JP6262930B2 - 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 - Google Patents

熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 Download PDF

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本発明は、強度と耐久性に優れる熱交換器用アルミニウム合金クラッド材に関する。
近年、自動車等のアルミニウム合金製熱交換器は性能向上のため、内圧が高まる傾向があり、そのため各部材への負荷が増大し、耐久性が低下する問題が発生している。これまでの使用環境では各部材は塑性変形を伴わない弾性域内で使用されていたため、材料の高強度化によって耐久性の向上を図っていたが、近年は特に薄肉材において局部的に塑性変形を伴う低サイクル疲労領域で使用される場合もあり、そのような使用環境においては材料を高強度化すると耐久性を低下させることになりかねない。したがって、高サイクル疲労域から低サイクル疲労域の広い範囲において優れた耐久性の確保が可能な材料が求められている。
自動車等の熱交換器には、Al-Mn-Cu系合金からなる芯材の片面または両面にAl-Si系ろう材が貼り合せされたブレージングシートやろう材の他方の片面に犠牲陽極材としてAl-Zn系合金が貼り合せされたアルミニウム合金クラッド材が使用されている。
芯材には強度や成形性、ろう付け性に優れるAl-Mn-Cu系合金が一般的に使用されており、熱交換器の構造部材として形状を保持する効果を有している。また、熱交換器として使用時の内圧変動や振動、温度変化に起因する熱応力によって発生する疲労に対する耐久性を向上する効果がある。
Al-Si系のろう材はチューブとフィン、チューブとヘッダープレートなどのろう付け接合のために貼り合わされており、通常、不活性ガス雰囲気中でフッ化物フラックスを用いて約600℃程度のろう付け熱処理で接合が行われる。犠牲陽極材は冷媒の流路となるチューブ材の内面や外面などに配置され、熱交換器の使用中に作動流体や外気に対して犠牲陽極効果を発揮し、芯材への腐食進行による冷却水等の洩れを抑制する効果を有する。通常、アウターフィンやインナーフィンにはベア材が使用され、チューブやプレート部材から供給されるろう材によって接合が行われる。
自動車など輸送機器の熱交換器は軽量化のため、部材の薄肉化が進展してきており、耐久性向上のため部材の高強度化が図られてきた。部材の高強度化は芯材のCu,Si,Mnの添加量の増加や犠牲材へのMg添加によって実現されている(例えば、特許文献1)。
特開平5−543971号公報
しかし、近年は部材の薄肉化がますます進展し、さらには熱交換性能向上のために内圧が高い環境で使用される熱交換器も増加しており、従来品に比べ、チューブやフィンなど薄肉部材の耐久性が著しく低下する問題が発生している。特にチューブに板厚0.2mm以下の薄肉部材が使用されるラジエータや内圧が高い環境で使用されるオイルクーラ、100℃以上の高温で使用されるインタークーラなどの各種熱交換器で耐久性の低下が問題となっており、そのような使用環境においても疲労特性に優れる材料が強く望まれている。
また、薄肉のチューブ材等においては芯材を高強度化するとろう付け時の元素拡散により、ろう付け後に芯材と表層材の電位差が低下し、耐食性が確保できずに早期に貫通孔が発生する問題が生じる。また、フィン材ではZn添加量を増加するとチューブ等に対する犠牲陽極効果は向上するが、腐食速度が増大するため腐食によってフィン材の板厚を貫通するような腐食部位が多数発生し、構造強度の低下により短期間で耐久性が低下する場合もある。
以上のように、近年、熱交換器はさらなる軽量化、高性能化を実現するため、熱交換器用部材には優れた耐久性と耐食性の両立が求められている。
本発明は、このような課題に基づいてなされたもので、薄肉化されても、内圧の高い環境で疲労特性及び耐食性に優れる熱交換器用アルミニウムクラッド材を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した使用環境においても耐久性に優れる材料を得るため、熱交換器使用時に各部材へ負荷される応力や歪みを計測し、最適なクラッド構成について検討を行なった。その結果、従来は薄肉部材であっても、ほとんど塑性変形を伴わない弾性域内の高サイクル疲労域にて使用されていたが、耐久性の著しい低下が見られた熱交換器では局所的に塑性変形が発生する低サイクル疲労域となっており、そのような使用環境において高強度材を適用すると、かえって耐久性が低下することが確認された。
