JP2015018724A - 透明導電膜とその製造方法 - Google Patents

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順彦 佐々木
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Abstract

【課題】本発明は、高抵抗なシート抵抗を有すると共に、高電圧の印加に対して安定なシート抵抗を有する透明導電膜とその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)を含む透明導電膜であって、さらにバインダーとしてPEDOTに対して所定の割合でポリスチレンスルホン酸(PSS)を含んでいることを特徴とする。【選択図】図7

Description

本発明は、ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)を用いて作製される透明導電膜に関する。
液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、太陽電池、タッチパネルなどの分野では、透明導電膜が用いられる。透明導電膜の材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)などの導電性無機材料や、ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)などの導電性有機材料が用いられる。
PEDOT:PSSは、ポリスチレンスルホン酸の存在下でエチレンジオキシチオフェンを重合させて得られるPEDOT:PSSを分散させたインクを用い、各種の印刷方法で透明導電膜を形成することができる。ITOの代替、あるいはITOが使えない柔軟性を必要とする場面などに用いられるようになっているが、物理的強度の向上やさらなる低抵抗化が求められている。たとえば、特許文献1では、シランカップリング剤を含むことにより、耐摩耗性や耐湿性に優れ、且つ高導電性である塗布膜を形成している。
特開2009−508341号公報
ところで、ユーザの指などが携帯電話などの表面に接触して入力操作を行う際に、ユーザの指などに触覚刺激を与えるために、触覚フィードバックシート(以下、触覚FBシート)が、タッチパネルなどに重ねられて用いられる。
触覚FBシートが、ユーザの指などの入力操作を遮蔽せず、また人体に過大な電流が流れることを防ぐために、触覚FBシートには、シート抵抗の大きい、たとえば0.1MΩ/□程度のシート抵抗を有する触覚電極が形成される。また、ユーザの指などに十分な触覚刺激を与えるために、触覚電極には、たとえば数百ボルト(V)程度の高電圧な電気信号が印加される。
従来のPEDOT:PSSによる透明電極は低抵抗を求めて開発されており、高抵抗化して用いることには適していなかった。
また、PEDOT:PSSにバインダーとなるポリマーを添加して高抵抗化した場合、数百ボルト(V)程度の高電圧が印加された場合、シート抵抗が不安定になるという課題があった。
本発明の目的は、このような課題を顧みてなされたものであり、高抵抗なシート抵抗を有すると共に、高電圧の印加に対して安定なシート抵抗を有する透明導電膜とその製造方法を提供することである。
本発明の透明導電膜は、ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)を用いて形成される透明導電膜であって、前記PEDOT:PSSに含まれるポリスチレンスルホン酸(PSS)に加えてさらにバインダーとしてPSSを含んでおり、前記バインダーとしてのPSSは、前記PEDOT:PSSに含まれるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)に対してモル比で0.1〜1.7となることを特徴とする。
このような態様であれば、透明導電膜のシート抵抗が高く、また高電圧印加に対してシート抵抗が安定する。
さらに、エポキシ基を有する有機ケイ素化合物を、前記PEDOT:PSSに対して重量比で0.5〜1.0であるように含んでいることが好ましい。
このような態様であれば、透明導電膜のシート抵抗が高く、高電圧印加に対して安定であると共に機械的強度にも優れる。
前記エポキシ基を有する有機ケイ素化合物が、エポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物であることが好ましい。
