JP6263430B2 - 光学フィルム - Google Patents
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Description
光の取り出しを向上させる方法として、封止形状の制御やサファイアに微細構造を形成させた上に、半導体層を成長させるPSS、発光層表面に光拡散層を設ける等が挙げられる。発光素子に簡易に光取り出し効果を付与する方法として、以下の特許文献1には、光学フィルム及び接着フィルムからなり、光学フィルムに凹凸又は屈折率変化をもつ封止フィルムが開示されており、該封止フィルムを貼りつけることで、光取り出しと封止性を付与し、工程が簡略化できることが記載されている。
前記した従来技術に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、発光素子の光取り出し効率を向上させ、かつレーザーにより改質層を形成するダイシングにより良好に個片化することが可能となる光学フィルムを提供することである。
[1]保護層と構造層とを含む光学フィルムであって、該構造層の該保護層に接する面が、構造域と、該構造域の形成エリアの境界線に沿って形成された隙間路とを有し、該構造域は凹凸微細構造を有し、該凹凸微細構造は金属酸化物ナノ粒子を含有し、該隙間路の平均算術粗さRaは0nm超10nm以下であり、そして該隙間路の波長300nm〜800nmにおける透過率の最大値が40%以上である前記光学フィルム。
(光学フィルム)
図1と図2に示すように、本実施形態は、保護層1と構造層2とを含む光学フィルムであって、該構造層の保護層に接する面が、構造域2Aと、該構造域2Aの形成エリアの境界線に沿って形成された隙間路2Bとを有し、該構造域2Aは凹凸微細構造を有し、該隙間路2Bは300nm〜800nmにおける透過率の最大値が40%以上であることを特徴とする光学フィルムである。
本実施形態における構造層は、構造域2Aと隙間路2Bとを有する。
構造層の保護層と接する面と反対側の面は、平坦な表面を有する。平坦性は、JIS B 0601、JIS B 0031により定義される。平坦性は十点平均粗さRzや算術平均粗さRa、最大高さRyで評価することができるが、本開示で構造層の反対側の平坦度を表す場合、表面粗度とは対象表面における算術平均粗さRaを意味する。
上記表面粗度は、後述する接着層を有する場合は、好ましくは接着層の厚みの3分の2以下、より好ましくは接着層の厚みの2分の1以下、更に好ましくは接着層の厚みの5分の1以下である。また、上記表面粗度は1nm以上であることが好ましい。表面粗度が接着層の厚みの3分の2以下である場合、ITO、サファイア等の発光基材への接着性の点で有利である。また、1nm以上の表面粗度である場合、アンカー効果によって接着層と構造層の接着性の点で有利である。
凹凸微細構造層の材質としては、高屈折無機材料、及び、樹脂又は金属酸化物等の分散媒に高屈折ナノ粒子を分散させた高屈折ナノ粒子分散体等の透光性高屈折率材料、高い原子屈折又は分子屈折を有する原子を含有してなる有機物樹脂等が挙げられる。
上記高屈折率無機材料としては、GaN等のガリウム窒化物や炭化珪素等の半導体、サファイア、スピネル、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムの金属酸化物、並びにホウ化ジルコニウム等の高屈折率無機材料が挙げられる。
上記高屈折ナノ粒子分散体の高屈折ナノ粒子としては、窒化シリコン等の金属窒化物粒子、酸化チタン等の金属酸化物粒子等が挙げられるが、屈折率が1.60以上の粒子が好ましく、特に、屈折率が1.60以上の金属酸化物粒子が好ましい。
上記金属酸化物粒子に含まれる金属酸化物としては、好ましい屈折率を得る観点から、Zr、Ti、Sn、Ce、Ta、Nb、Zn、Ba、及びSrからなる群から選択される1種又は2種以上を含有してなる金属酸化物が好ましく、屈折率、入手容易性、及び経済性を併せて考慮すると、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム及びITOが特に好ましい。
