JP6249192B1 - 開放循環冷却水系の金属防食剤およびそれを用いる開放循環冷却水系の防食方法 - Google Patents

開放循環冷却水系の金属防食剤およびそれを用いる開放循環冷却水系の防食方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低添加量であっても優れた防食効果を発揮する安全性の高い水系の金属防食剤およびそれを用いた水系の防食方法を提供することを課題とする。【解決手段】リン酸および重合リン酸ならびにそれらの塩から選択される少なくとも1種の防食成分(イ)と、ニコチン酸およびニコチン酸アミドから選択される少なくとも1種の防食成分(ロ)とを、相乗的防食効果を奏する割合で含有することを特徴とする水系の金属防食剤により、上記の課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、鉄、軟鋼、鋳鉄などの金属と水とが接触する腐食環境において、水に添加して用いる安全性の高い水系の金属防食剤およびそれを用いた水系の防食方法に関する。本発明の水系の金属防食剤は、特に開放循環冷却水系において好適に用いることができる。
蒸気製造装置、加熱系、化学反応プラント、冷却水系などの水誘導装置においては、それらの装置を構成している、鉄、軟鋼、鋳鉄などの金属と水とが接触しており、これら金属の腐食が発生し易く、このような腐食に対してはその防止のために種々の金属防食剤あるいは防食方法が提案され、実用されている。従来から、例えば、リン酸塩、ホスホン酸塩、ポリリン酸塩、亜鉛塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩などの金属防食剤が使用されているが、これらの金属防食剤は、リンや重金属などの排水規制の面からその使用量が制限される傾向にある。
特に近年では、処理対象となる水系の安全性や作業環境の維持などの面から、安全性の高い水処理薬剤が望まれている。特に、食品工場のように安全性が重視される設備の冷却水系では、より安全性の高い水処理薬剤が望まれている。
例えば、特開2015−108170号公報(特許文献1)には、塩素系酸化剤を含む水系にニコチン酸アミドを存在させ、その水系中の銅系部材の腐食を低減する方法が、特公昭61−10038号公報(特許文献2)には、ニコチン酸アミドの単独またはニコチン酸アミドとリン酸水素二ナトリウムの組み合わせの少量が添加混合されたプロピレングリコール水溶液からなる食品用冷却液組成物により、プロピレングリコール水溶液が接触する金属部材を防錆する方法が提案されている。
また、特開昭50−93241号公報(特許文献3)には、鉄板、鋼板などの鉄系金属、アルミニウム板、錫メッキ板などの非鉄金属およびこれらの合金の防錆に効果的で、かつ非鉄金属やプラスチックス、ゴムなどの非金属に変色などの悪影響を与えることがない、浸漬やスプレーにより使用可能な防錆剤として、第1〜第3アミン類または第4アンモニウム塩のアミンと、ニコチン酸またはニコチン酸アミドとの併用が開示されている。
一方、特許文献2には、ピロリン酸ナトリウムやヘキサメタリン酸ナトリウムなどは防錆効果が認められないことが記載されている(特許文献2の第1頁右欄(第2欄)の第25〜27行参照)。
また、特許文献2と出願人同一でかつ発明者が重複する後願の特公昭56−27553号公報(特許文献4)および特公昭57−5437号公報(特許文献5)には、それぞれグルセロリン酸カルシウムの少量が添加混合されたプロピレングリコール水溶液からなる食品用冷却液およびソルビン酸カリウムの少量が添加混合されたプロピレングリコール水溶液からなる食品工業用冷却液組成物が開示され、塩化カルシウム共存下でプロピレングリコール水溶液をブライン(熱媒体)として使用した場合、ニコチン酸アミドやリン酸二ナトリウムなどの添加では腐食の抑制効果が認められないことが記載されている(特許文献4の第2頁左欄(第3欄)の第16〜20行および特許文献5の第2頁左欄(第3欄)の第31〜36行参照)。
