本発明の太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤は、太陽電池のバックシートの表面保護に用いられるコーティング剤であり、数平均分子量が3000〜200000であり、ガラス転移温度が−10〜120℃である分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーおよび着色剤を含有することを特徴とする。したがって、本発明の太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤からなるバックシートの表面保護膜は、太陽電池として実際に使用される環境だけでなく、太陽電池モジュールを評価する際に検討されている高温多湿の雰囲気中における促進試験を行なった場合であっても、太陽電池モジュール用バックシート基材に対する密着性、耐候性および電気絶縁性に優れ、さらに太陽電池モジュール用バックシートを製造する際の加熱に対する耐熱性および耐折り曲げ性にも優れている。
分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーにおいて、分散性基は、着色剤の分散性を向上させる基を意味する。好適な分散性基としては、酸性基および塩基性基が挙げられる。酸性はpKa(酸解離定数)で定義することができ、塩基性はpKb(塩基解離定数)で定義することができる。酸性基および塩基性基は、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味する。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、分散性基を有する単量体を含有する単量体成分を重合させることによって調製することができる。
分散性基を有する単量体としては、例えば、酸性基を有する単量体、塩基性基を有する単量体などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
酸性基を有する単量体のpKaは、耐候性を向上させる観点から、好ましくは1以上であり、電気絶縁性を向上させる観点から、好ましくは5以下である。
酸性基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基を有する単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレートなどのスルホン酸基を有する単量体;2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルフェニルリン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフェニルリン酸などの酸性リン酸エステル系単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの酸性基を有する単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
酸性基を有する単量体のなかでは、太陽電池モジュール用バックシート基材に対する密着性、耐候性および電気絶縁性に優れ、さらに太陽電池モジュール用バックシートを製造する際の加熱に対する耐熱性および形成された表面保護膜の耐折り曲げ性にも優れたコーティング剤を得る観点から、カルボキシル基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体が好ましく、アクリル酸(pKa:4.26)およびメタクリル酸(pKa:4.66)がより好ましい。
塩基性基を有する単量体のpKbは、耐候性を向上させる観点から、好ましくは3以上であり、電気絶縁性を向上させる観点から、好ましくは8以下である。
塩基性基を有する単量体としては、例えば、N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N’−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N’−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;テトラメチルピペリジルアクリレート、テトラメチルピペリジルメタクリレートなどのテトラアルキルピペリジル(メタ)アクリレート;ペンタメチルピペリジルアクリレート、ペンタメチルピペリジルメタクリレートなどのペンタアルキルピペリジル(メタ)アクリレート;ヘキサメチルピペリジルアクリレート、ヘキサメチルピペリジルメタクリレートなどのヘキサアルキルピペリジル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノブチルアクリルアミド、ジメチルアミノブチルメタクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;アリルアミン、アミノスチレン、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、紫外線安定性基を有する塩基性の単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの塩基性基を有する単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。紫外線安定性基を有する塩基性単量体は、例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA−82、アデカスタブLA−87などのアデカスタブリーズなどとして商業的に容易に入手することができる。
塩基性基を有する単量体のなかでは、太陽電池モジュール用バックシート基材に対する密着性、耐候性および電気絶縁性に優れ、さらに太陽電池モジュール用バックシートを製造する際の加熱に対する耐熱性および形成された表面保護膜の耐折り曲げ性にも優れたコーティング剤を得る観点から、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ペンタアルキルピペリジル(メタ)アクリレートおよびヘキサアルキルピペリジル(メタ)アクリレートが好ましく、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート(pKb:7.94)および1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート(pKb:5.5)がより好ましい。
単量体成分における分散性基を有する単量体の含有量は、電気絶縁性を向上させる観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、バックシート基材に対する密着性および耐折り曲げ性を向上させる観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、より一層好ましは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
単量体成分には、バックシート基材に対する密着性、耐折り曲げ性および耐熱性を向上させる観点から、架橋性官能基を有する単量体が含まれていることが好ましい。好適な架橋性官能基を有する単量体としては、架橋性官能基として水酸基を有する単量体が好ましい。
架橋性官能基として水酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレートなどのエステル基の炭素数が1〜18の水酸基含有脂肪族カルボン酸エステル;カプロラクトン変性ヒドロキシアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシメタクリレートなどのカプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの活性水素をもつ基を有する単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレートは、商業的に容易に入手することができるものであり、その例としては、ダイセル化学工業(株)製、商品名:プラクセルFM−1、プラクセルFM−1D、プラクセルFM−2D、プラクセルFM−3、プラクセルFA−1DM、プラクセルFA−2Dなどが挙げられる。
単量体成分における水酸基を有する単量体の量は、バックシート基材に対する密着性および耐折り曲げ性を向上させる観点から、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの水酸基価が好ましくは0.5mgKOH/g以上、より好ましくは1mgKOH/g以上、より一層好ましくは3mgKOH/g以上、さらに好ましくは5mgKOH/g以上、さらに一層好ましくは10mgKOH/g以上となる量であり、バックシート基材に対する密着性および耐折り曲げ性を向上させる観点から、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの水酸基価が好ましくは100mgKOH/g以下、より好ましくは80mgKOH/g以下、より一層好ましくは60mgKOH/g以下、さらに好ましくは50mgKOH/g以下、さらに一層好ましくは40mgKOH/g以下、特に好ましくは30mgKOH/g以下となる量である。分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの水酸基価は、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの原料である単量体成分における水酸基を有する単量体の含有率を調節することによって容易に調整することができる。
単量体成分には、前記した単量体以外の単量体を適宜用いることができる。前記した単量体以外の単量体としては、例えば、前記した(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ基を有する単量体、2個以上の重合性二重結合を有する単量体、芳香族系単量体、ハロゲン原子を有する単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシルメチルアクリレート、シクロヘキシルメチルメタクリレート、シクロヘキシルエチルアクリレート、シクロヘキシルエチルメタクリレート、シクロヘキシルプロピルアクリレート、シクロヘキシルプロピルメタクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチルアクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチルメタクリレートなどのシクロアルキルアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ基を有する単量体としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのエポキシ基を有する単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
2個以上の重合性二重結合を有する単量体としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの2個以上の重合性二重結合を有する単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの芳香族系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ハロゲン原子を有する単量体としては、例えば、塩化ビニルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ハロゲン原子を有する単量体は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ビニルエステル系単量体としては、例えば、酢酸ビニルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ビニルエステル系単量体は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ビニルエーテル系単量体としては、例えば、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのビニルエーテル系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記した単量体以外の単量体のなかでは、太陽電池として実際に使用される環境だけでなく、太陽電池モジュールを評価する際に検討される高温多湿の雰囲気中における促進試験を行なった場合であっても、バックシート基材に対する密着性および耐候性を向上させる観点から、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレートなどの耐候性を付与する性質を有する単量体(以下、耐候性単量体という)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレートなどの水酸基含有単量体などが好ましい。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
単量体成分における前記した単量体以外の単量体の含有率は、耐候性を向上する観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、より一層好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、バックシート基材に対する密着性を向上させる観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、より一層好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下、さらに一層好ましくは70質量%以下である。
単量体成分には、耐加水分解性および電気絶縁性を向上させる観点から、ビスアリールフルオレンを基本構造としたアクリレートを含有させることが好ましい。ビスアリールフルオレンを基本構造としたアクリレートは、例えば、大阪ガスケミカル(株)製、商品名:オグソールEA−0200、オグソールEA−0200、オグソールEA−0500、オグソールEA−1000などとして商業的に容易に入手することができる。また、特開2002−69130号公報に開示されているような(メタ)アクリル酸のシクロヘキシルアルキルエステル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02.6]デカ−8−イル(メタ)アクリレートやテルペン系(メタ)アクリレートなどを使用することもできる。
また、単量体成分には、さらに紫外線吸収性を表面保護膜に付与する観点から、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系の紫外線吸収性基を有する単量体、ベンゾフェノン系の紫外線吸収性基を有する単量体、トリアジン系の紫外線吸収性基を有する単量体などの紫外線吸収性基を有する単量体を含有させることが好ましい。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。紫外線吸収性基を有する単量体は、例えば、大塚化学(株)製、商品名:RUVA93、大阪有機化学工業(株)製、商品名:BP−1Aなどとして商業的に容易に入手することができる。
