以下、本発明に係る換気レジスタ及び換気レジスタ用フェイス部材の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において、実質的に同一の構成の部分には、同一の符号を付して重複説明を省略する。まず、第1実施形態の換気レジスタ(円形フェイス)について、図1〜図9を参照して説明する。その図3〜図9において、(a)(b)(c)は順に開口の全閉状態・半開状態・全開状態を示している。
第1実施形態の換気レジスタ1は、本体ベース10とこの前側に配置されるフェイス部材20とを備えている。本体ベース10は、後方の円筒部11と前方のフランジ部12とからなり、円筒部11が壁(図示省略)に形成された通気孔に嵌合されて、フランジ部12の背面が壁の前面に密着される。フランジ部12の前面には、外周壁12aにより囲まれる開口13が設けられ、この開口13は円筒部11の内部空間から連通されている。なお、開口13の前端エッジ14は、フランジ部12の外周壁12aの前縁によって形成されている。
フェイス部材20は、本体ベース10のフランジ部12における開口13を開閉するもので、正面21及び背面22を有する板状の部材である。フェイス部材20は、正面視(図4)の形状が円形に形成されており、その円形中心の位置で前後方向に延びる回転軸心Zを有している。フェイス部材20の背面22には、本発明で言う1本の稜線部として、仮想線で示すように、回転軸心Zを通る直線状の直径対応部23が存在している。
そして、フェイス部材20の背面22において、直径対応部23を最も後方に突出させている。また、フェイス部材20の外周エッジ24において、回転軸心Zを通って直径対応部23と直交する方向の両側部分を最も前方に位置させている。つまり、フェイス部材20の外周エッジ24は連続的な曲線形状であり、図1において、横方向の両側が最後方部分Pa・Pbになり、縦方向の両側が最前方部分Pc・Pdになっている。
これによって、フェイス部材20の背面22は、直径対応部23を挟んで両側に広がる凸面となるように形成されている。この背面22の凸面としては、凸平面でもよいが、図6(a)の側面視で示すように、略円弧状や略楕円曲線状で前方に湾曲された凸曲面が好ましい。その凸曲面の湾曲程度つまり直径対応部23と最前方部分Pc・Pdとの前後差などは、フェイス部材20の外形寸法に応じて適宜に設定される。なお、フェイス部材20は、その背面22の凸面形状と対応するように、その正面21が凹面形状となるように形成されており、全体的に均等な板厚の板状部材となっている。
このフェイス部材20に対して、本体ベース10のフランジ部12においては、開口13の前端エッジ14の形状が、フェイス部材20の外周エッジ24の形状に合致させて、同一の曲線形状となるように形成されている。つまり、フランジ部12の開口13も正面視の形状が円形であり、その前端エッジ14の連続的な曲線形状は、図1において、横方向の両側が最後方部分Qa・Qbになり、縦方向の両側が最前方部分Qc・Qdになっている。なお、開口13の正面視形状が円形なので、その開口13は円筒部11の内部空間を同心状に含むことになる。
次に、第1実施形態の換気レジスタ1は、フェイス部材20を軸心周りに回転可能に且つ軸心方向に移動可能に支持するフェイス支持手段を備えている。このフェイス支持手段は、フェイス部材20の背面22から軸心方向に延設された円筒状の軸部25と、この軸部25を支持すべく本体ベース10の内部に配設された円筒状の軸受部15とからなる。その軸受部15は板状ステー15aにより円筒部11内の中央位置に配置されている。
また、フェイス部材20の背面22には、一対の突起状摺動部26が、軸部25から離間した点対称の位置に同一の棒状構造で突設されている。これらの突起状摺動部26は、その先端に非弾性の摺動用突部27が直角状に形成され、この前側に弾性を有する係合用突片28が直角状に形成されている。なお、図5の背面図に示すように、一対の突起状摺動部26は、フェイス部材20の背面22における直径対応部23に対して、そのフェイス部材20の開き方向(矢示e)に略45度の回転角θで先行させた位置に設けられている。
そして、本体ベース10の円筒部11には、その内周面11aに沿って一対の傾斜状ガイド部16が、点対称の位置に同一のリブ状構造で形成されている。これらの傾斜状ガイド部16は、円筒部11の内周面11aの周方向に沿って略90度の範囲で、前端16aから後端16bまで連続的に傾斜している。この傾斜状態は、開口13の前端エッジ14における前後位置の変化に対応するものである。なお、傾斜状ガイド部16の前端16aは全開時ストッパとなっており、後端16bは全閉時ストッパとなっている。
図2の拡大断面図に示すように、突起状摺動部26は、傾斜状ガイド部16を両側から挟み込むように係合されている。傾斜状ガイド部16の後側(裏側)は滑らかな摺動面17であり、突起状摺動部26の摺動用突部27が摺動される。また、傾斜状ガイド部16の前側(表側)には、複数の位置決め用の係合部18が波形状で形成されており、突起状摺動部26の係合用突片28が弾性をもってクリック的に係合される。なお、摺動用突部27及び係合用突片28の当接部分は、摩擦低減のため共に断面が円弧状に形成されている。
また、図9(a)の部分拡大で示すように、傾斜状ガイド部16の前端16aの直前では、その傾斜が大きく設定され、摺動面17及び係合部18が所定量で前方に突出されている。なお、図8及び図9に示すように、本体ベース10の円筒部11内には、必要に応じてフィルタFが装着される。このフィルタFは板状ステー15aの前側に配置され、円筒部11内の抜止めリブ19により保持される。このとき、傾斜状ガイド部16の後端16bが抜止めリブを兼用している。
ところで、第1実施形態の換気レジスタ1において、軸受部15や傾斜状ガイド部16を有する本体ベース10、軸部25や突起状摺動部26を有するフェイス部材20は、それぞれ例えばABS樹脂によって全体的に一体成形されている。したがって、この換気レジスタ1は、本体ベース10とフェイス部材20との、最少の2部品だけで構成されるものである。
次に、上述のように構成された第1実施形態の換気レジスタ1において、フェイス部材20の回転による本体ベース10の開口13の開閉動作について説明する。この換気レジスタ1においては、図4に示すように、フェイス部材20を矢示eの開き方向に回転させて、(a)全閉状態→(b)半開状態→(c)全開状態になる。反対に、フェイス部材20を矢示fの閉じ方向に回転させて、(c)全開状態→(b)半開状態→(a)全閉状態になる。フェイス部材20と開口13とは正面視形状が円形なので、見かけ上で両方の位相の変化はない。
フェイス部材20の外周エッジ24と開口13の前端エッジ14とが同一形状なので、各図(a)に示すように、その外周エッジ24を前端エッジ14に当接させることによって、開口13が全面的に閉塞されて全閉状態になっている。つまり、外周エッジ24の部分Pa・Pb・Pc・Pdは、それぞれ前端エッジ14で対応する部分Qa・Qb・Qc・Qdに当接されている。なお、図8(a)の部分拡大で示すように、外周エッジ24においては、裏側の段差縁が全周で前端エッジ14に密着されている。
このような全閉状態から、各図(b)に示すように、フェイス部材20を開き方向に略45度で回転させると、その外周エッジ24の最後方部分Pa・Pbが、開口13の前端エッジ14に沿って摺動されて、半開状態になる。さらに、各図(c)に示すように、フェイス部材20を開き方向に略45度で回転させると、その外周エッジ24の最後方部分Pa・Pbが、開口13の前端エッジ14の最前方部分Qc・Qdまで摺動されて、全開状態になる。そして、この逆動作によってフェイス部材20を閉じ方向に回転させると、全開状態から半開状態を経て全閉状態になる。なお、この換気レジスタ1の構造及び各図から明らかなように、開口13の開閉動作は点対称の形態で行なわれる。
上述のように、全閉状態〜半開状態〜全開状態の間でフェイス部材20を回転させる際には、その背面22の直径対応部23の両端部分、つまり外周エッジ24の最後方部分Pa・Pbが、開口13の前端エッジ14に沿って摺動される。開口13の前端エッジ14は前後の位置が連続的に変化しているから、その前端エッジ14に沿ってフェイス部材20を摺動回転させると、その回転に伴ってフェイス部材20が前後方向に移動される。これによって、フェイス部材20の背面22で直径対応部23の両側の凸曲面は、開口13に対して回転位置及び前後位置が変化していくので、その開口13における通気面積及び通気方向を開口13の周囲に沿って連続的に変化させることができる。
