以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下、各図に示した方向を基準に説明する。
図1および図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置としての複合機1について説明する。図1は複合機1の外観を示す斜視図である。図2は複合機1の内部構造を模式的に示す正面図である。
図1に示すように、複合機1は、スキャナー装置1Aと、プリント装置1Bと、を備えている。複合機1は、後述する画像形成処理によって実現される複写機能や印刷機能の他に、通信回線を通して画像情報を送受信するためのファクシミリ機能を備えている。
スキャナー装置1Aは、原稿の画像情報を光学的に読み取るように構成されている。スキャナー装置1Aの前部には、液晶パネルやプッシュボタン等を含む操作部100が設けられている。ユーザーは、操作部100を操作することによって複合機1の各種機能の実行や設定変更を行う。なお、スキャナー装置1Aは、公知の一般的な構造であるため、詳細な説明は省略する。
プリント装置1Bは、装置本体2と、給紙カセット3と、排紙トレイ4と、を備えている。装置本体2は、板金フレーム2A(図4参照)に樹脂製の外装カバー2Bを固定して略矩形箱状に形成されている。給紙カセット3は、装置本体2の下部に設けられている。排紙トレイ4は、装置本体2の上部に設けられている。
図2に示すように、プリント装置1Bは、搬送部5と、作像部6と、定着装置7と、を装置本体2の内部に備えている。搬送部5は、給紙カセット3から排紙トレイ4まで延設される搬送路8に向けて給紙カセット3内のシートSを送り出す。作像部6は、搬送路8の中間部に設けられている。定着装置7は、搬送路8の下流側に設けられている。なお、シートSは、紙製の用紙に限らず、樹脂フィルム等を含むものとする。
作像部6は、電力供給を受けてシートSに画像形成を行う。作像部6は、4つのトナーコンテナ10と、中間転写ベルト11と、4つのドラムユニット12と、光走査装置13と、を含んで構成されている。4つのトナーコンテナ10は、排紙トレイ4の下側で左右方向に並設されている。中間転写ベルト11は、各トナーコンテナ10の下側で白抜き矢印方向に走行可能に設けられている。4つのドラムユニット12は、中間転写ベルト11の下側で左右方向に並設されている。光走査装置13は、各ドラムユニット12の下側に配設されている。
4つのトナーコンテナ10は、4色(イエロー,マゼンタ,シアン,ブラック)のトナー(現像剤)を収容している。なお、トナーは、磁性トナーから成る一成分現像剤でもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤でもよい。
4つのドラムユニット12は、各色のトナーに対応して設けられている。各ドラムユニット12は、感光体ドラム20と、帯電装置21と、現像装置22と、一次転写ローラー23と、クリーニング装置24と、を含んで構成されている。なお、4つのドラムユニット12は同様の構成であるため、以下、1つのドラムユニット12について説明する。
感光体ドラム20は、軸周りに回転可能な円筒状に形成されている。感光体ドラム20は、中間転写ベルト11の下側表面に接触している。帯電装置21、現像装置22、一次転写ローラー23およびクリーニング装置24は、感光体ドラム20の周囲に転写プロセス順に配置されている。現像装置22は、トナーコンテナ10からトナーの補給を受ける。一次転写ローラー23は、中間転写ベルト11を挟んで感光体ドラム20の上側に配置されている。中間転写ベルト11の右側には、二次転写ニップ部26aを形成する二次転写ローラー26が配置されている。
ここで、プリント装置1Bの動作について説明する。制御装置(図示せず)は、スキャナー装置1Aや外部端末等から入力された画像データに基づいて、以下のように画像形成処理を実行する。
各帯電装置21は、各感光体ドラム20の表面を帯電させる。光走査装置13は、各感光体ドラム20に向けて画像データに対応した露光(図2の破線矢印参照)を行う。各現像装置22は、各感光体ドラム20の表面に形成された静電潜像をトナー像に現像する。各感光体ドラム20に担持された4つのトナー像は、一次転写バイアスを印加された一次転写ローラー23によって、走行する中間転写ベルト11に順番に一次転写される。これにより、中間転写ベルト11の表面にはフルカラーのトナー像が形成される。
