JP2003242325A - 購入意思決定支援装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 物資の安価な購入を実現すると共に、相場解
析に熟練していなくても油脂原料の購入をする。 【解決手段】 価格変動予測部３により、将来の複数時
点での価格についての予測を行い、予測された価格に基
づき将来の複数の所定時点の価格が予測した時点におけ
る価格に対し上昇若しくは低下の何れかになるかの傾向
を求め、求めた将来の複数の所定時点での傾向に基づい
て将来の所定時点で購入する商品の注文を行うか否かを
判定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、様々な要因によっ
て価格相場が変動する物を調達するに際して数ヶ月先の
価格を予測する購入意思決定支援装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、物資を調達するに際して、万
一需要が逼迫したときも一定量を確保し、営業の安定に
資するため、買い手は数ヶ月後の需要を予測して発注を
する。これを先物買いと呼び、広く行われている。価格
は数ヶ月後の市場価格を売り手、買い手の双方が予測し
つつ、交渉により決める。この為、買い手は相場解析に
熟練している必要があり、長年の経験と勘に基づいて発
注のタイミングを決定する。この際、相場動向を予測す
る一手段として、価格変動チャートを解析（例えば、ロ
ーソク足や移動平均線を用いる解析手法等）することが
広く行われている。この先物買いは、特に食品材料や油
脂原料などの農業産品分野で広く行われいる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この先物買いでは、需
要が緩んで価格が下がった場合に結果として高く買うこ
とになる。このような経済的損失（リスク）を出来る限
り小さくするための試みとして、通常は必要と予想され
る量の全量を一度に先物買いするのでなく、相場を見な
がら複数回に分けて発注することが行われている。将来
の価格が完全に予測できるのであれば、先物買いのリス
クはなくなり、複数回に分けて発注する必要もなくなる
が、現状では相場解析に熟練した買い手であっても価格
予測の精度は不十分である。

【０００４】本発明は、上述した実情に鑑みて提案され
たものであり、物資の安価な購入を実現し、相場解析に
熟練していなくても先物買い、特に油脂原料の購入でき
る購入意思決定支援装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに、請求項１に係る購入意思決定支援装置は、将来の
複数時点での価格についての予測を行う手段と、予測さ
れた価格に基づき将来の複数の所定時点の価格が予測し
た時点における価格に対し上昇若しくは低下の何れかに
なるかの傾向を求める手段と、求めた将来の複数の所定
時点での傾向に基づいて将来の所定時点で購入する商品
の注文を行うか否かを判定する手段とを備える。

【０００６】請求項２に係る購入意思決定支援装置で
は、将来の複数時点での価格についての予測を行う手段
と、予測された価格に基づき将来の複数の所定時点の価
格が予測した時点における価格に対し上昇若しくは低下
の何れかになるかの傾向を求める手段と、求めた将来の
複数の所定時点での傾向に基づいて将来の所定時点で購
入する商品の注文を行うか否かを判定する手段と、判定
に基づく注文信号を送信する送信手段とを備える。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明は、例えば図１に示すよう
に構成された油脂原料購入意思支援装置に適用される。
この油脂原料購入意思支援装置は、牛脂、大豆油、菜種
油、パーム油脂、パーム核油、ヤシ油などの油脂原料の
うち、特に、パーム油脂の価格を予測して購入するもの
である。

【０００８】この油脂原料購入意思支援装置は、様々な
変動パラメータを格納する変動パラメータ記憶部１と、
第１チャート分析記憶部２と、変動パラメータ及び価格
変動チャートに基づくパーム油脂の価格変動を予測する
価格変動予測部３と、価格変動予測部３による予測結果
に従って購入月を決定する購入月決定部４と、第２チャ
ート分析記憶部５と、第２チャート分析記憶部５に記憶
された価格変動チャートに従ってチャート解析をするチ
ャート解析処理部６と、購入日決定部７と、発注処理部
８とを備える。