前記バインダーとしてのPSSの平均分子量が、前記PEDOT:PSSに含まれるPSSの平均分子量より小さいことが好ましい。このような態様であれば、PEDOT:PSSとバインダーとしてのPSSとの相溶性がより優れるので、高電圧印加に対してシート抵抗がより安定する。
本発明の製造方法は、ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)を用いて形成される透明導電膜の製造方法であって、PEDOT:PSS溶液に対して、バインダーとしてのポリスチレンスルホン酸(PSS)を、前記PEDOT:PSS中のポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)に対してモル比0.1〜1.7となるよう調合したインクを用いて形成することを特徴とする。
このような態様であれば、高抵抗なシート抵抗を有すると共に、高電圧の印加に対して安定なシート抵抗を有する透明導電膜を得ることができる。
前記インクには、エポキシ基を有する有機ケイ素化合物が、前記PEDOT:PSSに対して、重量比で0.5〜1.0の調合割合で調合されていることが好ましい。
前記エポキシ基を有する有機ケイ素化合物が、エポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物であることが好ましい。
このような態様であれば、シート抵抗が高く、高電圧印加に対してシート抵抗が更に安定する上に機械的強度が優れる透明導電膜を得ることができる。
前記バインダーとしてのPSSの平均分子量が、前記PEDOT:PSSに含まれるPSSの平均分子量より小さいことが好ましい。このような態様であれば、PEDOT:PSSとバインダーとしてのPSSとの相溶性がより優れるので、高電圧印加に対してシート抵抗がより安定する。
本発明によれば、高抵抗なシート抵抗を有すると共に、高電圧の印加に対して安定なシート抵抗を有する透明導電膜とその製造方法を提供することができる。
第1の実施形態に係る入力装置の分解斜視図である。 第1の実施形態に係る触覚フィードバックシートの透視斜視図である。 図2に示すA−A線に沿って切断し矢印方向から視る断面図である。 (a)は、触覚フィードバックシートに印加される電圧の説明図であり、(b)は、指などが感じる触覚の説明図である。 第1の実施形態に係わる触覚フィードバックシートの製造方法の説明図である。 X線光電子分光分析のスペクトル波形と測定方法の説明図である。 透明導電膜のPSS/PEDOTモル比とPSS/PEDOT:PSSの調合割合の相関図である。 透明導電膜のSi/Sモル比と有機ケイ素化合物/PEDOT:PSSの調合割合の相関図である。 透明導電膜に対する高電圧耐性の説明図である。
以下、本発明の実施形態の透明導電膜とその製造方法について図面を用いて詳細に説明する。なお、各図面の寸法は適宜変更して示している。
図1は、第1の実施形態に係る入力装置の分解斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る触覚フィードバックシートの透視斜視図である。図3は、図2に示すA−A線に沿って切断し矢印方向から視る断面図である。図4(a)は、触覚フィードバックシートに印加される電圧の説明図であり、図4(b)は、指などが感じる触覚の説明図である。
本実施形態に係る入力装置31は、図1に示すように、タッチパネル21の上(Z2方向)に触覚フィードバックシート(以下、触覚FBシート)1が貼り付けられて構成される。
タッチパネル21は、図1に示すように、その中央部に入力領域21aと、入力領域21aを囲むように入力領域21aの外側に配置される非入力領域21bとを有して構成される。タッチパネル21は、図示してないが、液晶ディスプレイなどの表示装置の上に貼り付けられて用いられる。そして、入力領域21aは、表示装置の画像などが視認できるように透光性に設けられ、非入力領域21bは、引き回される配線などが視認されないように加飾層などによって非透光性に設けられる。
本実施形態の触覚FBシート1は、図2に示すように、X1−X2方向に延在する触覚電極2a、2bを有して構成される。触覚電極2a、2bは、Y1−Y2方向に間隔を設けて、互いに交互に配設されて複数形成されている。各複数の触覚電極2a、2bは、触覚FBシート1の外周部において、Y1−Y2方向に延在する引き回し配線2c、2dにより、触覚FBシート1内の図面左下側に設けられる電極パッド2e、2fに接続されている。そして、電極パッド2e、2fに接続されるフレキシブル配線基板(図示せず)などを介して触覚電極2a、2bに電圧が印加される。
