ドローバー機構8がクランプ作動してドローバー7が引動されると、工具1のテーパシャンク部5は主軸4に設けた取付係合部6に引き寄せ係合され工具1がクランプ固定される。
具体的には、旋削工具1Bをクランプ固定する場合、回転工具1Aと同様にドローバー機構8が作動してドローバー7が引動されるが、回転工具1Aの場合とは異なり、旋削工具1Bに設けた第一突き当て係止部28が、ラム3に設けた第一突き当て受部29に突き当たる。
しかし、本発明では、このドローバー機構8のドローバー7の引動付勢に対してベアリング部2が変形するようにベアリング部2の構造及び配置の設計によって、旋削工具1Bが前述のように拘束された状態において更なるドローバー7の引動付勢によって、ベアリング部2が損傷するのではなく回動クリアランスを介して変形し、このベアリング部2の変形によってドローバー7とは逆に主軸4が逆方向に微動する。
つまり、この主軸4の微動によって旋削工具1Bのテーパシャンク部5に対して主軸4の取付係合部6が弾圧当接することになり、よって旋削工具1Bは第一突き当て係止部28と第一突き当て受部29とが突き当たった状態で取付係合部6にテーパシャンク部5が弾着し、このクランプ状態を(クランプ引動位置)を例えばクサビ機構18等により係合ロックすれば、簡易な構成にして従来と同様なクランプ作動操作によって、(ドローバー7を引動すれば)自動的に旋削工具1Bを二面拘束状態で強固にクランプ固定でき、ベアリング部2にも損傷を与えずに大きなラジアル荷重に十分耐え得る強力な旋削加工が行える。
しかも、例えば前述のようにドローバー7の引動位置を係合ロックする構成とすれば、第一突き当て係止部28と第一突き当て受部29とが突き合ったドローバー7の引動位置を係合ロックするだけで、自動的に二面拘束がロックされることとなり、強固にクランプ固定できる。
更に本発明は、この二面拘束装置で更に補助クランプ装置30がクランプ作動することで第三突き当て係止部31が押圧され、この第三突き当て係止部31が第三突き当て受部32に突き当り三面拘束状態にクランプ固定できる。
即ち、例えばドローバー機構8により第一突き当て係止部28を第一突き当て受部29に突き当てた際の第三突き当て係止部31と第三突き当て受部32とのクリアランスを、補助クランプ装置30により第三突き当て係止部31を押圧した際にこの第三突き当て係止部31が第三突き当て受部32に突き当たるクリアランスとなるように調整設定した構成とし、補助クランプ装置30の退避していた補助押圧部35を旋削工具1Bに設けた第三突き当て係止部31を押圧する位置に配置させ、押圧駆動装置36を作動させてこの補助押圧部35により第三突き当て係止部31を押圧することで、この第三突き当て係止部31を前記クリアランス分だけ可動させて第三突き当て受部32に突き当て押圧することで、簡易な構成にして且つ簡単な調整で前記三面拘束によるクランプ固定が実現できることとなる。
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
ベアリング部2を介してラム3に対して回転自在に設けた主軸4の先端部(下端部)に、キーとキー溝を係合させて回り止め係合すると共に各工具1の基端部に設けたテーパシャンク部5を挿入係合する取付係合部6を設け、ドローバー7を引動することで前記テーパシャンク部5の基端突出部5Aをクランプすると共に前記取付係合部6に前記テーパシャンク部5を引き寄せ係合して工具1を前記主軸4に取り付け固定するドローバー機構8(クランプ機構)を前記ドローバー7の進退制御に基づいてクランプ作動・解除自在に設けるが、本実施例では、弾性部材10をドローバー7に被嵌配設し、圧縮後の復帰力によって主軸4に対してドローバー7を引動する(押し上げる)抗縮弾性部材とし、この弾性部材10による引動付勢により前記ドローバー7を引動して前記クランプ作動し、ドローバー駆動装置9として設けたエアシリンダ装置9の前記引動付勢に抗する押動駆動により進退駆動部11(プッシュロッド)を介して前記ドローバー7を戻動させて前記クランプ解除するように構成している。
