JP6253684B2 - 炊飯器および容器 - Google Patents

炊飯器および容器 Download PDF

Info

Publication number
JP6253684B2
JP6253684B2 JP2016013890A JP2016013890A JP6253684B2 JP 6253684 B2 JP6253684 B2 JP 6253684B2 JP 2016013890 A JP2016013890 A JP 2016013890A JP 2016013890 A JP2016013890 A JP 2016013890A JP 6253684 B2 JP6253684 B2 JP 6253684B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating film
container
rice cooker
surface portion
outer peripheral
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016013890A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017131398A (ja
Inventor
百合子 荒津
百合子 荒津
ちひろ 伊藤
ちひろ 伊藤
永田 滋之
滋之 永田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2016013890A priority Critical patent/JP6253684B2/ja
Publication of JP2017131398A publication Critical patent/JP2017131398A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6253684B2 publication Critical patent/JP6253684B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cookers (AREA)

Description

本発明は、容器を加熱して炊飯する炊飯器、およびその容器に関する。
炊飯器には、米のこびり付きを防止して清掃性を向上させるため、容器の内面に撥水性の塗膜を形成したものがある。撥水性の塗膜を形成すると、沸騰により生じた気泡が容器の内面から離脱しにくくなり、気泡の多くが容器の側面に沿って上昇する。そのため、炊飯液を対流させる効果が十分に得られず、炊きムラが生じる場合がある。また、気泡が容器の側面に沿って上昇するため、炊き上がり表面は、中央部が凹んだ形状となり、美味しさを想起させる山なりの形状が得られない。
そこで、特許文献1に記載された炊飯器では、容器の底部の内面に、撥水性のPFAあるいはPTFEと親水性の充填剤とを配合した塗膜を形成し、塗膜の表面に充填剤の一部を露出させている。これにより、容器の底部から小さい気泡を多数発生させ、対流を促進している。
また、特許文献2に記載された炊飯器では、容器の底部の内面に、沸騰の起点となる複数の凹部を形成している。これにより、気泡を容器の底部から離脱しやすくし、対流を安定させている。
特開2009−034378号公報(段落0028〜0033参照) 国際公開第2012/153444号(段落0063参照)
上述した従来の炊飯器では、気泡の大きさ等を制御して対流を促進しているが、炊き上がり表面が山なり形状(すなわち、ふっくらとした美味しさを想起させる形状)にならない。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、炊きムラを低減し、炊き上がり表面が山なり形状になる炊飯器を提供することを目的とする。
本発明に係る炊飯器は、底部と、底部の外周に設けられた周壁部とを有する容器と、容器を収容する本体部と、容器を加熱する加熱部とを備える。底部の内面には、親水性が異なる複数の表面部が設けられている。当該複数の表面部は、第1の表面部と、第1の表面部よりも外周側に配置され、且つ第1の表面部よりも親水性が高い第2の表面部とを含む。
本発明に係る容器は、底部と、底部の外周に設けられた周壁部とを備える。底部の内面には、親水性が異なる複数の表面部が設けられている。当該複数の表面部は、第1の表面部と、第1の表面部よりも外周側に配置され、且つ第1の表面部よりも親水性が高い第2の表面部とを含む。
本発明によれば、底部の第1の表面部および第2の表面部のうち、外周側の第2の表面部の親水性が高いため、気泡は大きく成長する前に第2の表面部で離脱しやすい。そのため、周壁部に到達する気泡の量が減少し、より内側を上昇する気泡が増加する。その結果、炊きムラを低減し、炊き上がり表面を山なり形状にすることができる。
実施の形態1の炊飯器の構成を示す断面図である。 実施の形態1の鍋状容器の構成を示す断面図(A)および平面図(B)である。 鍋状容器に撥水性の塗膜を設けた場合の気泡の発生状態を模式的に示す断面図(A)および炊き上がり表面の形状を模式的に示す断面図(B)である。 鍋状容器に親水性の塗膜を設けた場合の気泡の発生状態を模式的に示す断面図(A)および炊き上がり表面の形状を模式的に示す断面図(B)である。 実施の形態1の鍋状容器における気泡の発生状態を模式的に示す断面図(A)、および炊き上がり表面の形状を模式的に示す断面図(B)である。 実施の形態2の鍋状容器の構成を、気泡の発生状態と共に示す断面図(A)、炊き上がり表面の形状を模式的に示す断面図(B)、および他の構成例を示す断面図(C)である。 実施の形態3の鍋状容器の構成を、気泡の発生状態と共に示す断面図(A)、および鍋状容器の構成を示す平面図(B)である。 実施の形態3の鍋状容器の炊き上がり表面の形状を模式的に示す断面図である。 実施の形態4の鍋状容器の構成を、気泡の発生状態と共に示す断面図(A)、および鍋状容器の構成を示す平面図(B)である。 実施の形態4の鍋状容器の炊き上がり表面の形状を模式的に示す断面図である。 実施の形態5の鍋状容器の構成を示す断面図(A)、および鍋状容器の構成を示す平面図(B)である。 実施の形態5の鍋状容器における気泡の移動状態を模式的に示す図である。 各実施の形態の鍋状容器の他の構成例を示す図である。
本発明の各実施の形態の炊飯器について、家庭用IH(誘導加熱)式炊飯器を例に取って、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の炊飯器100の構成を示す断面図である。炊飯器100は、被加熱物(本実施の形態1では米200および水201)を入れた鍋状容器5を加熱コイル3で加熱することで、被加熱物を調理するものである。
炊飯器100は、鍋状容器5が着脱可能に収容される本体1(本体部)と、本体1の開口部を開閉する蓋体10とを備えている。本体1は、有底筒状の本体ケース1a内に、容器カバー2と、容器カバー2の底部21に配設された加熱部としての加熱コイル3および鍋底温度センサ4とを備えている。
容器カバー2は、底部21と、底部21の周囲に設けられた円筒状の周壁部22とを有し、上方に開口部を有している。容器カバー2の周壁部22の上端縁は、本体1の開口部の内周面に固定されている。容器カバー2の底部21の中央には、鍋底温度センサ4を取り付けるための孔部2aが形成されている。
