JP6260679B2 - 加飾シート及びその製造方法、並びに加飾成形品 - Google Patents

加飾シート及びその製造方法、並びに加飾成形品 Download PDF

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Description

本発明は特定のプライマー組成物を用いて形成されてなるプライマー層を有する加飾シート及びその製造方法、並びに加飾成形品に関する。
成形品の表面に加飾シートを積層することで加飾した加飾樹脂成形品が、車両内装部品などの各種用途で使用されている。このような加飾樹脂成形品の成形方法としては、加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形しておき、該成形シートを射出成形型に挿入し、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートを一体化するインサート成形法(例えば、特許文献1参照)と射出成形の際に金型内に挿入された加飾シートを、キャビティ内に射出注入された溶融樹脂と一体化させ、樹脂成形体表面に加飾を施す射出成形同時加飾法(例えば、特許文献2、特許文献3参照)とがある。
上記の加飾樹脂成形品は表面の耐傷付き性を向上させる目的で表面保護層が設けられる。しかしながら、上述の加飾樹脂成形品の成形方法において、インサート成形法では加飾シートを真空成形型により予め三次元(立体)形状に成形する過程、射出成形同時加飾法では加飾シートが予備成形時にあるいは溶融樹脂の射出時に、キャビティの内周面に沿うように延伸されて密着する過程で、加飾シートが真空圧空作用により、あるいは溶融樹脂の圧力、剪断応力による引っ張りなどによって、金型形状に沿うために最低必要な量以上に伸ばされるため、成形品の曲面部の表面保護層にクラックが入るという問題があった。
特開2004−322501号公報 特公昭50−19132号公報 特公昭61−17255号公報
従来、上記課題を解決するために、表面保護層として電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を使用し、その硬さを調整(例えば、架橋密度の設計変更)することにより耐傷性と成形性の両方を向上させる試みがなされたが、従来の加飾シートの表面保護層では表面に付着した薬品等が表面保護層を透過して、その下に形成された他の層を膨潤するなどの問題については未だ改良の余地があった。
本発明は、このような状況下で、耐薬品性に優れた加飾シート及びその製造方法、並びに加飾成形品を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、加飾シートのプライマー層を、特定の成分を含有するプライマー組成物を用いて形成することにより、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1]基材上に少なくとも着色層、プライマー層及び表面保護層をこの順で有する加飾シートであって、該表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、かつ、該プライマー層が、ポリオール及びイソシアネートをポリオールの水酸基に対する、イソシアネートのイソシアネート基の当量比が0.5〜2.0となる配合比で含有するプライマー組成物の硬化物であり、さらに、該ポリオールのガラス転移温度Tgが55℃以上であり、その標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1,000〜100,000であり、該ポリオールが、アクリル系ポリオール及びポリカーボネート系ポリオールから選択される1種以上であることを特徴とする加飾シート、
[2]前記イソシアネートが、非黄変型の多価イソシアネートである[1]に記載の加飾シート、
[3]前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、少なくとも、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを含有し、該ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとの質量比が98:2〜70:30である[1]又は[2]に記載の加飾シート、
[4]前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、少なくとも、アクリルシリコーン(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを含有し、該アクリルシリコーン(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとの質量比が50:50〜95:5である[1]又は[2]に記載の加飾シート、
[5]前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、少なくとも、ポリエステル(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを含有し、該ポリエステル(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとの質量比が98:2〜30:70である[1]又は[2]に記載の加飾シート、
[6]基材上に着色層を形成する工程と、該着色層上にプライマー層を形成する工程と、該プライマー層上に電離放射線硬化性樹脂組成物を積層する工程と、該電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化して表面保護層を形成する工程とを含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の加飾シートの製造方法、及び
[7]樹脂成形体、着色層、プライマー層、及び表面保護層をこの順に有する加飾成形品であって、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、また、該プライマー層が、ポリオール及びイソシアネートをポリオールの水酸基に対する、イソシアネートのイソシアネート基の当量比が0.5〜2.0となる配合比で含有するプライマー組成物の硬化物であり、さらに、該ポリオールのガラス転移温度Tgが55℃以上であり、かつ、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1,000〜100,000であり、該ポリオールが、アクリル系ポリオール及びポリカーボネート系ポリオールから選択される1種以上であることを特徴とする加飾成形品、
を提供するものである。
本発明の加飾シートは、表面保護層を電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物とするため耐傷性に優れ、特定のプライマー組成物をプライマー層に用いることにより、成形性を損なうことなく耐薬品性に優れているため、インサート成形法及び射出成形同時加飾法のいずれにも好適に用いることができる。
本発明の加飾シートの一態様の断面を示す模式図である。
