JP6252930B2 - 近接場光学観察装置、試料含有環境セル作製方法、走査電子光学顕微鏡及び走査電子光学顕微鏡の使用方法 - Google Patents

近接場光学観察装置、試料含有環境セル作製方法、走査電子光学顕微鏡及び走査電子光学顕微鏡の使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、近接場光学観察装置、試料含有環境セル作製方法、走査電子光学顕微鏡及び走査電子光学顕微鏡の使用方法に関するものである。
光学顕微鏡は、様々な環境下での様々な対象物の多用な情報を含んだ画像を提供でき、特に生物学において重要な役割を果たしてきた。
光学顕微鏡には、例えば、位相差顕微鏡や蛍光顕微鏡がある。位相差顕微鏡は、液中の生きたままの細胞を染色せずに観察することができる。蛍光顕微鏡は、特定の分子や組織だけを可視化でき、多くの生物学的な発見を生み出してきた。しかし、これらの光学顕微鏡の画像分解能は、回折限界により制限されている。
光学顕微鏡の分野においては、次に示す新しい技術が積極的に開発されている。
<光学顕微鏡の動向:(1)近接場光学顕微鏡>
光学顕微鏡においては、レンズを用いずに、先端を細く尖らせた光ファイバの外周を金属で遮光コーティングし、先端だけに微小な開口を設けた光ファイバプローブを機械的に走査して、対象物の表面の光学特性を画像化する近接場光学顕微鏡(Scanning Near−field Optical Microscopy:SNOMと略記する。)が回折限界の壁を破り、今では、ナノ構造における光の局在の様子を観察する一般的な手法として確立している。
しかし、液中ではプローブと対象物間の距離制御が困難なために液中の細胞への応用事例は限らており、また、たいていの場合、対象物を蛍光染色して観察している。近接場光学顕微鏡技術の一種であるチップ増強ラマン散乱法は染色を必要としない独特の手法として期待されているが、生物試料への応用はまだ始まったばかりで、事例がほとんどない。
<光学顕微鏡の動向:(2)遠方場ナノ分解能蛍光光学顕微鏡>
この10年ほどの間に、蛍光の非線形性や、単一分子検出を利用する、様々な遠方場ナノ分解能蛍光光学顕微鏡(Optical far−field fluorescence nanoscopy)が開発され、レンズを用いた伝統的な光学系で液中の生きた細胞を3次元的に、かつ、回折限界を超えた超解像観察することが可能となった。
しかし、これらの手法は原理的に蛍光染色を必要とする。これらに準ずる手法で、無染色の生きた細胞をどのようにして観察するかは今後の重要な研究課題とされている。
一方、電子顕微鏡は、光学顕微鏡の分解能の壁をはるかに超える分解能をもたらした。
しかし、電子顕微鏡では、試料を真空環境下に置かねばならないため、水中の生きた細胞の観察が困難となる。例えば、対象物の自然の状態を維持するために、光学顕微鏡では必要なかったような複雑な試料作製技術が必要となった。更に、光学顕微鏡において重要な情報をもたらした蛍光、光吸収、屈折率などの情報も失われた。
電子顕微鏡の分野においても、次に示す新しい技術が積極的に開発されている。
<電子顕微鏡の動向:(1)電子線による光学的情報の観察>
電子顕微鏡においては、電子線により光学的な特性を観察する手法が開発されてきた。電子線により励起された発光を検出するカソードルミネッセンス法(CL,電子線発光法)はその代表例で、染色あるいは無染色の生物試料(ただし、真空下に置かれた乾燥した死んだ状態に限る)の観察に古くから利用されてきた。
微小な分子や粒子を観察したい特定の分子や組織に化学的に結合して利用し、電子線で発光する発光マーカーの開発は今も進められている。
真空中に曝しても問題のない非生物試料に対しては、その他にも様々な電子顕微鏡技術が、種々の光学的特性を観察するために利用され、ナノフォトニクスの分野では一般的になっている。
<電子顕微鏡の動向:(2)環境セルの開発>
電子顕微鏡技術におけるもう一つの特筆すべき進展が、環境セルの開発である。
液中の、無染色の、非固定の生物試料の観察は、電子顕微鏡の歴史の初期の頃からの重要課題であったが、この10年間の進歩は目覚ましいものであった。なお、非固定の生物試料とは、殺していない生物試料、すなわち、生きている生物試料のことである。
薄い膜により試料を取り囲む領域を真空環境と遮断する環境セルを用いて、透過電子顕微鏡(TEM)、走査透過電子顕微鏡(STEM)、走査電子顕微鏡(SEM)で、透過電子、散乱電子、あるいはCLを検出することにより、液中の物体の観察に成功した事例が多数報告された。
非特許文献3には、2枚のSi基板の間に、SiNメンブレン、スペーサー、SiNメンブレンをこの順序で挟み込み、かつ、スペーサーにより設けられた空間部内に細胞をAu粒子等とともに配置する構成を具備するSTEM用の環境セルが記載されている。高密度電子線を貫通させ、散乱電子を測定する構成なので、光学顕微鏡ではない。また、細胞を試料とすると測定により、死滅する。また、一般に無染色の細胞ではコントラストが得られないので、細胞をAu粒子にて標識して、Au粒子のみを観測する構成である。
非特許文献4には、2枚のSi基板の間に、SiO(9nm)、スペーサー(Epoxy)、SiO(9nm)をこの順序で挟み込み、かつ、スペーサーにより設けられた空間部内に細胞を配置する構成を具備するTEM用の環境セルが記載されている。低密度電子線を貫通させ、透過電子像を投影する構成なので、光学顕微鏡ではない。
特許文献4及び非特許文献5には、電子線側基板、光ファイバがこの順序で配置されており、かつ、電子線側基板と光ファイバとの間に設けられた空間部内に細胞を配置する構成を具備するSEM用の環境セルが記載されている。電子線は細胞表面で反射し、反射電子を反射電子検出器により、CLを、光ファイバを介して光検出器により観測する構成である。
環境セルに関しては、Protochips社がSTEM又はTEM用製品を作製・出荷している(非特許文献6)。また、Quantomix社がSEM用製品を作製・出荷している(非特許文献7)。しかし、光学顕微鏡用途の環境セルはない。
別のアプローチとして、環境セルを用いずに液中の試料を観察するために、通常とは上下を逆に作った専用のSEMも開発されている。
液中の生物試料を電子顕微鏡で観察する上での深刻な問題は、電子線による対象物の損傷である。画像の取得原理が対象物による電子線の吸収、散乱、CLに基づく以上、対象物への電子線照射は原理的に避けられない。TEMでは電子線照射量を極小化することにより、観察後にも細胞が生きていたことを実証した事例もあるが、一般的なSTEMを用いた手法では、従来、知られていた損傷閾値よりも電子線照射量を抑制したにもかかわらず、細胞は生きていられなかったと報告されている。SEMを用いた手法でも、液中の生物試料が観察後に生きていたという報告はない。
特許文献1には、「光学顕微鏡部」と「電子顕微鏡結像系による光励起を行う部分」が連結された構成を具備する光学顕微鏡が記載されている。また、非特許文献1は、特許文献1に係る光学顕微鏡を、上下を逆に作った特殊な倒立型SEMを用いて実現したものである。しかし、試料への電子線照射を抑制し、試料に電子線損傷を与えずに画像を得るための方法は示されていない。また、これらの文献には、倒立型ではない一般的な電子顕微鏡を用いて、生物試料を光学観察するための方法は記載されていない。特許文献2、3には、環境セルを用いたX線顕微鏡が開示されている。これは、観察試料支持部材から発生する特性X線により試料のX線透過像を観察するものである。しかし、光学顕微像を得ることはできない。
国際公開第2009/148094号 特許第4565168号 特開2011−007766号公報 特表2008−510988号公報
W.Inami,K.Nakajima,A.Miyakawa,and Y.Kawata,"Electron beam excitation assisted optical microscope with ultra−high resolution", Opt. Express 18,12897(2010) T.Ogura,"Measurement of the unstained biological sample by a novel scanning electron generation X−ray microscope based on SEM", Biochem.Biophys.Res.Commun.385,624(2009) D.B.Peckys,G.M.Veith,D.C.Joy,and N.de Jonge,"Nanoscale Imaging of Whole Cells Using a Liquir Enclosure and a Scanning Transmission Electron Microscope",PLoS ONE 4,e8214(2009) K.−L.Liu,C.−C.Wu,Y.−J.Huang,H.−L.Peng,W.−Y.Chang,P.Chang,L.Hsu,and T.−R.Yew,"Novel microchip for in situ TEM imaging of living organisms and bio−reactions in aqueous conditions", Lab Chip 8,1915(2008) S.Thiberge,A.Nechushtan,D.Sprinzak,O.Gileadi,V.Behar,O.Zik,Y. Chowers,S.Michaeli,J.Schlessinger,and E.Moses,"Scanning electron microscopy of cells and tissues under fully hydrated conditions", Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101,3346(2004) Protochips社製品ホームページ http://www.protochips.com/ Quantomix社製品ホームページ http://www.wetsem.com/
本発明は、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察可能な近接場光学観察装置、試料含有環境セル作製方法、走査電子光学顕微鏡及び走査電子光学顕微鏡の使用方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記事情を鑑み、試行錯誤することにより、環境セル(Environmental cell)を具備した近接場光学観察装置と電子顕微法とを融合して、環境セル内に液中の、無染色の、非固定の生物試料を保持して、電子顕微鏡の真空槽内部に配置した状態で、機械的に走査する先鋭光ファイバプローブの代わりに、電子線が照射され発光する蛍光色素の光を照明プローブ(照明光源)として用いる走査電子光学顕微鏡(Scanning Electoronic Optical Microscopy:SEOMと略記する。)を開発した。これは、近接場光学顕微鏡(SNOM)でもある。