上記高屈折ナノ粒子、例えば金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、サイズに由来する量子効果が顕著である点、及び表面粗度の観点から、100nm以下であることが好ましく、70nm以下であることがより好ましい。該平均一次粒子径は、透明性の点から3nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。なお本開示において、平均一次粒子径とは数平均での値を意味する。上記平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡で観察されるナノ粒子50個の数平均値である。
レベリング剤としては、特に組成が限定されるものではないが、分散溶媒に溶解する組成の物を選択することが好ましい。また、添加する際は屈折率の観点から、固形分に対して0.05質量%〜2質量%であることが好ましい。
また、高い原子屈折又は分子屈折を有する原子を含有してなる有機物樹脂としては、硫黄、セレン等の原子を有する樹脂、又は、ベンゼン環等の芳香環、若しくはトリアジン骨格等の複素環を骨格中に有する有機樹脂が挙げられる。これらの樹脂に、不飽和結合基やチオール基等の熱反応性又は光反応性の官能基を導入することにより、凹凸モールドから容易にパターンの形成ができ、凹凸微細構造層を作製することができる。
構造域2Aは、発光素子の光取出し効率を向上させる凹凸微細構造を有している。上記凹凸微細構造のパターンは、典型的には、凹凸微細構造として、多数の突起を有する。突起は、周期的な配置であっても、周期的な配置でなくてもよく、長期的な秩序を持っていてもよい。また、各突起の形状は、同じでも異なっていてもよい。図3を参照すれば、各々の突起に関して、頂部Tと底部Bとを画定できる。凹凸パターンの大きさとしては、凹凸パターンの幅W(上記突起における底部の幅)が貼り付けを行う発光素子の発光波長と同程度かそれ以下であることが好ましく、また、凹凸パターンの高さ(上記突起における底部から頂部までの高さh)が貼り付けを行う発光素子の発光波長と同程度かそれ以上のものであることが好ましい。この場合、発光素子と周囲の封止部材との界面でのこれらの間の屈折率差がより緩和されて光の反射が抑制されるとともに、光散乱の効果が良好に得られる。その結果、凹凸パターンがない場合には、発光素子と周囲の封止部材との界面で臨界角を超えて全反射し、発光素子の内部に閉じ込められていた光も、光の進行方向が変化するために、臨界角以内に入る割合が増加することによって光取り出し量が向上する。
光散乱性は反射スペクトルから判断でき、発光素子の光の波長に対して反射率が0%以上10%以下であることが好ましく、0.2%以上5%以下であることが光取り出し効率の観点からより好ましく、0.4%以上3%以下であることが更に好ましい。
凹凸微細構造のアスペクト比は、好ましくは0.3以上2以下である。
隙間路2Bは構造域2Aのように構造層を形成していてもよく、形成していなくてもよい。隙間路2Bはレーザーにより改質層を形成するダイシングを行うレーザー光の波長で40%以上の透過率があればよく、構造層のダメージを軽減できる点から60%以上が好ましく、量産性の観点から70%以上であることがより好ましい。レーザーにより改質層を形成するダイシングに用いられるレーザー光としてはダイシングする基材に対して透過性を有するパルスレーザー光が用いられるが、透明光学材料において300nm〜800nmにおける透過率の最大値が40%以上であれば、IR領域においても40%以上の透過率を有すると考えられる。