単量体成分における紫外線吸収性基を有する単量体の含有率は、紫外線吸収性を表面保護膜に付与する観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、電気絶縁性を向上させる観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
単量体成分を重合させる際には、分子量分布の増大やゲル化を抑制する観点から、必要により連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸などのメルカプトカルボン酸類;メルカプト酢酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル、3−メルカプトプロピオン酸n−オクチル、3−メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、3−メルカプトプロピオン酸ステアリル、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)などのメルカプトカルボン酸エステル類;エチルメルカプタン、tert−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、1,2−ジメルカプトエタンなどのアルキルメルカプタン類;2−メルカプトエタノール、4−メルカプト−1−ブタノールなどのメルカプトアルコール類;ベンゼンチオール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール、2−ナフタレンチオールなどの芳香族メルカプタン類;トリス〔(3−メルカプトプロピオニロキシ)−エチル〕イソシアヌレートなどのメルカプトイソシアヌレート類;2−ヒドロキシエチルジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド類;ベンジルジエチルジチオカルバメートなどのジチオカルバメート類;α−メチルスチレンダイマーなどのダイマー類;四臭化炭素などのハロゲン化アルキルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの連鎖移動剤のなかでは、入手が容易であること、架橋防止性に優れていること、重合速度の低下の度合いが小さいことなどから、メルカプトカルボン酸類、メルカプトカルボン酸エステル類、アルキルメルカプタン類、メルカプトアルコール類、芳香族メルカプタン類、メルカプトイソシアヌレート類などのメルカプト基を有する化合物が好ましい。
単量体成分100質量部あたりの連鎖移動剤の量は、単量体成分の組成、重合温度などの重合条件、目的とする分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの分子量などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、数平均分子量が数千〜数万の分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーを得る場合には、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜15質量部であることがより好ましい。
単量体成分を重合させる方法としては、例えば、溶液重合法、分散重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
単量体成分を溶液重合法によって重合させる場合、溶媒として、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン系溶媒;ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒などの有機溶媒が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。溶媒の量は、重合条件、単量体成分の組成、得られる分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの濃度などを考慮して適宜決定すればよい。
単量体成分を重合させる際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。単量体成分100質量部あたりの重合開始剤の量は、得られる分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの所望する物性などに応じて適宜設定すればよいが、通常、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.05〜20質量部である。
単量体成分を重合させる際の重合条件は、重合方法に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。重合温度は、好ましくは室温〜200℃、より好ましくは40〜140℃である。反応時間は、単量体成分の重合反応が完結するように適宜設定すればよい。
以上のようにして単量体成分を重合させることによって分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーが得られる。分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は、太陽電池モジュール用バックシート基材に対する密着性、耐候性および表面保護膜の耐折り曲げ性を向上させる観点から、好ましくは3000〜200000、より好ましくは5000〜100000、さらに好ましくは5000〜75000である。このように、本発明では、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーが分散性基を有し、その数平均分子量が適切に調整されているので、コーティング剤の貯蔵安定性が向上するとともに、当該コーティング剤で形成される表面保護膜の耐折り曲げ性および耐候性を向上させることができる。
また、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、バックシート用コーティング剤の貯蔵安定性を向上させる観点から、好ましくは1.2〜10、より好ましくは1.4〜8、さらに好ましくは1.6〜6である。
なお、数平均分子量および分子量分布は、ポリスチレン標準でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定したときの値である。
分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)のガラス転移温度は、電気絶縁性、耐候性および耐熱性を向上させる観点から、好ましくは−10℃以上、より好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは30℃以上であり、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)のガラス転移温度の上限値は、バックシート基材に対する密着性を向上させる観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下、さらに一層好ましくは65℃以下である。
一般に、(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)のガラス転移温度が60℃を超えると、バックシート基材に対する表面保護膜の密着性が低下すると考えられている。これに対して、本発明では、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量および水酸基価を前記した範囲内となるように調整されているので、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)のガラス転移温度が60℃以上であっても、バックシート基材に対する表面保護膜の密着性を向上させることができる。
分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)のガラス転移温度は、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)の原料として用いられる単量体成分に含まれている単量体からなる単独重合体のガラス転移温度(Tg)(絶対温度:K)と単量体の質量分率から、式(I):
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・+Wn/Tgn (I)
〔式中、Tgは、求めようとしている重合体のガラス転移温度(K)、W1、W2、W3・・・・Wnは、それぞれ各単量体の質量分率、Tg1、Tg2、Tg3・・・・Tgnは、それぞれ各単量体の質量分率に対応する単量体からなる単独重合体のガラス転移温度(K)を示す〕
で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求めることができる。なお、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)のガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定装置)、DTA(示差熱分析装置)、TMA(熱機械測定装置)によって測定することもできる。
これらの分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)のガラス転移温度の測定方法のうち、樹脂設計の利便性の観点から、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)のガラス転移温度には、主として式(I)に基づいて求められたガラス転移温度が用いられる。したがって、例えば、以下の製造例、実施例などにおいては、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)のガラス転移温度は、重合させる際に用いられたすべての単量体成分における各単量体の質量分率とこれに対応する単量体の単独重合体のガラス転移温度から求められたガラス転移温度を意味する。
なお、特殊単量体、多官能単量体などのようにガラス転移温度が不明の単量体については、単量体成分における当該ガラス転移温度が不明の単量体の合計含有率が10質量%以下である場合には、ガラス転移温度が判明している単量体のみを用いてガラス転移温度が求められる。また、単量体成分におけるガラス転移温度が不明の単量体の合計含有率が10質量%を超える場合には、単量体成分を重合させることによって得られた重合体のガラス転移温度を示差走査熱量分析(DSC)、示差熱量分析(DTA)、熱機械分析(TMA)などで測定することによって求められる。
単独重合体のガラス転移温度は、例えば、シクロヘキシルメタクリレートの単独重合体では83℃、n−ブチルアクリレートの単独重合体では−56℃、メチルメタクリレートの単独重合体では105℃、イソボルニルメタクリレートの単独重合体では180℃、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの単独重合体では55℃、カプロラクトン変性ヒドロキシメタクリレート〔ダイセル化学工業(株)製、商品名:プラクセルFM−1〕の単独重合体では−8℃(カタログ値)、メタクリル酸の単独重合体では130℃、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート約130℃、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートの単独重合体では約130℃、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレートの単独重合体では19℃、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの単独重合体では約100℃、その他の単量体については、例えば、2−エチルヘキシルアクリレートの単独重合体では−70℃、n−ブチルメタクリレートの単独重合体では20℃、アクリル酸の単独重合体では106℃である。
太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤は、太陽電池として実際に使用される環境だけでなく、太陽電池モジュールを評価する際に検討されている高温多湿の雰囲気中における促進試験を行なった場合であっても、太陽電池モジュール用バックシート基材に対する密着性、耐候性および電気絶縁性に優れ、さらに太陽電池モジュール用バックシートを製造する際の加熱に対する耐熱性および形成された表面保護膜の耐折り曲げ性にも優れた太陽電池モジュールのバックシートを製造する観点から、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーを含有する。
太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤における分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの含有率は、前記溶媒を用いることにより、容易に調整することができる。太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤における分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)の含有率は、特に限定されないが、通常、5〜80質量%の範囲から選ばれる。
太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤に含まれる不揮発分における分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの含有率は、太陽電池として実際に使用される環境だけでなく、太陽電池モジュールを評価する際に検討される高温多湿の雰囲気中における促進試験を行なった場合であっても、バックシート基材に対する密着性および耐候性を向上させる観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは45質量%以上である。太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤の不揮発分は、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーおよび着色剤のみで構成されていてもよい。
太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤からなる表面保護膜は、架橋および未架橋のいずれであってもよいが、耐加水分解性および電気絶縁性を向上させる観点から、架橋されていることが好ましい。表面保護膜は、例えば、太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤自体を独自に架橋させることによって形成してもよく、太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤に硬化剤を含有させ、硬化剤で太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を架橋させることによって形成させてもよい。