特開2015−108170号公報 特公昭61−10038号公報 特開昭50−93241号公報 特公昭56−27553号公報 特公昭57−5437号公報
食品添加物であり安全性の高い金属防食剤であるリン酸や重合リン酸類を単独で対象水系に添加して、水系中の鉄、軟鋼、鋳鉄などの金属を防食しようとするとその添加量が多くなり、環境問題やリン酸カルシウムなどのスケールによる障害が懸念される。
そこで、本発明は、低添加量であっても優れた防食効果を発揮する安全性の高い水系の金属防食剤およびそれを用いた水系の防食方法を提供することを課題とする。
本発明の発明者らは、上記の課題を解決すべく、すなわちリン酸や重合リン酸類と併用することにより相乗的防食効果が発揮され、水系への金属防食剤の添加量が低減されても優れた防食効果が発揮される安全性の高い金属防食剤を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、リン酸や重合リン酸類とニコチン酸またはニコチン酸アミドとを組合せて用いた場合に、それぞれを単独で使用する場合と比較して、優れた相乗的防食効果が発現する事実を見出し、本発明を完成するに到った。
本発明において見出された事実は、上記の先行技術の特許文献4および5に、塩化カルシウム共存下のプロピレングリコール水溶液において、ニコチン酸アミドやリン酸二ナトリウムなどは腐食の抑制効果が認められないと記載されていることから鑑みると、意外である。
かくして、本発明によれば、ピロリン酸、オルトリン酸、トリポリリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸およびデカメタリン酸ならびにそれらのナトリウム塩およびカリウム塩から選択される少なくとも1種の防食成分(イ)と、ニコチン酸およびニコチン酸アミドから選択される少なくとも1種の防食成分(ロ)とを、前記防食成分(イ)(PO 4 としての換算値)と前記防食成分(ロ)との重量比で1:0.04〜13である割合で含有することを特徴とする開放循環冷却水系の金属防食剤が提供される。
また、本発明によれば、防食対象である開放循環冷却水系に、ピロリン酸、オルトリン酸、トリポリリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸およびデカメタリン酸ならびにそれらのナトリウム塩およびカリウム塩から選択される少なくとも1種の防食成分(イ)と、ニコチン酸およびニコチン酸アミドから選択される少なくとも1種の防食成分(ロ)とを、前記防食成分(イ)(PO 4 としての換算値)と前記防食成分(ロ)との重量比で1:0.04〜13である割合でかつ有効防食濃度で、同時または別々に添加して、前記防食対象である開放循環冷却水系の水と接触する金属の腐食を防止することを特徴とする開放循環冷却水系の防食方法が提供される。
本発明によれば、低添加量であっても優れた防食効果を発揮する安全性の高い水系の金属防食剤およびそれを用いた水系の防食方法を提供することができる。
防食成分(イ)と防食成分(ロ)とを併用する本発明の水系の金属防食剤は、それぞれの防食成分を単独で使用する場合と比較して、その添加量を1/100〜1/10に低減しても同等またはそれ以上の優れた防食効果を発揮する。
本発明の水系の金属防食剤は、次の条件(1)〜(3)のいずれか1つを満たす場合に、上記の効果をより発揮する。
(1)防食成分(イ)が、ピロリン酸、オルトリン酸、トリポリリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸およびデカメタリン酸ならびにそれらのナトリウム塩およびカリウム塩から選択される。
(2)相乗的防食効果を奏する割合が、防食成分(イ)(PO4としての換算値)と防食成分(ロ)との重量比で1:0.04〜13である。
(3)防食成分(イ)がオルトリン酸、トリポリリン酸ナトリウムまたはヘキサメタリン酸ナトリウムであり、防食成分(ロ)がニコチン酸またはニコチン酸アミドであり、相乗的防食効果を奏する割合が防食成分(イ)(PO4としての換算値)と防食成分(ロ)との重量比で1:0.1〜13である。