一方、給紙カセット3から供給されたシートSは、搬送路8を搬送されて二次転写ニップ部26aを通過する。フルカラーのトナー像は、二次転写バイアスが印加された二次転写ローラー26によってシートSに二次転写される。定着装置7は、シートSにトナー像を定着させる。定着処理後のシートSは、排紙トレイ4に排出される。各クリーニング装置24は、転写後に各感光体ドラム20の表面に残ったトナーを除去する。
ところで、図3に示すように、複合機1は、事務所等の床面Fに設置されている。複合機1は、外部電源(商用電源(図示せず))から供給される電力によって作動する。装置本体2の後面には、外部電源から電源コードCを介して電力を受け取るためのコネクター取付部30が設けられている。装置本体2の内部には、コネクター取付部30に電気的に接続される電源部31が配設されている。電源部31は、複合機1に含まれる各電気部品に必要な電力を供給する。電源部31は、インターロックスイッチ32に電気的に接続されている。インターロックスイッチ32は、メインスイッチ40によってオン・オフされる。詳細は後述するが、メインスイッチ40をオン状態にすることで、インターロックスイッチ32がオン状態になり、電源部31が各電気部品に対する電力供給を開始する。なお、図示は省略するが、操作部100には、複写機能をオン・オフするための電源スイッチ(プッシュボタン)が配設されている。
また、複合機1は、接続体としてのワイヤー33によって設置位置に係止されている。ワイヤー33は、可撓性を有すると共に所定の引張強度を有する材料(例えば、ステンレス製)で索状に形成されている。ワイヤー33の一端部は、例えば、事務所の壁面Wに固定されるアンカーAに締結されている。アンカーAから延びるワイヤー33は、装置本体2の後面から装置本体2に挿設され、装置本体2の構造部材2Cを貫通して前方に延設されている。ワイヤー33の他端部は、メインスイッチ40を強制的にオフ状態(電力供給を遮断した状態)にするための強制作動機構35に締結されている。ワイヤー33の中間部(構造部材2Cよりも前側)には、構造部材2Cに形成される貫通穴(図示せず)を貫通不能な規制部33aが形成されている。
なお、ワイヤー33の一端部(アンカーA)から規制部33aまでの長さと、規制部33aからワイヤー33の他端部までの長さとは、それぞれ、所定の長さに調整されている。複合機1が所定の設置位置(初期位置)に配置された状態でワイヤー33には、弛まない程度の張力が作用している。また、複合機1が初期位置に設置された状態では、規制部33aは、構造部材2Cの前面からやや離間した位置にある。ここで、例えば、地震等による過大な外力によって複合機1が移動した場合、規制部33aが構造部材2Cに係合することで、複合機1の移動が規制される。これにより、複合機1が大きく移動したり転倒したりすることが防止される。なお、ワイヤー33に代えて、例えば、ポリアミド樹脂等の樹脂繊維製のロープを接続体として用いてもよい。他にも、接続体は、針金、チェーンまたはベルト等であってもよいし、可撓性の無いロッドであってもよい。なお、アンカーAは、床面Fに固定されていてもよい。
次に、図4ないし図7を参照して、強制作動機構35について説明する。図4は板金フレーム2Aおよび強制作動機構35の一部を示す斜視図である。図5は強制作動機構35を示す斜視図である。図6は強制作動機構35を示す平面図である。図7は強制作動機構35の一部を示す斜視図である。
図4および図5に示すように、強制作動機構35は、上記したメインスイッチ40と、連動部60と、を備えている。強制作動機構35は、ワイヤー33に作用する引張り力(張力)によって電力供給を遮断するようにメインスイッチ40を作動させる。
メインスイッチ40は、ユーザーによって外部(前方)から操作されるように装置本体2の前面の右上部(操作部100の下側)に設けられている(図1参照)。メインスイッチ40は、所謂プッシュスイッチ(オルタネートスイッチ)であって、電力供給のオンとオフとを押す度に切り替えるように構成されている。メインスイッチ40は、スイッチハウジング41と、スイッチ本体42と、コイルスプリング43(図6参照)と、保持部材44と、を含んで構成されている。
図4に示すように、スイッチハウジング41は、前側ハウジング45と、後側ハウジング46と、を有している。前側ハウジング45は、板金フレーム2Aの前壁2fの外面の右上部に固定されている。後側ハウジング46は、板金フレーム2Aの前壁2fの内面の右上部に固定されている。
前側ハウジング45は、略直方体状のブロック部45aの前面から前方に突出する円筒部45bを有している。前側ハウジング45には、前後方向に貫通するスイッチ穴45cが形成されている。なお、装置本体2の板金フレーム2Aや外装カバー2Bには、スイッチ穴45cに連通する貫通穴(図示せず)が形成されている。
