(実施形態1)
本実施形態に係る計測システム1は、図1に示すように、計測装置2と、設定装置3と、通信アダプタ47(通信装置)とを備えている。
計測装置2は、電力を複数の電路10,10…に分配する分電盤4に取り付けられ、複数の電路10,10…の各々について電力に関する値を計測値として計測する。設定装置3は、複数の電路10,10…の各々について計測装置2での計測に用いられる計測情報を設定する。通信アダプタ47は、計測装置2との間で通信する機能を有し、且つ計測値を収集する。
設定装置3は、記憶部31と、入力部32と、設定部33と、表示部34と、表示制御部36とを有している。
入力部32は、外部からの操作入力に応じた入力情報を出力する。設定部33は、入力情報に従って計測情報を記憶部31に設定する。表示部34は、設定部33で設定中の計測情報を、文字と数字と記号との少なくとも1つを用いて表示する。表示制御部36は、計測装置2の異常または通信アダプタ47と計測装置2との間の通信の異常を示すエラー情報と、計測装置2のメンテナンスに関するメンテナンス情報との少なくとも一方を表示部34に表示させる。
また、この計測システム1において、計測装置2は、複数の電路10,10…の各々の線間の電圧値を計測する機能を有する計測ユニット23を備えることが好ましい。この場合に、表示制御部36は、電圧値に異常があると電圧値の異常を示すエラー情報を表示部34に表示させる。
また、この計測システム1において、計測装置2は、複数の電路10,10…の各々を流れる電流値を計測する複数の電流センサ22,22…を備えることが好ましい。この場合に、表示制御部36は、電流値に異常があると電流値の異常を示すエラー情報を表示部34に表示させる。
また、この計測システム1において、表示制御部36は、入力部32に操作入力が入力されるまでエラー情報またはメンテナンス情報を表示部34に継続して表示させることが好ましい。
また、この計測システム1において、設定装置3は、エラー情報の内容に基づいてエラー情報に優先順位を設定していることが好ましい。この場合に、表示制御部36は、表示すべきエラー情報が複数存在すると、優先順位に従ってエラー情報を順番に表示部34に表示させる。
また、この計測システム1において、通信アダプタ47は、人の操作に起因する入力を受け付ける入力受付部471を備えることが好ましい。この場合に、通信アダプタ47は、入力受付部471で入力を受け付けると、計測装置2との間の通信状態を少なくとも診断する機能を備える。
また、この計測システム1において、入力受付部471は、主幹ブレーカ41がオンに切り替わること、入力部32に操作入力が入力されること、分電盤4の蓋441が開けられることの何れかを入力として受け付けるように構成されることが好ましい。
また、本実施形態に係る分電盤用キャビネット44は、上記の計測システム1の計測装置2と設定装置3と通信アダプタ47とが取り付けられることが好ましい。
さらに、本実施形態に係る分電盤4は、上記の分電盤用キャビネット44に、主幹ブレーカ41、および複数の分岐ブレーカ43,43…が取り付けられていることが好ましい。複数の分岐ブレーカ43,43…は、主幹ブレーカ41に電気的に接続される導電バー42から複数の電路10,10…を分岐させる。
以下、本実施形態に係る計測システム1、並びに分電盤用キャビネット44、分電盤4の構成について詳しく説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、下記実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、以下の説明では、「分電盤用キャビネット44」を単に「キャビネット44」と称する。
まず、分電盤4について説明する。なお、本実施形態では、分電盤4が戸建住宅で用いられる場合を例示するが、この例に限らず、分電盤4は、集合住宅の各住戸、事務所、店舗などに用いられてもよい。また、以下では、分電盤4が壁に取り付けられた状態での上下左右(図2の上下左右)を上下左右とし、壁に直交する方向を奥行方向として説明するが、分電盤4を取り付ける向きを限定する趣旨ではない。
分電盤4は、図2に示すように、住宅の壁等に取り付けられるキャビネット44を備え、キャビネット44内に主幹ブレーカ41および複数の分岐ブレーカ43,43…を収納する。キャビネット44は、正面視が横長の長方形状となり前面が開口した薄箱状に形成されている。キャビネット44の前面には開閉可能な蓋441が取り付けられる。
主幹ブレーカ41は、その一次側に、系統電源(商用電源)の単相三線式の引込線45(図1参照)が電気的に接続される。主幹ブレーカ41の二次側には、左右方向に長い長尺板状であって、導電部材からなる導電バー42が電気的に接続される。
ここでは、配電方式として単相三線式を想定しているので、導電バー42は、中性極(N相)と、第1の電圧極(L1相)と、第2の電圧極(L2相)とに分かれている。つまり、導電バー42は3本設けられている。これら3本の導電バー42は、主幹ブレーカ41の右側に配置され、キャビネット44に固定されている。
複数の分岐ブレーカ43,43…は、キャビネット44において主幹ブレーカ41の右側の領域に取り付けられる。具体的には、複数の分岐ブレーカ43,43…は、中性極の導電バー42の上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個(図2の例では、上側が10個、下側が13個)ずつ左右方向に並ぶように配置されている。
各分岐ブレーカ43は、一次側端子(図示せず)と二次側端子431(図8参照)とを有しており、一次側端子が導電バー42に電気的に接続され、二次側端子431には複数の電路10,10…の各々が接続される。各分岐ブレーカ43は、協約形寸法に形成されている。ここで、協約形寸法とは「JIS C 8201−2−1」に準拠した電灯分電盤用の回路遮断器の寸法(および形状)をいう。