本発明の加飾シートは、基材上に少なくともプライマー層及び表面保護層を有する加飾シートであって、該表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、かつ、該プライマー層が、ポリオール及びイソシアネートを含有するプライマー組成物の硬化物であり、さらに、該ポリオールのガラス転移温度Tgが55℃以上であり、その標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1,000〜100,000であることを特徴とする。
まず、本発明の加飾シートの構成について図1を用いて詳細に説明する。
図1はインサート成形に用いる場合の本発明の加飾シート10の一態様の断面を示す模式図である。図1に示す例では、基材11上に着色層12、プライマー層13及び表面保護層14が順次積層されている。ここで、表面保護層14は上述の電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化して形成されるものである。
[プライマー層]
本発明の加飾シート10は、表面保護層14の延伸部に微細な割れや白化を生じにくくして三次元成形性を付与するため、また、加飾シート10の耐薬品性を付与するため、基材11と表面保護層14との間にプライマー層13を有する。プライマー層13を構成するプライマー組成物としては、少なくともポリオール及びイソシアネートを含有するものが用いられる。
(ポリオール)
ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、ポリマーポリオールが好ましく用いられる。
硬化前のポリオールは、ガラス転移温度Tgが55℃以上であることを要す。上記ガラス転移温度Tgの上限に特に制限はないが、通常140℃程度であり、好ましいTgは60〜110℃の範囲である。ポリオールのTgが55℃未満であると、プライマー層13が軟質になって粘着性をもつため、本発明の加飾シートをロール・トゥ・ロールで生産する場合には、着色層12上にプライマー層13を印刷した後に、ガイドロールと接した際に傷がつきやすく、また、排紙部で巻き取った際にブロッキングが生じる懸念がある。また、例えば夏場の車内などの高温環境下においては、プライマー層13が半溶融状態となり、特に三次元成形における高延伸部において、着色層12と表面保護層14とにズレが生じる虞がある。一方、ポリオールのTgが140℃以下であると、加飾シートの製造工程にかかる熱(プライマー層13積層後の乾燥工程、着色層12積層時の乾燥工程)によってプライマー層13の樹脂が十分に軟化するため、表面保護層14及び着色層12との密着性が向上する。
また、上記硬化前のポリオールは、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1,000〜100,000であることを要し、5,000〜80,000であることが好ましく、20,000〜50,000であることがより好ましい。ポリオールの分子量が1,000未満であると、これを用いて得られるプライマー層13の耐溶剤性が悪化し、着色層12を形成した際にプライマー層13が溶解する等の不具合が起こりやすく、100,000超であるとインキ化した際に粘性が高くなり、またゲル化しやすくなるため、作業性が悪化する。
前記ポリオールとしては、アクリル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、及びポリカーボネート系ポリオールから選択される1種以上を用いることが好ましい。上記ポリオールのうち、ポリカーボネート系ポリオールは耐候性に優れ、また、ポリエステル系ポリオールは密着性に優れるが、アクリル系ポリオールは、成形性、密着性等の物性のバランスに優れており、特に耐熱試験後の密着性が良好である。
ポリオールは公知の技術で製造することができるが、以下、代表的なアクリル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオールの製造方法について述べる。
アクリル系ポリオールの製造方法としては、例えば、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーと、これに共重合可能な他のモノマーを共重合させることによって得ることができる。例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル等の活性水素を有するアクリル酸エステル類、またはメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の活性水素を有するメタクリル酸エステル類、またはグリセリンやトリメチロールプロパンなどのトリオールのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステル等の多価活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルポリオール類と上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類とのモノエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートと酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸などの一塩基酸との付加物、あるいは上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類の活性水素にε−カプロラクタム、γ−バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合させることにより得られる付加物の群から選ばれた単独または混合物を必須成分として、必要に応じてアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、またはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド類、またはビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するビニルモノマー類、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマーの群から選ばれた単独、又は混合物を、常法により共重合させて得ることができる。例えば、上記の単量体成分を、公知の過酸化物やアゾ化合物などのラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合することによって得ることができる。
ポリエステル系ポリオールの製造方法としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の二塩基酸の単独または混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等の多価アルコールの単独または混合物とを公知の縮合反応を行うことによって得ることができる。例えば、上記の成分を一緒にし、そして約160〜220℃で加熱することによって行うことができる。更に、例えばε−カプロラクトンなどのラクトン類を多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等もポリエステル系ポリオールとして用いることができる。