すなわち、図6(b)及び図7(b)に示す半開状態では、開口13の前端エッジ14の最後方部分Qa(Qb)に対して、フェイス部材20の外周エッジ24が間隔gを有して前方に位置する。この間隔gは、フェイス部材20の前方への移動量と背面22の凸面湾曲量との合計である。また、図6(c)及び図7(c)に示す全開状態では、同じく最後方部分Qa(Qb)に対して、フェイス部材20の外周エッジ24の最前方部分Pd(Pc)が間隔hを有して前方に位置する。この間隔hは、フェイス部材20の前方への最大移動分と背面22の凸面最大湾曲分との合計で、最大の間隔になる。
なお、この換気レジスタ1では、図7(c)及び図9(c)に示すように、フェイス部材20の背面22の凸面が、直径対応部23を挟んで前方に湾曲された凸曲面である。このため、開口13から流れ出る通気を、湾曲された凸曲面によって、開口13の側面で斜め前方に効果的に流すことができる。
次に、第1実施形態の換気レジスタ1においては、図8及び図9に示すように、フェイス部材20を回転させる際には、フェイス部材20の背面22の突起状摺動部26と本体ベース10の円筒部11の傾斜状ガイド部16とが、フェイス常時当接手段として機能する。すなわち、フェイス部材20を回転させると、図2において、突起状摺動部26の摺動用突部27が傾斜状ガイド部16の摺動面17に沿って摺動される。開き方向(矢示e)の場合は突起状摺動部26が前方に変位していき、閉じ方向(矢示f)の場合は突起状摺動部26が後方に変位していく。
これによって、フェイス部材20は、その回転に伴って本体ベース10の開口13に対して追従するので、常態的に、フェイス部材20の外周エッジ24の最後方部分Pa・Pbが、開口13の前端エッジ14に当接される。したがって、フェイス部材20を開き方向及び閉じ方向のどちらに回転させる場合でも、その回転に伴ってフェイス部材20を前後方向に確実に移動させることができる。
なお、傾斜状ガイド部16を本体ベース10における大径の円筒部11の内周面11aに沿って設けているので、フェイス部材20の前後移動に対応する傾斜状ガイド部16の傾斜配置が緩やかになると共に、傾斜状ガイド部16のガイドストロークも長くとれる。これにより、フェイス部材20の回転に伴う摺動用突部27の摺動をスムーズに行なうことができる。
さらに、この換気レジスタ1においては、フェイス部材20を回転させる際、傾斜状ガイド部16に形成された複数の位置決め用の係合部18に、突起状摺動部26の係合用突片28が弾性をもってクリック的に係合される。これによって、本体ベース10に対するフェイス部材20の回転位置を確実に規定して、操作性を向上させることができる。
なお、ガイドストロークを長くとれる傾斜状ガイド部16に複数の係合部18を設けることによって、係合用突片28のクリック的な係合の多段化が可能になるので、フェイス部材20の回転位置を細かく調節することができる。また、回転の位置決め構造が本体ベース10の内部にあって外側に露出しないから、外観体裁も好ましいものとなる。
上述のように、第1実施形態の換気レジスタ1においては、フェイス部材20側の突起状摺動部26と本体ベース10側の傾斜状ガイド部16とが、フェイス常時当接手段の他にフェイス位置決め手段としても機能する。なお、突起状摺動部26の摺動用突部27に弾性を持たせて位置決め兼用とし、係合用突片28を省略することも可能だが、この換気レジスタ1では、摺動用突部27を常時当接用に特化させ且つ係合用突片28を位置決め用に特化させることよって、両方の動作を共に確実に行なうことができる。なお、図8(b)の部分拡大で示すように、突起状摺動部26の摺動用突部27及び係合用突片28は、これらの先端面が円筒部11の内周面11aに摺接せず、フェイス部材20の回転支持には影響を与えない。
ところで、図5において、フェイス部材20の背面22における一対の突起状摺動部26の位置に関しては、背面22の直径対応部23と直交する方向に配置するのが、回転動作のバランスの点で好ましい。しかしこの場合は、開口13の全開状態で突起状摺動部26が最大通気箇所に位置することになる。また、突起状摺動部26を直径対応部23に対して、開き方向(矢示e)に略45度の回転角で後退させた位置に設ける場合は、開口13の半開状態で突起状摺動部26が最大通気箇所に位置することになる。
そこで、この換気レジスタ1では、突起状摺動部26を直径対応部23に対して、開き方向(矢示e)に略45度の回転角で先行させた位置に設けている。これによって、図5(c)で開口13を全開状態にした際に、突起状摺動部26を通気流に対して影響の少ない箇所に位置させることができ、また、突起状摺動部26が開口13の外側から目立たないようになる。なお、図5(b)の開口13の半開状態では、突起状摺動部26が開口13の開閉変化の少ない箇所に位置するので、通気流に対して影響は殆んどない。
次に、第1実施形態の換気レジスタ1においては、突起状摺動部26及び傾斜状ガイド部16がフェイス部材20の常時当接手段として機能するので、本体ベース10からのフェイス部材20の脱落が防止されることになる。それでいて、この換気レジスタ1では、本体ベース10に対してフェイス部材20が着脱自在に構成されている。すなわち、図9(a)の部分拡大で示すように、傾斜状ガイド部16の前端16aは全開時ストッパであるが、その直前では摺動面17及び係合部18が所定量で前方に突出されている。このため、図9(c)の部分拡大で示すように、全開状態でフェイス部材20の回転が停止された際、突起状摺動部26が前方(矢示i)に移動される。
これによって、図8(c)の部分拡大で示すように、全開状態では、フェイス部材20の外周エッジ24と開口13の前端エッジ14との間に所定量の隙間が生じ、フェイス部材20が全体的に開口13に対して前方に移動されている(手前に少し浮いている)ことになる。そこで、このフェイス部材20を突起状摺動部26の係合用突片28の弾性に抗して少し後方に押し込んでから、突起状摺動部26の摺動用突部27が傾斜状ガイド部16の前端16aを乗り越えるように少し回転させると、フェイス部材20を本体ベース10から容易に離脱させることができる。また、この逆動作によって、フェイス部材20を本体ベース10に簡単に装着させることができる。したがって、本体ベース10内のフィルタFの取替やフェイス部材20の適宜な交換等が容易に可能となる。
なお、この換気レジスタ1では、本体ベース10のフランジ部12で傾斜状ガイド部16の前端16a近傍に、例えば「↓ツメ挿入口」なる着脱案内が表示されている。また、フランジ部12の外周壁12aで上面に、例えば「開←→閉」なる操作案内が表示されている。さらに、フェイス部材20の外周エッジ24には、回転操作用の指掛け部が形成されている。
以上、第1実施形態の換気レジスタ1について説明してきたが、この換気レジスタ1によれば、本体ベース10に対してフェイス部材20を回転させる際に、フェイス部材20の背面22で直径対応部23の両端部分Pa・Pbを、本体ベース10の開口13の前端エッジ14に当接させることによって、フェイス部材20と開口13とにおける前後方向(軸心方向)の間隔が確定される。
したがって、フェイス部材20の回転を前後移動に変換するための複雑な機構が必要ないので、本体ベース10に対するフェイス部材20の支持構造を簡単にすることができる。すなわち、この換気レジスタ1におけるフェイス支持手段は、フェイス部材20の回転支持及び前後移動支持に特化させたものでよいから、フェイス部材20側の軸部25と本体ベース10側の軸受部15とが、共に極めて簡単な構造で済むことになる。
また、この換気レジスタ1によれば、フェイス部材20の背面22の突起状摺動部26と本体ベース10の内部の傾斜状ガイド部16とが、フェイス常時当接手段として機能するから、別個のバネ部材などを用いる必要がない。これによって、この換気レジスタ1は、共に一体成形される本体ベース10とフェイス部材20との、最少の2部品だけで構成されるので、全体の部品点数及び組立工数の最少化が可能となり、製造コストの大幅な削減を図ることができる。
さらに、この換気レジスタ1のフェイス部材20は、正面視の形状が一般的な円形でありながら、その背面22が直径対応部23を挟んで両側に広がる凸面形状であるから、フェイス部材20の回転位置に応じて側方に独特な形態が現出する。