本発明の水系の防食方法は、次の条件(4)〜(6)のいずれか1つを満たす場合に、上記の効果をより発揮する。
(4)防食成分(イ)が、ピロリン酸、オルトリン酸、トリポリリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸およびデカメタリン酸ならびにそれらのナトリウム塩およびカリウム塩から選択される。
(5)相乗的防食効果を奏する割合が、防食成分(イ)(PO4としての換算値)と前記防食成分(ロ)との重量比で1:0.04〜13である。
(6)有効防食濃度が、防食成分(イ)(PO4としての換算値)および前記防食成分(ロ)の添加量として、それぞれ0.5〜30mg/リットルおよび0.1〜45mg/リットルである。
試験例1で用いた熱交換器を模した試験装置の模式図である。
(1)水系の金属防食剤
本発明の水系の金属防食剤は、リン酸および重合リン酸ならびにそれらの塩から選択される少なくとも1種の防食成分(イ)と、ニコチン酸およびニコチン酸アミドから選択される少なくとも1種の防食成分(ロ)とを、相乗的防食効果を奏する割合で含有することを特徴とする。
(防食成分(イ))
本発明において用いられる防食成分(イ)は、リン酸および重合リン酸ならびにそれらの塩から選択される少なくとも1種である。
防食成分(イ)としては、例えば、メタリン酸、ピロリン酸、テトラリン酸、オルトリン酸(正リン酸)などのリン酸、トリポリリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、デカメタリン酸などの重合リン酸、ならびにそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩およびアンモニウム塩などが挙げられ、本発明においては、これら防食成分(イ)の1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
上記の中でも、防食成分(イ)は、ピロリン酸、オルトリン酸、トリポリリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸およびデカメタリン酸ならびにそれらのナトリウム塩およびカリウム塩から選択されるのが好ましく、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、オルトリン酸は工業的に入手し易く、本発明において好適に用いられる。
(防食成分(ロ))
本発明において用いられる防食成分(ロ)は、ニコチン酸およびニコチン酸アミドから選択される少なくとも1種である。
防食成分(ロ)としては、通常、工業用として市販されているニコチン酸、ニコチン酸アミドまたはそれらの混合物が挙げられ、防食成分(イ)との併用したときの防食効果の点でニコチン酸が特に好ましい。
(防食成分(イ)および防食成分(ロ)の配合割合)
本発明の水系の金属防食剤は、上記の防食成分(イ)と防食成分(ロ)とを、相乗的防食効果を奏する割合で含有する。
相乗的防食効果を奏する割合は、防食成分(イ)(PO4としての換算値)と防食成分(ロ)との重量比で1:0.04〜13である。
防食成分(ロ)が防食成分(イ)の換算重量1に対して0.04未満である場合、また13を超える場合には、相乗的な防食効果が発揮されないことがある。
より好ましい相乗的防食効果を奏する割合は、防食成分(イ)と防食成分(ロ)との重量比で1:0.1〜13であり、1:0.2〜4の割合がさらに好ましい。
上記のことから、本発明の水系の金属防食剤は、防食成分(イ)がオルトリン酸、トリポリリン酸ナトリウムまたはヘキサメタリン酸ナトリウムであり、防食成分(ロ)がニコチン酸またはニコチン酸アミドであり、相乗的防食効果を奏する割合が防食成分(イ)(PO4としての換算値)と防食成分(ロ)との重量比で1:0.1〜13であるのが好ましい。
(製剤)
本発明の水系の金属防食剤においては、通常、防食成分(イ)および防食成分(ロ)を水に溶解した液剤形態で製剤化して用いるのが適している。
一液製剤の場合、両成分の合計濃度は、溶解度やpHなどに左右され特に限定されるものではないが、通常1〜50重量%程度であり、製剤安定性や経済性の点で2〜20重量%程度が特に好ましい。