具体的には、環境セルの厚さ50nmの電子線で発光する窓を、低エネルギー電子線で走査し、発生したフォトンを下に配置した光電子増倍管(PMT)で計数することにより、窓材の反対面に付着させた試料の近接場光学像を試料の回折限界の影響を受けずに、100nmを超える高分解能からなる光学画像を下部に配置した光電子増倍管にて、機械的走査に頼らずに、取得することができた。従来の理論では回折限界により240nm以下のものは光学顕微鏡では識別できないとされていたが、双極子放射増強あるいはエネルギー移動現象により形成され、62nmという小さな構造の画像を観察できた。
この近接場光学観察装置は、既設の走査電子顕微鏡の試料室に容易に取り付けることができ、近接場光学観察装置と電子顕微鏡を組み合わせだけで走査電子光学顕微鏡(SEOM)を実現できた。
近接場光学観察装置の環境セル中には、試料を、大気、水、生理食塩水、培養液など、任意の環境中に保持することができた。
試料としては細胞やナノ粒子を用いることができ、液中の無染色で生きたままのヒト肺表皮細胞の表面構造や、細胞内に取り込まれた細胞毒性を持ったナノ粒子を観察できた。
画像は、先に記載したように、対象物の屈折率に応じて双極子放射増強により形成され、対象物が吸収性物質の場合には、エネルギー移動によるCLの消光現象もコントラスト形成に寄与した。
一般的な電子線エネルギーはSEMでは5〜30kV、TEM、STEMでは100〜200kVであるのに対し、0.8〜1.2kVという低エネルギー電子線を用いる構成なので、窓材にて十分に遮蔽され、窓材の反対側に付着した試料に損傷を与えなかった。
以上説明したように、走査電子光学顕微鏡(SEOM)により、液中の生きた細胞の無染色、解像光学観察を可能であること、具体的には、生きたヒト肺表皮細胞の付着界面の微細構造や毒性ナノ粒子の細胞内取り込み過程の観察に利用できることを見出して、本発明を完成した。
本発明は、以下の構成を有する。
(1)試料を密封保持可能な空間部と、前記空間部の一方に設けられた入射窓と、前記空間部の他方に設けられた出射窓とを備えた環境セルと、発光測定モジュールとを有し、前記入射窓が電子線励起により発光可能な発光材料を有していることを特徴とする近接場光学観察装置。
(2)前記入射窓に接するようにフレーム部が設けられていることを特徴とする(1)に記載の近接場光学観察装置。
(3)前記フレーム部に一面側と他面側を連通するように孔部が形成されていることを特徴とする(2)に記載の近接場光学観察装置。
(4)前記フレーム部の一面側に前記入射窓が設けられていることを特徴とする(3)に記載の近接場光学観察装置。
(5)前記孔部が前記空間部の一部であることを特徴とする(3)又は(4)に記載の近接場光学観察装置。
(6)前記フレーム部の他面側に前記入射窓が設けられていることを特徴とする(3)に記載の近接場光学観察装置。
(7)前記フレーム部の他面側に又は前記他面側に離間して出射窓が設けられていることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の近接場光学観察装置。
(8)前記フレーム部の一面側と他面側を連通する前記孔部が、入射窓側から出射窓側に向けて広がるよう形成されていることを特徴とする(3)に記載の近接場光学観察装置。
(9)前記孔部に面する前記フレーム部の壁面が光反射性の高い材料で被覆されていることを特徴とする(8)のいずれかに記載の近接場光学観察装置。
(10)前記入射窓が、2層以上で形成されており、高強度材料からなる構造層と、前記構造層に積層され、電子線励起により発光可能な発光材料を有している発光層と、を有していることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の近接場光学観察装置。
(11)前記発光層が、電子線励起により発光可能な発光材料からなることを特徴とする(10)に記載の近接場光学観察装置。
(12)前記発光層が、前記発光材料に電子線励起により発光可能な別の発光材料が添加されて形成されていることを特徴とする(11)に記載の近接場光学観察装置。
(13)前記構造層が、SiN、SiO、SiC,Si、ポリイミド、パリレン、カーボン、コロジオン、フォルムバール、トリアセチルセルロースのいずれかの高強度材料からなるメンブレンであることを特徴とする(10)〜(12)のいずれかに記載の近接場光学観察装置。
(14)前記入射窓の膜厚が、5nm以上500nm以下であることを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載の近接場光学観察装置。
(15)前記出射窓が、ガラス、ポリエステル、ポリイミド、SiN、SiO、SiC,Si、パリレン、カーボン、コロジオン、フォルムバール、トリアセチルセルロースのいずれかの材料からなることを特徴とする(1)〜(14)のいずれかに記載の近接場光学観察装置。
(16)前記入射窓が複数設けられていることを特徴とする(1)〜(15)のいずれかに記載の近接場光学観察装置。
(17)前記発光測定モジュールが、前記環境セルの出射窓側に配置されていることを特徴とする(1)〜(16)のいずれかに記載の近接場光学観察装置。
(18)前記発光測定モジュールが、前記環境セルと離間して配置されており、前記環境セルの出射窓側と前記発光測定モジュールの光電面とを結ぶ光路システムが設けられていることを特徴とする(1)〜(16)のいずれかに記載の近接場光学観察装置。
(19)前記光路システムが、レンズと、ミラーと、光ファイバの群から選択される二以上の光部品を組み合わせて形成されていることを特徴とする(18)に記載の近接場光学観察装置。
(20)前記発光測定モジュールが光電子倍増管を有するモジュール、分光測定システム、多波長発光測定モジュールのいずれかであることを特徴とする(1)〜(19)のいずれかに記載の近接場光学観察装置。
(21)一面側と他面側を連通する孔部を有するフレーム部の一面側または他面側に入射窓を設けた第1の基板を用意し、前記入射窓の他面側に試料を付着させてから、前記試料を覆うように充填媒体を滴下する工程と、出射窓を有する第2の基板を用意し、前記出射窓を覆うように充填媒体を滴下する工程と、前記第1の基板と前記第2の基板を充填媒体が混じり合うように重ね合わせる工程とを有することを特徴とする試料含有環境セル作製方法。
(22)充填媒体を滴下する工程の前工程として、高強度材料からなる構造層上に発光層をドロップ・コーティングして、入射窓を形成することを特徴とする(21)に記載の試料含有環境セル作製方法。
(23)重ね合わせる工程で、第1の基板又は第2の基板に設けられた充填媒体排出用孔部から、余分な充填媒体を排出・除去してから、前記充填媒体排出用孔部の充填媒体排出側に設けられた封止シールに別の封止シールを重ねて接着することを特徴とする(21)又は(22)に記載の試料含有環境セル作製方法。
(24)重ね合わせる工程後、第1の基板と第2の基板を第3の基板にねじ止め固定することを特徴とする(21)〜(23)のいずれかに記載の試料含有環境セル作製方法。
(25)(1)〜(20)のいずれかに記載の近接場光学観察装置と、電子顕微鏡とを有することを特徴とする走査電子光学顕微鏡。
(26)前記近接場光学観察装置が、電子顕微鏡の真空槽内に配置されていることを特徴とする(25)に記載の走査電子光学顕微鏡。
(27)前記近接場光学観察装置の環境セルが、環境セル保持部に保持されており、前記近接場光学観察装置の発光測定モジュールが、保持部に保持されており、前記保持部に対して前記環境セル保持部の位置合わせ移動機構が備えられていることを特徴とする(25)又は(26)に記載の走査電子光学顕微鏡。
(28)前記位置合わせ移動機構により、前記保持部から前記環境セル保持部を取り外して、電子顕微鏡の真空槽に接続された別の真空槽に移動可能であることを特徴とする(27)に記載の走査電子光学顕微鏡。
(29)(24)〜(28)のいずれかに記載の走査電子光学顕微鏡の使用方法であって、環境セルの入射窓の電子線透過率が1%以下となるエネルギーの電子線を環境セルの入射窓に照射することを特徴とする走査電子光学顕微鏡の使用方法。
(30)0.8kV以上1.2kV以下のエネルギーの電子線を環境セルの入射窓に照射することを特徴とする(29)に記載の走査電子光学顕微鏡の使用方法。
本発明の近接場光学観察装置は、試料を密封保持可能な空間部と、前記空間部の一方に設けられた入射窓と、前記空間部の他方に設けられた出射窓とを備えた環境セルと、発光測定モジュールとを有し、前記入射窓が電子線励起により発光可能な発光材料を有している構成なので、環境セルに保持することにより、真空槽内部でも液中の、無染色の、非固定の生物試料を安定して測定対象として保持することができ、環境セルの窓内の蛍光材料を電子線励起により発光させることにより、窓に付着させた試料の極めて近傍で、ナノオーダーの光源として発光させて、これを近接場光源として利用できるので、回折限界を超えた高分解能で光学観察することができる。
本発明の試料含有環境セル作製方法は、一面側と他面側を連通する孔部を有するフレーム部の一面側に入射窓を設けた第1の基板を用意し、前記入射窓の他面側に試料を付着させてから、前記試料を覆うように充填媒体を滴下する工程と、出射窓を有する第2の基板を用意し、前記出射窓を覆うように充填媒体を滴下する工程と、前記第1の基板と前記第2の基板を充填媒体が混じり合うように重ね合わせる工程とを有する構成なので、入射窓に試料を付着させ、充填媒体で環境セル内を充填して、内部を閉じた系として、液中の、無染色の、非固定の生物試料を含有する環境セルを容易に作製できる。
本発明の走査電子光学顕微鏡は、先に記載の近接場光学観察装置と、電子顕微鏡とを有する構成なので、液中の、無染色の、非固定の生物試料を含有する環境セルを電子顕微鏡の真空槽内が配置され、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができる。
本発明の走査電子光学顕微鏡の使用方法は、先に記載の走査電子光学顕微鏡の使用方法であって、環境セルの入射窓の電子線透過率が1%以下となるエネルギーの電子線を環境セルの入射窓に照射する構成なので、液中の、無染色の、非固定の生物試料を含有する環境セルを電子顕微鏡の真空槽内が配置され、液中の、無染色の、非固定の生物試料を痛めたり、破壊することなく、高分解能で光学観察することができる。
