JP6247525B2 - 難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法 - Google Patents

難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法に関する。
芳香族化合物は、香粧品、医薬品、食品、日用品等の製品に広く利用されている。芳香族化合物には水に難溶性のものが多く、その利用形態は、アルコールに溶解させて使用するのが一般的である(例えば、特許文献1、2)。
しかしながら、アルコールは皮膚への刺激により使用感を損ないやすい。
そこで、難水溶性の芳香族化合物を水に可溶化させる技術が検討され、例えば、イソプロピルメチルフェノールにグルコース等の糖を結合させたイソプロピルメチルフェノール配糖体(特許文献3)や、界面活性剤と湿潤剤を併用してイソプロピルメチルフェノールを可溶化させる方法(特許文献4)が報告されている。
また、水性媒体の存在下、難水溶性の育毛成分や抗菌成分とポリフェノール配糖体等の水溶性芳香族化合物とを100〜180℃で加熱処理して、育毛成分又は抗菌成分を可溶化させる方法が報告されている(特許文献5、6)。
特開2009−96777号公報 特開2011−153122号公報 特開2005−82506号公報 特開2011−98919号公報 特開2013−124225号公報 特開2013−144670号公報
イソプロピルメチルフェノール配糖体のような難水溶性の芳香族化合物自身に糖を付加した所謂配糖体は水への溶解性が高いものの、製造工程が複雑であるためコストが高い。そのため、イソプロピルメチルフェノールに替えてイソプロピルメチルフェノール配糖体を使用することは経済的に不利である。
一方、界面活性剤を用いて難水溶性芳香族化合物を可溶化させる方法では、十分な溶解性と抗菌効果といった芳香族化合物の生理効果が得られない場合がある。また、特許文献5と6は、難水溶性芳香族化合物の可溶化促進にかかる技術であるが、溶解濃度の一層の向上が望ましい。
したがって、本発明は、水への溶解性に優れる難水溶性芳香族化合物含有組成物を製造する新たな方法を提供しようとするものである。
本発明者らは、難水溶性の芳香族化合物の可溶化技術について種々検討したところ、水性媒体の存在下、当該難水溶性の芳香族化合物とポリオールと水溶性の芳香族化合物を100℃以上で加熱処理することで、通常の難水溶性芳香族化合物の水への溶解度と比較して飛躍的に難水溶性芳香族化合物の溶解濃度が増加すること、また、斯かる処理を経た組成物では室温下においても難水溶性芳香族化合物の析出が抑えられ、極めて安定的に高い水への溶解性が維持されることを見出した。
すなわち、本発明は、水性媒体の存在下、(A)難水溶性芳香族化合物と(B)ポリオールと(C)水溶性芳香族化合物を100〜180℃で加熱処理する工程を含む、難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法、該製造方法により得られる難水溶性芳香族化合物含有組成物、及び該難水溶性芳香族化合物含有組成物を含有する化粧料を提供するものである。
本発明によれば、水への溶解性に優れ、且つその溶解状態を安定に保つことのできる難水溶性芳香族化合物含有組成物を製造することができる。この難水溶性芳香族化合物含有組成物を用いることで、エタノールの使用を低減、又は回避することができるため、皮膚刺激の少ない水系の製品の提供が可能である。
本発明の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法においては、水性媒体の存在下、(A)難水溶性芳香族化合物と(B)ポリオールと(C)水溶性芳香族化合物を100〜180℃で加熱処理する工程を含む。
本発明で用いられる(A)難水溶性芳香族化合物としては、難水溶性のもの、例えば、水に対する25℃での溶解度が0.5g/L以下、更に0.3g/L以下、更に0.2g/L以下である芳香族化合物が好ましく適用できる。
また、(B)ポリオールに対する25℃での溶解度が10g/L以上、更に30g/L以上、更に50g/L以上である芳香族化合物が好ましく適用できる。ここで溶解度は、溶液1L中に溶解している溶質のグラム数を表し、単位は[g/L]である。
芳香族化合物としては、特に限定されず、抗菌成分、美白成分、育毛成分が挙げられる。また、食品等に含まれる健康機能促進成分、例えばアントシアニン等の難水溶性芳香族化合物が挙げられる。
(A)難水溶性芳香族化合物は、1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
芳香族の抗菌成分としては、例えば、フェノール系抗菌剤が好ましく適用できる。
フェノール系抗菌剤は、トリクロサン、クロルチモール、カルバクロル、クロロフェン、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、クロロキシレノール、クロロクレゾール等のクロロフェノール系抗菌剤;O−フェニルフェノール、イソプロピルメチルフェノールが好ましく、更にトリクロサン、イソプロピルメチルフェノールが好ましく、更にイソプロピルメチルフェノールが好ましい。
芳香族の美白成分としては、例えば、クロモン誘導体が好ましく適用できる。
クロモン誘導体は、クロモン、すなわち4H−1−ベンゾピラン−4−オンの2位に炭素数1〜15の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有し、7位に水素原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を有する化合物が好ましい。
このようなクロモン誘導体の例としては、2−ブチルクロモン、2−ペンチルクロモン、2−ヘプチルクロモン、2−ノニルクロモン、2−ヘキサデシルクロモン、2−(1−エチルペンチル)クロモン、2−ブチル−7−メトキシクロモン、2−ペンチル−7−メトキシクロモン、2−ヘプチル−7−メトキシクロモン、2−ノニル−7−メトキシクロモン、2−ペンタデシル−7−メトキシクロモン、2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン、7−ヒドロキシ−2−メチルクロモン、7−ヒドロキシ−2−ブチルクロモン、7−ヒドロキシ−2−ペンチルクロモン、7−ヒドロキシ−2−ヘプチルクロモン、7−ヒドロキシ−2−ノニルクロモン、7−ヒドロキシ−2−ペンタデシルクロモン、7−ヒドロキシ−2−(1−エチルペンチル)クロモン等が挙げられる。なかでも、2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモンが好ましい。
クロモン誘導体は、公知の方法、例えば、特開平7−188208号公報に記載の方法により製造することができる。
芳香族の育毛成分としては、例えば、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン等のフラバノール誘導体;ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸β−ブトキシエチル等のニコチン酸類;α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、天然ビタミンE等のビタミンE類;ミノキシジル、ビマトプロスト、タフルプロスト、ノニル酸バニリルアミド、オトギリ草抽出物、トウガラシチンキ等が挙げられる。
なかでも、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸β−ブトキシエチル、α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、天然ビタミンE、ミノキシジル、ビマトプロスト、タフルプロスト、ノニル酸バニリルアミド、オトギリ草抽出物及びトウガラシチンキが好ましく、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノンがより好ましい。フラバノール誘導体は、公知の方法、例えば、特開2000−198779号公報に記載の方法により製造することができる。