(他の配合成分)
本発明の水系の金属防食剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の機能を有する薬剤を含有していてもよく、例えば、他の金属防食剤や殺菌剤などが挙げられる。
他の金属防食剤としては、例えば、コハク酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウムなどのオキシカルボン酸塩、グルコースのような糖類などの公知の有機系金属防食剤;例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、アミノトリアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール(TBZ)などの銅防食剤として使用される公知のアゾール化合物が挙げられる。
本発明においては、これら他の金属防食剤の1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
殺菌・静菌剤としては、例えば、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロ−1−エタノール、5―クロロ―2―メチル―4―イソチアゾリン―3−オン、2−ピリジルチオ−1−オキシドナトリウムなどの公知の殺菌・静菌剤が挙げられる。
本発明においては、これら殺菌・静菌剤の1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
(対象水系)
本発明の水系の金属防食剤の対象水系としては、各種工業における開放または閉鎖系の循環冷却水系が挙げられ、具体的には、蒸気製造装置、加熱系、化学反応プラント、冷却水系などの水誘導装置が挙げられ、本発明の効果が有効に発揮される点で開放循環冷却水系が好ましい。
本発明の水系の金属防食剤は、高温高圧状態の濃縮部の水と接触する金属類のみならず、低温状態の低濃縮部の水と接触する金属類の腐食を防止する。
水系は、塩素イオン、硫酸イオン、炭酸イオンなどの金属類の腐食促進因子や溶存酸素などの腐食因子、マグネシウム、カルシウムなどの硬度(スケール形成)成分を含み、例えば、開放循環冷却水系では、濃縮度にもよるが通常、炭酸カルシウム換算で40〜400mg/リットルのカルシウム硬度を含む。
本発明の水系の金属防食剤は、このような硬度成分を含む開放循環冷却水系に好適に用いられる。
(2)水系の防食方法
本発明の水系の防食方法は、防食対象水系に、リン酸および重合リン酸ならびにそれらの塩から選択される少なくとも1種の防食成分(イ)と、ニコチン酸およびニコチン酸アミドから選択される少なくとも1種の防食成分(ロ)とを、相乗的防食効果を奏する割合でかつ有効防食濃度で、同時または別々に添加して、前記防食対象水系の水と接触する金属の腐食を防止することを特徴とする。
防食成分(イ)、防食成分(ロ)および両成分の配合割合は、上記(1)水系の金属防食剤に記載のとおりである。
(有効防食濃度)
有効防食濃度、すなわち本発明の水系の金属防食剤の対象水系への添加量は、対象水系の水質、防食面積などの条件により異なるため特に限定されないが、防食成分(イ)(PO4としての換算値)および防食成分(ロ)の添加量として、それぞれ0.5〜30mg/リットルおよび0.1〜45mg/リットルであるのが好ましい。
防食成分(イ)の添加量が0.5mg/リットル未満の場合には、相乗的な防食効果が発揮されないことがある。一方、防食成分(イ)の添加量が30mg/リットルを超える場合には、環境への負荷が懸念されることがある。
また、防食成分(ロ)の添加量が0.1mg/リットル未満の場合、45mg/リットルを超える場合には、相乗的な防食効果が発揮されないことがある。
より好ましい有効防食濃度は、防食成分(イ)および防食成分(ロ)の添加量として、それぞれ1〜24mg/リットルおよび0.2〜40mg/リットルであり、さらに好ましい有効防食濃度は、それぞれ2〜15mg/リットルおよび0.4〜40mg/リットルである