即ち、本実施例では、このような弾性部材10によって主軸4に対するドローバー7への突張りによるバネ付勢を生じさせこの引動付勢によってドローバー7の主軸4に対する引動によりクランプ固定し、この引動付勢に抗してエアシリンダ装置9による押し戻し駆動によってクランプ解除するようにドローバー機構8を構成している。
そして本実施例では、このドローバー機構8の前記ドローバー7の進退制御に基づいて工具1をクランプ固定・解除自在に設けたターニングセンターの工具取付装置において、前記旋削工具1Bをクランプ固定する際の旋削工具1Bの第一拘束面となる第一突き当て係止部28が突き当たる第一突き当て受部29を前記ラム3の取付係合部6の下端開口部周辺に設けると共に、前記ドローバー7が引動された際前記第一突き当て係止部28が前記第一突き当て受部29に突き当り、この突き当たった状態で前記ドローバー7の引動位置が保持されることから前記ドローバー機構8のクランプ作動によるドローバー7への引動力によって前記ベアリング部2が回動クリアランスを介し変形して、第二拘束面となる前記取付係合部6のテーパ内面が前記テーパシャンク部5に弾圧当接するように前記ベアリング部2の構造及び配置を設定している。
そして更に本実施例では、前記ラム3に前記旋削工具1Bを押圧する補助クランプ装置30を設けると共に、この補助クランプ装置30によりこの旋削工具1Bの第三拘束面となる第三突き当て係止部31を押圧してこの第三突き当て係止部31が突き当る第三突き当て受部32を、ラム3の取付係合部6の下端開口部周辺に設けた構成としている。
更に説明すると、本実施例では、前記第一突き当て係止部28は、前記旋削工具1Bの基端ホルダー部33の上部に設けたテーパシャンク部5の下部に突出形成した係止フランジ部34の外周面を、やや奥細るテーパ外面に形成して設け、前記第一突き当て受部29は、前記ラム3の先端部(取付係合部6の開口部周辺)に、前記第一突き当て係止部28を突き当て支承して位置決めるやや奥細るテーパ受面を形成して設け、前記旋削工具1Bをクランプ固定する際、前記テーパシャンク部5が前記取付係合部6に圧接する前に前記第一突き当て受部29に前記第一突き当て係止部28が当接し、この位置決め拘束状態で前記ベアリング部2の変形によって前記テーパシャンク部5が前記取付係合部6のテーパ内面に弾圧当接するように構成している。
更に具体的に説明すると、本実施例のベアリング部2は、従来通り前記ラム3に対して固定するラム固定部2Aと、回転する主軸4に対して固定する主軸固定部2Bと、この間に転動自在に介在するベアリングボール2Cとから成る構成とするが、ドローバー7を引動して旋削工具1Bの第一突き当て係止部28がラム3の第一突き当て受部29に突き当たった状態で、前記ドローバー7への引動力によってベアリング部2の主軸固定部2Bがドローバー7の戻り方向に微動して相対的にドローバー7を引動微動し前記取付係合部6のテーパ内面に前記テーパシャンク部5を弾着して旋削工具1Bを二面拘束状態でクランプ固定するように構成している。
言い換えると、本実施例では、ラム3の下端部の取付係合部6の開口部周辺に設けたテーパリング部27のテーパ内面を前記第一突き当て受部29とし、この第一突き当て受部29に旋削工具1Bの基端ホルダー部33のテーパシャンク部5の下部に突出形成した係止フランジ部34の外周面に形成した第一突き当て係止部28がテーパ支承させて一旦位置決め係止し(この状態を単に引動保持するのでは、一面拘束にすぎず大きなラジアル負荷に耐えられないが、本実施例では旋削工具1Bをクランプ固定する際、前述のようにテーパシャンク部5が前記取付係合部6に圧接する前に前記第一突き当て受部29に前記第一突き当て係止部28が当接し、この位置決め拘束状態で)、更に弾性部材10によるドローバー7の引動付勢によってベアリング部2が変形し、この変形によって前記テーパシャンク部5が前記取付係合部6に弾圧当接するように構成している。
更に説明すれば、繰り返しになるが旋削工具1Bが前述のように拘束された状態において更なるドローバー7の引動付勢によって、ベアリング部2が損傷するのではなく回動クリアランスを介して変形し、このベアリング部2の変形によってドローバー7とは逆に主軸4が逆方向に微動する。