本発明で用いられる(B)ポリオールは、炭化水素の2個以上の水素を水酸基で置換したアルコール類の総称であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール等のアルキレングリコール類;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等のグリセリン類等が挙げられる。なかでも、難水溶性芳香族化合物の可溶化の点から、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリンが好ましく、更にプロピレングリコール、1,3−ブタンジオールが好ましい。
ポリエチレングリコールの重量平均分子量は、200〜20,000のものが好ましい。
(B)ポリオールは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられる(C)水溶性芳香族化合物は、共に用いる(A)難水溶性芳香族化合物より水溶性が高いものが好ましい。具体的には、(C)成分の水に対する25℃での溶解度が、(A)成分の水に対する25℃における溶解度より2倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましく、10倍以上であることが更に好ましい。より具体的には、(C)成分の水に対する25℃での溶解度が1g/L以上、更に2g/L以上、更に5g/L以上、更に10g/L以上である芳香族化合物が好ましい。
このような水溶性芳香族化合物としては、例えば、難水溶性ポリフェノール類の糖付加物、難水溶性ポリフェノール類のメチル化物、カテキン類、クロロゲン酸類、安息香酸、サリチル酸、カフェイン、ニコチンアミド、水溶性イソフラボン、バニリン等が挙げられる。
また、比較的水溶性の高いフェノール系抗菌剤であるイソプロピルメチルフェノール配糖体、ベンジルアルコール、パラオキシ安息香酸メチル等を用いることができる。
なかでも、難水溶性ポリフェノール類のメチル化物、カテキン類、クロロゲン酸類、安息香酸、サリチル酸、カフェイン、ニコチンアミドが好ましい。
(C)水溶性芳香族化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられる難水溶性ポリフェノール類の糖付加物は、難水溶性ポリフェノール類に少なくとも1個の糖が結合した化合物である。
難水溶性ポリフェノール類としては、ベンゼン環にヒドロキシル基が1個以上、更に2個以上結合したフェノール性物質が好ましく、例えば、植物由来のフラボノイド、タンニン、フェノール酸等が挙げられる。より好ましく適用できる難水溶性ポリフェノール類としては、フラボノール類、フラバノン類、フラボン類、イソフラボン類、フェノールカルボン酸類等が挙げられる。なかでも、フラボノール類、フラバノン類が好ましく、ルチン、ヘスペリジン、イソクエルシトリンがより好ましく、ルチン、ヘスペリジンが更に好ましい。
なお、難水溶性ポリフェノール類の中には、アグリコンのみならずアグリコンに糖が結合した配糖体が含まれる。
例えば、ヘスペレチン(5,7,3’−トリヒドロキシ−4’−メトキシフラバノン)の7位の水酸基にルチノース(L−ラムノシル−(α1→6)−D−グルコース)がβ結合した配糖体であるヘスペリジン、アピゲニンにアピオース及びグルコースが結合したアピイン、ケルセチンにルチノースが結合したルチン、ケルセチンにラムノースが結合したケルシトリン等が挙げられる。
難水溶性ポリフェノール類に結合する糖の種類は、特に制限されないが、グルコース、ガラクトース、フルクトース、ラムノース、キシロース、アラビノース、エリトロース等の4〜6炭糖から選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。また、糖の結合数は、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜6個である。難水溶性ポリフェノール類への糖の結合部位は、フェノール性水酸基又は配糖体の糖残基である。難水溶性ポリフェノール類とこれら糖との結合様式はα−結合又はβ−結合のいずれであってもよい。
難水溶性ポリフェノール類の糖付加物としては、グルコシルヘスペリジン、グルコシルルチン、グルコシルケルセチン、グルコシルイソクエルシトリンが好ましく、グルコシルヘスペリジン、グルコシルルチンがより好ましい。
難水溶性ポリフェノール類の糖付加物は、化学合成や酵素反応を利用して公知の方法により工業的に製造することができる。
難水溶性ポリフェノール類の糖付加物として市販の製剤を使用してもよく、例えば、「林原ヘスペリジンS」((株)林原生物科学研究所)、「グルコシルルチンP」(東洋精糖(株))等が挙げられる。
本発明で用いられる難水溶性ポリフェノール類のメチル化物は、前述の難水溶性ポリフェノール類をメチル化し、水に可溶化したものである。メチル化の位置、個数は特に限定されない。具体的にはメチルヘスペリジン、メチルケルセチン、メチルレスベラトロール、メチルルチン等が挙げられ、メチルヘスペリジンが好ましい。メチルヘスペリジンには、主に、カルコン型化合物(1)及びフラバノン型化合物(2)が含まれることが知られており、その構成成分として、例えば以下に示す構造のものが挙げられる。
Figure 0006247525
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
ここで、医薬品添加物および食品添加物としてのメチルヘスペリジンは、主に、化合物(3)及び(4)の混合物として取り扱われている。
Figure 0006247525
(式中、Glは、グルコース残基、Rhは、ラムノース残基を表す。また、Gl−2は、グルコース残基の2位((3−1)の場合、3位も含む)、Rh−2は、ラムノース残基の2位を表す。)
また、化粧品原料としてのヘスペリジンメチルカルコンは、(5)で示される化合物として取り扱われている。なお、カルコン型化合物を多く含む組成の場合、ヘスペリジンメチルカルコンとも呼ばれる。
Figure 0006247525
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
本発明において用いられるメチルヘスペリジンは、上記で示したカルコン型化合物(1)とフラバノン型化合物(2)の両方を含むものでもよいし、また、それぞれの片方のみを含むものでもよい。
本発明において、より好適なメチルヘスペリジンとしては、化合物(3)と化合物(4)の混合物が挙げられる。
メチルヘスペリジンは、公知の方法、例えば、ヘスペリジンを水酸化ナトリウム水溶液に溶かし、そのアルカリ溶液に対応量のジメチル硫酸を作用させ、反応液を硫酸で中和し、n−ブチルアルコールで抽出し、溶媒を留去したのち、イソプロピルアルコールで再結晶することにより製造できるが(崎浴、日本化學雑誌、79、733−6(1958))、その製造法はこれに限るものではない。
メチルヘスペリジンとして市販のメチルヘスペリジン含有製剤を使用してもよく、例えば、「メチルヘスペリジン」(東京化成工業(株))、「ヘスペリジンメチルカルコン」(Sigma社)、「メチルヘスペリジン」(浜理薬品工業(株))が挙げられる。
本発明で用いられるカテキン類は、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類と、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を併せての総称である。カテキン類の含有量は、上記8種の合計量に基づいて定義される。
カテキン類は茶抽出物を用いてもよい。茶抽出物としては、茶抽出液、その濃縮物及びそれらの精製物から選択される少なくとも1種を使用することができる。