各分岐ブレーカ43は、導電バー42が差し込まれる差込口(図示せず)を導電バー42との対向面に有している。ここで、第1の電圧極および第2の電圧極の導電バー42は、複数の分岐ブレーカ43,43…の各々に対応する位置において、上方および下方に突出する接続端子(図示せず)を有している。差込口は、3本の導電バー42の各々に対応するように、各分岐ブレーカ43に3個ずつ設けられており、一次側端子は、これら3個の差込口のうち2個の差込口内に露出するように設けられている。これにより、各分岐ブレーカ43は、キャビネット44に取り付けられた状態で、差込口に導電バー42が差し込まれ、一次側端子が導電バー42と電気的に接続される。なお、第1の電圧極および第2の電圧極の導電バー42に対応する差込口には接続端子が差し込まれる。
中性極および第1の電圧極に接続される分岐ブレーカ43は、一次側端子が中性極の導電バー42および第1の電圧極の導電バー42に対応する各差込口内に露出するように設けられている。また、中性極および第2の電圧極に接続される分岐ブレーカ43は、一次側端子が中性極の導電バー42および第2の電圧極の導電バー42に対応する各差込口内に露出するように設けられている。第1の電圧極および第2の電圧極に接続される分岐ブレーカ43は、一次側端子が第1の電圧極の導電バー42および第2の電圧極の導電バー42に対応する各差込口内に露出するように設けられている。
なお、本実施形態では、中性極の導電バー42の下側においては、導電バー42は奥行方向において手前側(壁とは反対側)から中性極、第1の電圧極、第2の電圧極の順に並ぶように配置される。中性極の導電バー42の上側においては、導電バー42は奥行方向において手前側(壁とは反対側)から中性極、第2の電圧極、第1の電圧極の順に並ぶように配置される。そのため、分岐ブレーカ43は、奥行方向における両端の各差込口内にそれぞれ一次側端子を有する場合、導電バー42の上側に取り付けられたときに中性極および第1の電圧極に接続され、下側に取り付けられたときに中性極および第2の電圧極に接続される。
分岐ブレーカ43と導電バー42との間には、計測装置2のセンサブロック20が取り付けられるが、この点については後述する。
各分岐ブレーカ43の二次側端子431に接続された電路10には、たとえば照明器具や給湯設備等の機器、差込接続装置のコンセント(アウトレット)や壁スイッチ等の配線器具が負荷として1つ以上接続される。
また、分電盤4には、たとえば太陽光発電装置のように電力系統への逆潮流が許容されている分散電源(図示せず)と、主幹ブレーカ41の一次側との間に電気的に接続される一次連系ブレーカ(図示せず)が取り付けられる。一次連系ブレーカは、主幹ブレーカ41の左側に配置される。一次連系ブレーカは、たとえば系統電源からの電力供給が停止したときや、系統電源あるいは分散電源に異常が生じたときなどに、分散電源を電力系統から切り離す(解列する)ように動作する。
さらに、分電盤4には、HEMS(Home Energy Management System)のコントローラ(図示せず)との通信機能を有する通信アダプタ47が取り付けられる。ここで、HEMSのコントローラは、表示端末(図示せず)を制御して計測システム1での計測結果を可視化(見える化)したり、計測結果に基づいて機器を制御したりする機能を有しており、分電盤4外に設置されている。このコントローラによれば、機器での電力消費の状況を管理することが可能になり、電力の無駄な消費を抑えることができる。
通信アダプタ47とコントローラとの間の通信方式は、たとえば電波を媒体とした無線通信であってもよいし、有線LAN(Local Area Network)などの有線通信であってもよい。通信アダプタ47は、一次連系ブレーカの左側に配置される。なお、キャビネット44において、通信アダプタ47の上方および下方には、それぞれ別のアダプタを取り付けるための取付スペースが確保されている。
要するに、本実施形態において、分電盤4は、少なくとも主幹ブレーカ41、複数の分岐ブレーカ43,43…、一次連系ブレーカ、通信アダプタ47を内器としてそれぞれ取り付けるための取付スペースを、キャビネット44に有している。これらの内器が取り付けられた状態では、キャビネット44には、通信アダプタ47、一次連系ブレーカ、主幹ブレーカ41、複数の分岐ブレーカ43,43…が左から順に並ぶことになる。
次に、計測システム1の構成について説明する。
計測システム1は、複数の電路10,10…の各々について電力に関する値を計測値として計測する計測装置2を備えている。また、計測システム1は、複数の電路10,10…の各々について計測装置2での計測に用いられる計測情報を設定する設定装置3を備えている。さらに、計測システム1は、計測装置2との間で通信する機能を有し、且つ計測値を収集する通信アダプタ47(通信装置)を備えている。
計測装置2は、本実施形態では、導電バー42に取り付けられるセンサブロック20と、センサブロック20に電気的に接続される計測ユニット23とを有している。
センサブロック20は、導電バー42に取り付けられる基板21(図2参照)に、複数の分岐ブレーカ43,43…の各々を流れる電流値を計測する複数の電流センサ22,22…(図1参照)を有している。センサブロック20は、基板21の厚み方向に貫通する透孔が、第1の電圧極および第2の電圧極の導電バー42の各接続端子に対応する位置にそれぞれ形成されている。これにより、センサブロック20が分岐ブレーカ43と導電バー42との間に取り付けられた状態で、第1の電圧極および第2の電圧極の導電バー42の各接続端子は、センサブロック20の各透孔を通って分岐ブレーカ43に接続されることになる。
センサブロック20は、基板21における各透孔の周囲にそれぞれ電流センサ22が形成されている。ここでは、各電流センサ22は、コアを用いない(コアレスの)空芯コイルからなり、透孔内を通過する電流に応じた出力を生じるロゴスキコイルである。センサブロック20は、各電流センサ22の出力に基づいて、複数の分岐ブレーカ43,43…の各々を流れる電流値を算出し、算出した電流値を電気信号により計測ユニット23へ出力する。複数の分岐ブレーカ43,43…の各々を流れる電流値は、これら複数の分岐ブレーカ43,43…に接続された複数の電路10,10…の各々を流れる電流値と同じである。
