以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
<1.第1の実施の形態>
<1−1.システムの概要>
図1は、本実施の形態に係る経路表示システム100の概要を示す図である。経路表示システム100は、車両10と、携帯端末20と、外部データベースサーバ30と、センター40とを有している。
車両10は、ユーザが使用する自動車等の車両である。車両10は、センター40と通信可能に接続された車両用装置を備えており、車両用装置を介してセンター40と情報の送受信を行っている。例えば、車両用装置は、車両10が駐車を開始した際の位置情報をセンター40に送信し、センター40から車両10のエンジンの始動要求等の制御信号を受信する。
携帯端末20は、ユーザが所持する可搬型の電子機器であり、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等である。携帯端末20には、ユーザの移動経路を表示するためのアプリケーション(以下「経路表示アプリ」という)が格納されている。ユーザが、携帯端末20に格納された経路表示アプリを操作して実行することにより、ユーザが移動した経路が記憶され、また、記憶された経路がカメラ画像や地図上にユーザの移動経路として重畳表示される。携帯端末20は、センター40と通信可能に構成されており、車両10の位置情報等の各種情報を送受信する。
外部データベースサーバ30は、センター40の外部に設けられたサーバ装置であり、店舗情報や施設情報を含む店舗・施設情報を格納している。外部データベースサーバ30は、センター40と通信可能に構成されており、センター40からの要求に応じて店舗・施設情報をセンター40に対して送信する。
センター40は、経路表示システム100全体を制御する情報処理装置である。センター40は、車両10、携帯端末20及び外部データベースサーバ30と通信可能に構成されており、ユーザの移動経路を携帯端末20に表示させるための各種情報を互いに送受信している。また、センター40は、車両10に対してエンジンを始動させるための制御信号を送信し、車両10のエンジンを遠隔で始動する制御も行う。
このように、本実施の形態に係る経路表示システム100は、ユーザの移動経路を予め携帯端末に記憶させておき、ユーザが移動経路を確認する際に、その移動経路をカメラ画像や地図と重畳表示させることで、ユーザ自身が辿った移動経路を容易に確認することができるようにしたシステムである。以下、経路表示システム100の各構成及び各処理について詳細に説明する。
<1−2.車両の構成>
まず、車両10の構成について説明する。図2は、車両10の概要を示すブロック図である。図2に示すように、車両10は、車両用装置11と、エンジン12と、I/G13と、ナビゲーション装置14とを備えている。
車両用装置11は、車両10の位置情報の取得処理やセンター40への送信処理、及びエンジン12の始動処理などを行うものである。車両用装置11は、制御部15と、位置情報取得部16と、通信部17と、記憶部18とを備えている。
制御部15は、車両情報取得部15aと、始動制御部15bと、通信制御部15cとを備えており、また、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部15は、車両用装置11が備える通信部17や記憶部18等と接続され、記憶部18に記憶されたプログラム18aに基づいて情報の送受信を行い、車両用装置11の全体を制御する。また、記憶部18に記憶されたプログラム18aにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、制御部15の各機能が実現される。
また、制御部15は、CAN(Controller Area Network)等の車載LAN(Local Area Network)を介して車両内の他の各種センサやECU(Electronic Control Unit)と通信可能に接続されており、これらセンサやECUとの間で種々の情報の送受信を行っている。
車両情報取得部15aは、車両の走行状態や他のECUの状態を示す情報としての車両情報を取得する。車両には、例えば、車速センサや蛇角センサ等の車両の走行状態を検出するセンサや、燃料噴射用ECUといったエンジン制御系のECUやドアロック/アンロック用ECUといったボディ制御系のECUが設けられている。車両情報取得部15aは、CANを介してこれらセンサやECUの出力を車両情報として取得する。
始動制御部15bは、車両が備えるエンジン12の始動又は停止を制御する。例えば、センター40からエンジン12の始動要求を受信した場合には、始動制御部15bは、CANを介してエンジン12の駆動制御を行うECUに対して始動指令を送信する。また、例えば、センター40からエンジン12の停止要求を受信した場合には、始動制御部15bは、CANを介してエンジン12の駆動制御を行うECUに対して停止指令を送信する。
通信制御部15cは、センター40との間で情報の送受信の制御を行う。例えば、通信制御部15cは、通信部17を制御して、車両10の位置情報等について通信部17を介してセンター40に送信する制御を行う。
位置情報取得部16は、車両10の現在位置を示す情報である車両位置情報を取得する。位置情報取得部16としては、例えば、GPS(Global positioning system:全地球測位システム)を用いることができる。車両位置情報は、緯度情報及び経度情報を含んでいる。すなわち、位置情報取得部16は、GPSを用いて現在位置の緯度情報及び経度情報を取得することとなる。