ところで、フェイス部材20の背面22が凸面形状であるのに対して、正面21の形状は開口13を開閉する機能に直接的には影響しない。そこで、特にフェイス部材20の背面22の凸面形状に合わせて正面21を凹面形状にして全体的に板状部材にすると、円形で凹凸面板状をなすフェイス部材20の回転位置によって、今までにない独特な外観体裁を呈するフェイス部材20となる。このため、フェイス部材20が廉価な単品で交換も容易に可能な利点を生かし、例えば、色違いの複数のフェイス部材20を用意して、室内の模様替えや季節ごとにフェイス部材20を交換すると、室内インテリアにもなり得る換気レジスタ1のユニークな特徴をさらに際立たせることができる。
なお、上述した第1実施形態においては、フェイス部材20の背面22の突起状摺動部26を一対で設けた構造を例示したが、フェイス部材20は軸部25により回転支持されると共に、その背面22の直径対応部23の両端部分が開口13の前端エッジ14に当接されているので、フェイス部材20側の突起状摺動部26を1個にする場合でも、安定した動作は可能である。また、第1実施形態においては、本体ベース10の円筒部11の傾斜状ガイド部16としてリブ状構造のものを例示したが、円筒部11の周方向に沿った長溝形状にしてもよい。
次に、第2実施形態の換気レジスタ(軸なし円形フェイス)について、図10及び図11を参照して説明する。その図11において、(a)(b)(c)は順に開口の全閉状態・半開状態・全開状態を示している。
第2実施形態の換気レジスタ2は、前述した第1実施形態の換気レジスタ1における軸部25及び軸受部15を省略したものである。フェイス部材20の背面22には、一対の突起状摺動部126が、回転軸心から離間した点対称の位置に同一の棒状構造で突設されている。これらの突起状摺動部126は、その先端に非弾性の摺動用突部127が直角状に形成され、この前側に弾性を有する係合用突片128が直角状に形成されている。突起状摺動部126は、本体ベース10側の傾斜状ガイド部16に係合され、第1実施形態と同様にフェイス常時当接手段及びフェイス位置決め手段として機能する。
また、フェイス部材20の背面22には、一対の突起状支持部129が、突起状摺動部126から略90度ずれた位置に同一の棒状構造で突設されている。これらの突起状支持部129は、その先端に摺接用突部130が直角状に形成されている。突起状支持部129は傾斜状ガイド部16に係合されない構造である。図11に示すように、突起状摺動部126の摺動用突部127と突起状支持部129の摺接用突部130とは、第1実施形態のものと比較して幅広に形成されており、これらの先端面が円筒部11の内周面11aに摺接されている。したがって、突起状摺動部126及び突起状支持部129によって、フェイス部材20が本体ベース10に対して回転可能で且つ前後移動可能に支持されることになる。
上述したように、この換気レジスタ2によれば、フェイス部材20の軸部及び本体ベース10の軸受部が存在しなくても、突起状摺動部126及び突起状支持部129がフェイス支持手段として機能するので、フェイス部材20の回転による開口13の開閉動作は第1実施形態と同様に行なうことができる。そして、フェイス部材20及び本体ベース10の中央位置に軸部及び軸受部が存在しないので、通気状態をより良好にできると共に、支持構造をさらに簡単にできる。
次に、第3実施形態の換気レジスタ(楕円形フェイス)について、図12〜図19を参照して説明する。その図13〜図19において、(a)(b)(c)は順に開口の全閉状態・半開状態・全開状態を示している。
第3実施形態の換気レジスタ3は、本体ベース30とこの前側に配置されるフェイス部材40とを備えている。本体ベース30は、後方の円筒部11と前方のフランジ部32とからなる。フランジ部32の前面には、外周壁32aにより囲まれる開口33が設けられ、この開口33は円筒部11の内部空間から連通されている。なお、開口33の前端エッジ34は、フランジ部32の外周壁32aの前縁によって形成されている。
フェイス部材40は、本体ベース30のフランジ部32における開口33を開閉するもので、正面41及び背面42を有する板状の部材である。フェイス部材40は、正面視(図14)の形状が楕円形に形成されており、その楕円形中心の位置で前後方向に延びる回転軸心Zを有している。フェイス部材40の背面42には、本発明で言う1本の稜線部として、仮想線で示すように、回転軸心Zを通る直線状の長軸対応部43が存在している。
そして、フェイス部材40の背面42において、長軸対応部43を最も後方に突出させている。また、フェイス部材40の外周エッジ44において、回転軸心Zを通って長軸対応部43と直交する方向(短軸に相当する方向)の両側部分を最も前方に位置させている。つまり、フェイス部材40の外周エッジ44は連続的な曲線形状であり、図12において、横方向(長軸方向)の両側が最後方部分Pa・Pbになり、縦方向(短軸相当方向)の両側が最前方部分Pc・Pdになっている。
これによって、フェイス部材40の背面42は、長軸対応部43を挟んで両側に広がる凸面となるように形成されている。この背面42の凸面としては、凸平面でもよいが、図16(a)の側面視で示すように、略円弧状や略楕円曲線状で前方に湾曲された凸曲面が好ましい。その凸曲面の湾曲程度つまり長軸対応部43と最前方部分Pc・Pdとの前後差などは、フェイス部材40の外形寸法に応じて適宜に設定される。なお、フェイス部材40は、その背面42の凸面形状と対応するように、その正面41が凹面形状となるように形成されており、全体的に均等な板厚の板状部材となっている。また、フェイス部材40の背面42には、補強用リブ45が長軸対応部43と直交する方向に形成されている。
このフェイス部材40に対して、本体ベース30のフランジ部32においては、開口33の前端エッジ34の形状が、フェイス部材40の外周エッジ44の形状に合致させて、同一の曲線形状となるように形成されている。つまり、フランジ部32の開口33も正面視の形状が楕円形であり、その前端エッジ34の連続的な曲線形状は、図12において、横方向の両側が最後方部分Qa・Qbになり、縦方向の両側が最前方部分Qc・Qdになっている。なお、開口33の正面視形状が楕円形なので、その開口33は円筒部11の内部空間を同心状に含むことになる。
なお、第3実施形態の換気レジスタ3において、フェイス支持手段であるフェイス部材40側の軸部25と本体ベース30側の軸受部15は、前述した第1実施形態と同様な構成である。また、フェイス常時当接手段及びフェイス位置決め手段として機能するフェイス部材40側の突起状摺動部26と本体ベース30側の傾斜状ガイド部16も、第1実施形態と同様な構成である。さらに、この換気レジスタ3も、共に一体成形される本体ベース30とフェイス部材40との、最少の2部品だけで構成されるものである。
次に、上述のように構成された第3実施形態の換気レジスタ3において、フェイス部材40の回転による本体ベース30の開口33の開閉動作について説明する。この換気レジスタ3においては、図14に示すように、フェイス部材40を矢示eの開き方向に回転させて、(a)全閉状態→(b)半開状態→(c)全開状態になる。反対に、フェイス部材40を矢示fの閉じ方向に回転させて、(c)全開状態→(b)半開状態→(a)全閉状態になる。フェイス部材40と開口33とは正面視形状が楕円形なので、フェイス部材40の回転に応じて両方の位相が変化していく。
フェイス部材40の外周エッジ44と開口33の前端エッジ34とが同一形状なので、各図(a)に示すように、その外周エッジ44を前端エッジ34に当接させることによって、開口33が全面的に閉塞されて全閉状態になっている。つまり、外周エッジ44の部分Pa・Pb・Pc・Pdは、それぞれ前端エッジ34で対応する部分Qa・Qb・Qc・Qdに当接されている。なお、図18(a)の部分拡大で示すように、外周エッジ44においては、裏側の段差縁が全周でシール材Sを介して前端エッジ34に密着されている。ここでシール材Sを用いているのは、正面視形状が楕円形のフェイス部材40の場合、正面視形状が円形のフェイス部材と異なり、外周エッジ44の全周を直接的に前端エッジ34に密着させ難いためである。
このような全閉状態から、各図(b)に示すように、フェイス部材40を開き方向に略45度で回転させると、その外周エッジ44の最後方部分Pa・Pbを含む長軸対応部43の両側部分が、開口33の前端エッジ34に沿って摺動されて、半開状態になる。さらに、各図(c)に示すように、フェイス部材40を開き方向に略45度で回転させると、その長軸対応部43の両側部分が、開口33の前端エッジ34の最前方部分Qc・Qdまで摺動されて、全開状態になる。そして、この逆動作によってフェイス部材40を閉じ方向に回転させると、全開状態から半開状態を経て全閉状態になる。なお、この換気レジスタ3の構造及び各図から明らかなように、開口33の開閉動作は点対称の形態で行なわれる。