図5に示すように、後側ハウジング46は、後面を塞がれた前後方向に長い略有底円筒状に形成されている。後側ハウジング46の前面は開放され、後側ハウジング46の中空内部はスイッチ穴45cに連通している。後側ハウジング46の右側には、側面視で前後方向に長い矩形状のスライド開口46aが貫通形成されている。スライド開口46aの上下両縁部には、前後方向に延びる一対のスライドレール46bが形成されている。スライド開口46aの後端部には、規制端面46cが形成されている。一方、後側ハウジング46の左側後部には、インターロックスイッチ32を内設する凸状部46dが形成されている。
図6に示すように、スイッチ本体42は、ボタン50と、回転体51と、を有している。ボタン50は、装置本体2の表面側に配置され、外部(前方)から押し込み可能に設けられている。回転体51は、ボタン50と同一軸線上で装置本体2の内部に配置されている。スイッチ本体42は、電力供給を可能にする給電位置P1(図1の円枠内参照)と電力供給を不能にする遮断位置P2(図1の円枠外参照)との間で直動可能に設けられている。
ボタン50は、前後方向に長い略円筒状に形成されている。ボタン50の前後方向中間部には、フランジ部52が形成されている。フランジ部52は、ボタン50の外周面から径方向に延び、正面視で円環状に形成されている。フランジ部52は、スイッチ穴45cや貫通穴の直径よりも大径に形成されている。ボタン50は、装置本体2の内部から前側ハウジング45のスイッチ穴45cに挿入されている(図4参照)。ボタン50は、前側ハウジング45内で前後方向に移動可能に保持されている。なお、フランジ部52は、スイッチ穴45cや貫通穴を通過できないため、ボタン50は、外方に離脱することなく前側ハウジング45に支持されている。
ボタン50の前端部には、ユーザーの指が触れる操作面50aが形成されている。スイッチ本体42の外端面としての操作面50aは、給電位置P1に変位した状態で、装置本体2(外装カバー2B)の前面と略同一平面上に位置している(図1の円枠内参照)。一方、操作面50aは、遮断位置P2に変位した状態で、装置本体2(外装カバー2B)の前面よりも外側に位置している(図1の円枠外参照)。
このように、スイッチ本体42は、電力供給のオン・オフ切り替えに伴って装置本体2(外装カバー2B)の外面に対して出没する。ユーザーは、スイッチ本体42の出没を確認することで、電力供給がされているか否かを容易に認識することができる。これにより、ユーザーが誤操作するリスクを低下させることができる。なお、操作面50aは、遮断位置P2に変位した状態で、外装カバー2Bの前面よりも内側に位置していてもよい。
また、図6および図7に示すように、ボタン50は、回転体51側となる後端面にカム面53を有している。カム面53は、背面視で円環状に形成されている。カム面53は、複数(例えば8つ)の山部53aと、複数(例えば8つ)の谷部53bと、複数(例えば16面)の傾斜面53cを有している。複数の山部53aと複数の谷部53bとは、交互に周方向に並設されている。各山部53aは後方に突き出すように形成され、各谷部53bは前方に凹むように形成されている。各傾斜面53cは、隣接する山部53aと谷部53bとの間に形成されている。
図6に示すように、回転体51は、前後方向に長い略円筒状に形成されている。回転体51は、後側ハウジング46内で前後方向に移動可能、且つ、正面視で時計回りに回転可能に保持されている。回転体51は、小径部51aの後方に連なる大径部51bを有している。大径部51bは、小径部51aとの間に段差を有し、小径部51aよりも大径に形成されている。
また、回転体51は、カム受け面54と、複数(例えば4つ)の第1嵌合溝55と、複数(例えば4つ)の第2嵌合溝56と、を有している。カム受け面54は、小径部51aの前端面に形成されている。各第1嵌合溝55および各第2嵌合溝56は、大径部51bの外周面に形成されている。
カム受け面54は、カム面53に対向し、正面視で円環状に形成されている。カム受け面54は、カム面53に沿って回転方向(円周方向)に摺動可能に形成されている。カム受け面54は、カム面53に対応するように、複数の山部54aと、複数の谷部54bと、複数の傾斜面54cを有している。なお、スイッチ本体42を給電位置P1および遮断位置P2に変位させた状態で、カム面53とカム受け面54とは完全に噛み合っていない。すなわち、カム受け面54の各山部54a(各谷部54b)は、カム面53の各谷部53b(各山部53a)に対して円周方向にずれている。各傾斜面53cの一部と各傾斜面54cの一部とが互いに当接している。