通信部17は、センター40と通信可能に接続され、センター40との間で情報の送受信を行う。通信部17は、例えば、センター40に対して車両位置情報を送信し、センター40からエンジン12の始動要求等の情報を受信する。車両用装置11とセンター40との通信は、いわゆる携帯電話網を通じて行ってもよく、インターネット回線を通じて行ってもよい。
記憶部18は、プログラム18aを記憶している。本実施の形態における記憶部18は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリである。記憶部18としては、例えば、EEPROM(Electrical Erasable Programmable Read-Only memory)やフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。プログラム18aは、制御部15により読み出され、制御部15が車両用装置11を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。
I/G13は、イグニッションのスイッチであり、車の鍵をキーシリンダに差し込んで回転させることによりエンジン12を作動させる方式のものや、スタータスイッチを押下することでエンジン12を作動させる方式のものを用いることができる。
ナビゲーション装置14は、ユーザが設定した目的地までの経路を探索し、案内するものである。ナビゲーション装置14には、ユーザが設定した目的地に関する情報が記憶されており、ナビゲーション装置14は、この目的地情報14aを車両用装置11に送信する。
<1−3.携帯端末の構成>
次に携帯端末20の構成について説明する。図3は、携帯端末20の概要を示すブロック図である。図3に示すように、携帯端末20は、制御部21と、位置情報取得部22と、通信部23と、記憶部24と、表示部25と、操作部26と、撮影部27とを備えている。
制御部21は、経路導出部21aと、表示制御部21bとを備えており、また、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部21は、携帯端末20が備える通信部23や記憶部24等と接続され、記憶部24に記憶されたプログラム24aに基づいて情報の送受信を行い、携帯端末20の全体を制御する。記憶部24に記憶されたプログラム24aにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、制御部21の各機能が実現される。
経路導出部21aは、ユーザが移動した経路を導出する。具体的には、経路導出部21aは、位置情報取得部22が取得した携帯端末20の位置情報を繋ぎ合わせた軌跡を移動経路として導出する。この導出された移動経路は、移動経路情報として記憶部24に記憶される。つまり、移動経路は、ユーザが移動した経路であり、携帯端末20自身の移動経路でもある。
表示制御部21bは、携帯端末20の表示部25に表示させる画像を生成し、この生成した画像を表示部25に表示させる制御を行う。具体的には、表示制御部21bは、経路表示アプリの操作用画面を表示部25に表示させる制御や、ユーザの移動経路を撮影部27で撮影した画像上に重畳させた重畳画像を生成し、この重畳画像を表示部25に表示させる制御を行う。
位置情報取得部22は、携帯端末20の位置情報である携帯位置情報を取得する。位置情報取得部22としては、例えば、GPSを用いることができる。携帯端末20の位置情報は、緯度情報及び経度情報を含んでいる。取得した携帯位置情報は、記憶部24に記憶される。
通信部23は、センター40と通信可能に接続され、センター40との間で情報の送受信を行う。通信部23は、例えば、センター40に対して車両位置情報や周辺の店舗・施設情報の送信要求信号を送信し、センター40から車両位置情報や店舗・施設情報を受信する。携帯端末20とセンター40との通信は、いわゆる携帯電話網やインターネット回線を通じて行われる。
記憶部24は、プログラム24aと、経路表示アプリ24bと、携帯位置情報24cと、車両情報24dと、店舗・施設情報24eと、地図情報24fと、登録地点情報24gと、移動経路情報24hとを記憶している。本実施の形態における記憶部24は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリである。記憶部24としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。
プログラム24aは、制御部21により読み出され、制御部21が携帯端末20を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。経路表示アプリ24bは、ユーザが移動した経路を携帯端末20の表示部25に表示させるための制御プログラムである。また、携帯位置情報24cは、位置情報取得部22で取得した携帯端末20の位置情報である。車両情報24dは、センター40から受信した車両に関する情報であり、例えば車両位置情報や目的地情報である。店舗・施設情報24eは、センター40から受信した店舗や施設に関する情報である。地図情報24fは、全国又は一定の広域の道路情報を含む情報である。登録地点情報24gは、ユーザが登録した地点に関する情報であり、その地点の位置情報や、その地点に存在する施設に関する情報を含む情報である。その地点に存在する施設に関する情報とは、例えば、その地点に自動販売機やトイレが設置されている等の情報である。移動経路情報24hは、ユーザが車両を駐車場に駐車して降車後の移動経路(すなわち、携帯端末20の移動経路)に関する情報であり、今回記憶した移動経路の他に過去に記憶した移動経路の情報も含む。
表示部25は、経路表示アプリ24bの操作用画面や、ユーザの移動経路を撮影部27で撮影した画像上に重畳表示させた画像を表示する表示装置である。表示部25としては、例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等を用いることができる。