即ち、ドローバー7の引動位置は変わらないが主軸4が逆方向に微動することで、ドローバー7が相対的にもう少し相対引動(微動)することとなる。
つまり、この主軸4の微動によって旋削工具1Bのテーパシャンク部5に対して主軸4の取付係合部6のテーパ内面が弾圧当接することになり、よって旋削工具1Bは第一突き当て係止部28と第一突き当て受部29とが突き当たった状態で、取付係合部6にテーパシャンク部5が弾着して二面拘束状態でクランプ固定するように構成している。
また、旋削工具1Bをクランプ固定する際、クサビ係合部17にクサビ駆動装置16により移動駆動されるクサビ部15を係合して前記ドローバー7の引動位置を係合ロックするクサビ機構18を前記ドローバー機構8に設けている。
従って、第一突き当て係止部28と第一突き当て受部29とが突き合ったドローバー7の引動位置を係合ロックするだけで、自動的に二面拘束がロックされることとなり、強固にクランプ固定できるため、油圧装置等の大きな駆動力を有する油圧駆動源を用いずとも、エアシリンダ装置等によって構成可能となり、油圧レス化も図れ、省資源化をも図れる。
尚、ドローバー機構8のドローバー7の駆動機構は、どのように構成しても良く、本実施例のように弾性部材10の引動付勢で引動しても良いし、駆動機構で引動駆動しても良いが、本実施例では弾性部材10による引動によって旋削工具1Bの第一突き当て係止部28を第一突き当て受部29に係合支承した上で、この引動によってベアリング部2が変形し主軸4がドローバー7に対して下がってテーパシャンク部5を取付係合部6に弾着させるように構成している。
しかも、このドローバー7の引動位置が戻らないようにクサビ機構18によってクランプポジジョンを係合ロックすることで、ドローバー機構8の駆動源もクサビ機構18の駆動源もたとえエアシリンダ装置で構成しても、旋削工具1Bは二面拘束状態でクランプ固定され、この状態は戻り阻止状態に係合されるため大きなラジアル負荷にも十分に対抗できることとなる。
よって、ベアリング部2の構造及び配置構成を設定するだけで、自動的にテーパシャンク5と取付係合部6とが弾着して二面拘束となり、特別な操作なしに強固に旋削工具1Bをクランプ固定できる。
しかも、前述のようにクサビ機構18でドローバー7の戻動を阻止するように係合ロックするため、大きな引動力を要したり、この大きな引動力に抗する駆動力を要しないエアシリンダ装置でもドローバー機構8を構成でき、油圧レス化も図れることとなる。
また、ベアリング部2の設計においては、具体的には例えばベアリング部2の位置をラム3と主軸4の先端側に配置し、更にベアリングボール2Cの受面の設定等によって引動付勢されるドローバー7の引動が第一突き当て係止部28を第一突き当て受部29の突き当たりによってロックされたとき、主軸固定部2Bが下方へ微動するように変形可能に設計する。
そして本実施例では、前述のようにドローバー機構8により二面拘束状態でクランプ固定した状態で、更に補助クランプ装置30がクランプ作動することで第三突き当て係止部31が押圧され、この第三突き当て係止部31が第三突き当て受部32に突き当り三面拘束状態にクランプ固定できる構成としている。
即ち、ドローバー機構8により第一突き当て係止部28を第一突き当て受部29に突き当てた際の第三突き当て係止部31と第三突き当て受部32とのクリアランスを、補助クランプ装置30により第三突き当て係止部31を押圧した際にこの第三突き当て係止部31が第三突き当て受部32に突き当たるクリアランスとなるように調整設定した構成とし、補助クランプ装置30の退避していた補助押圧部35を旋削工具1Bに設けた第三突き当て係止部31を押圧する位置に配置(重ねる位置)させ、押圧駆動装置36を作動させてこの補助押圧部35により第三突き当て係止部31を押圧することで、この第三突き当て係止部31を前記クリアランス分だけ可動させて第三突き当て受部32に突き当て押圧させることで、旋削工具1Bを三面拘束により強固にクランプ固定でき、旋削能力を更に向上することができるように構成している。