隙間路2Bは上記の透過率を有する場合に限り、凹凸構造が形成されていてもよいし、形成されず平坦化されていてもよい。平坦化度は、JIS B 0601、JIS B 0031により定義される平均算術粗さRaで表現でき、原子間力顕微鏡を用いた方法で求めることができる。Raは、0nm超50nm未満であることが好ましく、40nm未満であることがより好ましく、更に好ましくは30nm未満であり、より更に好ましくは10nm未満である。50nm未満の場合、レーザー光の透過率が高くなり、基材に改質層を形成する上で有利である。隙間路2Bは、発光素子を個片化するために切断される境界線の位置に形成されることが好ましい。これにより、レーザーにより改質層を形成するダイシングで、発光素子が個片化できる。
隙間路2Bの幅は、レーザー光のスポットサイズより大きいことが好ましく、具体的には、0.4μm以上が好ましく、より好ましくは1.0μm以上、更に好ましくは10μm以上、特に好ましくは100μm以上である。また、光取り出しの観点で、10000μm以下が好ましく、より好ましくは1000μm以下が、更に好ましくは100μm以下が、特に好ましくは50μm以下である。
隙間路2Bの材質は、構造域2Aと同質であってもよく、異なっていてもよいが、生産性の観点で、同質のほうが好ましい。
本実施形態における光学フィルムは、上記構造層の凹凸構造と反対側の面に、接着層3を有することが生産性の観点から好ましい。接着層は、サファイア及びITO表面に代表される発光素子の接着対象表面と、構造層との密着性に優れ、例えば、LED製造時のチップ化ダイシング工程に耐えることができる。このような効果を奏する理由は明らかではないが、接着対象表面と構造層の表面自由エネルギーの間となる表面自由エネルギーを持つ接着層を介することでより強固な表面濡れを達成できるためと考えられる。
接着層による光散乱を防止し、効果的に光取り出しが行われるようにするために、接着層の厚さ(図3におけるt1)は発光層で発せられる光の波長の1/2以下であることが好ましく、光散乱をより低減するために、該波長の1/4以下であることがより好ましい。また、接着層は基材及び凹凸微細構造層の表面の凹凸に対して追従して変形するため、数nmの厚みを持つことが好ましい。この観点から、接着層の膜厚は、好ましくは1nm以上500nm以下、より好ましくは3nm以上200nm以下、更に好ましくは5nm以上150nm以下である。上記膜厚は、走査型電子顕微鏡を用い、本明細書の実施例の項に記載の方法又はこれと同等であることが当業者に理解される方法を用いて測定される値である。
接着層3は、凹凸微細構造層上に、希釈された又は非希釈の液状の接着剤を塗布した後、ポストベークして形成してもよいし、接着層がガラス転移温度を有する固形の樹脂固形状態の樹脂であればフィルム状の凹凸微細構造層と接着される面とを貼り合わせた後、加熱・加圧条件下でラミネートすることで形成してもよい。ラミネートは空気下で行うことも出来るが、エアの混入による貼り付け歩留まりの低下を軽減できる点から、真空状態でラミネートすることがより好ましい。
ガラス転移点を基準に、−20℃の貯蔵弾性率と+20℃の貯蔵弾性率の比が3以上600以下であると、熱ラミネート後の保護フィルムの剥離時の凹凸賦形構造層のパターンの未転写部分が減少する点で好ましい。3以上であることで、良好な接着層の強度が得られる観点から好ましい。600以下であることで、樹脂にクラックが入りにくい観点から好ましい。上記−20℃の貯蔵弾性率と+20℃の貯蔵弾性率の比は、10以上550以下であると凹凸賦形構造層と貼り付け基板との密着力がより高くなる点からより好ましく、15以上500以下であることで、樹脂にクラックが入りにくい点から更に好ましい。
一方で、接着層はガラス転移温度以下での貯蔵弾性率が増大することにより樹脂が硬くなり、熱ラミネート後に保護フィルムの剥離が容易になり、また凹凸賦形構造層が基板に対して密着しやすくなり、貼り付け信頼性が大きく向上する点からガラス転移温度−20℃での貯蔵弾性率が10MPa以上となることが好ましく、凹凸賦形構造層と貼り付け基板との接着力がより高くなる点から20MPa以上であることがより好ましく、タック性が無くなりハンドリング性に優れることから30MPa以上であることが更に好ましい。