容器カバー2の内側には、容器としての鍋状容器5が着脱可能に収容されている。鍋状容器5は、底部51と、底部51の周囲に設けられた円筒状の周壁部52とを有し、上方に開口部を有する容器であり、被加熱物(ここでは米200および水201)を収容する。鍋状容器5は、誘導加熱によって発熱する磁性体の金属で構成されている。
加熱コイル3は、容器カバー2の底部21に対向するように配設された誘導加熱コイルである。ここでは、加熱コイル3は、鍋状容器5の中心軸(図2(A)に示す中心軸C)を中心としてスパイラル状に巻かれた単一の環状コイルで構成されており、内周端3aと外周端3bとを有している。
加熱コイル3は、後述する制御部8の制御により、図示しない電源部およびインバータ回路を介して高周波電流が供給され、高周波磁界を発生する。加熱コイル3の発生する高周波磁界によって、磁性体で構成される鍋状容器5に渦電流が発生し、渦電流と鍋状容器5の抵抗とでジュール熱が発生する。
なお、加熱部として、加熱コイル3の代わりにシースヒータ等の電気ヒータを用いてもよい。また、加熱コイル3の配置は、図1に示した配置に限定されない。例えば、容器カバー2の底部21に対向する位置の他に、容器カバー2の周壁部22に対向する位置に加熱コイル3を配置してもよい。
容器カバー2の底部21の孔部2aには、鍋底温度センサ4が配置されている。鍋底温度センサ4は、例えばサーミスタであり、鍋状容器5の温度を検知する。鍋底温度センサ4は、バネ等の弾性部材によって上方に付勢されており、鍋状容器5の底部51の下面に当接している。鍋底温度センサ4は、検知した温度情報を制御部8に出力する。
なお、鍋底温度センサ4は、サーミスタに限定されない。鍋底温度センサ4は、鍋状容器5に接触して温度を検知する接触式温度センサ、および鍋状容器5に接触せずに温度を検知する非接触式温度センサ(例えば赤外線センサ)のいずれであってもよい。
本体1の上部の一端側(図1の左側)には、蓋体支持部としてのヒンジ部6が設けられている。ヒンジ部6は、本体1の開口部を覆う蓋体10を開閉自在に支持する。
蓋体10は、外蓋11と内蓋12とを有している。外蓋11は、蓋体10の上部および側部を構成している。外蓋11には、着脱可能なカートリッジ14が取り付けられ、外蓋11の上面には操作表示部15が設けられている。
外蓋11の下面(鍋状容器5に対向する面)には、係止材13を介して、内蓋12が着脱自在に取り付けられている。また、外蓋11の下面には、内部温度センサ16が取り付けられている。
内蓋12は、鍋状容器5の開口部を覆っている。内蓋12の外周縁には、鍋状容器5との間を封止するシール材であるパッキン9が取り付けられている。内蓋12には孔部12aが形成されており、この孔部12aには、外蓋11に取り付けられた内部温度センサ16が挿入されている。
内部温度センサ16は、孔部12aを介して鍋状容器5内の温度を検知し、検知した温度情報を制御部8に出力する。内部温度センサ16は、例えばサーミスタで構成することができる。
また、内蓋12には、鍋状容器5内で発生した蒸気が出入する蒸気口12bが形成されている。この蒸気口12bは、カートリッジ14の蒸気取入口14aに通じている。なお、外蓋11には、内蓋12の孔部12aに挿入された内部温度センサ16の外周の隙間を塞ぐパッキン11aが取り付けられている。
カートリッジ14は、炊飯中に発生する蒸気圧に応じて上下動する弁(図示せず)を備えた蒸気取入口14aと、蒸気取入口14aの弁を通過した蒸気を外部に排出する蒸気排出口14bとを有している。蒸気取入口14aは、内蓋12の蒸気口12bに通じている。鍋状容器5内で発生した蒸気は、蒸気口12bを通過して蒸気取入口14aからカートリッジ14内に入り、カートリッジ14内を流れて蒸気排出口14bから外部に流出する。カートリッジ14内を流れる過程で蒸気が冷却されて復水するため、炊飯器100の外部に流出する蒸気量を減少させることができる。
外蓋11の上面に設けられた操作表示部15は、ユーザ(操作者)による操作入力を受け付けると共に、操作入力に関する情報および炊飯器100の状態を表す情報を表示する。操作表示部15を用いて設定可能な項目には、例えば、炊飯の開始、取り消し、炊飯予約、および炊飯メニューがある。操作表示部15が表示する項目には、例えば、炊飯中または予約待機中等の炊飯器100の状態、設定されている炊飯メニューの内容、炊き上がりの予定時刻、現在時刻、および炊飯する米の量等がある。
本体1は、さらに、制御部8と、時間計測部7とを備えている。制御部8には、鍋底温度センサ4および内部温度センサ16からの検出温度情報、および操作表示部15からのユーザの操作情報が入力される。制御部8は、これらの入力情報に基づき、炊飯プログラムに従って炊飯工程を実行し、加熱コイル3に高周波電流を流す制御を行う。
制御部8は、回路デバイスのようなハードウェアで構成してもよく、あるいは、マイクロコントローラまたはCPU(Central Processing Unit)のような演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとで構成してもよい。
時間計測部7は、制御部8からの指示信号に基づいて経過時間をカウントする。時間計測部7がカウントした経過時間は、制御部8に出力される。
次に、鍋状容器5の構成について、図2を参照して説明する。図2(A)および(B)は、実施の形態1の鍋状容器5の構成を示す断面図および平面図である。鍋状容器5は、上記の通り、誘導加熱により発熱する磁性体で構成されている。
図2(A)に示すように、鍋状容器5は、円板状の底部51と、底部51の周囲に沿って延在する円筒状の周壁部52と、底部51に対向する開口部とを有する有底円筒形状の部材である。周壁部52の上端部の外周に沿って、フランジ部53が設けられている。この実施の形態1では、底部51の内面は、凹凸等を有さない平坦面である。
円筒形状の周壁部52の中心軸(符号Cで示す)を、鍋状容器5の中心軸とする。周壁部52の半径方向を「径方向」と称する。また、鍋状容器5内において、周壁部52に近い側を「外周側」と称し、中心軸Cに近い側を「中央側」と称する。また、底部51の内面すなわち上面を、「底面」と称する。
底部51の内面の中央領域(径方向中央に位置する領域)を底面中央部51aとする。また、底部51の内面において、底面中央部51aの外周側の領域を、底面外周部51bとする。底面外周部51bは、底面中央部51aを囲むリング状の領域である。
鍋状容器5の内面には、塗膜50(コーティング膜)が設けられている。塗膜50は、底部51の底面中央部51aに設けられた塗膜中央部50a(第1の表面部:第1の塗膜部)と、底面外周部51bに設けられた塗膜外周部50b(第2の表面部:第2の塗膜部)と、周壁部52の内面に設けられた塗膜側面部50dとを有している。
図2(B)に示すように、塗膜中央部50aは中心軸Cを中心とする円形に形成されている。塗膜外周部50bは、塗膜中央部50aを囲むリング状に形成されている。また、塗膜側面部50dは、塗膜外周部50bを囲むリング状に形成されている。
なお、塗膜側面部50dは、周壁部52の上端まで達している必要はなく、周壁部52の内面のうち被加熱物に接する領域に設けられていればよい。