硬化剤としては、(ブロック)ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、アミノプラスト樹脂などが挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのなかでは、硬化性および耐候性を向上させる観点から、(ブロック)ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂およびオキサゾリン基含有樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、(ブロック)ポリイソシアネート化合物がより好ましい。
(ブロック)ポリイソシアネート化合物とは、ポリイソシアネート化合物またはブロックポリイソシアネート化合物を意味する。ポリイソシアネート化合物およびブロックポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
ポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を分子内に少なくとも2つ有する化合物が挙げられる。ポリイソシアネート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどのポリイソシアネート;これらのポリイソシアネートのアダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体などのポリイソシアネートの変性物(誘導体)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ブロックポリイソシアネート化合物は、加熱によって太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を架橋させるが、常温で貯蔵安定性を向上させる性質および密着性を有する。また、ブロックポリイソシアネート化合物は、太陽電池として実際に使用される環境だけでなく、太陽電池モジュールを評価する際に検討される高温多湿の雰囲気中における促進試験を行なった場合であっても、バックシート基材に対する密着性に優れている。ブロックポリイソシアネート化合物は、通常、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック化剤でブロックさせたものである。ブロック化剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、フェノール、クレゾール、オキシム、アルコールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ブロックポリイソシアネート化合物のなかでは、芳香環に直接結合したイソシアネート基を有しない無黄変性ポリイソシアネート化合物は、表面保護膜の黄変を防止する観点から好ましい。
(ブロック)ポリイソシアネート化合物は、例えば、住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200、デスモジュールN3300、デスモジュールBL3175、デスモジュールN3400、デスモジュールN3600、デスモジュールVPLS2102、スミジュールBL3575MPA/X;旭化成ケミカルズ(株)製、商品名:デュラネートE−402−90T、デュラネートTPA−B80E、デュラネートMF−B60X、デュラネートMF−K60Xなどとして商業的に容易に入手することができる。
(ブロック)ポリイソシアネート化合物の量は、特に限定されない。例えば、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー中の水酸基1モルあたりの(ブロック)ポリイソシアネート化合物におけるイソシアネート基の量は、表面保護膜の耐加水分解性および電気絶縁性を向上させる観点から、好ましくは0.6モル以上、より好ましくは0.8モル以上であり、未反応のイソシアネート基が空気中の水分と反応することによって表面保護膜が発泡したり、白化することを防止する観点から、好ましくは1.4モル以下、より好ましくは1.2モル以下である。
エポキシ樹脂としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピコート828、エピコート1001X70、エピコート815;(株)ADEKA製、商品名:アデカレジンEP−4100などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
オキサゾリン基含有樹脂としては、例えば、(株)日本触媒製、商品名:エポクロスK−2000シリーズ、エポクロスWS−500、エポクロスWS−700などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
アミノプラスト樹脂は、メラミンやグアナミンなどのアミノ基を有する化合物とホルムアルデヒドとの付加縮合物であり、アミノ樹脂とも呼ばれている。
アミノプラスト樹脂としては、例えば、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、完全アルキル型メチル化メラミン、完全アルキル型ブチル化メラミン、完全アルキル型イソブチル化メラミン、完全アルキル型混合エーテル化メラミン、メチロール基型メチル化メラミン、イミノ基型メチル化メラミン、メチロール基型混合エーテル化メラミン、イミノ基型混合エーテル化メラミンなどのメラミン樹脂;ブチル化ベンゾグアナミン、メチル/エチル混合アルキル化ベンゾグアナミン、メチル/ブチル混合アルキル化ベンゾグアナミン、ブチル化グリコールウリルなどのグアナミン樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
アミノプラスト樹脂は、例えば、三井サイテック(株)製、商品名:サイメル1128、サイメル303、マイコート506、サイメル232、サイメル235、サイメル771、サイメル325、サイメル272、サイメル254、サイメル1170などとして商業的に容易に入手することができる。
アミノプラスト樹脂の量は、特に限定されない。分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーとアミノプラスト樹脂との固形分の質量比(分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー/アミノプラスト樹脂)は、バックシート基材に対する密着性を向上させる観点から、好ましくは6/4以上であり、表面保護膜の耐加水分解性および密着性を高める観点から、好ましくは9/1以下である。
硬化剤の量は、硬化剤の種類などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、表面保護膜の耐加水分解性および電気絶縁性の観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上であり、バックシート基材に対する密着性を向上させる観点から、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。硬化剤の量は、例えば、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーが1分子内に複数個の水酸基を有する場合には、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーが有する水酸基の数に応じて硬化剤の量を適宜調整してもよい。
太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤は、当該太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤の用途や当該太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤に用いられる硬化剤の種類などに応じて種々の硬化条件で硬化させることができる。太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤は、常温硬化型、加熱硬化型、紫外線硬化型または電子線硬化型として用いることができる。また、硬化剤の添加方法や分散方法などには、特に限定がない。例えば、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーが1分子内に複数個の水酸基を有する場合には、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの種類に応じて硬化剤の添加方法や分散方法を選択すればよい。
太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤には、必要に応じて、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーと硬化剤との架橋反応を促進させるための硬化触媒を含有させてもよい。硬化触媒としては、特に限定がないが、例えば、(ブロック)ポリイソシアネート化合物を用いる場合には、ジブチル錫ジラウレート、第3級アミンなどが好ましい。また、アミノプラスト樹脂を用いる場合には、酸性または塩基性の硬化触媒が好ましい。
本発明の太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤は、着色剤を含有する。着色剤としては、顔料および染料が挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。これらのなかでは、本発明のコーティング剤の耐候性を高める観点から、顔料が好ましい。顔料の粒子径は、分散性を向上させる観点から、好ましくは0.01μm以上であり、平滑な表面保護膜を形成する観点から、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
顔料としては、無機顔料および有機顔料が挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。顔料のなかでは、本発明のコーティング剤の耐候性を高める観点から、無機顔料が好ましい。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、炭酸カルシウム、マイカ、酸化アルミニウム、酸化クロムなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、表面保護膜が太陽電池バックシートの最表面に形成される場合、光反射性を向上させる観点から、酸化チタンが好ましく、コーティング剤の耐候性を高める観点から、カーボンブラックが好ましい。
有機顔料としては、例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アニリンブラック系顔料、アンスラキノン系顔料などが挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、黒色顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、アニリンブラックなどのカーボンブラックなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。カーボンブラックは、商業的に入手が可能であり、その例としては、三菱化学(株)製、品番:MA−100、♯970(酸性処理)、♯2350などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、白色顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ、アンチモン白、ホワイトカーボン、クレー、タルクなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。二酸化チタンは、商業的に入手が可能であり、その例としては、石原産業(株)製、商品名:タイペークCR−90−2、タイペークCR−93、タイペークCR−95などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
染料としては、天然染料および化学染料が挙げられる。天然染料としては、例えば、ベニバナ、サフラン、貝紫などが挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化学染料としては、例えば、酸性染料、塩基性染料、直接染料、反応性染料、油溶染料、媒染染料、反応染料などが挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。酸性染料としては、例えば、C.I.アシッド・ブラック2、C.I.アシッド・ブラック52、C.I.アシッド・イエロー23、C.I.アシッド・レッド51、C.I.アッド・レッド87などが挙げられる。塩基性染料としては、例えば、C.I.ベーシック・ブラック2、C.I.ベーシック・イエロー2、C.I.ベーシック・イエロー11、C.I.ベーシック・レッド1、C.I.ベーシック・レッド13、C.I.ベーシック・バイオレット1、C.I.ベーシック・バイオレット3、C.I.ベーシック・バイオレット7、C.I.ベーシック・ブルー5、C.I.ベーシック・ブルー7などが挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。直接染料としては、例えば、C.I.ダイレクト・ブラック19、C.I.ダイレクト・ブラック22、C.I.ダイレクト・ブラック38、C.I.ダイレクト・ブラック51などが挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。反応性染料としては、例えば、C.I.リアクティブ・ブラック4、C.I.リアクティブ・ブラック39、C.I.リアクティブ・レッド180などが挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。油溶染料としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック3、C.I.ソルベント・ブラック5、C.I.ソルベント・ブラック7などなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。媒染染料としては、例えば、C.I.モーダント・ブラック17などが挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。反応染料としては、例えば、C.I.リアクティブ・ブラック4、C.I.リアクティブ・ブラック39などが挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、黒色染料としては、例えば、C.I.ダイレクト・ブラック19、C.I.ダイレクト・ブラック22、C.I.ダイレクト・ブラック38、C.I.ダイレクト・ブラック51などの黒色直接染料、C.I.アシッド・ブラック2、C.I.アシッド・ブラック52などの黒色酸性染料、C.I.ベーシック・ブラック2などの黒色塩基性染料、C.I.ソルベント・ブラック3、C.I.ソルベント・ブラック5、C.I.ソルベント・ブラック7などの黒色油溶染料、C.I.モーダント・ブラック17などの媒染染料、C.I.リアクティブ・ブラック4、C.I.リアクティブ・ブラック39などの黒色反応染料などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