一般的に、高サイクル疲労には高い強度を有する材料、低サイクル疲労には高い伸びを有する材料が耐久性に優れるが、強度と伸びは通常相反する特性となるため、その両立は困難である。そこで、発明者らはクラッド材を構成する芯材成分と表面に貼り合せるアルミニウム層の組合せについて鋭意検討した結果、不可避不純物量を抑制した低強度のAl-Zn合金を応力緩和層として表層材を設けることで、芯材への疲労亀裂の進展が抑制され、著しく耐久性が向上することを知見した。
本発明はこの知見に基づいており、質量%で、Mn:0.5〜2.0%、Cu:0.1〜1.0%、Si:0.3〜1.0%、Fe:0.1〜1.0%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金芯材と、芯材の片面または両面に貼り合わされ、ろう付け熱処理後の耐力が30MPa以下のAl−Zn合金からなる表層材と、を備え、厚さが、0.5mm以下であり、表層材のAl−Zn合金は質量%で、Zn:0.5〜5.0%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなり、不可避不純物中のうちCu,Mgの含有量がいずれも0.05%未満であることを特徴とする、質量%でSi:5.0〜12.0%を含有するAl−Si系ろう材によりろう付けされた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材である。
本発明によるクラッド材は、芯材にZn:0.1〜3.0%及びMg:0.01〜1.0%の1種又は2種を含有させることができる。
本発明のクラッド材は、芯材の片方の面にのみ表層材が貼り合わされる形態の他に、芯材の片方の面に表層材が貼り合わされ、芯材の他方の面に質量%でSi:5.0〜12.0%を含むろう材層が貼り合わされる形態に適用できる。
また本発明のクラッド材において、表層材のろう付け熱処理後の表面ビッカース硬さが35Hv以下であることが好ましい。
本発明の熱交換器用アルミニウムクラッド材は、薄肉化されても、内圧の高い環境において優れた疲労特性を発揮する。さらに本発明のクラッド材は、長期間にわたる耐食性をも兼ね備える。
第1実施例に用いた芯材、表層材の仕様及び評価結果を示す表である。 第2実施例に用いた芯材、表層材の仕様及び評価結果を示す表である。
熱交換器の構造強度や高サイクル疲労域の耐久性を確保するため、特に板厚が薄い場合には芯材にはなるべく強度の高い合金を使用し、熱交換器使用時に最も負荷応力が高くなる表層部に低強度で延性に富む表層材を配置したクラッド材とすることにより、本発明のクラッド材は、高サイクル疲労域から低サイクル疲労域の広範囲において優れた耐久性を得る。また、表層材に電位の低いAl-Zn合金を使用することで、犠牲陽極効果により耐食性も向上し、厳しい腐食環境での使用においても、長期に渡り、優れた耐久性を維持できる。
本発明によるクラッド材は、チューブやプレートなどの各部材に適用しても同様に疲労特性の向上効果を得ることができるが、特に熱交換器としての使用時に塑性変形が発生しやすい板厚が1mm以下の部材に適用すると劇的な効果が得られる。なお、板材としての下限は、0.03mmである。
熱交換器では薄肉のフィン材が最初に破断し、その後チューブ等の変形量が増大し、疲労クラックの進展により、破壊に至る場合が多く、本発明材をアウターフィンやインナーフィンとして使用するとその効果が大きく、最も好適である。通常これらのフィン材はベア材で使用されるが、表層に強度の低い材料を貼り合せた本発明のクラッド材の使用によって著しい耐久性の向上が図れる。
もちろん、本発明によるクラッド材をプレート、チューブなどの各部材に適用しても同様に疲労特性の向上効果を得ることができる。
以上のように、クラッド材の芯材成分と表層材の成分や物性ならびにその組合せを最適化することで、従来材を使用した場合に比べ、熱交換器の耐久性と耐食性を飛躍的に向上することが可能となるのである。
本発明によるクラッド材は、芯材と、芯材の一方の面又は両方の面に表層材が貼り合わされている。以下、芯材、表層材の順に本発明の限定理由を説明する。芯材の一方の面だけに表層材が貼り合わされている場合には、他方の面にはろう材層を貼り合せることができる。なお、以下の「%」は質量%を意味するものとする。
[芯材(化学組成)]
Mn:0.5〜2.0%
芯材に含まれるMnは、基地中にAl-Mn系金属間化合物として分散し、耐食性を低下させることなく強度を向上させる作用がある。また、Siと同時に添加することで、微細なAl-Mn-Si系金属間化合物が形成され、強度を向上させる作用を有する。
ただし、0.5%未満では上記による強度向上の効果が不十分であり、一方、2.0%より多いと粗大な化合物が生成するために、鋳造性や圧延などの加工性が低下する。したがって、Mn含有量は0.5〜2.0%とする。なお、上記と同様の理由で、好ましい範囲は0.7〜1.8%、より好ましい範囲は0.9〜1.6%である。