【０００９】図２に、パーム油脂、牛脂、パーム核油、
ヤシ油の価格、相場が変動する要因および対応する変動
パラメータの種類を示す。本例において、変動パラメー
タ記憶部１は、パーム油脂についての変動パラメータを
格納している。この変動パラメータは、需給バランス
面、経済面、政治面、天候面に応じた各項目ごとに設定
されて記憶されている。この変動パラメータは、例えば
購買担当者などにより入力されて、随時更新される。

【００１０】第１チャート分析記憶部２には、年月に対
するパーム油脂の月足価格Ａ、３ヶ月移動平均値Ｂ、１
２ヶ月移動平均値Ｃ、乖離幅Ｄの変動を記憶している。
３ヶ月移動平均値Ｂは月足価格Ａを３ヶ月間で平均して
得た値であり、１２ヶ月移動平均値Ｃは月足価格Ａを１
２ヶ月間で平均して得た値であり、乖離幅Ｄは３ヶ月移
動平均値Ｂから１２ヶ月移動平均値Ｃを減算して得た値
である。

【００１１】価格変動予測部３は、変動パラメータ記憶
部１から変動パラメータを入力すると共に、第１チャー
ト分析記憶部２からチャートに含まれる値を入力して、
２ヶ月先積みのパーム油脂の価格、及び／又は３ヶ月先
積みのパーム油脂の価格の変動傾向を予測し、予測結果
を購入月決定部４に出力する。

【００１２】購入月決定部４は、価格変動予測部３から
の価格変動傾向（トレンド）の予測結果に基づいて購入
月を決定する。購入月決定部４は、２ヶ月先積みのパー
ム油脂価格が略同等傾向か、或いは上昇傾向にあるとき
には、従来法と同様に２ヶ月先積みパーム油脂の購入を
決定する。一方、２ヶ月先積みパーム油脂価格が下降傾
向にあるときには、パーム油脂の購入を１ヶ月先送りす
る決定を下す。

【００１３】次に２ヶ月先積みパーム油脂価格が略同等
傾向か、あるいは上昇傾向にあり、かつ３ヶ月先積みの
パーム油脂価格が上昇傾向にあるときには、３ヶ月先積
みパーム油脂を１ヶ月先取りして購入する決定をし、そ
れ以外の場合には、３ヶ月先積みパーム油紙の購入は保
留する決定を下す。また、２ヶ月先積みパーム油脂価格
が下降傾向にある場合には、３ヶ月先積み価格の傾向如
何に拘わらず、３ヶ月先積みパーム油脂の購入は保留す
る決定を下す。従って、２ヶ月先積み及び３ヶ月先積み
パーム油脂価格の傾向如何によっては、ひと月で２ヶ月
あるいは３ヶ月分のパーム油脂を購入する決定がなされ
ることもあり得る。

【００１４】第２チャート分析記憶部５は、図３に示す
ように、月日に対するパーム油脂の日足価格Ａ、１５日
移動平均値Ｂ、４５日移動平均値Ｃ、乖離幅Ｄの変動を
記憶している。

【００１５】チャート解析処理部６は、第２チャート分
析記憶部５に格納された日足価格Ａを入力し、入力され
た日足価格Ａを解析して解析結果を購入日決定部７に出
力する。

【００１６】購入日決定部７は、購入月決定部４からの
購入月と、チャート解析処理部６での解析結果に基づい
て、パーム油脂の購入月日を決定して、発注処理部８に
出力する。