この実施の形態1では、鍋状容器5の内面の塗膜50は、塗膜外周部50bの親水性が塗膜中央部50aの親水性よりも高く、また、塗膜外周部50bの親水性が底部51dの親水性よりも高くなるように形成されている。このように親水性を異ならせることにより、鍋状容器5の外周側ほど小さな気泡を発生させ、また、周壁部52(側面)に沿って上昇する気泡を少なくする効果を達成している。以下では、この原理について説明する。
まず、実施の形態1に対する比較例として、鍋状容器5の内面に撥水性の塗膜(すなわち親水性の低い塗膜)501を設けた例について説明する。図3(A)は、鍋状容器5の内面に撥水性の塗膜を設けた場合の気泡の発生状態を模式的に示す断面図である。図3(B)は、炊き上がり表面の形状を模式的に示す断面図である。なお、ここでは、説明の便宜上、実施の形態1で用いた符号と同じ符号を用いて説明する。
撥水性の塗膜とは、例えば、水に対する接触角が90°〜110°の塗膜を言う。ここでは、鍋状容器5の内面にフッ素系樹脂をコーティングすることにより、撥水性の塗膜501を形成している。
撥水性の塗膜(親水性の低い塗膜)501は水を弾き、米200のこびり付きも少ない。そのため、鍋状容器5を洗浄しやすく、清掃性が良いという利点がある。一方、撥水性の塗膜501は、気泡の付着性が高い。
炊飯器100では、加熱コイル3(図1)に高周波電流を流すことにより、鍋状容器5を加熱する。そのため、加熱コイル3に対向している底部51が最も高温に加熱される。底部51が加熱されることにより、鍋状容器5内の被加熱物に含まれる水が蒸発し、気泡(沸騰気泡とも称する)が発生する。
上記のように、撥水性の塗膜501は、気泡の付着性が高い。そのため、底部51で発生した気泡のうち、塗膜501への付着力を浮力が上回る大きさに成長した気泡のみが、塗膜501から離脱する。従って、気泡のサイズは大きくなる。
また、気泡が塗膜501に接触しながら成長している間に、底部51から周壁部52側に移動した場合、気泡は周壁部52の塗膜501に接触しながら上昇する。
すなわち、鍋状容器5の内面に撥水性の塗膜501を設けた場合、図3(A)に示すように、気泡のサイズが大きくなり、また周壁部52(側面)に沿って上昇する気泡の割合が多くなる。
このように周壁部52に沿って上昇する気泡が多いと、被加熱物(米200および水201)を通過する気泡が少なくなり、その結果、被加熱物の全体に十分な熱が伝達されず、炊きムラが生じる。
また、周壁部52側に気泡が集中しやすいため、炊き上がり表面は、図3(B)に示すように中央が窪んだ形状になる。すなわち、山なり形状(ふっくらとした美味しさを想起させる形状)の炊き上がり表面が形成されない。
次に、別の比較例として、鍋状容器5の内面に親水性の塗膜502を設けた例について説明する。図4(A)は、鍋状容器5の内面に親水性の塗膜502を設けた場合の気泡の発生状態を模式的に示す断面図である。図4(B)は、炊き上がり表面の形状を模式的に示す断面図である。
親水性の塗膜とは、例えば、水に対する接触角が90°未満の塗膜を言う。ここでは、鍋状容器5の内面に親水性を有する材料をコーティングすることにより、親水性の塗膜502を形成している。
親水性の塗膜502は、気泡の付着性が低い。そのため、鍋状容器5の底部51で沸騰により発生した気泡は、大きく成長する前に塗膜502から離脱する。従って、気泡のサイズは小さくなる。一方、塗膜502に対する付着性の低さのため、周壁部52に沿って上昇する気泡は少ない。
すなわち、鍋状容器5の内面に親水性の塗膜502を設けた場合、図4(A)に示すように、小さい気泡が、底部51の全体から均一に発生する。この場合、撥水性の塗膜501を設けた場合(図3)と比較して、被加熱物を通過する気泡が多いため、炊きムラは減少する。
一方、親水性の塗膜502は米200のこびり付きが発生しやすく、清掃性が低い。また、小さい気泡が底部51の全体から均一に発生するため、図4(B)に示すように、炊き上がり表面は平坦な形状となる。平坦な炊き上がり表面は、中央が窪んだ炊き上がり表面(図3)よりは望ましいが、山なり形状のようにふっくらとした美味しさを想起させる形状ではない。
この実施の形態1は、図3および図4を参照して説明した撥水性の塗膜および親水性の塗膜の特性を考慮して、被加熱物の加熱効率を向上すると共に、山なり形状の炊き上がり表面を得ることを可能にし、さらに鍋状容器5の清掃性を改善したものである。
図5(A)は、実施の形態1の鍋状容器5の気泡の発生状態を模式的に示す断面図である。図5(B)は、炊き上がり表面の形状を模式的に示す断面図である。上記の通り、この実施の形態1では、塗膜外周部50bの親水性が塗膜中央部50aの親水性よりも高く、塗膜外周部50bの親水性が塗膜側面部50dの親水性よりも高い。
言い換えると、塗膜中央部50aおよび塗膜側面部50dは、塗膜外周部50bよりも撥水性が高い(すなわち気泡の付着性が高い)。
特に望ましい例では、塗膜中央部50aは撥水性であり、塗膜外周部50bは親水性であり、塗膜側面部50dは撥水性である。言い換えると、塗膜中央部50aの水に対する接触角は90°以上(より望ましくは90°以上、110°以下)であり、塗膜外周部50bの水に対する接触角は90°未満(より望ましくは5°以上、90°未満)であり、塗膜側面部50dの水に対する接触角は90°以上(より望ましくは90°以上、110°以下)であることが望ましい。
このような塗膜50の構成は、例えば、撥水性を有するフッ素樹脂を鍋状容器5の内面全体にコーティングしたのち、塗膜外周部50bに紫外線を照射することによって実現することができる。撥水性を有するフッ素樹脂は、紫外線の照射によって表面が改質されて親水化するためである。紫外線の照射時間が長く、波長が短いほど、接触角が小さくなる(すなわち親水性が高くなる)。
なお、撥水性を有するフッ素樹脂とは、例えば、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、またはPTTF(ポリテトラフルオロエチレン)である。
また、撥水性を有するフッ素樹脂を鍋状容器5の内面全体にコーティングしたのち、紫外線照射の代わりに、塗膜外周部50bの表面粗さを粗くすることによって親水化してもよい。あるいは、塗膜外周部50bを、フッ素樹脂以外の材料をコーティングすることによって形成してもよい。
塗膜中央部50aは撥水性を有し(すなわち親水性が低く)、従って気泡の付着性が高い。そのため、塗膜中央部50aで発生した気泡は、大きな気泡に成長して塗膜中央部50aから離脱する。すなわち気泡のサイズは大きい。
塗膜中央部50aで発生した気泡が外周側に移動すると、塗膜外周部50bは気泡の付着性が低いため、塗膜中央部50aと塗膜外周部50bとの境界部分で気泡が離脱する。
一方、塗膜外周部50bは親水性が高く、従って気泡の付着性が低い。そのため、塗膜外周部50bで発生した気泡は、大きく成長する前に塗膜外周部50bから離脱する。すなわち気泡のサイズは小さい。
塗膜外周部50bで発生した気泡はすぐに離脱するため、塗膜中央部50aおよび塗膜側面部50dに移動する気泡は少ない。
塗膜側面部50dは撥水性を有し(すなわち親水性が低く)、従って気泡の付着性が高い。そのため、塗膜側面部50dで発生した気泡は、大きな気泡に成長して塗膜側面部50dから離脱する。すなわち気泡のサイズは大きい。