具体的には、前記旋削工具1Bの前記基端ホルダー部33の上部テーパシャンク部5を設けるが、このテーパシャンク部5の下部に前記係止フランジ部34を設け、この係止フランジ部34の外周面を上部程やや細まるテーパ面に形成して前記第一突き当て係止部28を設けると共に、この係止フランジ部34を前記第三突き当て係止部31として、この係止フランジ部34の端部表面を前記補助クランプ装置30の補助押圧部35で押圧し、この係止フランジ部34の端部裏面を前記第三突き当て受部32に突き当て押圧する構成とし、この第三突き当て受部32は前記第一突き当て受部29に隣接させて設けた構成としている。
更に説明すれば、前記補助クランプ装置30は、前記旋削工具1Bに設けた前記係止フランジ部34の端部表面を押圧する補助押圧部35を、旋削工具1Bの取付に際して退避移動自在に設けると共に、この補助押圧部35を旋削工具1Bの係止フランジ部34の端部表面側に重なるように配設した後、この補助押圧部35を引き上げ駆動して係止フランジ部34の端部表面を上方へ押圧する押圧駆動装置36を設けた構成としている。
具体的には、ラム3の先端部に前記押圧駆動装置36を設けると共に、この押圧駆動装置36により上下駆動する前記補助押圧部35を設けて補助クランプ装置30を構成しているが、押圧駆動装置36は、例えば下動は空圧、上動は油圧で上下動ロッド37を駆動するシリンダ装置により構成し、この上下動ロッド37の下端部に補助押圧部35を設け、下動用加圧室38に例えばエアを注入することでこの空圧と自重により上下動ロッド37を下動させて、補助押圧部35が、ラム3の下端部に収納された状態から下方へ突出した状態に一旦下動するように構成している。
そして、退避可動装置39の作動により、例えばこの退避可動装置39の退避可動ロッド40が水平進退することで、これに枢着している前記補助押圧部35が90度回動して、退避位置から前記第三突き当て係止部31の下側に重合する位置に切り替え配置するように構成している。
具体的には、補助押圧部35の形状を前記ラム3の下端部に収納した位置及び一旦少し下動した位置では前記近接している第三突き当て係止部31(係止フランジ部34の端部)に重ならない切欠形状に設定し、この切欠形状(半円状)の補助押圧部35が退避可動装置39により90度回動することで第三突き当て係止部31の下側に重なるように配置する構成としている。
そして、この状態で今度は上動用加圧室41に例えば強力な引動力を生じさせるために油を流入させることで上下動ロッド37を油圧により強力に引き上げて補助押圧部35を引き上げ、その上側の第三突き当て係止部31(係止フランジ部34の端部表面(下面))を押圧し、前記クリアランス分可動させて、第三突き当て係止部31(係止フランジ部34の端部表面(上面))を前記第三突き当て受部32に突き当て圧接するように構成し、三面拘束状態でのクランプ固定を実現できる構成としている。
即ち、収納状態・退避状態から補助押圧部35を下動させてラム3の下端面から一旦突出させ、更にまだ退避位置にあるこの補助押圧部35を回動させて第三突き当て係止部31である旋削工具1Bの係止フランジ部34の端部表面上に重なるように位置させた上で、押圧駆動装置36により補助押圧部35を引動(上動)させて第三突き当て係止部31を上方へ押圧し、第三突き当て係止部31を第三突き当て受部32に突き当てて三面拘束を実現する構成としている。
また、この補助クランプ装置30によって第三突き当て係止部31が第三突き当て受部32に突き当るように前記クリアランスを調整設定するが、本実施例では、前記第一突き当て受部29を内面に形成したテーパリング部27に隣設するように、第三突き当て受部32を形成するための第三突き当て受部形成用リング部材42をテーパリング部27の奥側(上側)に設け、例えばこの第三突き当て受部形成用リング部材42の厚みを調整する。即ち例えば所定の厚みのリング部材42を選択して組み込むかその表面を逐次切削するなどして微調整した後組み込むかするなどして、二面拘束状態での第三突き当て係止部31と第三突き当て受部32とのクリアランスを調整設定し、二面拘束状態で更に補助クランプ装置30により補助押圧部35を押圧して、第三突き当て係止部31をこのクリアランス分可動させて第三突き当て受部32に突き当て圧接して容易に三面拘束が実現できるようにしている。