ポリエーテル系ポリオールの製造方法としては、多価アルコール、多価フェノール、ポリアミン、アルカノールアミンなど、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、エチレンジアミンなどのジアミンの単独または混合物に、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、アルコラート、アルキルアミンなどの強塩基性触媒、金属ポルフィリン、複合金属シアン化合物錯体、金属と3座配位以上のキレート化剤との錯体、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体などの複合金属錯体を使用して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独または混合物を付加して得られる。
(イソシアネート)
前記イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートであればよく、キシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが用いられ、プライマー層13の黄変を抑止する観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート等の非黄変性のものを用いることが好ましい。
また、必要に応じて、イソシアネート基を適当なブロック剤により保護して不活性化し、加熱によりイソシアネート基が再生するブロックイソシアネートを使用してもよい。ブロック剤としては、例えばフェノール、アルコール、マロン酸ジメチル、アセト酢酸エチル等の活性メチレン、オキシム等、公知のブロック剤を用いてよい。
ブロックイソシアネートを使用することにより、加飾フィルムの状態ではプライマー層により高い成形性(延伸しても亀裂が入らない)を付与することができ、所望形状に成形した後に成形品を加熱処理し、イソシアネート基を再生、ポリオールと反応、硬化することにより、保護層、着色層と良好な密着性を発現できる。
上記ポリオールとイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対する、イソシアネートのイソシアネート基の当量比が0.5〜2.0となる配合比で使用することが好ましく、0.8〜1.2となる配合比で使用することがより好ましい。
上記プライマー層13の形成に用いられるプライマー組成物は、さらに、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル・ウレタン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどの樹脂成分を含有していてもよいが、ウレタン樹脂を含有するとアクリルポリオールとの相溶性、可撓性、耐熱性等に優れるため好ましい。
ウレタン樹脂としては、非架橋型のもの、すなわち、3次元架橋して網目状の立体的分子構造を持ったものではなく、線状の分子構造を持った熱可塑性樹脂となったものを選択することが好ましい。このような非架橋型のウレタン樹脂としては、ポリオール成分として、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオールを主剤とし、上記イソシアネートと反応させてなる非架橋型ウレタン樹脂を使用でき、成形性、耐熱性、耐候性、表面保護層14との密着性等の観点から、ポリエステルポリオールと、ヘキサメチレンジイソシアネート等の非黄変性イソシアネートとの組合せより合成されるものが特に好ましい。通常ポリオール1分子中の水酸基数及びイソシアネート1分子中のイソシアネート基はそれぞれ平均2である。
ウレタン樹脂としては、ガラス転移点が100℃以下のものが好ましく、40〜100℃のものがより好ましい。ウレタン樹脂のガラス転移点が100℃以下であると、プライマー層の常温における柔軟性が優れ、40℃以上であると、加飾シート10を三次元成形に供する際に、加熱により凝集力が著しく低下したり、プライマー層が溶解することがない。
プライマー組成物におけるポリオールとウレタン樹脂との比率は、質量比で99:1〜50:50であると好ましく、90:10〜60:40であるとより好ましい。
(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂としては、例えばアクリル/ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂が好ましい。硬化剤としては、上記の各種イソシアネートが用いられる。アクリル/ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂は所望により、アクリル/ウレタン比(質量比)を好ましくは(9/1)〜(1/9)、より好ましくは(8/2)〜(2/8)の範囲で調整し、種々の加飾シートに用いることができるので、プライマー組成物に用いられる樹脂として特に好ましい。
また、プライマー層13の厚さは0.5〜5.0μm程度であることが好ましい。0.5μm以上であると、プライマー層が完全な膜として形成されていない部分が生じないため、表面保護層の割れ、破断、白化等を防ぐ効果を十分に発揮させることも可能となる。一方、プライマー層の厚さが5.0μm以下であれば、プライマー層13を塗工した際、溶剤が層内に残留しないため、塗膜の乾燥、硬化が安定であるので成形性が変動することが無く、また、ブロッキングを抑止できるため好ましい。以上の点からプライマー層13の厚さは0.5〜3.0μmであることがより好ましい。
尚、プライマー層13を形成する硬化物は、ガラス転移温度Tgが80℃以上であることが好ましい。これは、三次元成形に供された本発明の三次元成形加飾フィルムは、特に高延伸部において各層に内部応力(収縮しようとする力)が残留しており、上記硬化物のTgが低いと、プライマー層13が軟化してしまい、着色層12と表面保護層14にズレが生じる虞がある。従って、上記硬化物のTgが80℃以上であると、上述のズレが生じにくくなる。
[表面保護層]
本発明の加飾シート10において、電離放射線硬化性樹脂組成物に用いられる電離放射線硬化性樹脂は、電磁波又は荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂を指す。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性オリゴマーや重合性モノマーの中から適宜選択して用いることができる。