接着剤を成長基板上に塗布する方法としては特に限定されず、スピンコーター、バーコーター、キャピラリーコーター、R&Rコーター、スロットダイコーター、リップコーター、コンマコーター、グラビアコーター等の方法を用いることができる。
接着層3が貼り付けられる基板としては、LED等光半導体の最表面に来る透明導電膜、サファイア、シリコン、GaN、シリコンカーバイド等が好ましく、汎用性の点からITO又はサファイアが特に好ましい。
本実施の形態の光学フィルムにおいて、構造層2を保護するために保護層1が形成されている。保護層1は、構造域2Aと隙間路2Bを形成するための凹凸モールドであることができる。以下、保護層が凹凸モールドである場合について詳説する。
凹凸モールドとしては、金型、ガラスモールド、樹脂モールド等を用いることができる。特にコスト、生産性、離形性、構造域2Aと隙間路2Bとの作り分けの観点から、樹脂モールドを用いることが好ましい。また、樹脂モールドは、用いる材料に応じて、単一の組成からなるフィルム自身が凹凸を有するもの、平坦なフィルム(基材フィルム10)に凹凸を持つ樹脂モールド層11を形成するもの等を使用することができる。
基材フィルム10の膜厚としては、30μm以上500μm以下が好ましく、汎用性及びロールとして巻き取り性に優れることから50μm以上300μm以下であることがより好ましい。
樹脂モールド層11に用いられる樹脂としては、特に限定されるものではないが、熱や光に対して硬化する樹脂であることが好ましく、生産性の点から露光により硬化する樹脂であることがより好ましい。光により硬化する樹脂としては、アクリル樹脂やエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、貼り付け転写時に凹凸微細構造層との離型性に優れることが好ましく、樹脂内にSi原子やF原子といった原子を有することが更に好ましい。
凹凸モールドの凹凸パターンとしては、構造層2に対して反対の構造をもつこととなり、構造層2の構造に追従する構造となる。
所望の形状を有する構造域2Aと隙間路2Bとが形成された構造層2は、用いる材料に応じて、種々の方法、例えば、MOCVD法により平滑膜を形成した後にエッチングする方法、未硬化塗布膜の形成、凹凸モールドを用いた転写、及び、乾燥又は光若しくは熱による注型硬化、を経る方法、プレス加工、射出成形等の公知の加工方法、等により形成できる。特に、生産性の観点から、凹凸モールドを用いて、塗工、乾燥を行う方式が、好ましい。
塗工方法は、スピンコーター、バーコーター、キャピラリーコーター、R&Rコーター、スロットダイコーター、リップコーター、コンマコーター、グラビアコーター等の方法を用いることができる。生産性及び膜厚の観点から、グラビアコーターによる塗工が好ましい。
接着層を直接凹凸微細構造層に塗工する場合は、接着剤の濡れ性を高めるために、凹凸微細構造層表面に、オゾン、プラズマ、コロナ等による表面処理を組み合わせてもよい。
接着層を別途塗工する場合は、使用する基材は限定されないが、成膜性の観点から、表面凹凸の少ない基材を用いることが好ましい。更に貼り合わせ後の剥離性の観点から、表面に剥離処理が施されている基材がより好ましい。
本実施の形態の光学フィルムは、使用形態のひとつとして発光素子を具備する基板上に貼り付けることにより使用される。
発光素子を具備する基板の所望の位置に構造域と隙間路を形成するための位置合わせは、公知の方法を用いることができる。例えば、基板のオリフラ、又は刻印を目印に光学フィルムを張り付ける方法などがある。また、光学フィルムに刻印をつけておくこともできる。光学フィルムに刻印をつける方法を用いると、位置合わせを簡便に行うことができ、生産性の観点で有利である。
凹凸構造を有する発光素子は、上記の基板と光学フィルムとの構造体を個片化することで形成することができる。凹凸構造を有する発光素子は、界面での全反射による光のロスが低減されることで光取り出し効率が向上する点で好ましい。