ただし、電流センサ22は、全ての透孔の周囲に設けられている必要はなく、本実施形態では、奥行方向に並ぶ一対の透孔のうち奥側(壁側)の透孔の周囲にのみ設けられている。これにより、電流センサ22は、導電バー42の上側に取り付けられたときには第1の電圧極の電流値を計測し、下側に取り付けられたときには第2の電圧極の電流値を計測することになる。
計測ユニット23は、キャビネット44のうち主幹ブレーカ41の下方に設けられた取付スペースに取り付けられる。計測ユニット23は、センサブロック20と電気的に接続されており、センサブロック20から電気信号を取得することにより、複数の電路10,10…の各々を流れる電流値を計測する。また、計測ユニット23は、複数の電路10,10…の各々の線間の電圧を計測する機能を有している。
計測ユニット23は、複数の電路10,10…の各々を流れる電流値と、複数の電路10,10…の各々の線間の電圧値とを用いて、複数の電路10,10…の各々の電力を算出する。ここで、計測ユニット23は、電流値と電圧値との積である瞬時電力と、瞬時電力を所定時間に亘って積算した電力量との少なくとも一方を、各電路10についての計測値として計測する。
本実施形態では、計測ユニット23は、いずれかの分岐ブレーカ43の二次側端子に接続されており、分岐ブレーカ43を介して電源用の電力が供給されている。さらに、計測ユニット23は、通信アダプタ47と電気的に接続されており、計測値を通信により通信アダプタ47に出力し、且つ電源用の電力を通信アダプタ47へ供給する。
なお、計測ユニット23は、複数の分岐ブレーカ43,43…についてだけでなく、たとえば主幹ブレーカ41や一次連系ブレーカを流れる電流値を計測し、主幹ブレーカ41や一次連系ブレーカを通過する電力に関する値を計測値として求めてもよい。この場合、計測装置2は、カレントトランス(CT)からなる電流センサ(図示せず)が接続され、この電流センサによって、主幹ブレーカ41や一次連系ブレーカを通過する電流値を計測すればよい。
なお、本実施形態の計測システム1では、計測ユニット23が複数の電路10,10…の各々の電力(瞬時電力)を算出しているが、他の構成であってもよい。すなわち、計測ユニット23の代わりに、センサブロック20が、複数の電路10,10…の各々を流れる電流値と、複数の電路10,10…の各々の線間の電圧値とを用いて、複数の電路10,10…の各々の電力を算出する構成であってもよい。この構成では、計測ユニット23は、複数の電路10,10…の各々の線間の電圧値をセンサブロック20に与えるように構成されていればよい。
また、設定装置3は、複数の電路10,10…の各々について計測情報を設定するように機能する。計測情報は、計測装置2での計測に用いられる情報であって、一例として各電路10に印加される電圧値などを表す情報である。本実施形態では、計測情報は、複数の電路10,10…のうち対象となる電路10について、印加される電圧値と、接続される機器の種類との少なくとも一方を表す情報である。
具体的に説明すると、計測装置2は、計測値を求める際に、センサブロック20で計測される電流値だけでなく、各電路10の線間の電圧値を用いる。そこで、この電圧値が計測情報として予め設定装置3にて設定される。単相三線式においては、中性極と、第1の電圧極あるいは第2の電圧極とに接続された電路10の電圧は「100V」、第1の電圧極と第2の電圧極とに接続された電路10の電圧は「200V」となる。そこで、設定装置3は、各電路10について、印加される電圧値を「100V」と「200V」との2種類から選択する。
また、電路10に接続される機器には、たとえば給湯装置のような設備機器、太陽光発電装置、蓄電装置など、様々な種類の機器がある。設備機器が接続された電路10と太陽光発電装置が接続された電路10と蓄電装置が接続された電路10とでは、電力供給の向きが異なる。つまり、設備機器が接続された電路10では、分電盤4から機器(設備機器)に向けて電力が供給されるのに対して、太陽光発電装置が接続された電路10では、機器(太陽光発電装置)から分電盤4に向けて電力が供給される。さらに、蓄電装置が接続された電路10においては、蓄電池の充電時と放電時とで電力の向きが異なるため、分電盤4と機器(蓄電装置)との間で双方向に電力が供給される。そこで、設定装置3は、各電路10について、接続される機器の種類(用途)を「太陽光発電」、「蓄電装置」、「設備機器」から選択する。
ただし、計測情報は、電圧値および機器の種類に限らず、その他、計測装置2での計測に用いられる種々の情報であってもよい。たとえば、計測情報として、センサブロック20で計測可能な電路10の数(回路数)、電流センサ22ごとの有効と無効との別、電圧相(L1相、L2相)などの情報が含まれていてもよい。
ここで、単相三線式においては、中性極と第1の電圧極とに接続された電路10の電圧相はL1相であり、中性極と第2の電圧極とに接続された電路10の電圧相はL2相である。そこで、設定装置3は、複数の電路10,10…のうち、印加される電圧値が100Vである電路10については、電圧相の設定を行う。
ただし、たとえば導電バー42の上側の分岐ブレーカ43についてはL1相、下側の分岐ブレーカ43についてはL2相というように、複数の分岐ブレーカ43,43…の電圧相が導電バー42の上側と下側とで分かれる場合には、電圧相の設定を省略できる。つまり、この場合、導電バー42の上側に取り付けられるセンサブロック20に対応する電路10は全てL1相、下側に取り付けられるセンサブロック20に対応する電路10は全てL2相であるから、電圧相はセンサブロック20ごとに決定される。したがって、電路10ごとの電圧相の設定は省略可能である。
さらにまた、設定装置3は、上述したような計測情報以外の項目についても設定可能に構成されていてもよい。設定装置3で設定可能な項目としては、たとえば計測値の上限値を制限するリミッタの有効と無効との別や、電流値が定格値に達したときに報知するピークアラームの有効と無効との別や、ピークアラームの定格値などがある。なお、通信アダプタ47あるいは計測ユニット23に、水道メータやガスメータから流量に応じたパルス信号が入力される場合、1パルス当たりの流量の換算値(換算レート)を、設定装置3で設定可能な項目に含んでもよい。なお、水道メータやガスメータと通信を行う機能は通信アダプタ47あるいは計測ユニット23が有している必要はなく、例えば通信アダプタ47に装着可能な他のアダプタ(図示せず)に当該機能を持たせてもよい。