本発明の第1の実施形態である走査電子光学顕微鏡の一例を示す模式図(a)、そのシステム全体のブロック図(b)である。 本発明の実施形態である近接場光学観察装置の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態である近接場光学観察装置の環境セルに試料を充填した状態の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態である近接場光学観察装置の原理の一例の説明図である。 本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法の一例を示す工程図であって、試料がナノ粒子である場合である。 本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法の一例を示す工程図であって、試料がナノ粒子である場合である。 本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法の一例を示す工程図であって、試料がナノ粒子である場合である。 本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法の一例を示す工程図であって、試料がナノ粒子である場合である。 本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法の一例を示す工程図であって、試料がナノ粒子である場合である。 本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法の一例を示す工程図であって、試料がナノ粒子である場合である。 本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法の一例を示す工程図であって、試料がナノ粒子である場合である。 本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法の一例を示す工程図であって、試料がナノ粒子である場合である。
本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法の一例を示す工程図であって、試料が生きた細胞である場合である。 本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法の一例を示す工程図であって、試料が生きた細胞である場合である。 本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法の一例を示す工程図であって、試料が生きた細胞である場合である。 本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法の一例を示す工程図であって、試料が生きた細胞である場合である。 本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法の一例を示す工程図であって、試料が生きた細胞である場合である。
本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法の一例を示す工程図であって、試料が生きた細胞である場合である。 本発明の第2の実施形態である走査電子光学顕微鏡の一例を示す模式図である。 多波長発光測定モジュールの一例を示す模式図である。 本発明の第3の実施形態である走査電子光学顕微鏡に備えられる環境セルの一例を示す模式図である。 本発明の第1、4〜8の実施形態である走査電子光学顕微鏡に備えられる環境セルの一例を示す模式図である。 本発明の第1、9、10の実施形態である走査電子光学顕微鏡に備えられる環境セルの構造層とフレーム部の組み合わせの一例を示す模式図である。 光反射効果評価結果を示すグラフである。 入射窓中での電子線拡散領域のシミュレーション結果である。 ドロップ・コーティングの外観写真(a)及びドロップ・コーティングに用いるピペット先端部の拡大写真(b)である。 ドロップ・コーティングの操作写真(a)及びドロップ・コーティング面の平滑性評価写真(b)である。 電子線エネルギーと電子線の透過率の関係の評価結果を示すグラフである。 作製した第1〜第3の基板及び細胞培養用シリコーンリングの写真(a)と、第1〜第3の基板の組み合わせ写真(b)、第1〜第3の基板の説明写真(c)である。 電子顕微鏡の電気/光フィードスルー端子の写真(a)及び真空槽内部の写真(b)である。 環境セル保持部の写真(a)及びその拡大写真(b)である。 引き出した環境セル保持部の写真(a)及びその拡大写真(b)である。
保持部及び環境セル保持部の写真である。 第1の基板に細胞培養用シリコーンリングを取り付けてシャーレに配置した写真である。 液中の、無染色の、非固定の細胞の観察結果を示す顕微鏡画像(a)、及びフィルタリング画像から主要構造を抽出した模式図(b)である。 高分解性評価結果を示す顕微鏡画像(a)、(b)及び写真から得られた半値幅のグラフ(c)である。 光スペクトル評価結果を示すグラフである。 無機蛍光体及び有機蛍光体からなる試料の光スペクトル評価結果を示すグラフである。 金ナノ粒子の観察結果を示す顕微鏡画像である。
(本発明の第1の実施形態)
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態である近接場光学観察装置、試料含有環境セル作製方法,走査電子光学顕微鏡及び走査電子光学顕微鏡の使用方法について説明する。
<走査電子光学顕微鏡>
まず、本発明の第1の実施形態である走査電子光学顕微鏡について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態である走査電子光学顕微鏡の一例を示す模式図(a)と、そのシステム全体のブロック図(b)である。
図1(a)に示すように、本発明の第1の実施形態である走査電子光学顕微鏡101は、近接場光学観察装置11と、電子顕微鏡とを有して概略構成されている。
具体的には、内部を減圧可能な略筒状の真空槽103と、真空槽103内部の先端側に配置された電子源(電子銃)102と、電子源102から放射された電子線91の進行方向を制御する走査コイル104と、真空槽103内部の基端側に配置された近接場光学観察装置11とを有している。
真空槽103には、別の真空槽105が接続されている。真空槽103と真空槽105の間は開閉自在とされている。
環境セル12と電子銃102との間にはシャッター108が配置されている。シャッター108は必要に応じて電子線91が環境セル12に照射されないように、電子線91を電磁的あるいは機械的に開閉する装置で、電極間に電界を生じさせて電子線を遮断するビームブランカーが一般的である。本願装置では、ビームブランカーの代わりに機械的シャッターを用いている。
電子線91としては、0.8〜1.2kVという低エネルギー電子線を用いる。これにより、試料に与える損傷を低減できる。
近接場光学観察装置11は、環境セル12と発光測定モジュール13とからなる。
環境セル12は環境セル保持部110に保持されており、発光測定モジュール13は発光測定モジュールの保持部109に保持されている。保持部109に対して前記環境セル保持部110の位置合わせ移動機構(図示略)が備えられている。
前記位置合わせ移動機構(図示略)により、保持部109から前記環境セル保持部110を取り外して、電子顕微鏡の真空槽103に接続された別の真空槽105に移動可能とされている。これにより、真空槽103中の真空を破らずに、試料交換が可能とされている。
図1(b)に示すように、本発明の実施形態である走査電子光学顕微鏡のシステムは、電子銃制御回路121と、走査信号制御回路122と、電子線照射制御回路123と、光検出器電源回路124と、光信号整形回路125と、2次電子信号整形回路126と、2次電子信号整形回路126に接続された2次電子検出器127と、これらの回路に接続された制御PC128と、制御PC128に接続されたモニター129とを有して、概略構成されている。
ここで、電子銃制御回路121は、電子線エネルギーや電流を制御する回路である。走査信号制御回路122は、目的の位置に次々に電子線が照射されるような信号を走査コイルに出力する回路である。電子線照射制御回路123は、シャッターの開閉を制御する回路である。
光検出器電源回路124は本願装置の場合には光電子増倍管用の高圧電源であり、本願装置の場合には発光測定モジュール13の内部に組み込まれている。光信号整形回路125は、本願装置の場合には前置増幅器とフォトンカウンティング回路とからなり、フォトンの計数値を出力する。本願装置の場合には、前置増幅器は真空槽の中で、検出器近傍に組み込まれている。2次電子信号整形回路126は、2次電子検出器127からの信号を増幅する整形回路である。2次電子検出器127は、SEMにもともと備えられている検出器である。
<近接場光学観察装置>
次に、本発明の実施形態である近接場光学観察装置について説明する。
図2は、本発明の実施形態である近接場光学観察装置の一例を示す模式図である。図3は、本発明の実施形態である近接場光学観察装置の環境セルに試料を充填した状態の一例を示す模式図である。
図2、3に示すように、本発明の実施形態である近接場光学観察装置11は、環境セル12と発光測定モジュール13とを有して、概略構成されている。
環境セル12は、試料を密封保持可能な空間部19と、空間部19の一方に設けられた入射窓30と、空間部19の他方に設けられた出射窓34とを備えた環境セル12と、発光測定モジュール13とを有している。
環境セル12は、フレーム部35と、フレーム部35の一面側と他面側を連通する孔部35cと、孔部35cのフレーム部35の一面側に設けられた入射窓30と、孔部35cのフレーム部35の他面側に離間して設けられた出射窓34と、を有している。
なお、出射窓34は、図2、3に示すように、フレーム部35の他面側に又は前記他面側に離間して設けられていればよく、フレーム部35の他面に接して配置してもよい。
図3に示すように、環境セル12は、入射窓30と出射窓34の間に、試料41を密封保持可能な空間部19を備えている。空間部19は、孔部22c1、孔部35c、充填媒体排出用孔部22c2、孔部38Acとから構成されている。空間部19には、試料41と充填媒体42が充填されている。
フレーム部35として、Si、ステンレス、銅、モリブデン、白金、ニッケル、金のいずれかの材料を挙げることができる。これにより、孔部35cの大きさを正確に制御して形成することができ、試料保持状態を正確に制御できる。また、試料や充填媒体と反応させることもない。
フレーム部35の一面側と他面側を連通する孔部35cが、入射窓側から出射窓側に向けて広がるよう形成されていることが好ましい。これにより、出射光を発光測定モジュールに効率よく伝えることができる。
孔部35cに面するフレーム部35の壁面が光反射性の高い材料で被覆されていることが好ましい。これにより、出射光を発光測定モジュールにより効率よく伝えることができる。光反射性の高い材料としては、Ag、Al、Au、Ptのいずれかの材料を上げることができる。斜め蒸着法により、必要な壁面部だけにこれらの材料を被覆することが可能である。
入射窓30は、高強度材料からなる構造層31と、構造層31に積層され、電子線励起により発光可能な発光材料を有している発光層32の2層で構成されている。しかし、これに限られるものではなく、3層以上としてもよい。
発光層32は、それ自体が電子線励起により発光可能な発光材料からなるか、又は、前記発光材料に電子線励起により発光可能な別の発光材料が添加されて形成されている。これにより、発光層32のポリマー材料を光源に利用できる。これにより、発光層32に照射された電子線照射部を近接場光源とすることができる。
発光層32自体が電子線励起により発光可能な発光材料となりうる材料としては、PPV誘導体などのπ共役高分子、ポリイミド、Alqなどの有機EL材料、BC400などのプラスチックシンチレータ,SiN,ZnOの群から選択されるいずれか一の材料を挙げることができる。また、添加され、電子線励起により発光可能な別の発光材料は、Alq、Bbq、Zn−PBO、ルブレン、Ir(ppy)、クマリンやDCMなどのレーザー色素の群から選択されるいずれか一の発光材料を挙げることができる。具体的には、PVKにクマリンを添加した発光層(クマリン分散PVK)や、ZnSにAgを添加した発光層等を挙げることができる。クマリンとしては、バンドギャップが2.3eVのクマリン6などを挙げることができる。
