクリーナ20から取り込まれた空気(新気)が流れる吸気通路10が接続されている。吸気通路10にはターボ過給機のコンプレッサ14が取り付けられている。吸気通路10においてコンプレッサ14の下流にはスロットル24が設けられている。吸気通路10においてコンプレッサ14とスロットル24との間にはインタークーラ22が設けられている。排気マニホールド6には排気ガスを大気中に放出するための排気通路12が接続されている。排気通路12にはターボ過給機のタービン16が取り付けられている。タービン16には可変ノズル18が設けられている。排気通路12においてタービン16の下流には排気ガス浄化装置70が設けられている。
エンジン2は、排気系から吸気系へ排気ガスを再循環させるEGR装置を備えている。EGR装置は、吸気通路10におけるスロットル24の下流の位置と排気マニホールド6とをEGR通路30によって接続している。EGR通路30にはEGR弁32が設けられている。EGR通路30のEGR弁32に対して排気側にはEGRクーラ34が設けられている。EGR通路30にはEGRクーラ34をバイパスするバイパス通路36が設けられている。EGR通路30とバイパス通路36が合流する箇所には、EGRクーラ34を流れる排気ガスの流量とバイパス通路36を流れる排気ガスの流量との比率を変更するバイパス弁38が設けられている。
エンジン2には、その運転状態に関する情報を得るためのセンサが各所に取り付けられている。吸気通路10におけるエアクリーナ20の下流には、吸気通路10に取り込まれ空気の流量を計測するためのエアフローメータ58が取り付けられている。コンプレッサ14の上流と下流には、それぞれ圧力センサ62,64が取り付けられている。インタークーラ22とスロットル24の間には、圧力センサ56と温度センサ60が取り付けられている。吸気マニホールド4と排気マニホールド6には、それぞれに圧力センサ54,68が取り付けられている。さらに、クランク軸の回転を検出するクランク角センサ52や、アクセルペダルの開度に応じた信号を出力するアクセル開度センサ66なども設けられている。
上述した各種のセンサ及びアクチュエータは、制御装置100に電気的に接続されている。制御装置100はECU(Electronic Control Unit)である。制御装置100は、エンジン2のシステム全体の制御を行うものであり、CPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。ROMには、後述する各種制御のルーチンが記憶されている。制御装置100によってそれらルーチンが実行され、センサからの信号に基づいてアクチュエータが操作されることにより、エンジン2の運転が制御される。
制御装置100は、アクチュエータに対して指令値を与えることによってアクチュエータを操作する。アクチュエータに対する指令値は、アクチュエータごとに定められた所定の制御アルゴリズムにしたがって計算される。アクチュエータの役割によっては、一つのアクチュエータに複数の制御アルゴリズムが選択的に適用される場合がある。本実施の形態のエンジン2では、複数の制御アルゴリズムがスロットル24に適用されている。
2.制御装置によるスロットルの操作の内容
2−1.差圧制御
スロットル24には、差圧制御及び空気量制御の各制御アルゴリズムが適用されている。差圧制御は、スロットル24の上流の圧力と下流の圧力との差圧が目標差圧になるようにスロットル24を操作する制御である。差圧制御における制御量はスロットル24の前後の差圧であり、操作量はスロットル24の閉度、詳しくは、全開位置を基本位置とした場合の全開位置に対する閉度である。スロットル24の閉度を大きくするほど差圧は大きくなる。差圧制御の制御アルゴリズムは、FF制御とFB制御とからなる。
差圧制御のFF制御では、目標差圧、エアフローメータ58により計測される空気量(現在空気量)、圧力センサ56により計測されるスロットル上流圧力、及び、温度センサ60により計測されるスロットル上流温度に基づいて、指令値であるスロットル24の閉度を計算することが行われる。スロットル24の閉度の計算は、スロットル24のモデル式(例えば絞りの式)、或いは、適合により得られたデータをもとに作成されたマップを用いて行われる。
差圧制御のFB制御はPID制御であり、そこでは、目標差圧と現在差圧との偏差に基づいて、スロットル閉度のFB項を計算することが行われる。FB項は、P項、I項、及び、D項からなる。このうち特に重要な項がI項である。よって、FB制御は必ずしもPID制御である必要はないが、少なくともI制御は含まれていることが好ましい。FF項とFB項との和がスロットル24に対する指令値として設定される。なお、目標差圧は、燃料噴射量及びエンジン回転速度に基づきマップから決定される。
