本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付される図面とともに詳細に後述されている実施形態を参照すれば、明らかになるであろう。しかし、本発明は、以下において開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形で実現されるはずであり、単に、本実施形態は、本発明の開示が完全なようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有した者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇により定義されるだけである。
本発明に係る構成要素を解釈する際において、別の明示的な記載がなくても、誤差範囲を含むものと解析する。位置関係に対する説明の場合、例えば、「〜上に」、「〜上部に」、「〜下部に」、「〜側に」などで2つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」が使用されない限り、2つの部分間に1つ以上の他の部分が位置することもできる。
例えば、第1、第2などが様々な構成要素を述べるために使用されるが、これらの構成要素は、これらの用語により制限されない。これらの用語は、単に1つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。したがって、以下において言及される第1の構成要素は、本発明の技術的思想内で第2の構成要素でありうる。
明細書全体にわたって同一参照符号は、同一構成要素を表す。図面に示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために図示されたものであり、本発明が、図示された構成の大きさ及び厚さに必ず限定されるものではない。
本発明の種々の実施形態の各々の特徴が部分的にまたは全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、技術的に様々な連動及び駆動が可能であり、各実施形態が互いに対して独立的に実施可能でありうるし、相関関係により、共に実施可能でありうる。
本明細書において電気活性フィルムは、電圧が印加されることにより収縮または膨脹して、振動感を伝達できるフィルムを意味する。本明細書において接触感応素子は、接触感応素子に対するユーザの接触に対応してユーザに触覚フィードバックを伝達できる素子を意味する。
以下、添付された図面を参照して本発明の様々な実施形態を詳細に説明する。本明細書において、”*”は同一であるか、相違した繰り返し単位または化学式と結合される部分を意味する。
図1は、本発明の一実施形態に係る接触感応素子の構造を説明するための概略的な断面図である。図1に示すように、本発明の一実施形態に係る接触感応素子100は、電気活性フィルム110、電気活性フィルム110の下部に配置された第1の電極121、及び電気活性フィルム110の上部に配置された第2の電極122を備える。
電気活性フィルム110は、第1の電極121及び第2の電極122の間に配置されて、電気的な刺激によって振動または撓みを誘発する役割をする。電気活性フィルム110は、電気活性を有するポリマーであるシロキサンポリマーからなり、具体的には、主鎖の一部にフルオロ基(fluoro group)またはクロロ基(chloro group)が結合されたシロキサンポリマーからなる。
本発明の電気活性フィルム110をなすシロキサンポリマーは、電気陰性度の高いフルオロ基またはクロロ基がシロキサンポリマーの主鎖に結合された構造を有しており、電気活性フィルム110内に分極現象が生じる。これにより、電気活性フィルム110は向上した誘電率を有する。
本発明のシロキサンポリマーは、従来の誘電性エラストマーとして使用されるポリシロキサンと類似した構造を有するので、優れた光透過率及び光学特性を有する。さらに、本発明のシロキサンポリマーは、主鎖を構成するSiの一部にフルオロ基またはクロロ基が結合されているため、強誘電性ポリマーの特性を有することができる。より具体的には、電気活性フィルム110に所定の大きさ以上の外部電場を加えると、シロキサンポリマーのSi−FまたはSi−Cl双極子が電場を加えた方向に選択的に配列される。これにより、電気活性フィルム110の分極度が向上する。また、外部電場を除去しても、Si−FまたはSi−Cl双極子が本来の状態に戻らない残留分極度(remanent polarization)が存在するようになる。すなわち、本発明のシロキサンポリマーは、ポリビニリデンフルオライド(poly vinylidenefluoride、PVDF)のような強誘電性ポリマーと類似した性質を有する。したがって、本発明のシロキサンポリマーは、従来の誘電性エラストマーに比べて高い誘電率を有する。
本発明の主鎖の一部にフルオロ基またはクロロ基が結合されたシロキサンポリマーは、末端がビニル基に置換されたポリシロキサンとシリコン系架橋剤(Crosslinker)との架橋結合により製造され得る。このとき、最終的なシロキサンポリマーの主鎖に結合されたフルオロ基またはクロロ基は、シリコン系架橋剤の主鎖から導かれた繰り返し単位に存在する。より具体的には、本発明の主鎖にフルオロ基またはクロロ基が結合されたシロキサンポリマーは、i)末端がビニル基に置換されたポリシロキサンと主鎖に水素またはヒドロキシ基を含むシリコン系架橋剤とを架橋結合させた後、水素またはヒドロキシ基をフルオロ基またはクロロ基に置換して製造され得る、あるいはii)末端がビニル基に置換されたポリシロキサンと主鎖の一部にフルオロ基またはクロロ基が結合されたシリコン系架橋剤とを架橋結合して製造され得る。
このとき、末端がビニル基に置換されたポリシロキサンは、従来の誘電性エラストマーの性質を有しているため、本発明のシロキサンポリマーに誘電性エラストマーの特性を付与する。さらに、主鎖の一部に結合されたフルオロ基またはクロロ基は、電気陰性度が高いので、本発明のシロキサンポリマーの分極度を向上させることによって誘電率を向上させる。
