JP6260877B2 - 海洋レーダによる津波検知装置、海洋レーダによる津波検知プログラム、及び海洋レーダの性能検証方法 - Google Patents

海洋レーダによる津波検知装置、海洋レーダによる津波検知プログラム、及び海洋レーダの性能検証方法 Download PDF

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Description

本願発明は、海洋レーダが受信した反射信号に基づいて津波を検知する技術に関し、より詳しくは異なる地点で算出される移動流の流速変動の相関によって津波の有無を判定しうる津波検知装置とこれに用いるプログラム、さらには海洋レーダの性能を検証する方法に関するものである。
我が国は地震が頻発する国として知られ、近年では、東北地方太平洋沖地震をはじめ、兵庫県南部地震、新潟県中越地震など大きな地震が発生し、そのたびに甚大な被害を被っている。兵庫県南部地震や新潟県中越地震による被害が地震動による直接的なものであったのに対して、東日本大震災では津波によって計り知れない被害を受けた。極めて甚大な災害を受けたことによって、改めて津波の脅威を認識すると同時に、津波への備えに対する意識が高まっている。
津波から身を守るには、安全な場所への避難を一刻も早く開始することが極めて重要である。早期の避難開始は、より安全な場所への移動を可能とするからである。早期の避難を促すには、当然ながら津波の発生をできるだけ早く検知する必要があり、したがってこれまでも様々な手法によって津波を検知する試みがなされてきた。
例えば、GPS波浪計による津波検知が挙げられる。水深200m程度の海域にGPSを取り付けたブイを設置し、ブイの上下変動の計測から波の高さを観測することで津波の発生を判定するわけである。現在、国により東北地方の日本海沿岸および東北地方から九州地方にかけての太平洋沿岸に18基が設置されている。ただし、この手法によれば、検知する対象が特定の海域に限られ、しかも比較的高い設置・維持管理コストが掛かり、さらにはブイを繋ぐ係留索が切断する事故が発生するといった問題もある。
その他、紀伊半島熊野灘沖で設置され、東北太平洋沖で整備が進められている海底設置式のネットワーク化された圧力計による津波検知が挙げられる。海底に設置した圧力計によって計測した水圧から海面の高さを観測することで津波の発生を判定するわけである。ただしこの手法によれば、広大な海域に網羅的に圧力計を設置することから、圧力計の計測信号を伝送するためのケーブルを張り巡らせる必要があり相当なコストがかかるうえ、漁業が盛んな沿岸域(岸から数十キロ)への設置が難しいといった問題がある。
津波を検知するための海域計測としては、上記のほか海洋レーダが挙げられる。海洋レーダは陸域に設置する観測機器で、広く海面に電波を照射し、海面からの反射波を受信して解析することで海の表層の流況(流向・流速)を面的に取得することができる。すなわち海洋レーダは、GPS波浪計と比較して対象とする海域がより広範囲であり、沖合から沿岸域まで津波の伝播をシームレスに連続的に観測できる。さらには、陸域設置の観測機器のため、GPS波浪計や海底設置式の水圧計と比べ設置・維持管理コストを大幅に抑えることができる。
ところで海洋レーダは、従来、海の表層の流況を把握することを目的として利用されてきたもので、津波を検出するために積極的に利用が検討されることは多くなかった。その中でも特許文献1では、津波のような表層流速変化の速い現象を検出することを目的としている。
特開2010−175377号公報
特許文献1に開示された技術によれば、ドップラ周波数データの算出周期を十分に短縮する(例えば2分間隔)ことができることから、津波のように短時間に海の表層の流速が変化する現象を検出できる可能性が高まる。ところが特許文献1の技術は、既述した従来の海洋レーダの目的と同様に、あくまで海の表層の流況を把握するものである。津波発生時の流れには海流や潮流などの背景流が含まれるが、特許文献1ではこれらの現象を切り分けることなく、いわば合成したものとして海の表層の流況を把握する。本来であれば、得られた海の表層の流況から背景流の影響を取り除いた上で、津波か否かを判断し、あるいはその津波の速度や方向を算出することが望ましいが、特許文献1の技術ではこれを実現することはできない。
本願発明の課題は、従来が抱える問題を解決することであり、すなわち海洋レーダが直接観測する観測流から背景流を除去した流れ(以下、「移動流」という。)に基づいて、津波を検知することができる海洋レーダによる津波検知装置、海洋レーダによる津波検知プログラム、及び海洋レーダの性能検証方法を提供することである。
本願発明は、海洋レーダが直接観測する観測流から移動流を抽出するとともに、異なる地点の移動流の流速変動を比較してその相関に応じて津波検知の判断を行う、という点に着目したものであり、従来にはなかった発想に基づいてなされた発明である。