複数の第1嵌合溝55と複数の第2嵌合溝56とは、交互に大径部51bの周方向に沿って等間隔に形成されている。各第1嵌合溝55および各第2嵌合溝56は、大径部51bの外周面から径方向内側に向けて凹設されている。なお、各嵌合溝55,56の底面は、小径部51aの外周面と同一平面を形成している。
各第1嵌合溝55は、大径部51bの前端面から後方に切り込まれ、径方向から見て前後方向に長い矩形状に形成されている。各第2嵌合溝56は、大径部51bの前端面から後方に切り込まれ、径方向から見て略直角三角形状に形成されている。各第2嵌合溝56は、係止斜面56aと、係止端面56bと、を有している。各係止斜面56aは、第1嵌合溝55の前端部から回転方向上流側に向けて後方に傾斜するように形成されている。各係止端面56bは、各係止斜面56aの回転方向上流端部から前方に延びるように形成されている。各係止端面56bは、各第1嵌合溝55と平行を成している。各係止端面56bと各第1嵌合溝55の前端部との間には、ガイド斜面56cが形成されている。各ガイド斜面56cは、各係止斜面56aと平行を成している。
付勢部材としてのコイルスプリング43は、後側ハウジング46内に配設されている。コイルスプリング43の後端部は、後側ハウジング46の後壁(底面)に当接している。コイルスプリング43の前端部は、大径部51bの中空内部に挿入され、大径部51bの内周面に設けられるコイル当接部(図示せず)に当接している。コイルスプリング43は、後側ハウジング46の底面を受けにして回転体51を前方に付勢している。つまり、コイルスプリング43は、スイッチ本体42を遮断位置P2に向けて付勢している。
図7に示すように、保持部材44は、側面視で前後方向に長い略矩形板状に形成されている。保持部材44は、後側ハウジング46のスライド開口46a内でスイッチ本体42の右側に沿って配設されている(図5参照)。保持部材44の上下両端面には、スライド開口46aの各スライドレール46bに係合する上下一対のスライドリブ44aが突設されている(図6も参照)。各スライドリブ44aは、スライドレール46bを左右両側から挟むように形成されている。すなわち、保持部材44は、各スライドレール46bに沿って前後方向に移動可能な状態でスライド開口46a内に保持されている。
保持部材44の後部には、左右方向に貫通する係合開口44bが形成されている。係合開口44bは、側面視で略正方形状に形成されている。保持部材44の前部には、回転体51の第2嵌合溝56に嵌合可能な嵌合凸部44cが形成されている。嵌合凸部44cは、前後方向に長い略直方体状に形成されている。嵌合凸部44cは、保持部材44の前部左側面に固設され、保持部材44の前端面よりも前方に延設されている。嵌合凸部44cの後端面には、下部から上部に向けて後方に傾斜する嵌合斜面44dが形成されている。
詳細は後述するが、スイッチ本体42を遮断位置P2に変位させると、嵌合凸部44cは、いずれか1つの第1嵌合溝55に嵌合する(図8(A)参照)。一方、スイッチ本体42を給電位置P1に変位させると、嵌合凸部44cは、いずれか1つの第2嵌合溝56に嵌合する(図9(A)参照)。
次に、連動部60について説明する。図5および図6に示すように、連動部60は、保持部材44の右側に配設され、メインスイッチ40とワイヤー33とを連結させている。連動部60は、板金フレーム2Aの前壁2fの内面に固定されるアングル部材2s上に配設されている。なお、アングル部材2sの左側上面には第1回動軸66が立設され、アングル部材2sの右側上面には第2回動軸67が立設されている。各回転軸部66,67は、上下方向に延びる円柱状に形成されている。
連動部60は、第1連動部材61と、第2連動部材62と、カム部材63と、圧縮バネ64と、引張バネ65と、を含んで構成されている。第1連動部材61は、保持部材44に係合・係脱可能に設けられている。第2連動部材62は、第1連動部材61およびカム部材63に係合可能に設けられている。カム部材63は、ワイヤー33に接続されている。圧縮バネ64は、第1連動部材61および第2連動部材62を後方に押圧している。引張バネ65は、ワイヤー33を引っ張っている。
第1連動部材61は、第1軸受部70と、第1支持片71と、第1当接片72と、を含んで構成されている。第1連動部材61は、平面視で略L字状を成すように一体に形成されている。
第1軸受部70は、上下方向に長い略円筒状に形成されている。第1軸受部70は、第1回動軸66に回転可能に嵌合している。したがって、第1連動部材61は、第1回動軸66を中心に回動可能に設けられている。