重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えば、アクリル(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系、ポリカーボネート(メタ)アクリレート系、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート系のオリゴマーなどが好ましく挙げられる。これらのオリゴマーのうち、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、官能基数としては、2〜16が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜6がさらに好ましい。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテルなどの分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。これらの重合性オリゴマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート単量体が好適であり、なかでも分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有するような多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いて用いればよい。官能基数としては、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、3〜4がさらに好ましい。
本発明においては、前記多官能(メタ)アクリレートとともに、その粘度を調整するなどの目的で、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における電離放射線硬化性樹脂組成物としては、上記各種電離放射線硬化性樹脂のうち、少なくとも、ポリカーボネート(メタ)アクリレート又はアクリルシリコーン(メタ)アクリレートと、多官能(メタ)アクリレート(オリゴマー又はモノマー)とを含有するものを用いると、優れた耐薬品性及び耐傷付き性と良好な三次元成形性とを同時に満足するので、表面保護層にクラック等が入ることがなく、三次元成形し易く、かつ耐薬品性の高い加飾シートを得ることができる点で好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物として、ポリカーボネート(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートを含有するものを用いる場合、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとの質量比は好ましくは98:2〜70:30であり、さらに好ましくは95:5〜80:20である。ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートの質量比が98:2より大きくなると(即ち、ポリカーボネート(メタ)アクリレートの量が98質量%を超えると)、耐傷付き性が低下する。一方、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートの質量比が70:30より小さくなると(即ち、ポリカーボネート(メタ)アクリレートの量が70質量%未満となると)、三次元成形性が低下してしまう。好ましくは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートの質量比が95:5〜80:20である。
本発明に用いられるポリカーボネート(メタ)アクリレートは、特に限定されず、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、且つ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを有するものであれば良い。このポリカーボネート(メタ)アクリレートは、架橋、硬化する観点から、2官能以上有することが好ましく、2〜5官能有することがより好ましい。2官能以上であると、架橋密度が十分となるため、硬化後の表面保護層14に傷がつきにくくなり、また、5官能以下であると、架橋密度が高すぎないため、加飾シートを三次元成形に供した場合であっても、形状に十分に追従することができる。
ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が、500以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましく、2,000以上であることがさらに好ましく、5,000以上であることが特に好ましい。ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量の上限は特に制限されないが、粘度が高くなり過ぎないように制御する観点から100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、20,000以下がさらに好ましく、10,000以下が特に好ましい。耐傷付き性と三次元成形性とを両立させる観点から、1,000〜20,000が好ましく、2,000〜10,000がより好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物として、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートを含有するものを用いる場合、アクリルシリコーン(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとの質量比は好ましくは50:50〜95:5であり、さらに好ましくは80:20〜95:5である。
本発明に用いられるアクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、特に限定されず、1分子中に、アクリル樹脂の構造の一部がシロキサン結合(Si−O)に置換しており、かつ官能基としてアクリル樹脂の側鎖及び/又は主鎖末端に(メタ)アクリロイルオキシ基(アクリロイルオキシ基又はメタアクリロイルオキシ基)を2個以上有しているものであれば良い。
アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が、1,000以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましい。アクリルシリコーン(メタ)アクリレートの重量平均分子量の上限は特に制限されないが、粘度が高くなり過ぎないように制御する観点から150,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましい。三次元成形性と耐薬品性と耐傷付き性とを鼎立させる観点から、2,000〜100,000であることが特に好ましい。
多官能(メタ)アクリレートは、オリゴマー及びモノマーのいずれでも良いが、三次元成形性向上の観点から多官能(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。本発明に用いられる多官能(メタ)アクリレートオリゴマーは、2官能以上の(メタ)アクリレートであれば良く、特に制限はない。ただし、硬化性の観点から3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。ここで、2官能とは、分子内にエチレン性不飽和結合{(メタ)アクリロイル基}を2個有することをいう。
