(第1実施形態)
図1及び図2は、本第1実施形態における加熱調理器の外観及び上面を示すものである。図1及び図2に示すように加熱調理器61は、天面が開口された箱状の本体(調理器本体)1と、本体1の上面に取り付けられたトッププレート2と、本体1の上面に配置された上面操作部3と、本体1の前面に配置された前面操作部4と、本体1の上面前方に配置され使用者の認証用データとして生体情報を取得する認証部5と、本体1の左下方に配置されたグリル庫6と、本体1の上面前方に配置された上面主電源スイッチ7aと、操作部としての前面操作部4の上部に配置された前面主電源スイッチ7bと、を有している。上面主電源スイッチ7aと前面主電源スイッチ7bとは、いずれも、加熱調理器61の主電源のオン(閉)・オフ(開)操作を受け付けるものである。
トッププレート2は、耐熱性のガラス板2aと金属の枠体2bとにより構成され、ガラス板2aには、鍋やその他フライパンなどの被加熱物が載置される。加熱調理器61は、ガラス板2aに載置された被加熱物をガラス板2aの下方から誘導加熱する誘導加熱コイルからなる加熱部8〜10を有している。ガラス板2aの表面には、加熱部8〜10が配設される位置に、加熱領域を示す円形の加熱口24R、24L、24Mが印刷等によって形成されている。トッププレート2の右側には加熱口24Rが、左側には加熱口24Lが、中央後方側には加熱口24Mが、それぞれ形成されている。
操作部としての上面操作部3は、例えば液晶表示装置と静電容量式のタッチセンサとを含んで構成されたタッチパネルである。上面操作部3は、操作画面等を制御部16の制御の下、適宜切り替えて表示すると共に、使用者による操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に係る操作信号を制御部16に送出するものである。上面操作部3は、飾り枠26によって囲まれており、加熱調理器61の全体に関する操作用のメイン操作部27と、加熱部8の加熱調理に関する操作用の右IH操作部28Rと、加熱部9の加熱調理に関する操作用の中央後方IH操作部28Mと、加熱部10の加熱調理に関する操作用の左IH操作部28Lと、グリル庫6の加熱調理に関する操作用のグリル操作部28Gと、により構成されている。トッププレート2の上面前部において、本体1の左右中心線を挟んで、右側には右IH操作部28Rが配置され、中央部にはメイン操作部27と、中央後方IH操作部28Mと、グリル操作部28Gとが配置され、左側には左IH操作部28Lが配置されている。
メイン操作部27は、加熱調理器のモード設定や認証に関する個人情報の登録を行う際に使用者が操作するスイッチを備えている。右IH操作部28R、左IH操作部28L、中央後方IH操作部28Mは、それぞれ、加熱部8〜10による加熱調理の開始・停止操作用の切入スイッチと、加熱部8〜10による加熱調理の火力設定用の火力設定スイッチと、所望の時間経過後に加熱調理を停止させるタイマー調理モードの設定・実行用の切タイマースイッチとを備えている。グリル操作部28Gは、グリルヒータによる加熱調理の開始・停止操作用の切入スイッチと、グリルヒータによる加熱調理に関する設定の入力用の手動調理スイッチおよび自動調理スイッチとを備えている(上記各スイッチについては図示せず)。
図3は、加熱調理器61の内部構成を例示する概略図である。図3に示すように、本体1内には、被加熱物の温度を検知(測定)する温度センサ11a、11b、12と、温度センサ11a、11b、12からの検知信号に基づいて被加熱物の温度を検出する温度検出装置13と、加熱調理器61を駆動するための電力を供給する電源部14と、認証部5の認証窓37を介して取得した指先FGからの反射光の情報に基づいて生体情報を生成する認証データ生成装置15と、マイクロコンピュータ等で構成され加熱調理器61の動作を制御する制御部16と、制御部16により制御される高周波インバータからなるインバータ回路17と、加熱部の動作状況を出力する情報出力部18と、グリルヒータ駆動回路21及びグリル庫6と、が配置されている。情報出力部18には、表示駆動回路19及び表示部20と、音声合成装置22及びスピーカ23と、が設けられている。
温度センサ11a、11bは、トッププレート2のガラス板2aの下方に密着するように設けられた接触式の温度センサ(例えばサーミスタ)であり、加熱部8により誘導加熱されて温度が上昇する被加熱物80の温度上昇を、ガラス板2aを介して検知するものである。接触式の温度センサは、加熱部8の周囲又はその内側の空間部に1個又は複数個ずつ配置されるものであり、図3では、便宜上2つの温度センサ11a、11bを例示している。温度センサ12は、被加熱物80の底面から放射される赤外線量に応じて被加熱物80の温度を検知する非接触式センサ(赤外線温度センサ)である。なお、図3では、被加熱物である被加熱物80は、金属鍋からなる調理容器である場合について例示する。
温度検出装置13は、各温度センサ11a、11b、12からの信号を処理し、測定物の温度を検出する温度検出回路である。温度検出装置13は、検出した測定物の温度をリアルタイムで制御部16に伝達する。制御部16は、温度検出装置13での検出結果をリアルタイムで取得することで、被調理物の入った被加熱物80の温度状態やトッププレート2の下方空間の温度などを監視するものである。
図3では、加熱部8及びこれに対応するインバータ回路17を示しているが、インバータ回路17は加熱部ごとに設けられている。加熱部8〜10は、渦巻状に巻かれたコイルにより構成され、各インバータ回路17から高周波電流が供給されることにより、トッププレート2に載置された被加熱物80を誘導加熱するものである。加熱部9、10の周囲にも、温度センサ11a、11b、12と同様の各種温度センサと温度検出装置13と同様の温度検出回路が配置されている。また、グリル庫6にも温度センサ(図示せず)が設置されており、この温度センサの検出温度が制御部16に伝えられる。すなわち、制御部16は、グリル庫6に設けられた温度センサから取得した検出温度に基づいて、グリルヒータのオン・オフや通電率制御を行うものである。
使用者が電源部14に電源を投入するため上面主電源スイッチ7a又は前面主電源スイッチ7bを押すと、上面主電源スイッチ7a又は前面主電源スイッチ7bの下方にある機械的接点が開放又は閉成し、制御部16に対して電源部14から所定の電力が供給される。制御部16は、電源部14から定電圧回路(図示せず)を介して供給された直流電源により起動して制御動作を開始する。また、上面操作部3及び前面操作部4は、使用者の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作に基づく信号(操作信号)を制御部16に送信するものである。すなわち、制御部16は、上面主電源スイッチ7a又は前面主電源スイッチ7bがオンされることで起動し、使用者の操作により加熱調理器61が起動された後、上面操作部3及び前面操作部4からの操作信号や各種センサ(温度センサ)11a、11b、12からの検知信号、認証部5からの生体情報等が入力された場合に、予め設定されたプログラム等に従って各構成部(加熱手段を含む)を制御するものである。
また、電源部14は、制御部16による制御に応じて商用電源70からの電力を、インバータ回路17、グリルヒータ駆動回路21及び上記定電圧回路等に供給する。インバータ回路17は、制御部16からの加熱指令に応じて、電源部14から供給される電力を変換し、加熱部8と共振コンデンサ(図示せず)とを接続した回路に、高周波電流を供給する。加熱部9、10も、制御部16によって加熱部8と同様に制御される。なお、電源部14から各インバータ回路に向けた電力供給については、制御部16がインバータ回路ごとのオン・オフ制御を行うことで実現される。
表示駆動回路19は、制御部16からの指示に従い、例えばLCDにより構成された表示部20を駆動するものである。グリルヒータ駆動回路21は、制御部16からの加熱指令に応じて、グリル庫6内のグリルヒータ(図示せず)を駆動するものである。音声合成装置22は、制御部16からの指示に従い、所定のガイド情報を音声に変換してスピーカ23から出力するものである。ここで、加熱調理器61では、ガイド情報の報知手段として、表示部20とスピーカ23とを採用したため、表示部20からの文字等による表示、スピーカ23からの音声による報知、又は表示部20及びスピーカ23の双方からの出力のいずれの手法も採ることができる。本第1実施形態では、音声・表示の両方の手法を用いて各ガイド情報を出力することを想定して説明する。
図3において、トッププレート2の手前側におけるガラス板2aの下方空間に例示する表示部20は、図2に示すように、トッププレート2の左右方向の中央部に配置されたメイン表示部29と、加熱口24Rの手前側に配置された右IH火力表示部30Rおよび右表示部31Rと、加熱口24Lの手前側に配置された左IH火力表示部30Lおよび左表示部31Lと、加熱口24Mの手前側に配置された中央IH火力表示部30Mおよび中央表示部31Mとを備えている。表示部20は、例えば、液晶(LCD)や各種発光素子(LEDなど)、有機電界発光(Electro Luminescence:EL)素子などにより構成される。