このように本実施例では、ラム3の先端部に補助クランプ装置30を設け、この補助クランプ装置30の補助押圧部35は収納・退避自在に設け、また、この補助クランプ装置30の補助押圧部35で旋削工具1Bの基端ホルダー部33に設けた係止フランジ部34の端部を押圧する構成とすることで、極めて汎用性にも優れ、しかも、この第三突き当て係止部31が突き当る第三突き当て受部32は、前述のように第一突き当て受部29を内面に設けたテーパリング部27に隣設させてラム3の取付係合部6の開口部付近に組み込む第三突き当て受部形成用リング部材42により形成するため、簡単な構成にして簡単な調整によってこの三面拘束が容易に実現でき、旋削工具1Bを極めて強固にクランプ固定できる極めて実用性に優れた画期的なターニングセンターの工具取付装置となる。
以下、更に本実施例のドローバー機構8について詳述する。
本実施例のドローバー機構8は、共用のドローバー機構8でありながら、単にこの駆動装置のシリンダポジションの変更によって、回転工具1Aの回転動作に支障なく、且つクサビ機構18のロック作用が確実に発揮され旋削工具1Bの加工時の大きな負荷に対しても例えばエアシリンダ装置による油圧レス化が実現できる小さな駆動源によっても十分対抗でき、確固にクランプ固定できる画期的なターニングセンターの工具取付装置となるように構成している。
即ち、ドローバー駆動装置9としてのシリンダ装置9を解除ポジションaに対して第一クランプポジションb,第二クランプポジションcとを有し、第一クランプポジションbではあえて係止部12と支承部13との間に回動許容間隙14を保有させて回転工具1Aをクランプ固定し、第二クランプポジションcでは、この回動許容間隙14分更に進退駆動部11を駆動して支承部13と係止部12とを当接させて負荷がかかったときは係止部12が支承部13に支承係止されてドローバー7の戻動が阻止される戻動阻止状態の位置で、前述したクランプ固定状態とした進退駆動部11をクサビ機構18により係合ロックするように構成して、共用のドローバー機構8でありながら、単にこの駆動装置のシリンダポジションの変更によって、回転工具1Aの回転動作に支障なく、且つクサビ機構18のロック作用が確実に発揮され旋削工具1Bの前述したクランプ固定をクサビロックし加工時の大きな負荷に対しても例えばエアシリンダ装置9による油圧レス化が実現できる小さな駆動源によっても十分対抗でき、確固にクランプ固定できる画期的なターニングセンターの工具取付装置となるように構成している。
具体的には、前記エアシリンダ装置9により駆動してドローバー7を押動駆動する進退駆動部11(プッシュロッド)に対して、主軸4と共に回転するドローバー7を回転自在に配設し、ドローバー7の基端部の進退駆動部11により押動されるドローバー駆動部7Aに係止部12を設けると共に、進退駆動部11に係止部12を支承してドローバー7の引動クランプ位置(クランプ固定位置)からドローバー7が戻動することを阻止する支承部13を設け、前記ドローバー7を前記弾性部材10による引動付勢により引動して回転工具1Aをクランプ固定した際、前記係止部12は前記支承部13に当接せずこの間に回動許容間隙14が保有されるように構成し、旋削工具1Bをクランプ固定する際には、エアシリンダ装置9により進退駆動部11を前記回動許容間隙14分引動して前記係止部12が前記支承部13に支承し得る戻動阻止状態となるように構成している。