多官能(メタ)アクリレートオリゴマーは、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が、500以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましく、2,000以上であることがさらに好ましく、5,000以上が特に好ましい。多官能(メタ)アクリレートの重量平均分子量の上限は特に制限されないが、粘度が高くなり過ぎないように制御する観点から100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、20,000以下が特に好ましい。耐傷付き性と三次元成形性とを両立させる観点から、さらに好ましくは、2,000〜50,000であり、特に好ましくは、5,000〜20,000である。
上記の多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えばウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。ここで、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、他の多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
また、初期密着性、耐薬品性の両立の観点から電離放射線硬化性樹脂組成物として、ポリエステル(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートモノマーを含有したものを用いてもよい。ポリエステル(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートモノマーとの質量比は好ましくは98:2〜20:80であり、さらに好ましくは70:30〜30:70である。ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートモノマーの質量比が98:2より大きくなると(即ち、ポリエステル(メタ)アクリレートの量が98質量%を超えると)、耐薬品性が低下する。一方、ポリエステル(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートモノマーの質量比が30:70より小さくなると(即ち、ポリエステル(メタ)アクリレートの量が30質量%未満となると)、三次元成形性が低下してしまう。
ポリエステル(メタ)アクリレートは、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が、8,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましい。ポリエステル(メタ)アクリレートの重量平均分子量の上限は特に制限されないが、粘度が高くなり過ぎないように制御する観点から100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましい。三次元成形性と耐薬品性と耐薬品性とを鼎立させる観点から、10,000〜30,000であることが特に好ましい。
本発明に用いられる多官能(メタ)アクリレートモノマーの分子量は、加飾成形品に優れた耐汚染性及び成形性を付与する観点からは、175〜1,000であることが好ましく、200〜800がより好ましく、250〜600がさらに好ましく、250〜400が特に好ましい。
また、多官能(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は、加飾成形品に優れた耐汚染性及び成形性を付与する観点からは、官能基数が3以上であることが好ましく、3〜8がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられる。なかでも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートがより好ましい。
本発明においては、上記の多官能(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインエーテル類;アセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノンなどのアセトフェノン類;ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モンフォリノプロパノン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリオフェニル)−ブタノン−1などのα−アミノアルキルフェノン類;ベンジルジメチルケタール、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソンなどのイオウ化合物などが好ましく挙げられる。
光増感剤として、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることもできる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂として電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、かつ、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
上記電離放射線硬化性樹脂組成物中には、本発明の効果を奏する範囲で他の樹脂を含有させることができる。例えば、本発明の製造方法により得られる加飾シート10に柔軟性を付与したい場合には、熱可塑性樹脂を添加することができる。
熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール(ブチラール樹脂)、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン,α−メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン等のアセタール樹脂、エチレン−4フッ化エチレン共重合体等のフッ素樹脂、ポリイミド、ポリ乳酸、ポリビニルアセタール樹脂、液晶性ポリエステル樹脂等が挙げられ、これらは1種単独でも又は2種以上を組み合わせて用いても良い。2種以上組み合わせる場合は、これらの樹脂を構成するモノマーの共重合体でも良いし、それぞれの樹脂を混合して用いても良い。
上記熱可塑性樹脂のうち、本発明では(メタ)アクリル系樹脂を主成分とするものが好ましく、なかでもモノマー成分として少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを含有する単量体を重合してなるものが好ましい。
より具体的には、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、重量平均分子量が9万〜12万の範囲が用いられる。重量平均分子量がこの範囲であると、架橋硬化して表面保護層を形成した後の成形性及び表面の耐摩耗性、耐擦傷性のいずれも高いレベルで得ることができる。
なお、ここで重量平均分子量とは、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算のものである。ここで用いる溶媒としては通常用いられるものを適宜選択して行うことができ、例えば、テトラヒドロフラン(THF)又はN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)等が挙げられる。
