JP6264184B2 - チェーンガイド - Google Patents

Description

この発明は、チェーンを案内するチェーンガイドに関するものである。

チェーンをガイド溝に沿って走行させ、チェーンを案内するチェーンガイドが従来から知られている。たとえば、特許文献１には、ガイド溝の底面に配設されたガイドシューに凹部を設けたチェーンガイドが開示されている。こうしたチェーンガイドでは、オイルがガイドシューの凹部に留まるようになるため、オイルが流れ落ちにくくなる。

特開２０１３‐０８３２９２号公報

特許文献１に開示されているチェーンガイドでは、ガイドシューの凹部に留まったオイルによってチェーンとガイドシューとの摺動面を潤滑し、チェーンとチェーンガイドとの間に生じる摩擦抵抗を低減させることができる。しかし、オイルによる潤滑によって摩擦抵抗が低減するものの、依然としてチェーンとチェーンガイドとの摺動に伴う摩擦抵抗が生じることは避けられない。チェーンの駆動効率を向上させるためには、こうした摩擦抵抗をさらに低減させることが求められる。

本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、チェーンとチェーンガイドとの間に生じる摩擦抵抗を低減することのできるチェーンガイドを提供することにある。

以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するためのチェーンガイドは、ガイド溝を有し、リンクプレートを連結して構成されるチェーンを前記ガイド溝に沿って走行させるチェーンガイドであって、前記チェーンが摺動する前記ガイド溝の底面が、曲率の等しい半円状の凸部と凹部とを交互に連続させた波形状に形成されており、前記凸部と凹部が、前記チェーンの高さ方向に形成されており、前記凸部並びに前記凹部の曲率半径が、前記リンクプレートにおける前記凸部との当接部分の曲率半径よりも小さいことをその要旨とする。

上記構成によれば、ガイド溝の底面における凹部にオイルが溜まるため、オイル保持力が向上する。また、上記構成では、チェーンが摺動する際には半円状に形成された凸部の先端とリンクプレートとが当接する。したがって、リンクプレートとチェーンガイドとの接触面積が小さくなるため、チェーンとチェーンガイドとの間に生じる摩擦抵抗を低減させることができる。さらに、上記構成では、凸部並びに凹部の曲率半径を、リンクプレートにおける凸部との当接部分の曲率半径よりも小さくしている。そのため、ガイド溝の底面に設けられた凹部にリンクプレートが嵌合することが抑制される。すなわち、上記構成によれば、チェーンの摺動を妨げることなく、リンクプレートとチェーンガイドとの接触面積を減少させることができ、チェーンとチェーンガイドとの間に生じる摩擦抵抗を低減することができる。

チェーンガイドの一実施形態について、チェーンを支持する状態を示す概略図。 同実施形態にかかるチェーンガイドについて、ガイド溝の底面の形状を模式的に示す平面図。 チェーンを構成するリンクプレートの変形例を示す平面図。 チェーンを構成するリンクプレートの変形例を示す平面図。

以下、チェーンガイドの一実施形態について、図１及び図２を参照して説明する。
図１に示すように、チェーンガイド１０は、チェーン２０の走行方向に沿って緩やかな円弧を描くように形成されたガイド溝１１を有する。

なお、本実施形態にかかるチェーンガイド１０は、車両に搭載される内燃機関に採用されるものである。チェーンガイド１０は、内燃機関のシリンダブロックに取り付けられ、図１に示すように、クランクシャフト３０とカムシャフト４０との間で動力を伝達するチェーン２０の走行を案内するとともに、チェーン２０に張力を付与する。

図２に示すように、チェーン２０は、複数のリンクプレート２１が連結して構成されている。なお、ここでは、チェーン２０を構成する内リンクプレートと外リンクプレートのうち、内リンクプレートのみをリンクプレート２１として図示している。以下の説明では、内リンクプレートをリンクプレート２１と称する。リンクプレート２１は楕円形状に形成され、その長軸上に二つの孔２１ａが設けられている。各孔２１ａには、リンクプレート２１を連結するためにピンが挿通される。チェーン２０の走行方向における前後のリンクプレート２１同士は、リンクプレート２１と略同一形状に形成された外リンクプレートによって連結されている。詳しくは、まず、左右一対のリンクプレート２１と、各リンクプレート２１の外側に設けられる左右一対の外リンクプレートとにピンが挿通される。このように四つのリンクプレートにピンが挿通され、外リンクプレートの一端にピンを中心軸として回動可能にリンクプレート２１が連結される。さらに外リンクプレートの他端に別のリンクプレート２１が同様に連結されることによって、前後のリンクプレート２１同士が連結されている。

続いて、ガイド溝１１の構成について図２を参照して説明する。
ガイド溝１１の底面は、半円状の凸部１２と凹部１３とが交互に連続した波形状に形成されている。なお、凸部１２と凹部１３とは、共に曲率半径がＲ１となるように形成されている。そして、凸部１２並びに凹部１３は、リンクプレート２１における凸部１２の先端との当接部分の曲率半径Ｒ２よりも曲率半径Ｒ１が小さくなるように形成されている。