但し、周壁部52に設けられた塗膜側面部50dは、底部51に設けられた塗膜中央部50aおよび塗膜外周部50bよりも、加熱コイル3(図1)から距離が遠く、従って低温であるため、塗膜側面部50dで発生する気泡は少ない。
また、上記の通り、塗膜外周部50bの気泡は発生してすぐに離脱するため、塗膜外周部50bから塗膜側面部50dに移動する気泡は少ない。従って、塗膜側面部50dに沿って上昇する気泡は存在するが、その量は少ない。
このように、塗膜中央部50aで大きな気泡が発生し、塗膜外周部50bで小さな気泡が発生し、塗膜側面部50dで少量の大きな気泡が発生する。そして、塗膜中央部50aで発生した気泡は、外周側に移動しても、塗膜中央部50aと塗膜外周部50bとの境界部分で離脱する。また、塗膜外周部50bで発生した気泡はすぐに離脱するため、塗膜側面部50dに到達する気泡は少ない。
このように、塗膜中央部50aおよび塗膜外周部50bで発生した気泡の多くは、塗膜側面部50dに到達しない。そのため、周壁部52(塗膜側面部50d)に沿って上昇する気泡の量はごく少量となり、炊き上がり表面の外周部は盛り上がりにくい。また、周壁部52から離れた領域(より内側の領域)を上昇する気泡の量が増加する。そのため、中央部が盛り上がった山なり形状の炊き上がり表面が得られる。
また、周壁部52(塗膜側面部50d)に沿って上昇する気泡が少量であるため、多くの気泡は被加熱物中を通過する。そのため、被加熱物の対流を促進し、被加熱物に効率よく熱を伝達することができる。
また、塗膜中央部50aおよび塗膜側面部50dが撥水性を有するため、塗膜中央部50aおよび塗膜側面部50dにおける米のこびり付きが少ない。そのため、鍋状容器5を洗浄し易く、清掃性が良い。
以上説明したように、本発明の実施の形態1では、底部51の内面に親水性が異なる複数の塗膜部(塗膜中央部50aおよび塗膜外周部50b)が設けられており、外周側の塗膜外周部50bの親水性が、塗膜中央部50aの親水性よりも高い。そのため、周壁部52に沿って上昇する気泡の量を減少させ、炊き上がり表面を、中央部が盛り上がった山なり形状にすることができる。また、被加熱物の対流効果を高め、被加熱物を効率よく加熱することができる。さらに、塗膜中央部50aの親水性が低い(望ましくは撥水性を有する)ため、米のこびり付きを抑制し、清掃性を向上することができる。
加えて、鍋状容器5の周壁部52に、第1の塗膜部(塗膜外周部50b)よりも親水性が低い(望ましくは撥水性を有する)塗膜側面部50dを設けることにより、さらに清掃性を向上することができる。
また、塗膜中央部50aが底部51の中央部に円形に形成され、塗膜外周部50bが塗膜中央部50aを囲むようにリング状に形成されているため、被加熱物の全体を効率よく加熱することができる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図6(A)は、実施の形態2の鍋状容器5Aの構成を、気泡の発生状態と共に示す断面図である。図6(B)は、実施の形態2における炊き上がり表面の形状を模式的に示す断面図である。
上述した実施の形態1では、鍋状容器5の底部51に、親水性の異なる塗膜中央部50aおよび塗膜外周部50bを設けたが、この実施の形態2では、図6(A)に示すように、鍋状容器5Aの底部51に、塗膜中央部50aおよび塗膜外周部50bに加えて、塗膜中間部50cを設けている。周壁部52の塗膜側面部50dは、実施の形態1と同様である。
塗膜中間部50cは、底部51の径方向において、塗膜中央部50aと塗膜外周部50bとの間に配置されている。すなわち、塗膜中間部50cは、底部51の底面中央部51aと底面外周部51bとの間の底面中間部51cに形成されている。言い換えると、塗膜中間部50cは、塗膜中央部50aよりも外周側で、塗膜外周部50bよりも中央側に配置され、リング状に延在している。
塗膜中間部50cは、塗膜中央部50aよりも親水性が高く、塗膜外周部50bよりも親水性が低い。すなわち、塗膜中央部50a、塗膜中間部50cおよび塗膜外周部50bの順で(すなわち底部51の中央部から外周部にかけて)、親水性が高くなっている。
このような塗膜50の構成は、例えば、撥水性を有するフッ素樹脂を鍋状容器5Aの内面全体にコーティングしたのち、塗膜中間部50cおよび塗膜外周部50bに紫外線を照射し、塗膜中間部50cよりも塗膜外周部50bの照射時間を長くする(あるいは波長を短くする)ことによって実現することができる。
上記のように構成されているため、塗膜中間部50cにおける気泡の付着性は、塗膜中央部50aよりも低く、塗膜外周部50bよりも高い。そのため、塗膜中間部50cで発生する気泡は、塗膜中央部50aで発生する気泡よりも小さく、塗膜外周部50bで発生する気泡よりも大きい。すなわち、気泡は、底部51の中央部で最も大きく、外周側ほど小さくなる。
また、塗膜中央部50aおよび塗膜中間部50cで発生した気泡が外周側に移動すると、塗膜外周部50bは気泡の付着性が低いため、塗膜中間部50cと塗膜外周部50bとの境界部分で気泡が離脱する。また、塗膜外周部50bで発生した気泡は、大きく成長する前に塗膜外周部50bから離脱するため、塗膜側面部50dまで到達する気泡は僅かである。
また、実施の形態1と同様、周壁部52に設けられた塗膜側面部50dは、塗膜中央部50a、塗膜中間部50cおよび塗膜外周部50bよりも、加熱コイル3(図1)から距離が遠いため、塗膜側面部50dで発生する気泡は少ない。従って、実施の形態1と同様、塗膜側面部50dに沿って上昇する気泡は存在するが、その量は少ない。
このように、塗膜側面部50dに沿って上昇する気泡が少ないため、炊き上がり表面の外周部は盛り上がりにくい。また、周壁部52から離れた領域(より内側の領域)を上昇する気泡の量が増加する。そのため、中央部が盛り上がった山なり形状の炊き上がり表面が得られる。
加えて、塗膜中央部50a、塗膜中間部50cおよび塗膜外周部50bの順に気泡の大きさが小さくなるため、炊き上がり表面の中央部を最も高く盛り上げ、その周囲をやや高く盛り上げて、炊き上がり表面の形状をより滑らかにすることができる。
実施の形態2の鍋状容器5Aは、塗膜中央部50aと塗膜外周部50bとの間に塗膜中間部50cを設けたことを除き、実施の形態1の鍋状容器5と同様に構成される。また、実施の形態2の炊飯器は、鍋状容器5Aの構成を除き、実施の形態1の炊飯器100と同様に構成される。
以上説明したように、本発明の実施の形態2では、底部51に親水性が異なる3以上の塗膜部(塗膜中央部50a、塗膜中間部50cおよび塗膜外周部50b)が設けられており、底部51の中央側から外周側にかけて親水性が高くなっている。そのため、実施の形態1で説明した効果に加えて、炊き上がり表面の形状をより滑らかにすることができる。
なお、実施の形態2では、底部51に親水性が異なる3つの塗膜部を設ける場合について説明したが、4つ以上の塗膜部を設け、底部51の中央側から外周側にかけて親水性が高くなるように構成してもよい。これにより、気泡の大きさおよび発生位置を細かく制御し、炊き上がり表面の形状を滑らかにすることが可能になる。