2−2.空気量制御
空気量制御は、スロットル24を通過する空気量(新気量)が目標空気量になるようにスロットル24を操作する制御である。空気量制御における制御量は空気量であり、操作量はスロットル24の閉度である。スロットル24の閉度を大きくするほど空気量は減少する。空気量制御の制御アルゴリズムは、FF制御とFB制御とからなる。
空気量制御のFF制御では、目標空気量、温度センサ60により計測されるスロットル上流温度、圧力センサ56により計測されるスロットル上流圧力、及び、圧力センサ54により計測される吸気マニホールド圧(スロットル下流圧力)に基づいて、スロットル閉度のFF項を計算することが行われる。FF項の計算は、スロットル24のモデル式(例えば絞りの式)、或いは、適合により得られたデータをもとに作成されたマップを用いて行われる。
空気量制御のFB制御はPID制御であり、そこでは、目標空気量と現在空気量との偏差に基づいて、スロットル閉度のFB項を計算することが行われる。FB項は、P項、I項、及び、D項からなる。FF項とFB項との和がスロットル24に対する指令値として設定される。なお、目標空気量は、燃料噴射量及びエンジン回転速度に基づきマップから決定される。
2−3.スロットル操作のための制御構造
一つのアクチュエータに複数の制御アルゴリズムが適用される場合、制御アルゴリズムの切り替えに伴って指令値の計算方法にも切り替えが発生する。計算方法が変われば、切替前と切替後とで指令値が急変するおそれがある。このため、制御装置100には、制御アルゴリズムを切り替えたときにアクチュエータに対する指令値を急変させないための対策が施されている。
図1には、スロットル24の操作に関係する制御装置100の制御構造がブロックで表されている。制御装置100は、第1の計算手段としての空気量制御ユニット102、第2の計算手段としての差圧制御ユニット104、及び、制御アルゴリズム切替手段としての制御アルゴリズム切替ユニット106を含む。差圧制御ユニット104は、上述の差圧制御の制御アルゴリズムにしたがってスロットル24に対する指令値を計算する。空気量制御ユニット102は、上述の空気量制御の制御アルゴリズムにしたがってスロットル24に対する指令値を計算する。制御アルゴリズム切替ユニット106は、スロットル24に適用する制御アルゴリズムを選択し、その選択結果に応じて差圧制御ユニット104及び空気量制御ユニット102に対して指示を行う。
制御アルゴリズム切替ユニット106は、空気量制御を選択した場合、差圧制御ユニット104に対して指令値の出力の停止を指示するとともに、空気量制御ユニット102に対して指令値の出力を指示する。差圧制御ユニット104は、指令値の出力の停止の指示を受けると、指令値の計算を停止するとともに最新の指令値を制御アルゴリズム切替ユニット106を介して空気量制御ユニット102に渡す。指令値の出力を停止する場合、差圧制御ユニット104は、FF項のみは計算を継続してその他の項の計算は停止する。空気量制御ユニット102は、指令値の出力の指示を受けると、差圧制御ユニット104から与えられた指令値(指令値の前回値)を用いて指令値の計算を開始する。
制御アルゴリズム切替ユニット106は、差圧制御を選択した場合、空気量制御ユニット102に対して指令値の出力の停止を指示するとともに、差圧制御ユニット104に対して指令値の出力を指示する。空気量制御ユニット102は、指令値の出力の停止の指示を受けると、指令値の計算を停止するとともに最新の指令値を制御アルゴリズム切替ユニット106を介して差圧制御ユニット104に渡す。指令値の出力を停止する場合、空気量制御ユニット102は、FF項のみは計算を継続してその他の項の計算は停止する。差圧制御ユニット104は、指令値の出力の指示を受けると、空気量制御ユニット102から与えられた指令値(指令値の前回値)を用いて指令値の計算を開始する。
制御装置100が含むこれらのユニット102,104,106は、制御装置100のROMに記憶されたスロットル操作のルーチンに対応している。このルーチンがROMから読みだされてCPUで実行されることによって、これらのユニット102,104,106の機能が制御装置100にて実現される。
2−4.スロットル操作のルーチン