また、本実施形態では、設定装置3は、通信アダプタ47と筐体を共用することで、通信アダプタ47と一体化されている。さらに、通信アダプタ47が計測ユニット23に電気的に接続されていることにより、設定装置3もまた、計測ユニット23に対して電気的に接続されている。そのため、設定装置3は、計測ユニット23とデータのやり取りが可能で、且つ、計測ユニット23を経由していずれか1つの分岐ブレーカ43から電源用の電力の供給を受けて動作する。
さらに詳しく説明すると、設定装置3は、図1に示すように、計測情報を記憶する記憶部31と、外部からの操作入力に応じた入力情報を出力する入力部32と、入力情報に従って計測情報を記憶部に設定する設定部33とを有している。さらに、設定装置3は、設定部33で設定中の計測情報を表示する表示部34と、設定部33での設定対象となる電路10を、入力情報に従って複数の電路10,10…の中から択一的に選択する選択部35とを有している。表示部34は、設定部33で設定中の計測情報を、文字と数字と記号との少なくとも1つを用いて表示する。さらに、表示部34は、複数の電路10,10…のうち選択部35で選択された電路10を、文字と数字と記号との少なくとも1つを用いて表示する。
本実施形態では、設定装置3は、ユーザによる操作入力の受け付け並びにユーザへの情報の提示を行うインタフェース310と、内部的な処理を行う設定ブロック320とに分かれている。入力部32および表示部34はインタフェース310を構成し、記憶部31と設定部33と選択部35と後述の表示制御部36とは設定ブロック320を構成する。設定ブロック320は、マイコン(マイクロコンピュータ)を主構成とし、所定のプログラムを実行することによって、記憶部31、設定部33、選択部35、表示制御部36としての機能を実現する。プログラムは、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、メモリカードなどの記憶媒体に記憶されて提供されてもよい。
設定装置3は、設定済みの計測情報を記憶部31に保持(記憶)している。そのため、計測装置2は、記憶部31内の計測情報を参照することにより、設定済みの計測情報を計測時に用いることができる。
設定装置3は、図3に示すように、入力部32および表示部34を筐体30の前面から露出する位置に有している。つまり、入力部32は、筐体30が分電盤4のキャビネット44に取り付けられた状態で前方から操作できるように、筐体30の前面側に設けられている。表示部34も同様に、筐体30が分電盤4のキャビネット44に取り付けられた状態で前方から視認できるように、筐体30の前面側に設けられている。
本実施形態では、入力部32は、8つのボタンを有している。第1のボタンは「+10」ボタン321、第2のボタンは「−10」ボタン322、第3のボタンは「+」(プラス)ボタン323、第4のボタン「−」(マイナス)ボタン324である。これら第1〜4のボタン(321〜324)は、設定、参照する項目を選択する際に使用される。第5のボタンは「参照」ボタン325、第6のボタンは「設定」ボタン326であり、これら第5,6のボタン(325,326)は、選択した項目を参照したり、設定操作を行う際に使用される。第7のボタンは「▲」(上カーソル)ボタン327、第8のボタンは「▼」(下カーソル)ボタン328であり、これら第7,8のボタン(327,328)は設定内容を変更する際に使用される。
これらのボタン(321〜328)の各々は、押しボタン型のスイッチの操作子を構成している。つまり、入力部32は、「+10」ボタン321が押されると「+10」ボタン321を操作子とするスイッチが操作され、「−10」ボタン322が押されると「−10」ボタン322を操作子とするスイッチが操作されることになる。ここで、入力部32の各スイッチは、いずれもモーメンタリ型スイッチであり、各ボタン(操作子)が押されている間のみオンする。
なお、本実施形態の計測システム1は、分電盤1の施工後において、筐体30の前面をカバー(図示せず)により覆うことで、入力部32が外部に露出しないように構成されている。この構成では、設定の変更等が不要なときにユーザが誤って入力部32に触れてしまうのを防止することができる。但し、入力部32を構成するボタンを全てカバーで覆う必要はなく、例えば計測システム1のアップデートの際に必要なボタン等は外部に露出させてもよい。
表示部34は、文字と数字と記号との少なくとも1つを表示できるように構成されており、本実施形態では一例として、2桁用の7セグメントLED(発光ダイオード)を有している。これにより、表示部34は、数字であれば2桁の数字まで表示可能である。ただし、表示部34は、7セグメントLEDに限らず、16セグメントLED、ドットマトリクスLED、液晶ディスプレイなどであってもよい。
表示部34は、上述したように、文字と数字と記号との少なくとも1つを用いて、設定部33で設定中の計測情報を表示したり、選択部35で選択された電路10を表示したりする。そのため、ユーザは、表示部34の表示を確認することで、設定中の計測情報や、選択された電路10を確認することができる。つまり、ユーザは、設定装置3の入力部32および表示部34をインタフェースとして用いることにより、設定内容を視覚的に確認しつつ、計測情報の設定を行うことができる。
さらに、本実施形態においては、設定装置3は、計測装置2の異常を示すエラー情報と、計測装置2のメンテナンスに関するメンテナンス情報との少なくとも一方を表示部34に表示させる表示制御部36をさらに有している。ここで、エラー情報やメンテナンス情報には、計測装置2に関する情報だけでなく、通信アダプタ47に関する情報が含まれていてもよい。エラー情報は、たとえば通信アダプタ47と計測装置2との間の通信異常や、周波数異常、さらにカレントトランス(CT)の装着向きの誤りなどを示す情報である。メンテナンス情報は、通信アダプタ47や計測ユニット23等の状態、バージョンなどを示す情報である。表示制御部36は、これらのエラー情報およびメンテナンス情報を、文字と数字と記号との少なくとも1つを用いたコードにより、表示部34に表示させる。つまり、言い換えれば、表示制御部36は、計測装置2の異常または通信アダプタ47と計測装置2との間の通信の異常を示すエラー情報と、計測装置2のメンテナンスに関するメンテナンス情報との少なくとも一方を表示部34に表示させる。表示部34によるエラー情報の表示の詳細については、後述する。