より具体的には、主鎖の一部にフルオロ基またはクロロ基が結合されたシロキサンポリマーは、下記の化学式1で表される末端がビニル基に置換されたポリシロキサンと下記の化学式2で表されるシリコン系架橋剤とを架橋結合した後、化学式2で表されるシリコン系架橋剤から導かれる繰り返し単位の主鎖に存在するSi−Hの一部の水素またはSi−OHの一部のヒドロキシ基をフルオロ基またはクロロ基に置換することにより製造され得る。
化学式1において、R1及びR2は各々独立的に、C1〜C20のアルキル基、C1〜C20のアリール基、C1〜C20のシクロアルキル基または水素であり、mは1以上の整数である。これに制限されるものではないが、化学式1のR1及びR2はC1〜C20のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。mは50〜500の整数であることが好ましい。
化学式2において、R3〜R7は各々独立的に、C1〜C20のアルキル基、C1〜C20のアリール基、C1〜C20のシクロアルキル基または水素であり、R8は水素またはヒドロキシ基であり、nは0または1以上の整数であり、oは2以上の整数である。これに制限されるものではないが、nは0であり、oは10〜100の整数であることが好ましい。
このとき、アルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基などが挙げられる。また、アリール基の具体的な例としては、フェニル基、トリル基、ビフェニル基、o−、m−、p−テルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントレニル基、9−フェニルアントラニル基、9,10−ジフェニルアントラニル基、ピレニル基などが挙げられる。また、シクロアルキル基の具体的な例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルナン基、アダマンタン基、4−メチルシクロヘキシル基などが挙げられる。
また、本発明のシロキサンポリマーは、化学式2で表されるシリコン系架橋剤の主鎖に存在する水素またはヒドロキシ基をフルオロ基またはクロロ基に置換して、主鎖にSi−FまたはSi−Clを含むシリコン系架橋剤を製造した後、主鎖の一部がフルオロ基またはクロロ基に置換されたシリコン系架橋剤を化学式1で表される末端がビニル基に置換されたポリシロキサンと架橋結合することにより製造され得る。
本発明のシロキサンポリマーは、網構造を有する共重合体であることが好ましい。上述した方法により製造されたシロキサンポリマーは、末端がビニル基に置換されたポリシロキサンとシロキサン系架橋剤との架橋結合により製造される。このとき、ポリシロキサンの末端に存在するビニル基がシロキサン系架橋剤の主鎖に存在するSi−HまたはSi−OHと反応して互いに垂直方向に架橋される。つまり、末端がビニル基に置換されたポリシロキサンとシロキサン系架橋剤とは互いに2次元的に結合されて、線形構造でない、連続的な網構造を有するようになる。これに制限されるものではないが、具体例は、下記の化学式3で表されるシロキサンポリマーから確認することができる。
化学式3において、Aは化学式4の構造を表す。化学式4において、R9及びR10は各々独立的に、C1〜C20のアルキル基、C1〜C20のアリール基、C1〜C20のシクロアルキル基または水素であり、pは1以上の整数である。これに制限されるものではないが、化学式4のR9及びR10はC1〜C20のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。pは50〜500の整数であることが好ましい。
このとき、化学式3において、aはシロキサン系架橋剤から導かれた繰り返し単位の例を表し、b及びcは末端がビニル基に置換されたポリシロキサンから導かれた繰り返し単位の例を表す。化学式3において確認することができるように、本発明のシロキサンポリマーは網構造を有する。
本発明において主鎖の一部にフルオロ基またはクロロ基が結合されたシロキサンポリマーからなる電気活性フィルム110は、延伸フィルムでありうる。これに制限されるものではないが、本発明の電気活性フィルム110は、MD方向(長手方向)またはTD方向(幅方向)に1軸または2軸延伸が施されてよく、100%〜500%の延伸率で延伸されてよい。主鎖の一部にフルオロ基またはクロロ基が結合されたシロキサンポリマーからなる電気活性フィルム110を延伸する場合、シロキサンポリマーの主鎖が延びながら、フルオロ基またはクロロ基が同じ一方向に配列される。フルオロ基またはクロロ基が同じ方向に配列されれば、それぞれの分極方向が同一になるので、シロキサンポリマーの分極度がさらに向上し、電気活性フィルム110の誘電率が大きく向上する。
より具体的には、本発明のシロキサンポリマーは、条件によって種々の結晶構造を有することができる。延伸前後による主鎖の一部にフルオロ基またはクロロ基が結合されたシロキサンポリマーの結晶構造を示した図2を参照すれば、未延伸電気活性フィルムは、α−相(α−phase)を表す。α−相は、主鎖によってフルオロ基またはクロロ基がトランス(trans)形態及び捻れ(gauche)形態が混合されている状態を意味するので、ポリマー自体の分極度は小さい。また、結晶格子内でフルオロ基またはクロロ基が互いに向かい合うように配列されているので、α−相の総分極度が相殺され、電気活性フィルムの誘電率向上が制限される。
