JP6250623B2 - 取引管理システム、取引管理方法及び取引管理プログラム - Google Patents
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Description
また、証券会社が顧客からの委託注文を取り扱う場合、顧客が証券会社の電子取引執行システムを用いて、取引所に直接注文を出す形態もある。この場合には、証券会社は顧客へアルゴリズムトレードのプログラムを提供し、顧客がこのプログラムを利用して取引を行なう。
また、最近では、多層構造のニューラルネットワーク(ディープニューラルネットワーク)の機械学習(ディープラーニング)を利用した人工知能(AI)も検討されつつある。ディープラーニングにおいては、概念を認識する特徴量と呼ばれる変数を発見し、この特徴量を用いて、経済指標等の予測を行なうことができる(例えば、非特許文献2,3参照。)。
また、従来の株価変動の予測は、トレーダの裁量に拠る部分が多く、判断材料の他、選択した手法、結果の解釈、精神状態等様々な要素の影響を受ける可能性がある。従って、従来の株価変動の予測は、信頼性が低くなる可能性があり、アルゴリズムトレードにおいては、相場変動リスクを取らない手法が多い。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、この目的は、効率的かつ的確に株価を予測し、アルゴリズムトレード戦術の執行成績の向上を支援するための取引管理システム、取引管理方法及び取引管理プログラムを提供することにある。
・上記取引管理システムにおいては、前記変動幅候補には、変動幅範囲内、変動幅範囲外の上昇、変動幅範囲外の下落の何れか一つを選択することが好ましい。これにより、機械学習に用いるネットワークの出力層を設定することができる。
図1に示すように、担当者端末10、取引管理システム20、注文管理発注システム30を用いる。
本実施形態では、ビジネスロジックとして、VWAPを用いて取引を行なう。具体的には、ロジック部20Bは、後述する予測制御部21が予測した株価に基づいて、取引処理部20Aに対して、取引の執行を指示する処理を実行する。本実施形態では、顧客の注文情報(親注文)の数量を、過去の出来高分布に応じて分割して、分散して注文(子注文)を行なうVWAP取引を実行する。このため、ロジック部20Bは、子注文を行なう判断タイミング毎に注文数量に関する情報が設定された発注スケジュールを記憶するメモリを備えている。そして、ロジック部20Bは、取引処理部20Aに対し、発注・キャンセル・訂正命令を出す。
取得部210は、ディープラーニングや株価予測に用いる各種情報や、顧客の注文情報を、データストア20Cから取得する処理を実行する。この取得部210は、データストア20Cから各種情報を、ディープラーニングに適したフォーマットに変換(事前データ加工)したデータセットを生成する。そして、取得部210は、生成したデータセットをローカルディスクに記録する。このデータセットには、学習用、検証用、予測精度の確認用が含まれる。
予測部213は、ディープビリーフネットワーク(DBN)を用いて、株価を予測する処理を実行する。
(設定決定処理)
まず、図2を用いて、設定決定処理を説明する。ここでは、適切な予測期間・閾値を決定する。
この場合、注文管理発注システム30において取り扱われる銘柄を、順次、処理対象として特定し、以下の処理を繰り返す。
以上の処理を、処理対象のすべての銘柄について終了するまで繰り返す。
新たな学習用データセットを与える度に、以下の処理を実行する。
まず、入力層・第一隠れ層間に構成されるRBM(Restricted Boltzmann Machine)をCD(Contrastive Divergence)法で学習する。
CD法では、入力データからRBMの確率分布の式に基づいて第一隠れ層のデータを求める。この際、RBMのバイアス・ウエイトなどの確率分布式の確定数は更新される。第一隠れ層のデータを、RBMに逆に伝播(第一隠れ層から入力層に伝播)させることで、入力値の新しいサンプルを生成する。すなわち、確率分布の計算式を答えから逆算することになる。これを、再度、入力データとして、RBMの確率分布式より第一隠れ層の出力データを求め、またRBMのバイアス・ウエイトなどを更新(微調整)する。
これを隠れ層が存在する階層数に応じて繰り返す。
そして、最後の隠れ層までの学習が終わった時点で、RBMの学習を完了する。
最後に、ローカルディスクに格納された検証用データセットを用いて、1度だけ全RBMのウエイトとバイアスを入力層のデータから出力層(最終的な答え)を正しく導き出せるように微調整する。
これにより、1つの学習用データセット当たりの処理を終了する。
そして、以上の処理を、学習用データセットの数(例えば、営業日数×銘柄数×時点数×ケース数)だけ、繰り返す。
次に、図3を用いて、取引処理を説明する。ここでは、発注スケジュールに応じて、組み合わせ(予測期間、閾値)を用いて算出した株価予測値に基づいて、注文管理発注システム30における取引を支援する。
予測株価は「レンジ内」と判定した場合(ステップS2−4において「YES」の場合)、取引管理システム20は、執行コストの期待値が最小となる指値発注処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、取引管理システム20のロジック部20Bは、株式の売買に伴って発生する執行コストの期待値を算出し、この執行コストが最小となる値を算出する。ここでは、直近の所定期間のボラティリティ及びトレンドを考慮し、執行コストを算出し、約定時刻(今回の予測期間の終了)までの残り時間に合わせて、この執行コストが最小となる指値を算出する。そして、ロジック部20Bは、取引処理部20Aを介して、算出した値を指値として、注文管理発注システム30に注文指示を送信する。