なお、本実施形態に係る設定装置3は、計測装置2の設定だけでなく、たとえば通信アダプタ47の設定などにも用いられてもよい。
次に、本実施形態の設定装置3を用いた計測情報の設定例について図4を参照して説明する。なお、図4は設定中の各状態における表示部34の表示内容(ドット領域が点灯している部分)を表している。図4の例では、表示部34は、第1の分電盤を「b1」、第2の分電盤を「b2」、各電路10を「C1」〜「C8」または「01」〜「43」と表示する。さらに、表示部34は、電圧値100Vを「V1」、電圧値200Vを「V2」、無効を「oF」、有効を「on」、L1相を「L1」、L2相を「L2」、リミッタを「LM」、ピークアラームを「PA」と表示する。
ここでは、設定項目が、図4に示すように「階層1」〜「階層4」の4つの層に階層化
されていると仮定する。図4では、左から順に「階層1」、「階層2」、「階層3」、「階層4」を示している。「階層1」においては分電盤4が第1の分電盤と第2の分電盤とから選択される。
「階層2」においては、「階層1」で選択された分電盤4について、設定対象の電路10、あるいは設定対象としてリミッタやピークアラームが選択される。ここで、ユーザは、「+10」ボタン321や「+」ボタン323、および「−10」ボタン322や「−」ボタン324を操作して設定対象を選択する。要するに、「階層2」においては、選択部35は、設定部33での設定対象となる電路10を、入力部32からの入力情報に従って複数の電路10,10…の中から選択部35にて択一的に選択することになる。このとき、表示部34は、選択部35で選択された電路10を、文字と数字と記号との少なくとも1つを用いて表示する。
「階層2」でいずれかの電路10が設定対象として選択された場合、「階層3」においては、この電路10について電圧値(100V,200V)や接続される機器の種類(用途指定)や有効、無効の別が選択される。ここで、ユーザは「▲」ボタン327および「▼」ボタン328を操作して項目を選択する。要するに、「階層3」においては、設定部33は、計測情報を、入力部32からの入力情報に従って設定することになる。このとき、表示部34は、設定部33で設定中の計測情報を、文字と数字と記号との少なくとも1つを用いて表示する。
また、「階層2」でリミッタが選択された場合、「階層3」ではリミッタの無効、有効の別が選択される。「階層2」でピークアラームが選択された場合、「階層3」ではピークアラームの定格値や有効、無効の別が選択される。ここで、ユーザは「▲」ボタン327および「▼」ボタン328を操作して項目を選択する。
さらに、「階層3」で電圧値100Vが選択された電路10については、「階層4」において電圧相(L1相,L2相)が選択される。ここで、ユーザは「▲」ボタン327および「▼」ボタン328を操作して項目を選択する。要するに、「階層4」においては、設定部33は、計測情報を、入力部32からの入力情報に従って設定することになる。このとき、表示部34は、設定部33で設定中の計測情報を、文字と数字と記号との少なくとも1つを用いて表示する。
設定装置3は、「階層1」から「階層2」へは、一定時間(たとえば1秒間)、入力部32の操作がなければ自動的に移行し、その後は「設定」ボタン326が押される度に「階層2」、「階層3」、「階層4」の順で移行する。設定装置3は、最下層(電圧値100Vが選択された電路10については「階層4」、その他は「階層3」)にて「設定」ボタン326が押されると、「階層2」へと移行する。さらに、設定装置3は、第1の分電盤の「階層2」で「+」ボタン323が押されると、「階層1」で第2の分電盤が選択された状態に移行し、第2の分電盤の「階層2」で「+」ボタン323が押されると、選択中の項目を確定して設定処理を終了する。
なお、設定装置3は、電源が投入されたり、「設定」ボタン326が長押しされたりといった、所定の条件を満たした場合に、上述したような設定処理を開始するように構成されていればよい。また、設定装置3は、上述したような設定処理に先立って、初期設定を行ってもよい。初期設定においては、設定装置3は、たとえば分電盤の構成(センサブロック20で計測可能な電路10の数など)が選択される。
ところで、上述の例では、1つの電流センサ22が1つの電路10に対応する場合について説明したが、複数の電流センサ22,22…が1つの電路10に対応する場合もある。たとえば、太陽光発電装置や燃料電池や蓄電装置が接続される系統連系ブレーカ(図示せず)などにあっては、3P3E(極数3、素子数3)で、左右方向の寸法が分岐ブレーカ43の複数個分(3個分)の大きさのブレーカがある。この種のブレーカが導電バー42に取り付けられる場合、当該ブレーカに接続される電路10を流れる電流値は、当該ブレーカに対応する3つの電流センサ22,22,22によって計測可能である。
この種のブレーカは、中性極(N相)の一次側端子と、第1の電圧極(L1相)の一次側端子と、第2の電圧極(L2相)の一次側端子とが、左右方向において異なる各位置に設けられている。そのため、このブレーカに対応する3つの電流センサ22,22,22は、それぞれN相、L1相、L2相の電流値を個別に計測することになる。そこで、計測装置2が、たとえばL1相で計測を行う場合、このブレーカに対応する3つの電流センサ22,22,22のうち、いずれか1つのみを用いて計測を行う必要がある。この場合、設定装置3は、これら3つの電流センサ22,22,22について、いずれも接続される機器の種類をたとえば「太陽光発電装置」とし、計測装置2において実際に電流値を計測して最も大きな電流値を採用すればよい。