(添加方法)
本発明の水系の防食方法においては、各防食成分を含有する一液製剤として対象水系に添加してもよく、各防食成分を含有する単一製剤として別々に添加してもよい。
本発明を製剤例および試験例により具体的に説明するが、本発明はこれらの製剤例および試験例により限定されるものではない。
製剤例および試験例において次の化合物および水を用いた。
[防食成分(イ)]
それぞれ市販の試薬を用いた。
トリポリリン酸ナトリウム
ヘキサメタリン酸ナトリウム
オルトリン酸
[防食成分(ロ)]
それぞれ市販の試薬を用いた。
ニコチン酸
ニコチン酸アミド
[水]
純水を用いた。
製剤例1〜5では、それぞれ下記の配合割合で防食成分(イ)および防食成分(ロ)を水に添加混合し液体製剤を得た。
(製剤例1)
ニコチン酸 1重量部
トリポリリン酸ナトリウム 1重量部
水 98重量部
※防食成分(イ)(PO4換算値)と防食成分(ロ)との重量比1:1.3
(製剤例2)
ニコチン酸アミド 10重量部
トリポリリン酸ナトリウム 1重量部
水 89重量部
※防食成分(イ)(PO4換算値)と防食成分(ロ)との重量比1:13
(製剤例3)
ニコチン酸 10重量部
ヘキサメタリン酸ナトリウム 1重量部
水 89重量部
※防食成分(イ)(PO4換算値)と防食成分(ロ)との重量比1:10.8
(製剤例4)
ニコチン酸 0.5重量部
ヘキサメタリン酸ナトリウム 12.5重量部
水 87.0重量部
※防食成分(イ)(PO4換算値)と防食成分(ロ)との重量比1:0.043
(製剤例5)
ニコチン酸 4重量部
オルトリン酸 4重量部
水 92重量部
※防食成分(イ)(PO4換算値)と防食成分(ロ)との重量比1:1.03
(試験例1)
図1に示す熱交換器を模した試験装置および試験水として下記性状なるように予め調製しておいた合成水を用いて、金属防食剤の防食効果の確認試験を実施した。
容量約10リットルのSUS製の試験水ピットに試験水を入れ、表1に示す所定量の防食成分(イ)および防食成分(ロ)を添加し、メタケイ酸ナトリウムを用いて試験水のpHを8.3に調整した。試験水ピットは二重構造で、試験中には内容器と外容器との間に冷却水として約25℃の水道水を流通させた。
ポンプ(図1中のP)を用いて、試験水を試験水ピットの底部からテストカラムを経て試験水ピットの上部に循環させた。
軟鋼製のテストチューブ(機械構造用炭素鋼鋼管(JIS G3445)、製品名:STKM、形状:厚さ1.0mm×外径15.9mm×長さ100mm)を管方向に直立させ、その上下にポリプロピレン(PP)製のチューブを接続し、テストカラムで覆うように取り付けた。テストチューブの外側に試験水が下部から上部に、テストチューブの内部に熱源である温水が下部から上部に流通するよう取り付けた。
試験水を温度50℃、流速0.5m/sに、温水を温度50℃、流速0.58m/sに設定してそれぞれ流通させ、5日間試験をした。
試験終了後、テストチューブを取り出し、JIS K0100−1990に準拠して、テストチューブの腐食速度(1日当りの腐食減量、MDD、mg/day・dm2 を測定した。
防食成分を添加しない系についても同様に試験し、ブランクとした。
また、防食成分(イ)および防食成分(ロ)のいずれか一方を添加した系についても同様に試験し、比較例とした。
テストピースの腐食速度の結果を、社団法人日本冷却空調工業会、「冷却空調機器用水質ガイドラインJRA−GL−02−1994」の「設計段階での腐れしろなどを考慮した耐食性評価の目安(腐食量・腐食速度)の評価基準に準じて、下記の基準で評価した。
MDD
◎:十分な防食性 22未満
○:腐食僅か 22以上75未満
△:腐食により金属の寿命低下 75以上215未満
×:腐食が激しく使用に耐えない 215以上
また、ブランクおよび比較例1のMDD値をそれぞれ100としたときの、他の試験例の値を算出した。
得られた結果を、防食成分(イ)および防食成分(ロ)ならびにそれらの添加量と共に表1に示す。
[合成水の性状]
pH 8.3
Pアルカリ度(mg/リットル) 0
Mアルカリ度(mg/リットル) 150