着色剤のなかでは、コーティング剤の耐候性を向上させる観点から、無機顔料が好ましく、カーボンブラックおよび酸化チタンがより好ましい。
コーティング剤における着色剤の含有率は、着色剤の種類や目的とする着色の度合いなどによって異なるので一概には決定することができない。例えば、着色剤として顔料を用いる場合には、通常、コーティング剤における着色剤の含有率は、バックシートの意匠性およびバックシート基材に対する密着性を向上させる観点から、好ましくは3〜80質量%、より好ましくは5〜60質量%である。
本発明の太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤には、溶媒や添加剤などを含有させてもよい。溶媒としては、例えば、上述したのと同様の有機溶媒が挙げられる。また、添加剤としては、フィルムやコーティング膜などを形成するコーティング剤に一般に使用されている添加剤などが挙げられる。
添加剤の具体例としては、レベリング剤;粒状物;消泡剤;タレ防止剤;シランカップリング剤;分散剤;リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤などの酸化防止剤;粘性調整剤;紫外線安定剤;金属不活性化剤;過酸化物分解剤;難燃剤;補強剤;可塑剤;潤滑剤;防錆剤;蛍光性増白剤;有機系および無機系の紫外線吸収剤、無機系熱線吸収剤;有機系および無機系の防炎剤;有機系および無機系の帯電防止剤;オルソギ酸メチルなどの脱水剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ところで、本発明の太陽電池モジュールは、例えば、太陽電池表面封止シート、受光面側封止材、太陽電池セル、非受光面側封止材および太陽電池裏面保護シートをこの順で減圧下にて加熱させながら接触させ、貼り合せることによって製造することができる。したがって、前記添加剤として用いられる粒状物は、当該方法によって太陽電池モジュールを製造する場合には、加熱によって当該粒子が溶融することを防止する観点から、その融点が120℃以上であるか、または融点を有しないことが好ましい。
前記粒状物の平均粒子径は、二次凝集を防止し、取扱い性を向上させる観点から、好ましくは5nm以上であり、コーティング剤からなる表面保護膜の硬度、伸長性および柔軟性を向上させる観点から、好ましくは30μm以下である。
前記粒状物としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、マイカ、ホワイトカーボン、コロイド状シリカ、アルミナゾルなどの無機粒状物;ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィン系ワックス、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、ポリスチレン系樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン系樹脂、尿素樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド系樹脂、フェノール樹脂などの樹脂からなる有機粒状物などの粒状物が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの粒状物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの粒状物のなかでは、ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィン系ワックスおよびポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂などの樹脂からなる有機粒状物、およびシリカ、アルミナ、タルクなどの無機粒状物が好ましい。
商業的に容易に入手することができる無機粒状物としては、例えば、シリカ粒子〔富士シリシア化学(株)製、商品名:サイロホービック4004〕などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、商業的に容易に入手することができる有機粒状物としては、例えば、アクリル樹脂粒子〔(株)日本触媒製、商品名:エポスター(登録商標)MA1010〕、ベンゾグアナミン樹脂粒子〔(株)日本触媒製、商品名:エポスター(登録商標)MS〕などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
コーティング剤からなる表面保護膜における前記粒状物の含有率は、コーティング剤からなる表面保護膜の耐候性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、コーティング剤からなる表面保護膜の伸長性、柔軟性およびバックシート基材に対する密着性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
コーティング剤からなる表面保護膜は、当該表面保護膜の表面に凹凸を形成させることによって耐すべり性およびブロッキング性を向上させる観点から、平均粒子径が0.2μm以上で当該表面保護膜の厚さの15倍以下である粒状物を含有させることが好ましい。前記粒状物の平均粒子径は、耐すべり性およびブロッキング性を向上させる観点から、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、コーティング剤からなる表面保護膜における隠蔽性を向上させるとともに当該表面保護膜の耐候性を向上させる観点から、好ましくは当該表面保護膜の厚さの15倍以下、より好ましくは当該表面保護膜の厚さの5倍以下、さらに好ましくは当該表面保護膜の厚さの3倍以下である。
なお、本明細書において、粒状物の平均粒子径は、散乱式粒度分布測定装置〔(株)堀場製作所製、品番:LA−920〕を用いて測定された平均粒子径を意味する。
なお、本発明の太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤には、着色剤の分散性および太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤の保存安定性を向上させる観点から、分散剤を含有させてもよい。分散剤としては、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアミドと高分子量酸エステルとの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアミドと極性酸エステルとの塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、シナジストなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記分散剤は、商業的に入手が可能であり、その例としては、BYK Chemie社製、商品名:Disperbyk−101(長鎖ポリアミノアミドと極性酸エステルとの塩)、Disperbyk−106(酸性を含む重合体塩)、Disperbyk−130(ポリアミノアミド)、Disperbyk−2164(アミノ基含有重合体)など;楠本化成(株)製、商品名:ディスパロンDA−703−50(ポリアミノアミド)、ディスパロンKS−860(ポリエステルアミン塩)、ディスパロン2150(脂肪族多価カルボン酸)、ディスパロン7004(ポリエーテルエステル)など;日本ルーブリゾール(株)製、商品名:ソルスパーズ5000、ソルスパーズ12000(フタロシアニンアンモニウム塩)、ソルスパーズ13940(ポリエステルアミン)、ソルスパーズ17000(脂肪酸アミン)、ソルスパーズ24000など;味の素ファインテクノ(株)製、商品名:アジスパーPB821、アジスパーPB822(塩基性分散剤)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの分散剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明の太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤における分散剤の含有量は、その種類によって異なるので一概には決定することができないが、通常、0.1〜10質量%程度であることが好ましい。
本発明においては、バックシート基材に対する密着性を向上させる観点から、太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤に、例えば、ポリエステル系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、EVA、ポリビニルブチラール(PVB)、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、アミノ基含有樹脂などの熱可塑性樹脂、粘着性付与剤などを含有させてもよい。
前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、東洋紡績(株)製、バイロン(登録商標)103、240、500、GK110、GK640など;日本合成化学工業(株)製、ニチゴーポリエスター(登録商標)TP−220、TP−235、TP−236、TP−290などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記変性オレフィン系樹脂としては、例えば、日本製紙ケミカル(株)製、アウローレン(登録商標)100、200、350、S−5189など;三洋化成工業(株)、ユーメックス1001、1010、2000などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記EVAとしては、例えば、東ソー(株)製、メルセン(登録商標)H−6051、H−6410など;住友化学(株)製、スミテート(登録商標)KA−31、KA−42などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記ポリビニルブチラール(PVB)としては、例えば、(株)クラレ製、Mowital(登録商標)シリーズB30H、B45M、B60Hなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記シリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業(株)製、品番:KE−103、KE−1013などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記塩化ビニル樹脂としては、例えば、積水化学工業(株)製、商品名:セキスイPVCTSなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記ポリウレタンとしては、例えば、ディーアイシーバイエルポリマー(株)製、商品名:デスモパンDP6580Aなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記アミノ基含有樹脂としては、例えば、(株)日本触媒製、商品名:ポリメントNK−350、NK−380などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記粘着性付与剤としては、例えば、ロジン系粘着性付与剤;ロジンエステル系粘着性付与剤、テルペン系粘着性付与剤、テルペンフェノール系粘着性付与剤、飽和炭化水素樹脂、クマロン系粘着性付与剤、クマロン−インデン系粘着性付与剤、スチレン樹脂系粘着性付与剤、キシレン樹脂系粘着性付与剤、フェノール樹脂系粘着性付与剤、石油樹脂系粘着性付与剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの粘着性付与剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記ロジン系粘着性付与剤としては、例えば、ハリマ化成(株)製、商品名:ハリエスターDS−90などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記ロジンエステル系粘着性付与剤としては、例えば、荒川化学工業(株)製、商品名:パインクリスタルKE−100、KE−311などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記テルペン系粘着性付与剤としては、例えば、ヤスハラケミカル(株)製、クリアロン(登録商標)M−115、P−115などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記テルペンフェノール系粘着性付与剤としては、例えば、荒川化学工業(株)製、商品名:タノマル803Lなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記飽和炭化水素樹脂としては、例えば、荒川化学工業(株)製、商品名:アルコンP−90、P−100などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記スチレン樹脂系粘着性付与剤としては、例えば、三井化学(株)製、品番:FTR−6000などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部あたりの粘着性付与剤の量は、所望する粘着性に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、被着体に対する粘着性を向上させる観点から、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、粘着力の低下を抑制する観点から、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下である。
本発明の太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤は、数平均分子量が3000〜200000であり、ガラス転移温度が−10〜120℃である分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー、着色剤および必要により他の成分を混合することによって容易に調製することができる。