本願発明の海洋レーダによる津波検知装置は、観測流変動算出手段と、代表流速値算出手段、背景流変動算出手段、移動流変動算出手段、着目点変動抽出手段、対比点変動抽出手段、相関度算出手段、津波判定手段を備えたものである。このうち観測流変動算出手段は、海洋レーダの受信信号に基づいて観測流速値を求めるとともに、観測流速値の時刻変動を「観測流の流速変動」とする手段である。代表流速値算出手段は、所定間隔で設定された計算時刻を基準に平滑期間を定め、観測流の流速変動のうち平滑期間内にある観測流速値に基づいて求められる値を計算時刻の代表流速値とする手段である。背景流変動算出手段は、複数の代表流速値からなる代表値時刻変動と、代表値時刻変動に基づいて推定される推測時刻変動からなる流速値の時刻変動を「背景流の流速変動」とする手段である。移動流変動算出手段は、観測流の流速変動と背景流の流速変動に基づいて求められる流速値の時刻変動を「移動流の流速変動」とする手段である。着目点変動抽出手段は、着目観測点における移動流の流速変動から、あらかじめ定めた相関算出期間に相当する部分を「着目点変動」として抽出する手段である。対比点変動抽出手段は、対比観測点における移動流の流速変動から、相関算出期間に相当する部分を「対比点変動」として抽出する手段である。そして相関度算出手段は、着目点変動と対比点変動との相関の程度を求める手段であり、津波判定手段は、相関の程度があらかじめ定めた相関閾値を超えたときに津波の発生と判断する手段である。なお対比観測点は、着目観測点と同一の視線方向上にあって、着目観測点からあらかじめ定めた相関算出距離だけ離れた位置で設定される。
本願発明の海洋レーダによる津波検知装置は、観測流の流速変動から背景流の流速変動を差し引くことで、移動流の流速変動を求めるものとすることもできる。
本願発明の海洋レーダによる津波検知装置は、平滑期間の終期が観測流速値を求めた最新時刻を超える直前の計算時刻まで、代表流速値を求め代表流速値算出手段を備えたものとすることもできる。この場合の背景流変動算出手段は、代表流速値算出手段が求めた最後の計算時刻より後であって海洋レーダの最新観測時刻までの期間を対象として、推測時刻変動を求める。また背景流変動算出手段は、複数の代表流速値を用いて自己回帰モデルに基づいて推測時刻変動を算出する。
本願発明の海洋レーダによる津波検知装置は、相関の程度が連続して相関閾値を超え、且つ連続する回数があらかじめ定めた繰り返し閾値を超えたときに津波の発生と判断することもできる。この場合相関度算出手段は、所定の時間間隔で継続的に相関の程度を求める。
本願発明の海洋レーダによる津波検知装置は、津波が発生しない平常時の相関の程度に基づいて定められる相関閾値を用いることもできる。この場合相関度算出手段は、所定の時間間隔で継続的に相関の程度を求める。
本願発明の海洋レーダによる津波検知プログラムは、観測流変動算出処理と、代表流速値算出処理、背景流変動算出処理、移動流変動算出処理、着目点変動抽出処理、対比点変動抽出処理、相関度判定処理、津波判定処理をコンピュータに実行させる機能を備えたものである。このうち観測流変動算出処理は、海洋レーダの受信信号に基づいて観測流速値を求めるとともに、観測流速値の時刻変動を「観測流の流速変動」とする処理である。代表流速値算出処理は、所定間隔で設定された計算時刻を基準に平滑期間を定め、観測流の流速変動のうち平滑期間内にある観測流速値に基づいて求められる値を計算時刻の代表流速値とする処理である。背景流変動算出処理は、複数の代表流速値からなる代表値時刻変動と、代表値時刻変動に基づいて推定される推測時刻変動からなる流速値の時刻変動を「背景流の流速変動」とする処理である。移動流変動算出処理は、観測流の流速変動と背景流の流速変動に基づいて求められる流速値の時刻変動を「移動流の流速変動」とする処理である。着目点変動抽出処理は、着目観測点における移動流の流速変動から、あらかじめ定めた相関算出期間に相当する部分を「着目点変動」として抽出する処理である。対比点変動抽出処理は、対比観測点における移動流の流速変動から、相関算出期間に相当する部分を「対比点変動」として抽出する処理である。そして相関度判定処理は、着目点変動と対比点変動との相関の程度を求める処理であり、津波判定処理は、相関の程度があらかじめ定めた相関閾値を超えたときに津波の発生と判断する処理である。なお対比観測点は、着目観測点と同一の視線方向上にあって、着目観測点からあらかじめ定めた相関算出距離だけ離れた位置で設定される。
本願発明の海洋レーダの性能検証方法は、仮想津波観測流算出工程と、代表流速値算出工程、背景流変動算出工程、移動流変動算出工程、着目点変動抽出工程、対比点変動抽出工程、相関度判定工程を備えた方法である。このうち仮想津波観測流算出工程では、津波数値計算によって求められた複数地点の流速に基づいて理想津波受信信号を算出し、平常時に海洋レーダが取得した観測受信信号と理想津波受信信号とを複素積によって合成することで合成受信信号を算出し、合成受信信号に基づいて、流速値の時刻変動である仮想津波観測流を算出する。代表流速値算出工程では、所定間隔で設定された計算時刻を基準に平滑期間を定め、観測流の流速変動のうち平滑期間内にある観測流速値に基づいて求められる値を計算時刻の代表流速値とする。背景流変動算出工程では、複数の代表流速値からなる代表値時刻変動と、代表値時刻変動に基づいて推定される推測時刻変動からなる流速値の時刻変動を「背景流の流速変動」とする。移動流変動算出工程では、観測流の流速変動と背景流の流速変動に基づいて求められる流速値の時刻変動を「移動流の流速変動」とする。着目点変動抽出工程では、着目観測点における移動流の流速変動から、あらかじめ定めた相関算出期間に相当する部分を「着目点変動」として抽出する。対比点変動抽出工程では、対比観測点における移動流の流速変動から、相関算出期間に相当する部分を「対比点変動」として抽出する。相関度判定工程では、着目点変動と対比点変動との相関の程度を求める。そして、条件を変えて繰り返し仮想津波観測流算出工程を行うことで複数種類の仮想津波観測流を算出し、相関度判定工程で複数種類の仮想津波観測流から求めた着目点変動と対比点変動に対してそれぞれ相関の程度を求めることによって、海洋レーダの性能を検証する。なお対比観測点は、着目観測点と同一の視線方向上にあって、着目観測点からあらかじめ定めた相関算出距離だけ離れた位置で設定される。