ここで、「茶抽出液」とは、茶葉から熱水又は水溶性有機溶媒を用いて抽出された抽出液であって、濃縮や精製操作が行われていないものをいう。なお、水溶性有機溶媒として、例えば、エタノール等の低級アルコールを使用することができる。また、抽出方法としては、ニーダー抽出、攪拌抽出(バッチ抽出)、向流抽出(ドリップ抽出)、カラム抽出等の公知の方法を採用できる。
抽出に使用する茶葉は、その加工方法により、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶に大別することができる。不発酵茶としては、例えば、煎茶、番茶、玉露、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等の緑茶が例示される。また、半発酵茶としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶が例示される。更に、発酵茶としては、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶が例示される。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、カテキン類の含有量の点から、緑茶が好ましい。
また、「茶抽出液の濃縮物」とは、不発酵茶、半発酵茶及び発酵茶から選択される茶葉から熱水又は水溶性有機溶媒により抽出された溶液の水分の一部を除去してカテキン類濃度を高めたものであり、例えば、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に記載の方法により調製することができる。その形態としては、固体、水溶液、スラリー状等の種々のものが挙げられる。茶抽出液の濃縮物として市販品を使用してもよく、例えば、三井農林(株)の「ポリフェノン」、伊藤園(株)の「テアフラン」、太陽化学(株)の「サンフェノン」等の緑茶抽出液の濃縮物がある。
茶抽出液等の精製は、溶剤やカラムを用いて精製することにより行うことができる。
本発明で用いられるクロロゲン酸類は、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3−フェルロイルキナ酸、4−フェルロイルキナ酸及び5−フェルロイルキナ酸のモノフェルロイルキナ酸と、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸のジカフェオイルキナ酸を併せての総称である。クロロゲン酸類の含有量は上記9種の合計量に基づいて定義される。
また、クロロゲン酸類は、塩の形態でもよく、塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。
クロロゲン酸類は、これを含む植物の抽出物、その濃縮物又はそれらの精製物等を使用することができる。このような植物抽出物としては、例えば、ヒマワリ種子、リンゴ未熟果、生コーヒー豆、シモン葉、マツ科植物の球果、マツ科植物の種子殻、サトウキビ南天の葉、ゴボウ、ナスの皮、ウメの果実、フキタンポポ、ブドウ科植物等から抽出されたものが挙げられる。なかでも、クロロゲン酸類含量等の点から、生コーヒー豆抽出物が好ましい。コーヒーの木の種類としては、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種及びアラブスタ種のいずれでもよい。なお、抽出、濃縮、精製の方法・条件は特に限定されず、公知の方法及び条件を採用することができる。
また、クロロゲン酸類として市販のクロロゲン酸類含有製剤を使用してもよく、例えば、フレーバーホルダーRC(長谷川香料(株))が挙げられる。
本発明で用いられる安息香酸、サリチル酸は、遊離の形或いは塩の形でもよいが、水溶性が高い点から塩が好ましく、更にナトリウム塩が好ましい。
本発明で用いられるカフェインは、無水物であってもよく、水やアルコール等との溶媒和物であってもよい。また、塩の形でもよい。
本発明で用いられる水性媒体とは、水、及び有機溶媒の水溶液をいう。水としては、水道水、蒸留水、イオン交換水、精製水が例示される。有機溶媒としては、水と均一に混合するものであれば特に限定されない。有機溶媒としては炭素数4以下の一価アルコールが好ましく、プロパノール及びエタノールがより好ましく、化粧料に適用可能であるという観点よりエタノールが更に好ましい。
有機溶媒を使用すると(A)難水溶性芳香族化合物の水に対する溶解度が高くなるが、皮膚への刺激の観点より使用量を少なくすることが望ましい。水溶液中の有機溶媒の濃度は、0〜60質量%(以下、単に「%」とする)が好ましく、0〜30%がより好ましく、0〜10%が更に好ましく、0〜1%が更に好ましく、実質的に0%、すなわち有機溶媒を含まないのが更に好ましい。
(A)難水溶性芳香族化合物は、(B)ポリオール及び/又は(C)水溶性芳香族化合物を水性媒体に溶解した溶液へ分散させ、スラリーの状態で加熱処理に供しても良いし、(A)難水溶性芳香族化合物を一旦(B)ポリオール及び/又は(C)水溶性芳香族化合物に溶解したものを水性媒体と混合した後に加熱処理に供してもよい。
加熱処理に供する際、水性媒体、(A)難水溶性芳香族化合物、(B)ポリオール及び(C)水溶性芳香族化合物を含有する加熱処理原料を調製し、加熱処理を行う。
加熱処理原料中の(A)難水溶性芳香族化合物の含有量は、その種類によって異なるが、通常、流動性の点から、0.1g/L以上、更に0.5g/L以上、更に0.7g/L以上、更に0.9g/L以上、更に1.5g/L以上、更に2g/L以上、更に2.5g/L以上が好ましく、また、100g/L以下、更に75g/L以下、更に60g/L以下、更に55g/L以下、更に50g/L以下、更に25g/L以下が好ましい。また、0.1〜100g/Lが好ましく、0.5〜75g/Lがより好ましく、0.7〜60g/Lが更に好ましく、0.9〜55g/Lが更に好ましく、0.9〜50g/Lが更に好ましく、1.5〜50g/Lが更に好ましく、2〜50g/Lが更に好ましく、2.5〜25g/Lが更に好ましい。
加熱処理原料中の(B)ポリオールの含有量は、その種類によって異なるが、通常、流動性の点、芳香族化合物含有組成物の溶解性の点から、1g/L以上、更に10g/L以上、更に20g/L以上が好ましく、更に100g/L以上が好ましく、更に300g/L以上が好ましく、また、800g/L以下、更に700g/L以下、更に600g/L以下、更に500g/L以下が好ましい。また、1〜800g/Lが好ましく、1〜700g/Lがより好ましく、10〜600g/Lが更に好ましく、20〜500g/Lが更に好ましく、100〜500g/Lが更に好ましく、更に300〜500g/Lが更に好ましい。
加熱処理原料中の(C)水溶性芳香族化合物の含有量は、その種類によって異なるが、安定性の点、流動性の点、芳香族化合物含有組成物の溶解性の点から、0.01g/L以上、更に0.05g/L以上、更に0.1g/L以上、更に2g/L以上、更に10g/L以上が好ましく、また、300g/L以下、更に250g/L以下、更に200g/L以下が好ましく、更に100g/L以下、更に50g/L以下、更に27.5g/L以下が好ましい。また、0.01〜300g/Lが好ましく、0.05〜250g/Lがより好ましく、0.1〜200g/Lが更に好ましく、2〜200g/Lが更に好ましく、10〜100g/Lが更に好ましく、10〜50g/Lが更に好ましく、10〜27.5g/Lが更に好ましい。
加熱処理原料中、成分(B)に対する成分(A)の質量比[(A)/(B)]は、冷却後に得られる芳香族化合物含有組成物の溶解性の点から、0.001以上、更に0.004以上、更に0.005以上が好ましく、また、0.5以下、更に0.1以下、更に0.05以下、更に0.008以下、更に0.007以下が好ましい。また、0.001〜0.5が好ましく、0.001〜0.1がより好ましく、0.004〜0.05が更に好ましく、0.004〜0.008が好ましく、0.005〜0.007が更に好ましい。
また、加熱処理原料中、成分(C)に対する成分(A)の質量比[(A)/(C)]は、冷却後に得られる芳香族化合物含有組成物の溶解性の点、安定性の点から、0.05以上、更に0.08以上、更に0.1以上、更に0.15以上が好ましく、また、5以下、更に2以下、更に1以下、更に0.3以下、更に0.25以下が好ましい。また、0.05〜5が好ましく、0.08〜2がより好ましく、0.1〜1が更に好ましく、0.1〜0.3が更に好ましく、0.15〜0.25が更に好ましい。