上述のように、全閉状態〜半開状態〜全開状態の間でフェイス部材40を回転させる際には、その背面42の長軸対応部43において両側部分の所定範囲が、開口33の前端エッジ34に沿って摺動される。開口33の前端エッジ34は前後の位置が連続的に変化しているから、その前端エッジ34に沿ってフェイス部材40を摺動回転させると、その回転に伴ってフェイス部材40が前後方向に移動される。これによって、フェイス部材40の背面42で長軸対応部43の両側の凸曲面は、開口33に対して回転位置及び前後位置が変化していくので、その開口33における通気面積及び通気方向を開口33の周囲に沿って連続的に変化させることができる。
すなわち、図16(b)及び図17(b)に示す半開状態では、開口33の前端エッジ34の最後方部分Qa(Qb)に対して、フェイス部材40の外周エッジ44が間隔jを有して内側前方に位置する。この間隔jは、フェイス部材40の前方への移動量と背面42の凸面湾曲量との合計である。また、図16(c)及び図17(c)に示す全開状態では、同じく最後方部分Qa(Qb)に対して、フェイス部材40の外周エッジ44の最前方部分Pd(Pc)が間隔kを有して内側前方に位置する。この間隔kは、フェイス部材40の前方への最大移動分と背面42の凸面最大湾曲分との合計で、最大の間隔になる。
なお、この換気レジスタ3では、図17(c)及び図19(c)に示すように、フェイス部材40の背面42の凸面が、長軸対応部43を挟んで前方に湾曲された凸曲面で、さらに、外周エッジ44の最前方部分Pd・Pcが、前端エッジ34の最後方部分Qa・Qbよりも内側に位置する。このため、開口33から流れ出る通気を、湾曲された凸曲面によって、開口33の側面で斜め前方に広範囲で効果的に流すことができる。
また、第3実施形態の換気レジスタ3においても、図18及び図19に示すように、フェイス部材40の回転支持及び前後移動支持、フェイス部材40の常時当接、フェイス部材40の回転の位置決め、さらにフェイス部材40の着脱操作などにおける作用効果は、前述した第1実施形態と同様である。
以上、第3実施形態の換気レジスタ3について説明してきたが、この換気レジスタ3においても、第1及び第2実施形態(円形フェイス)と同様に、フェイス部材40の回転を前後移動に変換するための複雑な機構が必要ないので、本体ベース30に対するフェイス部材40の支持構造を簡単にすることができる。また、この換気レジスタ3の場合も、共に一体成形される本体ベース30とフェイス部材40との、最少の2部品だけで構成されるので、全体の部品点数及び組立工数の最少化が可能となり、製造コストの大幅な削減を図ることができる。
ここで、換気レジスタ3の特徴として、フェイス部材40と開口33との正面視形状が楕円形なので、フェイス部材40による開口33の全閉状態からフェイス部材40を回転させると、両方の位相が変化していく。これにより、図14に示すように、正面視での開口33部分が全閉状態から徐々に大きくなって全開状態で最大となるので、開口33における前面方向(軸心方向)の通気面積も連続的に増大させることができる。この通気面積の大小は、楕円形における扁平率の設定によって適宜に変更が可能である。
そして、正面視形状が楕円形のフェイス部材40における背面42の長軸対応部43は、回転軸心Zを通って外周エッジ44の両側部分を結ぶ最長の線分である。このため、本体ベース30に対してフェイス部材40を回転させる際に、その背面42の長軸対応部43における両側部分の所定範囲が、開口33の前端エッジ34に沿って摺動されるので、フェイス部材40の位相が変化しても摺動回転をスムーズに行なうことができる。
また、この換気レジスタ3のフェイス部材40は、正面視の形状が特徴的な楕円形である上に、その背面42が長軸対応部43を挟んで両側に広がる凸面形状であるから、フェイス部材40の回転位置に応じて前方及び側方に独特な形態が現出する。さらに、フェイス部材40の背面42の凸面形状に合わせて正面41を凹面形状にして全体的に板状部材としたので、楕円形で凹凸面板状をなすフェイス部材40の回転位置によって、今までにない独特な外観体裁を呈するフェイス部材40となる。
なお、この換気レジスタ3では、フェイス部材40の正面視形状が楕円形であるが、本発明で言う略楕円形とは、本体ベース30に対してフェイス部材40を円滑に摺動回転させることができれば、楕円形に近似する形状も適用が可能という意味である。ただし、樹脂成形用の金型を設計する際には、楕円形に設定した方が数値計算の点で好ましい。また、フェイス部材40の背面42における長軸対応部43に関しては、緩やかな曲線状でもフェイス部材40の摺動回転は一応可能である。しかし、図16(c)及び図18(c)に示すように、フェイス部材40の回転によって本体ベース30との間隔を最も大きくとり得るのは、背面42の長軸対応部43を直線状にした場合である。
これまで、第1及び第2実施形態の換気レジスタ1・2(円形フェイス)、第3実施形態の換気レジスタ3(楕円形フェイス)について説明したが、フェイス部材の正面視形状としては、その外周エッジが複数の辺で構成される多角形も適用可能である。この場合に好ましいのは、最長の対角線対応部が回転軸心を通るような、点対称の多角形である。さらに好ましいのは、回転動作や開閉形態のバランスの点から、正偶数多角形(その扁平形も含む)である。そこで以下に、基本的な正方形フェイスと正六角形フェイスについて説明する。
まず、第4実施形態の換気レジスタ(正方形フェイス)について、図20〜図25を参照して説明する。その図20〜図25において、(a)(b)(c)は順に開口の全閉状態・半開状態・全開状態を示している。
第4実施形態の換気レジスタ4は、本体ベース50とこの前側に配置されるフェイス部材60とを備えている。本体ベース50は、後方の円筒部51と前方のフランジ部52とからなる。フランジ部52の前面には、外周壁52aにより囲まれる開口53が設けられ、この開口53は円筒部51の内部空間から連通されている。なお、開口53の前端エッジ54は、フランジ部52の外周壁52aの前縁によって形成されている。
フェイス部材60は、本体ベース50のフランジ部52における開口53を開閉するもので、正面61及び背面62を有する板状の部材である。フェイス部材60は、正面視(図21)の形状が正方形に形成されており、その点対称中心の位置で前後方向に延びる回転軸心Zを有している。フェイス部材60の背面62には、本発明で言う1本の稜線部として、回転軸心Zを通る直線状の対角線対応部が存在している。特に、この換気レジスタ4では、その対角線対応部に沿って直線状リブ63が形成されている。
そして、フェイス部材60の背面62において、直線状リブ63を最も後方に突出させている。また、フェイス部材60の外周エッジ64において、回転軸心Zを通って直線状リブ63と直交する方向の両側部分を最も前方に位置させている。つまり、フェイス部材60の外周エッジ64は直線的な4辺であり、図20において、横方向の両側が最後方頂点Pa・Pbになり、縦方向の両側が最前方頂点Pc・Pdになっている。
これによって、フェイス部材60の背面62は、直線状リブ63を挟んで両側に広がる凸面となるように形成されている。この背面62の凸面としては、凸曲面でもよいが、図22(a)の側面視で示すように、略「く」の字状で前方に折曲された凸平面にしている。その凸平面の折曲程度つまり直線状リブ63と最前方頂点Pc・Pdとの前後差などは、フェイス部材60の外形寸法に応じて適宜に設定される。なお、フェイス部材60は、その背面62の凸面形状と対応するように、その正面61が凹面形状となるように形成されており、全体的に均等な板厚の板状部材となっている。
このフェイス部材60に対して、本体ベース50のフランジ部52においては、開口53の前端エッジ54の形状が、フェイス部材60の外周エッジ64の形状に合致させて、同一の4辺形状となるように形成されている。つまり、フランジ部52の開口53も正面視の形状が正方形であり、その前端エッジ54の4辺形状は、図20において、横方向の両側が最後方頂点Qa・Qbになり、縦方向の両側が最前方頂点Qc・Qdになっている。なお、開口53の正面視形状が正方形なので、その開口53は円筒部51の内部空間を同心状に含むことになる。