本願発明の海洋レーダによる津波検知装置、海洋レーダによる津波検知プログラム、及び海洋レーダの性能検証方法には、次のような効果がある。
(1)海洋レーダが直接観測する観測流から移動流を抽出した上で、津波か否かの判定を行うことから、従来に比してより適切に津波を検知することができる。
(2)異なる地点での観測流の流速変動を照らし合わせ、その相関の程度に基づいて津波の判定を行うもので、この点からも従来に比してより適切に津波を検知することができる。
(3)2地点における観測流の流速変動の相関程度は、津波の発生直後、急激に変化することを発明者らは確認した。つまり本願発明によれば、津波の発生後速やかに津波を検知することが可能となる。
(4)実際の津波が発生する頻度は極めて小さく、したがって複数種類の津波の実測データを得ることは相当の年月を要する。一方、本願発明の海洋レーダの性能検証方法では、津波数値計算を利用して求められる仮想津波観測流を利用することから、比較的容易に複数種類の津波の模擬データを得ることができ、その結果、精度よく海洋レーダの性能を検証することができる。
海面に向けて電波を照射している海洋レーダを示す平面図。 海面に向けて照射された電波が後方散乱し、これを受信信号として海洋レーダが受け取る状況を示す横断図。 受信信号のドップラペクトルを示すグラフ図。 観測流の流速変動と背景流の流速変動を示すグラフ図。 代表値時刻変動に基づく推定流速値の推定手法を説明するためのモデル図。 (a)は津波が生じたときの移動流の流速変動を示すグラフ図、(b)は平常時の移動流の流速変動を示すグラフ図。 着目観測点と対比観測点の設定位置を説明するモデル図。 (a)は現在時刻t1における着目点変動(対比点変動)を示すグラフ図、(b)はt1からさらに進んだ現在時刻t2における着目点変動(対比点変動)を示すグラフ図。 (a)は津波が発生したときの着目点変動と対比点変動を重ねて示した示すグラフ図、(b)は平常時の着目点変動と対比点変動を重ねて示すグラフ図。 平常時から津波発生後における、相関の程度の変化を示すグラフ図。 本願発明の海洋レーダによる津波検知プログラムに基づいて行われる処理のうち、観測流速値の算出から移動流変動の算出までの処理の流れを示すフロー図。 本願発明の海洋レーダによる津波検知プログラムに基づいて行われる処理のうち、着目点の設定から相関度の判定までの処理の流れを示すフロー図。 本願発明の海洋レーダの性能検証方法の主な工程の流れを示すフロー図。 本願発明の海洋レーダの性能検証方法で得られた移動流の流速変動と、津波数値計算によって算出された津波の流速を、重ねて表示したグラフ図。
本願発明の海洋レーダによる津波検知装置、海洋レーダによる津波検知プログラム、及び海洋レーダの性能検証方法の実施形態の一例を、図に基づいて説明する。
1.海洋レーダ
本願発明が海洋レーダを用いた津波検知に関するものであることから、まずは海洋レーダとその観測原理について簡単に説明する。図1は、海面に向けて電波を照射している海洋レーダORを示す平面図である。この図に示すように海洋レーダORは陸域に設置され、電波を海面に向けて放射状に照射する。例えば図1では、第1ビームB01から第12ビームB12まで計12のビーム上で流速が観測される。なお海洋レーダORでは、3〜30MHzの短波帯や30〜300MHzの超短波帯の電波が多用される。
図2に示すように海面に向けて照射された電波は、波に当たるとあらゆる方向に散乱し、このうち後方散乱(照射方向と反対の方向に散乱)したものが海洋レーダORで受信される。なお、海面に向けて照射された電波は、その半波長の表面波によって強く散乱されることが知られている(Bragg共鳴散乱)。したがって、海洋レーダORで照射する電波の波長が例えば12m(送信周波数24.515MHz)のときは、波長が6mの表面波から強く散乱される。海洋レーダORが受信した受信信号を、電波が反射した位置(海洋レーダORからの距離)ごとに整理し、さらに周波数ごとに整理して、周波数と信号強度の関係として表したものが図3に示すドップラスペクトルである。
海に全く流れがないとした場合、表面波に後方散乱して得られた受信信号によるドップラスペクトルが図3に示す破線であり、特定の周波数(+△f1,−△f1)で際立った受信信号を示している。このピークは一次散乱と呼ばれるもので、海面の表面波には風向きにより海洋レーダORに向かう表面波と遠ざかる表面波があることから、正負それぞれで一次散乱が生じている。ところで海には、実際は海流や潮流などの流れ(以下、「背景流」という。)が生じており、さらに津波のように背景流とは異なる流れ(以下、「移動流」という。)が生じることもある。この背景流と移動流を合成した流れ(以下、「観測流」という。)があるため、実際には図3に示す実線のようなドップラスペクトルが得られる。