また、前記熱可塑性樹脂の多分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.1〜3.0の範囲であることが好ましい。多分散度がこの範囲内であると、やはり架橋硬化して表面保護層を形成した後の成形性及び表面の耐摩耗性、耐擦傷性のいずれも高いレベルで得ることができる。以上の点から、該(メタ)アクリル系樹脂の多分散度は、さらに1.5〜2.5の範囲であることが好ましい。
このようにして形成された表面保護層14には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇機能、防汚機能、防眩機能、反射防止機能、紫外線遮蔽機能、赤外線遮蔽機能等を付与することもできる。
添加剤としては、例えば耐候性改善剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤、耐摩耗性向上剤等が挙げられる。
本発明においては、表面保護層14の硬化後の厚さが1〜20μmであることが好ましい。表面保護層14の硬化後の厚さが1μm以上であると透明感、光沢感等、優れた意匠性が得られ、更に耐汚染性、耐擦傷性、耐候性等の保護層としての十分な物性が得られる。一方、20μm以下であると、塗膜の厚みの制御が容易となり、また、成形の際に保護層の割れ、白化等がなく、所望の形状に追従することができるため3次元成形後も良好な意匠性を有することができ、さらに、層内に溶剤が残留して硬化不良を来たすことがない。この観点から、表面保護層14の硬化後の厚さは2〜20μmの範囲が好ましく、3〜10μmの範囲がさらに好ましい。
[基材]
基材11としては、真空成形適性を考慮して選定され、代表的には熱可塑性樹脂からなる樹脂シートが使用される。該熱可塑性樹脂としては、一般的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」という)、アクリル樹脂、ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂などが使用される。また、基材11は、これら樹脂の単層シート、あるいは同種又は異種樹脂による複層シートとして使用することができる。
基材の厚さは、用途に応じて選定されるが、通常、0.05〜1.0mm程度であり、コスト等を考慮すると0.1〜0.7mm程度が一般的である。
これらの基材はその上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また該基材は色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていても良い。
[着色層]
本発明の加飾シートは、図1に示すように、加飾樹脂成形品に装飾性を与える着色層12を設けてもよく、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成することができる。
着色層は、絵柄層及び/又は着色ベタ層として形成されるものであり、絵柄層に形成される模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)などの岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様などがあり、これらを複合した寄木、パッチワークなどの模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷などによっても形成される。
また着色ベタ層としては、基材上に均一一様な着色層として形成され、基材11の表面の全面に意図した色彩を与えるものである。通常不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、下地が持っている模様を活かすこともできる。基材11の色を活かす場合や、基材11自体が適切に着色されている場合には着色層の形成を省略してもよい。
着色層12に用いる絵柄インキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが用いられる。
本発明の加飾シート10は、所望により、基材11と着色層12との間に隠蔽層(図示しない。)を設けても良い。これは、基材11表面の色の変化、ばらつきにより、加飾シート10の柄の色に影響を及ぼさないようにする目的で設けられ、通常不透明色で形成することが多く、その厚さは1〜20μm程度の、いわゆるベタ印刷層が好適に用いられる。
本発明の加飾シート10は射出樹脂との密着性を向上させるため、所望により、加飾シート10の裏面(表面保護層14とは反対側の面)に接着剤層(図示しない。)を設けることができる。接着剤層には、射出樹脂に応じて、熱可塑性樹脂又は硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられ、これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。また、熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
[加飾シートの製造方法]
本発明の加飾シートは、例えば、基材11上にプライマー層13を形成する工程と、該プライマー層13表面に電離放射線硬化性樹脂組成物を積層する工程と、該電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化して表面保護層14を形成する工程とを含む製造方法により製造される。
着色層12を形成する場合には、基材11上に着色層12を形成し、さらに着色層12上にプライマー層13と表面保護層14とを順次積層することができる。
以下、各工程について具体的に説明する。
着色層12はグラビア印刷などの通常の印刷方法により形成される。隠蔽層はグラビア印刷などの通常の印刷方法やグラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコートなどの通常の塗工方法により形成される。
また、着色層12は、形成した後に鏡面板を用いた熱プレス処理や、鏡面ロールを用いたロールプレス処理を施すことにより、凹凸を平滑化することができ、その上に形成されるプライマー層13や、表面保護層14の表面をも平滑化することができる。表面保護層14の表面を平滑化することにより、加飾シート表面の平滑性及び艶と三次元成形後の加飾樹脂成形品の平滑性及び艶とが著しく異なることにより、加飾シートの意匠感と加飾樹脂成形品の意匠感とが大きく相違する問題が抑止される。
両面が平滑化された加飾シート10をロール状に巻き取った場合、加飾シート10の間に微細な粉塵等が挟まれてしまい、また、加飾シート10の表面と裏面とが互いに密着してしまい、表面保護層14の表面に擦り傷やシワがつく場合があるが、この問題は、上記熱プレス処理やロールプレス処理を行う際に、基材11の裏面側(着色層12やプライマー層13が形成されていない側)に梨地板や梨地ロールを用いたり、あるいは、基材11の裏面側にバインダー樹脂及び微小粒子を含有する樹脂層を設けたりして粗面化することで抑止することができる。