凹凸構造と平坦な隙間路を有する前記構造体を発光素子に個片化する方法として、ダイシングを用いることができる。ダイシングの種類としては、機械的に基板を切断するブレードダイシング、レーザーを用いて基板表面でアブレーションを起こさせて基板を切断する方法、レーザーで基板内部に改質層を形成し割断するダイシング等の公知の手法が用いられる。レーザーで基板内部に改質層を形成し割断するダイシングを用いる場合、切除除去エリアが小さく、カケが発生しにくいため生産性の観点で有利である。
<特性評価>
各実施例及び比較例で製造した光学フィルムについて、下記の装置及び方法により評価を行った。
(1)構造層の屈折率の測定
シリコンウェハ上に構造層となる樹脂を、スピンコーターを用いて10nm厚に塗布し、120℃で1分加熱し、1,000mJ/cm2で露光硬化し、自動エリプソメーター(溝尻光学工業所製、DVA−36LA)で波長589nmにおける屈折率を測定した。
隙間路に焦点をしぼり、島津製作所製の紫外可視光分光光度計 UV−1600PCを用いて、波長800nm〜300nmにおける透過率を測定した。
原子間力顕微鏡AFM(キーエンス製VN−8000)を用いて測定し、付属の解析ソフト(VN−HIV8)を用いて隙間路の表面粗さRaを算出した。
ダイシング後のチップを1インチSEM台にカーボンペーストを用いて貼り付け、オスミウム蒸着したものを、FE−SEM(日立ハイテク社製の電界放出形走査電子顕微鏡、SU−8010)を用いて50,000倍で観察し、凹凸微細構造層の微細構造の高さ及び幅、凹凸微細構造層の厚み、並びに接着層厚みを確認した。上記電子顕微鏡像において、図3に示すように、凹凸微細構造としての突起の底部Bと頂部Tとを画定し、微細構造の高さhを求めた。また凹凸微細構造としての突起の幅w、凹凸微細構造層の厚みt2、及び接着層の厚みt1をそれぞれ画定及び計測した。
2インチの100ミクロン厚の両面研磨サファイアウェハの上に、スピンコーターを用いて1ミクロン厚に塗布したサンプルを形成し、島津製作所製の紫外可視光分光光度計 UV−1600PCを用いて、波長800nm〜300nmにおける透過率を測定した。
1mm□に個片化した発光素子の上に3mmφ半球レンズ型にLED封止材(SCR1016、信越シリコーン製)を成形し、100℃で1時間、150℃で5時間加熱し、半導体発光素子を作製した。作製した半導体発光素子について、発光量の測定を行い、リファレンスに対して発光量が1.2倍以上のものをAAA、1.1倍以上1.2倍未満のものをAA、1.05倍以上1.0倍未満のものをA、1.0倍未満のものをBとした。
浜松ホトニクス製のレーザーダイシングエンジンを用い、特開2002−192367号公報に準ずるダイシング条件に従い隙間路に沿って(隙間路を有さない場合は基板の個片化する所定の位置で)基板の改質を行い、基板の改質を形成でき所定の位置で基板を個片化できたものを○、一部改質されたが、基板を個片化できなかったものを△、基板の改質が出来なかったものを×とした。
真空ラミネータ(名機製作所社製、MVLP)を用いて120℃、4barの加圧条件下で2インチのサファイアウェハ上に接着層付き光学フィルムを貼り付けた。室温まで戻した後、保護フィルムモールドを手で剥離した際に、接着層及び構造層がサファイアウェハ上に、その面積の80%以上転写されたもの○、30%以上80%未満転写されたものを△、30%未満転写されたものを×とした。
ガラス製遮光ビンにM−350を400質量部(東亞合成製)、DAC−HP(ダイキン工業製)70質量部、Irgacure184(BASFジャパン)を8質量部、をよく混合することでUV硬化樹脂を得た。
離形処理を施した、2A構造域と2B隙間路に対応する領域を持つマスターモールド(PETフィルム)に、UV硬化樹脂を塗布し、PETフィルムをかぶせた。300mJ/cm2で露光しUV硬化樹脂を硬化し、剥離することで構造域と隙間路を有するモールド(G2モールド)を得た。
<構造層の作製>