メイン表示部29は、認証に関する設定情報やモードの選択表示や、加熱調理に関する設定情報、調理モードの選択表示、自動調理の進行状況、警告情報の表示などを出力する。各IH火力表示部30R、30L、30Mは、対応する加熱部8〜10の投入火力などを表示するものであり、例えば10個程度の発光素子を一列に並べて、火力の大きさに応じて光る発光素子の数を変化させるという構成を採用できる。火力を7段階に設定・表示する場合は、発光素子を少なくとも7個設け、発光素子の発光数によって火力のレベルを表示する。例えば火力2の場合には発光素子を2個発光させ、火力3の場合は3個発光させるといった具合である。火力レベル表示に用いる発光素子は、発光ダイオード(LED)とこの発光ダイオードからの光を受けて四角に光る半透明な受光体などによって構成される。右表示部31R、左表示部31L、中央表示部31Mは、それぞれ、対応する加熱部8〜10の通電条件や制御状況等に関する情報(例えばタイマー調理における時間の情報や揚げ物調理モードにおける温度の情報など)を表示する。
トッププレート2の後方には、本体1内部と連通し、本体1内部に外気を取り込むための左吸気口32L、右吸気口32Rが設けられている。また、トッププレート2の後方中央には、本体1内部と連通し、本体1内部に取り込んだ空気を吹き出し排出するための排気口33が設けられている。また、各吸気口32R、32Lおよび排気口33の上部には、通気性を有するカバー(図示せず)を設けることで、本体1内部への埃や異物侵入を防止している。
本体1の左側下部には、魚等の調理を行うためのグリル庫6が設けられている。グリル庫6内には、庫内に載置された被調理物を加熱するための熱源となるグリルヒータ(図示せず)が備えられている。このグリルヒータは、例えばシーズヒーター等からなり、グリル庫6内の上部および下部にそれぞれ配置されている。グリル庫6の加熱方式については、熱風によるコンベクション方式を用いるようにしてもよい。
グリル庫6の前面にはグリル扉34が設けられ、グリル扉34にはグリル庫6の内部を視認できるよう視認窓35が設けられている。また、グリル扉34の最前面上部には使い勝手の良いようにグリル把持部36が設けられており、使用者はグリル把持部36を掴んでグリル扉34を開閉することができる。グリル庫6の内部において加熱時に排出される煙等の排気風は、本体1の奥部に設けた排気口33より排気される。なお、図1には、本体1の左側下部にグリル庫6を設けた構成を示しているが、例えば、グリル庫6を本体1の右側下部や中央下部に設けるといった他の構成を採用してもよい。もっとも、加熱調理器61にグリル庫6を設けないという構成を採ってもよい。
認証部5は、加熱調理器61の使用者を特定するための生体情報を生成するものであり、認証時に使用者が触れる認証窓37と、認証窓37の下方に設けられた認証データ生成装置15とを有する。認証窓37は、使用者が操作しやすく、かつ認証時において使用者が高温の天板や天板上の調理容器(被加熱物)に接触しないように、トッププレート2の上面の手前半分における上面操作部3側に設けられている。認証用の場所を分かり易くするために、トッププレート2には、認証窓37を囲むように飾り枠(図示せず)が印刷されている。認証データ生成装置15は、指紋認証、静脈認証、網膜認証等の生体認証を行うための生体情報を生成するものであり、制御部16との連携により認証手段として機能する。本第1実施形態では、指表面に光を当てた際の反射の方向が指紋の凹凸によって変わることを利用した光学式の指紋認証について説明する。
図4において、認証部5の中央部上面に位置する認証窓37は、物理的に穴を設けたものではなく、可視光線を通さない薄膜塗装を設けずに透明な状態で形成されている。認証窓37の下方に設けられた認証データ生成装置15は、光源である発光部38と、プリズム39と、集光レンズ40と、映像素子(撮像素子)41と、解析処理部42とを有する。
発光部38は、認証窓37を通じて上方に向けて所定波長の光を放射するものであり、認証窓37の上方の所定高さの地点又はその地点の近傍に焦点距離があるように配置されている。集光レンズ40は、発光部38からの光が、認証窓37に接触した指先FGの指紋の凹部に当たって反射する光を集光して映像素子41に入射させるものである。解析処理部42は、集光レンズ40において集光された反射光の情報を映像素子41から入力し、反射光の情報から読み取った指紋画像から特徴点を抽出して生体情報としてデータ化するものである。解析処理部42によりデータ化された生体情報は、制御部16にリアルタイムで伝達され、制御部16内のユーザI/F制御部43によって認証確認が行われる。もっとも、映像素子41が、反射光の情報を直接制御部16に出力し、制御部16が生体情報を生成するようにしてもよい。
認証部5が、指の真下から光をあてて凸部の散乱光を読み取る手法や、指の内部に光を通過させて血管画像を撮像する手法等によって生体情報を取得してもよい。また、制御部16が、認証部5において取得した生体情報に基づいて光学式の指紋認証を行うようにしてもよい。また、指紋認証のための方式としては、光学式に限らず、静電容量方式、電界強度測定方式、感圧式、感熱式等の方式を用いるようにしてもよい。認証部5は、本体1の使用者に対向する前面(グリル庫6の近傍)に設けるようにしてもよい。
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサや、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の読み書き可能な不揮発性の半導体メモリ、システムバス、スピーカ、各種のハードウェアインタフェース(上面操作部3、前面操作部4、加熱部8〜10、温度センサ11a、11b、12、表示部20、及びスピーカ23とのインタフェース)等から構成される(何れも図示せず)。
図5は、制御部16の機能構成を示すブロック図である。図5に示すように、制御部16は、ユーザI/F制御部43と、加熱制御部44と、記憶部45とを有している。記憶部45は、上面操作部3及び前面操作部4から送出される設定内容を生体情報に関連づけて登録認証データとして記憶する登録情報記憶部45aと、登録された使用者が使用した機能やメニューを順次記憶する操作履歴記憶部45bと、を有している。すなわち、記憶部45は、生体情報が使用者に関連づけられた登録認証データ、及び加熱部8〜10、上面操作部3及び前面操作部4、及び情報出力部18の少なくとも1つの設定内容及び使用者による操作内容を記憶するものである。
ユーザI/F制御部43は、使用者の操作に応じて上面操作部3又は前面操作部4から送出される操作信号に応じた操作画面を表示させるための表示制御信号を上面操作部3に対して送出する操作処理部43aと、認証データ生成装置15から取得した生体情報を、登録情報記憶部45a内の登録認証データと照合し、当該生体情報に合致する登録認証データが存在するか否かを判定する照合判定部43bと、照合判定部43bにおいて生体情報に合致する登録認証データが存在する旨判定された場合に、当該登録認証データに関連づけられた設定内容に基づいて、加熱部8〜10を含む各加熱部、上面操作部3、前面操作部4、及び情報出力部18の少なくとも1つを制御する動作制御部43cと、を有している。
操作処理部43aは、上面操作部3及び前面操作部4と信号線を介して接続されており、使用者によって火力の設定操作や自動調理モードの選択操作が行われた際に、上面操作部3又は前面操作部4から送出される操作信号を動作制御部43cに伝送する機能を有している。動作制御部43cは、操作処理部43aから伝送された操作信号に応じた制御信号を、必要に応じて、加熱制御部44、表示駆動回路19、グリルヒータ駆動回路21、音声合成装置22に出力する。すなわち、動作制御部43cは、照合判定部43bによる判定の結果や上面操作部3又は前面操作部4を介しての使用者の要求に応じて、記憶部45から使用者の設定内容に則した制限情報や調理モード等を読み出して加熱制御部44に制御信号を出力する機能を有している。また、動作制御部43cは、グリルヒータ駆動回路21に対してグリル制御信号を出力する。なお、照合判定部43bによる照合の結果を上面操作部3に表示させるための表示制御信号を、操作処理部43aを介して上面操作部3に出力するようにしてもよい。
照合判定部43bは、認証部5において生成された生体情報を、登録情報記憶部45aに予め登録された登録認証データと照合するものである。より具体的に、照合判定部43bは、認証部5から送出された生体情報と登録情報記憶部45aに登録された登録認証データとを比較し、生体情報とある登録認証データとが合致するか否かを判定するものである。照合判定部43bは、生体情報とある登録認証データとが一致する場合又は生体情報とある登録認証データとの差が規定された範囲内であった場合に、登録された使用者であると判定する。一方、照合判定部43bは、生体情報と合致する登録認証データが登録情報記憶部45aに存しなかった場合に、登録された使用者ではないと判定する。そして、照合判定部43bは、上記判定の各結果を動作制御部43cに送信するものである。