構造層31は、高強度材料SiNからなるメンブレンである。構造層31は、SiO、SiC,Si、ポリイミド、パリレン、カーボン、コロジオン、フォルムバール、トリアセチルセルロースのいずれかの高強度材料からなるメンブレンであってもよい。これらのメンブレンにより、膜厚を薄くしても、強度を保つことができ、環境セルを真空槽内に保持したときでも、入射窓が破れるのを防止できる。
フレーム部と構造層の組み合わせとしては、例えば、Siのフレーム部にSiN、SiO、SiC、Siの群から選択されるいずれか一のメンブレンからなる構造層を挙げることができる。
また、別の組み合わせとしては、SUS,Cu、Mo、Pt、Ni、Auの群から選択されるいずれか一の金属からなるフレーム部に、ポリイミド、パリレン、カーボン、コロジオン、フォルムバール、トリアセチルセルロースの群から選択されるいずれか一の有機材料のメンブレンからなる構造層を挙げることができる。
フレーム部としては、一の孔部が設けられているものに限られず、複数の孔部が設けられるものを用いてもよい。例えば、3×3=9個の孔部を配列形成してもよい。これにより、メッシュ状の孔部を形成できる。メッシュ状の孔部は、Siのフレーム部又はSUS、Cu、Mo、Pt、Ni、Auなどの金属からなるフレーム部に形成できる。金属のメッシュからなるフレーム部には、ポリイミド、パリレン、カーボン、コロジオン、フォルムバール、トリアセチルセルロースなどの主に有機材料のメンブレンを構造層として貼り付けることができる。
入射窓30の膜厚は、5nm以上500nm以下であることが好ましい。
入射窓30の発光層32の平面視径が、5μm以上1mm以下であることが好ましい。これにより、この範囲で2次元観測することができる。
出射窓34として、ガラス、ポリエステル、ポリイミド、SiN、SiO、SiC,Si、パリレン、カーボン、コロジオン、フォルムバール、トリアセチルセルロースのいずれかの材料を挙げることができる。ガラスとしては石英ガラスが好ましい。
出射窓34の平面視径は、例えば、5μm以上10mm以下とする。
発光測定モジュール13は、環境セル12の出射窓34側に配置されている。発光測定モジュール13は、光電子倍増管を有するモジュールである。これにより、出射光を効率よく捕えることができる。
発光測定モジュール13は、フォトダイオードやアバランシェフォトダイオード等の光検出器を有する構成でも良い。また、多素子光電子増倍管、多素子フォトダイオード、CCD、CMOS等の多素子光検出器を有する構成としてもよい。
<近接場光学観察装置の原理>
本発明の実施形態である近接場光学観察装置の原理について説明する。
図4は、本発明の実施形態である近接場光学観察装置の原理の一例を示す模式図である。
図4に示すように、本発明の実施形態である近接場光学観察装置の環境セルでは、電子銃側から、構造層31及び発光層32がこの順序で積層された入射窓30と、試料41と、充填媒体42と、出射窓34とがこの順序で積層されてなり、環境セル12の電子銃と反対側の面に、発光測定モジュール13が配置されてなる。
充填媒体42は、例えば、液体としてはPBSであり、気体としては空気(Air)である。
試料41としては、有機化合物又は無機化合物からなるナノ粒子、細胞などの生物試料などを挙げることができる。超解像光学観察のできなかった、液中の無染色の非固定の生物試料にすら適用できる。生物以外の試料としては無機、有機、半導体など様々な組成の粒子を任意の溶液あるいは気体中で観察するということができる。生物試料であっても、無染色、非固定に限らず、染色した細胞、固定した細胞も対象にできる。また、生物試料であっても、バクテリア、ウィルス、細胞壁を有する酵母細胞など、種類によっては、液中ではなく、空気や任意の組成の気体中で観察することができる。
電子銃102から出射された電子線91は発光層32の任意の点に照射され、発光層32の任意の点がCLにより光源92として発光する。光源92から出射された光93は近接場に配置された試料41を照射し、試料41との近接場相互作用の結果、透過された光93が発光測定モジュール13の光電面13aで捕捉される。捕捉された光はPCにより分析され、モニターに表示される。
電子線91は、例えば矢印91aの方向に走査することにより、試料41の1次元方向情報を得ることができ、走査方向を平行に順次ずらしていくことにより、試料41の2次元面の情報を得ることができる。
光源92からの光93は蛍光材料の種類に応じて決まる、可視光を中心とする任意の光(波長200〜2000nm)であるが、光源92の大きさが電子線拡散領域に対応するナノオーダーの大きさであるとともに、光源92から試料41までの距離がナノオーダーと短いため、試料41による透過光のコントラストは近接場相互作用により決まり、可視光の回折限界を超えた分解能を有する近接場光学観察が可能となる。
入射窓30の膜厚30tが5nm以上500nm以下である構成なので、試料41と光源92との距離を短くすることができ、発光層32の電子線照射部を近接場光源として利用することができる。また、入射窓30の強度を十分に保持できる。特に、入射窓30を、機械的強度を保持する構造層と、発光機能を有する発光層に機能分離した2層構造とすることにより、発光機能を高めたうえで、機械的強度も高めることができる。
発光層32の膜厚は、5nm以上500nm以下とする。これにより、試料と光源との距離を短くして、発光層の電子線照射部を近接場光源として利用することができる。
出射窓34の厚さは、5nm以上1mm以下とする。これにより、試料と発光測定モジュールとの距離を短くして、広い角度範囲の光93を効率良く捕捉することができる。
フレーム部35の厚さは、10μm以上1mm以下とする。フレーム部35の厚さは、光路長に影響しないが、出射窓34の位置はフレーム部35の厚さより発光層側に近づくことができない。また、フレーム部35の壁面は反射板として作用するので、孔部35cが、入射窓側から出射窓側に向けて広がるよう形成されていることにより、発光測定モジュール13に入射させる出射光効率を高めることができる。
<試料含有環境セル作製方法1:試料がナノ粒子である場合>
次に、本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法であって、試料がナノ粒子である場合について説明する。
図5〜12は、本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法の一例を示す工程図である。
本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法は、第1の基板の入射窓への試料付着・充填媒体滴下工程S1と、第2の基板の出射窓への充填媒体滴下工程S2と、第1の基板と第2の基板の重ね合わせ工程S3とを有して、概略構成されている。
なお、試料付着・充填媒体滴下工程S1の前工程として、高強度材料からなる構造層上に発光層をドロップ・コーティングして、入射窓を形成することが好ましい。これにより、微小面積であっても、均一な膜厚で、蛍光色素を偏らせることなく均一に分散させて、発光層を形成することができ、解像度を高めることができる。
(第1の基板の入射窓への試料付着・充填媒体滴下工程S1)
この工程では、まず、図5に示す、一面側と他面側を連通する孔部35cを有するフレーム部35の一面側に入射窓30を設けた第1の基板21を用意する。フレーム部35は第1の基板21の孔部21c1に外周側で接着され、固定されている。また、第1の基板21は、基板本体部21Aにねじ用の孔部21c2が備えられている。
入射窓30は、フレーム基板35の一面側に接着された構造層31と、構造層31の他面側に接着された発光層32とから構成されている。
次に、図5に示すように、入射窓30の他面側に試料41を付着させる。
次に、図6に示すように、試料41を覆うように充填媒体42を滴下する。
次に、図7に示すように、第3の基板23の上に第1の基板21を配置する。第3の基板23は、基板本体部23Aに、孔部23c1と、ねじ用の孔部23c2が形成されてなる。後の工程で、第3の基板23に、第1の基板21及び第2の基板22をねじ止め固定する。
(第2の基板の出射窓への充填媒体滴下工程S2)
この工程では、出射窓34を有する第2の基板22を用意する。第2の基板22は、基板本体部22Aに、環境セル用の孔部22c1と、充填媒体排出用孔部22c2と、出射光用の孔部22c3と、ねじ用の孔部22c4が形成されてなる。充填媒体排出用孔部22c2には、孔部38Acが設けられた封止シール38Aが貼られている。また、環境セル用の孔部22c1にはOリング37が嵌合されている。Oリング37は、ゴム・パッキングである。
次に、図8に示すように、出射窓34を覆うように、かつ、環境セル用孔部22c1を充填するように、充填媒体42を滴下する。
(第1の基板と第2の基板の重ね合わせ工程S3)
この工程では、図9に示すように、第1の基板21と第2の基板22を充填媒体42が混じり合うように重ね合わせる。矢印が重ね合わせる方向である。Oリング37が配置されているので、充填媒体42の漏れは防止される。
図10に示すように、第1の基板21と第2の基板22を重ね合わせたときに、第2の基板に設けられた充填媒体排出用孔部22c2及び封止シール38Aの孔部38Acを介して、余分な充填媒体42が排出される。
次に、図11に示すように、排出された充填媒体42を、ろ紙等で除去する。
次に、図12に示すように、封止シール38Aに重ねるようにして、別の封止シール38Bを接着して、環境セル内部を外部から完全に隔離・密閉する。封止シール38A、38Bの材料はポリイミドである。
同じ材質同士であれば短時間に高強度で接着する接着剤が広く存在するので、封止シール同士を重ねて接着することにより、短時間でかつ確実に密閉することができる。
重ね合わせる工程S3後、第1の基板と第2の基板を第3の基板にねじ止め固定することが好ましい。これにより、環境セル12、特に、空間部19を安定保持できる。
以上の工程により、試料含有環境セルを容易に、短時間で作製できる。
試料含有環境セルにより、無機、有機、半導体など様々な組成の粒子を任意の溶液あるいは気体中で観察することができる。
<試料含有環境セル作製方法2:試料が生きた細胞である場合>
次に、本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法であって、試料が生きた細胞である場合について説明する。
図13〜18は、本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法の一例を示す工程図である。
本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法は、第1の基板の入射窓への試料付着・充填媒体滴下工程S1が異なる。