次に、本実施形態にかかるチェーンガイドの作用について、図１及び図２を参照して説明する。
チェーン２０がガイド溝１１内を走行することによって、ガイド溝１１によってチェーン２０が案内され、チェーン２０の脱落が抑制される。

また、ガイド溝１１の底面が波形状に形成されているため、チェーン２０が摺動する際には、半円状に形成された凸部１２の先端とリンクプレート２１とが当接する。したがって、ガイド溝１１の底面が波形状に形成されていない場合と比較して、リンクプレート２１とチェーンガイド１０との接触面積が小さくなる。

ここで、仮に、チェーン２０が摺動する際にリンクプレート２１が凹部１３に嵌合してしまうとチェーン２０の摺動が妨げられ動力の伝達を行うことができなくなってしまう虞がある。そこで本実施形態では、凸部１２並びに凹部１３の曲率半径Ｒ１を、リンクプレート２１の曲率半径Ｒ２よりも小さくしている。したがって、リンクプレート２１が凹部１３に嵌合することが抑制される。

ところで、チェーンの駆動に際しては、チェーンとチェーンが接する部分との間の摩擦抵抗を低減するためにオイルによる潤滑が行われる。本実施形態では、ガイド溝１１の底面に凹部１３が設けられているため、供給されたオイルが凹部１３に溜まり、オイルが流れ落ちることが抑制されるようになる。つまり、ガイド溝１１のオイル保持力が向上する。

以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
（１）チェーン２０が摺動する際にはリンクプレート２１と半円状に形成された凸部１２の先端とが当接するため、リンクプレート２１とチェーンガイド１０との接触面積が小さくなる。すなわち、チェーン２０とチェーンガイド１０との間に生じる摩擦抵抗を低減させることができる。

（２）凸部１２並びに凹部１３の曲率半径Ｒ１を、リンクプレート２１における凸部１２との当接部分の曲率半径Ｒ２よりも小さくしているため、ガイド溝１１の底面に設けられた凹部１３にリンクプレート２１が嵌合することが抑制される。すなわち、チェーン２０の摺動を妨げることなく、リンクプレート２１とチェーンガイド１０との接触面積を減少させることができ、チェーン２０とチェーンガイド１０との間に生じる摩擦を低減することができる。

（３）ガイド溝１１の底面における凹部１３にオイルが溜まるため、ガイド溝１１からオイルが流れ落ちることが抑制され、オイルの保持力が向上する。したがって、ガイド溝１１に供給するオイルの量を低減することができ、チェーンガイド１０にオイルを直接噴射するオイルジェットを省略したり、オイルを吐出するオイルポンプの容量を小さくしたりすることができる。これにより、コストの削減や内燃機関の小型化を図ることができる。

なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、リンクプレート２１を楕円形状とした。しかし、リンクプレート２１の形状は、これに限らない。

たとえば、図３に示すように、長手方向の外周面が内側に窪んだ形状のリンクプレート１０１であってもよい。こうしたリンクプレート１０１では、図３に示すように、リンクプレート１０１における凸部１２の先端との当接部分の曲率半径はＲ３である。したがって、曲率半径Ｒ３よりも曲率半径Ｒ１が小さく形成されていれば、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。

また、図４に示すように、長手方向の外周面が直線となるように形成されたリンクプレート２０１であってもよい。こうしたリンクプレート２０１では、リンクプレート２０１における凸部１２の先端との当接部分の曲率が０である。すなわちこの当接部分の曲率半径は無限大であるため、曲率半径Ｒ１は、リンクプレート２０１の曲率半径よりも小さくなる。したがって、この構成においても上記実施形態と同様の効果を奏することができる。

・上記実施形態では、ガイド溝１１を緩やかな円弧として形成した。しかし、ガイド溝１１は直線状に形成してもよい。チェーンの走行を案内するものであれば、ガイド溝１１の形状に関わらず、チェーンとの当接面を波形状に形成することによって、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。

・上記実施形態は、チェーンガイドの一例として車両に搭載される内燃機関に適用されるチェーンガイドについて記載した。しかし、上記実施形態にかかるチェーンガイド１０は、車両に搭載される内燃機関以外にも適用することができる。チェーンの走行を案内するチェーンガイドであれば、ガイド溝の底面を波形状に形成することで、チェーンとチェーンガイドとの摩擦抵抗を低減することができる。

１０…チェーンガイド、１１…ガイド溝、１２…凸部、１３…凹部、２０…チェーン、２１，１０１，２０１…リンクプレート、２１ａ…孔、３０…クランクシャフト、４０…カムシャフト。

Claims (1)

1. ガイド溝を有し、リンクプレートを連結して構成されるチェーンを前記ガイド溝に沿って走行させるチェーンガイドであって、
   前記チェーンが摺動する前記ガイド溝の底面が、曲率の等しい半円状の凸部と凹部とを交互に連続させた波形状に形成されており、前記凸部と凹部が、前記チェーンの高さ方向に形成されており、
   前記凸部並びに前記凹部の曲率半径が、前記リンクプレートにおける前記凸部との当接部分の曲率半径よりも小さい
   ことを特徴とするチェーンガイド。