しかし、図2に示すように、電気活性フィルムを延伸する場合、シロキサンポリマーの主鎖が延びながら、シロキサンポリマーの主鎖に結合されたフルオロ基またはクロロ基間の立体障害(steric)が大きく解消され、フルオロ基またはクロロ基が共にトランス(all−trans)形態からなっているβ−相(β−phase)が形成され得る。すなわち、結晶格子内でフルオロ基またはクロロ基が同じ一方向に配列されており、分極度が最大になり得る。つまり、延伸された電気活性フィルムは、α−相からβ−相の構造に変わる。これにより、シロキサンポリマーからなる電気活性フィルムの誘電率はさらに向上する。一方、本発明の電気活性フィルムには、延伸工程とともに、ポリマーに高い直流電圧を印加して特定の電荷を有する原子を一方向に配列させるポーリング(polling)工程が加えられ得る。ポーリング工程によって電気活性フィルムの分極方向が一定に形成され得る。
また、本発明の電気活性フィルムを延伸する場合、強誘電性ポリマー(ferroelectric polymer)性質を表す領域と誘電性エラストマー(dielectric elastomer)性質を表す領域とが区分されて形成され、2つの領域は交互に(layer by layer)積層(stacking)された構造になる。
より具体的には、図2に示すように、延伸前の電気活性フィルムは、フルオロ基またはクロロ基が結合された主鎖が不規則な曲線をなし、フルオロ基またはクロロ基がランダムな方向に配列されてα−相のような構造を形成する。しかし、延伸後の電気活性フィルムは、引力により平たくなるので、フルオロ基またはクロロ基が結合された主鎖が直線に近い線形をなし、上述したように、フルオロ基またはクロロ基が同じ方向に向けて配列される。つまり、フルオロ基またはクロロ基が結合された主鎖は、PVDF系ポリマーのような従来の強誘電性ポリマーと類似した構造を有するため、強誘電性ポリマー領域を形成する。一方、シロキサンポリマーの主鎖間を結合するポリマーは、従来の誘電性エラストマーと類似した構造を有するため、誘電性ポリマー領域を形成する。最終的に、電気活性フィルムを延伸することにより、強誘電性ポリマー領域と誘電性ポリマー領域とが互いに交互に積層(stacking)されている多層構造が形成される。
電気活性フィルム110が上述したようにβ−相の構造を有するか、強誘電性ポリマー領域と誘電性ポリマー領域とが互いに交互に積層(stacking)されている多層構造を形成する場合、電気活性フィルム110は、強誘電性ポリマーの性質と誘電性エラストマーの性質とを同時に有することができるので、従来の強誘電性ポリマーの問題点であった光透過率が向上し、誘電性エラストマーの問題点であった誘電率が大きく向上する。
上述したように、本発明の電気活性フィルム110は、延伸により誘電率が向上する。具体的には、電気活性フィルム110は、延伸率が100%以上である延伸により誘電率が15%以上または20%以上向上し、好ましくは、30%以上向上する。電気活性フィルム110は、延伸倍率が増加するほど、シロキサンポリマーの主鎖に結合されたフルオロ基またはクロロ基の原子配列がさらに一定になり、分極度が向上するので、電気活性フィルム110の誘電率がさらに向上する。具体的には、電気活性フィルム110は、延伸率が300%以上である延伸により誘電率が30%以上または40%以上向上し、好ましくは、50%以上向上する。このように、本発明の電気活性フィルム110は、従来に誘電性エラストマーとして使用されたポリジメチルシロキサン(PDMS)と類似したシロキサンポリマーで形成されるが、シロキサンポリマーの主鎖にSi−FまたはSi−Clが結合されるので、延伸により誘電率が大きく向上する。
本発明の電気活性フィルム110は、誘電率が優れており、25℃の条件下において1kHzで測定した誘電率が5.0以上であり、好ましくは、7.0以上である。誘電性エラストマーとして最も広く使用されるポリジメチルシロキサン(PDMS)は、一般的に約2.5〜3.0程度の誘電率を表すが、本発明の電気活性フィルム110は、7.0以上の誘電率を表し、さらに電気活性フィルム110を延伸した場合には、8.0以上または10.0以上の誘電率を表す。電気活性フィルム110の誘電率が前記範囲を満たす場合、接触感応素子の振動強度を向上させることができ、駆動電圧を低くすることができる。
また、本発明の電気活性フィルム110は、光透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。一般的に、表示パネルの前面に接触感応素子を配置するためには、接触感応素子の光透過率が80%以上でなければならない。特に、電気活性を有するPVDF(Poly VinyliDene Fluoride)やP(VDF−TrFE)(Poly(VinyliDene Fluoride)−TriFlurorEtylene)などのような強誘電性ポリマーの場合、一般的に75%以下の光透過率を有するので、表示パネルの前面に配置するのが難しいという問題があった。しかし、本発明の電気活性フィルム110は、強誘電性ポリマーと誘電性エラストマーとの性質を共に含んでいるところ、光透過率及び誘電率に共に優れた接触感応素子として機能することができる。
本発明の電気活性フィルム110は、厚さが10μm〜500μmであることが好ましく、20μm〜200μmであることがさらに好ましい。電気活性フィルム110の厚さが前記範囲を満たす場合、接触感応素子100の強い振動強度が実現され得る。
電気活性フィルム110の両表面には、電源供給のための第1の電極121及び第2の電極122が付着される。具体的には、図1において、電気活性フィルム110の下面に配置される電極を第1の電極121として、電気活性フィルム110の上面に配置される電極を第2の電極122として図示されている。
