以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
[プラグコネクタ]
プラグコネクタ1は、各種の配線が形成された配線基板CB1(図12及び図13参照)上に実装される同軸コネクタである。プラグコネクタ1は、図1〜図5に示されるように、絶縁性の絶縁ハウジング100と、2つの導電性のグランドコンタクト導体200と、導電性の信号コンタクト導体300とを備える。
プラグコネクタ1は、配線基板CB2(図13参照)に実装されたリセプタクルコネクタ2(同図参照)と嵌合及び抜去可能に構成されている。配線基板CB1,CB2としては、例えば、リジッド基板、フレキシブルプリント基板、リジッドフレキシブル基板等のプリント基板が挙げられる。本明細書では、プラグコネクタ1及びリセプタクルコネクタ2がそれぞれ配線基板CB1,CB2に実装される側を「下」とし、その反対側を「上」とする。
[絶縁ハウジング]
絶縁ハウジング100は、樹脂等の絶縁性材料を、例えば射出成形することによって形成される。絶縁ハウジング100は、2つのグランドコンタクト導体200と信号コンタクト導体300とを絶縁するように構成されている。絶縁ハウジング100は、図1〜図7(特に図6及び図7)に示されるように、ベース部102と、筒部104と、壁部106A〜106Fとを有する。
ベース部102は、筒部104と、壁部106A〜106Fとを互いに一体的に連結している。ベース部102は、上下方向に略直交する方向に拡がる略矩形状の板状体である。ベース部102は、一対の主面102a,102bを有している。主面102a(第1の主面)は下方を向いており、プラグコネクタ1が配線基板CB1に実装されたときに配線基板CB1と向かい合う側の面である。主面102b(第2の主面)は、配線基板CB1と反対を向く側の面(配線基板CB1と向かい合わない側の面)であり、上方を向いている。ベース部102には、上下方向に延びる貫通孔102cが設けられている。
ベース部102の側縁には、貫通孔102cを間において一対の切り欠き部108A,108Bが設けられている。切り欠き部108A,108Bは、貫通孔102c側に向けて窪んでいる。本明細書では、図6に示すように、主面102b面上において貫通孔102cに対して切り欠き部108A側を「右」とし、貫通孔102cに対して切り欠き部108B側を「左」とする。すなわち、切り欠き部108A、貫通孔102c及び切り欠き部108Bは、右側から左側に向けてこの順に一列に並んでいる。
ベース部102の主面102bには、図2、図4及び図7に示されるように、収容溝110A〜110C,110E,110Fが設けられている。収容溝110Aは、貫通孔102cからベース部102の側縁にかけて、上下方向及び左右方向の双方に直交する方向(前後方向)に沿って直線状に延びている。本明細書では、貫通孔102cに対して収容溝110Aが延びる側を「前」とし、その反対側を「後」とする。収容溝110Aは、信号コンタクト導体300の端子片302(後述する)を収容するための空間として機能する。収容溝110Aの両側壁には、一対の突起112が設けられている。一対の突起112は、左右方向において、互いに対向している。
収容溝110B,110C,110E,110Fはそれぞれ、ベース部102の四隅に配置されている。収容溝110B,110C,110E,110Fはそれぞれ、グランドコンタクト導体200A,200Bの端子部208A,210A,208B,210B(後述する)のうち対応する端子片を収容するための空間として機能する。
収容溝110B,110Cは、収容溝110Aを間に置くように位置している。そのため、収容溝110B,110A,110Cは、ベース部102の側縁の右側から左側に向けてこの順に一列に並んでいる。収容溝110E,110Fは、ベース部102の側縁のうち収容溝110B,110Cとは反対側の周縁に配置されている。収容溝110E,110Fは、左右方向において互いに対向している。収容溝110B、切り欠き部108A及び収容溝110Eは、ベース部102の側縁の前側から後側に向けてこの順に一列に並んでいる。収容溝110C、切り欠き部108B及び収容溝110Fは、ベース部102の側縁の前側から後側に向けてこの順に一列に並んでいる。
筒部104は、ベース部102の主面102b側においてベース部102から立設されている。すなわち、筒部104は、主面102bから上方に向けて突出している。筒部104は、上下方向(図1に記載の軸Ax方向)に延びる筒状体である。すなわち、筒部104には、軸Axに沿って延びる貫通孔104aが設けられている。筒部104の貫通孔104aは、ベース部102の貫通孔102cと連通している。貫通孔102c,104aは、信号コンタクト導体300の接続片304(後述する)を内部に収容可能な収容孔114を構成している。