本実施形態の触覚FBシート1は、図3に示すように、第1の透明基材3の上に触覚電極2a、2bが形成され、触覚電極2a、2bの上に光学粘着層4を介して、第2の透明基材5が接着されている。第1の透明基材3、触覚電極2a、2b、光学粘着層4、および第2の透明基材5は、透光性の部材が用いられており、触覚FBシート1は、透光性に設けられる。
第1の透明基材3、および第2の透明基材5は、透光性の樹脂材料が用いられており、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等の材料が用いられる。なお、第1の透明基材3、および第2の透明基材5は、ガラス部材を用いることも可能である。
触覚FBシートは、ユーザが入力装置の表面に指などを接触させる際に、入力装置の表面の触覚ではなく、入力装置に表示される画像などに関連する触覚を、ユーザの指などに与えるために用いられる。
本実施形態の触覚FBシート1において、図2に図示する電極パッド2e、2fの間に、たとえば図4(a)に図示する波形状の電圧信号22が印加される。その結果、波形状の電圧信号22は、電極パッド2e、2fに接続される触覚電極2a、2bに印加される。
ユーザが、図4(b)に示すように、入力装置の表面、すなわち触覚FBシート1の表面にユーザの指23などを接触させて、A→B→Cと移動させる際に、指23には、絶縁性の第2の透明基材5(図3に図示)を介して、触覚電極2a、2bの電位により静電誘導が生じる。
ユーザの指23などは、ユーザの体を介して接地されており、静電誘導により触覚電極2a、2bとは逆の極性の電荷で帯電する。そのため、ユーザの指23などと触覚電極2a、2bとの間には、クーロン力が働くため、ユーザは、指23などをA→B→Cと移動させる際に、クーロン力の強弱に応じた摩擦力を、入力装置の表面から触覚する。このようにして、電圧信号22の波形の形状を工夫することにより、ユーザの指23などに、工夫を凝らした触覚を与えることが可能である。
タッチパネルなどの分野では、透明導電膜が用いられている。透明導電膜の材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)などの導電性無機材料や、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などの導電性有機材料が用いられている。近年、低コスト化や、フレキシブル化などにより導電性有機材料が注目されている。特に、PEDOTの電気抵抗が、バインダーの添加により低抵抗から高抵抗まで調整可能であるため、PEDOTは注目されている。
図5は、第1の実施形態に係わる触覚フィードバックシートの製造方法の説明図である。触覚FBシート1の製造方法について、図5を用いて説明する。図5(a)に示す工程において、第1の透明基材3を用意する。
図5(b)に示す工程において、PEDOT:PSSの溶液(分散液)を用意する。PEDOT:PSSの溶液として、たとえば、PEDOT:PSS(ヘレウス(株)製 Clevios(登録商標) PH1000)を用いることができる。
このPEDOT:PSSの溶液に、バインダーとしてPSSを調合する。バインダーは膜の抵抗値を上昇させるために添加するポリマーである。バインダーとPEDOT:PSSとの相溶性がよいことが好ましく、一見相溶性があるように見えるポリマーであってもミクロに相分離が生じ、高電圧印加時におけるシート抵抗の変化を生じる可能性がある。そこで、バインダーとしてPSSを用いることは、PEDOT:PSSにもともと含まれている成分でもあって相溶性に非常に優れているため好ましい。また、バインダーとして添加するPSSの分子量は、PEDOT:PSSに含まれるPSSよりも分子量が小さいものを用いることが相溶性の観点からより好ましい。またPEDOT:PSSの合成時にPSSを多く添加するのではなく、合成時にはPEDOTとPSSの割合は抵抗値が低くなる割合で合成し、後にバインダーとしてPSSを添加することにより高電圧印加時の抵抗の安定性が向上する。PSSの添加量は、PEDOT:PSSのPEDOTに対してモル比で0.1〜1.7程度が好ましい。バインダーとしてのPSSの添加量が0.1未満では透明導電膜のシート抵抗が十分に高くならず、また、1.7を上回ると高電圧印加時の抵抗変化が大きくなってしまう。