第1支持片71は、第1軸受部70の外周面から後方に延出し、側面視で略矩形板状に形成されている。第1支持片71は、保持部材44の右側に対向して配設されている。第1支持片71の後部左面には、規制突起73が突設されている(図7参照)。規制突起73は、前後方向に長い楕円柱状に形成されている。
図7に示すように、第1支持片71の左面(保持部材44との対向面)には、係合部74が突設されている。係合部74は、第1支持片71の略中央部に配置され、保持部材44の係合開口44bに係合可能に形成されている。係合部74は、上下一対の係合水平部74aの後端部を連結する係合垂直部74bを有し、側面視で略U字状に形成されている(図10および図11参照)。各係合水平部74aは、前部から後部に向けて左方に傾斜する係合斜面74cを有し、平面視で略直角三角形状に形成されている(図10参照)。
図5および図6に示すように、第1当接片72は、第1軸受部70の外周面から右方に(第1連動部材61に向かって)延出し、正面視で略矩形板状に形成されている。第1当接片72と第1支持片71とは、直角を成している。第1当接片72は、第1回動軸66と第2回動軸67との中間位置まで延設されている。第1当接片72の先端部の前面には、固定ボス72aが突設されている。
第2連動部材62は、第2軸受部75と、第2支持片76と、第2当接片77と、を含んで構成されている。第2連動部材62は、平面視で第1連動部材61と左右対称となる略L字状を成すように一体に形成されている。
第2軸受部75は、上下方向に長い略円筒状に形成され、第2回動軸67に回転可能に嵌合している。したがって、第2連動部材62は、第2回動軸67を中心に回動可能に設けられている。
第2支持片76は、第2軸受部75の外周面から後方に延出し、側面視で略矩形板状に形成されている。第2支持片76は、板金フレーム2Aの右壁2rの内面に対向して配設されている。第2支持片76の後部には、右側に向けて凸状を成すように折り曲げられたカムフォロア部78が設けられている。カムフォロア部78の右面には、受圧斜面78aと、受圧面78bと、が形成されている。受圧斜面78aは、前部から後部に向けて右方に傾斜するように形成されている。受圧面78bは、受圧斜面78aの後端から後方に延出している。詳細は後述するが、第2支持片76は、カムフォロア部78を介してカム部材63に対し相対的に摺動可能に設けられている。
第2当接片77は、第2軸受部75の外周面から左方に延出し、正面視で略矩形板状に形成されている。第2当接片77と第2支持片76とは、直角を成している。第2当接片77は、第1当接片72の後側にオーバーラップする位置まで延設されている。第2当接片77は、第1当接片72の後面に当接し、第1当接片72を押圧可能に設けられている。
カム部材63は、板金フレーム2Aの右壁2rに固定されるカムハウジング63a内に配設されている(図4参照)。カム部材63は、カムハウジング63a内で前後方向に移動可能に保持されている。カム部材63は、第2連動部材62に摺接するように設けられている。カム部材63は、接続プレート80と、カム本体81と、を有している。
接続プレート80の後部には、ワイヤー33を締結するための締結穴80aが形成されている。接続プレート80の前部には、引張バネ65の後端部を引っ掛けるための掛合穴80bが形成されている。カム本体81は、接続プレート80の左側に連設されている。図6に示すように、カム本体81の左面には、摺動斜面81aと、押圧面81bと、が形成されている。摺動斜面81aは、前部から後部に向けて右方に傾斜するように形成されている。押圧面81bは、摺動斜面81aの前端から前方に延出している。
押圧部材としての圧縮バネ64は、装置本体2と第1当接片72との間に架設されている。圧縮バネ64の前端部は、板金フレーム2Aの前壁2fの内面に突設されるボス(図示せず)に嵌合している。圧縮バネ64の後端部は、第1当接片72の固定ボス72aに嵌合している。圧縮バネ64は、板金フレーム2Aの前壁2fを受けにして、第1連動部材61を一方向(図6で反時計回り)に向けて付勢している。
引張部材としての引張バネ65は、装置本体2とカム部材63との間に架設されている。引張バネ65の前端部は、板金フレーム2Aの前壁2fの内面に形成される掛合部(図示せず)に引っ掛けられている。引張バネ65の後端部は、カム部材63(接続プレート80)の掛合穴80bに引っ掛けられている。引張バネ65は、カム部材63を前方(ワイヤー33に作用する引張り方向とは反対方向)に向けて付勢している(引っ張っている)。
図3に示すように、複合機1は、床面Fの所定位置に設置され、ワイヤー33で設置位置に係止された状態で使用される(以下、「通常使用」ともいう。)。通常使用時において、保持部材44は、スライド開口46aの規制端面46cに近接した位置に配置されている(図5参照)。通常使用時において、連動部60は、保持部材44に係合して装置本体2内(後側ハウジング46)に保持部材44を固定する通常姿勢P11に保持されている(図6および図7参照)。