図2、図5及び図7に示されるように、絶縁ハウジング100には、ベース部102から筒部104にかけて、嵌合溝116が形成されている。嵌合溝116は、軸Ax方向に沿って延びている。嵌合溝116の開口は、ベース部102の主面102aにおいて開放されている。嵌合溝116は、前後方向において、収容孔114と隣り合うように並んでいる。嵌合溝116には、信号コンタクト導体300の屈曲片306(後述する)が挿通される。嵌合溝116の大きさは屈曲片306よりも小さく設定されており、屈曲片306が嵌合溝116内に圧入されることで、嵌合溝116と屈曲片306とが嵌合され、信号コンタクト導体300が絶縁ハウジング100に取り付けられる。
壁部106A〜106Fは、ベース部102の主面102b側においてベース部102から立設されている。すなわち、壁部106A〜106Fは、主面102bから上方に向けて突出している。壁部106A〜106Fはいずれも、軸Ax方向から見て筒部104を中心としてその周囲に配置され、筒部104とは離間した状態で筒部104を取り囲んでいる。壁部106A〜106Fと筒部104との間の空間Vは、グランドコンタクト導体200A,200Bの本体部202A,202B(後述する)を収容するための空間として機能する。空間Vは、軸Ax方向から見て円環状を呈している。
壁部106A〜106C,106E,106Fはそれぞれ、収容溝110A〜110C,110E,110Fの上方に位置している。壁部106Dは、壁部106E,106Fの間に位置している。壁部106B,106A,106Cは、右側から左側に向けてこの順に一列に並んでいる。隣り合う壁部106B,106Aの間には、間隙G1が設けられている。隣り合う壁部106A,106Cの間には、間隙G2が設けられている。壁部106E,106D,106Fは、右側から左側に向けてこの順に一列に並んでいる。隣り合う壁部106E,106Dの間には、間隙G3が設けられている。隣り合う壁部106D,106Fの間には、間隙G4が設けられている。壁部106B、切り欠き部108A、壁部106Eは、前側から後側に向けてこの順に一列に並んでいる。壁部106C、切り欠き部108B、壁部106Fは、前側から後側に向けてこの順に一列に並んでいる。
壁部106B,106Cのうち前側の側面にはそれぞれ、被係止部118A,118Bが設けられている。壁部106E,106Fのうち後側の側面にはそれぞれ、被係止部118C,118Dが設けられている。被係止部118A〜118Dは、グランドコンタクト導体200A,200Bの係止部214A,216A,214B,216B(後述する)が係止可能に構成されている。本実施形態では、被係止部118A〜118Dは凹溝である。当該凹溝は、前後方向において窪んでおり、壁部106B,106C,106E,106Fの上面からベース部102に至るまで上下方向に直線状に延びている。ベース部は、当該凹溝の下端に位置する壁部をなしている。すなわち、当該凹溝の上端は外方に解放されており、当該凹溝の下端はベース部102によって閉塞されている。
[グランドコンタクト導体]
2つのグランドコンタクト導体200は、導電性及び弾性を有する金属板を打ち抜き加工及び曲げ加工することによって形成される。当該金属板の表面には、例えば、ニッケル、銀、金等の金属めっきが施されていてもよい。2つのグランドコンタクト導体200は、図1及び図3に示されるように、空間V内に位置するように絶縁ハウジング100に取り付けられている。2つのグランドコンタクト導体200は略同一形状であるが、以下では便宜的に、筒部104に対して右側に位置するグランドコンタクト導体200を「グランドコンタクト導体200A」と呼び、筒部104に対して左側に位置するグランドコンタクト導体200を「グランドコンタクト導体200B」と呼ぶ。
グランドコンタクト導体200Aは、図1〜図5、図8及び図9に示されるように、本体部202Aと、アーム部204A,206Aと、端子部208A,210Aとを有する。本体部202Aは、軸Ax方向から見て円弧状に湾曲された板状体である。本実施形態では、本体部202Aの中心角が180°よりも小さいので、本体部202Aは劣弧状を呈している。本体部202Aは、グランドコンタクト導体200Aが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、空間V内に配置される。
本体部202Aの上端縁202A1は、下側から上側に向かうにつれて、軸Axを中心として径方向内側に縮径した後に屈曲して、径方向外側に向けて拡径している。すなわち、上端縁202A1は、軸Axを含む仮想平面で切断したときに、略C字形状を呈する。
本体部202Aには、図2〜図4、図8及び図9に示されるように、ブリッジ212Aが設けられている。ブリッジ212Aは、金属板からグランドコンタクト導体200Aを打ち抜き加工及び曲げ加工する際に、リードフレーム(図示せず)のキャリアとグランドコンタクト導体200Aとを接続する部分である。ブリッジ212Aは、グランドコンタクト導体200Aの加工の最終工程において切断され、キャリアから切り離される。ブリッジ212Aは、本実施形態において、本体部202Aの下端縁202A2に接続されている。具体的には、ブリッジ212Aは、下端縁202A2から下方に延び、略90°屈曲した後、外方に向けて延びている。そのため、ブリッジ212Aは、L字形状を呈している。ブリッジ212Aは、グランドコンタクト導体200Aが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、切り欠き部108A内に配置される。