操作部26は、機械式のボタンやタッチパネルを備えた情報の入力装置である。ユーザは、操作部26を操作することによって、経路表示アプリに関する各種操作を行うことができる。
撮影部27は、レンズと撮像素子とを備えたカメラで構成されており、携帯端末20の周辺を撮影した画像を電子的に取得する。撮影部27は、携帯端末20の表示部25の反対側に設けられており、携帯端末20の表示部25をユーザ側に向けて撮影すると、ユーザから見える風景が撮影部27で撮影されて表示部25に表示される。
<1−4.外部データベースサーバの構成>
次に外部データベースサーバ30の構成について説明する。図4は、外部データベースサーバ30の概要を示すブロック図である。図4に示すように、外部データベースサーバ30は、制御部31と、通信部32と、記憶部33とを備えている。
制御部31は、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部31は、外部データベースサーバ30が備える通信部32や記憶部33等と接続され、記憶部33に記憶されたプログラム33aに基づいて情報の送受信を行い、外部データベースサーバ30の全体を制御する。記憶部33に記憶されたプログラム33aにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、制御部31の各機能が実現される。
通信部32は、センター40と通信可能に接続され、センター40との間で情報の送受信を行う。通信部32は、例えば、センター40から店舗・施設情報の送信要求信号を受信し、これに応答してこれら対応する店舗・施設情報をセンター40に対して送信する。外部データベースサーバ30とセンター40との通信は、主としてインターネット回線を通じて行われる。
記憶部33は、プログラム33aと、店舗・施設情報33bとを記憶している。本実施の形態における記憶部33は、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成されている。ただし、記憶部33としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリ等の、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリを用いてもよい。
プログラム33aは、制御部31により読み出され、制御部31が外部データベースサーバ30を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。店舗・施設情報33bは、全国又は一定の地域に存在する店舗や施設の情報である。店舗・施設情報33bには、その店舗や施設の名称、住所、営業時間等の情報や、カテゴリ(飲食店、衣料品店、娯楽施設等)に関する情報なども含まれている。
<1−5.センターの構成>
次にセンター40の構成について説明する。図5は、センター40の概要を示すブロック図である。図5に示すように、センター40は、制御部41と、通信部42と、記憶部43とを備えている。
制御部41は、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部41は、センター40が備える通信部42や記憶部43等と接続され、記憶部43に記憶されたプログラム43aに基づいて情報の送受信を行い、センター40の全体を制御する。記憶部43に記憶されたプログラム43aにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、制御部41の各機能が実現される。
通信部42は、車両10、携帯端末20及び外部データベースサーバ30と通信可能に構成され、各々との間で情報の送受信を行う。通信部42は、例えば、車両10に対してエンジンの始動要求等の制御情報を送信し、車両10から車両位置情報を受信する。また、通信部42は、例えば、携帯端末20から店舗・施設情報の送信要求信号を受信すると、外部データベースサーバ30に対して店舗・施設情報の送信要求信号を送信し、これに対応する店舗・施設情報を外部データベースサーバ30から受信し、携帯端末20に送信する。センター40と、車両用装置11、携帯端末20及び外部データベースサーバ30との通信は、いわゆる携帯電話網やインターネット回線を通じて行われる。
記憶部43は、プログラム43aと、車両情報43bとを記憶している。記憶部43は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリである。記憶部43としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。
プログラム43aは、制御部41により読み出され、制御部41がセンター40を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。車両情報43bは、車両用装置11から送信された車両に関する情報であり、例えば、車両位置情報や目的地情報である。
<1−6.経路表示システムの処理>
次に、経路表示システム100の処理について説明する。図6ないし図12は、経路表示システム100の処理を説明する図である。
本実施の形態の経路表示システム100は、主に移動経路の記憶処理と移動経路の表示処理とを実行する。このため、まず、移動経路の記憶処理の流れの概要をシステム全体の動作順序に沿って説明する。図6は、移動経路を記憶する処理における経路表示システム100の処理のシーケンスを示す図である。図6に示すように、ユーザが携帯端末20の経路表示アプリ24bを起動させることにより、携帯端末20が移動経路の記憶処理の待機状態になる。
