JP6253371B2 - はんだ付け用フラックス - Google Patents

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Description

本発明は、はんだ付けの際に使用するフラックスに関するものである。
従来、プリント配線と電子部品のはんだ接合には、フラックスが用いられることが多い。
特にディップはんだ付けの場合、はんだ付けする部位に予めポストフラックスを塗布し、その後、はんだ付けを行う場合が殆どである。
また、ディップはんだ付け以外の場合に於いてもフラックスの使用は一般的であり、はんだ鏝を使用したはんだ付けを行う場合でも使用されている。
例えば、自動車の後部のリアガラス上の電極にターミナルをはんだ接合する場合にもフラックス用がいられている。
フラックスを塗布する目的は、はんだ接合部の洗浄、金属の酸化防止、そして、はんだの表面張力を低下させて濡れ性を良くすることにある。
一方、近年では、フラックスに新たな効果を付加したものが提案されている。
例えば、特許文献1には、はんだ金属中に発生するボイドを抑制させる効果を有したはんだ付け用フラックスが開示されている。
また、特許文献2には、電極喰われを抑制することが可能なフラックス組成物の開示がされている。
更に、特許文献3では、濡れ性の改善、金属酸化物の効果的除去効果、はんだボール及びはんだブリッジの形成を減少させる効果を有するフラックスの開示がされている。
そして、濡れ性の改善効果を有するフラックスとしては、特許文献4及び5に開示されている。
しかし、特許文献1で開示されているフラックスは、はんだペースト組成物に使用されるフラックスであり、ポストフラックスとしても用いられているものではない。
また、特許文献2で開示されているフラックスは、特許文献1同様にはんだペースト組成物に使用されるフラックスであり、ポストフラックスとしても用いられているものではない。特許文献3は、ポストフラックスとして用いられるものであるが、ボイドの発生抑制に関する記載がない。特許文献4及び5は、ポストフラックスとして用いられるものであるが、ボイドの発生抑制に関する記載がない。
ポストフラックスに於いて、濡れ性を向上とボイドの発生抑制を効果的に有する技術の開示はなされていないのが現状である。
特開2011−177774号公報 特開平10−291091号公報 登録第4854164号公報 特開2013−139045号公報 特開2005−144518号公報
従来、フラックスの効果として、はんだ接合部の洗浄、金属の酸化防止、及び濡れ性を良くすることを求められていた。
しかし、はんだ付けに於いて、現在も、ボイドの発生抑制や電極等の金属喰われの抑制、サイドボールの発生抑制等の課題が存在し、それらの課題を解消することも求められている。
本発明のフラックスは、フラックス組成物にも、従来のはんだ接合部の洗浄及び金属の酸化防止効果に加え、更なる濡れ性の向上、ボイド発生の抑制、金属喰われの抑制効果を併せ持つことで、はんだ付け作業の課題を低減することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは、フラックス組成物にカチオン性界面活性剤を含有させることで、従来の洗浄効果、金属の酸化防止効果を有し、且つ濡れ性の向上、ボイド発生の抑制、金属喰われの抑制を見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、フラックス組成物に、N−アルキルトリメチレンジアミンオレイン酸塩等のアミン塩類を有するカチオン性界面活性剤を含有させることにより、ポストフラックスとして使用した場合に於いても、はんだ付けが良好で、且つ接合部のボイド発生を著しく低下させ、更に電極等の金属喰われも抑制する効果を併せ持つフラックス組成物の提供に成功した。
本発明は、フラックス組成物に、アミン塩類を有するカチオン性界面活性剤を含有させることにより、はんだ付けに於いて、接合部の洗浄性及び金属の酸化防止効果を有し、且つ接合部のボイド発生を著しく低下させ、更に電極等の金属喰われも抑制する効果を併せ持つため、ポストフラックスとして使用した場合にも、ボイド発生及び金属喰われの抑制が可能となる効果を有する。
また、本発明のフラックス組成物にはハロゲンを含有することなく上述の効果を有するため、環境負荷を低減する効果も有している。
本発明のフラックス組成物を用いたはんだ付け試料の作成手順を示した図。 本発明のフラックス組成物を用いたはんだ付け試料のはんだ接合部のX線透過写真。
次に、本発明の詳細について説明する。
本発明は、アミン塩類を有するカチオン性界面活性剤を含有するフラックス組成物である。
フラックスにカチオン性界面活性剤を含有させることは、特許文献3に於いても開示されているが、同文献に開示されているカチオン性界面活性剤の効果は、「フラックス残留物ならびに基板表面の溶融ろう合金との間の表面張力を実質的に減少させるために使用される」との記載であり、接合部の洗浄性及び濡れ性の向上という従来のフラックスに求められた効果である。