アーム部204Aは、本体部202Aの周方向における一端(前端)202A3から連続して延びる板状体である。アーム部204Aは、本体部202Aの湾曲方向(軸Axの周方向)に交差する方向に本体部202Aに対して屈曲している。アーム部204Aは、本体部202A寄りに位置する基端部204A1と、基端部204A1よりも本体部202Aから離れて位置する先端部204A2とを含む。
基端部204A1は、本体部202Aの前端202A3から前方に向けて直線状に延びている。先端部204A2は、基端部204A1に対して略90°屈曲した後、右方に向けて直線状に延びている。すなわち、アーム部204Aは、軸Ax方向から見て全体としてL字形状を呈している。
基端部204A1は、グランドコンタクト導体200Aが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、間隙G1内に配置される。先端部204A2は、グランドコンタクト導体200Aが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、壁部106Bの周面のうち前面に対向するように配置される。すなわち、アーム部204Aは、壁部106Bの周面に沿って延びるように屈曲している。
先端部204A2には、係止部214Aが設けられている。係止部214Aは、先端部204A2の表面側(前方面)に形成された凹溝と、先端部204A2の裏面側(後方面)に形成された凸条とで構成されている。係止部214Aは、先端部204A2の上端縁204A3から先端部204A2の下端縁204A4側に向けて上下方向に直線状に延びている。グランドコンタクト導体200Aが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、係止部214Aのうち凸条が被係止部118A内に挿通され、係止部214Aが被係止部118Aに係止される。
アーム部206Aは、本体部202Aの周方向における他端(後端)202A4から連続して延びる板状体である。アーム部206Aは、本体部202Aの湾曲方向(軸Axの周方向)に交差する方向に本体部202Aに対して屈曲している。アーム部206Aは、本体部202A寄りに位置する基端部206A1と、基端部206A1よりも本体部202Aから離れて位置する先端部206A2とを含む。
基端部206A1は、本体部202Aの後端202A4から後方に向けて直線状に延びている。先端部206A2は、基端部206A1に対して略90°屈曲した後、右方に向けて直線状に延びている。すなわち、アーム部206Aは、軸Ax方向から見て全体としてL字形状を呈している。
基端部206A1は、グランドコンタクト導体200Aが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、間隙G3内に配置される。先端部206A2は、グランドコンタクト導体200Aが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、壁部106Eの周面のうち後面に対向するように配置される。すなわち、アーム部206Aは、壁部106Eの周面に沿って延びるように屈曲している。
先端部206A2には、係止部216Aが設けられている。係止部216Aは、先端部206A2の表面側(後方面)に形成された凹溝と、先端部206A2の裏面側(前方面)に形成された凸条とで構成されている。係止部216Aは、先端部206A2の上端縁206A3から先端部206A2の下端縁206A4側に向けて上下方向に直線状に延びている。グランドコンタクト導体200Aが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、係止部216Aのうち凸条が被係止部118C内に挿通され、係止部216Aが被係止部118Cに係止される。
端子部208Aは、先端部204A2の下端縁204A4から延びる板状体である。端子部208Aは、先端部204A2から下方(主面102a側)に向けて延び、先端部204A2に対して略90°屈曲した後、後方に向けて直線状に延びている。すなわち、端子部208Aは、左右方向から見て全体としてL字形状を呈している。
端子部208Aの先端側は、グランドコンタクト導体200Aが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、収容溝110B内に配置される。すなわち、端子部208Aの先端側は、主面102aと対向し且つ軸Ax方向から見て絶縁ハウジング100と重なり合っている。