まず、一面側と他面側を連通する孔部35cを有するフレーム部35の一面側に入射窓30を設けた第1の基板21を用意する。フレーム部35は第1の基板21の孔部21c1に外周側で接着され、固定されている。また、第1の基板21は、基板本体部21Aにねじ用の孔部21c2が備えられている。入射窓30は、フレーム基板35の一面側に接着された構造層31と構造層31の他面側に接着された発光層32とから構成されている。
次に、図13に示すように、第1の基板21上に、シリコーンリング45を配置する。シリコーンリング45は、シリコーン特有の付着力で第1の基板21に密着する。
次に、別のフラスコで培養していた細胞47を培養液46に懸濁させた状態でシリコーンリング45のリング内に滴下する。図14に示すように、シリコーンリング45のリング内に滴下した培養液46中、細胞47は浮遊する。
時間とともに、細胞47は次第に沈降し、図15に示すように、第1の基板21、入射窓30の他面側及びフレーム部35に付着する。細胞47はこれらに付着した状態で成長を始め、正常な状態となる。
次に、図16に示すように、培養液46を充填液体42に交換する。充填液体42中、細胞47は数時間生き続ける。
次に、図17に示すように、シリコーンリング45を取り除く。
図5に示す入射窓30の他面側にナノ粒子の試料を付着させた第1の基板の代わりに、図17に示す細胞の試料を付着させた基板を用いるほかは、ナノ粒子の試料含有環境セル作製方法と同様にして、細胞の試料含有環境セルを容易に、短時間で作製できる。
図18は、生きた細胞の試料含有環境セルの一例を示す図である。
これにより、これまで超解像光学観察のできなかった、液中の無染色の非固定の生物試料を近接場光学観察できる。
無染色、非固定に限らず、染色した細胞、固定した細胞も対象とすることができる。また、バクテリア、ウィルス、細胞壁を有する酵母細胞などの生物試料を、液中ではなく、空気や任意の組成の気体中で観察することもできる。
<走査電子光学顕微鏡の使用方法>
本発明の実施形態である走査電子光学顕微鏡の使用方法は、走査電子光学顕微鏡101の使用方法である。
0.8kV以上1.2kV以下のエネルギーの電子線を環境セルの入射窓に照射する。0.8kV以上1.2kV以下のエネルギーは、このエネルギーの電子線は、入射窓を透過できず、空間部内の、液中の、無染色の、非固定の生物試料を痛めたり、破壊することなく、高分解能で光学観察することができる。
(本発明の第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態である走査電子光学顕微鏡について説明する。
図19は、本発明の第2の実施形態である走査電子光学顕微鏡の一例を示す模式図である。
図19に示すように、本発明の第2の実施形態である走査電子光学顕微鏡1102は、環境セル12と発光測定モジュール13との間に光路システム1201を有しており、発光測定モジュール13が真空槽の外に配置されている他は本発明の第1の実施形態である走査電子光学顕微鏡101と同様の構成とされている。
近接場光学観察装置1211は、環境セル12と発光測定モジュール13と光路システム1201とから構成されている。
環境セル12と発光測定モジュール13は離間して配置されており、発光測定モジュール13は真空槽の外部に配置されている。これにより、発光測定モジュール13として、PMTだけでなく、分光測定システムや多波長発光測定モジュールなどの複雑なモジュールを利用できる。
環境セル12の出射窓側と発光測定モジュール13の光電面とを結ぶ光路システム1201が設けられている。光路システム1201により、出射光は、効率よく発光測定モジュールに伝えられる。
光路システム1201は、レンズと、ミラーと、光ファイバの群から選択される二以上の光部品を組み合わせて形成されている。
具体的には、光路システム1201において、環境セル12から発せられた光は、色収差補正対物レンズ1122にて一度平行光にされ、ミラー1119で向きを変えて再度色収差補正レンズ1123にて光ファイバ1125端面に集光される。光ファイバ1125はフィードスルーを介して真空槽外に接続されており、大気下に置いた発光測定モジュール13に光を入射される。
なお、光路システム1201のうち色収差補正対物レンズ1122、ミラー1119、色収差補正レンズ1123は保持部109に取り付けられている。
発光測定モジュール13として分光測定システムを用いると、2次元的な画像情報に加えて、スペクトルの観点からも試料を分析することができる。試料がまったく吸収を示さない場合には、観測されるスペクトルは単に発光層のCLスペクトルとなる。試料が特定の波長を吸収すれば、その波長の強度は減少するので、試料の吸収スペクトル情報を含んだ近接場光学像を取得することができる。
発光測定モジュール13として多波長発光測定モジュールを用いると、カラー画像を観察できる。
図20は、多波長発光測定モジュールの一例を示す模式図である。
図20に示すように、光ファイバ1125からの光をレンズ1121で平行光に変換し、ダイクロイックミラー1117、1118で、青、緑、赤の3つの光路に分割する。それぞれの先に、光検出器1113、1114、1115を設けることにより、カラーの近接場光学観察が可能となる。
このような複雑なモジュールを狭隘なSEMの試料室に直接組み込むのは困難であるが、光ファイバ1125を介して光信号を真空槽外に取り出すことにより、発光測定モジュール13のスペースの制約がなくなり、このような自由度を得ることができる。
(本発明の第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態である走査電子光学顕微鏡について説明する。
図21は、本発明の第3の実施形態である走査電子光学顕微鏡に備えられる環境セルの一例を示す模式図である。本発明の第3の実施形態である走査電子光学顕微鏡は、図21に示す環境セルを備える他は本発明の第1の実施形態である走査電子光学顕微鏡101と同様の構成とされている。
図21に示すように、環境セル2012は、電子線側から、メッシュ状のフレーム部2035、入射窓2030、スペーサー2055、出射窓2034、支持基板2051が積層されて構成されている。
入射窓2030は、帯電防止層2053、発光層2052とから構成されている。
空間部2019内では、試料2041は発光層側に配置されており、充填媒体2042が充填されている。
図21では、スペーサーと出射窓との間は接着剤で接合しているが、スペーサーと出射窓との間にOリングを挟みこんだ状態で、先に記載のねじ止めにより、固定してもよい。
メッシュ状のフレーム部2035の材料としては、ステンレスを挙げることができる。膜厚は1〜100μmとする。開口は、例えば、正方形とし、1辺100〜1000μmとする。
発光層2052の材料としては、ポリイミドメンブレンを挙げることができる。膜厚は100〜1000nmとする。電子線照射により、ポリイミドは、ピーク波長550nmの蛍光を発するので、これを光源にできる。
出射窓の材料としては、PETフィルムを挙げることができる。膜厚は1〜10μmとする。
帯電防止層2053の材料としては、カーボンを挙げることができる。膜厚は1〜100nmとする。これにより、ポリイミドの帯電を防止できる。
スペーサー2055はリング状の部品であり、スペーサー2055の材料としては、ポリスチレン、SUS、Al、Cuを挙げることができる。これにより、環境セルの空間部を気密性を保ちつつ機械的に安定に維持できる。
充填媒体2042としては、空気を挙げることができる。
以上の構成により、1.0〜5.0kVの低電子線エネルギーの電子線を入射窓に照射し、入射窓で電子線励起発光させた光源の光を、試料の中を透過させ、出射窓側からPMT等の発光測定モジュールにより近接場光学観察をすることができる。
(本発明の第4〜8の実施形態)
次に、本発明の第4〜8の実施形態である走査電子光学顕微鏡について説明する。
図22(b)〜(e)は、本発明の第4〜8の実施形態である走査電子光学顕微鏡に備えられる環境セルの一例を示す模式図である。本発明の第4〜8の実施形態である走査電子光学顕微鏡は、図22(b)〜(e)に示す環境セルを備える他は本発明の第1の実施形態である走査電子光学顕微鏡101と同様の構成とされている。なお、比較のため、図22(a)に、本発明の第1の実施形態である走査電子光学顕微鏡101の環境セルを示している。
図22(b)は、本発明の第4の実施形態である走査電子光学顕微鏡に備えられる環境セルの一例を示す模式図である。本発明の第4の実施形態である走査電子光学顕微鏡の環境セル12Dは、構造層と発光層の積層順序が逆の他は本発明の第1の実施形態である走査電子光学顕微鏡101の環境セル12と同様の構成とされている。
図22(c)は、本発明の第5の実施形態である走査電子光学顕微鏡に備えられる環境セルの一例を示す模式図である。本発明の第5の実施形態である走査電子光学顕微鏡の環境セル12Eは、構造層と発光層の代わりに、発光層を兼ねる構造層が備えられている他は本発明の第1の実施形態である走査電子光学顕微鏡101の環境セル12と同様の構成とされている。
図22(d)は、本発明の第6の実施形態である走査電子光学顕微鏡に備えられる環境セルの一例を示す模式図である。本発明の第6の実施形態である走査電子光学顕微鏡の環境セル12Fは、構造層の一面側にフレーム部が設けられている他は本発明の第1の実施形態である走査電子光学顕微鏡101の環境セル12と同様の構成とされている。
図22(e)は、本発明の第7の実施形態である走査電子光学顕微鏡に備えられる環境セルの一例を示す模式図である。本発明の第7の実施形態である走査電子光学顕微鏡の環境セル12Gは、構造層と発光層の積層順序が逆の他は本発明の第6の実施形態である走査電子光学顕微鏡の環境セル12Fと同様の構成とされている。
図22(e)は、本発明の第8の実施形態である走査電子光学顕微鏡に備えられる環境セルの一例を示す模式図である。本発明の第8の実施形態である走査電子光学顕微鏡の環境セル12Hは、構造層と発光層の代わりに、発光層を兼ねる構造層が備えられている他は本発明の第7の実施形態である走査電子光学顕微鏡の環境セル12Gと同様の構成とされている。
(本発明の第9、10の実施形態)
次に、本発明の第9、10の実施形態である走査電子光学顕微鏡について説明する。
図23(d)〜(f)、(g)〜(i)は、本発明の第9、10の実施形態である走査電子光学顕微鏡に備えられる環境セルの構造層とフレーム部の組み合わせの一例を示す模式図である。本発明の第9、10の実施形態である走査電子光学顕微鏡は、図23(d)〜(f)、(g)〜(i)に示す環境セルの構造層とフレーム部の組み合わせを備える他は本発明の第1の実施形態である走査電子光学顕微鏡101と同様の構成とされている。 なお、比較のため、図23(a)〜(c)に、本発明の第1の実施形態である走査電子光学顕微鏡101の環境セルの構造層とフレーム部の組み合わせを示している。
なお、図23(a)、(d)、(g)が平面図であり、図23(b)、(e)、(h)が平面図(a)、(d)、(g)の背面図であり、図23(c)、(f)、(i)が平面図(a)、(d)、(g)の一点鎖線における断面図である。