本発明の製造方法においては、(A)難水溶性芳香族化合物の生理活性を維持する観点より界面活性剤の使用量は少なくすることが望ましい。加熱処理原料中の界面活性剤の含有量は、0〜1g/Lが好ましく、0〜0.5g/Lが更に好ましく、0〜0.1g/Lが更に好ましく、実質的に0g/L、すなわち界面活性剤を含まないのが更に好ましい。
水性媒体の存在下、(A)難水溶性芳香族化合物と(B)ポリオールと(C)水溶性芳香族化合物を加熱処理する方法は、特に制限されず、公知の方法を適用できる。
加熱処理の温度は、(A)難水溶性芳香族化合物の溶解性向上と熱安定性の点から、100〜180℃であるが、110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、また、170℃以下がより好ましく、160℃以下がより好ましい。また、加熱処理の温度は、120〜160℃が更に好ましく、120〜150℃が更に好ましい。加熱の手段は、例えば、水蒸気、電気が挙げられる。
加熱処理時の圧力は、ゲージ圧力で0〜10MPaが好ましく、0.1〜8MPaがより好ましく、0.1〜6MPaが更に好ましく、0.2〜6MPaが更に好ましく、0.2〜4MPaが更に好ましく、0.25〜2MPaが更に好ましく、0.3〜1.5MPaが更に好ましく、0.3〜0.6MPaが更に好ましい。なお、ゲージ圧とは、大気圧を0MPaとした圧力である。また、水の飽和蒸気圧以上に設定するのが好ましい。加圧には、ガスを用いてもよく、用いられるガスとしては、例えば、不活性ガス、水蒸気、窒素ガス、ヘリウムガス等が挙げられる。加圧には、ガスを用いず、背圧弁により調整しても良い。
加熱処理は、例えば、回分法、半回分法、流通法等いずれの方法によっても実施できる。なかでも、流通法は、加熱処理時間の制御が容易である点で好ましい。
加熱処理の時間は、(A)難水溶性芳香族化合物の溶解性向上と熱安定性の点から、水性媒体が上記加熱処理の温度に達してから0.1〜30分が好ましく、更に0.2〜15分、更に0.5〜8分が好ましい。
流通法で行う場合、加熱処理の時間は、反応器の高温高圧部の体積を水性媒体の供給速度で割ることにより算出される平均滞留時間を用いる。
流通法で行う場合の水性媒体の流速は、反応器の体積によって異なるが、例えば、反応器体積が500Lの場合、15〜5,000L/分が好ましく、更に30〜2,500L/分が好ましく、更に60L/分〜1,000L/分が好ましい。
本発明の製造方法においては、加熱処理して得られた加熱処理液を、90℃以下、好ましくは50℃以下、更に好ましくは30℃以下に冷却する工程を含むことが好ましい。液状の難水溶性芳香族化合物含有組成物を得る場合には、0℃以上が好ましく、10℃以上が好ましい。
加熱処理温度から90℃まで低下するのに要した時間から算出される加熱処理液の冷却速度は0.2℃/s以上、更に0.5℃/s以上が好ましい。冷却速度が大きいほど難水溶性芳香族化合物の溶解度を向上することができる。このため、冷却速度の上限は特に定めないが、製造設備の制約等の観点から、例えば100℃/s以下、更に50℃/s以下が好ましい。
更に、加熱処理液から、溶解せずに残留する固形物を除去する工程を行うのが、得られる難水溶性芳香族化合物含有組成物の溶解安定性の点から好ましい。固形物を除去する方法としては、特に制限されず、例えば遠心分離やデカンテーション、ろ過により行うことができる。
かくして得られる難水溶性芳香族化合物含有組成物は、(A)難水溶性芳香族化合物の含有量が高いにもかかわらず、室温下においても、また室温保存中も難水溶性の芳香族化合物の析出が抑えられる。また、水への溶解性に優れている。
本発明の難水溶性芳香族化合物含有組成物における成分(A)の含有量は、その種類によって異なるが、物流や使用性の点から、25℃における水に対して、好ましくは0.5g/L以上であり、更に1g/L以上、更に1.5g/L以上、更に2g/L以上が好ましい。
本発明の難水溶性芳香族化合物含有組成物は、(A)難水溶性芳香族化合物がトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノンの場合、成分(A)トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノンの25℃における水への溶解量が、好ましくは1.5g/L以上であり、更に2g/L以上、更に3g/L以上、更に3.5g/L以上、更に4g/L以上、更に4.5g/L以上が好ましく、また、100g/L以下、更に75g/L以下、更に50g/L以下、更に30g/L以下、更に20g/L以下、更に10g/L以下、更に6g/L以下が好ましい。
また、本発明の難水溶性芳香族化合物含有組成物は、(A)難水溶性芳香族化合物が2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモンの場合、成分(A)2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモンの25℃における水への溶解量が、好ましくは2.2g/L以上であり、更に2.5g/L以上、更に3g/L以上、更に4g/L以上、更に4.5g/L以上、更に5g/L以上が好ましく、また、100g/L以下、更に75g/L以下、更に50g/L以下、更に30g/L以下、更に20g/L以下、更に10g/L以下、更に8g/L以下が好ましい。
また、本発明の難水溶性芳香族化合物含有組成物は、(A)難水溶性芳香族化合物がイソプロピルメチルフェノールの場合、成分(A)イソプロピルメチルフェノールの25℃における水への溶解量が、好ましくは20g/L以上であり、更に25g/L以上、更に30g/L以上、更に35g/L以上、更に40g/L以上、更に45g/L以上、更に50g/L以上、更に52g/L以上が好ましく、また、150g/L以下、100g/L以下、更に80g/L以下、更に60g/L以下が好ましい。
本発明の難水溶性芳香族化合物含有組成物の、成分(C)に対する成分(A)の質量比[(A)/(C)]は、安定性の点より、0.05以上、更に0.06以上、更に0.09以上、更に0.1以上が好ましく、また、5以下、更に2以下、更に1以下、更に0.3以下、更に0.25以下が好ましい。また、0.05〜5が好ましく、0.06〜2がより好ましく、0.06〜1が更に好ましい。
本発明の難水溶性芳香族化合物含有組成物中、有機溶媒の含有量は、皮膚への刺激の観点より、0〜60%であることが好ましく、0〜30%であることがより好ましく、0〜10%であることがより好ましく、0〜1%であることがより好ましい。
本発明の難水溶性芳香族化合物含有組成物中、炭素数4以下の一価アルコールの含有量は、皮膚への刺激の観点より、0〜60%であることが好ましく、0〜30%であることがより好ましく、0〜10%であることがより好ましく、0〜1%であることがより好ましく、0〜0.1%であることがより好ましく、含まないことがより好ましい。
本発明の難水溶性芳香族化合物含有組成物中、界面活性剤の含有量は、(A)難水溶性芳香族化合物の効果を有利に発揮する観点より、0〜0.1%であることが好ましく、0〜0.5%であることがより好ましく、0〜0.01%であることがより好ましく、含まないことがより好ましい。
本発明の難水溶性芳香族化合物含有組成物は、化粧料、医薬品、食品、日用品等の様々な製品に使用可能である。とりわけ、水系の製品に利用するのが有用である。化粧料又は医薬品としては、洗浄料、化粧水、メイクアップ用化粧料、日焼け止め用化粧料、ニキビ用化粧料、デオドラント用化粧料、美白用化粧料、洗髪剤、育毛剤、歯磨剤、洗口剤、うがい薬等が挙げられる。
本発明の態様及び好ましい実施態様を以下に示す。