動作制御部43cは、照合判定部43bにおいて登録された使用者であると判定され、照合判定部43bから該判定結果が送信された場合に、使用者に関連づけられた登録認証データにおける設定内容に基づいて、加熱部8〜10、上面操作部3、前面操作部4、及び情報出力部18の少なくとも1つを制御するものである。ここで、設定内容とは、動作制御部43cが、加熱部8〜10、上面操作部3、前面操作部4、及び情報出力部18の少なくとも1つを動作させる際の設定内容である。動作制御部43cは、登録された使用者ではないとの判定の結果が照合判定部43bから送信された場合に、該判定の結果を使用者に報知し、登録作業に移行するか否かを確認する。より具体的に、動作制御部43cは、生体情報と合致する登録認証データが存しなかった場合に、表示駆動回路19及び音声合成装置22を介して、メイン表示部29及びスピーカ23から、登録された使用者ではない旨を出力する制御を行うと共に、メイン操作部27において、個人情報を登録するか否かの確認表示を行うように制御する。この確認表示は、登録された使用者ではない旨と共にメイン表示部29上に表示するようにしてもよい。そして、操作処理部43aは、使用者からの登録の要望を示す操作信号を取得した際に、照合判定部43bから生体情報を取得して記憶部45に仮保存すると共に、認証用入力画面をメイン操作部27に表示させるように制御する。
使用者が認証用の登録認証データを登録するための認証用入力画面は、操作処理部43aが記憶部45から個人情報設定、個別制御情報設定、制限情報設定等の設定項目を読み出してメイン操作部27に順番に表示するものである。認証用入力画面としては、操作処理部43aが、例えば、図6に示すように、個人情報設定、個別制御情報設定、制限情報設定等の設定項目を一覧表示し、使用者が適宜選択できるようにしてもよい。
個人情報設定の入力画面は、使用者が、名称、性別、年齢層等を入力するためのものである。使用者による個人情報の登録が完了すると、操作処理部43aは、仮保存した生体情報を個人情報に関連づけて記憶部45に記憶させる。なお、仮保存した生体情報ではなく、改めて認証部5を動作させて生体情報を取得した上で、この再取得した生体情報を個人情報に関連づけて登録するようにしてもよい。
個別制御情報設定の入力画面は、使用者が、設定内容として、表示設定、音声設定、お好みメニュー設定等を入力するためのものである。表示設定の入力画面は、図7に例示するように、文字サイズ、字体、字色、背景色、言語を3つの選択肢の中から、使用者が好みに合わせて選択するように構成できる。音声設定の入力画面は、図8に例示するように、音量、高さ、スピード、言語、特殊を3つの選択肢の中から、使用者が好みに合わせて選択するように構成できる。加熱調理器61では、設定内容の内の文字の表示形態や音の出力形態を変更できるように構成したため、使用者の好みや年齢に応じた設定画面による操作が可能となることから、使用者の利便性と快適性の向上を図ることができる。特に、音声設定を変更できる構成によれば、聴力の低下した高齢者等に対しても、最適な調理環境を提供することができる。もっとも、上記各入力画面における設定の項目、選択肢の数、選択肢の内容は、適宜増減・変更するようにしてもよい。
お好みメニュー設定の入力画面では、図9に例示するように、使用者が必要に応じて実行するか否かを選択し、お好みメニュー設定を行う場合(「する」を選択した場合)には、使用者が手動設定又は自動設定を選択するように構成できる。手動設定が選択された場合は、使用者がお好みメニューを上位5つまで登録するといったように、任意の数のお好みメニューを登録できる構成としてもよく、また、登録数の上限を、使用者が適宜設定するようにしてもよい。
ここで、操作処理部43aは、登録された個人が使用した機能やメニューを順次、操作履歴記憶部45bに記憶させる機能を有し、使用者による上面操作部3及び前面操作部4への入力内容を登録認証データと関連づけて記憶部45に記憶させるものである。すなわち、操作処理部43aは、予め加熱調理器に登録されているメニューや揚げ物等の機能が設定されると、必要に応じて、当該操作に係る操作履歴情報を生成し、操作履歴記憶部45bに記憶させる機能と、登録された使用者の入力操作により、上面操作部3から、個別制御情報設定に関するメニューや機能の優先表示(自動設定)を希望する操作信号が送出された場合に、操作履歴記憶部45bの操作履歴情報を参照して、利用頻度の高いメニューや機能を選別してメイン操作部27に表示させる機能と、を有している。そして、図9のような画面において、使用者が自動設定を選択した場合には、操作処理部43aが、操作履歴記憶部45bに記録された利用履歴の内から、使用者の利用頻度が高いメニュー・機能を優先的に表示するように制御し、使用者に選択させる。
また、設定内容は、制限情報を有している。制限情報とは、使用者によって利用できる機能を予め制限するために設定する情報である。制限情報設定の入力画面において、使用者は、機能制限、メニュー制限、火力制限、温度制限等の制限情報を必要に応じて入力し設定することができる。例えば、子供や高齢者といった高温調理を行うことが不向きな使用者に対して、火力や温度の上限(上限値)を予め設定しておくように構成する。この上限値の設定により、使用者の操作に関わらず、上限値までしか加熱調理器61が駆動しないように設定することができる。また、加熱調理器61に予め内蔵されている機能(揚げもの機能等)を使用不可に設定するといった制限を設けるようにしてもよい。
使用者による登録操作が完了すると、操作処理部43aは、メイン操作部27に設定確認画面を表示させる。この設定確認画面には、設定内容の他に、例えば設定内容に変更がない場合に使用者が押すYESボタンと、設定内容に誤りがある場合に使用者が押すNOボタンとが表示されており、使用者が変更の有無を選択可能な構成となっている。使用者から変更なしの指示を受けた場合に、操作処理部43aが設定内容の登録を完了させ、動作制御部43cは加熱調理器61の個別制御を開始する。使用者は、設定確認画面で確認した内容に変更があれば、変更したい情報を選択し、この選択指令を受けた操作処理部43aは、使用者が変更したい情報の入力画面を再度表示する。使用者による情報変更を完了すると、再度「設定確認画面」を表示する。使用者により登録が選択された場合に、操作処理部43aは、リアルタイムで入力された生体情報を、登録された設定内容と共に登録情報記憶部45aへと記憶させる。個人認証された使用者が個別制御を所望した場合に、動作制御部43cは、登録情報記憶部45aに記憶された情報を読み出し、加熱制御部44、グリルヒータ駆動回路21、表示駆動回路19、音声合成装置22に、それぞれ、火力制御信号、グリル制御信号、表示制御信号、音声制御信号(個別制御信号)を送出する。また、メイン操作部27に表示されるメニュー画面には、個別の設定内容を変更する設定変更ボタンが示されており、使用者が設定変更ボタンに触れると、操作処理部43aが、図6のような使用者情報登録画面を表示させる。これにより使用者は、設定内容を変更したい項目を選択し、適宜設定内容を好みの状態に変更することができる。なお、記憶部45に記憶された情報を管理する管理者のデータを、登録認証データに関連づけて記憶部45に記憶しておき、動作制御部43cが、上面操作部3を介しての管理者からの要求に応じて記憶部45内に記憶された情報を変更する機能を有するようにしてもよい。
加熱制御部44は、信号線を介して、インバータ回路17を含む各インバータ回路と温度検出装置13とに接続されており、温度検出装置13を介して各温度センサ11a、11b、12による検出温度を取得するものである。そして、加熱制御部44は、動作制御部43cから送信される制御信号に従って、指定されたインバータ回路に出力する高周波電流を制御することで、加熱部8〜10の加熱電力量を制御するものである。
また、加熱制御部44は、各インバータ回路に高周波電流を出力してから所定時間が経過するまでの間において、動作制御部43cからの制御コマンドの入力がない場合に、当該インバータ回路への高周波電流の出力を停止する機能を有している。すなわち、加熱制御部44は、使用者によって操作が行われない未操作継続時間が、予め設定された所定時間を超えると、被加熱物の加熱を停止する切り忘れ防止処理を実行するものである。さらに、加熱制御部44は、温度センサ11a、11b、12が検出した被加熱物の温度が所定の温度を超えている場合に、温度センサ11a、11b、12に対応するインバータ回路への高周波電流の出力を停止し、対応する被加熱物の加熱を停止する過熱防止処理を実行するものである。
続いて、使用者が加熱調理を開始するまで及び加熱調理中における加熱調理器61の動作を図10及び図11のフローチャートに基づいて説明する。まず、図10を参照して、使用者の認証処理の流れ(認証フロー)を説明する。