その後、車両10のイグニッションがオフになると、車両10からセンター40に車両位置情報や目的地情報等が送信される。すなわち、車両10は、イグニッションがオフになると、その時点での車両の位置情報を取得してセンター40に送信する。また、車両10は、イグニッションがオフされた時点でナビゲーション装置14にて目的地が設定されている場合には、目的地の位置情報や到着予想時刻等の目的地情報も併せてセンター40に送信する。
センター40は、車両10から車両位置情報等の情報を受信すると、記憶部43に記憶する。そして、携帯端末20に対して移動経路の記憶を開始する旨の要求信号を送信する。センター40は、車両10から車両位置情報等の情報を受信したことで、車両10のイグニッションがオフになったこと(すなわち、車両が駐車されたこと)を把握できる。つまり、センター40は、その後ユーザが車両10から降りて移動すると判断できるため、携帯端末20に移動経路の記憶を開始するよう要請する。
携帯端末20は、センター40から移動経路の記憶を開始する旨の要求信号を受信すると、移動経路の記憶処理を実行する。これにより、ユーザの移動経路が携帯端末20に記憶される。
ここで、携帯端末20による移動経路の記憶処理を詳細に説明する。図7は、移動経路の記憶処理を示すフローチャートである。
まず、携帯端末20による移動経路の記憶処理は、経路表示アプリ24bが起動することにより開始する。携帯端末20は、経路表示アプリ24bが起動すると、センター40から移動経路記憶開始要請を取得したか否かを判断する(ステップS701)。これは、携帯端末20が、センター40から移動経路の記憶を開始する旨の要求信号を受信したか否かを判断することにより行われる。移動経路記憶開始要請を取得していない場合には(ステップS701でNo)、携帯端末20は、再度要請の取得の有無を監視する。
一方、移動経路記憶開始要請を取得した場合には(ステップS701でYes)、携帯端末20は、移動経路の記憶処理を開始し、携帯位置情報を取得する(ステップS702)。すなわち、移動経路記憶開始要請を取得すると、位置情報取得部22が、携帯端末20の位置情報を取得する。次に、携帯端末20は、所定距離移動したか否かを判断する(ステップS703)。携帯端末20は、定期的に携帯位置情報を取得し、前回記憶した位置から所定距離移動したときに、その際取得した携帯位置情報を記憶することとしている。このため、携帯端末20は、携帯位置情報を取得すると、前回記憶した携帯位置情報と比較して所定距離移動したか否かを判断している。この場合の所定距離は、例えば1mとすることができる。ただし、1mに限定されることはなく任意に設定可能である。
そして、携帯端末20は、所定距離移動した場合には(ステップS703でYes)、取得した携帯位置情報24cを記憶部24に記憶する(ステップS704)。なお、移動経路の記憶処理を開始して最初に取得した携帯位置情報である場合には、携帯端末20は、前回位置からの距離に関わらず記憶する。一方、携帯端末20は、所定距離移動していない場合には(ステップS703でNo)、携帯位置情報の記憶部24への記憶を行わずに次の処理に進む。
次に、携帯端末20は、ユーザからの地点登録指示があったか否かを判断する(ステップS705)。本実施の形態では、ユーザが降車した後の移動中に気になる地点があった場合や、帰りに立ち寄る地点などがある場合に、その地点を登録しておくことができるようになっている。このため、携帯端末20は、ユーザからの地点登録指示があったか否かを判断し、登録指示があった場合には(ステップS705でYes)、その地点の位置情報や施設情報を登録地点情報24gとして記憶部24に登録する(ステップS706)。一方、ユーザからの地点登録指示がない場合には(ステップS705でNo)、地点の登録処理は行わず、次の処理に進む。
次に、携帯端末20は、開始から所定距離に到達したか否かを判断する(ステップS707)。携帯端末20は、移動経路記憶開始要請の取得により移動経路の記憶を開始した後には、開始してからの移動距離が所定距離に到達するまで携帯位置情報の取得を継続する。すなわち、携帯端末20は、移動経路の記憶を開始してからの移動距離が所定距離に到達すると移動経路の記憶を終了するようになっている。このため、携帯端末20は、携帯位置情報を取得すると、開始してからの移動距離が所定距離に到達したか否かを判断する。なお、この場合の所定距離は、適宜設定可能であり、例えば、予め100mや500m等設定しておいてもよく、ユーザが駐車場の広さに応じてその都度設定してもよい。
開始してからの移動距離が所定距離に到達していない場合には(ステップS707でNo)、携帯端末20は、再度携帯位置情報を取得する処理(ステップS702)以降の処理を実行する。一方、所定距離に到達している場合には(ステップS707でYes)、携帯端末20は、移動経路を導出して記憶する(ステップS708)。
具体的には、経路導出部21aは、記憶部24に記憶された携帯位置情報24cを読み出し、これら複数の携帯位置情報24cを時系列に沿って連続的に繋ぎ合わせることで移動経路を導出する。そして、経路導出部21aは、導出した移動経路の情報を移動経路情報24hとして記憶部24に記憶し、移動経路の記憶処理を終了する。
このように、携帯端末20は、定期的に携帯位置情報を取得し、前回記憶した位置から所定距離(第1の距離)移動したときにその際取得した携帯位置情報を記憶する。そして、携帯端末20は、携帯位置情報の記憶を開始してからの移動距離が所定距離(第2の距離)に到達するまで、この携帯位置情報の記憶処理を継続する。そして、携帯端末20は、開始してからの移動距離が所定距離に到達すると、携帯位置情報を用いて移動経路を導出して記憶するようになっている。