(1)本実施形態では、取引管理システム20の予測制御部21は、設定決定処理により、ディープラーニングに用いる各種設定を決定する。これにより、判断条件が多く、同一条件のサンプル数が少ない場合にも、予測全体の期待値を高めることができる。更に、複数階層の機械学習(ディープラーニング)を用いることにより、株価に影響を与える多様な要因を考慮して、的確な予測を行なうことができる。そして、アルゴリズムトレード戦術の執行成績を向上させることができる。
・上記実施形態では、VWAP取引にディープラーニングを適用したが、適用対象はVWAP取引に限定されるものではない。他の手法を用いて、株価を予測して取引を行なう場合にも用いることができる。
・上記実施形態では、ディープビリーフネットワーク(DBN)を用いたが、機械学習方法は、これに限定されるものではない。
・上記実施形態では、取引処理において、買い注文を取得した場合を想定した。売り注文を受けた場合において、予測株価は「上昇」と判定した場合(ステップS2−6において「上昇」の場合)、予測期間を待ってから買い気配に約定処理を実行する。また、予測は「下落」と判定した場合(ステップS2−6において「下落」の場合)、取引管理システム20の予測制御部21は、買い気配に即約定処理を実行する。
Claims (7)
- 過去の株価情報を用いて機械学習を行なう制御部を備えた取引管理システムであって、
前記制御部が、
複数の銘柄について、予測期間候補及び株価の変動幅候補の組み合わせ毎に、
少なくとも板情報時系列データを含む株価の変動履歴を含むデータセットを用いて、前記予測期間候補後の株価について、2階層以上の隠れ層からなる機械学習を用いてディープビリーフネットワークにより予測変動幅を計算し、
前記組み合わせ毎に、予測期間候補後の実際の株価の変動幅候補と予測変動幅とを比較し、
前記予測期間候補及び変動幅候補の組み合わせの中で、予測精度が高い予測期間及び変動幅の組み合わせを特定し、
注文情報を取得した場合、前記注文情報に関連するデータセットを前記ディープビリーフネットワークの入力層に用いて、前記特定した組み合わせの予測期間後の予測株価について、前記特定した組み合わせの変動幅との関係を算出し、
前記予測期間後の変動幅との関係に基づいて、前記注文情報の取引執行タイミングを決定することを特徴とする取引管理システム。 - 前記予測精度を、正解率の平均値及び標準偏差に基づいて算出することを特徴とする請求項1に記載の取引管理システム。
- 前記変動幅候補には、変動幅範囲内、変動幅範囲外の上昇、変動幅範囲外の下落の何れか一つを選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の取引管理システム。
- 注文情報を取得し、
前記予測株価が変動幅範囲内となった場合には、執行コストに基づく指値注文を行ない、
前記予測株価が変動幅範囲外の上昇となった場合には、買い注文について速やかに約定を行ない、売り注文について前記予測期間の待機を行ない、
前記予測株価が変動幅範囲外の下落となった場合には、買い注文について前記予測期間の待機を行ない、売り注文について速やかに約定を行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の取引管理システム。 - 前記注文情報の全体数量を分割した子注文を生成し、前記各子注文の取引執行タイミングを、前記変動幅との関係に基づいて決定することを特徴とする請求項4に記載の取引管理システム。
- 過去の株価情報を用いて機械学習を行なう制御部を備えた取引管理システムを用いて株価予測を行なう方法であって、
前記制御部が、
複数の銘柄について、予測期間候補及び株価の変動幅候補の組み合わせ毎に、
少なくとも板情報時系列データを含む株価の変動履歴を含むデータセットを用いて、前記予測期間候補後の株価について、2階層以上の隠れ層からなる機械学習を用いてディープビリーフネットワークにより予測変動幅を計算し、
前記組み合わせ毎に、予測期間候補後の実際の株価の変動幅候補と予測変動幅とを比較し、
前記予測期間候補及び変動幅候補の組み合わせの中で、予測精度が高い予測期間及び変動幅の組み合わせを特定し、
注文情報を取得した場合、前記注文情報に関連するデータセットを前記ディープビリーフネットワークの入力層に用いて、前記特定した組み合わせの予測期間後の予測株価について、前記特定した組み合わせの変動幅との関係を算出し、
前記予測期間後の変動幅との関係に基づいて、前記注文情報の取引執行タイミングを決定することを特徴とする取引管理方法。 - 過去の株価情報を用いて機械学習を行なう制御部を備えた取引管理システムを用いて株価予測を行なうためのプログラムであって、
前記制御部を、
複数の銘柄について、予測期間候補及び株価の変動幅候補の組み合わせ毎に、
少なくとも板情報時系列データを含む株価の変動履歴を含むデータセットを用いて、前記予測期間候補後の株価について、2階層以上の隠れ層からなる機械学習を用いてディープビリーフネットワークにより予測変動幅を計算し、
前記組み合わせ毎に、予測期間候補後の実際の株価の変動幅候補と予測変動幅とを比較し、
前記予測期間候補及び変動幅候補の組み合わせの中で、予測精度が高い予測期間及び変動幅の組み合わせを特定し、
注文情報を取得した場合、前記注文情報に関連するデータセットを前記ディープビリーフネットワークの入力層に用いて、前記特定した組み合わせの予測期間後の予測株価について、前記特定した組み合わせの変動幅との関係を算出し、
前記予測期間後の変動幅との関係に基づいて、前記注文情報の取引執行タイミングを決定する手段として機能させることを特徴とする取引管理プログラム。
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