使用者により、上面主電源スイッチ7a又は前面主電源スイッチ7bがオンされることで、電源部14から制御部16等に電力が供給される(図10:ステップS101)。次いで、動作制御部43cが、認証を促すガイドを表示させる表示制御信号を表示駆動回路19に送信し、メイン表示部29に認証を促すガイドが表示される。併せて、動作制御部43cは、音声合成装置22に音声制御信号を送信し、スピーカ23から認証を促すガイドが音声により報知される(図10:ステップS102)。
認証を促すガイドの視認等により認証を促す旨を確認した使用者が、認証部5(認証窓37)にタッチ操作を行うと、認証データ生成装置15は、生体情報を生成して照合判定部43bに送出する(図10:ステップS103)。照合判定部43bは、認証データ生成装置15から入力された生体情報を登録情報記憶部45aの登録認証データと照合(比較)し、適合率(F)を求める(図10:ステップS104)。ここで、適合率(F)%は、例えば「適合率(F)%=(一致ポイント/総検出ポイント)×100」とする。
照合判定部43bは、予め設定された認証閾値(A)を超える適合率(F)の登録データが存在した場合「(F)>(A)の場合」に(図10:ステップS105/Yes)、生体情報と登録認証データとが合致するとみなし、合致する旨を動作制御部43cに通知する。照合判定部43bからの通知を受けた動作制御部43cは、登録情報記憶部45aに登録されている個別の設定内容を読み出し(図10:ステップS106)、読み出した設定内容に基づいて、加熱調理器61の個別制御(個人モードによる制御)を開始し、表示部20及び上面操作部3には、使用者の個別の設定内容に応じたデータが出力される(図10:ステップS107)。
すなわち、動作制御部43cによる制御により、表示部20に個別の設定内容が表示され、スピーカ23から個別の設定内容に基づく音声が報知されると、当該使用者は、自己の個別設定を利用することができる。例えば、使用者が加熱部8に対応する切入スイッチに触れると、電源部14から制御部16を介してインバータ回路17に電力が供給され、加熱部8が駆動可能な加熱準備状態となる。このとき、例えば右IH火力表示部30Rを青色表示させることにより、加熱準備状態である旨の表示をする。使用者が、加熱部8に対応する火力設定スイッチ又は自動調理スイッチをタッチ操作すると、動作制御部43cは、インバータ回路17を駆動して加熱部8による誘導加熱を開始させる。以降、使用者は、火力設定スイッチや切タイマースイッチを操作して所望の加熱調理を行う。個別の設定内容の登録処理の詳細については、下記登録フロー(図11)において詳述する。
操作処理部43aは、使用者が加熱調理器61に予め登録されている機能やメニューを使用した場合に、使用した機能やメニューを操作履歴として操作履歴記憶部45bに記憶させる。すなわち、使用者の個人モードによる制御開始以降、該使用者が火力設定スイッチや切タイマースイッチ等を操作して所望の加熱調理を行っている間において、操作処理部43aは、操作履歴情報の記憶処理を実行する(図10:ステップS108)。続いて、使用者が切入スイッチに触れてオフ操作を行うと、動作制御部43cは、加熱制御部44を介してインバータ回路17の駆動を停止させ、電源部14からインバータ回路17への電力供給を停止させる。そして電源部14が、自身の電源を遮断する(図10:ステップS109)。
一方、認証閾値(A)を超える適合率(F)の登録データが存在しなかった場合「(F)≦(A)の場合」には(図10:ステップS105/No)、動作制御部43cが、登録された使用者ではないこと(未登録の旨)を表示と音声により出力する(図10:ステップS110)。次いで、動作制御部43cは、使用者に加熱調理器61を使用するか否か(IHを利用するか否か)の確認を促す表示及び音声を出力する(図10:ステップS111)。動作制御部43cは、使用するか否かの確認の報知に対する使用者の操作を受けて、使用者が加熱調理器61を使用すると判断した場合に(図10:ステップS111/Yes)、リアルタイムで取得した生体情報を記憶部45に仮保存し(図10:ステップS112)、後述する登録フロー(図11)に移行する。一方、使用者が加熱調理器61を使用しないと判断した場合に(図10:ステップS111/No)、動作制御部43cは、加熱制御部44を介して電源部14からインバータ回路17への電力供給を停止させ、電源部14は、自身の電源を遮断する(図10:ステップS109)。
次に、電源オン時における使用者情報の登録処理を示す図11を参照して、使用者情報の登録処理の流れ(登録フロー)を説明する。操作処理部43aは、使用者から登録の要望があった場合に、記憶部45から認証用入力画面を読み出し、例えば図6のような認証用入力画面をメイン操作部27に表示させる(図11:ステップS201)。使用者が、個人情報の入力画面から、名称、性別、年齢層等の個人情報を入力し、個人情報の登録が完了すると(図11:ステップS202)、操作処理部43aは、認証フローで仮保存した生体情報を、入力された個人情報に関連づけて登録情報記憶部45aに記憶させる(図11:ステップS203)。なお、このステップS203では、仮保存しておいたデータを登録するという処理を行っているが、使用者に認証を促すガイドを表示する等により、再度、認証部5から生体情報を取得するようにしてもよい。
次いで、操作処理部43aが個別制御情報設定の入力画面をメイン操作部27に表示させると、使用者が、個別制御情報設定の入力画面から、例えば図7〜図9のような表示設定、音声設定、お好みメニュー設定等の個別制御情報を入力する。使用者による個別制御情報の登録が完了すると、動作制御部43cは、入力された個別制御情報を生体情報に関連づけて登録情報記憶部45aに記憶させる(図11:ステップS204)。個別制御情報のうち、お好みメニューの設定は、図9に例示するように、使用者が必要に応じて設定するものであり、設定に際しては、手動設定又は自動設定を選択することができる。手動設定を選択した使用者は、予め設定された任意の数のお気に入りメニューを登録することができる。また、使用者が自動設定を選択すると、操作処理部43aは、操作履歴記憶部45bに記憶された操作履歴情報の内で、該使用者の利用頻度が高いメニュー・機能から優先的に表示させる。もっとも、初期の登録時には、使用者の操作履歴情報は記憶されていないため、操作処理部43aが、記憶されていない旨をメイン操作部27に表示させるようにしてもよいし、既に登録されている使用者の操作履歴情報や一般的な統計データ等をもとに予め作成された操作履歴情報を表示させるようにしてもよい。また、使用者が複数登録されている場合には、使用者全体の操作履歴情報を統計的又は選択的に表示するようにしてもよい。
続いて、操作処理部43aが制限情報設定の入力画面をメイン操作部27に表示させると、使用者が、制限情報設定の入力画面から、利用できる機能をあらかじめ制限するための制限情報を入力する。使用者による制限情報の登録が完了すると、操作処理部43aは、入力された制限情報を個人情報に紐づけて登録情報記憶部45aに記憶させる(図11:ステップS205)。制限情報としては、機能制限、メニュー制限、火力制限、温度制限等に関するものがあり、使用者が必要に応じて設定する情報である。
そして、動作制御部43cが、メイン表示部29に設定確認画面を表示させる(図11:ステップS206)。設定確認画面の表示を確認した使用者が、変更なしの旨を示した場合に(図11:ステップS207/Yes)、操作処理部43aは、登録認証データの登録を完了させ(図11:ステップS208)、動作制御部43cが、加熱調理器61の個別制御を開始する(図10のステップS106へ移行)。
設定確認画面において確認した内容に変更がある場合に、使用者がメイン操作部27で変更したい情報を選定すると(図11:ステップS207/No)、選定を示す操作信号が操作処理部43aに送信され(図11:ステップS209)、操作処理部43aは、使用者が変更したい情報の入力画面をメイン操作部27に再度表示させる(図11:ステップS210)。そして、使用者がメイン操作部27において情報変更を完了すると(図11:ステップS211)、操作処理部43aは、メイン操作部27に再度「設定確認画面」を表示させる(図11:ステップS206)。以降の動作内容は、上記ステップS207〜S211と同様である。
(第1実施形態の効果)
本第1実施形態では、加熱調理器61に個人認証機能を持たせ、認証された使用者に関連づけられた設定内容に基づいて個別制御を行うという構成を採ったため、使用者の好みや年齢、使用者の状況(例えば聴力の低下した高齢者)等に応じた設定に基づいて加熱調理器を駆動させることが可能となり、利便性と快適性の向上を図ることができる。すなわち、加熱調理器61では、使用者が認証部5に触れた際に、認証部5が、該使用者から得た情報に基づいて生体情報を生成し、制御部16が認証部5において生成された生体情報と予め記憶部45に記憶された登録認証データとを照合することにより個人認証(生体認証)を行うように構成したため、使用者が煩雑な操作を行う必要がなくなることから、利便性に優れた加熱調理器を提供することができる。また、加熱調理器61によれば、設定内容に制限情報を含むことから、特定の使用者に利用制限をかけることができるため、想定外の駆動の防止や誤操作の低減を実現できる。
〈変形例1〉