<1>水性媒体の存在下、(A)難水溶性芳香族化合物と(B)ポリオールと(C)水溶性芳香族化合物を100〜180℃で加熱処理する工程を含む、難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<2>(A)難水溶性芳香族化合物が、25℃における水への溶解度が好ましくは0.5g/L以下、より好ましくは0.3g/L以下、更に好ましくは0.2g/L以下の芳香族化合物である<1>に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<3>(A)難水溶性芳香族化合物が、25℃における(B)ポリオールへの溶解度が好ましくは10g/L以上、より好ましくは30g/L以上、更に好ましくは50g/L以上の芳香族化合物である<1>に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<4>(A)難水溶性芳香族化合物が、好ましくは抗菌成分、美白成分、育毛成分及び健康機能促進成分から選択される1種又は2種以上であり、より好ましくはフェノール系抗菌剤、クロモン誘導体及びフラバノール誘導体から選択される1種又は2種以上である<1>〜<3>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<5>フェノール系抗菌剤が、好ましくはトリクロサン、クロルチモール、カルバクロル、クロロフェン、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、クロロキシレノール、クロロクレゾール、O−フェニルフェノール及びイソプロピルメチルフェノールから選択される1種又は2種以上であり、より好ましくはトリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールから選択される1種又は2種であり、更に好ましくはイソプロピルメチルフェノールである<4>に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<6>クロモン誘導体が、好ましくは2−ブチルクロモン、2−ペンチルクロモン、2−ヘプチルクロモン、2−ノニルクロモン、2−ヘキサデシルクロモン、2−(1−エチルペンチル)クロモン、2−ブチル−7−メトキシクロモン、2−ペンチル−7−メトキシクロモン、2−ヘプチル−7−メトキシクロモン、2−ノニル−7−メトキシクロモン、2−ペンタデシル−7−メトキシクロモン、2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン、7−ヒドロキシ−2−メチルクロモン、7−ヒドロキシ−2−ブチルクロモン、7−ヒドロキシ−2−ペンチルクロモン、7−ヒドロキシ−2−ヘプチルクロモン、7−ヒドロキシ−2−ノニルクロモン、7−ヒドロキシ−2−ペンタデシルクロモン及び7−ヒドロキシ−2−(1−エチルペンチル)クロモンから選択される1種又は2種以上であり、より好ましくは2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモンである<4>に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<7>育毛成分が、好ましくはトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸β−ブトキシエチル、α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、天然ビタミンE、ミノキシジル、ビマトプロスト、タフルプロスト、ノニル酸バニリルアミド、オトギリ草抽出物及びトウガラシチンキから選択される1種又は2種以上であり、より好ましくはトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸β−ブトキシエチル、α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、天然ビタミンE、ミノキシジル、ビマトプロスト、タフルプロスト、ノニル酸バニリルアミド、オトギリ草抽出物及びトウガラシチンキから選択される1種又は2種以上であり、更に好ましくはトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノンである<4>に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<8>(B)ポリオールが、好ましくはアルキレングリコール類、ポリアルキレングリコール類及びグリセリン類から選択される1種又は2種以上であり、より好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン及びトリグリセリンから選択される1種又は2種以上であり、更に好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン及びジグリセリンから選択される1種又は2種以上であり、更に好ましくはプロピレングリコール及び1,3−ブタンジオールから選択される1種又は2種である<1>〜<7>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<9>(C)水溶性芳香族化合物が、25℃における水への溶解度が好ましくは(A)成分の水に対する25℃における溶解度より2倍以上、より好ましくは5倍以上、更に好ましくは10倍以上の芳香族化合物である<1>〜<8>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<10>(C)水溶性芳香族化合物が、25℃における水への溶解度が好ましくは1g/L以上、より好ましくは2g/L以上、更に好ましくは5g/L以上、更に好ましくは10g/L以上の芳香族化合物である<1>〜<9>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<11>(C)水溶性芳香族化合物が、好ましくは難水溶性ポリフェノール類の糖付加物、難水溶性ポリフェノール類のメチル化物、カテキン類、クロロゲン酸類、安息香酸、サリチル酸、カフェイン、ニコチンアミド、水溶性イソフラボン、バニリン、イソプロピルメチルフェノール配糖体、ベンジルアルコール及びパラオキシ安息香酸メチルから選択される1種又は2種以上であり、より好ましくは難水溶性ポリフェノール類のメチル化物、カテキン類、クロロゲン酸類、安息香酸、サリチル酸、カフェイン及びニコチンアミドから選択される1種又は2種以上である<1>〜<10>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<12>難水溶性ポリフェノール類のメチル化物が、好ましくはメチルヘスペリジン、メチルケルセチン、メチルレスベラトロール及びメチルルチンから選択される1種又は2種以上であり、より好ましくはメチルヘスペリジンである<11>に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<13>水性媒体が、好ましくは水又は有機溶媒の水溶液であり、より好ましくは水又は炭素数4以下の一価アルコールの水溶液であり、より好ましくは水又はエタノールの水溶液であり、更に好ましくは水である<1>〜<12>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<14>有機溶媒の水溶液中の有機溶媒の濃度が、好ましくは0〜60質量%、より好ましくは0〜30質量%、更に好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0〜1質量%であり、更に好ましくは含まない<12>に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<15>加熱処理する工程において、(A)難水溶性芳香族化合物を、水性媒体、(A)難水溶性芳香族化合物、(B)ポリオール及び(C)水溶性芳香族化合物を含有する加熱処理原料中に、好ましくは0.1g/L以上、より好ましくは0.5g/L以上、更に好ましくは0.7