端子部210Aは、先端部206A2の下端縁206A4から延びる板状体である。端子部210Aは、先端部206A2から下方(主面102a側)に向けて延び、先端部206A2に対して略90°屈曲した後、前方に向けて直線状に延びている。すなわち、端子部210Aは、左右方向から見て全体としてL字形状を呈している。
端子部210Aの先端側は、グランドコンタクト導体200Aが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、収容溝110E内に配置される。すなわち、端子部210Aの先端側は、主面102aと対向し且つ軸Ax方向から見て絶縁ハウジング100と重なり合っている。
ここで、グランドコンタクト導体200Aが絶縁ハウジング100に取り付けられる前には、端子部208A,210Aはそれぞれアーム部204A,206Aに対して屈曲していない。すなわち、グランドコンタクト導体200Aが絶縁ハウジング100に取り付けられる前には、端子部208Aと先端部204A2とは、平坦な板状を呈しており、同一平面上に位置している。同様に、端子部210Aと先端部206A2とは、平坦な板状を呈しており、同一平面上に位置している。この状態で、被係止部118Aに対して上方から下方に向けて係止部214Aの凸条を挿入させつつ、被係止部118Cに対して上方から下方に向けて係止部216Aの凸条を挿入させることにより、グランドコンタクト導体200Aが絶縁ハウジング100に対して左右方向において位置決めされる。このとき、アーム部204A,206Aによって絶縁ハウジング100の壁部106B,106Eがそれぞれ保持されるので、グランドコンタクト導体200Aが絶縁ハウジング100に対して前後方向においても位置決めされる。その後、端子部208A,210Aがそれぞれ収容溝110B,110E内に位置するようにアーム部204A,206Aに対して屈曲される。これにより、グランドコンタクト導体200Aが絶縁ハウジング100に取り付けられる。
グランドコンタクト導体200Bは、図1〜図5、図8及び図9に示されるように、本体部202Bと、アーム部204B,206Bと、端子部208B,210Bとを有する。本体部202Bは、軸Ax方向から見て円弧状に湾曲された板状体である。本実施形態では、本体部202Bの中心角が180°よりも小さいので、本体部202Bは劣弧状を呈している。本体部202Bは、グランドコンタクト導体200Bが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、空間V内に配置される。
本体部202Bの上端縁202B1は、下側から上側に向かうにつれて、軸Axを中心として径方向内側に縮径した後に屈曲して、径方向外側に向けて拡径している。すなわち、上端縁202B1は、軸Axを含む仮想平面で切断したときに、略C字形状を呈する。
本体部202Bには、図2〜図4、図8及び図9に示されるように、ブリッジ212Bが設けられている。ブリッジ212Bは、金属板からグランドコンタクト導体200Bを打ち抜き加工及び曲げ加工する際に、リードフレーム(図示せず)のキャリアとグランドコンタクト導体200Bとを接続する部分である。ブリッジ212Bは、グランドコンタクト導体200Bの加工の最終工程において切断され、キャリアから切り離される。ブリッジ212Bは、本実施形態において、本体部202Bの下端縁202B2に接続されている。具体的には、ブリッジ212Bは、下端縁202B2から下方に延び、略90°屈曲した後、外方に向けて延びている。そのため、ブリッジ212Bは、L字形状を呈している。ブリッジ212Bは、グランドコンタクト導体200Bが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、切り欠き部108B内に配置される。
アーム部204Bは、本体部202Bの周方向における一端(前端)202B3から連続して延びる板状体である。アーム部204Bは、本体部202Bの湾曲方向(軸Axの周方向)に交差する方向に本体部202Bに対して屈曲している。アーム部204Bは、本体部202B寄りに位置する基端部204B1と、基端部204B1よりも本体部202Bから離れて位置する先端部204B2とを含む。
基端部204B1は、本体部202Bの前端202B3から前方に向けて直線状に延びている。先端部204B2は、基端部204B1に対して略90°屈曲した後、左方に向けて直線状に延びている。すなわち、アーム部204Bは、軸Ax方向から見て全体としてL字形状を呈している。
基端部204B1は、グランドコンタクト導体200Bが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、間隙G2内に配置される。先端部204B2は、グランドコンタクト導体200Bが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、壁部106Cの周面のうち前面に対向するように配置される。すなわち、アーム部204Bは、壁部106Cの周面に沿って延びるように屈曲している。