本発明の第1実施形態に係る加熱調理器の変形例1を図12及び図13を参照して説明する。本変形例1では、上記図6〜図8を例示して説明した個別制御情報設定時において、別の表示設定や音声設定を行う点に特徴がある。本変形例1の加熱調理器61Aにおいて、加熱調理器61と同一の構成部材には同一の符号を用いて、その説明については省略する。
本変形例1の加熱調理器61Aが使用者に提示する表示設定画面は、図6のように表示設定の各選択肢を文字によって表現するものではなく、具体的に動作する内容(文字の形態等)を表すものである。図12は、表示設定の入力画面を例示する表である。加熱調理器61Aは、例えば図12に示すように、文字サイズの選択肢の欄には、サイズを変えた同一の文字を示し、字色の選択肢の欄には、実際の色の文字を具体的に表示することができる。
図13(a)及び図13(b)は、表示設定及び音声設定の入力画面を例示する表であり、設定の一部が数値で表示されている。本変形例1の加熱調理器61Aは、例えば、図13(a)に示すように、文字サイズを1〜5の5段階で表現することができる。また、図13(b)に示すように、音声設定画面においては、音量、高さ、スピードの選択肢を1〜5の5段階(数字)で表示することができる。すなわち、使用者がある音量(1〜5)を選択すると、動作制御部43cは、選択された音量でスピーカ23から各報知を行うように制御し、使用者があるスピード(1〜5)を選択すると、動作制御部43cは、選択されたスピードでスピーカ23から各報知を行うように音声合成装置22に対して音声制御信号を送信する。また、文字サイズや音量等の数字による5段階表示を、図13(c)に例示するように、棒グラフ等によって視覚的に表現するようにしてもよい。もっとも、各選択肢は5段階に限るものではなく、適宜増減するようにしてもよい。
(変形例1の効果)
本変形例1の加熱調理器61Aにおける表示設定画面では、設定内容の内の表示形態を具体的に示す構成を採ったため、個別制御情報を設定する際に、使用者が各イメージを捉えやすくなることから、設定項目選択の円滑化を図ることができる。また、本変形例1の加熱調理器では、文字サイズや音量等の選択肢を段階的に表示する構成も採用できるため、使用者に、設定項目を選択しやすいという利点を提供することができる。すなわち、本変形例1の加熱調理器61Aによれば、より細かく出力形態の個別設定を行えるため、ユーザビリティの向上を図ることができる。
〈変形例2〉
本発明の第1実施形態に係る加熱調理器の変形例2を、図14及び図15を参照して説明する。本変形例の加熱調理器では、使用者が個別制御情報等を詳細に設定する必要のない簡易登録モード(らくらく設定モード)を採用した点に特徴がある。本変形例2の加熱調理器61Bにおいて、加熱調理器61と同一の構成部材には同一の符号を用いて、その説明については省略する。
本変形例2では、図14に例示するような簡易登録用設定画面(らくらく設定画面)及びこれに対応する各情報(らくらく設定情報)が、予め記憶部45に格納されており、使用者による個人情報の入力が完了した際に、操作処理部43aがメイン操作部27にらくらく設定画面を表示させる。加熱調理器61Bは、図11のステップS204における個別制御情報の設定に先立って、一項目ずつ使用者の好みに応じて設定できる詳細設定モードと、予め加熱調理器に登録されている複数の設定の組み合わせの中から好みの設定を選択できるらくらく設定モードとを選択する機能を有している。
加熱調理器61Bにおいては、各種設定項目について、特定の使用者向け(子供向け、老人向けなど)に予め設定した内容が記憶部45に格納されており、操作処理部43aが、らくらく設定情報を適宜読み出してメイン操作部27に表示させる。例えば、図14のような「らくらく設定」の画面上において、使用者が、設定(3)の年配向けを選択した場合には、文字や音量が大きく出力される設定となり、設定(1)の子供向けを選択した場合には、火力制限や調理モードの制限が加わり、音声による報知回数が増える設定となる、といったように、細かな設定が1クリックで完了する。使用者は登録されている複数の設定から自分の好みに近い組み合わせを選択することができる。また、各設定における詳細を選択すると、各設定の詳細な内容を確認できるようになっている。さらに、図14の設定(7)に示すAさん設定のように、一旦詳細設定モードにおいて登録した個別制御情報を(図11参照)、らくらく設定における1つの設定内容として追加・削除できるようにしてもよい。
ここで、らくらく設定モードを備えた本変形例2における加熱調理器61Bの動作を、図15に示すフローチャートに基づいて説明する。まず、図11におけるステップS201〜S203と同様に、操作処理部43aは、使用者から登録の要望に応じて認証用入力画面を表示させ(図15:ステップS301)、使用者による個人情報の登録が完了すると(図15:ステップS302)、認証フローで仮保存した生体情報を入力された個人情報に紐づけて登録情報記憶部45aに記憶させる(図15:ステップS303)。
次いで、本変形例2では、個別制御情報設定の入力画面を表示するのに先立って、操作処理部43aが、詳細設定モードとらくらく設定モードとの選択を促すガイドをメイン操作部27に表示させる(図15:ステップS304)。使用者が、らくらく設定モードを選択すると(図15:ステップS305/Yes)、操作処理部43aは、予め記憶部45に格納されている、らくらく設定用の設定画面をメイン操作部27に表示させる(図15:ステップS306)。
使用者が、必要に応じて各設定の詳細を確認し、表示された各設定の中から使用者の好みにあった設定を選択することで、選択された設定を示す操作信号を上面操作部3から受信すると(図15:ステップS307)、操作処理部43aは、メイン操作部27に設定確認画面を表示する。すなわち、図11に示すステップS206に移行する。一方、使用者が、詳細設定モードを選択すると(図15:ステップS305/No)、操作処理部43aは、メイン操作部27に個別制御情報設定の入力画面を表示させ、使用者による個別制御情報の入力・登録が完了すると、入力された設定内容としての個別制御情報を個人情報に関連づけて登録情報記憶部45aに記憶させる。すなわち、図11のステップS204に移行する。
(変形例2の効果)
本変形例2では、加熱調理器61の記憶部45内に、設定内容中の複数の項目を組み合わせた複数のパターンを予め記憶させておき、いずれか1つの設定パターンを使用者が簡易に選択できるように構成したため、使用者の好みを反映しつつ、登録時における設定の煩わしさを軽減することが可能となる。また、使用者は、必要に応じて、詳細設定モードを利用することもできるため、より個性的な加熱調理器の制御を実現させたい使用者のニーズにも応じることができる。
〈変形例3〉
本発明の第1実施形態に係る加熱調理器の変形例3を、図16に基づいて説明する。
本変形例3の加熱調理器では、認証により個人を特定し、個人に応じた個別制御を行う「個人モード」の他に、誰もが自由に使用できる「Everyoneモード(基本モード)」を備え、使用者の状況に応じて上記各モード間での切り替えができる構成を採った点に特徴がある。本変形例3の加熱調理器61Cにおいて、加熱調理器61と同一の構成部材には同一の符号を用いて、その説明については省略する。
ここで、モード切替機能を備えた本変形例3における加熱調理器61Cの動作を、図16に示すフローチャートに基づいて説明する。まず、使用者が上面主電源スイッチ7a又は前面主電源スイッチ7bをオンにすることで、制御部16等に電力が供給される(図16:ステップS401)。次に、操作処理部43aが、モード設定を促すガイドをメイン操作部27に表示させ(図16:ステップS402)、使用者が、個人モードとEveryoneモードとの何れか一方を選択する。使用者によってEveryoneモードが選択された場合には(図16:ステップS403/Yes)、動作制御部43cが、予め登録情報記憶部45aに登録されているEveryoneモード用の設定データを読み出し(図16:ステップS404)、Everyoneモードの設定情報に基づいて加熱調理器61の制御を開始する(図16:ステップS405)。一方、使用者によって個人モードが選択された場合には(図16:ステップS403/No)、動作制御部43cが、メイン表示部29に認証を促すガイドを表示させる。すなわち、図10のステップS102に移行し、加熱調理器61は、ステップS102〜S112に沿って動作する。
Everyoneモード又は個人モードで加熱調理器61を使用している間に、使用者が、メニュー画面(Menu画面)に表示されたモード設定変更を選択すると、操作処理部43aは、モード変更を行うか否かの確認画面をメイン操作部27に表示させることで、モード変更するか否かを使用者に確認する。使用者が、上記確認画面において、モード変更しない旨を示した場合には(図16:ステップS406/No)、メニュー画面においてモード設定変更を選択する前の設定で、動作制御部43cが加熱調理器61の制御を継続する(図16:ステップS407)。一方、使用者が、上記確認画面において、モード変更する旨を示した場合には(図16:ステップS406/Yes)、動作制御部43cがステップS402以降に示すモード変更処理を実行する。