Cu:0.1〜1.0%
芯材に含まれるCuは、マトリックスに固溶して強度を向上させ、また芯材の電位を貴にし、表層材やその他の犠牲陽極部材との電位差を大きくし、耐食性を向上する作用を有する。
ただし、0.1%未満では強度向上の効果が不十分であり、一方、1.0%より多いと粒界腐食が発生し、耐食性が低下するため好ましくない。したがって、Cu含有量は0.1〜1.0%とする。なお、上記と同様の理由で、好ましい範囲は0.3〜0.8%、より好ましい範囲は0.4〜0.7%である。
Si:0.3〜1.0%
芯材に含まれるSiは、Mnと共存させることでAl-Mn-Si化合物となって基地中に分散し、あるいは基地中に固溶して強度を向上させる作用を有する。また、Mgと同時に添加することでろう付け後に微細な金属間化合物として析出し、時効硬化により著しく強度を向上させる効果を有する。
ただし、0.3%未満では強度向上の効果が不十分であり、一方、1.0%より多いと芯材の融点を低下させ、粒界腐食が発生するため好ましくない。したがって、Si含有量は0.3〜1.0%とする。なお、上記と同様の理由で、好ましい範囲は0.4〜0.9%、より好ましい範囲は0.5〜0.8%である。
Fe:0.1〜1.0%
芯材に含まれるFeは、Al-Fe、Al-Fe-Mn、Al-Fe-Mn-Si系金属間化合物を生成し、強度を向上させる効果を有する。また、ろう付け後の再結晶粒を微細にする効果があり、強度や成形性を向上する作用を有する。
ただし、0.1%未満では上記の効果が不十分であり、一方、1.0%より多いと巨大晶出物が生成し、製造上問題となる。また、芯材の再結晶粒が非常に微細化してろうの流動を阻害するために、ろう付け性が低下する。したがって、Fe含有量は0.1〜1.0%とする。なお、上記と同様の理由で、好ましい範囲は0.3〜0.7%、より好ましい範囲は0.4〜0.6%である。
Zn:0.1〜3.0%
Znは芯材の電位を卑にするため、クラッド材の電位を低下させ、その添加量を調整することでその他の部材に対する犠牲陽極効果を付与する効果を奏する。
ただし、0.1%未満では上記の効果が不十分であり、一方、3.0%より多いと腐食速度が増大し過ぎるため、好ましくない。したがって、Zn含有量は、0.1〜3.0%である。なお、上記と同様の理由で、好ましい範囲は0.5〜2.0%、より好ましい範囲は0.7〜1.7%である。
なお、ZnはMgとともに、芯材の任意添加元素である。
Mg:0.01〜1.0%
MgはSiと同時に添加されることでろう付け後に微細な金属間化合物として析出し、時効硬化により芯材を著しく強度を向上させる効果を奏する。
ただし、0.01%未満では上記の効果が不十分であり、一方、1.0%を超えるとろう付け時にフラックスと反応し、ろう付け性が低下する。したがって、Mg含有量は0.01〜1.0%である。なお、上記と同様の理由で、好ましい範囲は0.1〜0.8%、より好ましい範囲は0.2〜0.5%である。
芯材は、上記元素を除くと、Alと不可避的不純物からなる。
[表層材(耐力)]
本発明の表層材は、以下の理由により、ろう付け後の耐力が30MPa以下とされる。
表層材の耐力が低いほど、応力負荷時に塑性変形しやすくなり、本発明のクラッド材に応力緩和作用を付与する。その際、表層材は歪み硬化すると共に、圧縮の応力が残存するため、それに相当するだけの最大負荷応力が低減し、同じ使用環境でも耐久性が著しく向上する。
しかるに、ろう付け後の耐力が30MPaを超えると、加圧初期に塑性変形が起こり難いため、十分な応力緩和作用が得られにくい。ろう付け後の好ましい耐力は、25MPa以下である。
なお、ろう付け後とは、熱交換器にろう付けにより組み付けられた後のことを意味する。ただし、ろう付けと同等の熱処理をクラッド材又は表層材単体に施すことはできるので、本発明におけるろう付け後の耐力とは、この疑似的なろう付け熱処理を行って測定したものを包含する。
[表層材(化学組成)]
Zn:0.5〜5.0%
表層貼り合せ層中のZnは耐力の増加すなわち応力緩和作用を低下させずに、電位を卑にする効果を有する。その結果、表層材が芯材を防食し、貫通孔の発生を抑制するため長期間に渡り耐久性の向上が図れる。また、Zn添加量を増大しても腐食速度をあまり増大させずに他の部材を犠牲防食することで熱交換器の耐食性を向上させる効果も有する。
ただし、0.5%未満では電位を卑にする効果が十分でなく、耐食性向上効果が不十分となり、一方、5.0%を超えると腐食速度が増大しすぎて、早期に貫通孔が発生する。なお、上記と同様の理由で、好ましい範囲は1.0超〜4.0%、より好ましい範囲は1.5〜3.0%である。
Cu,Mg(各元素がいずれも):0.05%未満