次に、エポキシ基を有する有機ケイ素化合物、たとえばエポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物やシランカップリング剤を調合して、インク溶液を作製する。エポキシ基を有する有機ケイ素化合物を含むことにより、インクの塗布後に有機ケイ素化合物のエポキシ基と、PEDOT:PSSおよびバインダーのPSSのスルホン酸基との間の開環付加反応及びアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応が進行する。これにより、有機ケイ素化合物とPEDOT:PSSとの分子鎖間に架橋結合を介した3次元的なネットワーク(クロスリンク)が形成されるので、透明導電膜の耐摩耗性などの機械的強度が増す。また、有機ケイ素化合物の添加量は、PSSを調合したPEDOT:PSSの重量に対して重量比で0.5〜1.0であることが好ましい。0.5を下回ると用途によっては膜の強度が不足する場合が有り、1.0を上回ると高電圧印加時の抵抗値変化が大きくなってしまう。
このインク溶液を用いて、図5(a)に示す工程で用意した第1の透明基材3の上に、触覚電極2a、2bを印刷する。この印刷は、たとえばインクタンク(図示せず)、ポンプ(図示せず)、およびノズルを有して構成される印刷機を用いてなされる。すなわち、前記インク溶液を前記インクタンクに入れ、前記ポンプによって前記インク溶液をノズルから押し出すことによって、第1の透明基材3の上に触覚電極2a、2bを印刷する。このように、本実施形態の触覚電極2a、2bは、PEDOT:PSSの原液に、バインダーとしてのPSSの原液と、クロスリンク剤としてのエポキシ基を有する有機ケイ素化合物と、を調合したインク溶液を用いて形成される透明導電膜からなる。
図5(c)に示す工程において、その表面5aに光学粘着層4が形成された第2の透明基材5を用意する。次に、図5(b)に示す工程で製造された第1の透明基材3の上に触覚電極2a、2bが形成された部材の上に、光学粘着層4を下側に向けて、第2の透明基材5を載置する。そして、第2の透明基材5の上から押し圧するなどして、第1の透明基材3および触覚電極2a、2bの上に、光学粘着層4を介して第2の透明基材5を接着することにより、触覚FBシート1が製造される。
図1に示すように、触覚FBシート1がタッチパネル21の上に貼り付けられて、入力装置31は構成される。そして、タッチパネル21は、図示していない液晶ディスプレイなどの表示装置の上に貼り付けられている。
本実施形態に係るタッチパネル21は静電容量型であり、タッチパネル21には、図1に示すように、菱形形状の位置検知パターン21cが複数形成されている。ユーザが、入力装置31の表面に、指などを接触、または接近させると、近傍の位置検知パターン21cに係る静電容量が変化することにより、入力操作が行われる。
その際、触覚FBシート1の触覚電極2a、2bを構成する透明導電膜のシート抵抗が小さくなると、入力装置31の表面への指などの接触、または接近の影響が遮蔽されるため、入力装置31の位置検知感度が劣化する。また、触覚電極2a、2bを構成する透明導電膜のシート抵抗が大きくなると、触覚FBシート1の応答速度が劣化する。そのため、本実施形態においては、触覚電極2a、2bを構成する透明導電膜のシート抵抗は、0.05MΩ/□〜1MΩ/□に設定されている。また、触覚電極2a、2bの不可視のために、触覚電極2a、2bを構成する透明導電膜は、光透過率89%以上の透明性が要求される。
図6は、X線光電子分光分析のスペクトル波形と測定方法の説明図である。図6の横軸は、結合エネルギー(Binding Energy)(eV)であり、縦軸は、カウント数(counts)である。図6中の波形Aは、X線光電子分光分析(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)装置(アルバックファイ製:ESCA5500)を用いて、試料を測定したスペクトル波形である。試料は、PEDOT:PSSにPSSを調合したインク溶液を基板に印刷したものであり、基板上に透明導電膜である触覚電極が形成されたものである。この波形Aを、図6中の波形B、波形C、波形D、波形Eに波形分離した。波形B、波形C、波形D、および波形Eの波形ピークにおける結合エネルギー(eV)は、それぞれ169、168、165、164である。波形Bおよび波形CがPSSに由来するものであり、波形Dおよび波形EがPEDOTに由来するものである。