(変形例3の効果)
本変形例3の加熱調理器61Cによれば、使用者が状況に合わせて、設定内容が登録認証データにより決定される個人モード又は設定内容が予め設定された基本設定により決定される基本モードを選択し、この選択に応じて動作制御部43cが制御内容を変更するため、使用者のニーズにより合致した設定を提供できることから、使用者に、より快適な調理環境を提供することができる。
〈変形例4〉
本発明の第1実施形態に係る加熱調理器の変形例4を、図17に基づいて説明する。
本変形例4の加熱調理器は、生体情報の認証時に、使用者が認証の正誤をセルフチェックするための機能(セルフチェック機能)を有する点に特徴がある。本変形例4の加熱調理器61Dにおいて、加熱調理器61と同一の構成部材には同一の符号を用いて、その説明については省略する。
ここで、使用者に認証結果をセルフチェックさせる機能を備えた本変形例4における加熱調理器61Dの動作を、図17に示すフローチャートに基づいて説明する。まず、使用者が上面主電源スイッチ7a又は前面主電源スイッチ7bをオンにすることで、制御部16等に電力が供給される(図17:ステップS501)。次に、動作制御部43cが、モード設定を促すガイドをメイン表示部29に表示させる(図17:ステップS502)。使用者が、認証部5にタッチ操作を行うと、認証データ生成装置15が、生体情報を生成し(図17:ステップS503)、照合判定部43bが、データ照合を実行し(図17:ステップS504)、適合率(F)と認証閾値(A)とを比較する(図17:ステップS505)。以上の動作内容は、図10におけるステップS101〜105と同様である。すなわち、生体情報と合致する登録認証データがなかった場合に(図17:ステップS505/No)、制御部16は、図10(認証フロー)におけるステップS110以降と同様の未登録処理を実行する。
一方、認証データと合致する登録認証データがあると判定した場合に(図17:ステップS505/Yes)、照合判定部43bは、該判定結果を動作制御部43cに通知する。動作制御部43cは、照合判定部43bから通知された判定結果を、当該登録認証データに関連づけられた情報及び判定結果が正しいか否かの確認を使用者が行うためのガイド(正誤確認を促すガイド)と共に出力する(図17:ステップS506)。なお、各情報の出力にあたっては、全ての情報を表示と音声で報知するようにしてもよいが、例えば、判定結果や正誤確認を促すガイドについては表示と音声の双方で報知し、個人情報等は表示のみにとどめるといったように、情報によって出力方法を変更するようにしてもよい。
使用者が、メイン操作部27において認証結果が正しい旨を示した場合に(図17:ステップS507/Yes)、照合判定部43bは、認証データと上記合致した登録認証データとを再比較する。この再比較において照合判定部43bは、予め設定された注意喚起閾値(B)を用いる(図17:ステップS508)。
適合率(F)が注意喚起閾値(B)以上の場合「(B)≦(F)の場合」は、図10のステップS106に移行する。すなわち、動作制御部43cは、図10に示す認証フローと同様に個別設定の情報を読み出して個別制御を実行する。一方、適合率(F)が注意喚起閾値(B)未満の場合「(A)<(F)<(B)の場合」に、照合判定部43bは、該再比較の結果を動作制御部43cに通知し、動作制御部43cは、認証部5の確認を促すガイドを出力する。すなわち、動作制御部43cは、認証部確認と認証部清掃を促すガイドを、メイン表示部29に表示させ、スピーカ23から報知させる(図17:ステップS509)。これ以降は、図17に示すように、そのまま図10のステップS106に移行するようにしてもよいし、使用者に再認証を促すようにしてもよい。
また、使用者が、メイン操作部27において認証結果の誤りを選択した場合、すなわち、加熱調理器61が認証した登録者と使用者とが合致しなかった場合に(図17:ステップS507/No)、照合判定部43bは、加熱調理器61に内蔵された認証回数カウンタのカウント数NをN=1に設定する。すなわち、認証回数カウンタにおいて、カウント数Nの初期値は0に設定されている(図17:ステップS510)。そして、照合判定部43bは、カウント数Nと予め設定された誤認基準回数Cとを比較し、カウント数Nが誤認基準回数Cよりも少なければ、動作制御部43cにカウント数Nが誤認基準回数C未満である旨を通知し、この通知を受けて動作制御部43cが、認証部5の確認を促すガイド及び再認証を促すガイドを出力する(図17:ステップS512、S513)。上記各ガイドの出力に応じて、使用者が認証部5に再度タッチすることで、ステップS503以降の再認証処理が実施される。
この再認証処理においても、使用者が、認証結果の誤りを選択した場合に(図17:ステップS507/No)、照合判定部43bは、認証回数カウンタのカウント数Nに1カウント追加してN=2とする(図17:ステップS510)。再認証処理は、カウント数Nが誤認基準回数C以上になるまで(カウント数Nと誤認基準回数Cとが一致するまで)実行される(図17:ステップS511)。
ステップS510におけるカウント数Nのインクリメントにより、カウント数Nと誤認基準回数Cとが一致すると(図17:ステップS511/No)、照合判定部43bは、カウント数Nが誤認基準回数C以上となった旨を動作制御部43cに通知し、動作制御部43cが、認証失敗(認証NG)の旨を出力する(図17:ステップS514)。次いで、動作制御部43cは、登録やり直しを行うか否かを確認する報知を行い、使用者が登録やり直しを選択した場合には(図17:ステップS515/Yes)、図11に示す登録フローに移行する。
使用者が登録やり直しを選択しなかった場合に(図17:ステップS515/No)、動作制御部43cは、Everyoneモードへの切り替えを行うか否かを確認する報知を行い、使用者がEveryoneモードへの切り替えを選択した場合は(図17:ステップS516/Yes)、図16のステップS404に移行し、Everyoneモード設定を読み出し、Everyoneモードでの制御を開始する。使用者がEveryoneモードへの切り替えを選択しなかった場合に(図17:ステップS516/No)、動作制御部43cは、加熱調理器61の電源をオフにする(図17:ステップS517)。
本変形例4では、セルフチェック機能の比較データとして、検出ポイントの適合率を用いた動作を説明したが、セルフチェック機能の比較データとしては、認証データ検出装置が画像データ作成のために用いたデータ、例えば、映像素子の光量(光学式)や電極の電荷量(静電容量式)を用いるようにしてもよい。
(変形例4の効果)
本変形例4の加熱調理器61Dは、使用者に認証結果をセルフチェックさせる機能を設けたことから、生体認証の正誤を確認する機会を使用者に提供することができるため、認証部5の汚れ等に起因した誤検知の可能性を低減させ、誤検知に基づく誤動作によって生じる使用者の再設定の手間や作業効率の低下を低減することができる。
〈変形例5〉
本発明の第1実施形態に係る加熱調理器の変形例5を、図18に基づいて説明する。
本変形例5の加熱調理器は、上述した変形例3における個人モードとEveryoneモードとのモード切替機能に加えて、使用者が、個人モード又はEveryoneモードを限定して利用できるモード限定機能を有する点に特徴がある。すなわち、個人モードに限定された個人Onlyモードと、Everyoneモードに限定されたEveryone Onlyモードとを有している。本変形例5の加熱調理器61Eにおいて、加熱調理器61と同一の構成部材には同一の符号を用いて、その説明については省略する。
ここで、モード限定機能を有する本変形例5における加熱調理器61Eの動作を、図18に示すフローチャートに基づいて説明する。使用者が主電源スイッチ7をオンして制御部16等に電力が供給されると(図18:ステップS601)、制御部16が、限定モードの設定を促すガイドを出力し(図18:ステップS602)、使用者がモードの選択を実行する(図18:ステップS603)。ここで、使用者が、Everyone Onlyモードを選択した場合に、制御部16は、Everyoneモードと判断し(図18:ステップS604)、図17のステップS504及びS505と同様に、予め登録情報記憶部45aに登録されているEveryoneモード用の設定データを読み出し(図18:ステップS608)、Everyoneモードの設定情報に基づいて加熱調理器61の制御を開始する(図18:ステップS609)。また、制御部16は、メニュー画面において、モード設定変更を促す表示をしないように制御する。
また、使用者により、個人Onlyモードが選択された場合に、制御部16は、個人モードと判断し(図18:ステップS605)、図10のステップS102に移行して個人を特定し、登録情報記憶部45aに登録されている個別制御情報に基づいて、加熱調理器61の個別制御を開始する。この場合も制御部16は、メニュー画面において、モード設定変更を促す表示をしないように制御する。