g/L以上、更に好ましくは0.9g/L以上、更に好ましくは1.5g/L以上、更に好ましくは2g/L以上、更に好ましくは2.5g/L以上含有し、また、好ましくは100g/L以下、より好ましくは75g/L以下、更に好ましくは60g/L以下、更に好ましくは55g/L以下、更に好ましくは50g/L以下、更に好ましくは25g/L以下含有し、また、好ましくは0.1〜100g/L、より好ましくは0.5〜75g/L、更に好ましくは0.7〜60g/L、更に好ましくは0.9〜55g/L、更に好ましくは0.9〜50g/L、更に好ましくは1.5〜50g/L、更に好ましくは2〜50g/L、更に好ましくは2〜25g/L含有する<1>〜<14>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<16>加熱処理する工程において、(B)ポリオールを、水性媒体、(A)難水溶性芳香族化合物、(B)ポリオール及び(C)水溶性芳香族化合物を含有する加熱処理原料中に、好ましくは1g/L以上、より好ましくは10g/L以上、更に好ましくは20g/L以上、更に好ましくは100g/L以上、更に好ましくは300g/L以上含有し、また、好ましくは800g/L以下、より好ましくは700g/L以下、更に好ましくは600g/L以下、更に好ましくは500g/L以下含有し、また、好ましくは1〜800g/L、より好ましくは1〜700g/L、更に好ましくは10〜600g/L、更に好ましくは20〜500g/L、更に好ましくは100〜500g/L、更に好ましくは300〜500g/L含有する<1>〜<15>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<17>加熱処理する工程において、(C)水溶性芳香族化合物を、水性媒体、(A)難水溶性芳香族化合物、(B)ポリオール及び(C)水溶性芳香族化合物を含有する加熱処理原料中に、好ましくは0.01g/L以上、より好ましくは0.05g/L以上、更に好ましくは0.1g/L以上、更に好ましくは2g/L以上、更に好ましくは10g/L以上含有し、また、好ましくは300g/L以下、より好ましくは250g/L以下、更に好ましくは200g/L以下、更に好ましくは100g/L以下、更に好ましくは50g/L以下、更に好ましくは27.5g/L以下含有し、また、好ましくは0.01〜300g/L、より好ましくは0.05〜250g/L、更に好ましくは0.1〜200g/L、更に好ましくは2〜200g/L、更に好ましくは10〜100g/L、更に好ましくは10〜50g/L、更に好ましくは10〜27.5g/L含有する<1>〜<16>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<18>加熱処理する工程において、水性媒体、(A)難水溶性芳香族化合物、(B)ポリオール及び(C)水溶性芳香族化合物を含有する加熱処理原料中、成分(B)に対する成分(A)の質量比[(A)/(B)]が、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.004以上、更に好ましくは0.005以上であり、また、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.1以下、更に好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.008以下、更に好ましくは0.007以下であり、また、好ましくは0.001〜0.5、より好ましくは0.001〜0.1、更に好ましくは0.004〜0.05、更に好ましくは0.004〜0.008、更に好ましくは0.005〜0.007である<1>〜<17>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<19>加熱処理する工程において、水性媒体、(A)難水溶性芳香族化合物、(B)ポリオール及び(C)水溶性芳香族化合物を含有する加熱処理原料中、成分(C)に対する成分(A)の質量比[(A)/(C)]が、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.08以上、更に好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上であり、また、好ましくは5以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下、更に好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.25以下であり、また、好ましくは0.05〜5、より好ましくは0.08〜2、更に好ましくは0.1〜1、更に好ましくは0.1〜0.3、更に好ましくは0.15〜0.25である<1>〜<18>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<20>加熱処理する工程において、界面活性剤を、水性媒体、(A)難水溶性芳香族化合物、(B)ポリオール及び(C)水溶性芳香族化合物を含有する加熱処理原料中、好ましくは0〜1g/L、より好ましくは0〜0.5g/L、更に好ましくは0〜0.1g/L含むか、更に好ましくは含まない<1>〜<19>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<21>加熱処理の温度が、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上であり、また、好ましくは170℃以下、より好ましくは160℃以下であり、また、好ましくは120〜160℃、より好ましくは120〜150℃である<1>〜<20>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<22>加熱処理時の圧力が、ゲージ圧力で好ましくは0〜10MPa、より好ましくは0.1〜8MPa、更に好ましくは0.1〜6MPa、更に好ましくは0.2〜6MPa、更に好ましくは0.2〜4MPa、更に好ましくは0.25〜2MPa、更に好ましくは0.3〜1.5MPa、更に好ましくは0.3〜0.6MPaである<1>〜<21>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<23>更に、加熱処理して得られた加熱処理液を0.2℃/s以上の冷却速度で冷却する工程含む、<1>〜<22>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<24>加熱処理液を冷却する工程において、加熱処理温度から90℃までの冷却速度が、好ましくは0.2℃/s以上、より好ましくは0.5℃/s以上であり、また、好ましくは100℃/s以下、より好ましくは50℃/s以下である<23>に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
<25><1>〜<24>のいずれか1に記載の製造方法により得られる、難水溶性芳香族化合物含有組成物。
<26>難水溶性芳香族化合物含有組成物中の(A)難水溶性芳香族化合物の含有量が、好ましくは0.5g/L以上、より好ましくは1g/L以上、更に好ましくは1.5g/L以上、更に好ましくは2g/L以上である<25>に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物。
<27>成分(C)に対する成分(A)の質量比[(A)/(C)]が、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.06以上、更に好ましくは0.09以上、更に好ましくは0.1以上であり、また、好ましくは5以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下、更に好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.25以下であり、また、好ましくは0.05〜5、より好ましくは0.06〜2、更に好ましくは0.06〜1である<25>又は<26>に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物。