以下の表1に示すパターン構造を有する構造層と隙間路を有するG2モールド上に1,2−エタンジチオール(東京化成製)を68重量部質量部にテトラビニルシラン32重量部質量部(信越シリコーン製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン( Darocure(登録商標)1173(BASF(株)製))1.5重量部質量部、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩(和光純薬工業(株)製:商品名「Q−1301」)0.0025重量部質量部を配合し、よく混合し硬化性組成物を得た。バーコーターを用いて塗布し、メタルハライドランプ(フュージョンUVシステムズ・ジャパン製CV−110Q−G)を用いて1,000mJ/cm2で露光、硬化して、保護層と構造層の積層体を得た。
凹凸賦形シートにSCR1011(信越シリコーン製)のA液とB液の重量比1:1の混合物のプロピレングリコールモノメチルエーテル2−アセテート(PGMEA)10質量%溶液を、乾燥後の膜厚が500nmとなるよう、構造層の保護層と接する面と反対側の面にバーコーターで塗布し、120℃、2h加熱することで接着層を有する光学フィルムを作製した。
2インチのサファイアウェハ上に、光学フィルムの接着層側の面を重ね合わせ、真空ラミネータ(名機製作所)を用いて、120℃、4barで張り合わせた後、30℃でG2モールドを剥離することでサファイア表面上に接着層を介して構造層を貼り付けた。
作製した光学フィルムについて、上記の方法にて各特性を評価した。結果を以下の表1に示す。
サファイア基材上に、MOCVDにより、AlGaN低温バッファ層、n型GaN層、n型AlGaNクラッド層、InGaN発光層(MQW)、p型AlGaNクラッド層、p型GaN層をこの順で積層し、更に電子ビーム蒸着により、ITO層を積層した。その後、フォトリソグラフィーでレジストをパターニングし、p側電極、及びn側電極が形成される領域の光取出し層をドライエッチングで除去した。いったんレジストを剥離した後、n側電極が形成される領域は、更にフォトリソグラフィーによるレジストパターニングとITOエッチング、塩素系ガスによるドライエッチングを行ってエッチング加工を行い、n型GaN層を露出させた。再度レジスト剥離を行い、フォトリソグラフィーでレジストをパターニングし、リフトオフ法を用いて金属を蒸着して電極パッドを取り付けて、p側電極及びn側電極を形成した。その後、サファイア基板の発光層と反対側の面を研磨した。以上により、発光層付基板を作製した。上記の発光層付基板の発光層と反対側の面に、光学シートを張り付けることで、積層体を形成し、1mm□に個片化した。発光素子の上に3mmφ半球レンズ型にLED封止材(SCR1016、信越シリコーン製)を成形し、100℃で1時間、150℃で5時間加熱し、半導体発光素子を封止した。
<凹凸賦形構造層の作製>
以下の表1に示すパターン構造を有する構造層と隙間路を有するG2モールド上にNRC−137RE(ナガセケムテック製、酸化ジルコニウムを含む樹脂20質量%のシクロヘキサノン溶液)を、バーコーターを用いて塗布し、40℃ホットプレート上で、5分間乾燥した。メタルハライドランプ(フュージョンUVシステムズ・ジャパン製CV−110Q−G)を用いて1,000mJ/cm2で露光、硬化して、保護層と構造層の積層体を得た。
<接着層の作製>
乾燥後の膜厚を200nmに調整した以外は参考例1に準じた。
<光学フィルムの貼り付け>
参考例1に準じた。
<素子の作製>
参考例1に準じた。
<凹凸賦形構造層の作製>
以下の表1に示すパターン構造を有する構造層と隙間路を有するG2モールドを用いた以外は参考例2に準じた。
<接着層の作製>
乾燥後の膜厚を100nmに調整した以外は参考例1に準じた。
<光学フィルムの貼り付け>
参考例1に準じた。
<素子の作製>
参考例1に準じた。
<凹凸賦形シートの作製>