図23(d)〜(f)は、本発明の第9の実施形態である走査電子光学顕微鏡に備えられる環境セルの構造層とフレーム部の組み合わせの一例を示す模式図である。本発明の第9の実施形態である走査電子光学顕微鏡の環境セルの構造層とフレーム部の組み合わせはフレーム部に孔部が3×3で形成されている他は本発明の第1の実施形態である走査電子光学顕微鏡の環境セルの構造層とフレーム部の組み合わせと同様の構成とされている。
図23(g)〜(i)は、本発明の第10の実施形態である走査電子光学顕微鏡に備えられる環境セルの構造層とフレーム部の組み合わせの一例を示す模式図である。本発明の第10の実施形態である走査電子光学顕微鏡の環境セルの構造層とフレーム部の組み合わせは、帯電防止層が省略されている他は本発明の第3の実施形態である走査電子光学顕微鏡の環境セルの構造層とフレーム部の組み合わせと同様の構成とされている。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置11は、電子顕微鏡と組み合わされる近接場光学観察装置であって、試料を密封保持可能な空間部19と、空間部19の一方に設けられた入射窓30と、空間部19の他方に設けられた出射窓34とを備えた環境セル12と、発光測定モジュールとを有し、前記入射窓が、前記電子顕微鏡の電子線による励起により発光可能な発光材料を有している構成なので、環境セルに保持することにより、真空槽内でも液中の、無染色の、非固定の生物試料を測定対象とすることができ、環境セルの窓内の蛍光材料のカソードルミネッセンス光を近接場光源として利用することにより、高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置11は、入射窓30に接するようにフレーム部35が設けられている構成なので、閉じた環境セル内であって、入射窓と出射窓の間に、液中の、無染色の、非固定の生物試料を保持することができ、高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置11は、フレーム部35に一面側と他面側を連通するように孔部35cが形成されている構成なので、閉じた環境セル内であって、入射窓と出射窓の間に、液中の、無染色の、非固定の生物試料を保持することができ、高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置11は、フレーム部35の一面側に入射窓30が設けられている構成なので、閉じた環境セル内であって、入射窓と出射窓の間に、液中の、無染色の、非固定の生物試料を保持することができ、高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置11は、孔部35が空間部19の一部である構成なので、閉じた環境セル内であって、入射窓と出射窓の間に、液中の、無染色の、非固定の生物試料を保持することができ、高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置は、フレーム部2035の他面側に入射窓2030が設けられている構成なので、閉じた環境セル内であって、入射窓と出射窓の間に、液中の、無染色の、非固定の生物試料を保持することができ、高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置11は、前記フレーム部の他面側に又は前記他面側に離間して出射窓が設けられている構成なので、閉じた環境セル内であって、入射窓と出射窓の間に、液中の、無染色の、非固定の生物試料を保持することができ、高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置11は、フレーム部12の一面側と他面側を連通する前記孔部が、入射窓側から出射窓側に向けて広がるよう形成されている構成なので、近接場光源から試料を透過して出射される光を効率よくとらえて、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置11は、孔部35cに面する前記フレーム部の壁面が光反射性の高い材料で被覆されている構成なので、環境セル内の試料に影響を与えず、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置11は、入射窓30が、2層以上で形成されており、高強度材料からなる構造層31と、前記構造層に積層され、電子線励起により発光可能な発光材料を有している発光層32と、を有している構成なので、構造層により環境セルの強度を確保する一方、発光層内で近接場光源を形成して、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置は、発光層2052自体が、電子線励起により発光可能な発光材料からなる構成なので、環境セル内の試料に影響を与えず、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置11は、発光層32が、前記発光材料に電子線励起により発光可能な別の発光材料が添加されて形成されている構成なので、環境セル内の試料に影響を与えず、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置11は、構造層31が、SiN、SiO、SiC,Si、ポリイミド、パリレン、カーボン、コロジオン、フォルムバール、トリアセチルセルロースのいずれかの高強度材料からなるメンブレンである構成なので、環境セルの強度を確保でき、真空中でも環境セルを破裂させることなく、安定して、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置11は、入射窓39の膜厚30tが、5nm以上500nm以下である構成なので、環境セル内の近接場光源から発光測定モジュールまでの距離を短くして、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置11は、出射窓34が、ガラス、ポリエステル、ポリイミド、SiN、SiO、SiC,Si、パリレン、カーボン、コロジオン、フォルムバール、トリアセチルセルロースのいずれかの材料からなる構成なので、近接場光源からの出射光を効率よく発光測定モジュールに伝え、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置は、入射窓が複数設けられている構成なので、近接場光源からの出射光を効率よく発光測定モジュールに伝え、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置11は、発光測定モジュール13が、前記環境セルの出射窓側に配置されている構成なので、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置1211は、発光測定モジュール13が、環境セル12と離間して配置されており、前記環境セルの出射窓側と前記発光測定モジュールの光電面とを結ぶ光路システム1202が設けられている構成なので、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置1211は、光路システム1201が、レンズ1122、1123と、ミラー1119と、光ファイバ1125の群から選択される二以上の光部品を組み合わせて形成されている構成なので、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置11、1211は、発光測定モジュール13が光電子倍増管を有するモジュール、分光測定システム、多波長発光測定モジュールのいずれかである構成なので、光電子倍増管を有するモジュールの場合には、近接場光源からの出射光を効率よく発光測定モジュールでとらえて、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができ、2次元的な画像情報に加えて、スペクトルの観点からも試料を分析することができ、カラーの近接場光学観察が可能となる。
本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法は、電子顕微鏡と組み合わされる試料含有環境セルを作製する試料含有環境セル作製方法であって、一面側と他面側を連通する孔部を有するフレーム部の一面側または他面側に入射窓を設けた第1の基板を用意し、前記入射窓の前記電子顕微鏡による電子線が照射される面とは他面側に試料を付着させてから、前記試料を覆うように充填媒体を滴下する工程S1と、出射窓を有する第2の基板を用意し、前記出射窓を覆うように充填媒体を滴下する工程S2と、前記第1の基板と前記第2の基板を充填媒体が混じり合うように重ね合わせる工程S3とを有する構成なので、入射窓に試料を付着させ、充填媒体で環境セル内を充填して、内部を閉じた系として、液中の、無染色の、非固定の生物試料を含有する環境セルを容易に作製できる。
本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法は、充填媒体を滴下する工程S1の前工程として、高強度材料からなる構造層上に発光層をドロップ・コーティングして、入射窓を形成する構成なので、平滑で、均一な発光層を形成でき、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法は、重ね合わせる工程S3で、第1の基板又は第2の基板に設けられた充填媒体排出用孔部から、余分な充填媒体を排出・除去してから、前記充填媒体排出用孔部の充填媒体排出側に設けられた封止シールに別の封止シールを重ねて接着する構成なので、充填媒体で環境セル内を完全に充填した、液中の、無染色の、非固定の生物試料を含有する環境セルを容易に作製できる。
本発明の実施形態である試料含有環境セル作製方法は、重ね合わせる工程S3後、第1の基板と第2の基板を第3の基板にねじ止め固定する構成なので、内部を閉じた系として、真空槽内で破裂させることない、液中の、無染色の、非固定の生物試料を含有する環境セルを容易に作製できる。
本発明の実施形態である走査電子光学顕微鏡101、1102は、近接場光学観察装置11、1211と、電子顕微鏡とを有する構成なので、液中の、無染色の、非固定の生物試料を含有する環境セルが電子顕微鏡の真空槽内に配置され、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である走査電子光学顕微鏡101は、近接場光学観察装置11が、電子顕微鏡の真空槽内に配置されている構成なので、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である走査電子光学顕微鏡101は、近接場光学観察装置11の環境セル12が、環境セル保持部110に保持されており、近接場光学観察装置11の発光測定モジュール13が、保持部109に保持されており、前記保持部に対して前記環境セル保持部の位置合わせ移動機構が備えられている構成なので、環境セル保持部を交換して、容易に試料交換ができる。
本発明の実施形態である走査電子光学顕微鏡101は、前記位置合わせ移動機構により、前記保持部から前記環境セル保持部を取り外して、電子顕微鏡の真空槽103に接続された別の真空槽105に移動可能である構成なので、環境セル保持部を交換して、容易に試料交換ができる。