【００１７】発注処理部８は、決定された購入月日にパ
ーム油脂を購入するための発注処理をする。

【００１８】つぎに、価格変動予測部３及び購入月決定
部４によるシミュレーション内容について説明する。

【００１９】価格変動予測部３は、図４に示すような学
習機能を有するニューラルネットワークコンピュータに
より構成した。なお、図４は、ニューラルネットワーク
コンピュータを説明するための図であり、実際の価格変
動予測部３とは異なる。価格変動予測部３は、複数の入
力ユニット１１からなる入力層１０、複数の中間ユニッ
ト２１からなる中間層２０、複数の出力ユニット３１か
らなる出力層３０、入力ユニット１１と中間ユニット２
１とを結合する第１結合荷重部４１、中間ユニット２１
と出力ユニット３１とを結合する第２結合荷重部５１か
ら構成される。各ユニットは他のユニットと入出力結線
で結んだ構造となっており、入力信号の和があるレベル
を越えると出力信号が生ずる。各ユニットは、価格変動
予測部３での処理単位であり、処理をして得た値を後段
のユニット又は購入月決定部４に出力する。ここで、所
定の処理とは変動パラメータ及びチャートに含まれる値
に基づいて価格傾向を予測して予測結果を得る処理であ
る。

【００２０】本例において、価格変動予測部３は、図４
に示すように３階層型、層内結合、帰還結合なしの構造
とされ、入力ユニット１１が２０個（第１入力ユニット
１１〜第２０入力ユニット１１）、中間ユニット２１が
５個、出力ユニット３１が１個で構成される。

【００２１】第１入力ユニット１１〜第６入力ユニット
１１には各月が入力され、第７入力ユニット１１にはパ
ーム油脂の現在価格が入力され、第８入力ユニット１１
にはパーム油脂の１年前の価格が入力され、第９入力ユ
ニット１１にはパーム油脂と競合関係にある大豆油の現
在価格が入力され、第１０入力ユニット１１〜第１３入
力ユニット１１にはパーム油脂の生産量、輸出量、在庫
量が入力され、第１４入力ユニット１１及び第１５入力
ユニット１１には生産地の降雨量すなわちマレー降雨量
及びサバ降雨量が入力され、第１６入力ユニット１１か
ら第１８入力ユニット１１には１ヶ月間の価格変化率、
２ヶ月間の価格変化率、３ヶ月間の価格変化率が入力さ
れ、第１９入力ユニット１１及び第２０入力ユニット１
１には３ヶ月移動平均の価格及び１２ヶ月移動平均の価
格が入力される。

【００２２】価格変動予測部３は、このようなニューラ
ルネットワークコンピュータを備えることで、各入力ユ
ニット１１に対応したパラメータが２０種類入力され、
５つの中間ユニット２１を介して１つの出力ユニット３
１から予測変化率を出力する。

【００２３】また、本例では、各種のデータが［０，
１］の実数値に正規化されて入力ユニット１１に入力さ
れ、出力ユニット３１から２ヶ月或いは３ヶ月後の予測
価格変化率を出力する。出力ユニット３１からの出力値
は「０」〜「１」の間となる。価格変動予測部３は、出
力値が０．５であるときには予測価格変化率が「０．０
％」であり価格傾向がほぼ同等であると判定し、出力値
が０．９であるときには予測価格変化率が「＋２０％」
であり価格傾向が上昇傾向であると判定し、出力値が
０．１であるときには予測価格変化率が「−２０％」で
あり価格傾向が下降傾向であると判定して、図５（ａ）
〜（ｄ）に示すようにトレンドを予測する。

【００２４】価格変動予測部３は、例えば１９９８年１
月に３月又は４月の価格傾向（トレンド）が上昇傾向、
下降傾向、略同等傾向にあるかを予測して（図５
（ａ）、（ｂ））、購入月決定部４は３月及び４月の価
格傾向が連続して上昇傾向を示したため、３月積みのパ
ーム油脂に加え、４月積みで購入を計画している２５０
トンのパーム油脂を１ヶ月先取りして購入する決定を下
す。

【００２５】２月、３月も１月と同様の価格傾向が予測
されたため、購入月決定部４は、２月に５月積み分及び
３月に６月積み分のパーム油脂をそれぞれ先取りして購
入するように購入月情報を作成する。

【００２６】更に、価格変動予測部３は、４月に６月、
７月、又５月に７月、８月の価格傾向を予測している
が、いずれも２ヶ月先の価格傾向は下降傾向を示してい
ることから、購入月決定部４は４月における６月積み
分、及び５月における７月積み分のパーム油脂の購入を
１ヶ月先送りする決定を下すことになる。しかし、６月
積みに相当するパーム油脂は既に３月に購入しているた
め、４月のパーム油紙購入は結果として零になる。