詳細には、図5および図6に示すように、第1連動部材61は、圧縮バネ64によって平面視で反時計回りに付勢され、後側ハウジング46(図5参照)の後端部に規制突起73を当接させている。この状態で、第1連動部材61は、保持部材44に第1支持片71を沿わせる姿勢に保持されている。第1支持片71の係合部74は、保持部材44の係合開口44bに係合(嵌合)している(図7参照)。一方、第2連動部材62は、平面視で反時計回りに付勢される第1当接片72によって時計回りに付勢される。この状態で、第2連動部材62は、板金フレーム2Aの右壁2rに第2支持片76を沿わせる姿勢に保持されている。カム部材63は、引張バネ65によって前方に付勢されて通常位置P21に保持されている。この状態で、カム本体81の摺動斜面81aは、カムフォロア部78の受圧斜面78aに当接している(図6参照)。また、カム本体81の押圧面81bは、カムフォロア部78の前側で第2支持片76の右側面に当接している。
次に、図8および図9を参照して、メインスイッチ40の作用について説明する。図8(A)は遮断位置P2に変位したスイッチ本体42を示し、図8(B)はスイッチ本体42を給電位置P1に変位させる途中の状態を示している。図9(A)は給電位置P1に変位したスイッチ本体42を示し、図9(B)はスイッチ本体42を遮断位置P2に戻す途中の状態を示している。
まず、通常使用時において、メインスイッチ40をオフ状態からオン状態にする場合について説明する。なお、図8(A)に示すように、回転体51の第1嵌合溝55に保持部材44の嵌合凸部44cを嵌合させることで、スイッチ本体42は遮断位置P2に保持されている。
図8(B)に示すように、ユーザーは、指でボタン50の操作面50aを押圧し、コイルスプリング43の付勢力に抗してスイッチ本体42を押し込む。ユーザーがボタン50を後方に押し込むと、回転体51は、カム受け面54に当接するカム面53に押圧されて後方に直動する。回転体51は、第1嵌合溝55から嵌合凸部44cが相対的に離脱するまで、第1嵌合溝55に嵌合した嵌合凸部44cに案内されながら移動する。
ここで、ユーザーがボタン50を押す力と、コイルスプリング43が回転体51を押す力とは、カム面53とカム受け面54との当接部分に作用する。このため、ボタン50および回転体51は、カム面53の各傾斜面53cおよびカム受け面54の各傾斜面54cを介して互いに逆向きとなる円周方向(回転方向)の分力を受ける(図8(B)の斜め白抜き矢印参照)。すなわち、ボタン50の押し込み力とコイルスプリング43の付勢力とは、カム面53とカム受け面54とを介して回転体51を直動させると共に正面視で時計回りに回転させる。
ボタン50の押し込みが進んで、第1嵌合溝55から嵌合凸部44cが相対的に離脱すると、カム受け面54は、カム面53に沿って回転方向(正面視で時計回り)に摺動する(図8(B)の二点鎖線参照)。すなわち、カム受け面54の各山部54a(各傾斜面54c)は、カム面53の各谷部53bに向かって各傾斜面53c上を摺動する。したがって、回転体51は、第2嵌合溝56に嵌合凸部44cを嵌合させるように回転する。このとき、第2嵌合溝56の係止斜面56aは、嵌合凸部44cの嵌合斜面44dに沿って摺動する。
ユーザーが操作面50aから指を離すと、回転体51は、コイルスプリング43の付勢力によって、更に前方に直動しながら回転する。図9(A)に示すように、嵌合凸部44cの後部上面に第2嵌合溝56の係止端面56bが当接することで、回転体51の回転が規制される。回転体51の第2嵌合溝56に保持部材44の嵌合凸部44cを嵌合させることで、スイッチ本体42は給電位置P1に保持される。この状態で、回転体51の左側面がインターロックスイッチ32のレバー32aを押し込む(図12参照)。これにより、メインスイッチ40がオン状態になって、電源部31から各電気部品に電力供給が開始される。以上のように、保持部材44(嵌合凸部44c)は、スイッチ本体42の直動を案内すると共にコイルスプリング43の付勢力に抗して給電位置P1に変位したスイッチ本体42を保持可能に形成されている。
なお、ユーザーは、嵌合凸部44cと係止端面56bとが衝突する際の感触や音によって、スイッチ本体42が給電位置P1に変位したことを認識することができる。なお、スイッチ本体42を給電位置P1に変位させた状態で、ユーザーが操作面50aから指を離すと、ボタン50は、僅かに前方に押し出され、各傾斜面53cと各傾斜面54cとが一部で当接した状態になる。