このような構成は、例えば、撥水性を有するフッ素樹脂を鍋状容器5の内面全体にコーティングしたのち、上述した紫外線照射を行い、底部51の外周側ほど紫外線の照射時間を長くする(あるいは波長を短くする)ことによって実現することができる。
また、図6(C)に示すように、底部51の塗膜50を、底部51の中央部から外周部にかけて、連続的に親水性が高くなるように構成してもよい。これにより、気泡の大きさおよび発生位置を細かく制御し、炊き上がり表面の形状を滑らかにすることが可能になる。
このような構成は、例えば、撥水性を有するフッ素樹脂を鍋状容器5の内面全体にコーティングしたのち、上述した紫外線照射を行い、底部51の外周側ほど紫外線の照射時間が長くなるように照射時間を連続的に変化させる(あるいは、底部51の外周側ほど波長が短くなるように波長を連続的に変化させる)ことによって実現することができる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。図7(A)は、実施の形態3の鍋状容器5Bの構成を、気泡の発生状態と共に示す断面図である。図7(B)は、実施の形態3の鍋状容器5Bの構成を示す平面図である。図8は、実施の形態3における炊き上がり表面の形状を模式的に示す断面図である。
上述した実施の形態1では、底部51の内面を平坦面としていたが、この実施の形態3では、底部51に凹部17a,17bを設けている。具体的には、底部51の底面中央部51aに凹部17a(第1の凹部)を設け、底面外周部51bに凹部17b(第2の凹部)を設けている。凹部17a,17bは、いずれも上面視で円形状である。
凹部17aおよび凹部17bの内径は、塗膜中央部50aおよび塗膜外周部50bで発生する気泡の大きさ(すなわち親水性の高低)に応じて決定する。凹部17aの内径は、塗膜中央部50aで発生する気泡の平均サイズ以上(より好ましくは、同じ)である。凹部17bの内径は、塗膜外周部50bで発生する気泡の平均サイズ以上(より好ましくは、同じ)である。
なお、塗膜中央部50aを撥水性(接触角90°以上)とした場合には、塗膜中央部50aで発生する気泡の平均サイズは、例えば10mm程度である。また、塗膜外周部50bを接触角5〜10°の親水性とした場合には、塗膜外周部50bで発生する気泡の平均サイズは、例えば3mm程度である。
実施の形態1でも説明したように、塗膜中央部50aは塗膜外周部50bよりも親水性が低く、従って気泡の付着性が高いため、塗膜中央部50aで発生する気泡は塗膜外周部50bで発生する気泡よりも大きい。従って、凹部17aの内径は、凹部17bの内径よりも大きい。
ここでは、図7(B)に示すように、底部51の底面中央部51aの中心に1つの凹部17aが配置され、その1つを囲むように周方向に等間隔に6つの凹部17aが配置されている。また、底部51の底面外周部51bには、3つ一列に並んだ凹部17bの列が放射状に12列配列されている。
但し、凹部17a,17bの形状、配列および数は、図7(B)に示した例に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
凹部17a,17bは、沸騰核の役割を果たす。沸騰核が形成されると、その部分から気泡が継続的に発生するため、図8に示すように、被加熱物にカニ穴と呼ばれる蒸気の通り道が生成される。カニ穴は、被加熱物全体に蒸気を行き渡らせる役割を担っており、美味しさの目印としても知られている。凹部17a,17bが沸騰核となってカニ穴を形成することにより、炊きムラのない飯を炊き上げることができる。
なお、凹部17a,17bの内径が平均気泡サイズよりも小さい場合には、凹部17a,17bが気泡内に埋もれて沸騰核としての役割を果たさないため、凹部17a,17bは平均気泡サイズ以上(より望ましくは、同じ)であることが必要である。
実施の形態3の鍋状容器5Bは、底部51に凹部17a,17bを設けたことを除き、実施の形態1の鍋状容器5と同様に構成される。但し、塗膜中央部50aは凹部17aの内周面にも形成されており、塗膜外周部50bは凹部17bの内周面にも形成されている。また、実施の形態3の炊飯器は、鍋状容器5Bの構成を除き、実施の形態1の炊飯器100と同様に構成される。
ここでは、底部51の底面中央部51aに凹部17aを設け、底面外周部51bに凹部17bを設けているが、底面中央部51aおよび底面外周部51bのいずれか一方のみに凹部を設けても、カニ穴の形成による炊きムラの抑制効果は得られる。
また、ここでは、実施の形態1で説明した鍋状容器5の底部51に凹部17a,17bを設けたが、実施の形態2で説明した鍋状容器5Aの底部51に凹部を設けてもよい。この場合、例えば、底部51の各領域(塗膜中央部50a、塗膜中間部50cおよび塗膜外周部50bが設けられる領域)に設ける凹部の内径を、各領域で発生する気泡の平均サイズに応じて決定することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態3では、底部51に、平均気泡サイズ以上の内径を有する凹部17a,17bが設けられているため、凹部17a,17bが沸騰核の役割を果たし、被加熱物にカニ穴を形成することができる。そのため、実施の形態1で説明した効果に加えて、さらに炊きムラのない飯を炊き上げることができる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。図9(A)は、実施の形態4の鍋状容器5Cの構成を、気泡の発生状態と共に示す断面図である。図9(B)は、実施の形態4の鍋状容器5Cの構成を示す平面図である。図10は、実施の形態4における炊き上がり表面の形状を模式的に示す断面図である。
この実施の形態4では、底部51(より具体的には、底面外周部51b)に設けられた親水性の塗膜外周部50b上に、撥水性の塗膜部分18が設けられている。なお、塗膜部分18は、ここでは撥水性を有しているが、塗膜外周部50bよりも親水性が低ければよい。
ここでは、図9(B)に示すように、円形状の塗膜部分18が、底部51の周方向に等間隔に12個配列されている。但し、塗膜部分18の形状、配置および数は、図9(B)に示す例に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
このような構成は、鍋状容器5Cの内面に実施の形態1で説明した方法で塗膜50を形成したのち、塗膜外周部50bに撥水性の塗膜材料を円形状に塗布することによって実現することができる。
撥水性の塗膜部分18では気泡の付着力が高いため、気泡が大きくなりやすく、その気泡が親水性の塗膜外周部50bに移動すると、付着力の低下により、塗膜外周部50bから離脱して上方に上昇する。すなわち、塗膜部分18上で大きな気泡が連続的に離脱することとなる。
このように、塗膜部分18は沸騰核と同様の役割を果たすため、図10に示すように、被加熱物にカニ穴を形成し、被加熱物全体に蒸気を行き渡らせることができる。これにより、炊きムラのない飯を炊き上げることができる。
塗膜部分18が沸騰核としての役割を果たすためには、塗膜部分18の外径は、塗膜部分18上で発生する気泡の平均サイズ、すなわち平均気泡サイズ以上(より望ましくは、同じ)であることが望ましい。
なお、実施の形態4の鍋状容器5Cは、親水性の塗膜外周部50b上に撥水性の塗膜部分18を設けたことを除き、実施の形態1の鍋状容器5と同様に構成される。また、実施の形態4の炊飯器は、鍋状容器5Cの構成を除き、実施の形態1の炊飯器100と同様に構成される。