以上のようにして調製されたバックシート用コーティング剤を太陽電池モジュールのバックシート基材の表面上に塗布し、当該太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤からなる表面保護膜を形成させることにより、太陽電池モジュール用バックシートを得ることができる。
太陽電池モジュール用バックシートに用いられるバックシート基材としては、例えば、ポリエステル系基材、ポリカーボネート系基材、フッ素樹脂系基材、アクリル樹脂系基材などが挙げられる。これらのなかでは、耐候性およびコストの観点から、ポリエステル系基材およびフッ素樹脂系基材が好ましい。バックシート基材の厚さは、特に限定されないが、通常、10〜800μm程度であることが好ましい。
ポリエステル系基材に用いられるポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのポリエステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
フッ素樹脂系基材に用いられるフッ素樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのフッ素樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、本発明においては、前記したバックシート基材以外にも、耐熱性、強度物性、電気絶縁性、耐加水分解性などを考慮して、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂などの樹脂からなるバックシート基材を用いることができる。
なお、太陽電池に用いられる充填材としては、例えば、EVA、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのなかでは、耐候性および難燃性の観点から、EVAが好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートにおいて、バックシート基材の表面に形成されるバックシート用コーティング剤からなる表面保護膜の乾燥後の厚さは、密着性、絶縁性および耐候性を向上させる観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは1μm以上であり、耐折り曲げ性を向上させる観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。
前記バックシートにコーティング剤からなる表面保護膜が形成されたときの構成を示す概略断面図を図1に示す。図1は、本発明の太陽電池モジュール用バックシートの一実施態様を示す概略断面図であり、前記太陽電池モジュール用バックシートは、単純な構造を有する。2つのバックシート基材1,1は、接着剤2で貼り合わされている。バックシート基材1,1は、それぞれ同じ材質からなるバックシート基材であってもよく、あるいは異なる材質からなるバックシート基材であってもよい。
接着剤2としては、例えば、太陽電池モジュールのバックシート用接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリカーボネート系接着剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートにおいては、太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤からなる表面保護膜3がバックシート基材1の表面上に形成されているので、太陽電池として実際に使用される環境だけでなく、太陽電池モジュールを評価する際に検討される高温多湿の雰囲気中における促進試験を行なった場合であっても、バックシート基材1に対する表面保護膜3の密着性、耐候性および電気絶縁性に優れ、さらに太陽電池モジュール用バックシートを製造する際の加熱に対する耐熱性および形成された表面保護膜3の耐折り曲げ性にも優れるという優れた効果が奏される。
図2は、本発明の太陽電池モジュール用バックシートの他の実施態様を示す概略断面図である。図2に示された太陽電池モジュール用バックシートでは、一方のバックシート基材1の表面上にプライマー層4が形成され、2つの接着剤層2,2の間にバリア層5が介在している。
図2において、2つのバックシート基材1,1のそれぞれ一方表面には、接着剤2,2が塗布されており、2つのバックシート基材1,1に形成されている接着剤2,2の層の間に例えばガスバリア層などのバリア層5を介在させることによって2つのバックシート基材1,1が一体化されている。また、前記バックシートにおいて、太陽電池モジュールモジュールに用いられる充填材と接触するバックシート基材1の表面には、プライマー層4が形成されている。プライマー層4は、一般に太陽電池モジュール用接着剤として用いられているものであればよい。
図2に示される太陽電池モジュール用バックシートにおいては、バックシート基材1の表面に分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーおよび着色剤を含有する太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤からなる表面保護膜3が形成されている。この実施態様の太陽電池モジュール用バックシートにおいても、バックシート用コーティング剤からなる表面保護膜3が形成されているので、太陽電池として実際に使用される環境だけでなく、太陽電池モジュールを評価する際に検討される高温多湿の雰囲気中における促進試験を行なった場合であっても、バックシート基材1に対する表面保護膜3の密着性、耐候性および電気絶縁性に優れ、さらに太陽電池モジュール用バックシートを製造する際の加熱に対する耐熱性および形成された表面保護膜3の耐折り曲げ性にも優れるという優れた効果が奏される。
図2に示されるバリア層5としては、例えば、金属箔、金属蒸着フィルム、酸化物蒸着フィルムなどの酸化物を蒸着した蒸着基材などが挙げられる。
金属箔としては、例えば、アルミニウム箔などが挙げられる。金属蒸着フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルムやポリオレフィン系延伸フィルムにアルミニウムを蒸着させたアルミニウム蒸着フィルムなどが挙げられる。
酸化物蒸着フィルムとしては、例えば、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化錫、酸化マグネシウム、酸化インジウム、これらの複合酸化物などをポリエステルフィルムに蒸着したフィルムであって、透明でかつ酸素ガス、水蒸気などのガスバリア性を有するものなどが挙げられる。これらのなかでは、二酸化ケイ素をポリエステルフィルムに蒸着したフィルムおよび酸化アルミニウムをポリエステルフィルムに蒸着したフィルムが好ましい。
酸化物蒸着フィルムにおいて、好適な酸化物の蒸着層の厚さは、酸化物の種類や組成によって異なるが、一般に、均一な酸化物の蒸着層を形成させる観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上であり、柔軟性を付与し、外的応力によって亀裂が生じないようにする観点から、好ましくは300nm以下、より好ましくは150nm以下である。酸化物の蒸着層をフィルム上に形成させる方法としては、例えば、真空蒸着法をはじめ、薄膜形成方法であるスパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートのガスバリア性を安定化させるとともに向上させる観点から、例えば、バックシート基材1上にアクリルポリオール、イソシアネート化合物およびシラン化合物からなるアンダーコート層(図示せず)が設けられていてもよく、酸化物の蒸着層上にポリビニルアルコールの部分または完全ケン化物とシラン化合物とからなるオーバーコート層(図示せず)が設けられていてもよい。
図1に示される太陽電池モジュール用バックシートおよび図2に示される太陽電池モジュール用バックシートのなかでは、図1に示される太陽電池モジュール用バックシートは、バックシートの低コスト化の観点から好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートは、例えば、バックシート基材上にグラビアコート、ロールコート、バーコート、リバースコートなどの方法で、乾燥後の膜厚が0.1〜20μmとなるように接着剤を塗工し、そのバックシート基材上に他のバックシート基材をドライラミネートなどの方法で貼り合わせた後、太陽電池モジュールを構成する充填材と貼り合わされる面に太陽電池モジュールのバックシート用接着剤からなる接着剤層を形成させ、当該バックシート用接着剤からなる接着剤層が形成される面とは反対面のバックシート基材の表面上にバックシート用コーティング剤を塗布し、表面保護膜を形成することによって製造することができる。バックシート基材の表面上にバックシート用コーティング剤を塗布する方法としては、例えば、グラビアコート、ロールコート、バーコート、リバースコートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。なお、バックシート基材には、必要に応じて、コロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理などの密着性を向上させるための表面処理を施してもよい。例えば、バックシート基材としてフッ素樹脂からなるバックシート基材を用いる場合には、そのバックシート基材にプラズマ処理などを施すことが好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートが用いられた太陽電池モジュールは、太陽電池として実際に使用される環境だけでなく、太陽電池モジュールを評価する際に検討される高温多湿の雰囲気中における促進試験を行なった場合であっても、バックシート基材に対する密着性、耐候性および電気絶縁性に優れている。
本発明の太陽電池モジュールは、例えば、一般に用いられている太陽電池モジュールにおいて、バックシートとして本発明の太陽電池モジュール用バックシートを置き換えることによって容易に構成させることができる。また、本発明の太陽電池は、例えば、一般に用いられている太陽電池において、太陽電池モジュールを本発明の太陽電池モジュールに置き換えることによって容易に構成させることができる。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
製造例1
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた300mL容のフラスコ内に酢酸エチル100gを仕込み、還流温度まで昇温させた。還流し始めたら、シクロヘキシルメタクリレート10.0g、ブチルアクリレート16.8g、メチルメタクリレート62.9g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート9.3gおよびメタクリル酸1.0gからなる単量体成分と、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.5gとの混合物を2時間かけてフラスコ内に連続的に滴下した。さらに還流温度で4時間加熱することにより、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの不揮発分含量が49.8質量%の溶液を得た。なお、この分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は10500であり、分子量分布は1.9であり、ガラス転移温度は58℃であり、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)の水酸基価は40mgKOH/gであった。
製造例2
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた300mL容のフラスコ内に酢酸エチル100gを仕込み、還流温度まで昇温させた。還流し始めたら、シクロヘキシルメタクリレート10.0g、ブチルアクリレート12.7g、メチルメタクリレート52.0g、イソボルニルメタクリレート10.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.9gおよびメタクリル酸1.4gからなる単量体成分と、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)5.0gとの混合物を2時間かけてフラスコ内に連続的に滴下した。さらに還流温度で4時間加熱することにより、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの不揮発分含量が50.2質量%の溶液を得た。なお、この分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は4500であり、分子量分布は1.5であり、ガラス転移温度は70℃であり、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)の水酸基価は60mgKOH/gであった。
製造例3
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた300mL容のフラスコ内に酢酸エチル100gを仕込み、還流温度まで昇温させた。還流し始めたら、シクロヘキシルメタクリレート40.0g、ブチルアクリレート18.4g、メチルメタクリレート20.5g、水酸基含有単量体としてカプロラクトン変性ヒドロキシメタクリレート〔ダイセル化学工業(株)製、商品名:プラクセルFM−1〕8.7g、メタクリル酸1.4g、紫外線安定性基を有する単量体として1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA82〕1.0gおよび紫外線吸収性基を有する単量体として2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA93〕10.0gからなる単量体成分と、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.3gとの混合物を2時間かけてフラスコ内に連続的に滴下した。さらに還流温度で4時間加熱することにより、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの不揮発分含量が49.9質量%の溶液を得た。なお、この分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は7300であり、分子量分布は4.1であり、ガラス転移温度は43℃であり、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)の水酸基価は20mgKOH/gであった。
製造例4