これら元素の含有量が増加すると耐力が増大するため、各含有量を0.05%未満に限定することで、表層材の耐力の増大を抑制し、耐久性向上に必要な応力緩和作用を得る。Cuは電位を貴にする作用を有するため、Zn含有による効果を阻害する観点からも0.05%未満に規制する。また、Mgは、ノコロックろう付けにおいてはろう付け性を阻害する観点からも、0.05%未満に規制するのがよい。もちろん、これら元素は含有量が低いほど好ましいことはいうまでもないが、合計含有量としては0.08%以下とすることがより好ましい。
[表層材(硬さ)]
表層材は、その硬さが小さいほど、応力負荷時に塑性変形しやすく、応力緩和作用が得られやすいので、ろう付け後のビッカース硬さが35Hv以下とされる。逆に、当該硬さが35Hvを超えると表層材の表面が塑性変形し難くなるため、応力緩和作用が得られにくく、十分な耐久性向上効果が得られない。好ましい表層材の表面硬さは30Hv以下である。
表層材の硬さ測定はろう付け熱処理時の拡散や測定時に歪み硬化の要素も加わるため、実施の使用環境に近い評価が可能となる。
[ろう材]
Si:5.0〜12.0%
本発明のろう材は、Al-Si系合金からなる。ろう材中に含まれるSiは融点を低下させる作用があり、ろう付け熱処理時に溶融ろうを形成し、十分な接合状態を得る効果を有する。
ただし、Siが5.0%未満では、溶融ろうの生成が少なく、安定した接合状態が得られず、一方、12.0%より多いと溶融ろうの生成量が増大するため、過剰な溶融ろうの流動によって著しい母材侵食が発生する。したがって、Si含有量は5.0〜12.0%とする。なお、上記と同様の理由で、好ましい範囲は7.0〜10.0%、より好ましい範囲は8.0〜9.0%である。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
[第1実施例]
本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材をインナーフィンに適用した例を第1実施例として説明する。
芯材および表層貼り合わせ材として図1に示す組成のアルミニウム合金を半連続鋳造により造塊し、それぞれ所定厚さまで圧延した。なお、図1に示す組成の残部は、Al及び不可避不純物である(第2実施例も同様)。その後、芯材の両面にクラッド率10%となるように表層材を熱間圧延してクラッド材を作製した後、厚さ0.3mmと0.1mmまで冷間圧延を行い、360℃×3hrのバッチ焼鈍により図1に示すクラッド材(調質O材)を得た。
板厚0.3mmのクラッド材を波形形状のインナーフィンに、板厚0.1mmのクラッド材をコルゲート成形によりアウターフィンに加工し、電縫溶接にて製造した表裏両面にろう材が設けられたチューブ(芯材組成:Al-1%Mn-0.15%Cu、ろう材組成:Al-7.5%Si、板厚:0.5mm)と組み合わせて、ろう付け熱処理を実施して熱交換器を作製した。
ろう付けは各部材が組み付けられた熱交換器をフッ化物系フラックス水溶液中に浸漬して全面に塗布した後、窒素ガス雰囲気中でろう付け温度600℃に5分間保持した後、100℃/minで冷却することにより行なった。次の第2実施例も同様である。
[第2実施例]
次に本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材をチューブに適用した例を第2実施例として説明する。
芯材および表層貼り合わせ材として図2に示す組成のアルミニウムを半連続鋳造により造塊し、それぞれ所定厚さまで圧延した。その後、芯材の片面にクラッド率10%となるように表層材を、他方の面にAl-Si系ろう材を熱間圧延してクラッド材を作製した後、厚さ0.5mmまで冷間圧延を行い、360℃×3hrのバッチ焼鈍により図2に示すクラッド材(調質O材)を得た。
得られたクラッド材を電縫溶接にてチューブに加工し、表裏両面にろう材が設けられたインナーフィン(芯材組成:Al-1%Mn-0.15%Cu、ろう材組成:Al-7.5%Si、板厚:0.3mm)およびアウターフィン(組成:Al-1%Mn-1.5%Zn、板厚:0.1mm)と組み合わせて、ろう付け熱処理を実施して熱交換器を作製した。
[耐久性評価試験]
第1、第2実施例で作製した熱交換器に室温で周波数10Hzにて以下の(1)、(2)の条件で高い内圧と低い内圧を各々繰返し負荷する耐久試験を実施し、部材が破断し、内圧が低下するまでの回数を測定した。
(1)0MPa⇔2.0MPa
(2)0MPa⇔0.2MPa
また、同様に作製した熱交換器について、以下に示す腐食試験を1000hr実施し、腐食試験終了後のコアについて、上記と同様に耐久性評価を実施した。