【００２７】また、価格変動予測部３は、６月に８月、
９月の価格傾向が連続して上昇傾向を示したため、先送
りされた７月積み分及び通常買い付けを行う８月積み分
に加え、９月積み分のパーム油脂を１ヶ月先取りし、計
７５０トンを購入する決定を下す。

【００２８】７月以降、前述の手法に従い、価格変動予
測部３の価格傾向に基づいた購入月決定部４の決定を受
けたパーム油脂の購入を１２月まで実施する。

【００２９】このように、価格変動予測部３により各月
の価格傾向を予測して、購入月決定部４により購入月を
決定すると、１年間の合計購入金額（試行）が１，８３
９，７５０＄となる（ｇ）。一方、毎月に、２ヶ月先の
パーム油脂を所定量（２５０トン）だけ購入する従来法
での購入の場合には（ｅ）、１，８３９，７５０＄とな
り（ｇ）、差額が４４，５００＄となる。したがって、
本発明の油脂原料購入意思支援装置によれば、従来法で
の購入に比較して、安価にパーム油脂を購入できる。ま
た、この油脂原料購入意思支援装置によれば、油脂原料
の安価な購入を実現すると共に、各種変動パラメータ及
びチャートを収集するだけで良いので相場解析に熟練し
ていなくても油脂原料の購入をすることができる。

【００３０】また、この油脂原料購入意思支援装置によ
れば、２ヶ月先積みのみのトレンドを予測して購入月を
決定する場合のみならず、３ヶ月先積みのトレンド（図
５（ｃ）、（ｄ））を用いても良く、更には、２ヶ月先
積みのトレンド及び３ヶ月先積みのトレンドを組み合わ
せて用いて購入月を購入月決定部４で決定しても良い。

【００３１】なお、上述の実施の形態は本発明の一例で
ある。このため、本発明は、上述の実施形態に限定され
ることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明
に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に
応じて種々の変更が可能であることは勿論である。

【００３２】

【発明の効果】本発明に係る購入意思決定支援装置によ
れば、油脂原料の安価な購入を実現すると共に、相場解
析に熟練していなくても油脂原料を購入させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した油脂原料購入意思支援装置の
構成を示すブロック図である。

【図２】変動パラメータ記憶部に格納された変動パラメ
ータの種類を示す図である。

【図３】第１チャート分析記憶部に格納されたチャート
を示す図である。

【図４】購入月予測部に備えられるニューラルネットワ
ークコンピュータについて説明するための図である。

【図５】購入月予測部によるトレンド及び購入月決定部
による購入月の決定結果を説明するための図である。

【符号の説明】

１ 変動パラメータ記憶部 ２ 第１チャート分析記憶部 ３ 価格傾向予測部 ４ 購入月決定部 ５ 第２チャート分析記憶部 ６ チャート解析処理部 ７ 購入日決定部 ８ 発注処理部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉野 浩二 東京都墨田区文花２丁目１−３ 花王株式 会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 将来の複数時点での価格についての予測
   を行う手段と、 予測された価格に基づき将来の複数の所定時点の価格が
   予測した時点における価格に対し上昇若しくは低下の何
   れかになるかの傾向を求める手段と、 求めた将来の複数の所定時点での傾向に基づいて将来の
   所定時点で購入する商品の注文を行うか否かを判定する
   手段とを備える購入意思決定支援装置。
2. 【請求項２】 将来の複数時点での価格についての予測
   を行う手段と、 予測された価格に基づき将来の複数の所定時点の価格が
   予測した時点における価格に対し上昇若しくは低下の何
   れかになるかの傾向を求める手段と、 求めた将来の複数の所定時点での傾向に基づいて将来の
   所定時点で購入する商品の注文を行うか否かを判定する
   手段と、 判定に基づく注文信号を送信する送信手段とを備える購
   入意思決定支援装置。