実線のドップラスペクトルを見ると、その一次散乱が流れがない場合の破線のドップラスペクトルの一次散乱よりも正方向にシフトしていることが分かる。実線のドップラスペクトルが観測流を含み、破線のドップラスペクトルが観測流を含まないことを考えれば、一次散乱のシフトが観測流の影響であることが理解できる。そして一次散乱のシフト量(△f2)が得られると、次式によって観測流の流速値Vc(以下、「観測流速値Vc」という。)を求めることができる。ただし、式中のCrは海洋レーダORの電波の伝播速度、fは海洋レーダORの電波の周波数である。
Figure 0006260877
2.海洋レーダによる津波検知装置
次に、本願発明の海洋レーダによる津波検知装置に関し、構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
(観測流変動算出手段)
図4は、観測流の流速変動と背景流の流速変動を示すグラフ図であり、このうち上部に示す波形が「観測流の流速変動」である。観測流変動算出手段はこの観測流の流速変動を生成するものであり、具体的には、海洋レーダORが受信した受信信号をもとに、既述した原理によって時刻ごとの観測流速値Vcを求め、これを時間の順でつなぐことで観測流の流速変動を生成する。
(背景流変動算出手段)
背景流変動算出手段は、観測流の流速変動に基づいて、図4の下部に示す「背景流の流速変動」を生成するものである。以下、背景流の流速変動を算出する手法について詳しく説明する。既述のとおり観測流は、背景流と移動流を合成したものであるから、観測流から移動流を剥ぎ取れば背景流を抽出することができる。換言すれば、観測流の流速変動から移動流の影響を取り除けば、背景流の流速変動を抽出することができる。ところで本願発明では移動流のうち津波に着目しており、そして津波は背景流に比して周期が短いことが知られている。つまり、津波の周期より長い期間で観測流の流速変動を平滑処理(スムージング)すれば、津波(移動流)の影響を取り除くことができる。
具体的には代表流速値算出手段が、図4に示すように津波の周期と同程度またはそれよりも長い期間を「平滑期間」として定め、この平滑期間内にある観測流速値Vcに対して統計処理を行って、その平滑期間における「代表流速値」を求める。このときの統計処理としては、単純に算術平均してもよいし、異常値を除いた上での平均値や、平滑期間の中央(あるいは始期や終期)に重みをつけた加重平均値、そのほか中央値などを採用してもよい。また代表流速値は、あらかじめ所定間隔で設定された「計算時刻」ごとに求められ、したがって平滑期間もこの計算時刻ごとに設定される。つまり計算時刻が進むたびに、平滑期間も移動していくわけである。この平滑期間の始期や(終期)は計算時刻を基準に設定され、例えば計算時刻を平滑期間の始期としたり、計算時刻を平滑期間の終期としたり、図4に示すように計算時刻を平滑期間の中央としてもよい。
既述のとおり観測流速値Vcは、海洋レーダORが受信した受信信号によるドップラスペクトルから求められる値であり、いわば実測値といえる。ところが、図4では計算時刻を平滑期間の中央とした結果、一定の期間で代表流速値を算出するための観測流速値Vcが不足する。例えば、最新の観測流速値Vcを求めた時点(図4のグラフ右端で、以下、「最新算出時刻」という。)で考えると、平滑期間のうち前半1/2期間では観測流速値Vcが得られているものの、後半1/2期間では観測流速値Vcがいまだ得られていない。このように代表流速値を算出するための観測流速値Vcが不足する事態は、平滑期間の終期が最新算出時刻を超えた計算時刻から生じる。換言すれば、平滑期間の終期が最新算出時刻を超える直前の計算時刻まで、実測値に基づく代表流速値を算出することができる。
計算時刻ごとに求めた代表流速値を時間の順でつないだ流速変動(以下、「代表値時刻変動」という。)が、背景流の流速変動を構成する。ただし図4に示すように、最新算出時刻まで背景流の流速変動を求めようとすると、代表値時刻変動だけでは不足する。そこで、その不足分を補うべく推測値時刻変動を求める。つまり、代表値時刻変動と推測値時刻変動によって背景流の流速変動を完成させるわけである。この推測値時刻変動は、代表流速値に相当する流速値(以下、「推定流速値」という。)を推定し、この推定流速値を時間の順でつなぐことで生成される。なお推定流速値は、平滑期間の終期が最新算出時刻を超えた後、最新算出時刻までの計算時刻ごとに求められる。
推定流速値は、それまでの代表値時刻変動(代表流速値)に基づいて推定される。図5は、代表値時刻変動に基づく推定流速値の推定手法を説明するためのモデル図である。この図に示すように、あらかじめ定めた期間(推定元期間)内にある代表流速値によって第1の推定流速値を推定し、次に推定元期間内にある代表流速値と第1の推定流速値によって第2の推定流速値を推定する。このように最新算出時刻まで推定流速値を順次推定していき、推測値時刻変動を求める。