また、この換気レジスタ4においては、開口53の前端エッジ54で両頂点Qa・Qbの位置にそれぞれ位置決め用の嵌合部56が溝形状で形成され、両頂点Qc・Qdの位置にそれぞれ嵌合部58が形成されている。さらに、前端エッジ54で辺QaQcと辺QbQdには、それぞれ中間の位置に嵌合部57が形成されている。そして、フェイス部材60の背面62の直線状リブ63が、前端エッジ54の各嵌合部56・57・58の何れかに選択的に嵌合されて、フェイス部材60の回転が位置決めされる。
次に、第4実施形態の換気レジスタ4は、フェイス部材60を軸心周りに回転可能に且つ軸心方向に移動可能に支持するフェイス支持手段を備えている。このフェイス支持手段は、図24及び図25に示すように、フェイス部材60の背面62から軸心方向に延設された円柱状の軸部65と、この軸部65を支持すべく本体ベース50の内部に配設された円筒状の軸受部55とからなる。その軸受部55は円筒部51の内周面51aに架設された板状ステー55aにより中央位置に配置されている。また、本体ベース50の円筒部51内で板状ステー55aの前側には、必要に応じてフィルタFが装着される。
そして、この換気レジスタ4においては、フェイス部材60を本体ベース50の方向に移動付勢するフェイス付勢手段として、バネ部材である引張コイルバネ90を用いている。このコイルバネ90は、一端が軸部65の後端に連結され且つ他端がバネ受けピン91に連結されており、そのバネ受けピン91が軸受部55の後端に当接されている。なお、この換気レジスタ4も、本体ベース50とフェイス部材60とは、それぞれ一体成形が可能なものである。
次に、上述のように構成された第4実施形態の換気レジスタ4において、フェイス部材60の回転による本体ベース50の開口53の開閉動作について説明する。この換気レジスタ4においては、図21に示すように、フェイス部材60を矢示eの開き方向に回転させて、(a)全閉状態→(b)半開状態→(c)全開状態になる。反対に、フェイス部材60を矢示fの閉じ方向に回転させて、(c)全開状態→(b)半開状態→(a)全閉状態になる。フェイス部材60と開口53とは正面視形状が正方形なので、フェイス部材60の回転に応じて両方の位相が変化していくが、全閉状態と全開状態との位相は見かけ上で一致する。
フェイス部材60の外周エッジ64と開口53の前端エッジ54とが同一形状なので、各図(a)に示すように、その外周エッジ64を前端エッジ54に当接させることによって、開口53が全面的に閉塞されて全閉状態になっている。つまり、外周エッジ64の4個の頂点Pa・Pb・Pc・Pdは、それぞれ前端エッジ54で対応する4個の頂点Qa・Qb・Qc・Qdに当接されている。
このような全閉状態から、各図(b)に示すように、フェイス部材60を開き方向に略45度で回転させると、その背面62の直線状リブ63の両側部分が、開口53の前端エッジ54に沿って摺動されて、半開状態になる。さらに、各図(c)に示すように、フェイス部材60を開き方向に略45度で回転させると、その直線状リブ63の最後方頂点Pa・Pbが、開口53の前端エッジ54の最前方頂点Qc・Qdまで摺動されて、全開状態になる。そして、この逆動作によってフェイス部材60を閉じ方向に回転させると、全開状態から半開状態を経て全閉状態になる。なお、この換気レジスタ4の構造及び各図から明らかなように、開口53の開閉動作は点対称の形態で行なわれる。
上述のように、全閉状態〜半開状態〜全開状態の間でフェイス部材60を回転させる際には、その背面62の直線状リブ63において両側部分の所定範囲が、開口53の辺である前端エッジ54に沿って摺動される。開口53の前端エッジ54は前後の位置が連続的に変化しているから、その前端エッジ54に沿ってフェイス部材60を摺動回転させると、その回転に伴ってフェイス部材60が前後方向に移動される。これによって、フェイス部材60の背面62で直線状リブ63の両側の凸平面は、開口53に対して回転位置及び前後位置が変化していくので、その開口53における通気面積及び通気方向を開口53の周囲に沿って連続的に変化させることができる。
すなわち、図22(b)及び図23(b)に示す半開状態では、開口53の前端エッジ54の最後方頂点に対して、フェイス部材60の外周エッジ64が間隔mを有して内側前方に位置する。この間隔mは、フェイス部材60の前方への移動量と背面62の凸面折曲量との合計である。また、図22(c)及び図23(c)に示す全開状態では、同じく最後方頂点に対して、フェイス部材60の外周エッジ64の最前方頂点が間隔nを有して前方に位置する。この間隔nは、フェイス部材60の前方への最大移動分と背面62の凸面最大折曲分との合計で、最大の間隔になる。
なお、この換気レジスタ4では、図23(c)及び図25(c)に示すように、フェイス部材60の背面62の凸面が、直線状リブ63を挟んで前方に折曲された凸平面である。このため、開口53から流れ出る通気を、折曲された凸平面によって、開口53の側面で斜め前方に効果的に流すことができる。
ところで、第4実施形態の換気レジスタ4においては、図24及び図25に示すように、フェイス部材60を回転させる際には、コイルバネ90がフェイス付勢手段として機能する。すなわち、このコイルバネ90のバネ力によって、フェイス部材60が本体ベース50の方向に移動付勢されるので、常態的に、フェイス部材60の背面62の直線状リブ63が、開口53の前端エッジ54に当接される。したがって、フェイス部材60を開き方向及び閉じ方向のどちらに回転させる場合でも、その回転に伴ってフェイス部材60を前後方向に確実に移動させることができる。
また、この換気レジスタ4においては、各図の(a)全閉状態・(b)半開状態・(c)全開状態で、それぞれフェイス部材60の背面62の直線状リブ63が、開口53の前端エッジ54の各嵌合部56・57・58に嵌合されて、フェイス部材60の回転が位置決めされている。この際にも、コイルバネ90がフェイス付勢手段として機能するので、本体ベース50に対するフェイス部材60の回転位置を確実に規定して、操作性を向上させることができる。
このように、フェイス部材60の回転の位置決めを開口53の前端エッジ54で行なう場合、フェイス部材60の背面62の対角線対応部が単に背面62の折曲部分であると、その背面62の折曲部分が開口53の前端エッジ54上で滑り易い。そこで、この換気レジスタ4においては、フェイス部材60の背面62の対角線対応部として直線状リブ63を形成し、前端エッジ54の各嵌合部56・57・58に嵌合させることによって、フェイス部材60の回転の位置決めを確実にしている。コイルバネ90の場合は充分な作動ストロークがとれるので、各嵌合部56・57・58に対する直線状リブ63の嵌合及び離脱は容易である。
ところで、この換気レジスタ4においては、コイルバネ90を用いているので、本体ベース50の開口53を開閉させる際に、フェイス部材60を両方向に何度も回転させることが可能である。また、開口53の前端エッジ54の各辺に嵌合部を複数個で設けて、フェイス部材60の回転を複数箇所で位置決めしてもよい。さらに、この換気レジスタ4の構造において、例えば本体ベース50を着脱可能な二重構造にすれば、本体ベース50ごと取外して、フェイス部材60を後方から分解離脱することが可能となる。
以上、第4実施形態の換気レジスタ4について説明してきたが、この換気レジスタ4のように、フェイス部材60の外周エッジ64が直線的な4辺で構成されていても、第1〜第3実施形態(円形フェイス及び楕円形フェイス)と同様に、フェイス部材60の回転を前後移動に変換するための複雑な機構が必要ないので、本体ベース50に対するフェイス部材60の支持構造を簡単にすることができる。また、この換気レジスタ4の場合は、共に一体成形が可能な本体ベース50とフェイス部材60との、最少の2部品にコイルバネ90を付加するだけで構成が可能なので、全体の部品点数及び組立工数の簡素化が可能となり、製造コストの削減を図ることができる。
ここで、換気レジスタ4の特徴として、フェイス部材60と開口53との正面視形状が正方形なので、フェイス部材60による開口53の全閉状態からフェイス部材60を回転させると、両方の位相が変化していく。このとき、図21に示すように、正面視での開口53部分が前端エッジ54の4頂点近傍に現れて半開状態で最大となるので、開口53における前面方向(軸心方向)の通気面積も連続的に変化させることができる。