カルシウム硬度(mg/リットル) 150
全硬度(mg/リットル) 180
塩素イオン(mg/リットル) 100
硫酸イオン(mg/リットル) 75
表1の結果から次のことがわかる。
・金属防食剤を添加しない場合には、MDDが167.9になり、腐食により金属の寿命が低下する(ブランク)。
・防食成分(イ)として少量の重合リン酸塩(ヘキサメタリン酸ナトリウム)を添加した場合には、金属防食剤を添加しない場合よりもMDDが345.4に増加し、防食効果が低下する(比較例1)。これは、重合リン酸塩により皮膜が形成された金属表面の一部のみが防食され、他の皮膜が形成されていない部分で腐食が進行するためと考えられる。
・防食効果が得られない少量の重合リン酸塩の添加に、さらに防食成分(ロ)として少量のニコチン酸を添加した場合には、MDDがブランクの1/2以下、比較例1の1/5以下に低下する(実施例1〜4)。
・防食成分(ロ)として多量のニコチン酸またはニコチン酸アミドのみを添加しても、優れた防食効果が得られない(比較例2および3)。
・防食成分(イ)と防食成分(ロ)との併用割合が相乗的防食効果を奏する割合から外れる場合には、優れた防食効果が得られない(比較例4〜6)。
・防食成分(イ)として重合リン酸塩(ヘキサメタリン酸ナトリウム)だけでなく、オルトリン酸を用いた場合でも、防食成分(ロ)との併用効果により、同等の優れた防食効果が得られる(実施例5)。
・防食成分(ロ)としてニコチン酸だけでなく、ニコチン酸アミドを用いた場合でも、防食成分(イ)の併用効果により、同等の優れた防食効果が得られる(実施例6)。
製剤例1〜5の金属防食剤について、試験例1と同様にして防食効果の確認試験を実施した。
製剤例1〜3の金属防食剤を試験液に対して400mg/リットル、製剤例4の金属防食剤を試験液に対して80mg/リットル、製剤例5の金属防食剤を100mg/リットルとなるようにそれぞれ添加して試験したところ、テストピースのMDDはすべて評価「○」の結果が得られた。

Claims (4)

  1. ピロリン酸、オルトリン酸、トリポリリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸およびデカメタリン酸ならびにそれらのナトリウム塩およびカリウム塩から選択される少なくとも1種の防食成分(イ)と、ニコチン酸およびニコチン酸アミドから選択される少なくとも1種の防食成分(ロ)とを、前記防食成分(イ)(PO 4 としての換算値)と前記防食成分(ロ)との重量比で1:0.04〜13である割合で含有することを特徴とする開放循環冷却水系の金属防食剤。
  2. 前記防食成分(イ)がオルトリン酸、トリポリリン酸ナトリウムまたはヘキサメタリン酸ナトリウムであり、前記防食成分(ロ)がニコチン酸またはニコチン酸アミドであり、前記防食成分(イ)(PO4としての換算値)と前記防食成分(ロ)との重量比1:0.1〜13である請求項1に記載の開放循環冷却水系の金属防食剤。
  3. 防食対象である開放循環冷却水系に、ピロリン酸、オルトリン酸、トリポリリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸およびデカメタリン酸ならびにそれらのナトリウム塩およびカリウム塩から選択される少なくとも1種の防食成分(イ)と、ニコチン酸およびニコチン酸アミドから選択される少なくとも1種の防食成分(ロ)とを、前記防食成分(イ)(PO 4 としての換算値)と前記防食成分(ロ)との重量比で1:0.04〜13である割合でかつ有効防食濃度で、同時または別々に添加して、前記防食対象である開放循環冷却水系の水と接触する金属の腐食を防止することを特徴とする開放循環冷却水系の防食方法。
  4. 前記有効防食濃度が、前記防食成分(イ)(PO4としての換算値)および前記防食成分(ロ)の添加量として、それぞれ0.5〜30mg/リットルおよび0.1〜45mg/リットルである請求項に記載の開放循環冷却水系の防食方法。
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