推定流速値を推定する手法としては、過去の流速値(代表流速値や推定流速値)から得られる回帰曲線に基づいて推定するなど、従来から用いられている種々の手法を採用することができる。また、次式で示す自己回帰モデル(ARモデル:Auto−regressive model)に基づいて推定することもできる。
Figure 0006260877
x(s):時刻s時点での推定流速値
e(s):代表流速値と推定流速値の誤差
a(s):時刻m時点でのAR係数
(移動流変動算出手段)
移動流変動算出手段は、観測流の流速変動から背景流の影響を取り除いて「移動流の流速変動」を抽出するものである。具体的には、観測流速値Vcと代表流速値(あるいは推定流速値)に基づいて、計算時刻ごとに移動流の流速値(以下、「移動流速値」という。)を求め、これを時間の順でつなぐことで移動流の流速変動を生成する。このとき、単に観測流速値Vcと代表流速値(あるいは推定流速値)の差を移動流速値とすることもできるし、一方(あるいは双方)に係数を乗じた上で差を求めたものを移動流速値とすることもできる。
図6は、移動流の流速変動を示すグラフ図であり、(a)は津波が生じたときのもの、(b)は津波が生じていない平常時のものである。この図が示すように、津波が生じたときは大きな流速の変化があることから比較的明瞭に移動流の流速変動を把握することができるが、一方の平常時は流速の変化が乏しく移動流の流速変動を把握し難いことがわかる。
(着目点変動抽出手段と対比点変動抽出手段)
ここまでで得られた移動流の流速変動に基づいて津波の発生を判断するわけであるが、本願発明は1地点のみの移動流の流速変動で判断するのではなく、2地点の移動流の流速変動を対比することによって判断することが一つの特徴となっている。ここでは便宜上、対比する一方の地点を「着目観測点」と、他方を「対比観測点」ということとする。なお着目観測点と対比観測点は、図7に示すように海洋レーダORからのビーム(図では第5ビームB05)上、すなわち同一の視線方向上で設定され、さらに対比観測点は、着目観測点からあらかじめ定めた相関算出距離(図では△L)だけ離れた位置で設定される。
着目点変動抽出手段は、着目観測点における移動流の流速変動に基づいて「着目点変動」を抽出するものであり、対比点変動抽出手段は、対比観測点における移動流の流速変動に基づいて「対比点変動」を抽出するものである。図8は、着目点変動と対比点変動を示すグラフ図であり、(a)は現在時刻t1におけるもの、(b)はt1からさらに進んだ現在時刻t2におけるものである。この図に示すように着目点変動(対比点変動)は、移動流の流速変動のうち現在時刻からあらかじめ定めた期間(以下、「相関算出期間」という。)だけ遡った部分(図の実線部分)を切り出したものである。なお相関算出期間は、確かな相関が把握できる程度の長さであって、しかも早期に津波を判定することができる程度の長さとするのがよく、例えば数十分から数時間(あるいは1時間程度)とすることができる。
着目観測点の設定は、特定の視線方向(ビーム)のうち特定の地点を設定し、すなわち1観測点のみで着目点変動と対比点変動を算出してもよいし、複数(あるいはすべて)の視線方向(ビーム)でそれぞれ複数の地点を設定し、すなわち複数の観測点で着目点変動と対比点変動を算出してもよい。なお、同一の視線方向(ビーム)で複数の着目観測点を設定する場合は、海洋レーダORの距離分解能(例えば24.515MHzの海洋レーダであれば1.5km)に依存することとなる。
(相関度算出手段)
相関度算出手段は、着目点変動抽出手段で得られた着目点変動と、対比点変動抽出手段で得られた対比点変動とを照らし合わせ、両者の相関の程度(以下、「相関度」という。)を求めるものである。ここでいう相関度とは、着目点変動と対比点変動について相関分析を行った結果得られる値のことであり、例えば相関係数やコヒーレンスを挙げることができる。なお、着目点変動と対比点変動の組み合わせが複数求められたときは、その分だけ相関度は算出される。
(津波判定手段)
津波判定手段は、相関度算出手段によって得られた相関度(例えば相関係数)に基づいて津波の発生を判断するものである。既述のとおり、津波が発生したときは明瞭に移動流の流速変動の振れ幅が大きくなるが、平常時では振れ幅の変化は小さい。そこで本願発明者らは、異なる2地点で移動流の流速変動を対比すると、平常時に比べ津波発生時の方が、より相関度が高いと考えた。図9は、実線で示す着目点変動と、破線で示す対比点変動を重ねて示した示すグラフ図であり、(a)は津波が生じたときのもの、(b)は津波が生じていない平常時のものである。この図からも分かるように、また本願発明者らが想定したとおり、平常時に比べ津波発生時の方が相関度は高い(相関係数が大きい)。したがって、あらかじめ相関度の閾値(以下、「相関閾値」という。)を設定しておけば、この相関閾値と相関度を照らし合わせることで津波発生の有無を判断することができる。具体的には、相関度が相関閾値を超えたときにその移動流が津波によるものと判断し、相関度が相関閾値を下回るときはその移動流は津波とは異なると判断するわけである。なお、図10にも示すように相関度は、所定の時間間隔(例えば計算時刻)で継続して算出されることとするとよい。