第1実施例の腐食試験(腐食試験1): ASTM G85-A3で規定されているSWAAT(Sea Water Acetic Acid Test)により熱交換器外面側の腐食を促進
第2実施例の腐食試験(腐食試験2): Cl:100ppm、SO 2−:300ppm、Fe3+:50ppmを含む水溶液(pH 3.0)を腐食液とし、80℃に8時間保持した後、室温で16時間保持するという温度サイクルを加えながら、熱交換器内部を循環させる腐食試験により、熱交換器内面側の腐食を促進
各耐久試験における測定結果を以下の基準により評価した。
破断までの回数
条件(1) 条件(2)
◎:100万回以上 ◎:500万回以上
○: 50万回以上 ○:250万回以上
△: 10万回以上 △:100万回以上
×: 10万回未満 ×:100万回未満
評価結果を図1、図2に示す。
[表層材のろう付け熱処理後の耐力]
クラッド材作製時に使用した図1(図2)の組成を有する表層材を単体で0.5mmまで圧延を行い、360℃×3hrのバッチ焼鈍により調質O材のベア材を作製した。その後、窒素ガス雰囲気中で600℃に5分間保持した後、100℃/minで冷却するろう付け熱処理を実施し、JIS 5号試験片引張試験を実施し、耐力を測定した。その結果を図1、図2に併せて示す。
[表層材の硬さ(Hv)]
図1、図2に示すクラッド材について、窒素ガス雰囲気中で600℃に5分間保持した後、100℃/minで冷却するろう付け熱処理を実施し、その後、表面からマイクロビッカース硬さ試験機により、25gfの加圧力で15秒保持する条件で圧痕を付与して硬さ測定を行なった。その結果も図1、図2に示す。
本発明のクラッド材を用いて作製されるインナーフィン、チューブの形態に限定はなく、熱交換器を構成する部材に本発明のクラッド材を広く適用することができる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。

Claims (7)

  1. 質量%で、Mn:0.5〜2.0%、Cu:0.1〜1.0%、Si:0.3〜1.0%、Fe:0.1〜1.0%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金芯材と、
    前記芯材の片面または両面に貼り合わされた、ろう付け熱処理後の耐力が30MPa以下のAl−Zn合金からなる表層材と、を備え、
    厚さが、1.0mm以下であり、
    前記表層材の前記Al−Zn合金は質量%で、Zn:0.5〜5.0%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなり、不可避不純物中のうちCu,Mgの含有量がいずれも0.05%未満であることを特徴とする、質量%でSi:5.0〜12.0%を含有するAl−Si系ろう材によりろう付けされた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  2. 前記芯材は、
    質量%で、Mn:0.5〜2.0%、Cu:0.1〜1.0%、Si:0.3〜1.0%、Fe:0.1〜1.0%を含有し、さらにZn:0.1〜3.0%、Mg:0.01〜1.0%のうち1種以上を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  3. 前記芯材の片面に前記Al−Zn合金層が貼り合わされ、前記芯材の他方の面に質量%でSi:5.0〜12.0%を含むAl−Si系ろう材層が貼り合わされたことを特徴とする請求項1または2記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  4. 前記Al−Zn合金層のろう付け熱処理後の表面ビッカース硬さが35Hv以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  5. 厚さが、0.5mm以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  6. 前記表層材の前記Al−Zn合金は質量%で、Zn:0.5〜5.0%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなり、不可避不純物中のうちCu,Mgの含有量がいずれも0.03%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  7. 前記芯材は、
    質量%で、Mn:0.5〜2.0%、Cu:0.1〜1.0%、Si:0.3〜1.0%、Fe:0.1〜1.0%、Zn:0.1〜3.0%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
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