そして、正面視形状が正方形のフェイス部材60における背面62の対角線対応部(直線状リブ63)は、回転軸心Zを通って外周エッジ64の両側部分を結ぶ最長の線分である。このため、本体ベース50に対してフェイス部材60を回転させる際に、その背面62の直線状リブ63における両側部分の所定範囲が、開口53の前端エッジ54に沿って摺動されるので、フェイス部材60の位相が変化しても摺動回転をスムーズに行なうことができる。
また、この換気レジスタ4のフェイス部材60は、正面視の形状が回転式フェイスとしては特徴的な正方形である上に、その背面62が直線状リブ63を挟んで両側に広がる凸面形状であるから、フェイス部材60の回転位置に応じて前方及び側方に独特な形態が現出する。さらに、フェイス部材60の背面62の凸面形状に合わせて正面61を凹面形状にして全体的に板状部材としたので、正方形で凹凸面板状をなすフェイス部材60の回転位置によって、今までにない独特な外観体裁を呈するフェイス部材60となる。
なお、前述した円形のフェイス部材20と楕円形のフェイス部材40との関係のように、この換気レジスタ4における正方形のフェイス部材60を扁平にした、ひし形のフェイス部材であっても同様に適用することができる。さらに、点対称の四角形としては、他に長方形や平行四辺形もあるが、これらの場合は本体ベースにおける円筒部とフランジ部とのバランスを考慮する必要がある。
ところで、前述した第1〜第3実施形態においては、フェイス部材側の突起状摺動部と本体ベース側の傾斜状ガイド部とが、フェイス常時当接手段として機能する、と説明した。一方、上述した第4実施形態においては、本体ベース内のバネ部材(コイルバネ)をフェイス付勢手段、と説明した。これらは共に、フェイス部材の背面を常態的に開口の前端エッジに当接させるものであるが、その基本的作用は異なっている。
すなわち、突起状摺動部と傾斜状ガイド部との係合によるフェイス部材の常時当接の場合は、フェイス部材が回転に伴って本体ベースの開口に対して追従する。このため、フェイス部材の回転が停止された際には停止状態が維持されるので、フェイス部材の回転の位置決め手段は簡略化が可能である。これに対して、バネ部材によるフェイス部材の移動付勢の場合は、フェイス部材に対して常にバネ力が働いている。このため、フェイス部材の回転の位置決め手段としては、開口の前端エッジにおいて溝形状などの嵌合構造を採用するのが好ましい。
次に、第5実施形態の換気レジスタ(正六角形フェイス)について、図26及び図27を参照して説明する。その図26及び図27において、(a)(b)(c)(d)(e)は順に開口の全閉状態・半開状態・全開初期状態・全開中間状態・全開最終状態を示している。
第5実施形態の換気レジスタ5は、本体ベース70とこの前側に配置されるフェイス部材80とを備えている。本体ベース70は、後方の円筒部51と前方のフランジ部72とからなる。フランジ部72の前面には、外周壁72aにより囲まれる開口73が設けられ、この開口73は円筒部51の内部空間から連通されている。なお、開口73の前端エッジ74は、フランジ部72の外周壁72aの前縁によって形成されている。
フェイス部材80は、本体ベース70のフランジ部72における開口73を開閉するもので、正面81及び背面82を有する板状の部材である。フェイス部材80は、正面視(図26)の形状が正六角形に形成されており、その点対称中心の位置で前後方向に延びる回転軸心Zを有している。フェイス部材80の背面82には、本発明で言う1本の稜線部として、回転軸心Zを通る直線状の対角線対応部83が存在している。
そして、フェイス部材80の背面82において、対角線対応部83を最も後方に突出させている。また、フェイス部材80の外周エッジ84において、回転軸心Zを通って対角線対応部83と直交する方向の両側部分を最も前方に位置させている。つまり、フェイス部材80の外周エッジ84は直線的な6辺であり、図26(a)において、横方向の両側が最後方頂点Pa・Pbになり、縦方向の両側が最前方頂点Pc・Pe及びPd・Pfになっている。このように、フェイス部材80の外周エッジ84における最前方部分は、一定範囲の長さを有する辺PcPe及び辺PdPfとなっている。
これによって、フェイス部材80の背面82は、対角線対応部83を挟んで両側に広がる凸面となるように形成されている。この背面82の凸面としては、凸曲面でもよいが、図27(a)の側面視で示すように、略「く」の字状で前方に折曲された凸平面にしている。その凸平面の折曲程度つまり対角線対応部83と最前方頂点Pc・Pe(Pd・Pf)との前後差などは、フェイス部材80の外形寸法に応じて適宜に設定される。なお、フェイス部材80は、その背面82の凸面形状と対応するように、その正面81が凹面形状となるように形成されており、全体的に均等な板厚の板状部材となっている。
このフェイス部材80に対して、本体ベース70のフランジ部72においては、開口73の前端エッジ74の形状が、フェイス部材80の外周エッジ84の形状に合致させて、同一の6辺形状となるように形成されている。つまり、フランジ部72の開口73も正面視の形状が正六角形であり、その前端エッジ74の6辺形状は、図26において、横方向の両側が最後方頂点Qa・Qbになり、縦方向の両側が最前方頂点Qc・Qe及びQd・Qfになっている。これによって、前端エッジ74の縦方向の両側には、一定範囲の長さを有する上側の最前方辺部74aと下側の最前方辺部74bとが存在することになる。なお、開口73の正面視形状が正六角形なので、その開口73は円筒部51の内部空間を同心状に含むことになる。
なお、第5実施形態の換気レジスタ5において、フェイス支持手段であるフェイス部材80側の軸部と本体ベース70側の軸受部は、前述した第1実施形態と同様な構成である。また、フェイス常時当接手段及びフェイス位置決め手段として機能するフェイス部材80側の突起状摺動部と本体ベース70側の傾斜状ガイド部も、第1実施形態と同様な構成である。さらに、この換気レジスタ5も、共に一体成形される本体ベース70とフェイス部材80との、最少の2部品だけで構成されるものである。
次に、上述のように構成された第5実施形態の換気レジスタ5において、フェイス部材80の回転による本体ベース70の開口73の開閉動作について説明する。この換気レジスタ5においては、図26に示すように、フェイス部材80を矢示eの開き方向に回転させて、(a)全閉状態→(b)半開状態→(c)全開初期状態→(d)全開中間状態→(e)全開最終状態になる。反対に、フェイス部材80を矢示fの閉じ方向に回転させて、(e)全開最終状態→(d)全開中間状態→(c)全開初期状態→(b)半開状態→(a)全閉状態になる。フェイス部材80と開口73とは正面視形状が正六角形なので、フェイス部材80の回転に応じて両方の位相が変化していくが、略60度の回転ごとに見かけ上の位相が一致する。
フェイス部材80の外周エッジ84と開口73の前端エッジ74とが同一形状なので、図26(a)に示すように、その外周エッジ84を前端エッジ74に当接させることによって、開口73が全面的に閉塞されて全閉状態になっている。つまり、外周エッジ84の6個の頂点Pa〜Pfは、それぞれ前端エッジ74で対応する6個の頂点Qa〜Qfに当接されている。
このような全閉状態から、図26(b)に示すように、フェイス部材80を開き方向に角度α(略30度)で回転させると、その背面82の対角線対応部83の両側部分が、開口73の前端エッジ74に沿って摺動されて、半開状態になる。さらに、図26(c)に示すように、フェイス部材80を開き方向に角度β(略60度)まで回転させると、その対角線対応部83の最後方頂点Pa・Pbが、前端エッジ74の最前方頂点Qc・Qdまで摺動されて、全開初期状態になる。
ここで、開口73の前端エッジ74の上下には、最前方辺部74a及び74bが存在している。このため、図26(d)に示すように、さらにフェイス部材80を開き方向に略90度まで回転させると、その背面82の対角線対応部83の両側部分が、前端エッジ74の最前方辺部74a・74bに沿って摺動されて、全開中間状態になる。さらに、図26(e)に示すように、フェイス部材80を開き方向に角度γ(略120度)まで回転させると、その対角線対応部83の最後方頂点Pa・Pbが、前端エッジ74の最前方頂点Qe・Qfまで摺動されて、全開最終状態になる。すなわち、フェイス部材80の回転範囲が角度βから角度γまでの間、全開状態が継続されることになる。そして、この逆動作によってフェイス部材80を閉じ方向に回転させると、全開継続状態から半開状態を経て全閉状態になる。なお、この換気レジスタ5の構造及び各図から明らかなように、開口73の開閉動作は点対称の形態で行なわれる。