図10は、平常時から津波発生後における、相関度の変化を示すグラフ図である。この図に示すように、津波発生(00:00)後の比較的早いタイミング(5〜10分)で相関度は急激に上昇する。したがって、一度でも相関度が相関閾値を超えたとき、津波の発生と判断することもできる。あるいは、平常時でも稀に相関度が相関閾値を超えることも考えられるので、誤判断を避けるべく、相関度が連続して相関閾値を超え、しかもその連続する回数があらかじめ定めた回数(繰り返し閾値)を超えたときにはじめて津波の発生と判断することもできる。さらに、あらかじめ記憶された複数の平常時における相関度に基づいて、津波発生判断を行うこともできる。具体的には、求められた相関度が、平常時の相関度のうち上位(割合や順位)に該当するとき、もしくは平常時の相関度の最高値より高い場合に、津波発生判断を行う。
3.海洋レーダによる津波検知プログラム
次に、本願発明の海洋レーダによる津波検知プログラム(以下、便宜上単に「津波検知プログラム」という。)ついて詳しく説明する。なお津波検知プログラムは、ここまで説明した内容をコンピュータに実行させるものであり、したがって「2.海洋レーダによる津波検知装置」と重複する内容の説明はここでは避け、津波検知プログラムに特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は「2.海洋レーダによる津波検知装置」で記載したものと同様である。
図11と図12は、津波検知プログラムに基づく主な処理の流れを示すフロー図であり、図11は観測流速値の算出から移動流変動の算出までの処理を示し、図12は着目点の設定から相関度の判定までの処理を示す。以下、これらの図にしたがって説明する。
はじめに、海洋レーダORが受信した受信信号を読み出すとともに、この受信信号を用いて観測流速値Vcを算出し(Step101)、さらに観測流速値Vcに基づいて観測流の流速変動を算出する(Step102)。次に、観測流の流速変動を用いて計算時刻ごとに代表流速値を算出し(Step103)、この代表流速値に基づいて背景流の流速変動を算出する(Step104)。観測流の流速変動と背景流の流速変動が得られると、これらを用いて移動流の流速変動を算出する(Step105)。なお、ここまでの一連の処理は、相関度を判定しようとする着目観測点と対比観測点すべてに対して繰り返し行われる。
移動流の流速変動が算出できると、図12に示すように着目観測点を設定する(Step201)。例えば、ビーム番号が若い順であって、海洋レーダORから近い順に着目観測点を順に設定することができる。着目観測点が設定されると、その地点における移動流の流速変動を読み出すとともに、事前に記憶された相関算出期間を読み出して、着目点変動を抽出する(Step202)。次に、着目観測点と読み出した相関算出距離に基づいて対比観測点を設定し(Step203)、この対比観測点における移動流の流速変動と相関算出期間を読み出して、対比点変動を抽出する(Step204)。抽出された着目点変動と対比点変動を照らし合わせて相関度を算出し(Step205)、読み出された相関閾値(あるいは繰り返し閾値)を比較することで津波発生の有無の判定結果を出力する(Step206)。ここまでの処理が終わると、次の着目観測点を設定し(Step207)、すべての着目観測点で一連の処理が完了するまで着目点変動の抽出(Step202)〜津波発生の判定(Step206)が繰り返し行われる。
4.海洋レーダの性能検証方法
次に、本願発明の海洋レーダの性能検証方法ついて詳しく説明する。なお本願発明の海洋レーダの性能検証方法は、ここまで説明した内容に基づいて行う方法であり、したがって「2.海洋レーダによる津波検知装置」や「3.海洋レーダによる津波検知プログラム」と重複する内容の説明はここでは避け、海洋レーダの性能検証方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は「2.海洋レーダによる津波検知装置」や「3.海洋レーダによる津波検知プログラム」で記載したものと同様である。
本願発明の海洋レーダの性能検証方法は、津波が発生した際の相関度を算出し、その相関度によって対象となる海洋レーダORの性能を検証する方法である。海洋レーダORの性能を検証するにあたっては、1種類の津波のみを用いて検証するよりも、複数種類の津波を用いて検証するほうがその信頼度は向上する。しかしながら津波の発生頻度が極めて低いことを考えると、実際に生じた津波のみに限って複数種類のデータを収集することは現実的でない。そこで本願発明では、津波数値計算(シミュレーション)に基づく「仮想津波観測流」を利用することとした。
図13は、本願発明の海洋レーダの性能検証方法の主な工程の流れを示すフロー図である。以下、この図にしたがって説明する。はじめに津波数値計算を行うための諸条件を設定し(Step301)、この諸条件に基づいて津波数値計算を行う(Step302)。この数値計算の結果、位置ごと時刻ごとの津波(移動流)の流速が求められる。次に、算出された津波の流速に基づいて、その津波の流速に相当する海洋レーダORの受信信号を算出する(Step303)。つまり、この受信信号を海洋レーダORが受信し、さらにこの受信信号に基づいて流速を算出したとすれば、その流速はStep302で得られた流速となるわけである。なおStep303で算出された受信信号は、津波数値計算の結果によるものであることから、ここでは便宜上、「理想津波受信信号」ということとする。