図2は、スロットル24の操作に係るユニット102,104,106の機能を制御装置100において実現するためのルーチンを示すフローチャートである。詳しくは、空気量制御が行なわれている場合に実行されるルーチンである。制御装置100は、図2に示すルーチンを空気量制御中に一定の制御周期で実行する。以下、このルーチンを実行した場合の処理についてステップごとに順に説明する。なお、以下の説明において、アクチュエータとは、スロットル24を指す。また、第1の制御アルゴリズムとは、空気量制御の制御アルゴリズムを指し、第2の制御アルゴリズムとは、差圧制御の制御アルゴリズムを指す。
ステップS101では、各制御アルゴリズムにしたがって指令値を計算するのに必要な各種のデータが取得される。
ステップS102では、制御アルゴリズムを切り替えるかどうかエンジン2の運転状態に基づいて判定される。この切替判定において第1の制御アルゴリズムを継続することが選択された場合、次の処理としてステップS103及びS104が実行される。第2の制御アルゴリズムへ切り替えることが選択された場合、次の処理としてステップS111、S112、S113、及びS114が実行される。
第1の制御アルゴリズムを継続することが選択された場合、まず、ステップS103が実行される。ステップS103では、第1の制御アルゴリズムに含まれるFF制御用のFF項(FF項1)が算出され、さらに、P制御用のP項(P項1)、I制御用のI項(I項1)、及びD制御用のD項(D項1)がそれぞれ以下の式で算出される。なお、以下の式における“偏差”は、制御対象となる制御量の目標値と実際値との偏差を指す。空気量制御の場合の制御量は空気量である。“偏差×Iゲイン”はI項の更新量である。“I項1の前回値”は、前回の制御周期においてステップS103で算出されたI項である。
P項1=偏差×Pゲイン
I項1=偏差×Iゲイン+I項1の前回値
D項1=偏差の微分値×Dゲイン
ステップS104では、ステップS103で算出されたFF項(FF項1)とFB項(P項1,I項1,D項1)とを用いて、以下の式によってアクチュエータに与える指令値(指令値1)が算出される。
指令値1=FF項1+P項1+I項1+D項1
第2の制御アルゴリズムへの切り替えが選択された場合、まず、ステップS111が実行される。ステップS111では、第2の制御アルゴリズムに含まれるFF制御用のFF項(FF項2)の前回値が取得される。前述のように、FF制御用のFF項は、第1の制御アルゴリズムが選択されている間も継続して計算されている。
ステップS112では、第2の制御アルゴリズムに含まれるI制御用のI項(I項2)の前回値が算出される。I項の前回値とは前回の制御周期におけるI項のことであるが、I項の計算は第2の制御アルゴリズムへの切り替え後に行われるので、切り替え後の最初の制御周期においてはI項の前回値は存在しない。また、I項は、FB制御を繰り返し行った結果として得られる定常誤差に対する補正項であるので、FB制御が開始される最初の制御周期においては、I項の前回値としてもっともな値はない。よって、ここで計算されるI項の前回値は、あくまでも仮想の前回値である。ステップS112では、以下の式のように、前回の制御周期においてステップS104で算出された指令値(指令値1の前回値)から、今回の制御周期においてステップS111で取得されたFF項(FF項2)の前回値を差し引いた値を計算し、その値を実際には存在しないI項(I項2)の前回値として設定する。なお、I項の前回値をどのような値に設定したとしても、FB制御が繰り返されるにしたがってI項は制御系の定常誤差に対応する値へと収束していく。
I項2の前回値=指令値1の前回値−FF項2の前回値
ステップS113では、第2の制御アルゴリズムに含まれるFF制御用のFF項(FF項2)が算出され、さらに、P制御用のP項(P項2)、I制御用のI項(I項2)、及びD制御用のD項(D項2)がそれぞれ以下の式で算出される。なお、“I項2の前回値”は、ステップS112で算出されたI項の前回値である。
P項2=偏差×Pゲイン
I項2=偏差×Iゲイン+I項2の前回値
D項2=偏差の微分値×Dゲイン
ステップS114では、ステップS113で算出されたFF項(FF項2)とFB項(P項2,I項2,D項2)とを用いて、以下の式によってアクチュエータに与える指令値(指令値2)が算出される。
指令値2=FF項2+P項2+I項2+D項2
つまり、第1の制御アルゴリズムから第2の制御アルゴリズムへの切り替え後の最初の制御周期では、結果的には、アクチュエータに与えられる指令値(指令値2)は以下の式で表わされる。