使用者により、切替可能モードが選択された場合に(図18:ステップS606)、制御部16は、加熱調理器61をEveryoneモードと個人モードのどちらで使用するかの確認を促し、使用者によってEveryoneモードが選択された場合には、上記同様にEveryoneモードの設定情報に基づいて加熱調理器61の制御を開始する(図18:ステップS608、S609)。一方、使用者によって個人モードが選択された場合には、上記同様に図10のステップS102へと移行し、個別制御情報に基づく加熱調理器61の個別制御を開始する。
上記各モードでの加熱調理器61の使用中に、使用者は、メニュー画面に表示された限定モード変更を選択することで、限定モードを切り替えることができる。すなわち、使用者により、限定モード変更が選択されると、制御部16は、限定モードを変更するか否かの確認を使用者に促し、使用者が限定モードの変更を選択すると(図18:ステップS610)、ステップS602に戻って限定モードの変更処理を実行する。一方、使用者が限定モード不変を選択すると、メニュー画面の限定モード変更を選択する前の設定により、制御部16が加熱調理器61Eの制御を継続する(図18:ステップS611)。
(変形例5の効果)
本変形例5の加熱調理器61は、モードを限定する機能を有するため、個人モード又はEveryoneモードの何れか一方を限定的に利用する使用者にとって、電源オン時に毎回使用モードの設定を選択する、という作業が不要となるため、使用者の煩わしさを排除することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る加熱調理器を図19及び図20を参照して説明する。図19は、加熱調理器62Aの上面を示す概略図である。図19に示すように、加熱調理器62Aは、利用者を示す生体情報を生成する認証部5が、上面操作部3内に配置されていることを特徴とする。すなわち、認証部5の配置以外の構成内容は、上述した第1実施形態の加熱調理器61と同様であるため、重複する説明については省略するものとし、加熱調理器61と同等の構成部材については同一の符号を用いるものとする。
認証部5は、上面操作部3の左端部に設けられており、前述の第1実施形態と同様に、認証窓37と認証データ生成装置15とから成る(図4参照)。もっとも、認証部5の配置は、適宜変更可能であり、例えば、上面操作部3の右端部に設けるようにしてもよい。
図19に示す加熱調理器62Aでは、認証部5が、本体1の上面に位置する上面操作部3に設けられているが、図19に示す加熱調理器62Bのように、本体1の前面に位置する前面操作部4に設けるようにしてもよい。また、認証部5は、前面操作部4の右端部に設けられているが、例えば、前面操作部4の左端部に設けるというように、任意に変更した構成を採ってもよい。本第2実施形態では、認証部5が、本体1の上面又は前面の何れかに設けられた構成を説明したが、認証部5を、本体1の上面と前面との双方に設けるようにしてもよい。
(第2実施形態の効果)
本第2実施形態では、加熱調理器62Aの上面操作部3又は加熱調理器62Bの前面操作部4内に認証部5を配置するという構成を採ったため、認証部5が有する認証データ生成装置15を、上面操作部3又は前面操作部4と同一の基板に設置することができることから、基板や配線、部品数の削減を実現することができる。また、上記基板の共通化により、認証データ生成装置15及び上面操作部3又は前面操作部4への電力供給や認証データ生成装置15及び上面操作部3又は前面操作部4に対する冷却処理等も一括して行うことができる。加えて、加熱調理器62Aによれば、前述の第1実施形態と同様に、使用者の利便性の向上を図ることができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る加熱調理器を図21〜図25を参照して説明する。本第3実施形態の加熱調理器は、利用者を示す生体情報を生成する認証部が、主電源スイッチと一体的に設けられている点と、該認証部の構成として静電容量式センサを採用した点に特徴があり、該認証部以外の構成内容は、上述した第1実施形態の加熱調理器61と同様である。したがって、第1実施形態と重複する説明については省略するものとし、加熱調理器61と同等の構成部材については同一の符号を用いるものとする。
図21に示すように、加熱調理器63Aは、利用者を示す生体情報を生成する認証部5Aが、上面主電源スイッチ7a(上面主電源スイッチ7aの近傍も含む)に配置されていることを特徴とする。認証部5Aは、電極と皮膚表面の距離に応じて静電容量が変わることを利用した静電容量方式の指紋認証に対応する機能を有するものである。すなわち、認証部5Aは、内包する電極の電荷量が対象物の凹凸によって異なることを利用して当該対象物の情報を検出する静電容量式センサを内包している。
図22に示すように、認証部5Aは、主電源スイッチ7の中央に形成された窓である保護膜46と、保護膜46の下方に配置された認証データ生成装置15Aとを有している。保護膜46の部分には、物理的な穴は設けられていない。また、認証データ生成装置15Aは、電極47と、電荷量解析処理部48とを有している。
使用者により主電源スイッチ7がオンされると、制御部16に対して電源部14から所定の電力が供給され、制御部16が起動して制御動作を開始する。認証部5Aの電荷量解析処理部48は、使用者によって上面主電源スイッチ7aがオンされた直後に、電極47が保持する電荷Qの変化量を検出するものである。電極47が保持する電荷Qの変化は、電極47と指先FGの皮膚表面の距離に応じて静電容量が変わることに起因して生じ、電極47と指先FGの皮膚表面との距離が遠ければ電荷Qは少なくなり、該距離が近ければ電荷Qは多くなる。
すなわち、電荷量解析処理部48は、電極47に電荷Qがたまる割合が、指先FGの指紋の凹凸によって異なることから、電極47と指先FGとの間の各位置における電荷Qの量を数値に変換し、変換した数値を更にデジタル画像に変換するものである。また、電荷量解析処理部48は、読み取った指紋画像から特徴点を抽出してデータ化し、このデータ化した生体情報を制御部16にリアルタイムで伝達するものである。制御部16内のユーザI/F制御部43は、前述の第1実施形態と同様に、電荷量解析処理部48から生体情報を取得すると共に、この生体情報を記憶部45に記憶されている登録認証情報と照合し、合致するデータの有無を判定するものである。
図21では、認証部5Aが本体1の上面に位置する上面主電源スイッチ7aに設けられた構成を示したが、図23に示す加熱調理器63Bのように、認証部5Aを、本体1の前面(使用者側)に位置する前面主電源スイッチ7bと一体的に設けるようにしてもよい。また、図24に示すような押し込み式である押込式主電源スイッチ7cを、加熱調理器63Bにおける前面操作部4上の前面主電源スイッチ7bに代えて採用し、認証部5Aを押込式主電源スイッチ7cと一体的に設けるようにしてもよい。
また、指紋認証の方式としては、図22のような静電容量方式だけでなく、光学式や電界強度測定方式、感圧式、感熱式等を採用してもよく、例えば、図25に示すように、光センサを用いた指紋認証の方式を採用してもよい。図25の認証部5Bは、上面主電源スイッチ7a又は前面主電源スイッチ7bと一体的に設けられており、上述した第1実施形態の場合と同様の構成である。すなわち、認証部5Bは、認証窓37と認証データ生成装置15Bを有すると共に、認証データ生成装置15Bは、発光部38と、プリズム39と、集光レンズ40と、映像素子41と、解析処理部42とを有している。認証手段としては、静脈認証等の生体認証を用いてもよい。また、図21又は図23では、認証部5Aが、上面主電源スイッチ7a又は前面主電源スイッチ7b内に設ける場合について例示しているが、認証部5A及び5Bは、上面主電源スイッチ7a又は前面主電源スイッチ7bに隣接する位置に配置するようにしてもよい。このように配置しても、使用者は、例えば2本の指の内の一方の指でスイッチをオンし、他方の指で認証部5A又は5Bに触れるという操作を実行できるため、上面主電源スイッチ7a又は前面主電源スイッチ7bのオン操作と、認証部5A又は5Bへのタッチ操作とを同時に行うことができる。本第3実施形態では、認証部5A又は5Bが、本体1の上面又は前面の何れかに一方に設けられた構成を説明したが、認証部5A又は5Bを、本体1の上面と前面との双方に設けるようにしてもよい。
(第3実施形態の効果)
本第3実施形態の加熱調理器63A及び63Bでは、利用者を示す生体情報を生成する認証部5A又は5Bを、上面主電源スイッチ7a又は前面主電源スイッチ7b内又はその近傍に設けるという構成を採ったため、使用者の上面主電源スイッチ7a又は前面主電源スイッチ7bのオン操作とほぼ同時に、認証部5A又は5Bが自動的に生体情報を生成することができる。すなわち、使用者が上面主電源スイッチ7a又は前面主電源スイッチ7bを操作した後に別途行う必要があった認証部へのタッチ操作が不要となったため、認証作業を使用者に意識させることがなくなることから、使用者の認証作業の煩わしさを低減することができる。加えて、加熱調理器63A及び63Bによれば、前述の第1実施形態と同様に、使用者の利便性の向上を図ることができる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る加熱調理器を図26〜図28を参照して説明する。本第4実施形態の加熱調理器では、使用者が対向する本体1の前面主電源スイッチ7bと一体的に認証部を設けた点で、前述の第3実施形態における加熱調理器63B(図23)と共通し、該認証部が光学式の指紋認証のための機能を有する点で図25に示した例と共通する。しかし、前面主電源スイッチ7bの中央に物理的に穴を設けて、認証部5を前面主電源スイッチ7bと一体的に配設した点に特徴がある。ここで、上述した加熱調理器61と同等の構成部材については同一の符号を用いるものとし、重複する説明については省略する。