第1の電極121及び第2の電極122は、導電性物質で形成されることができ、これに制限されるものではないが、例えば、金(Au)、銅(Cu)、チタニウム(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−銅合金(Al−Cu alloy)などのような金属物質で形成されるか、またはPEDOT[Poly(3,4−EthyleneDiOxyThiophene)]:PSS[Poly(4−StyreneSulfonic acid)]、ポリピロール(polypyrrole)、ポリアニリン(polyaniline)などのような導電性ポリマーからなることができる。また、第1の電極121及び第2の電極122は、接触感応素子100の円滑な繰り返し的な駆動に適するように、炭素導電性グリース(carbon conductive grease)、カーボンブラック(Carbon Black)、または炭素ナノチューブ(Carbon Nano Tube;CNT)に弾性体を混合して製造された軟質(soft)電極からなることができる。第1の電極121及び第2の電極122は、互いに同じ物質からなることができ、互いに相違した物質からなることもできる。
本発明の接触感応素子100を表示パネル上に配置させる場合、第1の電極121及び第2の電極122は、接触感応素子の透明性を確保するために、透明な導電性物質を含むことが好ましい。これに制限されるものではないが、透明な導電性物質は、インジウム錫酸化物(Induim Tin Oxide、ITO)、グラフェン(Graphene)、金属ナノワイヤ、及び透明導電性酸化物(TCO)からなる群より選ばれる1種でありうる。
第1の電極121及び第2の電極122は、様々な方式で電気活性フィルム110の両面に配置される。例えば、第1の電極121及び第2の電極122は、スパッタリング(sputtering)、プリンティング(printing)、スリットコーティング(slit coating)などのような方式で電気活性フィルム110の両面に配置されることができる。特に、第1の電極121及び第2の電極122が同じ物質で配置される場合、第1の電極121及び第2の電極122は、同時に配置されることもできる。
第1の電極121及び第2の電極122は、外部から電圧が印加されて電場を形成する。ここで、電気活性フィルム110に電場を形成するために、第1の電極121と第2の電極122には互いに相違した大きさの電圧が印加されるか、互いに反対の電気的性質を有する電圧が印加され得る。例えば、第1の電極121に正(+)の電圧が印加される場合、第2の電極122には負(−)の電圧または接地電圧が印加され、第1の電極121に負(−)の電圧が印加される場合、第2の電極122には正(+)の電圧または接地電圧が印加され得る。ここで、第1の電極121に印加される電圧の電気的性質と第2の電極122に印加される電圧の電気的性質とが互いに反対に変更されることにより、電場の方向も共に変更される。
第1の電極121と第2の電極122とに印加される電圧は、交流(AC)電圧でありうるし、直流(DC)電圧でありうる。第1の電極121及び第2の電極122に交流電圧(AC)を印加する場合、電気活性フィルム110は、周期的に変位されることができ、振動する効果を出すことができ、第1の電極121及び第2の電極122に直流電圧(DC)を印加する場合、電気活性フィルム110は、曲げられた状態を維持することができる。
本発明の接触感応素子100は、主鎖の少なくとも一部にフルオロ基またはクロロ基が結合されたシロキサンポリマーを含む、誘電率に優れた電気活性フィルム110を使用する。このとき、本発明において接触感応素子100は、ユーザの必要に応じて、未延伸の電気活性フィルムを使用することができ、延伸された電気活性フィルムを使用することもできる。
すなわち、未延伸の電気活性フィルム及び延伸された電気活性フィルムは、ともに電気活性ポリマーとして使用される従来の誘電性エラストマーと比較して顕著に大きい誘電率を有するので、接触感応素子100の駆動電圧を低め、振動強度を向上させることができる。
前述したように、本発明の電気活性フィルム110が延伸された場合、部分的に強誘電性ポリマー領域と誘電性エラストマー領域とを同時に含むハイブリッド型ポリマーが形成され、強誘電性ポリマーと誘電性エラストマーの特性が同時に発現される。より具体的に、電気陰性度の大きいフルオロ基及びクロロ基を含む強誘電性ポリマー領域は、電気活性フィルム110に電場が印加されることにより、強誘電性ポリマー領域の内部の双極子(dipole)の整列方向が変更されることにより接触感応素子100に力を伝達する。これとは異なり、誘電性ポリマー領域は、複数のポリシロキサン鎖が形成されている領域であるから、誘電性ポリマー領域は、電気活性フィルム110に電圧が印加されることにより発生する静電気的引力(Coulombic Force)により収縮及び膨脹されて接触感応素子100に力を伝達する。
図3は、本発明の一実施形態に係る接触感応素子100を含む表示装置200の構造を説明するための概略的な分解斜視図である。図3に示すように、本発明の一実施形態に係る表示装置200は、下部カバー210、表示パネル220、接触感応素子100、タッチパネル230、及び上部カバー240を備える。
下部カバー210は、表示パネル220、接触感応素子100、及びタッチパネル230の下部を覆うように表示パネル220の下に配置される。下部カバー210は、表示装置200内部の構成を外部の衝撃及び異物質や水分の浸透から保護する。例えば、下部カバー210は、これに制限されるものではないが、熱成形が可能であり、加工性のよいプラスチックのような物質からなることができる。また、下部カバー210は、近年、フレキシブル(flexible)表示装置が活発に開発されていることにより、表示装置200の形状変化によって共に変形され得る物質からなることができる。例えば、下部カバー210は、軟性を有するプラスチックのような物質からなることができる。
表示パネル220は、表示装置200で映像を表示するための表示素子が配置されたパネルを意味する。表示パネル220は、これに制限されるものではないが、例えば、有機発光表示パネル、液晶表示パネル、電気泳動表示パネルなどのような様々な表示パネルが使用され得る。好ましくは、表示パネル220は、有機発光表示装置でありうる。有機発光表示装置は、有機発光層に電流を流すことにより、有機発光層が発光するようにする表示装置であり、有機発光層を使用して特定波長の光を発光する。有機発光表示装置は、少なくともカソード、有機発光層、アノードを備える。