先端部204B2には、係止部214Bが設けられている。係止部214Bは、先端部204B2の表面側(前方面)に形成された凹溝と、先端部204B2の裏面側(後方面)に形成された凸条とで構成されている。係止部214Bは、先端部204B2の上端縁204B3から先端部204B2の下端縁204B4側に向けて上下方向に直線状に延びている。グランドコンタクト導体200Bが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、係止部214Bのうち凸条が被係止部118B内に挿通され、係止部214Bが被係止部118Bに係止される。
アーム部206Bは、本体部202Bの周方向における他端(後端)202B4から連続して延びる板状体である。アーム部206Bは、本体部202Bの湾曲方向(軸Axの周方向)に交差する方向に本体部202Bに対して屈曲している。アーム部206Bは、本体部202B寄りに位置する基端部206B1と、基端部206B1よりも本体部202Bから離れて位置する先端部206B2とを含む。
基端部206B1は、本体部202Bの後端202B4から後方に向けて直線状に延びている。先端部206B2は、基端部206B1に対して略90°屈曲した後、左方に向けて直線状に延びている。すなわち、アーム部206Bは、軸Ax方向から見て全体としてL字形状を呈している。
基端部206B1は、グランドコンタクト導体200Bが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、間隙G4内に配置される。先端部206B2は、グランドコンタクト導体200Bが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、壁部106Fの周面のうち後面に対向するように配置される。すなわち、アーム部206Bは、壁部106Fの周面に沿って延びるように屈曲している。
先端部206B2には、係止部216Bが設けられている。係止部216Bは、先端部206B2の表面側(後方面)に形成された凹溝と、先端部206B2の裏面側(前方面)に形成された凸条とで構成されている。係止部216Bは、先端部206B2の上端縁206B3から先端部206B2の下端縁206B4側に向けて上下方向に直線状に延びている。グランドコンタクト導体200Bが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、係止部216Bのうち凸条が被係止部118D内に挿通され、係止部216Bが被係止部118Dに係止される。
端子部208Bは、先端部204B2の下端縁204B4から延びる板状体である。端子部208Bは、先端部204B2から下方(主面102a側)に向けて延び、先端部204B2に対して略90°屈曲した後、後方に向けて直線状に延びている。すなわち、端子部208Bは、左右方向から見て全体としてL字形状を呈している。
端子部208Bの先端側は、グランドコンタクト導体200Bが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、収容溝110C内に配置される。すなわち、端子部208Bの先端側は、主面102aと対向し且つ軸Ax方向から見て絶縁ハウジング100と重なり合っている。
端子部210Bは、先端部206B2の下端縁206B4から延びる板状体である。端子部210Bは、先端部206B2から下方(主面102a側)に向けて延び、先端部206B2に対して略90°屈曲した後、前方に向けて直線状に延びている。すなわち、端子部210Bは、左右方向から見て全体としてL字形状を呈している。
端子部210Bの先端側は、グランドコンタクト導体200Bが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、収容溝110F内に配置される。すなわち、端子部210Bの先端側は、主面102aと対向し且つ軸Ax方向から見て絶縁ハウジング100と重なり合っている。
ここで、グランドコンタクト導体200Bが絶縁ハウジング100に取り付けられる前には端子部208B,210Bはそれぞれアーム部204B,206Bに対して屈曲していない。すなわち、グランドコンタクト導体200Bが絶縁ハウジング100に取り付けられる前には、端子部208Bと先端部204B2とは、平坦な板状を呈しており、同一平面上に位置している。同様に、端子部210Bと先端部206B2とは、平坦な板状を呈しており、同一平面上に位置している。この状態で、被係止部118Bに対して上方から下方に向けて係止部214Bの凸条を挿入させつつ、被係止部118Dに対して上方から下方に向けて係止部216Bの凸条を挿入させることにより、グランドコンタクト導体200Bが絶縁ハウジング100に対して左右方向において位置決めされる。このとき、アーム部204B,206Bによって絶縁ハウジング100の壁部106C,106Fがそれぞれ保持されるので、グランドコンタクト導体200Bが絶縁ハウジング100に対して前後方向においても位置決めされる。その後、端子部208B,210Bがそれぞれ収容溝110C,110F内に位置するようにアーム部204B,206Bに対して屈曲される。これにより、グランドコンタクト導体200Bが絶縁ハウジング100に取り付けられる。