また、設定装置3は、3つの電流センサ22,22,22のうち、L1相に対応する電流センサ22について、接続される機器の種類をたとえば「太陽光発電装置」とし、他の2つの電流センサ22,22については「無効」としてもよい。あるいは、設定装置3は、接続される機器の種類と計測を行う電流センサ22との関係を予め記憶し、接続される機器の種類をたとえば「太陽光発電装置」とした時点で、計測を行う電流センサ22を特定してもよい。
以上説明した本実施形態の計測システム1によれば、設定部33で設定中の計測情報を、表示部34が文字と数字と記号との少なくとも1つを用いて表示するので、複数の電路10,10…と一対一で対応する複数の表示灯が必要ない。そのため、計測システム1は、表示部34が分電盤4(のキャビネット44)内に占めるスペースを比較的小さくでき、且つ、表示灯を分岐ブレーカ43の最大個数に合わせて設ける必要もないので、一部の表示灯が無駄になる可能性もない。
また、計測システム1は、設定部33で設定中の計測情報を、表示部34が文字と数字と記号との少なくとも1つを用いて表示するので、電圧値などの比較的簡単な項目だけでなく、接続される機器の種類など、より多様な項目を設定可能である。
要するに、本実施形態に係る計測システム1は、設定対象を表示するための表示部34が分電盤4(キャビネット44)内に占めるスペースの省スペース化を図り、且つより多様な項目の設定に対応できる、という利点がある。
しかも、設定装置3が分電盤4のキャビネット44に取り付けられている構成によれば、ユーザは、計測情報の設定を分電盤4内で全て行うことができ、専用の設定端末などを用いる必要もない。
また、本実施形態では、計測装置2は、導電バー42に取り付けられる基板21に複数の電流センサ22,22…を有し、複数の電流センサ22,22…の各々の出力から複数の電路10,10…の各々についての計測値を計測する。したがって、複数の分岐ブレーカ43,43…の全てについて電流センサ22,22…を設ける場合でも、複数の電流センサ22,22…は省スペースで設置可能となる。さらに、カレントトランスのような電流センサを複数の電路10,10…の各々について個別に設ける場合に比べて、施工の手間を省くことができる。
また、本実施形態において、計測情報は、複数の電路10,10…のうち対象となる電路10について、印加される電圧値と、接続される機器の種類との少なくとも一方を表す情報である。したがって、設定装置3は、電路10ごとに電圧値や接続される機器の種類を個別に設定することができ、電圧値や接続される機器の種類が電路10ごとに異なっている場合にも対応できる。
また、本実施形態に係るキャビネット44は、上記の計測システム1のうち少なくとも計測装置2と記憶部31とが取り付けられている。そのため、計測装置2は、計測を行う際に、記憶部31に記憶されている計測情報を参照すればよく、キャビネット44の外部と計測情報のやり取りを行う必要がない。
ここで、設定装置3の表示部34でのエラー情報の表示について詳細に説明する。本実施形態の計測システム1では、表示部34は、図5に示すように、「F」と、2桁の数字(例えば、「01」や「02」)とを組み合わせたコードにより、エラー情報を表示する。表示制御部36は、計測装置2(センサブロック20と計測ユニット23)の異常や、通信アダプタ47と計測装置2との間の通信の異常が発生すると、表示部34に先ず「F」を表示させる。そして、表示制御部36は、「F」を表示させてから一定時間(例えば、数百ms)が経過すると、次にエラーの内容を示す数値を表示部34に表示させる。以下、表示制御部36は、「F」と数値とを交互に表示部34に表示させる処理を繰り返す。
また、複数のエラーが同時に発生している場合は、表示制御部36は、「F」とエラーの内容を示す数値とを組み合わせたコードを、エラーの数に応じて順番に表示部34に表示させる。例えば、表示制御部36は、図6に示すように、「F」、「01」、「F」、「02」、…、「F」、「21」と順番に表示部34に表示させる処理を繰り返す。
計測装置2の異常としては、例えば、計測装置2の通信機能の故障により計測装置2から送信される電文(送信データ)の内容が異常を示す場合や、計測装置2がリセットを繰り返す場合などがある。その他、計測装置2の異常としては、電流センサ22,22…等の異常がある。ここで、計測装置2(センサブロック20や計測ユニット23)には、電流センサ22,22…等との間で通信を行うマイコンやASIC(Application Specific Integrated Circuit)が搭載されている。そして、マイコンやASICは、電流センサ22,22…等の異常が発生した場合に、通信アダプタ47に異常の発生を通知する。
また、通信アダプタ47と計測装置2との間の通信の異常としては、例えば、計測装置2(センサブロック20と計測ユニット23)からの応答がない場合などがある。このように通信状態に異常が発生する原因としては、例えばセンサブロック20(又は計測ユニット23)の故障や、通信アダプタ47とセンサブロック20(又は計測ユニット23)との間を電気的に接続する配線(ハーネス)の断線や外れなどがある。
ユーザや施工者は、表示部34に表示されているエラー情報を見ることで、どのようなエラーが発生しているかを確認することができる。例えば、「F」と「01」とを組み合わせたコードが、計測装置2の異常を示す表示であれば、ユーザや施工者は、計測装置2の電流センサ22を交換する等の対策をとることができる。また、例えば、「F」と「02」とを組み合わせたコードが、通信異常を示す表示であれば、ユーザや施工者は、計測ユニット23と通信アダプタ47との間の配線を確認したり、計測装置2を交換したりする等の対策をとることができる。
なお、本実施形態の計測システム1では、エラー情報をアルファベットの「F」と、2桁の数字とを組み合わせたコードで表現しているが、エラー情報の表現を限定する趣旨ではない。例えば、エラー情報には、他のアルファベット(「U」や「H」など)を用いてもよい。また、エラー情報には、2桁の数字のみならず、1桁の数字や3桁の数字、あるいは更に多数の桁数の数字を用いてもよい。