指令値2=指令値1の前回値
+(P項2+I項2の更新量+D項2)+(FF項2−FF項2の前回値)
上記の式において、P項2、I項2の更新量、D項2は、いずれも偏差に応じて変化する偏差従属項である。FF項2とFF項2の前回値との差分は、制御アルゴリズムの切り替えの前後でのFF項2の変化量である。つまり、切り替えの直前に、第1の制御アルゴリズムにしたがって計算された指令値(指令値1)からFF項の前回値を差し引いた値がI項の前回値とされることにより、最初の制御周期において計算される指令値(指令値2)は、指令値(指令値1)の前回値に偏差従属項とFF項2の変化量を加えた値となる。
この結果、第1の制御アルゴリズムから第2の制御アルゴリズムへの切り替え後の最初の制御周期において発生する指令値の変化量(前回値に対する今回値の変化量)は、偏差に応じた変化量と制御アルゴリズムの切り替えの前後でのFF項2の変化量のみとなる。これにより、制御アルゴリズムの切り替えの前後においてアクチュエータに与える指令値が急変することは抑えられる。さらに、偏差従属項であるP項2、I項2の更新量、D項2は全て指令値に含まれ、さらに、前回からのFF項2の変化量も指令値に含まれるので、制御量に対する制御性が低下することも抑えられる。
3.実施例
3−1.実施例の概要
実施例では、スロットル操作に係る制御アルゴリズムを空気量制御から差圧制御へ切り替える場合の指令値の計算に本発明を適用した。また、実施例に対する比較例を用意した。実施例と比較例とでは、空気量制御から差圧制御へ切り替えた後の最初の制御周期におけるI項の前回値の設定方法にのみ違いが有る。
比較例では、以下の式のように、前回の制御周期において空気量制御の制御アルゴリズムにより計算された指令値(指令値1の前回値)から、今回の制御周期において差圧制御の制御アルゴリズムにより計算されたFF項(FF項2)を差し引いた値を計算し、その値をI項(I項2)の前回値として設定する。
I項2の前回値=指令値1の前回値−FF項2
上記のように、FF項2の前回値ではなくFF項2の今回値を用いてI項2の前回値を設定することにより、空気量制御から差圧制御へ切り替えた後の最初の制御周期においてスロットル24に与えられる指令値(指令値2)は以下の式で表わされる。
指令値2=指令値1の前回値+(P項2+I項2の更新量+D項2)
つまり、比較例では、切り替え後の最初の制御周期における指令値2にFF項2の変化量(FF項2の今回値と前回値との差)が含まれていない。この違いが制御結果にどのように現れるのかについて、以下、図3乃至図5を用いて説明する。なお、実施例及び比較例では、空気量制御と差圧制御のFB制御の各ゲインは以下のように設定されている。
空気量制御:Pゲイン=0.2,Iゲイン=0.8,Dゲイン=0
差圧制御:Pゲイン=−1,Iゲイン=−3,Dゲイン=0
図3乃至図5の各図において、グラフ(a)は燃料噴射量の挙動、グラフ(b)はFF項1の挙動、グラフ(c)はP項1の挙動、グラフ(d)はI項1の挙動、グラフ(e)はスロットル指令値1の挙動、グラフ(f)はFF項2の挙動、グラフ(g)はP項2の挙動、グラフ(h)はI項2の挙動、グラフ(i)はスロットル指令値2の挙動、グラフ(j)はスロットル指令値の挙動、グラフ(k)は空気量の挙動、グラフ(l)は差圧の挙動をそれぞれ示している。なお、実施例及び比較例に示す空気量及び差圧の各挙動は、エンジンの実機において計測されたものではなく、エンジンを模したシミュレーションモデルを用いて計算されたものである。
3−2.制御結果1
図3のグラフ群が示す制御結果は、実施例と比較例に共通する制御結果である。各グラフには、燃料噴射量、つまり、エンジンの運転条件は変化させずに、計算開始から20秒の時点で空気量制御から差圧制御への切り替えを行なった場合の計算結果が示されている。この場合、運転条件が変わらないために切り替え直後においてFF項2に変化はない。このため、実施例と比較例との間で、切り替え後の最初の制御周期におけるI項2の値に違いは生じず、結果として、両者の間で同じ制御結果が得られることになった。
制御結果を見ると、偏差従属項であるP項2やI項2の更新量が切り替え直後からスロットル指令値(スロットル指令値)に反映されるため、切り替えの前後において偏差従属項の分の変化は生じるものの、グラフ(j)に示すように、制御性に寄与しないようなスロットル指令値の急変は生じない。この場合、グラフ(k)及び(l)に示すように、制御アルゴリズムの切り替えまでは空気量を目標値に制御し、切り替え後は差圧を目標値に制御することができている。