次に、評価対象となる海洋レーダORが実際に受信した平常時の受信信号(以下、「実測受信信号」という。)と、Step303で得た理想津波受信信号と合成し、これを「合成受信信号」として算出する(Step304)。理想津波受信信号は津波のみの影響で得られる信号であるが、実際には海洋レーダORは背景流の影響も含めて信号を受信することから、海洋レーダORが現実に受信する受信信号として合成受信信号を求めるわけである。
合成受信信号を作成するに当たっては、まず実測受信信号に対して1回目の高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を行い、距離ごとの実測受信信号に変換する。そして、距離ごとの実測受信信号と理想津波受信信号を合成する。このとき、一般的に受信信号は複素数で表されることから、複素積によって合成するとよい。
Step304で合成受信信号が得られると、この合成受信信号に対して2回目の高速フーリエ変換を行い、合成受信信号のドップラスペクトルを算出し、さらにこのドップラスペクトルに基づいて仮想津波の観測流速値、及び仮想津波の観測流の流速変動(以下、「仮想津波観測流変動」という。)を算出する(Step305)。なお、図6、図8、図9、図10は、ここまで説明したStep301〜Step305の工程によって得られた仮想津波観測流変動に基づいて求められた波形である。
次に、仮想津波観測流変動を用いて計算時刻ごとに代表流速値を算出し(Step306)、この代表流速値に基づいて背景流の流速変動を算出する(Step307)。そして仮想津波観測流変動と背景流の流速変動が得られると、これらを用いて移動流の流速変動を算出する(Step308)。なお、ここまでの一連の処理は、相関度を判定しようとする着目観測点と対比観測点すべてに対して繰り返し行われる。ところで、ここまでの工程で得られた移動流の流速変動は、津波数値計算によって算出された津波の流速変動と概ね等しいはずである。そこで、図14に示すように両者を重ねたところ、概ね一致することが検証された。
移動流の流速変動が算出できると、着目観測点を設定して着目点変動を抽出し(Step309)、さらに対比観測点を設定して対比点変動を抽出する(Step310)。そして抽出された着目点変動と対比点変動を照らし合わせて、相関度を算出する(Step311)。
ここまでの一連の工程を終えると、津波数値計算を行うための諸条件を変更して再設定し、再び津波数値計算(Step302)〜相関度の算出(Step311)の一連の工程を行う。所望の種類の津波数値計算による相関度が算定されると、換言すれば所望の種類の仮想津波による相関度が算出されると、その相関度によって当該海洋レーダORの性能を評価する(Step313)。すなわち、津波数値計算で条件を変えて複数想定した津波に対して、それぞれ当該海洋レーダORの津波観測性能を評価することができるわけである。
本願発明の海洋レーダによる津波検知装置、海洋レーダによる津波検知プログラム、及び海洋レーダの性能検証方法は、津波が発生しうるあらゆる沿岸部で活用することができる。災害発生時に、早期の避難を促し、その結果数多くの人々の安全が確保できることを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献が期待できる発明といえる。
B 海洋レーダの視線方向(ビーム)
OR 海洋レーダ

Claims (7)

  1. 海洋レーダの受信信号に基づいて観測流速値を求めるとともに、該観測流速値の時刻変動を「観測流の流速変動」とする観測流変動算出手段と、
    所定間隔で設定された計算時刻を基準に平滑期間を定め、前記観測流の流速変動のうち該平滑期間内にある前記観測流速値に基づいて求められる値を、当該計算時刻の代表流速値とする代表流速値算出手段と、
    複数の前記代表流速値からなる代表値時刻変動と、該代表値時刻変動に基づいて推定される推測値時刻変動と、からなる流速値の時刻変動を「背景流の流速変動」とする背景流変動算出手段と、
    前記観測流の流速変動と、前記背景流の流速変動と、に基づいて求められる流速値の時刻変動を「移動流の流速変動」とする移動流変動算出手段と、
    着目観測点における前記移動流の流速変動から、あらかじめ定めた相関算出期間に相当する部分を「着目点変動」として抽出する着目点変動抽出手段と、
    前記着目観測点を基に設定された対比観測点における前記移動流の流速変動から、前記相関算出期間に相当する部分を「対比点変動」として抽出する対比点変動抽出手段と、
    前記着目点変動と前記対比点変動との相関の程度を求める相関度算出手段と、
    前記相関の程度が、あらかじめ定めた相関閾値を超えたときに津波の発生と判断する津波判定手段と、を備え、
    相関算出距離があらかじめ定められ、前記対比観測点は、前記着目観測点と同一の視線方向上にあって、該着目観測点から相関算出距離だけ離れた位置で設定される、ことを特徴とする海洋レーダによる津波検知装置。
  2. 前記移動流変動算出手段は、前記観測流の流速変動から、前記背景流の流速変動を差し引いて、前記移動流の流速変動を求める、ことを特徴とする請求項1記載の海洋レーダによる津波検知装置。