プライマー層13は、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコートなどの通常の塗工方法や転写コーティング法により形成される。転写コーティング法は、一旦、剥離フィルムにプライマー層13の塗膜を形成し、しかる後に加飾シート10中の対象となる層表面に被覆する方法である。
転写コーティング法においては、上記剥離フィルムとして表面が平滑なものを選択することで、表面が平滑なプライマー層13を形成することができる。
表面保護層14の形成は上述の電離放射線硬化性樹脂組成物を含有する塗工液を調製し、これを塗布し、架橋硬化することで得ることができる。なお、塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であれば良く、特に制限はない。
調製された塗工液は、プライマー層13の表面に、硬化後の厚さが1〜1000μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工され、未硬化樹脂層が形成される。
このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線などの電離放射線を照射することで該未硬化樹脂層を硬化させることができる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材11として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材11への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
また、表面保護層14と着色層12の密着性を付与するために、加飾フィルム作製後にプライマー層13を十分硬化させることが好ましい。硬化の条件としては、常温下で1週間程度保管すればよい。
[加飾シートの用途]
本発明の加飾シートは、インサート成形法、射出成形同時加飾法、ブロー成形法、ガスインジェクション成形法などの各種射出成形法に用いることができ、インサート成形法及び射出成形同時加飾法に好適に用いられる。
インサート成形法では、真空成形工程において、本発明の加飾シートを真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、次いで必要に応じて余分な部分をトリミングして成形シートを得る。この成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートを一体化させ、加飾樹脂成形品を製造する。
射出樹脂は用途に応じた樹脂が使用され、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂が代表的である。また、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂なども用途に応じ用いることができる。
次に、射出成形同時加飾法においては、本発明の加飾シートを射出成形の吸引孔が設けられた真空成形型との兼用雌型に配置し、この雌型で予備成形(インライン予備成形)を行った後、射出成形型を型締めして、流動状態の樹脂を型内に射出充填し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートを一体化させ、加飾樹脂成形品を製造する。
なお、射出成形同時加飾法では、射出樹脂による熱圧を加飾シートが受けるため、平板に近く、加飾シートの絞りが小さい場合には、加飾シートは予熱してもしなくても良い。
なお、ここで用いる射出樹脂としてはインサート成形法で説明したものと同様のものを用いることができる。
以上のようにして製造された加飾樹脂成形体は、その表面保護層に成形過程でクラックが入ることがなく三次元成形性が良好であり、その表面は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を使用しているため高い耐傷付き性を有する。また、表面保護層とプライマー層の相乗効果により耐薬品性が高い。さらに本発明の製造方法では、加飾シートの製造段階で表面保護層が完全硬化されるので、加飾樹脂成形体を製造した後に表面保護層を架橋硬化する工程が不要である。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
<測定方法>
(1)分子量の測定
東ソー(株)製高速GPC装置を用いた。用いたカラムは東ソー(株)製、商品名「TSKgel αM」であり、溶媒はN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を用い、カラム温度40℃、流速0.5cc/minで測定を行なった。尚、本発明における重量平均分子量はポリスチレン換算を行った。
(2)ガラス転移温度Tg
示差熱量分析(DSC)法により、ピークショルダーになる温度をガラス転移温度Tgとした。
<評価方法>
(1)プライマー印刷適性
後述するようにしてプライマー層をグラビアコートにて積層した後に、40℃で1分間乾燥させた後、目視にて印刷面状態を確認した。
○:透明性、平滑性に優れた印刷面であった
×:印刷面の白濁、スジ、ベタツキ、カスレ等が確認され、印刷面の透明性、平滑性が不十分であった。
(2)乾燥性
後述するようにしてプライマー層を形成した後に、常温で1分間放置した後にプライマー面の乾燥性(タック)を指触にて確認した。
○:粘性がなく乾燥していた。
×:粘性が残り、ベタツキを感じた。
(3)三次元成形性(形状追従性)
後述するようにして得た加飾成形品について、成形後の外観を目視にて評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:表面保護層に塗膜割れや白化が全く見られず、良好に型の形状に追従した。
○:表面保護層に塗膜割れや白化がほとんど見られず、良好に型の形状に追従した。
△:100%程度にまで延伸した部分においてのみ軽微な塗膜割れや白化が見られ、他の部分は良好に型の形状に追従した。
×:型の形状に追従できずに表面保護層に塗膜割れや白化が見られた。
(4)着色層と表面保護層との初期密着性
加飾シートについて、着色層と表面保護層との初期密着性を、下記の方法により求めた。
(初期密着性)
製造直後の上記加飾シートについて、着色層と表面保護層との密着性を碁盤目密着試験(2mm間隔で縦11本、横11本の切り込みを入れ100マスの碁盤目を形成した後、ニチバン製セロテープ(登録商標)を碁盤目上に圧着し、急激剥離)により、下記評価基準で評価した。
◎:保護層、着色層ともに全く剥離せず、良好に密着していた
○:保護層、着色層ともにほとんど剥離せず、良好に密着していた
×:保護層、または着色層が剥離した
(5)耐薬品性
各実施例及び比較例で得た加飾シートの表面に、5枚重ねにしたガーゼを置き、エタノールを0.5ml滴下し、時計皿で被覆した。室温(25℃)下で30分間放置した後、時計皿及びガーゼを除去し、加飾シート表面の状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。
◎:表面に痕跡が全く確認できなかった。
○:表面に痕跡がほとんど確認できなかった。
×:表面に白化、膨潤、剥離等の異常が確認された。
(6)耐熱試験後の密着性試験
下記の方法で得られたインサート成形による加飾樹脂成形品を100℃のオーブンに100時間投入した後、室温まで冷却し、上記初期密着性と同じ方法にて試験を行い、以下の基準で評価した。