本実施形態においては、波形B、波形Cのそれぞれと、図6に図示するバッグランドGとで囲まれるそれぞれの領域に対する2つの面積を求め、この2つの面積の和から相対感度係数を用いて透明導電膜(触覚電極)に含まれるPSSの量(モル数)を算出する。波形D、波形Eのそれぞれと、図6に図示するバッグランドGとで囲まれるそれぞれの領域に対する2つの面積を求め、この2つの面積の和から相対感度係数を用いて透明導電膜(触覚電極)に含まれるPEDOTの量(モル数)を算出する。この測定方法を、以下、第1測定方法と呼ぶ。
図7は、透明導電膜のPSS/PEDOTモル比とPSS/PEDOT:PSSの調合割合の相関図である。図7の横軸は、PSS/PEDOT:PSSの調合割合(%)、すなわちPEDOT:PSS原液の重量に対する、PEDOT:PSS原液に調合したPSSの重量の百分率である。図7の縦軸は、PEDOT:PSSにPSSを調合したインク溶液を基板に印刷した透明導電膜(触覚電極)を、第1測定方法で評価した値である。
図7で、調合割合(%)が0であるPEDOT:PSSが原液であり、図7においては、原液としてPEDOT:PSS(ヘレウス(株)製 Clevios(登録商標) PH1000)を用いている。この原液は、図7に示すように、PSS/PEDOTモル比は、2.2〜2.5である。また、透明導電膜(触覚電極)のPSS/PEDOTモル比は、図7に示すように、PSS/PEDOT:PSSの調合割合にほぼ比例している。よって、PSS/PEDOTモル比によって、PSS/PEDOT:PSSの調合割合を求めることができる。なお、PSSの原液は、シグマアルドリッチ社製試薬を用いており、水溶液濃度は30%である。
図8は、透明導電膜のSi/Sモル比と有機ケイ素化合物/PEDOT:PSSの調合割合の相関図である。図8は、PEDOT:PSSにエポキシ基を有する有機ケイ素化合物を調合したインク溶液を基板に印刷した透明導電膜(触覚電極)のXPS評価結果である。図示しないXPSのスペクトル波形において、結合エネルギー168eV付近にS2pのピークが現れ、結合エネルギー100eV付近にSi2pのピークが現れる。この2つのピークに対して、それぞれのスペクトル波形とバッグランド波形とで囲まれた面積を求め、この面積から相対感度係数を用いて透明導電膜(触覚電極)に含まれるシリコン(Si)のモル数とイオウ(S)のモル数を算出している。シリコン(Si)のモル数をイオウ(S)のモル数で割ることにより、図8に図示するSi/Sモル比を算出している。この測定方法を、以下、第2測定方法と呼ぶ。
図8の横軸は、エポキシ基を有する有機ケイ素化合物/PEDOT:PSSの調合割合(%)、すなわちPEDOT:PSSの重量に対する、PEDOT:PSSに調合したエポキシ基を有する有機ケイ素化合物の重量の百分率である。図8の縦軸は、第2測定方法で評価した値である。
Si/Sモル比は、図8に示すように、エポキシ基を有する有機ケイ素化合物/PEDOT:PSSの調合割合(%)に比例している。よって、Si/Sモル比によって、エポキシ基を有する有機ケイ素化合物/PEDOT:PSSの調合割合(%)を求めることができる。
図9は、透明導電膜に対する高電圧耐性の説明図である。縦軸は、透明導電膜(触覚電極)のシート抵抗であり、横軸は、透明導電膜(触覚電極)に印加された電圧である。図9に図示する透明導電膜(触覚電極)に対する高電圧耐性の測定は、抵抗率計((株)三菱化学アナリテック製 ハイレスタ)を用いて行った。この抵抗率計が有する同心円状の2重電極を、透明導電膜(触覚電極)の表面に押し当て、2重電極間に10(V)〜1000(V)の電圧を印加し、2重電極間に流れる電流からシート抵抗を測定したものである。なお、透明導電膜(触覚電極)は、膜厚が600から700nmのものを用いた。計測条件として、10(V)〜1000(V)の電圧印加を選定し、表示される面責抵抗値を読み取った。
ユーザの指などに十分な触覚刺激を与えるために、透明導電膜からなる触覚電極には、数百ボルト(V)程度の高電圧な電気信号を印加する必要があり、触覚電極には、数百ボルト(V)程度の高電圧耐性が必要である。図9は、6種類の透明導電膜(触覚電極)に対して、高電圧耐性を評価したものである。