本発明の実施形態である走査電子光学顕微鏡の使用方法は、先に記載の走査電子光学顕微鏡の使用方法であって、環境セルの入射窓の電子線透過率が1%以下となるエネルギーの電子線を環境セルの入射窓に照射する構成なので、液中の、無染色の、非固定の生物試料を含有する環境セルを電子顕微鏡の真空槽内が配置され、液中の、無染色の、非固定の生物試料を痛めたり、破壊することなく、高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である走査電子光学顕微鏡の使用方法は、先に記載の走査電子光学顕微鏡の使用方法であって、0.8kV以上1.2kV以下のエネルギーの電子線を環境セルの入射窓に照射する構成なので、液中の、無染色の、非固定の生物試料を含有する環境セルを電子顕微鏡の真空槽内が配置され、液中の、無染色の、非固定の生物試料を痛めたり、破壊することなく、高分解能で光学観察することができる。
本発明の実施形態である近接場光学観察装置、試料含有環境セル作製方法,走査電子光学顕微鏡及び走査電子光学顕微鏡の使用方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(試験例1)
近接場光学観察装置の光取り出し効率を高めるために、空間部を規定するフレーム部の傾斜面の光反射効果をシミュレーションした。
図24は、傾斜角度の光反射効果の評価結果の一例を示す図である。
入射窓(Entrance window)中の光源からの発光は、空間部の中で、フレーム部の傾斜面で反射され、出射窓(Exit window)へ出射される。
出射窓中で、一部の光は一面側界面と他面側界面で複数回反射され、側壁方向から放射される。
大部分の光は他面側からPMT方向に出射され、PMTの接地窓(Shield window)を通過して、PMTに取り込まれる。
傾斜面の角度を鉛直方向から35.3度とすることにより、側壁部へ出射される光の割合を小さくして、PMTに取り込まれる光の割合を大きくし、感度を高めることができた。
(試験例2)
図25は、入射窓中での電子線拡散領域のシミュレーション結果の一例を示す図である。
tmは構造層の厚さであり、teは発光層の厚さである。
図25では、構造層の厚さtmを20nm、発光層の厚さteを0nm、30nm、60nmとした場合に、それぞれ、電子線エネルギー0.6kV、0.9kV、1.0kVで入射した場合の電子線の拡散領域を示している。この領域が光源92となる。図25の結果は、入射窓の厚さに応じて、適切なエネルギーの電子線を入射すれば、電子線は入射窓を透過せずに内部で停止し、直径数10nmの近接場光源を形成することを示している。
(試験例3)
均一で平滑な膜からなる発光層の作製方法の検討を行った。
まず、有機蛍光材料の分散液として、クマリン6(1wt%)分散PVKの溶液を調製した。溶媒はクロロホルムにo−ジクロロベンゼンを0.1〜1%混合した液を用い、クマリン6(1wt%)分散PVKを10〜100μg/mlの濃度とした。
次に、この分散液を用いて、ドロップ・コーティング法により、メンブレン上に発光層を形成した。マイクロインジェクション量は約0.05μlとした。
図26は、ドロップ・コーティングの外観写真(a)及びドロップ・コーティングに用いるピペット先端部の拡大写真(b)である。
図27は、ドロップ・コーティングの操作写真(a)及びドロップ・コーティング面の平滑性評価写真(b)である。
膜厚分布をFTIRで測定することにより、均一で平滑な膜が得られたことを確認した。
なお、クマリン6の濃度は0.1〜10wt%の範囲では、1wt%の膜が最も発光強度が高かった。
(試験例4)
構造層の厚さtmを20nm、発光層の厚さteを0nm、30nm、60nmとした場合の、電子線エネルギーと電子線の透過率との関係を調べた。
図28は、その結果を示すグラフである。
発光層の厚さteの増加とともに、透過開始エネルギー値は大きくなった。つまり、発光層の厚さteを厚くするに従い、電子線は貫通しなくなることが分かった。これにより、電子線エネルギー値と、発光層の厚さteを制御することにより、電子線照射による試料の損傷を回避できることが明らかとなった。より具体的には、試料の損傷は、電子線透過率が1%を超えると顕著になるので、電子線エネルギーをそれよりも小さな値と設定すればよい。
図28には、teが60nmまでの範囲では、電子線エネルギーを1.2kV以下とすれば良いことが示唆されている。一方、te=0nm(構造層のみ)の結果から、電子線エネルギーが0.7kVでは電子線は構造層をほとんど透過せず、発光層には到達していないので、電子線エネルギーが0.8〜1.2kVの時に、発光が得られ、かつ、試料に1%を超える電子線が照射されない実用領域と求められる。
(試験例5)
試験例1〜4の結果を利用し、表1に示す設計条件で、実施形態で示した構成の近接場光学観察装置を作製した。第1、2基板本体はステンレス製、第3基板本体はアルミニウム製とした。
図29は、作製した第1〜第3の基板及び細胞培養用シリコーンリングの写真(a)と、第1〜第3の基板の組み合わせ写真(b)、第1〜第3の基板の説明写真(c)である。
図30は、電子顕微鏡の電気/光フィードスルー端子の写真(a)及び真空槽内部の写真(b)である。
図31は 、環境セル保持部の写真(a)及びその拡大写真(b)である。
図32は、引き出した環境セル保持部の写真(a)及びその拡大写真(b)である。
図33は、保持部及び環境セル保持部の写真である。
(試験例6)
次に、これに、実施形態で示した生きた細胞の試料含有環境セル作製方法を用いて、表2に示す条件で、生きた細胞の試料含有環境セルを作製した。
図34は、第1の基板に細胞培養用シリコーンリングを取り付けてシャーレに配置した写真である。このシリコーンリング内に細胞と培養液を充填し、細胞を培養した。表3は、用いた試料と培養液である。
以上の工程により、発光層上に細胞培養した試料含有環境セルを作製できた。
次に、試験例5の近接場観察装置の発光測定モジュールを電子顕微鏡の所定の位置に設置した。
次に、位置合わせ可能な移動機構を操作して、保持部から環境セル保持部を、試料交換用チャンバー内に引き出した。
次に、この試料含有環境セルを環境セル保持部に保持してから、電子顕微鏡の真空槽内部の所定の位置に正確に環境セル保持部を移動した。
次に、表4に示す条件で、電子線を照射し、発光測定を行った。
図35に示す結果が得られた。
図35(a)は、真空槽内に配置した環境セル中の、液中の、無染色の、非固定のヒト肺表皮細胞を本顕微鏡で観察した画像であり、(b)はその説明図である。図35のスケールバーは10μmである。
細胞の発光層表面に密着した領域が周囲よりも明るく観察された。これは双極子放射増強現象により、発光膜の微小光源近傍にある物体、すなわち細胞が周囲の媒質よりも屈折率が高いため、光源からの発光強度が増大し、明るく観察されたと考えられる。また、細胞内の明るさは均一ではなく、わずかではあるが輝度の分布を示した。
画像フィルタリングを施し、主要な構造を抽出した結果を図35(b)に示した。破線で示した核の輪郭や、微細な顆粒、細胞内部を縦横に走る繊維状の構造が観察された。この繊維状の構造は細胞骨格が観察されたものと推定される。
双極子放射増強現象が起こるのは、表面から波長の10分の1程度、すなわち、50nm程度までなので、このような骨格構造が、細胞の発光層との付着界面近傍に存在すると考えられる。
なお、細胞骨格は直径数10nmであり、これまで染色して蛍光顕微鏡にて観察された事例は多数あるが、回折限界に比べて微細な構造のため、無染色では位相差顕微鏡を用いても観察されていなかった。また、光ファイバプローブを用いるSNOMでも、無染色では観察されていなかった。
この観察後に、環境セルを真空槽から取り出し、分解し、二重染色法を施すことにより、この細胞が生きたままであることを確認した。
図36(a)は、高分解能性観察を実証する結果である。図36(a)は本顕微鏡で得られた画像、図36(b)は、従来の位相差顕微鏡による画像である。従来の位相差顕微鏡による画像は、高強度照明が可能なためにシグナルノイズ比が高く鮮明となった。しかし、回折限界の影響を受けるために、分解能は必ずしも高くなかった。
図36(a)では細胞質顆粒が明るい点として観察された。図36(b)では、細胞質顆粒は暗く見える顆粒として観察された。これらは、よく対応した。
図36(c)は、図36(a)、(b)の顆粒のうち特に小さなもの(図中A)の輝度プロファイルである。図36(a)、(b)のスケールバーは10μmであり、図36(c)のグラフの縦軸は画像の輝度であり、横軸は位置である。
図36(c)に示すように、従来顕微鏡の位相差像では顆粒は数μmにぼやけて観察され、プロファイルは半値幅としてどこを評価すればよいかわからないほどなだらかであった。
対して、本発明の走査電子光学顕微鏡では回折限界を超える半値幅205nmの明瞭な輝点として観察できた。
このように、液中の、無染色の、非固定の生物試料を、真空槽内に配置した環境セルに保持して、高分解能で光学観察することができた。これにより、走査電子光学顕微鏡(SEOM)として利用できることを明らかにした。
(試験例7)
環境セルと発光測定モジュール(分光測定システム)との間に光路システムを配置して、本発明の第2の実施形態に示す走査電子光学顕微鏡を作製した。発光層の材料としてはクマリンを分散させたPVKを用いた。
図37は、このシステムで測定したスペクトルである。試料が吸収を示さない場所にて、電子線エネルギーを0.6〜1.5kVまで変えてスペクトルを測定した。
電子線エネルギーが0.6kVの時には、SiNの微弱で波長域の広いCLが観測された。これは、電子線は構造層内部で停止したためと考えられる。
加速電圧を上げると、波長520nmをピークとするクマリンの発光の立ち上がりが観察された。これにより、電子が発光層にまで拡散したことが分かった。
2次元的な画像情報に加えて、スペクトルの観点からも試料を分析することができた。
試料がまったく吸収を示さない場合には、観測されるスペクトルは単に発光層のCLスペクトルとなった。試料が特定の波長を吸収すれば、その波長の強度は減少した。
(試験例8〜15)
表5に示す無機蛍光体やその他の有機蛍光体からなる試料を入射窓の材料として用いた他は試験例7と同様にして、本発明の第2の実施形態に示す走査電子光学顕微鏡により、スペクトル測定を行った。
図38は、その結果を示すスペクトルであって、全体のスペクトル(a)と拡大スペクトル(b)、(c)である。試験例7の結果も合わせて表示してある。試験例7のスペクトル強度が最も大きく、試験例14のスペクトル強度が最も小さかった。
(試験例16)
本発明の第3の実施形態の図21に示す環境セルを作製した。
メッシュ2055の材料としては、ステンレスを用い、膜厚は25μmとした。開口は正方形とし、1辺340μmとした。
発光層2052の材料としては、ポリイミドメンブレンを用い、膜厚は200nmとした。
出射窓の材料としては、PETフィルムを用い、膜厚は1.5μmとした。
帯電防止層2053の材料としては、カーボンを用い、膜厚は10nmとした。
充填媒体2042としては、空気を用いた。
試料2041としては直径60nmの金ナノ粒子を用いた。