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた300mL容のフラスコ内に酢酸エチル100gを仕込み、還流温度まで昇温させた。還流し始めたら、シクロヘキシルメタクリレート54.4g、ブチルアクリレート25.5g、水酸基含有単量体としてカプロラクトン変性ヒドロキシメタクリレート〔ダイセル化学工業(株)製、商品名:プラクセルFM−1〕17.4g、メタクリル酸0.7gおよび紫外線安定性基を有する単量体として2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA87〕2.0gからなる単量体成分と、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.9gとの混合物を2時間かけてフラスコ内に連続的に滴下した。さらに還流温度で4時間加熱することにより、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの不揮発分含量が49.9質量%の溶液を得た。なお、この分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は10000であり、分子量分布は4.0であり、ガラス転移温度は20℃であり、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)の水酸基価は4mgKOH/gであった。
製造例5
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた300mL容のフラスコ内に酢酸エチル100gを仕込み、還流温度まで昇温させた。還流し始めたら、ブチルアクリレート20.9g、メチルメタクリレート74.0g、水酸基含有単量体としてカプロラクトン変性ヒドロキシメタクリレート〔ダイセル化学工業(株)製、商品名:プラクセルFM−1〕4.4gおよびメタクリル酸0.7gからなる単量体成分と、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3gとの混合物を2時間かけてフラスコ内に連続的に滴下した。さらに還流温度で4時間加熱することにより、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの不揮発分含量が49.8質量%の溶液を得た。なお、この分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は43000であり、分子量分布は4.2であり、ガラス転移温度は50℃であり、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)の水酸基価は10mgKOH/gであった。
製造例6
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた300mL容のフラスコ内に酢酸エチル100gを仕込み、還流温度まで昇温させた。還流し始めたら、シクロヘキシルメタクリレート5.0g、ブチルアクリレート48.3g、メチルメタクリレート24.5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20.8gおよびメタクリル酸1.4gからなる単量体成分と、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5gとの混合物を2時間かけてフラスコ内に連続的に滴下した。さらに還流温度で4時間加熱することにより、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの不揮発分含量が49.9質量%の溶液を得た。なお、この分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は76000であり、分子量分布は2.0であり、ガラス転移温度は0℃であり、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)の水酸基価は90mgKOH/gであった。
製造例7
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた300mL容のフラスコ内に酢酸エチル100gを仕込み、還流温度まで昇温させた。還流し始めたら、シクロヘキシルメタクリレート10.0g、ブチルアクリレート27.0g、メチルメタクリレート39.7g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2.3g、紫外線安定性基を有する単量体として2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA87〕1.0gおよび紫外線吸収性基を有する単量体として2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA93〕20.0gからなる単量体成分と、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.6gとの混合物を2時間かけてフラスコ内に連続的に滴下した。さらに還流温度で4時間加熱することにより、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの不揮発分含量が49.8質量%の溶液を得た。なお、この分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は70000であり、分子量分布は1.9であり、ガラス転移温度は40℃であり、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)の水酸基価は10mgKOH/gであった。
製造例8
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた300mL容のフラスコ内に酢酸エチル100gを仕込み、還流温度まで昇温させた。還流し始めたら、シクロヘキシルメタクリレート10.0g、ブチルアクリレート50.9g、メチルメタクリレート18.6g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート18.5gおよび紫外線安定性基を有する単量体として1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA82〕2.0gからなる単量体成分と、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.3gとの混合物を2時間かけてフラスコ内に連続的に滴下した。さらに還流温度で4時間加熱することにより、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの不揮発分含量が49.7質量%の溶液を得た。なお、この分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は28500であり、分子量分布は2.0であり、ガラス転移温度は−5℃であり、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)の水酸基価は80mgKOH/gであった。
製造例9
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた300mL容のフラスコ内に酢酸エチル100gを仕込み、還流温度まで昇温させた。還流し始めたら、シクロヘキシルメタクリレート5.0g、ブチルアクリレート51.0g、メチルメタクリレート27.1g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.9g、紫外線安定性基を有する単量体として1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA82〕1.0gおよびN,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート2.0gからなる単量体成分と、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.5gとの混合物を2時間かけてフラスコ内に連続的に滴下した。さらに還流温度で4時間加熱することにより、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの不揮発分含量が50.0質量%の溶液を得た。なお、この分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は18600であり、分子量分布は1.4であり、ガラス転移温度は−3℃であり、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)の水酸基価は60mgKOH/gであった。
製造例10
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた300mL容のフラスコ内に酢酸エチル100gを仕込み、還流温度まで昇温させた。還流し始めたら、ブチルアクリレート11.6g、メチルメタクリレート70.7g、イソボルニルメタクリレート5.0g、水酸基含有単量体としてカプロラクトン変性ヒドロキシメタクリレート〔ダイセル化学工業(株)製、商品名:プラクセルFM−1〕8.7gおよびN,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート4.0gからなる単量体成分と、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5gとの混合物を2時間かけてフラスコ内に連続的に滴下した。さらに還流温度で4時間加熱することにより、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの不揮発分含量が50.0質量%の溶液を得た。なお、この分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は19000であり、分子量分布は4.2であり、ガラス転移温度は63℃であり、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)の水酸基価は20mgKOH/gであった。
製造例11
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた300mL容のフラスコ内に酢酸エチル100gを仕込み、還流温度まで昇温させた。還流し始めたら、シクロヘキシルメタクリレート20.0g、ブチルアクリレート19.9g、メチルメタクリレート49.8g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート9.3gおよび紫外線安定性基を有する単量体として1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA82〕1.0gからなる単量体成分と、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.7gとの混合物を2時間かけてフラスコ内に連続的に滴下した。さらに還流温度で4時間加熱することにより、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの不揮発分含量が49.8質量%の溶液を得た。なお、この分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は15000であり、分子量分布は1.6であり、ガラス転移温度は50℃であり、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)の水酸基価は40mgKOH/gであった。
比較製造例1
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた300mL容のフラスコ内にトルエン100gを仕込み、90℃まで昇温させた。還流し始めたら、ブチルアクリレート27.7g、メチルメタクリレート70.5gおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.8gからなる単量体成分と、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.15gとの混合物を1時間かけてフラスコ内に連続的に滴下した。さらに還流温度で4時間加熱することにより、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの不揮発分含量が49.7質量%の溶液を得た。なお、この分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は34000であり、分子量分布は1.3であり、ガラス転移温度は41℃であり、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)の水酸基価は8mgKOH/gであった。
比較製造例2
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた300mL容のフラスコ内にトルエン100gを仕込み、90℃まで昇温させた。還流し始めたら、ブチルアクリレート42.0g、メチルメタクリレート53.4gおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6gからなる単量体成分と、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.15gとの混合物を1時間かけてフラスコ内に連続的に滴下した。さらに還流温度で4時間加熱することにより、分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの不揮発分含量が49.8質量%の溶液を得た。なお、この分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は46600であり、分子量分布は1.2であり、ガラス転移温度は15℃であり、当該分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)の水酸基価は20mgKOH/gであった。
実施例1
製造例1で得られた分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部(不揮発分量)、着色剤として二酸化チタン〔石原産業(株)製、商品名:タイペークCR−95、平均粒子径:280nm〕100質量部を混合し、さらにトルエンで不揮発分量が50質量%となるように希釈し、ペイントシェーカーで2時間分散させて分散液を得た。
前記で得られた分散液に含まれている(メタ)アクリル系重合体100質量部(不揮発分量)に対して脂肪族ポリイソシアネート系架橋剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕13.9質量部を混合し、得られた混合物をトルエンで希釈することにより、不揮発分含量が50質量%である太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を得た。
次に、バックシート基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S〕を用い、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムに前記で得られたコーティング剤をバーコーターで乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、100℃で2分間、次いで50℃で3日間乾燥させることにより、表面保護膜を有するバックシートを得た。