図9に図示するグラフK、グラフL、およびグラフMは、PSS/PEDOTモル比が2.2〜2.5であるPEDOT:PSSの原液に、バインダーとして、それぞれポリエステル、アクリル樹脂、エポキシ樹脂を加えたインク溶液を用いて形成された透明導電膜(触覚電極)に対する評価結果である。
図9に図示するグラフNは、PSS/PEDOTモル比が2.2〜2.5であるPEDOT:PSSの原液に、バインダーとして、PEDOT:PSSの原液100%に対して調合割合12wt%でPSSの原液を調合したインク溶液により形成された透明導電膜(触覚電極)に対する評価結果である。
図9に図示するグラフOは、PSS/PEDOTモル比が2.2〜2.5であるPEDOT:PSSの原液に、バインダーとして、PEDOT:PSSの原液100%に対して調合割合12wt%でPSSの原液を調合すると共に、膜の緻密化のためにクロスリンク剤として、PEDOT:PSSの原液100%に対して調合割合100wt%でエポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物を調合したインク溶液を用いて形成された透明導電膜(触覚電極)に対する評価結果である。
グラフK、L、Mにおいては、初期的にはシート抵抗が10MΩ/□程度であるが、2重電極間に100V前後の電圧を印加すると、シート抵抗が上昇し始める。PSSが負イオン性ポリマーであるため、PEDOTとPSSとは、電荷移動錯体を形成し、フィブリルな構造を有している。そのため、ポリエステル、アクリル樹脂、およびエポキシ樹脂などの無極性ポリマーは、PEDOT:PSSの原液と均一に混ざり合うことが難しく、グラフK、L、Mに対応する透明導電膜(触覚電極)中ではミクロな相分離が起こっている。そのため、2重電極間に100V前後の電圧を印加すると、静電破壊を起こし、シート抵抗が上昇し始めると考えられる。
本実施形態に係るグラフN、グラフOは、2重電極間に対する少なくとも1000Vまでの電圧印加では、シート抵抗が上昇することはなく安定している。すなわち、グラフN、グラフOのシート抵抗は、それぞれ1×10Ω/□程度、2×10Ω/□程度と高く、2重電極間に対する少なくとも1000Vまでの電圧印加に対して、ほぼ一定な値で安定している。そのため、グラフNおよびグラフOに対応する透明導電膜(触覚電極)は、1000ボルト(V)程度の高電圧耐性を有するので、数百ボルト(V)程度の高電圧の印加される触覚電極2a、2bの材料として用いることは可能である。
本実施形態に係るグラフNおよびグラフOに対応する透明導電膜は、PEDOT:PSSの原液に、PEDOT:PSSの原液と相溶性の良いPSSの原液を、バインダーとして調合したインク溶液を用いて形成される。そして、グラフOに対応する透明導電膜においては、インク溶液に、さらに、膜の緻密化のためにクロスリンク剤として、エポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物が調合される。そのため、グラフNおよびグラフOに対応する透明導電膜は、少なくとも1000ボルト(V)程度の高電圧耐性を有する。
表1に、透明導電膜の組成と高電圧耐性との関係を示す。PEDOT:PSSの原液に対して、バインダーとしてのPSSの原液の調合割合を変え、クロスリンク剤としてのエポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物の調合割合を変えてインク溶液を調合することにより、透明導電膜の組成は変えられている。そして、このように組成が変えられた透明導電膜に対して、抵抗率計((株)三菱化学アナリテック製 ハイレスタ)を用いて高電圧耐性評価を行った。なお、表1に示すモル比(1)は、図7に図示するPSS/PEDOTモル比であり、表1に示すモル比(2)は、図8に図示するSi/Sモル比である。
表1に図示する○に該当するサンプルにおいては、そのシート抵抗が、少なくとも1000Vまでの電圧印加に対してほぼ一定な値で安定している。表1に図示する×に該当するサンプルは、そのシート抵抗が、1000Vまでの電圧印加において変化するものである。