次に、移動経路の表示処理について説明する。移動経路の表示は、主に車両から離れた位置にいるユーザが車両に戻る際に行う操作である。図8は、移動経路を表示する処理における経路表示システム100の処理のシーケンスを示す図である。
図8に示すように、ユーザが携帯端末20の経路表示アプリ24bを起動させることにより、携帯端末20が移動経路の表示処理の待機状態になる。その後、携帯端末20は、センター40に対して車両情報及び周辺情報の送信を要請する。この場合の車両情報は、例えば車両位置情報や目的地情報であり、周辺情報は車両10の周辺に存在する店舗や施設に関する店舗・施設情報である。
センター40は、車両情報及び周辺情報の送信要請信号を受信すると、外部データベースサーバ30に対して周辺情報の送信を要請する。センター40は、車両10のイグニッションがオフになった際に、車両情報を取得しているため、外部データベースサーバ30には周辺情報のみの送信を要請する。なお、センター40は、外部データベースサーバ30に対して周辺情報の送信要請信号を送信する際には、車両位置情報を併せて送信する。
外部データベースサーバ30は、センター40から周辺情報の送信要請信号を受信すると、記憶部33に記憶された店舗・施設情報33bの中から、同時に受信した車両位置情報に基づく位置を基点として所定範囲内に存在する店舗や施設に関する店舗・施設情報33bを検索する。そして、外部データベースサーバ30は、検索した店舗・施設情報33bを周辺情報としてセンター40に送信する。
次に、センター40は、携帯端末20に対して車両情報及び周辺情報を送信する。携帯端末20は、車両情報及び周辺情報を取得すると、ユーザに対して表示する移動経路を選択させる。これは、今回の移動経路の記憶処理にて記憶した移動経路の他に、過去に同じ場所に駐車した場合に使用した移動経路がある場合には、それらを含めてユーザに提示し、選択させる処理である。表示された移動経路の中からユーザがいずれかを選択すると、携帯端末20は、選択された移動経路を表示する。
その後、携帯端末20は、ユーザが車両10に接近したことを判断すると、センター40に対して車両10のエンジン12を始動する旨を要請する。センター40は、携帯端末20からエンジン始動要請を取得すると、車両10に対してエンジン12を始動する旨を要請し、車両10はエンジンを始動させる。そして、ユーザが車両10に到着するなどして経路表示アプリ24bを終了することで移動経路の表示処理は終了する。
ここで、携帯端末20による移動経路の表示処理を詳細に説明する。図9は、移動経路の表示処理を示すフローチャートである。
まず、携帯端末20による移動経路の表示処理は、ユーザが経路表示アプリ24bを起動して移動経路の表示を指示することにより開始する。携帯端末20は、移動経路の表示処理を開始すると、センター40に対して車両情報と周辺情報との送信を要請する(ステップS901)。これは、携帯端末20が、センター40に対して車両情報及び周辺情報の送信要求信号を送信することにより行われる。
そして、携帯端末20は、センター40から車両情報と周辺情報とを取得する(ステップS902)。この場合の車両情報とは、センター40が車両10の駐車時に車両10から取得した車両位置情報及び目的地情報等である。また、周辺情報とは、センター40が外部データベースサーバ30から取得した車両10周辺の店舗・施設情報である。
そして、携帯端末20は、表示する移動経路の選択画面を表示する(ステップS903)。携帯端末20は、今回の移動経路の他に過去の移動経路の情報も記憶しており、今回の移動経路情報24hと併せて、今回の駐車場と同じ駐車場と思われる位置情報に基づいて記憶された過去の移動経路情報24hを記憶部24から読み出す。そして、携帯端末20は、今回の移動経路と過去の移動経路とを表示部25に表示する。なお、過去の移動経路の情報が記憶されていない場合には、今回記憶した移動経路のみを表示することになる。
携帯端末20は、表示された移動経路の中からユーザがいずれかの移動経路を選択したか否かを判断する(ステップS904)。選択されていない場合には(ステップS904でNo)、再度選択の有無を監視する。一方、選択された場合には(ステップS904でYes)、携帯端末20は、選択された移動経路を表示部25に表示する(ステップS905)。
ここで、移動経路の表示部25への表示について詳細に説明する。携帯端末20は、選択された移動経路をカメラ画像や地図画像に重畳させた重畳画像を表示する。このため、まず、移動経路をカメラ画像上に重畳させた重畳画像を表示する処理について説明する。移動経路をカメラ画像上に重畳表示する場合、携帯端末20は、撮影部27(カメラ)を起動してカメラ画像を取得する。そして、携帯端末20は、取得したカメラ画像の表示領域に対応する箇所に、選択された移動経路を重ねて表示する。
具体的には、表示制御部21bは、カメラ画像を取得した位置の位置情報から緯度情報及び経度情報を取得する。そして、表示制御部21bは、カメラ画像を撮影した地点の緯度及び経度とカメラ画像を撮影した方角とカメラ画像の縮尺とに基づいて、カメラ画像として写された地点に対応する各位置(各画素)の緯度及び経度を導出する。そして、表示制御部21bは、これら各位置の緯度及び経度と表示する移動経路の緯度情報及び経度情報とを対応付けることにより、カメラ画像上に移動経路を重ねた重畳画像を生成する。
この移動経路は、上述のように複数の携帯位置情報を繋ぎ合わせた軌跡として描画されたものであり、線状に表示される。また、移動経路の先端は矢印で表記されており、ユーザが経路をたどる向き(例えば、行きと帰り)に応じて矢印の方向が決まる。なお、この矢印の方向は、自動又は手動で変更することが可能である。