以上の構成により、3.0kVの低電子線エネルギーの電子線を入射窓に照射し、入射窓を構成するポリイミドで電子線励起発光させたピーク波長550nmの光源の光を、試料の中を透過させ、出射窓側からPMT等の発光測定モジュールにより近接場光学観察をすることができる。
図39は、本顕微鏡で得られた画像である。図39のスケールバーは1μmである。
金は、青〜緑域にて吸収の大きな材料であるので、この場合には双極子放射増強現象ではなく、エネルギー移動によるCLの消光を起こした。
そのため、周囲に比べて暗く見えた。
この画像では約200nmに見えている。個々の粒子は60nmなので、これは1個の粒子ではなく、数個の粒子のクラスタであると思われる。個々の金ナノ粒子が識別できるほどの分解能はなかった。これは発光層として用いているポリイミドメンブレンの膜厚が200nmで、発光領域の大きさも同程度となるので、分解能が約200nmに制限されたためと考えられる。しかし、200nmというサイズは回折限界を超えており、図39もまた、本顕微鏡で従来の光学顕微鏡を超える解像度が得られることを実証する結果である。
以上により、液中の生物試料に限らず、様々な環境中の多様な試料を、回折限界の影響を受けずに高分解能で光学観察することができ、走査電子光学顕微鏡として利用できることを明らかにした。
なお、表6に、本明細書で用いた材料名とその略称の関係を示す。
本発明の近接場光学観察装置、試料含有環境セル作製方法及び走査電子光学顕微鏡は、液中の、無染色の、非固定の生物試料を高分解能で光学観察可能な近接場光学観察装置、その試料含有環境セル作製方法及び走査電子光学顕微鏡に関するものであり、高分解光学顕微鏡産業、生物試料をそのまま高分解で観察可能な光学顕微鏡産業において利用可能性がある。
11…近接場光学観察装置、12…環境セル、13…発光測定モジュール、13a…光電面、19…空間部、21…第1基板、21A…第1基板本体、21c1…孔部、21c2…孔部、22…第2基板、22A…第2基板本体、22c1…孔部、22c2…充填媒体排出用孔部、22c3…孔部、22c4…孔部、23A…第3基板本体、23c1…孔部、23c2…孔部、23c3…孔部、23c4…孔部、23…第3基板、23A…第3基板本体、23c1…孔部、23c2…孔部、30…入射窓、30t…入射窓膜厚、31…構造層、32…発光層、34…出射窓、35…フレーム部、35c…孔部、36…ねじ、37…Oリング、38…封止シール、38A…封止シール、38Ac…孔部、38B…封止シール、41…試料、42…充填媒体、45…シリコーンリング、46…培養液、47…細胞、91…電子線、91a…電子線走査方向、92…光源(近接場光源)、93…光、101…走査電子光学顕微鏡(SEOM)、102…電子源(電子銃)、103…真空槽、104…走査コイル、105…真空槽、108…シャッター、109…保持部、110…環境セル保持部、121…電子銃制御回路、122…走査信号制御回路、123…電子線照射制御回路、124…光検出器電源回路、125…光信号整形回路、126…2次電子信号整形回路、127…2次電子検出器、128…制御PC、129…モニター、1102…走査電子光学顕微鏡(SEOM)、1201…光路システム、1113、1114、1115…光検出器、1117、1118…ダイクロイックミラー、1119…ミラー、1121…レンズ、1122…色収差補正対物レンズ、1123…色収差補正レンズ、1125…光ファイバ、2012…環境セル、2019…空間部、2030…入射窓、2035…フレーム部、2034…出射窓、2041…試料、2042…充填媒体、2051…支持基板、2052…発光層、2053…帯電防止層、2055…スペーサー。

Claims (30)

  1. 電子顕微鏡と組み合わされる近接場光学観察装置であって、
    料を密封保持可能な空間部と、前記空間部の一方に設けられた入射窓と、前記空間部の他方に設けられた出射窓とを備えた環境セルと、発光測定モジュールとを有し、
    前記入射窓が、前記電子顕微鏡の電子線による励起により発光可能な発光材料を有していることを特徴とする近接場光学観察装置。
  2. 前記入射窓に接するようにフレーム部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の近接場光学観察装置。
  3. 前記フレーム部に一面側と他面側を連通するように孔部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の近接場光学観察装置。
  4. 前記フレーム部の一面側に前記入射窓が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の近接場光学観察装置。
  5. 前記孔部が前記空間部の一部であることを特徴とする請求項3又は4に記載の近接場光学観察装置。
  6. 前記フレーム部の他面側に前記入射窓が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の近接場光学観察装置。
  7. 前記フレーム部の他面側に又は前記他面側に離間して出射窓が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の近接場光学観察装置。
  8. 前記フレーム部の一面側と他面側を連通する前記孔部が、入射窓側から出射窓側に向けて広がるよう形成されていることを特徴とする請求項3に記載の近接場光学観察装置。
  9. 前記孔部に面する前記フレーム部の壁面が光反射性の高い材料で被覆されていることを特徴とする請求項8に記載の近接場光学観察装置。
  10. 前記入射窓が、2層以上で形成されており、高強度材料からなる構造層と、前記構造層に積層され、電子線励起により発光可能な発光材料を有している発光層と、を有していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の近接場光学観察装置。
  11. 前記発光層自体が、電子線励起により発光可能な発光材料からなることを特徴とする請求項10に記載の近接場光学観察装置。
  12. 前記発光層が、前記発光材料に電子線励起により発光可能な別の発光材料が添加されて形成されていることを特徴とする請求項11に記載の近接場光学観察装置。
  13. 前記構造層が、SiN、SiO、SiC,Si、ポリイミド、パリレン、カーボン、コロジオン、フォルムバール、トリアセチルセルロースのいずれかの高強度材料からなるメンブレンであることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の近接場光学観察装置。
  14. 前記入射窓の膜厚が、5nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の近接場光学観察装置。
  15. 前記出射窓が、ガラス、ポリエステル、ポリイミド、SiN、SiO、SiC,Si、パリレン、カーボン、コロジオン、フォルムバール、トリアセチルセルロースのいずれかの材料からなることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の近接場光学観察装置。
  16. 前記入射窓が複数設けられていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の近接場光学観察装置。
  17. 前記発光測定モジュールが、前記環境セルの出射窓側に配置されていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の近接場光学観察装置。
  18. 前記発光測定モジュールが、前記環境セルと離間して配置されており、前記環境セルの出射窓側と前記発光測定モジュールの光電面とを結ぶ光路システムが設けられていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の近接場光学観察装置。
  19. 前記光路システムが、レンズと、ミラーと、光ファイバの群から選択される二以上の光部品を組み合わせて形成されていることを特徴とする請求項18に記載の近接場光学観察装置。
  20. 前記発光測定モジュールが光電子倍増管を有するモジュール、分光測定システム、多波長発光測定モジュールのいずれかであることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の近接場光学観察装置。
  21. 電子顕微鏡と組み合わされる試料含有環境セルを作製する試料含有環境セル作製方法であって、
    面側と他面側を連通する孔部を有するフレーム部の一面側または他面側に入射窓を設けた第1の基板を用意し、前記入射窓の前記電子顕微鏡による電子線が照射される面とは他面側に試料を付着させてから、前記試料を覆うように充填媒体を滴下する工程と、
    出射窓を有する第2の基板を用意し、前記出射窓を覆うように充填媒体を滴下する工程と、
    前記第1の基板と前記第2の基板を充填媒体が混じり合うように重ね合わせる工程とを有することを特徴とする試料含有環境セル作製方法。
  22. 充填媒体を滴下する工程の前工程として、高強度材料からなる構造層上に発光層をドロップ・コーティングして、入射窓を形成することを特徴とする請求項21に記載の試料含有環境セル作製方法。
  23. 重ね合わせる工程で、第1の基板又は第2の基板に設けられた充填媒体排出用孔部から、余分な充填媒体を排出・除去してから、前記充填媒体排出用孔部の充填媒体排出側に設けられた封止シールに別の封止シールを重ねて接着することを特徴とする請求項21又は22に記載の試料含有環境セル作製方法。
  24. 重ね合わせる工程後、第1の基板と第2の基板を第3の基板にねじ止め固定することを特徴とする請求項21〜23のいずれか1項に記載の試料含有環境セル作製方法。
  25. 請求項1〜20のいずれか1項に記載の近接場光学観察装置と、電子顕微鏡とを有することを特徴とする走査電子光学顕微鏡。
  26. 前記近接場光学観察装置が、電子顕微鏡の真空槽内に配置されていることを特徴とする請求項25に記載の走査電子光学顕微鏡。
  27. 前記近接場光学観察装置の環境セルが、環境セル保持部に保持されており、前記近接場光学観察装置の発光測定モジュールが、保持部に保持されており、前記保持部に対して前記環境セル保持部の位置合わせ移動機構が備えられていることを特徴とする請求項25又は26に記載の走査電子光学顕微鏡。
  28. 前記位置合わせ移動機構により、前記保持部から前記環境セル保持部を取り外して、電子顕微鏡の真空槽に接続された別の真空槽に移動可能であることを特徴とする請求項27に記載の走査電子光学顕微鏡。
  29. 請求項25〜28のいずれか1項に記載の走査電子光学顕微鏡の使用方法であって、環境セルの入射窓の電子線透過率が1%以下となるエネルギーの電子線を環境セルの入射窓に照射することを特徴とする走査電子光学顕微鏡の使用方法。
  30. 0.8kV以上1.2kV以下のエネルギーの電子線を環境セルの入射窓に照射することを特徴とする請求項29に記載の走査電子光学顕微鏡の使用方法。
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