ここでは、実施の形態1で説明した鍋状容器5の塗膜外周部50b上に撥水性の塗膜部分18を設けたが、実施の形態2で説明した鍋状容器5Aの塗膜外周部50b上に撥水性の塗膜部分18を設けてもよい。
以上説明したように、本発明の実施の形態4では、底部51の塗膜外周部50b上に撥水性の塗膜部分18が設けられているため、塗膜部分18が沸騰核の役割を果たし、被加熱物にカニ穴を形成することができる。そのため、実施の形態1で説明した効果に加えて、炊きムラのない飯を炊き上げることができる。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5について説明する。図11(A)は、実施の形態5の鍋状容器5Dの構成を示す断面図である。図11(B)は、実施の形態5の鍋状容器5Dの構成を示す平面図である。
上述した実施の形態1では、底部51の内面が平坦面であったが、この実施の形態5では、底部51の径方向中央には、上方に突出(隆起)する凸部19が設けられている。
凸部19の中央部には平坦面である平面19aが形成されている。図11(B)に示すように、平面19aは、上面視で円形状に形成されている。平面19aの外周側には、径方向外側ほど高さが低くなる傾斜面19bが形成されている。傾斜面19bは、上面視でリング状に形成されている。凸部19の傾斜面19bよりも外周側には、鍋状容器5Dの内面のうち最も下方に位置する平坦な内面最下部19cが形成されている。内面最下部19cは、上面視でリング状に形成されている。
凸部19の平面19aには、塗膜中央部50aが設けられている。また、凸部19の傾斜面19bから内面最下部19cにかけて、塗膜外周部50bが設けられている。塗膜外周部50bは、塗膜中央部50aよりも親水性が高い。なお、周壁部52に塗膜側面部50dが設けられていることは、実施の形態1で説明したとおりである。
凸部19の傾斜面19bは、加熱コイル3の鉛直上方に位置している。すなわち、傾斜面19bに設けられた塗膜外周部50bは、加熱コイル3の鉛直上方に位置している。なお、図11に示した例では、内面最下部19cも加熱コイル3の鉛直上方に位置しているが、少なくとも傾斜面19bが加熱コイル3の鉛直上方に位置していればよい。
加熱コイル3による加熱時には、鍋状容器5Dの内面のうち、加熱コイル3の鉛直上方に位置する部分(図11(B)に符号Aで示す部分)が最も高温になる。高温部で気泡が集中的に発生すると、炊き上がり表面が局所的に盛り上がり、山なり形状が得られない場合がある。
そこで、この実施の形態5では、鍋状容器5Dの底部51に凸部19を設けると共に、加熱コイル3の鉛直上方(すなわち最も高温になる部分)に、傾斜面19bを配置している。
図12は、凸部19の傾斜面19bで発生した気泡の挙動を模式的に示す図である。凸部19の傾斜面19bには、親水性の高い塗膜外周部50bが設けられているため、この部分で発生した気泡は大きく成長する前に塗膜外周部50bから離脱する。
一方、浮力が塗膜外周部50bとの付着力を上回らない大きさの気泡は、塗膜外周部50bに接触したまま塗膜外周部50bに沿って上昇する。すなわち、このような大きさの気泡は、塗膜外周部50bが平坦(水平)であれば上昇しないが、塗膜外周部50bが傾斜しているため、その傾斜に沿って上昇することになる。
また、塗膜外周部50bに沿って上昇した気泡が、親水性の低い(付着力の強い)塗膜中央部50aに到達すると、塗膜中央部50aに付着する。そして、浮力が付着力を上回る大きさに成長してから、塗膜中央部50aから離脱する。
このように、底部51で最も高温になる部分に傾斜面19bを設け、さらに塗膜外周部50bを設けることにより、最高温部分で発生した気泡の一部を傾斜面19bに沿って中央に移動させることができる。
すなわち、加熱コイル3の鉛直上方に位置する部分で気泡が集中的に発生した場合であっても、気泡の一部を中央部に移動させることで、被加熱物の局所的な加熱に起因する炊きムラを抑制し、且つ、炊き上がり表面の局所的な盛り上がりを抑制して山なり形状を得ることができる。
なお、実施の形態5の鍋状容器5Dは、底部51に凸部19を設けたことを除き、実施の形態1の鍋状容器5と同様に構成される。また、実施の形態5の炊飯器は、鍋状容器5Dの構成を除き、実施の形態1の炊飯器100と同様に構成される。
ここでは、実施の形態1で説明した鍋状容器5に凸部19を設けたが、実施の形態2〜4で説明した鍋状容器5Dに凸部19を設けてもよい。
以上説明したように、本発明の実施の形態5では、鍋状容器5Dの底部51に凸部19が設けられ、加熱コイル3によって最も高温に加熱される部分に傾斜面19bが設けられているため、底部51の高温部分で発生した気泡を鍋状容器5Dの中央に移動させることができる。そのため、実施の形態1で説明した効果に加えて、底部51の高温部分で気泡が集中的に発生した場合であっても、炊きムラを抑制し、中央が盛り上がった山なり形状の炊き上がり表面を得ることができる。
なお、上述した各実施の形態では、鍋状容器5の内面に親水性の異なる塗膜を形成したが、親水性の異なる塗膜を形成する代わりに、鍋状容器5の表面粗さを変化させることで親水性を異ならせても良い。
図13は、実施の形態1の鍋状容器5において、塗膜中央部50a,塗膜外周部50bおよび塗膜側面部50dを形成する代わりに、底部51の底面中央部51aおよび底面外周部51b、並びに周壁部52の表面粗さを異ならせた鍋状容器5Eを示す図である。
一般に、親水性は、表面粗さを粗くするほど高くなる。そこで、例えば、底面外周部51b(第2の表面部)の表面粗さを底面中央部51a(第1の表面部)の表面粗さよりも粗くすることにより、底面外周部51bの親水性を底面中央部51aの親水性よりも高くすることができる。また、底面外周部51bの表面粗さを周壁部52の表面粗さよりも粗くすることにより、底面外周部51bの親水性を周壁部52の親水性よりも高くすることができる。
同様に、実施の形態2〜5についても、親水性の異なる塗膜を形成する代わりに、鍋状容器5の表面粗さを変化させることで親水性を異ならせることが可能である。
以上、本発明の望ましい実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良または変形を行なうことができる。
本発明は、例えば、業務用および家庭用の炊飯器(加熱調理器)、並びにその容器に適用することができる。
1 本体(本体部)、 2 容器カバー、 3 加熱コイル(加熱部)、 4 鍋底温度センサ、 5,5A,5B,5C,5D,5E 鍋状容器、 6 ヒンジ部、 7 時間計測部、 8 制御部、 9 蓋パッキン、 10 蓋体、 11 外蓋、 12 内蓋、 13 係止材、 14 カートリッジ、 15 操作表示部、 16 内部温度センサ、 17a,17b 凹部、 18 塗膜領域、 19 凸部、 19a 平面、 19b 傾斜面、 50 塗膜、 50a 塗膜中央部(第1の表面部)、 50b 塗膜外周部(第2の表面部)、 50c 塗膜中間部(第3の表面部)、 50d 塗膜側面部、 51 底部、 51a 底面中央部、 51b 底面外周部、 51c 底面中間部、 52 周壁部、 53 フランジ部、 200 米、 201 水。