有機発光表示装置も軟性を有して変形され得るように構成されることができる。すなわち、有機発光表示装置は、軟性を有するフレキシブル(flexible)有機発光表示装置であって、フレキシブル基板を含む。フレキシブル有機発光表示装置は、外部から加えられる力により様々な方向及び角度で変形されることができる。
接触感応素子100は、必要に応じて表示パネル220の下部に配置されることができ、表示パネル220の上部に配置されることもできる。図3では、接触感応素子100の上部に配置されることと想定して説明する。具体的に、接触感応素子100は、表示パネル220の上面に直接接触されるように配置されることができ、表示パネル220の上面と接触感応素子100の下面との間に接着剤を用いて配置されることもできる。接着剤としては、これに制限されるものではないが、OCA(optical clear adhesive)またはOCR(optical clear resin)が使用され得るが、これに制限されるものではない。
図3に示された接触感応素子100は、第1の電極121、第2の電極122、及び電気活性フィルム110を備える。接触感応素子100の具体的な構成要素は、図1において説明した接触感応素子100と同様であるから、詳細な説明を省略する。
接触感応素子100は、表示パネル220と電気的に結合されることができる。例えば、表示パネル220に配置されたFPCB(Flexible Printed Circuit Board)と接触感応素子100の電極が配線により互いに電気的に結合されることもできる。
接触感応素子100上にはタッチパネル230が配置される。タッチパネル230は、表示装置200に対するユーザのタッチ入力を感知し、タッチ座標を提供する機能を果たすパネルを意味する。
タッチパネル230は、配置される位置によって区分されることができる。例えば、表示パネル220の上部表面に付着するアッド−オン(Add−On)方式が使用され得る。他の例において、表示パネル220上に蒸着させるオン−セル(On−Cell)方式が使用され得る。さらに他の例において、表示パネル220の内部に形成したイン−セル(In−Cell)方式が使用され得る。また、タッチパネル230は、作動方式によって区分されることができる。例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、超音波方式、赤外線方式などが使用され得るが、好ましくは、静電容量方式のタッチパネルがタッチパネル230として使用され得る。
また、タッチパネル230は、接触感応素子100と電気的に結合されることができる。具体的に、タッチパネル230は、接触感応素子100の電極と電気的に結合され、タッチパネル230で入力された様々なタッチ信号または電圧が接触感応素子100に伝達され得る。
上部カバー240は、接触感応素子100、表示パネル220、及びタッチパネル230の上部を覆うようにタッチパネル230上に配置される。上部カバー240は、下部カバー210と同様な機能をすることができる。また、上部カバー240も下部カバー210と同様に、同じ物質からなることができる。
また、表示装置200は、光透過率及び誘電率に優れた電気活性フィルム110を使用することにより、低い駆動電圧と優れた光透過率を有するようになるので、表示パネルの前面に配置させることができる。これにより、本発明の表示装置200は、ユーザに直接的なタッチ感とフィードバックを伝達することができる。
図4は、本発明の様々な実施形態に係る表示装置が有利に活用され得る実例を示す図である。図4(a)は、本発明の一実施形態に係る接触感応素子を含むモバイル表示装置300の例示的な外観図である。このとき、モバイル表示装置としては、スマートフォン、携帯電話、タブレットPC、PDAなどのような小型装置が挙げられる。本発明の接触感応素子がモバイル表示装置300に設けられる場合、タッチ強度によって微細な差異まで直接的にユーザに振動を伝達することができ、より強いタッチ感を伝達することもできる。ユーザは、モバイル表示装置300で動画視聴、ゲーム、ボタン入力などを行うときにタッチとともに振動を感じることができるので、モバイル表示装置300からより共感覚的な情報を伝達されることができる。
図4(b)は、本発明の一実施形態に係る接触感応素子を含む車両用ナビゲーション400の例示的な外観図である。車両用ナビゲーション400は、表示装置及び複数の操作要素を含むことができ、車両の内部に設置されたプロセッサにより制御されることができる。本発明の表示装置が車両用ナビゲーション400に適用される場合、道路の高低、道路の状態、車両の進行状況などを多様にユーザに触覚的に提供できる。
図4(c)は、本発明の一実施形態に係る接触感応素子を含むTV500の例示的な外観図である。本発明の表示装置がTV500またはモニタのようなディスプレイ装置に使用される場合、ユーザは、ディスプレイ装置を介して特定物件の質感、話者の状態などを実際に経験するように感じることができるので、よりリアルな映像を楽しむことができる。
図4(d)は、本発明の一実施形態に係る接触感応素子を含む屋外広告板600の例示的な外観図である。本発明の表示装置が屋外広告板600に適用される場合、販売しようとする広告物品に対する触覚的な情報をユーザに直接伝達できるので、広告効果を極大化できる。
図4(e)は、本発明の一実施形態に係る接触感応素子を含むスロットマシン700の例示的な外観図である。スロットマシン700は、表示装置、及び様々なプロセッサが内蔵されるハウジングを含むことができる。本発明の表示装置をスロットマシン700に適用する場合、直接画像を動作させることにより、レバー引き、ルーレットホイールの回転、ルーレットボールの移動などをリアルに提供でき、ゲームに対する没入感を倍加させることができる。