実施例2
製造例1で得られた分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部(不揮発分量)、着色剤として二酸化チタン〔石原産業(株)製、商品名:タイペークCR−95、平均粒子径:280nm〕70質量部を混合し、さらにトルエンで不揮発分量が50質量%となるように希釈し、ペイントシェーカーで2時間分散させて分散液を得た。
前記で得られた分散液に含まれている(メタ)アクリル系重合体100質量部(不揮発分量)に対して脂肪族ポリイソシアネート系架橋剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕13.9質量部を混合し、得られた混合物をトルエンで希釈することにより、不揮発分含量が50質量%である太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を得た。
次に、バックシート基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S〕を用い、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムに前記で得られたコーティング剤をバーコーターで乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、100℃で2分間、次いで50℃で3日間乾燥させることにより、表面保護膜を有するバックシートを得た。
実施例3
製造例2で得られた分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部(不揮発分量)、着色剤として二酸化チタン〔石原産業(株)製、商品名:タイペークCR−95、平均粒子径:280nm〕100質量部およびアクリル樹脂粒子〔(株)日本触媒製、商品名:エポスター(登録商標)MA1010、平均粒子径:10μm〕6質量部を混合し、さらにトルエンで不揮発分量が50質量%となるように希釈し、ペイントシェーカーで2時間分散させて分散液を得た。
前記で得られた分散液に含まれている(メタ)アクリル系重合体100質量部(不揮発分量)に対して脂肪族ポリイソシアネート系架橋剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕20.9質量部を混合し、得られた混合物をトルエンで希釈することにより、不揮発分含量が50質量%である太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を得た。
次に、バックシート基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S〕を用い、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムに前記で得られたコーティング剤をバーコーターで乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、100℃で2分間、次いで50℃で3日間乾燥させることにより、表面保護膜を有するバックシートを得た。
実施例4
製造例3で得られた分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部(不揮発分量)、着色剤として二酸化チタン〔石原産業(株)製、商品名:タイペークCR−95、平均粒子径:280nm〕150質量部およびアクリル樹脂粒子〔(株)日本触媒製、商品名:エポスター(登録商標)MA1010、平均粒子径:10μm〕7.5質量部を混合し、さらにトルエンで不揮発分量が50質量%となるように希釈し、ペイントシェーカーで2時間分散させて分散液を得た。
前記で得られた分散液に含まれている(メタ)アクリル系重合体100質量部(不揮発分量)に対して脂肪族ポリイソシアネート系架橋剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕7.0質量部を混合し、得られた混合物をトルエンで希釈することにより、不揮発分含量が50質量%である太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を得た。
次に、バックシート基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S〕を用い、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムに前記で得られたコーティング剤をバーコーターで乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、100℃で2分間、次いで50℃で3日間乾燥させることにより、表面保護膜を有するバックシートを得た。
実施例5
製造例3で得られた分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部(不揮発分量)、着色剤として二酸化チタン〔石原産業(株)製、商品名:タイペークCR−95、平均粒子径:280nm〕50質量部およびシリカ粒子〔富士シリシア化学(株)製、商品名:サイロホービック4004、平均粒子径:8μm〕4.5質量部を混合し、さらにトルエンで不揮発分量が50質量%となるように希釈し、ペイントシェーカーで2時間分散させて分散液を得た。
前記で得られた分散液に含まれている(メタ)アクリル系重合体100質量部(不揮発分量)に対して脂肪族ポリイソシアネート系架橋剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕7.0質量部を混合し、得られた混合物をトルエンで希釈することにより、不揮発分含量が50質量%である太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を得た。
次に、バックシート基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S〕に、前記で得られたコーティング剤をバーコーターで乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、100℃で2分間、次いで50℃で3日間乾燥させることにより、表面保護膜を有するバックシートを得た。
実施例6
製造例4で得られた分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部(不揮発分量)、着色剤として二酸化チタン〔石原産業(株)製、商品名:タイペークCR−95、平均粒子径:280nm〕50質量部およびアクリル樹脂粒子〔(株)日本触媒製、商品名:エポスター(登録商標)MA1010、平均粒子径:10μm〕4.5質量部を混合し、さらにトルエンで不揮発分量が50質量%となるように希釈し、ペイントシェーカーで2時間分散させて分散液を得た。
前記で得られた分散液に含まれている(メタ)アクリル系重合体100質量部(不揮発分量)に対して脂肪族ポリイソシアネート系架橋剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕1.4質量部を混合し、得られた混合物をトルエンで希釈することにより、不揮発分含量が50質量%である太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を得た。
次に、バックシート基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S〕を用い、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムに前記で得られたコーティング剤をバーコーターで乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、100℃で2分間、次いで50℃で3日間乾燥させることにより、表面保護膜を有するバックシートを得た。
実施例7
製造例5で得られた分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部(不揮発分量)、着色剤として二酸化チタン〔石原産業(株)製、商品名:タイペークCR−95、平均粒子径:280nm〕25質量部を混合し、さらにトルエンで不揮発分量が50質量%となるように希釈し、ペイントシェーカーで2時間分散させて分散液を得た。
前記で得られた分散液に含まれている(メタ)アクリル系重合体100質量部(不揮発分量)に対して脂肪族ポリイソシアネート系架橋剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕3.5質量部を混合し、得られた混合物をトルエンで希釈することにより、不揮発分含量が50質量%である太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を得た。
次に、バックシート基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S〕を用い、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムに前記で得られたコーティング剤をバーコーターで乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、100℃で2分間、次いで50℃で3日間乾燥させることにより、表面保護膜を有するバックシートを得た。
実施例8
製造例6で得られた分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部(不揮発分量)、着色剤として二酸化チタン〔石原産業(株)製、商品名:タイペークCR−95、平均粒子径:280nm〕400質量部およびシリカ粒子〔富士シリシア化学(株)製、商品名:サイロホービック4004、平均粒子径:8μm〕15質量部を混合し、さらにトルエンで不揮発分量が50質量%となるように希釈し、ペイントシェーカーで2時間分散させて分散液を得た。
前記で得られた分散液に含まれている(メタ)アクリル系重合体100質量部(不揮発分量)に対して脂肪族ポリイソシアネート系架橋剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕31.3質量部を混合し、得られた混合物をトルエンで希釈することにより、不揮発分含量が50質量%である太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を得た。
次に、バックシート基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S〕を用い、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムに前記で得られたコーティング剤をバーコーターで乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、100℃で2分間、次いで50℃で3日間乾燥させることにより、表面保護膜を有するバックシートを得た。
実施例9
製造例7で得られた分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部(不揮発分量)、着色剤として二酸化チタン〔石原産業(株)製、商品名:タイペークCR−95、平均粒子径:280nm〕30質量部およびシリカ粒子〔富士シリシア化学(株)製、商品名:サイロホービック4004、平均粒子径:8μm〕3.9質量部を混合し、さらにトルエンで不揮発分量が50質量%となるように希釈し、ペイントシェーカーで2時間分散させて分散液を得た。
前記で得られた分散液に含まれている(メタ)アクリル系重合体100質量部(不揮発分量)に対して脂肪族ポリイソシアネート系架橋剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕3.5質量部を混合し、得られた混合物をトルエンで希釈することにより、不揮発分含量が50質量%である太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を得た。
次に、バックシート基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S〕を用い、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムに前記で得られたコーティング剤をバーコーターで乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、100℃で2分間、次いで50℃で3日間乾燥させることにより、表面保護膜を有するバックシートを得た。
実施例10
製造例8で得られた分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部(不揮発分量)、着色剤としてカーボンブラック〔三菱化学(株)製、品番:MA100、平均粒子径:24nm〕55質量部およびアクリル樹脂粒子〔(株)日本触媒製、商品名:エポスター(登録商標)MA1010、平均粒子径:10μm〕4.7質量部を混合し、さらにトルエンで不揮発分量が50質量%となるように希釈し、ペイントシェーカーで2時間分散させて分散液を得た。
前記で得られた分散液に含まれている(メタ)アクリル系重合体100質量部(不揮発分量)に対して脂肪族ポリイソシアネート系架橋剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕27.8質量部を混合し、得られた混合物をトルエンで希釈することにより、不揮発分含量が50質量%である太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を得た。
次に、バックシート基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S〕を用い、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムに前記で得られたコーティング剤をバーコーターで乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、100℃で2分間、次いで50℃で3日間乾燥させることにより、表面保護膜を有するバックシートを得た。
実施例11
製造例9で得られた分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部(不揮発分量)、着色剤としてカーボンブラック〔三菱化学(株)製、品番:MA100、平均粒子径:24nm〕5質量部およびアクリル樹脂粒子〔(株)日本触媒製、商品名:エポスター(登録商標)MA1010、平均粒子径:10μm〕3.2質量部を混合し、さらにトルエンで不揮発分量が50質量%となるように希釈し、ペイントシェーカーで2時間分散させて分散液を得た。