Claims (14)

  1. 底部と、前記底部の外周に設けられた周壁部とを有する容器と、
    前記容器を収容する本体部と、
    前記容器を加熱する加熱部と
    を備え、
    前記底部の内面には、親水性が異なる複数の表面部が設けられており、
    前記複数の表面部は、第1の表面部と、前記第1の表面部よりも外周側に配置され、且つ前記第1の表面部よりも親水性が高い第2の表面部とを含む
    ことを特徴とする炊飯器。
  2. 前記底部の前記複数の表面部は、前記底部に設けられた親水性の異なる複数の塗膜部によって構成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
  3. 前記底部の前記複数の表面部は、前記底部に形成された表面粗さの異なる部分によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
  4. 前記周壁部の内面は、前記第2の表面部よりも親水性が低いことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の炊飯器。
  5. 前記底部の前記第1の表面部は、前記底部の中央部に設けられ、
    前記底部の前記第2の表面部は、前記第1の表面部を囲むように設けられていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の炊飯器。
  6. 前記底部の前記第1の表面部は、水に対する接触角が90°以上であり、
    前記底部の前記第2の表面部は、水に対する接触角が90°未満であることを特徴とする請求項1から5までの何れか1項に記載の炊飯器。
  7. 前記底部の前記第1の表面部は、水に対する接触角が90°以上、110°以下であり、
    前記底部の前記第2の表面部は、水に対する接触角が5°以上、90°未満である
    ことを特徴とする請求項6に記載の炊飯器。
  8. 前記底部の前記複数の表面部は、前記第1の表面部と前記第2の表面部との間に、前記第1の表面部よりも親水性が高く、前記第2の表面部よりも親水性が低い少なくとも一つの表面部を有することを特徴とする請求項1から7までの何れか1項に記載の炊飯器。
  9. 前記底部の前記複数の表面部は、前記底部の前記外周に近づくほど親水性が連続的に増加するように構成されていることを特徴とする請求項1から8までの何れか1項に記載の炊飯器。
  10. 前記底部は、前記第1の表面部に設けられた複数の第1の凹部と、前記第2の表面部に設けられた複数の第2の凹部とを備え、
    前記第1の凹部の内径は、前記加熱部の加熱によって前記第1の表面部で発生する気泡の平均径以上であり、
    前記第2の凹部の内径は、前記加熱部の加熱によって前記第2の表面部で発生する気泡の平均径以上である
    ことを特徴とする請求項1から9までの何れか1項に記載の炊飯器。
  11. 前記底部の前記複数の表面部のうちの少なくとも一つの表面部の上に、当該表面部よりも親水性の低い塗膜領域を設けたことを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載の炊飯器。
  12. 前記底部は、傾斜面を有する凸部を備え、
    前記傾斜面は、前記底部のうち前記加熱部によって最も高温に加熱される部分に配置されていることを特徴とする請求項1から11までの何れか1項に記載の炊飯器。
  13. 前記底部の前記第2の表面部は、前記傾斜面に設けられていることを特徴とする請求項12に記載の炊飯器。
  14. 底部と、
    前記底部の外周に設けられた周壁部と
    を備え、
    前記底部の内面には、親水性が異なる複数の表面部が設けられており、
    前記複数の表面部は、第1の表面部と、前記第1の表面部よりも外周側に配置され、且つ前記第1の表面部よりも親水性が高い第2の表面部とを含む
    ことを特徴とする容器。
JP2016013890A 2016-01-28 2016-01-28 炊飯器および容器 Active JP6253684B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016013890A JP6253684B2 (ja) 2016-01-28 2016-01-28 炊飯器および容器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016013890A JP6253684B2 (ja) 2016-01-28 2016-01-28 炊飯器および容器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017131398A JP2017131398A (ja) 2017-08-03
JP6253684B2 true JP6253684B2 (ja) 2017-12-27