<28>(A)難水溶性芳香族化合物がトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノンであって、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノンの25℃における水への溶解量が、好ましくは1.5g/L以上、より好ましくは2g/L以上、更に好ましくは3g/L以上、更に好ましくは3.5g/L以上、更に好ましくは4g/L以上、更に好ましくは4.5g/L以上であり、また、好ましくは100g/L以下、より好ましくは75g/L以下、更に好ましくは50g/L以下、更に好ましくは30g/L以下、更に好ましくは20g/L以下、更に好ましくは10g/L以下、更に好ましくは6g/L以下である<25>〜<27>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物。
<29>(A)難水溶性芳香族化合物が2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモンであって、2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモンの25℃における水への溶解量が、好ましくは2.2g/L以上、より好ましくは2.5g/L以上、更に好ましくは3g/L以上、更に好ましくは4g/L以上、更に好ましくは4.5g/L以上、更に好ましくは5g/L以上であり、また、好ましくは100g/L以下、より好ましくは75g/L以下、更に好ましくは50g/L以下、更に好ましくは30g/L以下、更に好ましくは20g/L以下、更に好ましくは10g/L以下、更に好ましくは8g/L以下である<25>〜<27>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物。
<30>(A)難水溶性芳香族化合物がイソプロピルメチルフェノールであって、イソプロピルメチルフェノールの25℃における水への溶解量が、好ましくは20g/L以上、より好ましくは25g/L以上、更に好ましくは30g/L以上、更に好ましくは35g/L以上、更に好ましくは40g/L以上、更に好ましくは45g/L以上、更に好ましくは50g/L以上、更に好ましくは52g/L以上であり、また、好ましくは150g/L以下、より好ましくは100g/L以下、更に好ましくは80g/L以下、更に好ましくは60g/L以下である<25>〜<27>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物。
<31>難水溶性芳香族化合物含有組成物中、有機溶媒の含有量が、好ましくは0〜60質量%、より好ましくは0〜30質量%、更に好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0〜1質量%である<25>〜<30>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物。
<32>難水溶性芳香族化合物含有組成物中、炭素数4以下の一価アルコールの含有量が、好ましくは0〜60質量%、より好ましくは0〜30質量%、更に好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0〜1質量%、更に好ましくは0〜0.1質量%であり、更に好ましくは含まない<25>〜<31>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物。
<33>難水溶性芳香族化合物含有組成物中、界面活性剤の含有量が、好ましくは0〜0.1質量%、より好ましくは0〜0.5質量%、更に好ましくは0〜0.01質量%であり、更に好ましくは含まない<25>〜<32>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物。
<34><25>〜<33>のいずれか1に記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物を含有する化粧料。
[イソプロピルメチルフェノール、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン及びメチルヘスペリジンの測定]
日立製作所製高速液体クロマトグラフを用い、インタクト社製カラムCadenza CD−C18 (4.6mmφ×150mm、3μm)を装着し、カラム温度40℃でグラジエント法により行った。移動相A液は0.05mol/L酢酸水溶液、B液はアセトニトリルとし、1.0mL/分で送液した。グラジエント条件は以下のとおりである。
時間(分) A液(%) B液(%)
0 85 15
20 80 20
35 10 90
50 10 90
50.1 85 15
60 85 15
試料注入量は10μL、検出はイソプロピルメチルフェノールは波長283nm、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノンは波長254nm、2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモンは波長300nm、メチルヘスペリジンは波長360nmの吸光度により定量した。
[カテキン類の測定]
試料を蒸留水で適宜希釈し、液体クロマトグラフ用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着した、島津製作所製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用いて、カラム温度35℃でグラジエント法により測定した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
(濃度勾配条件)
時間(分) A液(%(v/v)) B液(%(v/v))
0 97 3
5 97 3
37 80 20
43 80 20
43.5 0 100
48.5 0 100
49 97 3
62 97 3
[原材料]
イソプロピルメチルフェノール(IPMP、大阪化成株式会社製、純度100%)
2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン(メトキシクロモン、花王製)
トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン(t−フラバノン、花王製、純度99%以上)
1,3−ブタンジオール(1,3−BG、KHネオケム株式会社製、純度100%)
ポリエチレングリコール(PEG、三洋化成工業株式会社製、純度100%)
プロピレングリコール(PG、株式会社ADEKA製、純度100%)
メチルヘスペリジン(mHES、浜理薬品工業製、純度100%)
ニコチンアミド(Nicotinamide、和光純薬工業、純度98%)
エピガロカテキンガレート(EGCG、DMS Nutritional Products社製TEAVIGO、純度100%)
カフェイン(Caffeine、和光純薬工業、純度98.5%)
サリチル酸ナトリウム(SodiumSalicylate、和光純薬工業、純度99.5%)
実施例1
トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノンを2.5g/L、1,3−ブタンジオールを500g/L、メチルヘスペリジンを10g/Lとなるように蒸留水に加え、得られたスラリーを内容積190mLのステンレス製回分式反応器(日東高圧(株)製)で加熱処理を行った。150℃に達温後1分間保持し速やかに室温(25℃)まで冷却を行った(冷却速度0.5℃/s)。加熱処理中の圧力は0.4MPaであった。冷却後速やかに加熱処理液を抜き出し、孔径0.2μmのPTFEフィルターで濾過した。続いて、過飽和溶解分を除去する目的で、3日間、室温で50r/minで振とう攪拌を行い、再度同様の濾過を行い、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン組成物を得た。