図10は、カメラ画像と移動経路との重畳画像を表示した画面の例である。上述のように、カメラ(撮影部27)は表示部25の反対側に設けられているため、ユーザは表示部25が手前に来るように(表示部25を視認可能なように)携帯端末20を保持することで、ユーザの視界と同様の風景のカメラ画像が表示部25に表示される。そのカメラ画像上に移動経路が重畳して表示されており、実際の風景上に位置を対応付けた経路が重ねて表示されている。これにより、ユーザはどの場所を移動してきたのかを実際の風景に照らして把握することができ、その経路に沿って移動することで自車両までたどり着くことができる。
また、携帯端末20は、車両10の位置を示す目印を重畳画像に表示することもできる。図10に示す画面の例では、車両10の位置を示す目印M1がカメラ画像中の車両10の位置に表示されている。携帯端末20は、車両位置情報とカメラ画像中の緯度及び経度の情報とを対応付けることで、目印M1を車両の位置に対応する箇所に表示することができる。このように、車両10が駐車している位置を示す目印M1を、移動経路と共に表示することで、ユーザは車両10の位置を把握することが可能になる。なお、目印M1は、車両の位置が分かるものであればどのようなものでも使用可能である。
また、携帯端末20は、ユーザが移動経路を記憶する際に登録した地点を重畳画像に表示することもできる。図10に示す画面の例では、移動経路を記憶する際にユーザが自動販売機の位置で地点登録をしている場合に、その登録した地点である旨を示す目印M2が該当する位置に表示されている。この場合も、携帯端末20は、登録地点の位置情報とカメラ画像中の緯度及び経度の情報とを対応付けることで、目印M2を登録地点に対応する箇所に表示することができる。このように、登録地点の目印M2を移動経路と共に表示することで、ユーザは登録地点の位置を把握することが可能になる。これにより、ユーザが車両に戻る際に、例えば自動販売機やトイレの位置を把握することができるため、利便性が向上する。なお、目印M2は、登録した地点であることが分かるものであればどのようなものでも使用可能である。
また、携帯端末20は、移動経路の表示画面に、車両10までの距離を表示することもできる。図10に示す画面の例では、画面上部に車両までの残りの距離が表示されている。この車両までの残りの距離は、ユーザの移動に合わせて増減する。この距離は、車両までの移動経路に沿った距離を示しており、ユーザは車両に到達するまでの実際の移動距離を知ることができる。なお、車両10までの直線距離を表示してもよい。
また、携帯端末20は、移動経路の表示画面に、目的地への到着予定時刻を表示することもできる。図10に示す画面の例では、画面下部に目的地への到着予定時刻が表示されている。これは、車両10がナビゲーション装置14にて目的地設定をしている場合に、その目的地へ到着する予定の時刻である。携帯端末20は、センター40から車両情報を取得しているが、車両10が目的地設定をしている場合には、目的地情報の他に目的地への到着予定時刻も取得する。また、携帯端末20は、ユーザが車両10から降りて他の施設等に立ち寄っている際に経過した時間も考慮して到着予定時刻を更新する。ユーザは、途中の経由地で車両から離れて施設に立ち寄っても、目的地への最新の到着予定時刻を常に確認できるので、到着予定時刻を考慮して施設での滞在時間を決めることが可能になる。
また、携帯端末20は、重畳画像に店舗・施設情報を表示することもできる。図10に示す画面の例では図示していないが、例えば、車両10から降りて施設に向かう際に、車両10の周辺にある施設の名称や、出入り口、エレベータの場所、階段の場所、案内所の場所、取扱商品、混雑度等の情報を表示することができる。この場合、携帯端末20は、画面に店舗・施設情報がある旨の目印などを表示しておき、ユーザが目印をタッチするとこれら各情報が表示されるようにしてもよい。これにより、ユーザは、施設に向かう際に目的の場所に迷うことなく移動することが可能になる。また、ユーザが車両に戻る際の重畳画像に店舗・施設情報を表示してもよい。例えば、施設情報として自動販売機やトイレの情報を表示することで、ユーザが車両に戻る際に立ち寄ることができ、利便性が向上する。なお、これらの場合の目印も、施設に関する情報であることが分かるものであればどのようなものでも使用可能である。また、この場合には、ユーザが車両10から降車した際に車両10周辺に存在する店舗・施設情報を取得する構成とすることが好ましい。
なお、店舗・施設情報を表示する際には、携帯端末20は、ユーザが過去に訪れたことのある施設と訪れたことのない施設とを区別して表示してもよい。この場合には、携帯端末20は、異なる目印を用いて表示してもよいし、色を変えて表示してもよい。また、過去の訪問履歴を表示してもよいし、訪問の有無のみを表示してもよい。
また、移動経路を表示する画面には、カメラ画像と地図とを切り替えるボタンが表示されている。ユーザが、いずれかを選択することで、カメラ画像と移動経路との重畳画像と、地図画像と移動経路との重畳画像とを切り替えることができる。
そこで、移動経路を地図画像上に重畳させた重畳画像を表示する処理について説明する。表示制御部21bは、記憶部24から地図情報24fと移動経路情報24hとを読み出して地図上に移動経路を重ねて表示することで重畳画像を作成し表示する。具体的には、表示制御部21bは、車両位置情報及び携帯位置情報に基づいて車両及び携帯端末の位置が含まれる所定範囲の地図情報24fを記憶部24から取得する。また、表示制御部21bは、ユーザが選択した移動経路の情報24hを記憶部24から取得する。