また、この進退駆動部11を引動して戻動阻止状態とした状態で、進退移動自在に設けたクサビ部15をクサビ駆動装置16(油圧レス化のためのエアシリンダ装置16を採用)により移動駆動してクサビ係合部17に係合し前記ドローバー7の引動クランプ位置を係合ロックするクサビ機構18を備え、前記エアシリンダ装置9は、前記弾性部材10の引動付勢に抗して前記ドローバー7を押動駆動して回転工具1A及び旋削工具1Bをクランプ解除する解除ポジションaと、弾性部材10による引動付勢によって回転工具1Aをクランプ固定する第一クランプポジションbと、係止部12を支承部13に支承させた前記戻動阻止状態とすべく移動してこの位置を前記クサビ機構18により係合ロックした状態で旋削工具1Bをクランプ固定する第二クランプポジションcとを有する構成している。
具体的には、ドローバー7の進退移動と共に移動する係止部12のドローバー7の引動方向側に対向状態にして、支承部13を進退駆動部11(プッシュロッド)の下端に設け、回転工具1Aをクランプ固定する第一クランプポジションbでは、係止部12は支承部13に当接せず回動許容間隙14が保有され、旋削工具1Bをクランプ固定する第二クランプポジションcでは、回動許容間隙14分進退駆動部11が移動して係止部12に支承部13が当接し係止部12が支承部13に支承し得る戻動阻止状態となると共に、進退駆動部11に設けたクサビ係合部17にエアシリンダ装置9を採用したクサビ駆動装置16によりクサビ部15を移動して係合し戻動阻止状態となった進退駆動部11の引動位置が係合ロックされるようにドローバー機構8及びクサビ機構18を構成している。
従って、エアシリンダ装置9のロッド9Aの駆動により後述するてこ機構20を介して進退駆動部11(プッシュロッド)が駆動されてドローバー7の上端のドローバー駆動部7Aを押動してドローバー7を戻動させるように構成している。即ち、エアシリンダ装置9により進退駆動部11を押動駆動することでドローバー駆動部7Aを押動してドローバー7を弾性部材10に抗して戻動してクランプ解除するように構成している。また、回転工具1Aをクランプ固定する際には、エアシリンダ装置9の駆動解除あるいは引動方向への駆動によって弾性部材10の引動付勢によりドローバー駆動部7Aで進退駆動部11を押し戻しつつドローバー7を引動しこのドローバー7及びドローバー駆動部7Aがクランプ固定位置まで引動された後前記進退駆動部11を更に引動してエアシリンダ装置9を第一クランプポジションbとすることで、ドローバー駆動部7Aと進退駆動部11との間にも回動許容間隙22が保有されるように構成している。
即ち、ドローバー機構8のドローバー駆動装置9としてのエアシリンダ装置9を解除ポジションaから第一クランプポジションbとすることで回転工具1Aをクランプ固定するが、この場合前記ドローバー7は、進退駆動部11によって戻動した解除位置から弾性部材10による引動付勢によって引動される。即ち、ドローバー7は進退駆動部11を押し戻しつつ弾性部材10により引動され、回転工具1Aのテーパシャンク部5を取付係合部6に引き寄せ係合するクランプ位置まで達する。
このとき、ドローバー7と進退駆動部11とは当接したままであり、ドローバー7のドローバー駆動部7Aに設けた係止部12と進退駆動部11に設けた支承部13とは離間した状態にある。
この状態ですでにクランプ固定されているが、エアシリンダ装置9をこの第一クランプポジションbとすることで更に進退駆動部11はもう少し戻されてドローバー7と離間して回動許容間隙22が保有されると共に、進退駆動部11に設けた支承部13は逆に係止部12に近づくがこの係止部12と支承部13との間にもなおも回動許容間隙14が保有された状態となる。
従って、回転工具1Aをクランプ固定する第一クランプポジションbでは、ドローバー7は弾性部材10によりクランプ固定位置まで引動されるが、係止部12と支承部13とは回動許容間隙14が保たれて離間し、また更に進退駆動部11とドローバー7も離間し、シリンダ装置9やこれに駆動される進退駆動部11と回転する部材とは確実に離間した状態が確保されて、回転工具1Aをクランプ固定した主軸4(及びドローバー7)は接触することなく回転することができることとなる。
一方、旋削工具1Bをクランプ固定する場合は、回転工具1Aの場合とは異なり大きなラジアル荷重に耐えるように構成しなければならない。