3−3.制御結果2
図4のグラフ群が示す制御結果は、比較例による制御結果である。各グラフには、計算開始から20秒の時点で空気量制御から差圧制御への切り替えを行なうと同時に、燃料噴射量を急変させた場合の計算結果が示されている。この場合、運転条件である燃料噴射量が変わるために、切り替え直後においてFF項2に変化が生じる。しかし、比較例では、FF項2の変化量は、切り替え直後におけるI項2の前回値の計算には反映されない。このため、図4に示す計算例では、グラフ(h)に示すように、切り替え直後におけるI項2の前回値は、収束させたい側(マイナス値の側)とは逆方向の値(プラス値)をとっている。その結果、グラフ(l)に示すように、切り替え後の暫くの間、目標差圧と現在差圧との間にずれが生じている。
3−4.制御結果3
図5のグラフ群が示す制御結果は、実施例による制御結果である。各グラフには、計算開始から20秒の時点で空気量制御から差圧制御への切り替えを行なうと同時に、燃料噴射量を急変させた場合の計算結果が示されている。この場合、運転条件である燃料噴射量が変わるために、切り替え直後においてFF項2に変化が生じる。実施例では、このときのFF項2の変化量がI項2の前回値の計算に反映される。このため、図5に示す計算例では、グラフ(h)に示すように、切り替え直後におけるI項2の前回値は、収束させたい側(マイナス値の側)と同方向の値(マイナス値)をとることができている。その結果、グラフ(l)に示すように、実施例では、比較例に比べて十分に高い制御性をもって切り替え後の差圧制御を行えている。
4.その他
本発明は、圧縮着火方式の内燃機関の制御装置だけでなく、火花点火式の内燃機関の制御装置にも適用することができる。また、制御されるアクチュエータは、2つの制御アルゴリズムが選択的に適用されるアクチュエータであれば、上記実施の形態で例示したスロットルには限定されない。
2 エンジン
4 吸気マニホールド
10 吸気通路
24 スロットル
100 制御装置

Claims (1)

  1. 内燃機関の制御装置において、
    第1の制御アルゴリズムと、I制御を含むフィードバック制御とフィードフォワード制御とを含む第2の制御アルゴリズムとの間で前記内燃機関のアクチュエータの制御アルゴリズムを切り替える制御アルゴリズム切替手段と、
    前記第1の制御アルゴリズムが選択されている場合、前記第1の制御アルゴリズムにしたがって所定の制御周期ごとに前記アクチュエータに与える指令値を計算する第1の計算手段と、
    前記第2の制御アルゴリズムが選択されている場合、前記第2の制御アルゴリズムにしたがって前記制御周期ごとに前記アクチュエータに与える前記指令値を計算し、前記第1の制御アルゴリズムが選択されている場合、少なくとも前記フィードフォワード制御のフィードフォワード項を計算する第2の計算手段と、を備え、
    前記第2の計算手段は、前記第1の制御アルゴリズムから前記第2の制御アルゴリズムへの切り替え後の最初の制御周期では、前記第1の計算手段により計算された前記指令値の前回値から、前記フィードフォワード制御のフィードフォワード項の前回値を差し引いた値を前記I制御のI項の前回値として、前記指令値の今回値を計算するように構成されることを特徴とする内燃機関の制御装置。
JP2015066599A 2015-03-27 2015-03-27 内燃機関の制御装置 Active JP6264317B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015066599A JP6264317B2 (ja) 2015-03-27 2015-03-27 内燃機関の制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015066599A JP6264317B2 (ja) 2015-03-27 2015-03-27 内燃機関の制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016186250A JP2016186250A (ja) 2016-10-27
JP6264317B2 true JP6264317B2 (ja) 2018-01-24

Family

ID=57202500