◎:保護層、着色層ともに全く剥離せず、良好に密着していた
○:保護層、着色層ともにほとんど剥離せず、良好に密着していた
×:保護層、または着色層が剥離した
実施例1〜9及び比較例1〜3
基材としてABS樹脂からなるシート(厚さ:400μm)を用い、該シートの表面に、アクリルウレタン共重合樹脂インキを用いグラビア印刷により木目柄の着色層を形成した。次いで、着色層の表面に第1表に記載のポリマーポリオールと該ポリマーポリオールの水酸基1モル当たりイソシアネート基が1モルとなる1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを含む樹脂組成物をグラビアコートを用いて塗布し、プライマー層を形成した。プライマー層の厚さは1μmであった。
次に、プライマー層の表面に、第1表に示す組成の電子線硬化性樹脂組成物を樹脂組成物の硬化後の厚さが6μmとなるようにグラビアリバースにより塗工した。
この未硬化樹脂層に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて加飾シートを得た。
該加飾シートについて上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
さらに、得られた加飾シートを、シートの温度が170℃になるまで赤外線ヒーターで加熱し、軟化させた後、真空成形(最大延伸倍率100%)した。型より加飾シートを離型し、不要部分を、ダイカット型を油圧により押し当ててトリミングした。このトリミングした加飾シートを用いて、射出成形型に挿入した後、型締めして、型内にABS樹脂を射出して、成形品表面に加飾シートが積層一体化し、インサート成形による加飾成形品を得た。
Figure 0006260679
[注]
電子線硬化性樹脂A:2官能のポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量:10,000)
電子線硬化性樹脂B:アクリルシリコーンアクリレート(重量平均分子量20,000、架橋点間平均分子量100)
電子線硬化性樹脂C:6官能のウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:6,000)
電子線硬化性樹脂D:2官能のウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:5,000)
電子線硬化性樹脂E:2官能ポリエステルアクリレート(重量平均分子量:10,000)
電子線硬化性樹脂F:2官能ポリエステルアクリレート(重量平均分子量:30,000)
電子線硬化性樹脂G:2官能アクリルアクリレートモノマー(重量平均分子量:300)
電子線硬化性樹脂H:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(重量平均分子量:352)
本発明の加飾シートは各種加飾樹脂成形品に用いられ、例えば、自動車などの車両の内装材又は外装材、幅木、回縁等の造作部材、窓枠、扉枠等の建具、壁、床、天井等の建築物の内装材、テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体、容器などの用途の加飾樹脂成形品に好適に用いられる。
10.加飾シート
11.基材
12.着色層
13.プライマー層
14.表面保護層

Claims (7)

  1. 基材上に少なくとも着色層、プライマー層及び表面保護層をこの順で有する加飾シートであって、該表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、かつ、該プライマー層が、ポリオール及びイソシアネートをポリオールの水酸基に対する、イソシアネートのイソシアネート基の当量比が0.5〜2.0となる配合比で含有するプライマー組成物の硬化物であり、さらに、該ポリオールのガラス転移温度Tgが55℃以上であり、その標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1,000〜100,000であり、該ポリオールが、アクリル系ポリオール及びポリカーボネート系ポリオールから選択される1種以上であることを特徴とする加飾シート。
  2. 前記イソシアネートが、非黄変型の多価イソシアネートである請求項1に記載の加飾シート。
  3. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、少なくとも、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを含有し、該ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとの質量比が98:2〜70:30である請求項1又は2に記載の加飾シート。
  4. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、少なくとも、アクリルシリコーン(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを含有し、該アクリルシリコーン(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとの質量比が50:50〜95:5である請求項1又は2に記載の加飾シート。
  5. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、少なくとも、ポリエステル(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを含有し、該ポリエステル(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとの質量比が98:2〜30:70である請求項1又は2に記載の加飾シート。
  6. 基材上に着色層を形成する工程と、該着色層上にプライマー層を形成する工程と、該プライマー層上に電離放射線硬化性樹脂組成物を積層する工程と、該電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化して表面保護層を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の加飾シートの製造方法。
  7. 樹脂成形体、着色層、プライマー層、及び表面保護層をこの順に有する加飾成形品であって、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、また、該プライマー層が、ポリオール及びイソシアネートをポリオールの水酸基に対する、イソシアネートのイソシアネート基の当量比が0.5〜2.0となる配合比で含有するプライマー組成物の硬化物であり、さらに、該ポリオールのガラス転移温度Tgが55℃以上であり、かつ、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1,000〜100,000であり、該ポリオールが、アクリル系ポリオール及びポリカーボネート系ポリオールから選択される1種以上であることを特徴とする加飾成形品。
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