そこで、本実施例では、大きな駆動力でクランプ固定できる大型の油圧シリンダ装置を用いなくても、小さな駆動力のエアシリンダ装置でも十分に対抗できるクサビ機構18を備え、このクサビ機構18によってドローバー7のクランプ固定位置を係合ロックする構成としている。
しかし、単にドローバーのクランプ固定位置を係合ロックしてもこのロック機構は働かない。即ち、ターニングセンターでは単なる旋盤とは異なり回転工具をもクランプ固定してこれを回転させる構成のため、ドローバー機構8の駆動機構と主軸4と共に回転するドローバー7とは縁を切った状態で回転自在に構成しなければならず、そのため回転工具1Aをクランプ固定する第一クランプポジションbでは前述のように係止部12と支承部13の間には回動許容間隙14が確保され、また進退駆動部11とドローバー7との間にも回動許容間隙22が確保されている。従って、この回動許容間隙14や回動許容間隙22を残したまま係合ロックしてもそのロック作用を果たし得ない。
そこで、本実施例では、旋削工具1Bをクランプ固定する場合は、第一クランプポジションbではなく更に進退駆動部11を戻し駆動した第二クランプポジションcとすることで進退駆動部11が更に引動されて今度は支承部13が係止部12に当接し、この係止部12が支承部13に支承係止した戻動阻止状態とした位置で、クサビ機構18のクサビ部15がクサビ係合部17に係合し、この戻動阻止状態が係合ロックされるように構成している。
従って、たとえ進退駆動部11を駆動制御するドローバー駆動装置9をエアシリンダ装置9で構成しても、ドローバー7を引動付勢する弾性部材10の付勢力が、この旋削工具1Bの加工時に生じる大きなラジアル荷重に対抗できるに十分な大きな付勢力でなくても、旋削工具1Bをクランプ固定したドローバー7のクランプ固定位置が、係止部12が支承部13に支承された戻動阻止状態となる進退駆動部11の位置で係合ロックされることで大きなラジアル荷重に十分耐えることとなる。
また、前記ドローバー機構8に備えたクサビ機構18は、具体的にはクサビ係合部17およびクサビ部15の押圧係合部分にクサビ部15の進退方向に対して傾斜したクサビテーパ面19を形成している。即ち、クサビ係合部17は、進退駆動部11(プッシュロッド)と連動して進退させるクサビ係合部形成部材17Aを進退駆動部11に固定し、この形成部材17Aと進退駆動部11の軸受部17Bとによって、クサビ部15が挿入進退できる凹部あるいは孔部を形成することで構成し、この係合部(凹部あるいは孔部)の内面の一方に前記テーパ面19を形成し他方をストレート面(本実施例では形成部材17Aにテーパ面19を形成し、不動の軸受部17Bの前記形成部材17Aと対向する端面をストレート面)とすると共に、クサビ部15の一方の外面は前記ストレート面をガイドとして進退するようにストレート面とし、対向側の外面には、前記テーパ面19とテーパ面接するテーパ面19を形成している。
従って、クサビ部15が移動してこのテーパ面19同志が押圧面接することでクサビ係合部17にクサビ部15が、単なる挿入嵌合ではなくクサビ係止してクサビロックするように構成している。
また、前記クサビ部15を移動して前記クサビ係合部17に押圧係合(クサビ係止)した際には、前記進退駆動部11の引動クランプ位置(第二クランプポジション位置)が係止保持されて旋削工具1Bはラム3に強固に取り付け固定され、前記クサビ部15を戻動させた際には、前記進退駆動部11をクランプ方向とは逆方向のクランプ解除方向に移動し得るクランプ作動・解除用スペースが生じるように前記クサビ係合部17並びに前記クサビ部15の形状を設定している。
具体的には、クサビ係合部形成部材17Aに軸受部17Bの端面との対向距離が変化することとなる段差部17Cを設けると共に、クサビ部15にはその先端面が押圧係合部となる突出部15Aを突出形成し、クサビ部15をクサビ駆動装置16により進退駆動部11の進退方向と直交する方向に引動駆動した際、このクサビ部15の突出部15Aが段差部17C上に乗り上がり、この段差部17C近傍に設けたテーパ面19と突出部15A先端面に設けたテーパ面19同志がテーパ面接してクサビ係止するように構成し、逆にクサビ駆動装置16によって反対方向に押圧駆動するとテーパ面19同志の係止が外れ、クサビ部15の突出部15Aは段差部17Cより落ち、このクサビ部15に対して、進退駆動部11に設けた形成部材17Aの移動が許容されるクリアランスが形成される構成とし、突出部15Aが段差部17Cから外れ落ちて押圧係合が解除された状態では、クランプ作動・解除用のスペースが確保される形状にクサビ係合部17とクサビ部15を設計している。