上述のように、全閉状態〜半開状態〜全開継続状態の間でフェイス部材80を回転させる際には、その背面82の対角線対応部83において両側部分の所定範囲が、開口73の前端エッジ74に沿って摺動される。開口73の前端エッジ74は前後の位置が連続的に変化しているから、その前端エッジ74に沿ってフェイス部材80を摺動回転させると、その回転に伴ってフェイス部材80が前後方向に移動される。これによって、フェイス部材80の背面82で対角線対応部83の両側の凸平面は、開口73に対して回転位置及び前後位置が変化していくので、その開口73における通気面積及び通気方向を開口73の周囲に沿って連続的に変化させることができる。
すなわち、図27(b)に示す半開状態では、開口73の前端エッジ74の最後方頂点Qaに対して、フェイス部材80の外周エッジ84が間隔sを有して内側前方に位置する。この間隔sは、フェイス部材80の前方への移動量と背面82の凸面折曲量との合計である。また、図27(c)に示す全開初期状態では、同じく最後方頂点Qaに対して、フェイス部材80の外周エッジ84の最前方頂点Pfが間隔tを有して前方に位置する。この間隔tは、フェイス部材80の前方への最大移動分と背面82の凸面最大折曲分との合計で、最大の間隔になる。
そして、図27の(c)全開初期状態〜(d)全開中間状態〜(e)全開最終状態の間で、フェイス部材80の回転が継続される際、フェイス部材80の外周エッジ84の最大間隔tは変化しないが、フェイス部材80の回転に応じて背面82における凸面の向き、つまり最前方辺PdPfの方向が変化することになる。このときの通気流の変化を、図26(c)〜(d)〜(e)に矢印マークで示している。フェイス部材80の外周エッジ84の側方において、両側2箇所の最前方辺PdPf及びPcPeの向きに応じて、通気流の方向が連続的に変化する。特に、図26及び図27の(d)全開中間状態においては、開口73の前端エッジ74の最後方頂点Qa・Qbに対して、フェイス部材80の外周エッジ84の最前方辺PdPf・PcPeが中央部分で対向する。よって、この全開中間状態における通気面積が最大になって、その通気流量が最高となる。
なお、この換気レジスタ5でも、フェイス部材80の背面82の凸面が、対角線対応部83を挟んで前方に折曲された凸平面である。このため、開口73から流れ出る通気を、折曲された凸平面によって、開口73の側面で斜め前方に効果的に流すことができる。
以上、第5実施形態の換気レジスタ5について説明してきたが、この換気レジスタ5のように、フェイス部材80の外周エッジ84が直線的な6辺で構成されていても、第1〜第3実施形態(円形フェイス及び楕円形フェイス)と同様に、フェイス部材80の回転を前後移動に変換するための複雑な機構が必要ないので、本体ベース70に対するフェイス部材80の支持構造を簡単にすることができる。また、この換気レジスタ5の場合も、共に一体成形される本体ベース70とフェイス部材80との、最少の2部品だけで構成されるので、全体の部品点数及び組立工数の最少化が可能となり、製造コストの大幅な削減を図ることができる。
ここで、換気レジスタ5において特徴的なことは、フェイス部材80と開口73との正面視形状が正六角形なので、正方形の場合と異なり、フェイス部材80の背面82の対角線対応部83と直交する方向の両側において、開口73の前端エッジ74に一定範囲の長さを有する最前方辺部74a及び74bが存在することである。このため上述したように、フェイス部材80の回転による開口73の全開状態を、最前方辺部74a及び74bの一定範囲で継続させて、背面82の凸平面の向きを変化させることによって、全開状態での通気方向を連続的に調節することができる。また、正面視形状が正六角形のフェイス部材80の回転によって、正面視での開口73部分が前端エッジ74の6頂点近傍に現れるので、開口73における前面方向(軸心方向)の通気面積も連続的に変化させることができる。
そして、正面視形状が正六角形のフェイス部材80における背面82の対角線対応部83は、回転軸心Zを通って外周エッジ84の両側部分を結ぶ最長の線分である。このため、本体ベース70に対してフェイス部材80を回転させる際に、その背面82の対角線対応部83における両側部分の所定範囲が、開口73の前端エッジ74に沿って摺動されるので、フェイス部材80の位相が変化しても摺動回転をスムーズに行なうことができる。
また、この換気レジスタ5のフェイス部材80は、正面視の形状が回転式フェイスとしては特徴的な正六角形である上に、その背面82が対角線対応部83を挟んで両側に広がる凸面形状であるから、フェイス部材80の回転位置に応じて前方及び側方に独特な形態が現出する。さらに、フェイス部材80の背面82の凸面形状に合わせて正面81を凹面形状にして全体的に板状部材としたので、正六角形で凹凸面板状をなすフェイス部材80の回転位置によって、今までにない独特な外観体裁を呈するフェイス部材80となる。
なお、上述した第5実施形態のように、フェイス部材80の外周エッジ84つまり開口73の前端エッジ74における最前方部分が、一定範囲の長さを有する線分である構成は、前述した第1〜第3実施形態のような、フェイス部材と開口との正面視形状が円形または楕円形の場合であっても、同様に適用することが可能である。また、前述した第4及び第5実施形態で例示した正面視形状が正方形及び正六角形のフェイス部材においては、回転軸心を通る対角線対応部が等長で且つ最長である。そこで一般的に、これらの扁平形や他の点対称多角形のフェイス部材を採用する場合は、その点対称中心を通る複数の対角線の中で、最長の対角線対応部を稜線部に設定すればよい。
次に、第6実施形態の換気レジスタ(バネ付きフェイス)について、図28〜図30を参照して説明する。図28は、第6実施形態の換気レジスタ6において、バネ部材の様々な使用例を示すもので、(a)は直線形の線状バネ91、(b)は屈曲形の線状バネ92、(c)は一体成形の板バネ207、(d)は一体成形の加圧式の板バネ207・210である。なお、この換気レジスタ6は楕円形フェイスの例であるが、この形態に限られるものではない。
まず、図28に示すように、フェイス部材40の背面42の軸部150は、背面42寄りに大径軸151が形成され、先端にT字形状の着脱用ガイド152が形成されている。軸部150の着脱用ガイド152の前側部分には、(a)金属製で直線形の線状バネ91、(b)金属製で屈曲形の線状バネ92が、それぞれ軸部150と直交するように貫通挿入されている。なお、着脱用ガイド152の前側部分には保護板154が形成されており、この保護板154のスリット内に線状バネ91・92が挿通されて、捩れ等がないように保護されている。
また、図28及び図29(線状バネ92の例)に示すように、本体ベース30の円筒部11内に軸受部160が形成され、その後方にバネ受壁161が連設されている。バネ受壁161の後端にはテーパ面164が形成され、このテーパ面164に複数個のバネ係合溝165が形成されている。なお、これらの軸受部160及びバネ受壁161は点対称形状に2分割され、棒状ステー162により円筒部11内の中央位置に配置されている。
そして、線状バネ92が設けられた軸部150の着脱用ガイド152を先端にして、本体ベース30の軸受部160の前方から挿入させる。これによって、線状バネ92の両端部をバネ受壁161のバネ係合溝165の何れかに弾性的に係合させる。この線状バネ92の弾性反発力よって、軸部150つまりフェイス部材40の全体が本体ベース30の方向に移動付勢される。また、線状バネ92及びバネ係合溝165は、全閉状態・半開状態・全開状態などフェイス部材40の回転位置の選択切換用としても機能する。なお、線状バネ91の場合も同様である。このように、フェイス部材40は本体ベース30に対して着脱自在であり、本体ベース30内のフィルタFの取替やフェイス部材40の適宜な交換等が容易に可能である。
バネ部材として例示した屈曲形の線状バネ92は、長手方向の複数箇所で屈曲されたものである。フェイス部材40の軸部150に設けられたバネ挿入孔155(図29)は、その内部が略山形に形成されている。これによって、バネ挿入孔155からの線状バネ92の不測な抜けが防止され、バネ挿入孔155での線状バネ92の不要な回転も防止される。複数箇所で屈曲された線状バネ92は全長が実質的に長くなるので、バネ定数の設計つまり弾性反発力の設定が容易となる。なお、例示した線状バネ91・92は、インサート成形によって軸部150と一体化することも可能である。