図4(f)は、本発明の一実施形態に係る接触感応素子を含む電子黒板800の例示的な外観図である。電子黒板800は、表示装置、スピーカ、及びこれらを外部の衝撃から保護するための構造物を含むことができる。本発明の表示装置を電子黒板800に適用する場合、教育者は、スタイラスペンまたは指で表示装置に講義内容を入力するときに、直接黒板800に板書するような感じが提供され得る。また、被教育者が電子黒板800に表示されたイメージに対するタッチ入力を印加する場合、当該イメージに適した触覚的フィードバックが被教育者に提供され得るので、教育の効果が極大化され得る。
図5A及び5Bは、本発明の様々な実施形態に係る主鎖の一部にフルオロ基またはクロロ基が結合されたシロキサンポリマーからなる電気活性フィルムの製造方法のフローチャートを示す図である。
本発明の電気活性フィルムの製造方法は、ハロゲン元素を含むシロキサンポリマーを製造する方法によって差異点があるところ、下記に記載するように、シロキサンポリマーを製造する方法を分離して2つの方法で説明する。
具体的には、図5Aによる電気活性フィルムの製造方法は、末端がビニル基に置換されたポリシロキサンと主鎖にSi−HまたはSi−OHを含むシリコン系架橋剤とを架橋させてシロキサンポリマーを製造した後、シリコン系架橋剤に由来する繰り返し単位の残存するSi−HまたはSi−OHをフルオロ基またはクロロ基に置換するステップを含む。
まず、下記の化学式1で表されるポリシロキサンと下記の化学式2で表されるシリコン系架橋剤とを架橋結合させてシロキサンポリマーを製造する(S51a)。
化学式1において、R1及びR2は各々独立的に、C1〜C20のアルキル基、C1〜C20のアリール基、C1〜C20のシクロアルキル基または水素であり、mは1以上の整数である。これに制限されるものではないが、化学式1のR1及びR2はC1〜C20のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。mは50〜500の整数であることが好ましい。
化学式2において、R3〜R7は各々独立的に、C1〜C20のアルキル基、C1〜C20のアリール基、C1〜C20のシクロアルキル基または水素であり、R8は水素またはヒドロキシ基であり、nは0または1以上の整数であり、oは2以上の整数である。これに制限されるものではないが、nは0であり、oは10〜100の整数であることが好ましい。
化学式1で表されるポリシロキサンは、末端がビニル基に置換されたポリシロキサンであり、化学式2で表される架橋剤は、主鎖にSi−HまたはSi−OHを含む鎖型シリコン系架橋剤である。これに制限されるものではないが、化学式1は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)の末端をビニル基に置換したものでよく、化学式2は、架橋剤として末端がトリメチルシランに置換されたポリハイドロゲンメチルシロキサン(PHMS)でよい。
シロキサンポリマーを製造するステップ(S51a)は、有機溶媒としてベンゼン、トルエン、n−ヘプタン、エーテル、キシレン、トリエチルアミン、及びジイソプロピルアミンなどを使用することができ、50℃〜80℃で1時間〜48時間の間行うことができる。
シロキサンポリマーを製造するステップ(S51a)は、白金系触媒下で行うことができ、白金系触媒としては、これに制限されるものではないが、例えば、カルステッド触媒(Carstedt’s catalyst)であるPt[(CH2=CH−SiMe2)2O]1.5、ツァイゼ塩ダイマー(Zeise salt dimmer)であるPt[(C2H4)Cl2]2などを使用することができる。このような触媒は、反応物1モルに対して0.01モル%〜1モル%の含量として使用することができる。
このとき、化学式1で表されるポリシロキサンに対する化学式2で表される架橋剤を架橋結合させる体積比は9:1〜5:5の範囲であることが好ましく、8:2〜6:4の範囲であることがさらに好ましい。化学式2で表されるシリコン系架橋剤が前記範囲未満である場合、十分な架橋がなされないことがあり、前記範囲超過である場合、過度に硬度が上昇して、接触感応素子として使用するのに適切でないことがある。
シロキサンポリマーを製造するステップ(S51a)において、化学式1で表されるポリシロキサンの末端に存在するビニル基は、そのビニル基の二重結合が解けながら、化学式2で表されるシリコン系架橋剤の主鎖に存在するSi−Hの一部の水素と結合するか、またはSi−OHの一部のヒドロキシ基と結合する。すなわち、ポリシロキサンが、化学式2で表されるシリコン系架橋剤において、R5〜R7の置換基とは反応せず、R8の水素またはヒドロキシ基と架橋することによって、反応が進む。
このような架橋反応の結果物であるシロキサンポリマーは、上述したように、網構造を形成する。
次に、シロキサンポリマーを製造するステップ(S51a)から製造されたシロキサンポリマーの主鎖に結合された水素またはヒドロキシ基の一部をフルオロ基またはクロロ基に置換する(S52a)。
フルオロ基またはクロロ基に置換するステップ(S52a)では、シロキサンポリマーを製造するステップ(S51a)を経て製造されたシロキサンポリマーの主鎖に存在するSi−Hの水素またはSi−OHのヒドロキシ基のうち、少なくとも一部をフルオロ基またはクロロ基に置換する。より具体的には、フルオロ基またはクロロ基に置換するステップ(S52a)は、化学式2で表されるシリコン系架橋剤から導かれた繰り返し単位のSi−Hの水素またはSi−OHのヒドロキシ基のうち、少なくとも一部をフルオロ基またはクロロ基に置換するステップである。すなわち、シロキサンポリマーを製造するステップ(S51a)において化学式1で表されるポリシロキサン末端に存在するビニル基と反応して残った化学式2のR8の水素またはヒドロキシ基がフルオロ基またはクロロ基に置換される。
これに制限されるものではないが、シロキサンポリマーを製造するステップ(S51a)において製造されたシロキサンポリマーをフッ化水素(HF)または塩化水素(HCl)水溶液に反応させるか、Cl2及びF2ガスを注入して反応させることにより、Si−HまたはSi−OHをSi−FまたはSi−Clに置換することができる。