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015066599A Active JP6264317B2 (ja) 2015-03-27 2015-03-27 内燃機関の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6264317B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4561437B2 (ja) * 2005-03-29 2010-10-13 トヨタ自動車株式会社 ベルト式無段変速機の変速制御装置
JP4538851B2 (ja) * 2006-02-15 2010-09-08 株式会社デンソー 筒内噴射式の内燃機関の燃圧制御装置
JP4541425B2 (ja) * 2008-02-25 2010-09-08 本田技研工業株式会社 Dc/dcコンバータ装置
JP6237654B2 (ja) * 2015-01-14 2017-11-29 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016186250A (ja) 2016-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4251073B2 (ja) 内燃機関の制御装置
US10161337B2 (en) Control device for internal combustion engine
JP5382240B2 (ja) 過給機付き内燃機関の制御装置
WO2014010067A1 (ja) ターボ過給機付き内燃機関の制御装置
JP5590234B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2011163200A (ja) 内燃機関の排ガス再循環制御装置
KR20170026231A (ko) 배기가스 구동식 과급기의 과급기 액추에이터를 위한 조작 변수를 결정하기 위한 방법 및 장치
WO2012049744A1 (ja) 内燃機関の制御装置
JP5146619B2 (ja) 内燃機関の制御装置
CN110273763A (zh) 用于内燃机的控制器和控制方法
WO2014080523A1 (ja) 内燃機関の制御装置
JP4186734B2 (ja) フィードバック制御装置
JP6274183B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP6044590B2 (ja) 内燃機関の制御装置
WO2009107378A1 (ja) 内燃機関の制御装置
JP6264317B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP6769195B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2018178717A (ja) 内燃機関の制御装置及び内燃機関の制御方法
EP3075991A1 (en) Control device for internal combustion engine
JP2013241896A (ja) 過給機付き内燃機関の制御装置
JP6292169B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2021050632A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2020002905A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2018184876A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2017110549A (ja) 内燃機関の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170316

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171121

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171204

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6264317

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151