  3. 前記代表流速値算出手段は、観測流速値を求めた最新時刻を、前記平滑期間の終期が超える直前の前記計算時刻まで前記代表流速値を求め、
    前記背景流変動算出手段は、前記代表流速値算出手段が求めた最後の前記計算時刻より後であって、前記海洋レーダの最新観測時刻までの期間を対象として、前記推測値時刻変動を求め、
    さらに前記背景流変動算出手段は、複数の前記代表流速値を用いて自己回帰モデルに基づいて前記推測値時刻変動を算出する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の海洋レーダによる津波検知装置。
  4. 前記相関度算出手段は、所定の時間間隔で継続的に前記相関の程度を求め、
    前記津波判定手段は、前記相関の程度が連続して前記相関閾値を超え、且つ当該連続する回数があらかじめ定めた繰り返し閾値を超えたときに津波の発生と判断する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の海洋レーダによる津波検知装置。
  5. 前記相関度算出手段は、所定の時間間隔で継続的に前記相関の程度を求め、
    前記相関閾値は、津波が発生しない平常時の前記相関の程度に基づいて定められる、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の海洋レーダによる津波検知装置。
  6. 海洋レーダの受信信号に基づいて観測流速値を求めるとともに、該観測流速値の時刻変動を「観測流の流速変動」として算出する観測流変動算出処理と、
    所定間隔で設定された計算時刻を基準に平滑期間を定め、前記観測流の流速変動のうち該平滑期間内にある前記観測流速値に基づいて求められる値を、当該計算時刻の代表流速値とする代表流速値算出処理と、
    複数の前記代表流速値からなる代表値時刻変動と、該代表値時刻変動に基づいて推測される推測値時刻変動と、からなる流速値の時刻変動を「背景流の流速変動」として算出する背景流変動算出処理と、
    前記観測流の流速変動と、前記背景流の流速変動と、に基づいて求められる流速値の時刻変動を「移動流の流速変動」として算出する移動流変動算出処理と、
    着目観測点における前記移動流の流速変動から、あらかじめ定めた相関算出期間に相当する部分を「着目点変動」として抽出する着目点変動抽出処理と、
    前記着目観測点と相関算出距離に基づいて対比観測点を設定するとともに、該対比観測点における前記移動流の流速変動から、前記相関算出期間に相当する部分を「対比点変動」として抽出する対比点変動抽出処理と、
    前記着目点変動と前記対比点変動との相関の程度を求める相関度判定処理と、
    前記相関の程度が、あらかじめ定めた相関閾値を超えたときに津波の発生と判断する津波判定処理と、をコンピュータに実行させる機能を備え、
    前記相関算出距離はあらかじめ定められ、前記対比観測点は、前記着目観測点と同一の視線方向上にあって、該着目観測点から相関算出距離だけ離れた位置で設定される、ことを特徴とする海洋レーダによる津波検知プログラム。
  7. 津波数値計算によって求められた複数地点の流速に基づいて理想津波受信信号を算出し、平常時に海洋レーダが取得した観測受信信号と該理想津波受信信号とを複素積によって合成することで合成受信信号を算出し、該合成受信信号に基づいて流速値の時刻変動である仮想津波観測流を算出する仮想津波観測流算出工程と、
    所定間隔で設定された計算時刻を基準に平滑期間を定め、前記仮想津波観測流のうち該平滑期間内にある前記流速値に基づいて求められる値を、当該計算時刻の代表流速値とする代表流速値算出工程と、
    複数の前記代表流速値からなる代表値時刻変動と、該代表値時刻変動に基づいて推測される推測値時刻変動と、からなる流速値の時刻変動を「背景流の流速変動」として算出する背景流変動算出工程と、
    前記仮想津波観測流と、前記背景流の流速変動と、に基づいて求められる流速値の時刻変動を「移動流の流速変動」として算出する移動流変動算出工程と、
    着目観測点における前記移動流の流速変動から、あらかじめ定めた相関算出期間に相当する部分を「着目点変動」として抽出する着目点変動抽出工程と、
    前記着目観測点と相関算出距離に基づいて対比観測点を設定するとともに、該対比観測点における前記移動流の流速変動から、前記相関算出期間に相当する部分を「対比点変動」として抽出する対比点変動抽出工程と、
    前記着目点変動と前記対比点変動との相関の程度を求める相関度判定工程と、を備え、
    前記相関算出距離はあらかじめ定められ、前記対比観測点は、前記着目観測点と同一の視線方向上にあって、該着目観測点から相関算出距離だけ離れた位置で設定され、
    条件を変えて繰り返し前記仮想津波観測流算出工程を行うことで複数種類の前記仮想津波観測流を算出し、前記相関度判定工程で複数種類の仮想津波観測流に対してそれぞれ前記相関の程度を求めることによって前記海洋レーダの性能を検証する、ことを特徴とする海洋レーダの性能検証方法。
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