上述のように、本実施形態の計測システム1では、計測装置2に異常が発生したり、通信アダプタ47と計測装置2との間の通信に異常が発生したりすると、表示制御部36がエラー情報を表示部34に表示させる。したがって、本実施形態の計測システム1では、計測装置2に異常が発生した場合に、ユーザや施工者は、表示部34に表示されているエラー情報を見ることで、容易にエラーの内容を確認することができる。
ところで、本実施形態の計測システムの上位システム(例えば、HEMSのコントローラ)でエラー情報を表示する構成も考えられるが、この場合、以下のような問題が生じ得る。すなわち、分電盤4の施工者と上位システムの施工者とが異なる場合、分電盤4の施工者の施工ミスによるエラー等を、分電盤4の施工者が確認することができないという問題が生じ得る。また、分電盤4の施工者と上位システムの施工者とが同じである場合でも、分電盤4を施工する日時と、上位システムを施工する日時とが異なる場合、施工者が分電盤4の施工ミスをした時点でエラーを確認することができないという問題が生じ得る。さらに、他社の上位システムと組み合わせて分電盤4を用いる場合には、他社の上位システムが分電盤4に関するエラーをユーザや施工者に通知しない可能性もある。
一方、本実施形態の計測システム1によれば、分電盤4に取り付けられる設定装置3の表示部34にエラー情報やメンテナンス情報を表示するので、ユーザや施工者は表示部34を見れば直ぐに施工ミスによるエラー等を確認することができる。また、施工者は、エラーの内容についてユーザから問い合わせがある場合に、表示部34に表示されているエラー情報をユーザから知らせてもらうだけで、エラーの内容を直ぐに確認することができる。このため、施工者は、エラーからの復旧作業を円滑に進めることができる。
また、表示制御部36は、複数の電路10,10…の各々の線間の電圧値に異常があると、電圧値の異常を示すエラー情報を表示部34に表示させてもよい。具体的には、本実施形態の計測システム1において、計測ユニット23は、L1相−N相、L2相−N相、L1相−L2相の各々の線間の電圧値を計測している。そして、計測ユニット23は、例えば、L1相−N相の線間の電圧値と、定格電圧値(ここでは、100V)との差が所定の閾値を超えると、電圧値に異常がある旨を通信アダプタ47を介して設定装置3に通知する。なお、L1相−N相の線間の電圧値は、定格電圧値を上回る場合と、下回る場合とがある。そして、表示制御部36は、電圧値の異常を示すエラー情報を表示部34に表示させる。したがって、ユーザや施工者は、このエラー情報を確認することで、電圧相の施工ミスがあったと判断することができる。
また、表示制御部36は、複数の電路10,10…の各々を流れる電流値に異常があると、電流値の異常を示すエラー情報を表示部34に表示させてもよい。具体的には、センサブロック20では、L1相またはL2相の何れの電流値を計測するかを、設定装置3により予め設定されている。そして、例えばセンサブロック20がL1相の電流値を計測すると設定されている場合に、センサブロック20から送信される電流の計測値が負の値を示していれば、表示制御部36は、電流値の異常を示すエラー情報を表示部34に表示させる。したがって、ユーザや施工者は、このエラー情報を確認することで、L1相、L2相の設定が間違っていると判断することができる。若しくは、ユーザや施工者は、このエラー情報を確認することで、計測ユニット23とL1相、L2相の導電バー42とを各々電気的に接続する配線が誤って接続されていると判断することができる。
また、表示制御部36は、入力部32に操作入力が入力されるまでエラー情報(またはメンテナンス情報)を表示部34に継続して表示させるのが好ましい。この構成では、ユーザや施工者がエラーの内容を確認する前にエラー情報の表示が終了してしまうのを防止することができる。
また、設定装置3は、エラー情報の内容に基づいてエラー情報に優先順位を設定しておくのが好ましい。この場合に、表示制御部36は、表示すべきエラー情報が複数存在すると、優先順位に従ってエラー情報を順番に表示部34に表示させる。この構成では、ユーザや施工者は、優先して対処すべきエラーの内容を直ぐに確認することができる。
ここで、本実施形態の計測システム1では、通信アダプタ47は、計測装置2(センサブロック20と計測ユニット23)との間で定期的に行われる通信(計測値の収集)時に、計測装置2の異常の有無や、計測装置2との間の通信の異常の有無を診断している。つまり、通信アダプタ47は、計測装置2の異常の有無や、計測装置2との間の通信の異常の有無を定期的に診断している。
具体的には、通信アダプタ47は、計測装置2(センサブロック20と計測ユニット23)との間で定期的(例えば1秒に1回)に通信を行い、計測値を収集している。そして、計測装置2は、通信アダプタ47に向けて送信する計測値のデータを含む電文(送信データ)に、計測装置2の異常の有無を示すデータを付加する。このため、通信アダプタ47は、当該データに基づいて計測装置2の異常の有無を診断することができる。また、通信アダプタ47は、計測装置2から送信される電文(送信データ)を受信できない場合に、計測装置2との間の通信に異常があると診断することができる。この場合、通信アダプタ47の通信機能の異常や、計測装置2の通信機能の異常等が考えられるので、ユーザや施工者は、通信アダプタ47又は計測装置2を交換する等の対策をとることができる。
また、通信アダプタ47は、人の操作に起因する入力を受け付ける入力受付部471を備え、入力受付部471で入力を受け付けると、計測装置2との間の通信状態を少なくとも診断する機能を備えていてもよい。この構成では、ユーザや施工者が表示部34の周囲に存在すると想定される状態でエラー表示を行うことができるので、ユーザや施工者がより確実にエラーの内容を確認することができる。
なお、上記の診断機能には、通信状態の診断の他に、例えば計測装置2から計測値を取得できているか否かを診断する機能や、計測値が異常値を示しているか否かを診断する機能が含まれていてもよい。勿論、上記の診断機能には、計測装置2の異常を診断する機能が含まれていてもよい。
入力受付部471は、例えば、主幹ブレーカ41がオンに切り替わることを入力として受け付けるように構成されていてもよい。具体的には、施工者は、分電盤4の施工を終えると、電源を投入すべく主幹ブレーカ41をオンに切り替える。すると、通信アダプタ47は、電源電力が供給されて起動する。入力受付部471は、この電源電力の供給(言い換えれば、主幹ブレーカ41がオンに切り替わること)を入力として受け付ける。