Family

ID=59504016

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016013890A Active JP6253684B2 (ja) 2016-01-28 2016-01-28 炊飯器および容器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6253684B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7050442B2 (ja) * 2017-09-04 2022-04-08 三菱電機株式会社 加熱調理器
JP2019154768A (ja) * 2018-03-13 2019-09-19 三菱電機株式会社 炊飯器

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0759657A (ja) * 1993-08-31 1995-03-07 Mitsubishi Electric Home Appliance Co Ltd 電気湯沸器
JP3257380B2 (ja) * 1995-12-12 2002-02-18 松下電器産業株式会社 電気湯沸かし器
JP2007289310A (ja) * 2006-04-24 2007-11-08 Matsushita Electric Ind Co Ltd 湯沸し器
JP2009034378A (ja) * 2007-08-02 2009-02-19 Sumitomo Electric Fine Polymer Inc 調理用加熱容器および調理用加熱容器の製造方法
JP5818251B2 (ja) * 2011-09-13 2015-11-18 Kddi株式会社 学習支援装置、学習支援方法、およびプログラム
JP5903572B2 (ja) * 2011-11-14 2016-04-13 パナソニックIpマネジメント株式会社 炊飯器
JP2015150396A (ja) * 2014-02-19 2015-08-24 象印マホービン株式会社 調理鍋の製造方法および調理鍋

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017131398A (ja) 2017-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101485918B1 (ko) 전자조리기구용 조리용기
JP5202507B2 (ja) マイクロ波蒸気調理容器システム
JP5870243B2 (ja) 加熱調理器
JP6253684B2 (ja) 炊飯器および容器
JP6700035B2 (ja) 炊飯器
JP6248744B2 (ja) 誘導加熱炊飯器
JP6180808B2 (ja) 炊飯器
JP6257498B2 (ja) 加熱調理器
JP7050442B2 (ja) 加熱調理器
JP4161351B2 (ja) 電磁誘導加熱用調理器及び電磁誘導加熱調理装置
JP2015029816A (ja) 加熱調理用内鍋及び炊飯器
JP6895758B2 (ja) 調理容器、加熱調理器および調理容器の製造方法
EP2064975A1 (en) Liquid heating vessels
JP2012034752A (ja) 調理器
JP2018126356A (ja) 炊飯用容器
CN105411357A (zh) 具有能够被加热的容器的厨用设备
JP3243083U (ja) 粥調理器
JP2006075260A (ja) 炊飯器
CN211354944U (zh) 一种电烹饪器的锅体组件
JP2009077850A (ja) 電磁誘導加熱式炊飯器
JP2016123542A (ja) 鍋状容器、加熱調理器および炊飯器
JP3596432B2 (ja) 電気炊飯器
JPH08322712A (ja) 電気炊飯器
JP2015000330A (ja) 炊飯器
JP2019154768A (ja) 炊飯器

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171031

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171128

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6253684

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250