前記で得られた分散液に含まれている(メタ)アクリル系重合体100質量部(不揮発分量)に対して脂肪族ポリイソシアネート系架橋剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕20.9質量部を混合し、得られた混合物をトルエンで希釈することにより、不揮発分含量が50質量%である太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を得た。
次に、バックシート基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S〕を用い、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムに前記で得られたコーティング剤をバーコーターで乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、100℃で2分間、次いで50℃で3日間乾燥させることにより、表面保護膜を有するバックシートを得た。
実施例12
製造例10で得られた分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部(不揮発分量)、着色剤としてカーボンブラック〔三菱化学(株)製、品番:MA100、平均粒子径:24nm〕20質量部およびアクリル樹脂粒子〔(株)日本触媒製、商品名:エポスター(登録商標)MA1010、平均粒子径:10μm〕3.6質量部を混合し、さらにトルエンで不揮発分量が50質量%となるように希釈し、ペイントシェーカーで2時間分散させて分散液を得た。
前記で得られた分散液に含まれている(メタ)アクリル系重合体100質量部(不揮発分量)に対して脂肪族ポリイソシアネート系架橋剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕7.0質量部を混合し、得られた混合物をトルエンで希釈することにより、不揮発分含量が50質量%である太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を得た。
次に、バックシート基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S〕を用い、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムに前記で得られたコーティング剤をバーコーターで乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、100℃で2分間、次いで50℃で3日間乾燥させることにより、表面保護膜を有するバックシートを得た。
実施例13
製造例11で得られた分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部(不揮発分量)、着色剤としてカーボンブラック〔三菱化学(株)製、品番:MA100、平均粒子径:24nm〕20質量部およびアクリル樹脂粒子〔(株)日本触媒製、商品名:エポスター(登録商標)MA1010、平均粒子径:10μm〕3.6質量部を混合し、さらにトルエンで不揮発分量が50質量%となるように希釈し、ペイントシェーカーで2時間分散させて分散液を得た。
前記で得られた分散液に含まれている(メタ)アクリル系重合体100質量部(不揮発分量)に対して脂肪族ポリイソシアネート系架橋剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕13.9質量部を混合し、得られた混合物をトルエンで希釈することにより、不揮発分含量が50質量%である太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を得た。
次に、バックシート基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S〕を用い、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムに前記で得られたコーティング剤をバーコーターで乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、100℃で2分間、次いで50℃で3日間乾燥させることにより、表面保護膜を有するバックシートを得た。
比較例1
比較製造例1で得られた分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部(不揮発分量)、着色剤として二酸化チタン〔石原産業(株)製、商品名:タイペークCR−95、平均粒子径:280nm〕88質量部およびベンゾグアナミン樹脂粒子〔(株)日本触媒製、商品名:エポスター(登録商標)MS、平均粒子径:1〜3μm〕22質量部を混合し、さらにトルエンで不揮発分量が50質量%となるように希釈し、ペイントシェーカーで2時間分散させて分散液を得た。
前記で得られた分散液に含まれている(メタ)アクリル系重合体100質量部(不揮発分量)に対して脂肪族ポリイソシアネート系架橋剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕5.6質量部を混合し、得られた混合物をトルエンで希釈することにより、不揮発分含量が50質量%である太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を得た。
次に、バックシート基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S〕を用い、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムに前記で得られたコーティング剤をバーコーターで乾燥後の膜厚が15μmとなるように塗布し、100℃で2分間、次いで50℃で3日間乾燥させることにより、表面保護膜を有するバックシートを得た。
比較例2
比較製造例2で得られた分散性基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部(不揮発分量)、着色剤としてカーボンブラック〔三菱化学(株)製、品番:MA100、平均粒子径:24nm〕16質量部およびベンゾグアナミン樹脂粒子〔(株)日本触媒製、商品名:エポスター(登録商標)MS、平均粒子径:1〜3μm〕16質量部を混合し、さらにトルエンで不揮発分量が50質量%となるように希釈し、ペイントシェーカーで2時間分散させて分散液を得た。
前記で得られた分散液に含まれている(メタ)アクリル系重合体100質量部(不揮発分量)に対して脂肪族ポリイソシアネート系架橋剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕13.9質量部を混合し、得られた混合物をトルエンで希釈することにより、不揮発分含量が50質量%である太陽電池モジュールのバックシート用コーティング剤を得た。
次に、バックシート基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S〕を用い、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムに前記で得られたコーティング剤をバーコーターで乾燥後の膜厚が15μmとなるように塗布し、100℃で2分間、次いで50℃で3日間乾燥させることにより、表面保護膜を有するバックシートを得た。
次に、各実施例または各比較例で得られた分散液およびバックシートを用いて以下の物
性を調べた。その結果を表1に示す。
なお、実施例3、6、8、10および11は、参考例として扱われるものである。
〔分散液の物性〕
(1)粒度分布
分散液を調製した後、速やかに分散液に含まれている粒子の粒度分布を散乱式粒度分布測定装置〔(株)堀場製作所製、品番:LA−920〕で測定し、以下の評価基準に基づいて粒度分布を評価した。
[評価基準]
100点:分散液に分散している粒子の平均粒子径が1μm未満
50点:分散液に分散している粒子の平均粒子径が1μm以上3μm未満
0点:分散液に分散している粒子の平均粒子径が3μm以上
(2)貯蔵安定性
分散液を調製した後、速やかに50℃の雰囲気中に30日間静置して貯蔵した後、貯蔵前後の分散液を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて貯蔵安定性を評価した。
[評価基準]
100点:分散液の外観に変化なし
50点:分散液が色分かれしている。
0点:分散液が完全に2層に分離している。
〔バックシートの物性〕
以下のバックシートの物性の評価方法において、バックシートの初期の物性を表1の「初期値」の欄に、バックシートを温度85℃、相対湿度85%の雰囲気中に1000時間静置した後の物性を表1の「1000時間後」の欄に、バックシートを温度85℃、相対湿度85%の雰囲気中に3000時間静置した後の物性を表1の「3000時間後」の欄に、それぞれ記載した。
(1)密着性
1mm間隔のカッターガイドを用い、バックシートの表面保護膜側からカッターナイフで表面保護膜を貫通し、ポリエチレンテレフタレートフィルムに達する1mm角の100個の碁盤目状の切り傷を形成させた。
次に、セロハン粘着テープ〔ニチバン(株)製、品番:CT405AP−18、テープ幅:18mm〕を切り傷面に貼り付け、消しゴムでそのテープの上を擦ってテープを完全に付着させた後、垂直方向にテープを引き剥がし、ポリエチレンテレフタレートフィルムに残存している表面保護膜の碁盤目の数を数え、以下の評価基準に基づいて密着性(初期値)を評価した。
なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムに残存している表面保護膜の碁盤目の数が多いほど、密着性に優れている。
[評価基準]
100点:残存している表面保護膜の碁盤目の数が100個
70点:残存している表面保護膜の碁盤目の数が70〜99個
50点:残存している表面保護膜の碁盤目の数が50〜69個
0点:残存している表面保護膜の碁盤目の数が49個以下
(2)耐折り曲げ性
JIS K5600−5−1に規定の円筒形マンドレル法に準じてバックシートの表面保護膜がマンドレル(心棒)とは反対面に位置するようにし、直径が2mm、3mm、4mm、5mm、6mmまたは8mmであるマンドレルを用い、バックシートをマンドレルに沿って折り曲げ、亀裂または剥がれが生じるときのマンドレルの直径を調べ、以下の評価基準に基づいて耐折り曲げ性を評価した。
なお、マンドレルの直径が小さいほど、表面保護膜に亀裂および剥がれが生じがたく、耐折り曲げ性に優れている。
[評価基準]
100点:亀裂または剥がれが生じるときのマンドレルの直径が3mm以下である。
70点:亀裂または剥がれが生じるときのマンドレルの直径が4mmまたは5mmである。
50点:亀裂または剥がれが生じるときのマンドレルの直径が6mmである。
0点:亀裂または剥がれが生じるときのマンドレルの直径が8mmである。
(3)電気絶縁性
雰囲気温度が23℃で相対湿度が65%の雰囲気中で、部分放電試験機〔菊水電子工業(株)製、品番:KPD2050〕を用い、以下の測定条件に基づいてバックシートに電圧を印加することにより、部分放電電圧を測定し、以下の評価基準に基づいて電気絶縁性(初期値)を評価した。
[測定条件]
・出力電圧印加パターン
1段階目:0Vから所定の試験電圧まで単純に電圧を上昇させるパターン、設定時間は10秒間
2段階目:所定の試験電圧を維持するパターン、設定時間は2秒間
3段階目:所定の試験電圧から0Vまで単純に電圧を降下させるパターン、設定時間は10秒間
・設定周波数:50Hz
・所定の試験電圧:1kV
・電荷量:1000pC
・パルスカウントシートにおけるカウント方法は「+」(プラス)、レンジシートにおける電荷量はレンジ1000pCとした。また、計測モードにおける開始電荷量は1.0pC]、消費電荷量は1.0pCに設定した。
・バックシートの表面保護膜の任意の10カ所で測定し、その測定値の平均値を求めた。
なお、部分放電電圧が大きいほど、バックシートは電気絶縁性に優れている。
[評価基準]
100点:部分放電電圧が600V以上である。
50点:部分放電電圧が500V以上600V未満である。
0点:部分放電電圧が500V未満である。
(4)耐候性
雰囲気温度が23℃で相対湿度が65%の雰囲気中で、変角光沢計〔日本電色工業(株)製、品番:VG−2000〕を用いてバックシートの表面保護膜の60°グロスを測定し、その値を耐候性試験前のグロス値とした。
次に、バックシートから6cm×6cmに切り出したサンプルを以下の耐候性試験条件に設定された耐候性試験機〔スガ試験機(株)製、商品名:スーパーキセノンウェザーメーターSX2−75〕内に1000時間保管したサンプルに対しても前記と同様にして60°グロスを測定し、その値を耐候性試験後のグロス値とした。
[耐候性試験条件]
・ブラックパネル温度:63℃
・放射照度:180W/m2
・照射面:表面保護膜
前記で測定された耐候性試験前のグロス値および耐候性試験後のグロス値から、式:
[保持率]={[耐候性試験後のグロス値]÷[耐候性試験前のグロス値]}×100
に基づいて保持率を求め、以下の評価基準に基づいて耐候性を評価した。
なお、保持率が高いほど、バックシートは耐候性に優れている。
[評価基準]
100点:保持率が90%以上である。
50点:保持率が60%以上90%未満である。
0点:保持率が60%未満である。
(5)耐熱性
バックシートから10cm×10cmに切り出したサンプルを、フッ素樹脂を含浸させたガラスクロスシート〔本多産業(株)製、品番:HGS−P601〕で挟み、真空ラミネ―ター〔NPS(株)製、品番:LM−30×30〕を用い、150℃で5分間真空引きした後、1分間圧量を調整し、30分間加圧することにより、サンプルに熱プレスを施した。その後、このサンプルを目視によって観察し、以下の評価基準に基づいて耐熱性を評価した。
なお、熱プレス前後でサンプル(バックシート)に変化がないほど、太陽電池モジュールを生産する際に加わる熱に対する耐熱性に優れている。
[評価基準]
100点:サンプル(バックシート)の表面保護膜にガラスクロスシートによる凹凸が転写されていない。
0点:サンプル(バックシート)の表面保護膜にガラスクロスシートによる凹凸が転写されている。
(6)総合評価
分散液およびバックシートの各物性が評価された得点を合計し、以下の評価基準に基づいて総合評価した。
[評価基準]
◎:合計得点が1100点以上
○:合計得点が1000点以上1100点未満
△:合計得点が600点以上1000点未満
×:合計得点が600点未満
表1に示された結果から、各実施例で得られた分散液は、各比較例で得られた分散液と対比して、いずれも微細な粒子が分散しており、貯蔵安定性に優れ、さらに各実施例で得られたバックシートは、いずれも、各比較例で得られたバックシートと対比して、太陽電池として実際に使用される環境だけでなく、太陽電池モジュールを評価する際に検討される高温多湿の雰囲気中における促進試験を行なった場合であっても、バックシート基材に対する表面保護膜の密着性、耐折り曲げ性、電気絶縁性、耐候性および耐熱性が総合的に優れていることがわかる。
以上のことから、各実施例で得られた太陽電池モジュール用バックシート用コーティング剤は、いずれも、太陽電池モジュールおよび太陽電池に好適に使用することができることがわかる。