次に、置換されたシロキサンポリマーを電気活性フィルムとして製膜する(S53a)。置換されたシロキサンポリマーは、これに制限されるものではないが、様々な基材、例えば、ガラス、ITO、プラスチック上に、スピンコーティング、ディップコーティング、ソルベントキャスティング、スリットコーティング、及びバーコーティングなどのコーティング法や共押出法を使用して、フィルム形態で製膜することができる。
次に、本発明は、製造された電気活性フィルムを延伸するステップをさらに含むことができる(S54a)。電気活性フィルムを延伸するステップ(S54a)は、α−相をβ−相に切り換えるためのものであって、S53aステップから製造された電気活性フィルムを一定の方向に引き伸ばす方法により行われる。延伸方法は大別して湿式延伸法と乾式延伸法とに区分される。乾式延伸法は、さらにロール間(interroll)延伸方法、加熱ロール(heating roll)延伸方法、圧縮延伸方法、テンター(tenter)延伸方法などに区分される。湿式延伸法は、さらにテンター延伸方法、ロール間延伸方法などに区分される。本発明では、湿式延伸法と乾式延伸法とが共に使用され得るし、必要な場合、これらを組み合わせて使用することもできる。
このとき、電気活性フィルムは、必要に応じて例えばMD方向(長手方向)またはTD方向(幅方向)に、1軸(1方向)に沿って延伸されることができ、2軸(2方向)に沿って延伸されることもできる。2軸について、逐次延伸を行ってよく、あるいは同時に延伸を行ってよい。
電気活性フィルムを延伸するステップ(S54a)において電気活性フィルムは、100%〜500%の延伸率で延伸されることが好ましい。なぜなら、延伸率が100%未満である場合、電気活性フィルムがβ−相に完全に切り換えられ難く、延伸率が500%超過である場合、フィルムが破断されるか、十分な厚さが確保され難いためである。
電気活性フィルムに対して、光学的特性及び機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)などを行うことができる。熱処理条件は、特に制限されず、当該技術分野に知られた任意の適切な条件を採用することができる。
次に、図5Bによる電気活性フィルムの製造方法は、主鎖にSi−HまたはSi−OHを含むシリコン系架橋剤を先にフルオロ基またはクロロ基に置換した後、シロキサンポリマーを製造するために、置換されたシリコン系架橋剤を末端がビニル基に置換されたポリシロキサンと架橋するステップを含む。
図5Bに示すように、まず、化学式2で表されるシリコン系架橋剤の主鎖に結合された水素またはヒドロキシ基の少なくとも一部をフルオロ基またはクロロ基に置換する(S51b)。図5Aと比較すると、化学式1で表されるポリシロキサンと化学式2で表されるシリコン系架橋剤とを架橋結合させる前に、化学式2で表されるシリコン系架橋剤の主鎖に存在する水素またはヒドロキシ基の一部をフルオロ基またはクロロ基に置換させるという点で差異がある。すなわち、化学式2のR8の水素またはヒドロキシ基の一部が、フルオロ基またはクロロ基に置換される。
これに制限されるものではないが、化学式2で表されるシリコン系架橋剤をフッ化水素(HF)または塩化水素(HCl)水溶液に反応させるか、Cl2及びF2ガスを注入して反応させることにより、Si−HまたはSi−OHの少なくとも一部をSi−FまたはSi−Clに置換することができる。
次に、置換された架橋剤と化学式1で表されるポリシロキサンとを架橋させてシロキサンポリマーを製造する(S52b)。このとき、フルオロ基またはクロロ基に置換されたシリコン系架橋剤と化学式1で表されるポリシロキサンとを架橋させる方法は、図5Aに開示されたS52aステップと実質的に同様であるため、これに対する重複説明を省略する。
次に、シロキサンポリマーを電気活性フィルムとして製膜する(S53b)。また、製造された電気活性フィルムを延伸するステップをさらに含むことができる(S54b)。
電気活性フィルムを製膜するステップ及び製造された電気活性フィルムを延伸するステップは、図5Aに開示されたS53a及びS54aと実質的に同様であるため、これに対する重複説明を省略する。
以下では、実施例を介してシロキサンポリマー及びシロキサンポリマーを含む電気活性フィルムの製造をより詳細に説明する。
製造例:主鎖にフルオロ基が結合されたシロキサンポリマーの製造
シリコン系架橋剤として、ポリハイドロゲンメチルシロキサン(PHMS、重量平均分子量:3000)10gを100mlのトルエン溶媒に分散させた後、60℃〜80℃で1モル濃度のHF30mlを添加して3時間の間処理して主鎖にフルオロ(F)が結合されたポリハイドロゲンメチルシロキサンを製造した。その後、末端がビニル基に置換されたポリジメチルシロキサン(PDMS、重量平均分子量:約40000)と製造された主鎖の一部にフルオロ(F)が結合されたポリハイドロゲンメチルシロキサンとを7:3の体積比で混合してシロキサンポリマーを製造した。
(実施例1)
製造例によって製造されたシロキサンポリマーをバーコーティング法でガラス基材に塗布した後、60℃で2時間の間処理して、シロキサンポリマーからなる未延伸電気活性フィルムを製造した。
(実施例2)
末端がビニル基に置換されたポリジメチルシロキサン(PDMS、重量平均分子量:約40000)と製造された主鎖の一部にフルオロ(F)が結合されたポリハイドロゲンメチルシロキサンとを9:1の体積比で混合してシロキサンポリマーを製造したことを除いては、実施例1と同じ方法で未延伸電気活性フィルムを製造した。
(比較例1)
実施例1の電気活性フィルムの代わりに、誘電性エラストマーとしてポリジメチルシロキサン(PDMS)を基材上に塗布した後、乾燥して未延伸電気活性フィルムを得た。
(比較例2)
製造例によって製造されたシロキサンポリマーでない、下記の化学式5で表されるポリジメチルシロキサン系ポリマー(商品名:Dow730、ダウコーニング社)を用いて、バーコーティング法で未延伸電気活性フィルムを製造した。