表1に示すように、本実施形態の透明導電膜において、PSS/PEDOTモル比が2.2〜3.9の範囲で、良好な高電圧耐性が得られる。ただし、サンプル1〜5についてはバインダーが添加されていないため、抵抗値が低すぎて触覚FBようの電極に用いることはできない。また、本実施形態の透明導電膜において、Si/Sモル比が0.5〜1.0の範囲で、エポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物がクロスリンク剤として有効に機能し、良好な高電圧耐性が得られる。
Figure 2015018724
本実施形態に係るタッチパネルは静電容量型としたが、これに限定されるものではない。抵抗型などの他の方式も可能である。また、本実施形態に係る透明導電膜は、タッチパネルに限定されるものではなく、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、太陽電池などにも使用することも可能である。
1 触覚フィードバックシート
2a、2b 触覚電極
2c、2d 引き回し配線
2e、2f 電極パッド
3 第1の透明基材
4 光学粘着層
5 第2の透明基材
5a 表面
21 タッチパネル
21a 入力領域
21b 非入力領域
21c 位置検知パターン
22 電圧信号
23 指
24 ノズル
31 入力装置

Claims (8)

  1. ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)を用いて形成される透明導電膜であって、前記PEDOT:PSSに含まれるポリスチレンスルホン酸(PSS)に加えてさらにバインダーとしてPSSを含んでおり、前記バインダーとしてのPSSは、前記PEDOT:PSSに含まれるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)に対してモル比で0.1〜1.7となることを特徴とする透明導電膜。
  2. さらにエポキシ基を有する有機ケイ素化合物を、前記PEDOT:PSSに対して重量比で0.5〜1.0であるように含んでいることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜。
  3. 前記エポキシ基を有する有機ケイ素化合物が、エポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物であることを特徴とする請求項2に記載の透明導電膜。
  4. 前記バインダーとしてのPSSの平均分子量が、前記PEDOT:PSSに含まれるPSSの平均分子量より小さいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の透明導電膜。
  5. ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)を用いて形成される透明導電膜の製造方法であって、PEDOT:PSS溶液に対して、バインダーとしてのポリスチレンスルホン酸(PSS)を、前記PEDOT:PSS中のポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)に対してモル比0.1〜1.7となるよう調合したインクを用いて形成することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  6. 前記インクには、エポキシ基を有する有機ケイ素化合物が、前記PEDOT:PSSに対して、重量比で0.5〜1.0の調合割合で調合されていることを特徴とする請求項5に記載の透明導電膜の製造方法。
  7. 前記エポキシ基を有する有機ケイ素化合物が、エポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物であることを特徴とする請求項6に記載の透明導電膜の製造方法。
  8. 前記バインダーとしてのPSSの平均分子量が、前記PEDOT:PSSに含まれるPSSの平均分子量より小さいことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の透明導電膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019087503A (ja) * 2017-11-10 2019-06-06 コニカミノルタ株式会社 有機エレクトロルミネッセンスデバイス、その製造方法及び画像表示装置

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