地図情報には各地点の緯度情報及び経度情報が含まれているため、表示制御部21bは、これら各地点の緯度情報及び経度情報と表示する移動経路の緯度情報及び経度情報とを対応付けることにより、地図画像上に移動経路を重ねた重畳画像を生成する。そして、表示制御部21bは、生成した重畳画像を表示部25に表示する。なお、この移動経路についても上記と同様に、複数の携帯位置情報を繋ぎ合わせた軌跡として描画された線状の図形であり、その先端には矢印が表示される。
図11は、地図画像と移動経路との重畳画像を表示した画面の例である。図11に示すように、地図画像上に移動経路が重ねて表示されている。また、図10のカメラ画像を用いた重畳画像を表示する場合と同様に、携帯端末20は、移動経路を矢印で表示し、車両10までの距離を表示し、目的地への到着予定時刻を表示している。また、携帯端末20は、車両10の位置を目印M1で表示し、登録地点を目印M2で表示している。また、携帯端末20は、図11には図示していないが、カメラ画像の場合と同様に店舗・施設情報を表示することも可能である。
なお、本実施の形態では、携帯端末20が地図情報を有している例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、携帯端末20には地図情報がなく、センター40が地図情報を有している構成としてもよい。この場合、携帯端末20がセンター40に対して、車両10及び携帯端末20の位置を含む所定範囲の地図情報の送信を要求し、センター40から受信した地図情報に基づいて重畳画像を生成し、表示すればよい。携帯端末20がセンター40に対して地図情報を要求する際には、車両位置情報と現在の携帯位置情報とを含む要求信号を送信すればよい。センター40は、各位置情報に対応する位置を含んだ所定範囲の地図情報を携帯端末20に送信することになる。
図9に戻り、携帯端末20は、車両10に接近したか否かを判断する(ステップS906)。携帯端末20は、ユーザの移動に伴って移動し、移動中も位置情報取得部22で自身の位置情報を取得している。そして、携帯端末20は、取得した携帯位置情報と車両位置情報とを比較することで車両10に接近したか否かを判断する。なお、接近したと判断する距離は、例えば10m、50m、100m等任意の距離を適宜設定すればよい。
携帯端末20は、車両10に接近していないと判断した場合には(ステップS906でNo)、引き続き移動経路を表示する処理と車両10への接近を判断する処理とを行う。一方、携帯端末20は、車両10に接近したと判断した場合には(ステップS906でYes)、センター40に対して車両10のエンジン12の始動を要請する(ステップS907)。
携帯端末20が車両10に接近した場合とはユーザが車両10に接近したことを示し、間もなくユーザが車両10に到着することを示している。このため、予め遠隔でエンジン12を始動させてエアコンを始動させることで、ユーザが車両10に到着した際には車室内の温度が適温に保たれている等の快適な使用が可能になる。なお、このエンジン12の遠隔始動処理(ステップS907)は省略してもよい。この場合、車両10への接近を判断する処理(ステップS906)も省略される。
そして、ユーザが車両10に到着し、携帯端末20の経路表示アプリ24bを終了すると(ステップS908)、移動経路の表示処理は終了する。
このように、ユーザが車両10から降りて移動した経路を予め携帯端末20に記憶させておき、例えば車両10に戻る際に表示させることにより、ユーザが移動した経路を逆にたどるだけで自車両の駐車位置に確実に戻ることが可能になる。さらに、カメラ画像や地図画像上に移動経路を重畳して表示させることで、経路の把握がより容易になる。
なお、記憶部24に記憶した移動経路情報24hは、ユーザの操作によって削除することもできる。そこで、移動経路の削除処理について説明する。図12は、移動経路の削除処理を示すフローチャートである。
移動経路の削除処理は、ユーザが経路表示アプリ24bを起動して移動経路の削除を指示することにより開始する。まず、携帯端末20は、移動経路の削除ボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS1201)。具体的には、携帯端末20は、経路表示アプリ24bが起動するとメニュー画面等に削除ボタンを表示させ、そのボタンの押下の有無を監視する。なお、この判断処理は、携帯端末20が定期的に押下の有無を監視してもよく、ボタンの押下があった際に、その旨を判断することとしてもよい。
削除ボタンの押下がない場合には(ステップS1201でNo)、処理を終了する。一方、削除ボタンの押下があった場合には(ステップS1201でYes)、携帯端末20は、移動経路の一覧を表示する(ステップS1202)。具体的には、携帯端末20は、記憶部24に記憶している移動経路情報24hを一覧にして表示する。表示する内容は、移動経路を記憶した時間や、移動経路の記憶を開始した際に車両10を駐車した施設の名称、移動経路を記憶した際に取得した周辺の画像等、移動経路を特定できる情報を一覧にしたものであればよい。
そして、ユーザが一覧の中からいずれかの移動経路を選択すると(ステップS1203)、携帯端末20は、選択された移動経路を削除する旨の確認ボタンが押下されたか否かを監視する(ステップS1204)。削除確認ボタンが押下されていない場合には(ステップS1204でNo)、移動経路の削除をせずに処理を終了する。一方、削除確認ボタンが押下された際には(ステップS1204でYes)、選択された移動経路情報24hを記憶部24から削除する(ステップS1205)。これにより、ユーザの操作によって移動経路が削除される。
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、車両のイグニッションがオフになるとセンターから携帯端末に対して移動経路記憶開始の要請が送信され、携帯端末は自動で移動経路の記憶処理を開始する構成としていたが、ユーザが手動で移動経路の記憶処理を開始させる構成としてもよい。このため、第2の実施の形態では、手動で移動経路の記憶処理を開始する構成について説明する。