また、同文献に開示のカチオン性界面活性剤のフラックス組成物中の配合量は0.05〜0.5重量%となっており、本発明のカチオン性界面活性剤の配合量とは全く異なる。
本発明に使用することができるアミン塩類を有するカチオン性界面活性剤は、本発明の効果を有するものであれば特に限定はされないが、N-アルキルトリメチレンジアミンオレイン酸塩等が挙げられる。
また、アミン塩類を有するカチオン性界面活性剤の含有量は、本発明の効果を有する範囲あれば特に限定はされないが、使用性を考慮した場合、フラックス総量に対して、5〜95重量%が好ましい。
本発明に使用できる溶剤は、本発明の効果を有するものであれば特に限定はされないが、アルコール等が挙げられ、IPA等はコスト面からも好ましく、他のアルコールと混合して用いても構わない。
また、溶剤の含有量は、本発明の効果を有する範囲であれば特に限定はされない。
本発明に使用できるベース樹脂は、本発明の効果を有するものであれば特に限定はされないが、ロジンやその誘導体等が挙げられ、例えば、ガムロジン、水添ロジン、変性ロジン、ロジンエステル、ロジン変性フマル酸樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して配合しても構わない。
また、ベース樹脂の含有量は、本発明の効果を有する範囲であれば特に限定はされない。
本発明に使用できる粘度調製剤は、本発明の効果を有するものであれば特に限定はされないが、グリコール類等が挙げられ、例えばへキシレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
また、粘度調製剤は、本発明の効果を有する範囲であれば特に限定はされない。
本発明のフラックス組成物は、本発明の効果を損なわない範囲に於いて、必要に応じて活性剤、ワックス、チクソ剤、酸化防止剤、キレート化剤、防錆剤等を含有することもでき、形状も任意に設定することが可能である。
また、ポストフラックスとしての使用も可能である。
以下、実施例を挙げて本発明について詳細に説明する。
表1に示すフラックス組成を調製して、本発明の効果の一例であるボイド発生抑制効果及び濡れ広がり性を確認した。
先ず、表1に示す各成分を容器に取分け、混合ご均一に溶解し、フラックス組成物を得た。
Figure 0006253371
次に図1に示す手順で、銀電極と予め接合部にはんだを接合させておいた端子を準備し、段落0017に記載の方法で調整したフラックス組成物を当該端子のはんだ接合部全面に表1に示す組成のフラックスを適量塗布した後、はんだ接合部が銀電極に接触するように当該端子を設置し、はんだが接合されている反対側の端子表面を310℃に加熱したはんだ鏝を押し当ててはんだ付けを行い、評価試料を作製した。
(ボイド率の評価)
ボイド率は、銀電極と端子のはんだ接合部を株式会社島津製作所製X線透過装置にて撮影した写真を基に、ボイド面積を計測し評価した。
(濡れ広がり性)
濡れ広がり性は、銀電極と端子をはんだ付けする際に形成されたフィレットの形状により判定し、評価した。
ボイド率並びに濡れ広がり性の評価結果を表2に、ボイド率並びに濡れ広がり性の評価基準を表3に示す。
Figure 0006253371
Figure 0006253371
表2に示す通り、N−アルキルトリメチレンジアミンオレイン酸塩を配合した実施例1〜6のフラックス組成物は、ボイド発生率が10%以下で、且つ濡れ広がり性にも優れていることがわかる。
また、N−アルキルトリメチレンジアミンオレイン酸塩を配合していない比較例1のフラックス組成物は、ボイド発生率は10%以下であるが、濡れ広がり性は不合格であり、本来のフラックス効果を有さず、フラックスには適していないことがわかる。
また、実施例1〜6のフラックス組成物を使用した試料に関して、銀電極の喰われがほとんど生じていないことも確認され、本発明のフラックス組成物が、はんだ接合部の洗浄及び金属の酸化防止効果に加え、更なる濡れ性の向上、ボイド発生の抑制、金属喰われの抑制効果を有することが確認された。
本発明のアミン塩類を有するカチオン性界面活性剤を含有するフラックス組成物は、フラックス及びポストフラックスとしても使用可能で、しかも、ボイド発生の抑制、金属喰われの抑制等の従来からのはんだ付けの課題も低減することが可能であるため、はんだ付け用フラックスとして、広く応用が期待できる。
1 端子
2 銀電極
3 はんだ
4 フラックス組成物
5 はんだ鏝

Claims (1)

  1. N−アルキルトリメチレンジアミンオレイン酸塩をフラックス総量に対して5〜95重量%及びベース樹脂、溶剤及び粘度調整剤から選ばれる1種又は2種以上とを含有することを特徴とするはんだ付け用フラックス組成物。


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