図1及び図3に示されるように、グランドコンタクト導体200A,200Bが絶縁ハウジング100に取り付けられた状態で、グランドコンタクト導体200Aの本体部202Aと、グランドコンタクト導体200Bの本体部202Bとは、左右方向において互いに対向しており、全体として筒部104を部分的に取り囲む円筒状体を構成するように並んでいる。本体部202A,202Bで構成される円筒状体の中心軸は、軸Axに略一致する。
本体部202A,202Bで構成される円筒状体は、相手方コネクタとなるリセプタクルコネクタ2のグランドコンタクト導体2b(図13参照)の外側を覆うようにグランドコンタクト導体2bと嵌合可能である。なお、本体部202A,202Bで構成される円筒状体は、リセプタクルコネクタ2のグランドコンタクト導体2bによって外側から覆われるようにグランドコンタクト導体2bと嵌合可能であってもよい。
図3に示されるように、本体部202Aの前端202A3と、これに隣り合う本体部202Bの前端202B3と、軸Axとで構成される仮想の扇形の中心角θ1は、90°以下であってもよい。同様に、本体部202Aの後端202A4と、これに隣り合う本体部202Bの後端202B4と、軸Axとで構成される仮想の扇形の中心角θ2は、90°以下であってもよい。この場合、グランドコンタクト導体の数が2つであっても、本体部202A,202Bとリセプタクルコネクタ2のグランドコンタクト導体2bとの接触面積が十分に確保される。そのため、少ない部品点数により、十分な挿抜力を確保できる。
[信号コンタクト導体]
信号コンタクト導体300は、導電性及び弾性を有する金属板を打ち抜き加工及び曲げ加工することによって形成される。当該金属板の表面には、例えば、ニッケル、銀、金等の金属めっきが施されていてもよい。信号コンタクト導体300は、図1〜図5に示されるように、絶縁ハウジング100に取り付けられている。信号コンタクト導体300は、図1〜図5、図10及び図11に示されるように、端子片302と、一対の接続片304と、屈曲片306とを有する。
端子片302は、矩形状を呈する板部材である。端子片302は、基端部(一端部)302aと、中央部302bと、先端部(他端部)302cとを含む。基端部302aは、プラグコネクタ1の配線基板CB1への実装時において、配線基板CB1の端子電極TE2(後述する)に接続される。中央部302bの下面側には、図11に示されるように、一対の凹溝308が設けられている。一対の凹溝308には、絶縁ハウジング100における対応する突起112が係止可能である。
一対の接続片304は、L字形状を呈する片持ち状の板部材である。一対の接続片304は、先端部302cに対して立設されている。具体的には、一対の接続片304はそれぞれ、先端部302cの各側縁に一体的に接続されている。一対の接続片304は、端子片302の左右方向の各側縁から屈曲しつつ、上下方向に沿って延びるように上方に突出している。
一対の接続片304は、図1〜図5に示されるように、絶縁ハウジング100の収容孔114内に配置されている。そのため、筒部104及びグランドコンタクト導体200A,200bは共に、軸Ax方向から見て一対の接続片304よりも外方に位置している。
一対の接続片304は、リセプタクルコネクタ2の信号コンタクト導体2a(後述する)と嵌着可能に構成されている。一対の接続片304がリセプタクルコネクタ2の信号コンタクト導体2aと嵌着する際には、一対の接続片304が信号コンタクト導体2aによって外側に押し拡げられ、信号コンタクト導体2aと弾性的に嵌着する。
屈曲片306は、図5、図10及び図11に示されるように、L字形状を呈する片持ち状の板部材である。屈曲片306は、端子片302の先端側において端子片302に立設されている。具体的には、屈曲片306は、端子片302の先端縁に一体的に接続されている。屈曲片306は、端子片302の先端縁から屈曲しつつ、上下方向に沿って延びるように上方に突出している。従って、屈曲片306が突出する側は、一対の接続片304が突出している側と同じである。
信号コンタクト導体300を絶縁ハウジング100に取り付ける際には、端子片302が絶縁ハウジング100の収容溝110A内に位置するように、端子片302を収容溝110Aに下方から圧入する。これにより、一対の凹溝308に絶縁ハウジング100の突起112がそれぞれ係止され、端子片302が一対の突起112によって収容溝110A内に固定される。また、屈曲片306が絶縁ハウジング100の嵌合溝116内に位置するように、屈曲片306を嵌合溝116内に下方から圧入する。これにより、屈曲片306が嵌合溝116内に固定される。
[プラグコネクタの使用方法]
続いて、プラグコネクタ1の使用方法について説明する。まず、図12に示されるように、プラグコネクタ1と、配線基板CB1とを用意する。配線基板CB1には、グランド端子と電気的に接続するためのグランド用導電路(図示せず)と、電気信号を伝達するための信号用導電路(図示せず)と、グランド用導電路と電気的に接続された端子電極TE1と、信号用導電路と電気的に接続された端子電極TE2が形成されている。