また、入力受付部471は、例えば、設定装置3の入力部32に操作入力が入力されることを入力として受け付けるように構成されていてもよい。更に、入力受付部471は、例えば、分電盤4の蓋441が開けられることを入力として受け付けるように構成されていてもよい。具体的には、入力受付部471は、蓋441が開くことで分電盤4の内部に射し込む光を検知する焦電センサや、蓋441の開閉に応じてオン/オフを切り替えるスイッチ回路で構成される。
なお、通信アダプタ47は、エラーが発生すると、サーバを経由してユーザや施工者が所有する携帯端末やパソコン(パーソナルコンピュータ)にエラー情報を通知するように構成されていてもよい。この構成では、ユーザや施工者が表示部34の周囲にいない場合でも、ユーザや施工者がエラーの内容を確認することができる。その他、通信アダプタ47は、エラーへの対策に関する情報を、エラー情報と併せて通知するように構成されていてもよい。この構成では、ユーザや施工者は、エラーへの対策を調べることなく実行することができる。
その他、表示制御部36は、回路数が変更されたことを示すエラー情報を表示部34に表示させてもよい。すなわち、センサブロック20で計測可能な電路10の数(回路数)が設定装置3で設定されている場合に、分岐ブレーカ43が外されたり、分岐ブレーカ43が故障したりする等して回路数が変更される可能性がある。この場合に、表示制御部36は、回路数が設定値と異なっていることを示すエラー情報を表示部34に表示させる。すると、ユーザや施工者は、このエラー情報を確認することで、回路数の変更について対策することができる。
また、本実施形態の計測システム1は、パワーコンディショナ(図示せず)や給湯設備、これらの機器との間で通信を行うアダプタ(図示せず)を更に有している場合がある。この場合に、表示制御部36は、当該アダプタとこれらの機器との間の通信の異常を示すエラー情報を表示部34に表示させてもよい。この構成では、ユーザや施工者は、パワーコンディショナや給湯設備と、アダプタとの間を電気的に接続する配線(通信線)の断線や外れ等を確認することができる。
さらに、表示制御部36は、計測装置2(センサブロック20や計測ユニット23)に搭載されているマイコンやASICのバージョンをメンテナンス情報として表示部34に表示させてもよい。この場合、通信アダプタ47は、計測装置2との間で通信を行うことにより、メンテナンス情報を取得する。
ところで、本実施形態の第1の変形例として、設定装置3は、インタフェース310(入力部32および表示部34)が、設定ブロック320(記憶部31と設定部33と選択部35と表示制御部36)と別体に設けられていてもよい。この場合に、分電盤4のキャビネット44には設定ブロック320が取り付けられていればよく、インタフェース310はキャビネット44の外側に設けられてもよい。これにより、ユーザは、分電盤4の外からでも、計測情報の設定を行うことができる。
さらに、計測システム1は、たとえばスマートフォンやタブレット端末のような汎用の携帯端末を、インタフェース310として用いてもよい。この場合、インタフェース310として用いられる携帯端末と、キャビネット44内の設定ブロック320との間で通信を行うことにより、インタフェース310を用いた計測情報の設定が可能になる。
第2の変形例として、設定装置3は、通信アダプタ47とは別体であってもよい。この場合、分電盤4のキャビネット44には、通信アダプタ47とは別に、設定装置3が取り付けられることになる。
第3の変形例として、設定装置3は、設定ブロック320(記憶部31と設定部33と選択部35と表示制御部36)のうち少なくとも記憶部31が、計測ユニット23と一体化されていてもよい。この場合に、計測ユニット23には、設定ブロック320の全体が一体化されていてもよいし、さらにインタフェース310(入力部32および表示部34)が一体化されていてもよい。
第4の変形例として、分電盤4は、図7に示す構成であってもよい。図7に示す分電盤4は、図2に示す分電盤4と同様に、主幹ブレーカ41や複数の分岐ブレーカ43,43…などの内器をキャビネット44に収納して構成されている。
(実施形態2)
本実施形態に係る計測システム1は、計測装置2において複数の電路10,10…の各々についての計測値を計測するための構成が、実施形態1の計測システム1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態に係る計測システム1は、計測装置2が、図8に示すように、複数の電路10,10…の各々を構成する電線に取り付けられ当該電線を流れる電流値を計測する複数の電流センサ24,24…を有している。計測装置2は、複数の電流センサ24,24…の各々の出力から複数の電路10,10…の各々についての前記計測値を計測する。
また、選択部35は、複数の電流センサ24,24…の中から電流センサ24を択一的に選択することにより、電流センサ24の出力から前記計測値が計測される電路10を設定部33での設定対象として選択するように構成される。
本実施形態における電流センサ24は、たとえばカレントトランス(CT)であって、複数の電路10,10…の各々に個別に取り付けられる。複数の電流センサ24,24…は、計測ユニット23に対して電気的に接続される。
以上説明した構成の計測システム1によれば、センサブロックの取り付けに対応していない分電盤4であっても、個々の電路10に電流センサ24を取り付けることによって、計測装置2による計測値の計測が可能になる。
なお、本実施形態に係る計測システム1の構成は、実施形態1で説明したセンサブロック20と組み合わされてもよい。すなわち、計測システム1は、基板21に設けた複数の電流センサ22,22…と、電線に取り付けられる複数の電流センサ24,24…との両方を有し、各電流センサ22,24の出力から計測値を計測する構成であってもよい。
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。