<2−1.システムの概要>
第2の実施の形態に係る経路表示システムは、図1に示す経路表示システム100と同様の構成である。また、第2の実施の形態に係る車両10、携帯端末20、外部データベースサーバ30及びセンター40の構成についても第1の実施の形態と同様の構成である。第2の実施の形態では、携帯端末20にて移動経路の記憶処理を開始する際の条件が第1の実施の形態と異なる。このため、以下では、移動経路の記憶処理について第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。
<2−2.移動経路の記憶処理>
第2の実施の形態に係る移動経路の記憶処理について説明する。図13は、第2の実施の形態における移動経路の記憶処理を示すフローチャートである。
第2の実施の形態における携帯端末20による移動経路の記憶処理においても、経路表示アプリが起動した状態で開始する。携帯端末20は、経路表示アプリが起動すると移動経路記憶開始ボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS1301)。本実施の形態では、経路表示アプリが起動すると、携帯端末20は移動経路の記憶の開始を指示するためのボタンを表示部25に表示させ、ユーザがそのボタンを押下したことを条件に移動経路の記憶を開始することとしている。
移動経路記憶開始ボタンが押下されていない場合には(ステップS1301でNo)、携帯端末20は、再度押下の有無を監視する。一方、移動経路記憶開始ボタンが押下された場合には(ステップS1301でYes)、携帯端末20は、移動経路の記憶処理を開始し、携帯位置情報を取得する(ステップS1302)。これは、上述したステップS702と同様の処理である。そして、以降は上述したステップS703〜ステップS708と同様の処理を実行する(ステップS1303〜ステップS1308)。これにより、第1の実施の形態と同様に、移動経路を記憶することができる。
また、携帯端末20は、経路表示アプリを起動した地点の位置情報と、移動経路の記憶処理を開始した地点の位置情報とを取得して、各位置情報を記憶部24に記憶させておく構成としてもよい。また、移動経路を表示させる際に、これら各位置情報を識別可能に表示させる構成としてもよい。これにより、経路表示アプリを起動した地点と、移動経路の記憶処理を開始した地点とを、ユーザが把握することができる。例えば、いずれかの地点が自車両を駐車した地点である場合には、ユーザは表示内容を見ることで自車両を駐車した位置を把握することができる。つまり、携帯端末20が車両の位置情報を取得しなくても、自車位置表示と同様のサービスを提供することが可能になる。
<2−3.その他>
なお、第2の実施の形態では、ユーザは任意のタイミングで移動経路の記憶処理を開始することができる。このため、駐車場のみならず他の場所を基点として移動経路を記憶させることが可能になる。すなわち、駐車場で降車した後の移動経路を記憶することも可能であるし、駐車場以外任意の地点を基点とした移動経路を記憶することも可能になる。駐車場以外の場所での活用例としては、例えば、登山の際に出発地点を基点として移動経路を記憶しておき、下山する際に活用するといったものがある。
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記各実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
上記各実施の形態では、移動経路の記憶処理において記憶を開始してからの全移動距離が所定距離に到達した後に処理を終了する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、移動経路の記憶処理を開始してから所定時間が経過した後に処理を自動で終了する構成としてもよい。この場合、携帯端末20は、記憶処理を開始してから時間を計測し、所定の時間が経過した際に記憶処理を終了する構成となる。また、例えば、ユーザが手動で処理を終了させる構成としてもよい。この場合、ユーザが所望の地点で記憶処理を終了させることができるため、場所や用途に応じて適当な距離の移動経路を記憶させることが可能になる。
また、上記各実施の形態では、カメラ画像と地図画像とを切り替えて表示する構成について説明したが、同時に表示する構成としてもよい。この場合、例えば図14に示すように、カメラ画像と移動経路との重畳画像と地図画像と移動経路との重畳画像とを横に並べて表示する構成が挙げられる。これにより、カメラ画像と地図画像とを切り替えることなく両画像との重畳画像を確認することが可能になる。また、カメラ画像と移動経路との重畳画像のみを表示する構成としてもよいし、地図画像と移動経路との重畳画像のみを表示する構成としてもよい。
また、上記各実施の形態では、駐車場内の詳細な地図画像と移動経路との重畳画像を表示した構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、駐車場外の場所から移動経路を表示させる場合等には、広域の地図画像と移動経路との重畳画像を表示させてもよい。具体的には、図15に示すように、広域の地図画像上に現在地から駐車場までの移動経路を重ねて表示させた重畳画像を生成し、その重畳画像を表示させる。この場合、ユーザが移動して駐車場に接近したり、駐車場内に入った際には、図11に示すような駐車場内の詳細な地図画像との重畳画像に切り替える構成にすることが好ましい。
また、上記実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。