(比較例3)
実施例1の電気活性フィルムの代わりに、強誘電性ポリマーであるP(VDF−TrFE)(Poly(VinyliDene Fluoride)−TriFlurorEtylene)からなる電気活性フィルムを用いた。
実験例1:誘電率測定及び延伸による誘電率の変化測定
実施例1〜2及び比較例1〜2の電気活性フィルムの誘電率を、LCRメートル(4284A)を用いて25℃で周波数1kHzでの静電容量を測定し、下記の数式6を用いることにより算出した。
ただし、εは誘電率であり、Cは静電容量(capacitance)であり、εoは真空誘電率であり、tは電気活性フィルムの厚さであり、Aは電極の接触断面積である。
次に、実施例1〜2及び比較例1〜2の電気活性フィルムを、ロール間(interroll)延伸方法を利用してMD方向(長手方向)に各々100%、300%、及び400%の延伸率で1軸延伸した。それぞれの延伸された電気活性フィルムの誘電率及び誘電率の変化率を測定した。測定結果は、下記の表1に表した。
表1を介して確認したように、実施例1〜実施例2の電気活性フィルムは、比較例1のような従来の誘電性エラストマーとして使用してきたポリジメチルシロキサン(PDMS)に比べて顕著に高い誘電率を有することが確認できた。また、本発明のシロキサンポリマーからなる電気活性フィルムの誘電率は、100%以上の延伸率で延伸した後の誘電率が、延伸前の誘電率に比べて30%以上向上し、300%以上の延伸率で延伸した後の誘電率が、延伸前の誘電率に比べて40%以上向上することが確認できた。また、従来のポリシロキサンが有し難い高い誘電率を達成できることが確認できた。
これとは異なり、比較例1で確認したように、ポリジメチルシロキサン(PDMS)からなる電気活性フィルムの誘電率は、延伸によって向上しないということが分かった。
また、実施例1と比較例1及び比較例2とを比較してみると、比較例2の電気活性フィルムの誘電率は、比較例1に比べて高い。しかし、比較例2の電気活性フィルムの誘電率は、実施例1に比べて低い。また、比較例2の電気活性フィルムの場合、実施例1のように、延伸による誘電率向上効果が弱いことを確認することができた。このような差異は、比較例2の電気活性フィルムと実施例1の電気活性フィルムとの間のポリマー構造の差異から起因する。化学式5で分かるように、比較例2の電気活性フィルムは、フルオロ基を含むポリジメチルシロキサン系ポリマーで構成される点で実施例1の電気活性フィルムと類似した点がある。しかし、比較例2の電気活性フィルムは、主鎖に直接フルオロ基が結合される実施例1とは異なり、分岐鎖にフルオロ基が結合されるという点において差異点がある。つまり、比較例2の電気活性フィルムは、実施例1の電気活性フィルムとは異なり、延伸によってフルオロ基が同じ方向に配列される効果を期待し難いので、実施例1の電気活性フィルムほど、分極度及び誘電率が向上しない。
実験例2:光透過率測定
実施例1〜2及び比較例1及び3の電気活性フィルムの光透過率を、ヘイズメートル(JCH−300S、Oceanoptics社)を用いて測定した。測定結果は、下記の表2に表した。
表2を介して確認したように、実施例1〜実施例2は、従来の誘電性エラストマーより誘電率が顕著に向上するだけでなく、強誘電性ポリマー(比較例3)に比べて光透過率が顕著に優れたことが確認できた。したがって、本発明の電気活性フィルムは、誘電性エラストマーと類似して優れた光透過率を有しながらも、誘電率が顕著に向上して表示パネルの前面に配置されることができる。つまり、本発明の電気活性フィルムを含む接触感応素子は、ユーザをして直接的かつ様々な触覚フィードバックを提供することができる。
実験例3:接触感応素子の性能評価
本発明の電気活性フィルムを含む接触感応素子の性能を評価するために、振動加速度を測定した。図6A〜6Cは、実施例1及び比較例1に対する振動加速度実験データである。具体的に、図6Aは、実施例1により製造された未延伸の電気活性フィルムを含む接触感応素子に2kVppの電圧を印加する場合に測定される振動加速度のグラフを示す図である。図6Bは、実施例1により製造され、ロール間延伸方法を用いてMD方向(長手方向)に300%の延伸率で延伸された電気活性フィルムを含む接触感応素子に2kVppの電圧を印加する場合に測定される振動加速度のグラフを示す図である。また、図6Cは、比較例1の接触感応素子に2kVppの電圧を印加する場合に測定される振動加速度のグラフを示す図である。
図6Cに示すように、比較例1の接触感応素子に2kVpp電圧を印加する場合、アクチュエーションで0.11Gの振動加速度が発生したが、図6Aに示すように、実施例1により製造された未延伸電気活性フィルムを含む接触感応素子に2kVpp電圧を印加する場合、アクチュエーションで0.16Gの振動加速度が発生したため、比較例1に比べて振動加速度が大きくなったことが確認できる。また、図6Bに示すように、延伸された電気活性フィルムを含む接触感応素子に2kVpp電圧を印加する場合、0.24Gの振動加速度が測定されたため、振動加速度がさらに大きくなったことが確認できた。
以上、添付された図面を参照して本発明の実施形態をさらに詳細に説明したが、本発明は必ずこのような実施形態に局限されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で様々に変形実施されることができる。したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものでなく、説明するためのものであり、このような実施形態によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、下記の請求の範囲によって解析されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解析されなければならないであろう。