ところで、図28に示すように、この換気レジスタ6では、フェイス部材40の背面42には長軸対応部として直線状リブ43が形成され、この直線状リブ43の両端近傍に突形部46が形成されている。正面視形状が楕円形のフェイス部材40の場合、全閉状態からのフェイス部材40の回転初期に、背面42の直線状リブ43を開口33の前端エッジ34に当接させ難いことがある。そこで、直線状リブ43の突形部46を回転初期に開口33の前端エッジ34に当接させることによって、直線状リブ32の円滑な摺動が可能となり、摺動時の耐磨耗性も向上する。
また、この換気レジスタ6のように、フェイス部材40の背面42に直線状リブ43が形成されている場合、第4実施形態の換気レジスタ4と同様に、この直線状リブ43を開口33の前端エッジ34の嵌合部(図示せず)に嵌合させて、フェイス部材40の回転の位置決めに利用してもよい。さらに、この換気レジスタ6では、図29に示すように、本体ベース30の円筒部11の前側でフランジ部32との連続部分に、前方に向って大径となる傾斜整流部35が形成されている。この傾斜整流部35によって、円筒部11の内部空間からフランジ部32の開口33に流れる通気流を円滑にすることができる。
次に、図28(c)に示す一体成形の板バネ207について説明する。前述したように、フェイス部材40は例えばABS樹脂によって全体的に一体成形されている。そこで、フェイス部材40の軸部150における着脱用ガイド152の前側部分に、該ガイド52と平行に板バネ207が一体に成形されている。すなわち、この板バネ207は、軸部150と直交するような薄板形状であって、軸心方向に弾性的に撓むものである。そして、軸部150から突出する板バネ207の両端には、バネ作動用の係合部208が略V字突状に形成されている。
フェイス部材40を本体ベース30の方向に移動付勢させる板バネ207の機能は、前述した線状バネ92の使用例と同様である。すなわち、板バネ207の係合部208が、バネ受壁161における複数個のバネ係合溝165の何れかに弾性的に係合される。この板バネ207の弾性反発力よって、軸部150つまりフェイス部材40の全体が本体ベース30側に移動付勢される。また、フェイス部材40を本体ベース30に対して着脱させる操作も、前述した線状バネ92の使用例と同様に可能である。
なお、板バネ207の両端に係合部208が形成されているので、係合部208がバネ受壁161のテーパ面164を移行される際はスムーズであり、係合部208がバネ係合溝165に対して係合される際は確実に位置決めされる。この使用例のように、バネ部材として板バネ207をフェイス部材40の軸部150の先端近傍に一体に成形することによって、別個のバネ部材が不要で組付け工程も削減されるので、フェイス部材40の完全な単部品化及び更なる低コスト化を図ることができる。
ところで、フェイス部材40は例えばABS樹脂によって全体的に一体成形されているが、一体部品として好ましい合成樹脂材料であっても、その材料特性によっては板バネ207として弾性変形させ難い場合がある。そこで、この点を考慮した別の使用例を図28(d)及び図30を参照して説明する。
フェイス部材40の軸部150には、板バネ207の撓み側(後側)に近接するように、加圧用の板バネ210が一体に成形されている。すなわち、この板バネ210は、前側の板バネ207と平行になる薄板形状であって、軸心方向に弾性的に撓むものである。そして、加圧用の板バネ210の両端には、板バネ207に対向するように、バネ作動用の当接部211が突起状に形成されている。なお、軸部150の先端におけるT字形状の着脱用ガイド152には、板バネ207の円柱状の係合部208に対するストッパ用の突部157が形成されている。
一体成形の板バネ207及び加圧用板バネ210の使用例において、本体ベース30に対してフェイス部材40を当接させる板バネ207の機能は、前述した使用例と同様である。また、フェイス部材40を本体ベース30に対して着脱させる操作も、前述した使用例と同様に可能である。そして、この換気レジスタ6においては、板バネ207及び加圧用板バネ210によって、特徴的な弾発動作が行なわれる。
図30(a)は、フェイス部材40の軸部150における組付け前の状態である。板バネ207と加圧用板バネ210とは共に撓みがなく、加圧用板バネ210の当接部211は板バネ207から0.5mmの隙間で離れている。
図30(b)は、板バネ207の係合部208を、バネ受壁161のテーパ面164におけるバネ係合溝165の何れかに係合させた状態である。板バネ207が0.5mmの撓みで弾性変形し、加圧用板バネ210の当接部211に接触するが、まだ当接部211を押圧してはいない。通常は、このようにフェイス部材40の回転が位置決めされた状態で使用する。
図30(c)は、板バネ207の係合部208を、バネ受壁161のテーパ面164で移行させる状態である。板バネ207が1.5〜2mmの撓みで弾性変形し、加圧用板バネ210の当接部211を押圧するので、この加圧用板バネ210も弾性変形する。これによって、加圧用板バネ210の弾性反発力が当接部211を介して板バネ207に付加される。すなわち、板バネ207は自身の弾性反発力と付加された弾性反発力とで、充分な弾性反発力を発揮することになる。したがって、フェイス部材40を回転させる際に、本体ベース30に対する常態的な当接が確実に維持される。
図30(c)で、板バネ207の撓みが3.5mmになると、係合部208が着脱用ガイド152の突部157に当接するので、板バネ207の過剰な変形が規制される。このため、本体ベース30に対するフェイス部材40の着脱時に、板バネ207の破損などを未然に防止することができる。
合成樹脂材料の特性により板バネ207を弾性変形させ難い場合、板バネ207の板厚を薄くして弾性変形させ易くするが、こうすると板バネ207の弾性反発力が弱くなってしまう。そこで、板バネ207の弾性変形が設定値(例えば上記の0.5mm)よりも大きくなる場合に、加圧用板バネ210によって板バネ207に弾性反発力を付加する。これによって、板バネ207は充分な弾性反発力を発揮することができる。そして通常は、板バネ207の弾性変形が設定値以内になる状態で使用するので、合成樹脂におけるクリープ現象を抑えることができる。
なお、上記の数値は実施形態の換気レジスタ6における一例であり、フェイス部材40の成形材料の種類及び特性、板バネ207と加圧用板バネ210との全長及び板厚などに基づいて、最適に設定されるのは勿論である。さらに、場合によっては合成樹脂の2色成形などを用いて、板バネ207及び加圧用板バネ210の部分を、別の例えばPOM樹脂などによって一体成形してもよい。
以上のように、第1〜第6実施形態の換気レジスタについて説明してきた。これらの換気レジスタにおいては、それぞれ特徴的な形状のフェイス部材によって、本体ベースのフランジ部における開口が開閉されるが、その本体ベースの後方の円筒部は何れも共通の形状であってよい。これによって、壁の通気孔に対する取付け仕様が一般的な換気レジスタと同等になるので、本体ベースを含めた換気レジスタ全体の汎用性を高めることができる。また、各実施形態の換気レジスタにおいては、フランジ部の外周壁によって開口の前端エッジが形成されるので、開口の全閉状態ではフランジ部の全体をフェイス部材で覆うことができ、開口の全開状態であっても正面視で円筒部の内部が見えないようにフェイス部材で隠すことができる。
以上、本発明に係る換気レジスタの実施形態について説明したが、本発明は実施形態に限定されることなく、本発明の技術的範囲内で各種の有効な変更などが可能である。例えば、各実施形態で例示した種々の特徴的な形状のフェイス部材と、各実施形態で説明したフェイス部材の支持手段・常時当接手段・位置決め手段・付勢手段などは、有効に組み合わせる構成を採用し得る。また、実施形態の換気レジスタにおいては、開口の全閉状態で横方向を基準にして使用する形態を示したが、これを縦方向や斜め方向を基準にして使用してもよい。
最後に、第1〜第6実施形態の換気レジスタにおいては、本体ベースの開口の全閉状態と全開状態との間で、フェイス部材を略90度(第5実施形態では略120度)で回転させる構成を説明した。ここで、本発明の特徴とするところは、本体ベースの開口に対してフェイス部材を摺動回転に伴って前後移動させることであるから、開口を開閉させる際のフェイス部材の回転角度は限定されるものではない。したがって、上記の特徴としてフェイス部材の背面を部分的に開口のエッジに常時当接させる構成について、本体ベースの開口の形状に着目して記載したのが請求項1に係る発明であり、フェイス部材の形状に着目して記載したのが請求項2に係る発明である。