次に、通常使用時において、メインスイッチ40をオン状態からオフ状態にする場合について説明する。図9(B)に示すように、ユーザーは、指でボタン50の操作面50aを押圧し、コイルスプリング43の付勢力に抗してスイッチ本体42を給電位置P1から更に押し込む。ユーザーがボタン50を後方に押し込むと、回転体51は、第2嵌合溝56から嵌合凸部44cが相対的に離脱するまで後方に直動する。
ボタン50の押し込みが進んで、第2嵌合溝56から嵌合凸部44cが相対的に離脱すると、カム受け面54は、カム面53に沿って回転方向(正面視で時計回り)に摺動する(図9(B)の二点鎖線参照)。このとき、ユーザーが操作面50aから指を離すと、回転体51のガイド斜面56cは、嵌合凸部44cの嵌合斜面44dに沿って摺動する。ガイド斜面56cが嵌合凸部44cを越えると、回転体51は、コイルスプリング43に付勢されて、第1嵌合溝55に嵌合凸部44cを嵌合させるように前方に直動する。これに伴い、ボタン50は、カム面53に当接するカム受け面54に押圧されて遮断位置P2まで押し出される(図8(A)参照)。
嵌合凸部44cが第1嵌合溝55に嵌合した状態で、スイッチ本体42が遮断位置P2に保持され、インターロックスイッチ32のレバー32aが開放される(図6参照)。これにより、メインスイッチ40がオフ状態になって、電源部31から各電気部品に電力供給が停止される。
次に、図10および図11を参照して、強制作動機構35の作用について説明する。図10は強制解除姿勢P12に姿勢変更された連動部60を示す斜視図である。図11は強制解除姿勢P12に姿勢変更された連動部60を示す平面図である。なお、以下の説明では、メインスイッチ40がオン状態(スイッチ本体42は給電位置P1に変位した状態)であることとする。
例えば、地震によって複合機1が設置位置から移動すると、装置本体2の構造部材2CがアンカーAに結ばれたワイヤー33の規制部33aに係合する。このため、複合機1の移動が規制される(停止する)。このとき、カム部材63は、ワイヤー33に引っ張られて後方に直動する。図10に示すように、第2連動部材62は、直動するカム部材63に押圧されて一方向(平面視で反時計回り)に回動する。詳細には、カム部材63は、引張バネ65の付勢力に抗して、通常位置P21(図6参照)から後方に移動すると、カム本体81の押圧面81bは、第2支持片76の受圧斜面78aを左方向に押圧しながら摺動する。このため、第2連動部材62は、第2回動軸67を中心に反時計回りに回動する。第2連動部材62の回動に伴って、第2当接片77は、圧縮バネ64の付勢力に抗して第1当接片72を前方に押圧する。これにより、第1連動部材61は、第1回動軸66を中心に時計回りに回動する。
カム部材63は、押圧面81bを受圧面78bに圧接させる非常位置P22まで移動する(図10参照)。カム部材63が非常位置P22まで移動すると、カム部材63の直動が規制される。このとき、第2連動部材62および第1連動部材61は、初期状態から最も回動が進んだ状態になる。この状態で、第1連動部材61の係合部74は、メインスイッチ40の保持部材44に開口する係合開口44bから右方向に係脱(離脱)する(図11参照)。以上のように、第2連動部材62は、一方向(平面視で反時計回り)に回動することで第1連動部材61を他方向(平面視で時計回り)に回動させて保持部材44から係脱させる。すなわち、連動部60が通常姿勢P11から強制解除姿勢P12に姿勢変更されることで、第1連動部材61は、ワイヤー33に作用する引張り力(張力)によって保持部材44を固定解除する。
固定解除された保持部材44は、スイッチ本体42と一体となって後側ハウジング46の各スライドレール46b(図5参照)に沿って前方に直動可能な状態になる。固定解除された保持部材44は、スイッチ本体42(回転体51)を介してコイルスプリング43の付勢力を受ける。このため、スイッチ本体42は、コイルスプリング43に付勢され、保持部材44と共に給電位置P1から遮断位置P2に移動する(図10参照)。これにより、インターロックスイッチ32のレバー32aが開放され、電源部31から各電気部品に電力供給が停止される。つまり、電力供給が強制的に遮断される。
次に、図12を参照して、強制作動機構35の復帰手順について説明する。図12は強制的に遮断された強制作動機構35を復帰させる途中の状態を示す平面図である。
まず、ユーザーは、所定の設置位置に複合機1を戻す(図3参照)。すると、ワイヤー33には、アンカーAと規制部33aとの間に撓みが形成される。このとき、カム部材63は、引張バネ65に付勢されて非常位置P22から通常位置P21に戻される。また、連動部60は、圧縮バネ64の付勢力によって強制解除姿勢P12から通常姿勢P11に戻される(図6参照)。