次に、プラグコネクタ1の各端子部208A,210A,208B,210Bを、対応する端子電極TE1上に載置する。また、プラグコネクタ1の信号コンタクト導体300のうち端子片302の基端部302aを端子電極TE2上に載置する。次に、各端子部208A,210A,208B,210Bと、対応する端子電極TE1とをはんだ付けにより接合すると共に、端子片302の基端部302aと端子電極TE2とをはんだ付けにより接合する。これにより、プラグコネクタ1が配線基板CB1に実装される。
次に、図13に示されるように、配線基板CB2に実装されたリセプタクルコネクタ2を用意する。リセプタクルコネクタ2は、導電性の金属板で形成された円柱状の信号コンタクト導体2aと、導電性の金属板で形成された円筒状のグランドコンタクト導体2bとを備える。グランドコンタクト導体2bは、信号コンタクト導体2aを取り囲むように配置されている。配線基板CB2には、配線基板CB1と同様に、グランド端子と電気的に接続するためのグランド用導電路(図示せず)と、電気信号を伝達するための信号用導電路(図示せず)と、グランド用導電路と電気的に接続された端子電極(図示せず)と、信号用導電路と電気的に接続された端子電極(図示せず)とが形成されている。信号コンタクト導体2aは、端子電極を介して信号用導電路と電気的に接続されている。グランドコンタクト導体2bは、端子電極を介してグランド用導電路と電気的に接続されている。
次に、配線基板CB1に実装されたプラグコネクタ1と配線基板CB2に実装されたリセプタクルコネクタ2とを接続する。具体的には、プラグコネクタ1とリセプタクルコネクタ2とが互いに対向するように配置しつつ、両者を互いに近接させる。このとき、信号コンタクト導体2aが一対の接続片304によって挟持されると共に、グランドコンタクト導体2bがグランドコンタクト導体200の本体部202A,202Bと係合される。こうして、一対の接続片304が信号コンタクト導体2aと弾性的に嵌着すると共に、本体部202A,202B(上端縁202A1,202B1)がグランドコンタクト導体2bと弾性的に嵌着する。以上により、プラグコネクタ1の信号コンタクト導体300とリセプタクルコネクタ2の信号コンタクト導体2aとが電気的且つ物理的に接続されると共に、プラグコネクタ1のグランドコンタクト導体200A,200Bとリセプタクルコネクタ2のグランドコンタクト導体2bとが電気的且つ物理的に接続され、信号伝送回路が構成される。
ここで、各端子部208A,210A,208B,210Bは、対応する端子電極TE1と接合されている。そのため、本体部202A,202Bがグランドコンタクト導体2bと嵌着する際に、アーム部204A,206A,204B,206Bのうち先端部204A2,206A2,204B2,206B2側は、それほど変形しない。一方、アーム部204A,206A,204B,206Bのうち基端部204A1,206A1,204B1,206B1側及び本体部202A,202Bは、配線基板CB1に固定された端子部208A,210A,208B,210Bから離れている。そのため、本体部202A,202Bがグランドコンタクト導体2bと嵌着する際に、基端部204A1,206A1,204B1,206B1側及び本体部202A,202Bが比較的大きく変形可能となり、大きな弾性力が生ずる。
[作用]
以上のような本実施形態では、アーム部204A,206Aはそれぞれ、本体部202Aの前端202A3及び後端202A4から延びると共に、本体部202Aの湾曲方向に対して交差する方向に本体部202Aに対して屈曲している。端子部208A,210Aはそれぞれ、先端部204A2,206A2から主面102a側に向けて延びている。このように、本実施形態では、端子部208A,210Aはそれぞれ、プラグコネクタ1にリセプタクルコネクタ2が嵌合したときに応力が作用しやすい本体部202Aに設けられているのではなく、アーム部204A,206A(先端部204A2,206A2)に設けられている。そのため、本体部202Aが端子部208A,210Aによって配線基板CB1に固定されないので、応力が作用したときに本体部202A,202Bの動きが規制され難い。換言すれば、本体部202Aが配線基板CB1に固定された端子部208A,210Aからアーム部204A,206Aの長さ分だけ離れているので、アーム部204A,206Aがバネとして機能し、本体部202Aが弾性を発揮しやすくなっている。このことは、グランドコンタクト導体200Bでも同様である。従って、本実施形態に係るプラグコネクタ1では、十分な挿抜力が確保される。
本実施形態では、アーム部204A,206Aはそれぞれ、本体部202Aの周方向における一端及び他端から延びている。すなわち、アーム部204A,206Aは、特許文献1に記載の同軸コネクタ装置とは異なり、軸Ax方向(収容孔114の延在方向)において凸となるように湾曲していない。このことは、グランドコンタクト導体200Bでも同様である。そのため、プラグコネクタ1の全高が高くなり難い。従って、本実施形態に係るプラグコネクタ1では、低背化が図られる。以上より、本実施形態に係るプラグコネクタ1によれば、十分な挿抜力を確保しつつさらなる低背化を図ることが可能となる。