以下の表1に示すパターン構造を有する構造層と隙間路を有するG2モールドを用い、NRC−137REをNRC−3132P(ナガセケムテック製、酸化チタンナノ粒子を含む樹脂20質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)に変えた以外は実施例2に準じた。
<接着層の作製>
接着層としてアロニックス0239−F(東亜合成化学工業)のプロピレングリコールモノメチルエーテル2−アセテート(PGMEA)10質量%溶液を、乾燥後の膜厚が150nmとなるようバーコーターで塗布し、メタルハライドランプ(フュージョンUVシステムズ・ジャパン製CV−110Q−G)を用いて300mJ/cm2で露光、硬化し接着層を有する光学フィルムを作製した。
<光学フィルムの貼り付け>
参考例1に準じた。
<素子の作製>
参考例1に準じた。
<凹凸賦形シートの作製>
以下の表1に示すパターン構造を有する構造層と隙間路を有するG2モールドを用いた以外は実施例4に準じた。
<接着層の作製>
SCR1011(信越シリコーン製)のA液とB液の重量比1:1の混合物のプロピレングリコールモノメチルエーテル2−アセテート(PGMEA)10質量%溶液を、上記混合物の5質量%溶液に変えて、乾燥後の膜厚を50nmとなるようバーコーターで塗布した以外は参考例1に準じた。
<光学フィルムの貼り付け>
参考例1に準じた。
<素子の作製>
参考例1に準じた。
<凹凸賦形シートの作製>
以下の表1に示すパターン構造を有する構造層を有し、隙間路を有さないG2フィルムを用いた以外は、実施例4に準じた。
<接着層の作製>
乾燥後の膜厚が150nmとなるようにバーコーターで塗布した以外は参考例1に準じた。
<光学フィルムの貼り付け>
参考例1に準じた。
<素子の作製>
参考例1に準じた。
<凹凸賦形シートの作製>
凹凸構造層を有さないG2フィルムを用いた以外は、実施例5に準じた。
<接着層の作製>
乾燥後の膜厚が150nmとなるようにバーコーターで塗布した以外は参考例1に準じた。
<光学フィルムの貼り付け>
参考例1に準じた。
<素子の作製>
参考例1に準じた。
<凹凸賦形シートの作製>
実施例4に準じた。
<接着層の作製>
乾燥後の膜厚が150nmとなるようにバーコーターで塗布した以外は参考例1に準じた。
<光学フィルムの貼り付け>
基板への貼り付け前に保護層を剥離した後、真空ラミネータ(名機製作所)を用いて、120℃、4barで張り合わせることでサファイア表面上に接着層を介して構造層を貼り付けたが、構造層が破壊され貼り付けられなかった。
<素子の作製>
参考例1に準じた。
10 基材フィルム
11 樹脂モールド層
2 構造層
2A 構造域
2B 隙間路
3 接着層
B 凹凸微細構造の突起の底部
T 凹凸微細構造の突起の頂部
w 凹凸微細構造の突起の幅
t2 凹凸微細構造層の厚み
t1 接着層の厚み
Claims (6)
- 保護層と構造層とを含む光学フィルムであって、該構造層の該保護層に接する面が、構造域と、該構造域の形成エリアの境界線に沿って形成された隙間路とを有し、該構造域は凹凸微細構造を有し、該凹凸微細構造は金属酸化物ナノ粒子を含有し、該隙間路の平均算術粗さRaは0nm超10nm以下であり、そして該隙間路の波長300nm〜800nmにおける透過率の最大値が40%以上である前記光学フィルム。
- 前記構造域の凹凸微細構造が、高さ150nm以上2000nm以下の高さを持ち、アスペクト比が0.3以上2以下である、請求項1に記載の光学フィルム。
- 前記構造層の屈折率が1.70以上である、請求項1又は2に記載の光学フィルム。
- 前記構造層の片面にさらに接着層を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
- 前記接着層の波長300nm〜800nmにおける透過率の最大値が70%以上である、請求項4に記載の光学フィルム。
- 前記接着層の厚みが500nm以下である、請求項4又は5に記載の光学フィルム。
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