次に、ユーザーは、強制的に遮断位置P2に変位したスイッチ本体42(ボタン50および回転体51)を給電位置P1に向けて押圧する。この場合、ボタン50に形成されたフランジ部52は、固定解除されてコイルスプリング43に付勢された保持部材44の嵌合凸部44cの前端面に当接する(図10参照)。このため、ボタン50の押し込みに伴って、フランジ部52は、保持部材44を押圧して後方に直動させる。
スイッチ本体42の押し込みが進むと、保持部材44の後端面は、第1連動部材61の第1支持片71の係合部74に当接する。更にスイッチ本体42の押し込みが進むと、保持部材44の後端面は、係合部74の各係合水平部74aを右方向に押圧しながら係合斜面74cを摺動する。このため、第1連動部材61は、圧縮バネ64の付勢力に抗して第1回動軸66を中心に時計回りに回動する(図12参照)。
保持部材44は、係合開口44bに第1連動部材61の係合部74を係合させることができる位置まで押し込まれる。第1連動部材61は、圧縮バネ64に付勢されて第1回動軸66を中心に反時計回りに回動し、保持部材44の係合開口44bに係合部74を係合させる(図6および図7参照)。以上のように、保持部材44は、フランジ部52を介してスイッチ本体42に作用する押圧力を受けて第1連動部材61に係合する。これにより、保持部材44が後側ハウジング46に固定され、メインスイッチ40が通常使用可能な状態に復帰する。
以上説明した本実施形態に係る複合機1によれば、ワイヤー33を引っ張る力(張力)が保持部材44を固定解除するだけで、ユーザーが操作するためのメインスイッチ40を強制的にオフ状態にすることができる。これにより、例えば、ワイヤー33の引張り力(張力)を直接作用させる別のスイッチを設ける必要がなく、電力供給の遮断に係る機構の低コスト化および小型化を図ることができる。
また、本実施形態に係る複合機1によれば、ワイヤー33を引っ張る力は、カム部材63を移動させ、一方向周りの回動力として第2連動部材62に伝達される。第2連動部材62の回動力は、他方向周りの回動力として第1連動部材61に伝達される。これにより、第1連動部材61は、引っ張られるワイヤー33に連れて回動し、保持部材44から係脱することができる。
本実施形態に係る複合機1によれば、スイッチ本体42に作用する押圧力は、フランジ部52を介して保持部材44に伝達される。これにより、スイッチ本体42を押すだけで、第1連動部材61から係脱した保持部材44を第1連動部材61に係合させることができる。つまり、強制的に遮断された電力供給を簡単に再開させることができる。
また、本実施形態に係る複合機1によれば、圧縮バネ64は、第1連動部材および第2連動部材の回動を抑制している。圧縮バネ64の付勢力によって保持部材44に第1連動部材61を係合させた状態を適切に維持することができる。また、圧縮バネ64の付勢力によって、強制解除姿勢P12に姿勢変更された連動部60を通常姿勢P11に自動的に戻すことができる。
また、本実施形態に係る複合機1によれば、複合機1(装置本体2)が初期の設置位置から僅かに移動する場合、ワイヤー33に僅かな張力が作用するが、引張バネ65は、装置本体2の僅かな移動を許容するように当該張力を吸収する。これにより、例えば、ユーザーが不注意で装置本体2に衝突し、装置本体2を僅かに移動させた場合に、スイッチ本体42が遮断位置P2に変位することを防止することができる。
なお、本実施形態では、各回動軸66,67をアングル部材2sに設け、これに嵌合する各軸受部70,75を各連動部材61,62に設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、各回動軸を各連動部材61,62に設け、各軸受部をアングル部材2sに設けてもよい。
なお、本実施形態では、一例として、本発明を複合機1に適用した場合を説明したが、これに限らず、例えば、モノクロ/カラーのプリンター、ファクシミリ、複写機等に本発明を適用してもよい。
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る画像形成装置における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態における構成要素は、適宜、既存の構成要素等との置き換えや組み合わせが可能であって、上記実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。