図26及び図27に示すように、本第4実施形態における加熱調理器の認証部5Cは、主電源スイッチ7の中央に形成した物理的な穴である認証穴50と、認証データ生成装置15Cとにより構成されている。認証データ生成装置15Cは、発光部38と、前面主電源スイッチ7bの指が接触する部位から奥まった個所に配置されたプリズム39と、集光レンズ40と、映像素子41と、解析処理部42と、解析処理部42が装備された基板(図示せず)から垂直に延伸した発光部38側の支柱51a及び映像素子41側の支柱51bと、を有している。すなわち、2本の支柱51a及び51bによってプリズム39を支えるように構成したことで、プリズム39が上記基板から一定の距離の位置に固定されている。また、図27に示すように、図26に示す構成から、2本の支柱51a及び51bを取り除くと共に、プリズム39を電源スイッチ側の内側壁面に固定するという構成を採ってもよい。なお、認証部5Cは、上面主電源スイッチ7aに設けるようにしてもよいが、本実施形態では、上方からの埃等の混入を考慮して、前面主電源スイッチ7bに設けている。
(第4実施形態の効果)
本第4実施形態の加熱調理器62Dでは、前面主電源スイッチ7b内に、保護ガラス等を有しない認証部5Cを設置したため、保護ガラス等を介さずに直接的な指紋認証を行うことができることから、認証部5Cのセンサとしての感度が向上し、精度よく生体情報を生成することができる。また、プリズム39を前面主電源スイッチ7bから奥まった個所に配置することで、センサのガラス面(プリズム39の表面)に付着する指の油膜等による汚れを軽減でき、センサとしての寿命を延長することができる。なお、横方向に配置された前面主電源スイッチ7bと認証部5Cとを一体的に設けるように構成したため、認証穴50への埃等の混入を防ぐことができることから、保護ガラス等を有しない構成の認証部を実現することができる。加えて、加熱調理器62Dによれば、前述の第1実施形態と同様に、使用者の利便性の向上を図ることができる。
(第5実施形態)
本第5実施形態の加熱調理器は、携帯電話又はタブレット端末といった外部機器との間で通信を行う通信部(通信手段)を備え、遠隔地からの制御を可能とした点に特徴がある。したがって、他の構成内容は、上述した第1〜第4実施形態の加熱調理器と同様であるため、重複する説明については省略し、同等の構成部材については同一の符号を用いるものとする。
図29は、本第5実施形態の加熱調理器が接続された図である。図29に示すように、加熱調理器65は、携帯端末91やタブレット端末92とのデータ通信を行う通信部(図示せず)を有しているため、登録された個人が、利用中の加熱調理器65の操作を、遠隔地から抑制(強制停止、火力制御)することができ、さらに、加熱調理器65の使用者や利用状況を遠隔地から確認することができる。すなわち、動作制御部43cは、携帯端末91等の外部機器から通信部を介して取得した制御信号に基づいて動作する機能を有している。
また、登録する個人情報として管理者権限を付加する機能を設け、管理者権限を付加された管理者が、記憶部45に記憶された情報を管理できるように構成してもよい。管理者には、例えば、登録者やその個別制御情報の内容の確認、登録内容の変更、加熱調理器65の遠隔操作といった権限が与えられる。管理者が、利用状況を確認したい対象者(子供や高齢者など)を予め登録しておくことで、該対象者が加熱調理器65を起動した場合に、加熱調理器65の動作状況が管理者の通信機器へと自動的に配信されるように構成してもよい。記憶部45に、複数の管理者のデータを登録認証データに関連づけて記憶しておくようにしてもよい。加えて、通信部が、電源部14から一定期間電力が供給されなかった場合に、管理者又は予め特定された使用者の通信機器に向けて一定期間電力が供給されなかった旨の信号を発信するようにしてもよい。
(第5実施形態の効果)
本第5実施形態の加熱調理器65は、管理者によって特定された管理対象者を記録しておくことができるため、管理者は、管理対象者による加熱調理器65の利用状況といった必要な情報を入手し、温度設定などの変更を適宜実行することができる。また、管理者のみが遠隔地操作を行えるように構成したため、不適切な外部アクセスを排除することが可能となる。さらに、上面主電源スイッチ7a又は前面主電源スイッチ7bが一定期間オンされず、電源部14から一定期間電力が供給されなかった場合に、通信部が、管理者又は予め特定された使用者の通信機器に向けて加熱調理器65が動作していない旨を送信するという構成により、通常は加熱調理器65を毎日使用する一人暮らしの高齢者等が、加熱調理器を一定期間以上使用しなかった場合に、管理者が高齢者等の異変を迅速に認識することができるため、高齢者の突然の発作などに対して迅速に対処することが可能となる。加えて、加熱調理器65によれば、前述の第1実施形態と同様に、使用者の利便性の向上を図ることができる。
(第6実施形態)
本第6実施形態の加熱調理器は、ホームネットワークシステムに接続され、ホームネットワークシステムの一構成として機能する点に特徴がある。したがって、他の構成内容は、上述した第1〜第5実施形態の加熱調理器と同様であるため、重複する説明については省略し、同等の構成部材については同一の符号を用いるものとする。
図30は、本第6実施形態の加熱調理器66が接続されたホームネットワークシステムのイメージを示す図である。加熱調理器66は、他のホームネットワークシステムに接続される家電機器と連動して制御されるものである。図30では、使用者Uが在住する家150に配設された集中コントローラ100に、加熱調理器66と、PC120と、TV130と、モニタ141と、バス用モニタ142と、が接続されている様子を示す。加熱調理器66は、外部機器との接続によりネットワークを構築する集中コントローラ100を介して外部機器との通信を行う通信部を有するものであり、動作制御部43cは、外部機器から通信部を介して取得した制御信号に基づいて動作する機能を有している。したがって、使用者等は、携帯端末91やタブレット端末92により、集中コントローラ100を介して加熱調理器66を管理することができる。なお、集中コントローラ100には、加熱調理器66の上方に位置する換気扇、エアコン、冷蔵庫なども接続することができる。したがって、例えば、使用者等から携帯端末91等を介して送信される制御信号により、加熱調理器66と換気扇とを同時に起動させるといった動作を実現することができる。
本第6実施形態の本加熱調理器66によれば、加熱調理器66の使用者や加熱調理器66の利用状況をホームネットワークに送信し、家庭内で利用状況に関する情報を共有することができる。したがって、低学年の児童等が加熱調理器66を利用し始めたといった状況を、遠隔地から把握することができるため、必要に応じて状況を確認しに行くといった行動をとることが可能となる。また、本第6実施形態では、加熱調理器66をホームネットワークシステムに組み込むという構成を採ったため、電力を家全体で一括して管理でき、使用量が高い時は、加熱調理器66の高電力を投入する機能を制限したり、使用者に電力使用状況を報知することが可能となる。さらに、電力配給方法(送電力、蓄電池、太陽光の家庭発電装置、電気自動車、等)の切り替えや自然災害や火事、等の緊急事態での強制停止などが一括して実施されるため、個別に制御する必要がなくなるという利点がある。加えて、加熱調理器66によれば、前述の第1実施形態と同様に、使用者の利便性の向上を図ることができる。
なお、上述した各実施形態は、加熱調理器における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術的範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。例えば、上記各実施形態では加熱口が3つの場合を例示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、トッププレート2にさらに1つ以上の加熱口を設ける構成としてもよいし、トッププレート2に1つ又は2つの加熱口を設ける構成としてもよい。また、複数の加熱口のうちの任意の加熱口に採用する熱源として、輻射型熱源となる電気ヒーター(例えばニクロム線やハロゲンヒーター、ラジェンドヒーター等)を、加熱部に代えて用いるようにしてもよい。加えて、複数の加熱口を横方向に一列に配置する構成を採ってもよい。