本実施形態では、アーム部204A,206A,204B,206Bはそれぞれ、その延在方向(前後方向)において屈曲している。そのため、アーム部204A,206A,204B,206Bが直線状に前後方向に延びるときと比較して、アーム部204A,206A,204B,206Bが絶縁ハウジング100の外方に拡がるのを防ぎつつ、アーム部204A,206A,204B,206Bの長さが確保される。そのため、十分な挿抜力を確保しつつプラグコネクタ1の小型化を図ることが可能となる。
本実施形態では、アーム部204A,206A,204B,206Bはそれぞれ、壁部106B,106E,106C,106Fの周面に沿って延びるように屈曲している。そのため、アーム部204A,206A,204B,206Bが直線状に前後方向に延びるときと比較して、アーム部204A,206A,204B,206Bが絶縁ハウジング100の外方に拡がるのをいっそう防ぎつつ、アーム部204A,206A,204B,206Bの長さが確保される。そのため、十分な挿抜力を確保しつつプラグコネクタ1のさらなる小型化を図ることが可能となる。
本実施形態では、端子部208A,210A,208B,210Bはそれぞれ、軸Ax方向(収容孔114の延在方向)から見て絶縁ハウジング100と重なり合うようにアーム部204A,206A,204B,206Bに対して屈曲している。換言すれば、端子部208A,210A,208B,210Bはそれぞれ、主面102aと対向している。そのため、端子部208A,210A,208B,210Bが絶縁ハウジング100の外方に拡がらないので、プラグコネクタ1のさらなる小型化を図ることが可能となる。
本実施形態では、壁部106B,106E,106C,106Fの周面にはそれぞれ、被係止部118A〜118Dが設けられている。アーム部204A,206A,204B,206B(先端部204A2,206A2,204B2,206B2)にはそれぞれ、被係止部118A〜118Dのうち対応する一の被係止部と係止可能に構成された係止部214A,216A,214B,216Bが設けられていてもよい。そのため、係止部214A,216A,214B,216Bがそれぞれ対応する被係止部118A〜118Dに係止されることで、アーム部204A,206A,204B,206Bを絶縁ハウジング100に対して位置決めすることができる。
[他の実施形態]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、上記の実施形態では、本発明をプラグコネクタ1に適用したが、本発明をリセプタクルコネクタ2に適用してもよい。
プラグコネクタ1は、複数のグランドコンタクト導体を備えていてもよい。例えば、図14〜図16に示されるように、プラグコネクタ1は、4つのグランドコンタクト導体200を備えていてもよい。4つのグランドコンタクト導体200はそれぞれ、壁部106B,106C,106E,106Fまわりに配置されている。
グランドコンタクト導体200はそれぞれ、本体部202と、アーム部204,206と、端子部208,210とを有する。本体部202は、本体部202の両端部と軸Axとで構成される仮想の扇形の中心角が90°よりも小さく、劣弧状を呈している。アーム部204,206はそれぞれ、本体部202の両端から延びており、対応する壁部106B,106C,106E,106Fの周面に沿って延びている。端子部208,210はそれぞれ、アーム部204,206の下端縁から延びている。端子部208,210はそれぞれ、図16に示されるように、対応する収容溝110B,110C,110E,110F内に配置されている。
図17に示されるように、端子部208A,210A,208B,210Bはそれぞれ、軸Ax方向(収容孔114の延在方向)から見て絶縁ハウジング100と重なり合わないようにアーム部204A,206A,204B,206Bに対して屈曲していてもよい。この場合、端子部208A,210A,208B,210Bが軸Ax方向から見て絶縁ハウジング100と重なり合っていないので、軸Ax方向から見たときに端子部208A,210A,208B,210Bが絶縁ハウジング100の外方に拡がる。そのため、プラグコネクタ1を配線基板CB1に実装する際に、端子部208A,210A,208B,210Bを、配線基板CB1の端子電極TE1に対して目視にて位置決めしやすくなると共に、はんだ接続状態の検査を行いやすくなる。
アーム部204A,206A,204B,206Bはそれぞれ、壁部106B,106E,106C,106Fの周面に沿って延びていなくてもよい。アーム部204A,206A,204B,206Bは、屈曲しておらず直線状に延びていてもよいし、多数回屈曲していてもよい。
中心角θ1,θ2は90°を超えていてもよい。