また、ドローバー機構8にはてこ機構20を設けている。即ち、エアシリンダ装置9の進退ロッド9Aでてこ機構20を介して進退駆動部11(プッシュロッド)を駆動する構成としている。具体的には、所定位置に枢着固定した支点部23を支点にして回動するてこ部24の一端部に力点部25を設け、この力点部25にはてこ駆動装置としての前記エアシリンダ装置9の進退ロッド9Aを連結し、前記てこ部24の他端部にはこの力点部25と支点部23との距離よりも支点部23からの距離が短い位置に作用部26を設け、この作用部26で前記進退駆動部11を進退するように構成して、前記シリンダ装置9の進退ロッド9Aの進退駆動が増大して前記進退駆動部11を進退駆動制御し得るてこ機構20を備えている。
更に説明すれば、本実施例では、てこ駆動装置としての前記エアシリンダ装置9の進退ロッド9Aの駆動(あるいはこの駆動の解除による弾性体の付勢によって)てこ部24の一端側の力点部25に力を付与すると、支点部23を支点にした回動力が作用部26に生じるが、支点部23との支点距離の違いによって作用部26には増大した回動力が生じ、この増大した力によって進退駆動部11を弾性部材10の引き動付勢に抗して押し下げるように構成している。
また、前記作用部26には、前記進退駆動部11の引動用押圧部11A,11Bに押圧当接する押圧部26Aを設けているが、本実施例では、この押圧部26Aが押圧して進退駆動部11を駆動する進退駆動部11の引動用押圧部11A,11Bを移動調整自在に設けて、前記てこ機構20による前記進退駆動部11の引動保持位置を微調整し得るように構成している。即ち、進退駆動部11に設ける引動用押圧部11Aを進退駆動部11に設けたネジ部に螺動自在に設け、この螺着した引動用押圧部11Aの下面や引動押圧部11Bの上面をてこ部24の作用部26で押し上げるが、この螺動調整した位置をダブルナット方式で固定する構成とし、進退駆動部11の引動位置を微調整できるようにしている。
また、この引動用押圧部11Aと対向した位置には、同様にダブルナット構造にして位置調整自在に設けている。
また、本実施例では、回転工具1Aをクランプ固定する際は、前記ドローバー駆動装置9として設けたシリンダ装置9を駆動して第一クランプポジションbから一旦前記第二クランプポジションcとした後、駆動若しくは駆動解除によりこの戻り弾性部材21の戻り付勢によって前記係止部12と前記支承部13との間に前記回動許容間隙14が保有される前記第一クランプポジションbとし、この第一クランプポジションbで前記シリンダ装置9の駆動媒体の供給・排出を遮断してこの第一クランプポジションbを保持し得るように構成している。
即ち、本実施例では、戻り弾性部材21でてこ部24の力点側を支承して第二クランプポジションcへ移動する際戻り付勢が生じるように構成し、無負荷では常に回動許容間隙14等が保持される第一クランプポジションbとなるように構成しているが、シリンダ装置9が使用を繰り返しているうちに、抵抗が少なくなり、また、戻り弾性部材21が弱まる等すると、シリンダポジションがふらつき回動許容間隙14を確保したはずの第一クランプポジションbが保持できない(回動許容間隙14が十分に確保できない)おそれがある。そこで本実施例では、戻り弾性部材21を設けて第一クランプポジションbを保持するものの、第一クランプポジションbとする場合には、一旦第二クランプポジションcとした後に第一クランプポジションbとしそこでシリンダ装置9のエアをシャットしてこれを確実に保持するように構成している。
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。