処理条件と、製造直後及び3日後の25℃における組成物中のトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン濃度、メチルヘスペリジン濃度に対する質量比を測定した結果を表1に示した。
実施例2〜3
加熱温度を100℃又は180℃とした以外は実施例1と同様に加熱処理してトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン組成物を得た。
処理条件と、製造直後及び3日後の25℃における組成物中のトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン濃度、メチルヘスペリジン濃度に対する質量比を測定した結果を表1に示した。
実施例4〜9
トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノンと表1に示した成分をそれぞれ表1に示した量となるように蒸留水に加え、実施例1と同様に加熱処理してトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン組成物を得た。
処理条件と、製造直後及び3日後の25℃における組成物中のトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン濃度、成分(C)濃度に対する質量比を測定した結果を表1に示した。なお、水溶性芳香族化合物のうちカフェイン、ニコチンアミド及びサリチル酸ナトリウムは非常に水溶性が高く、その添加量は各種飽和溶解度以下とした。このため本願明細書では仕込み濃度分が全て溶解しているものとし、溶解濃度もそれに従うものとした。
比較例1
トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン2.5g/Lを蒸留水に加え、該スラリーを室温(25℃)で3日間攪拌(スターラー、500r/min)後、固形物を濾別した。処理条件と液部中のトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン濃度を測定した結果を表1に示した。
比較例2〜4
トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノンと表1に示した成分をそれぞれ表1に示した量となるように蒸留水に加え、該スラリーを室温(25℃)で3日間攪拌(スターラー、500r/min)後、固形物を濾別した。処理条件と液部中のトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン濃度、メチルヘスペリジン濃度に対する質量比を測定した結果を表1に示した。
比較例5〜7
1,3−ブタンジオールとメチルヘスペリジンの両方或いはいずれかを添加しなかった以外は実施例1と同様に加熱処理してトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン組成物を得た。
処理条件と、製造直後及び3日後の25℃における組成物中のトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン濃度、メチルヘスペリジン濃度に対する質量比を測定した結果を表1に示した。
比較例8
反応温度を80℃とした以外は実施例1と同様にしてトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン含有水溶液としてトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン組成物を得た。
処理条件と、製造直後及び3日後の25℃における組成物中のトランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン濃度、メチルヘスペリジン濃度に対する質量比を測定した結果を表1に示した。
Figure 0006247525
実施例10
2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモンを2.75g/L、1,3−ブタンジオールを500g/L、メチルヘスペリジンを27.5g/Lとなるように蒸留水に加えた以外は実施例1と同様に加熱処理して2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン組成物を得た。
処理条件と、製造直後及び3日後の25℃における組成物中の2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン濃度、メチルヘスペリジン濃度に対する質量比を測定した結果を表2に示した。
実施例11〜12
加熱温度を100℃又は180℃とした以外は実施例10と同様に加熱処理して2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン組成物を得た。
処理条件と、製造直後及び3日後の25℃における組成物中の2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン濃度、メチルヘスペリジン濃度に対する質量比を測定した結果を表2に示した。
実施例13〜18
2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモンと表2に示した成分をそれぞれ表2に示した量となるように蒸留水に加え、実施例1と同様に加熱処理して2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン組成物を得た。
処理条件と、製造直後及び3日後の25℃における組成物中の2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン濃度、成分(C)濃度に対する質量比を測定した結果を表2に示した。
比較例9
2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン2.5g/Lを蒸留水に加え、該スラリーを室温(25℃)で3日間攪拌(スターラー、500r/min)後、固形物を濾別した。処理条件と液部中の2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン濃度を測定した結果を表2に示した。
比較例10〜12
2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモンと表2に示した成分をそれぞれ表2に示した量となるように蒸留水に加え、該スラリーを室温(25℃)で3日間攪拌(スターラー、500r/min)後、固形物を濾別した。処理条件と液部中の2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン濃度、メチルヘスペリジン濃度に対する質量比を測定した結果を表2に示した。
比較例13〜15
1,3−ブタンジオールとメチルヘスペリジンの両方或いはいずれかを添加しなかった以外は実施例10と同様に加熱処理して2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン組成物を得た。
処理条件と、3日後の25℃における組成物中の2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン濃度、メチルヘスペリジン濃度に対する質量比を測定した結果を表2に示した。
比較例16
反応温度を80℃とした以外は実施例10と同様にして2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン含有水溶液として2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン組成物を得た。
処理条件と、3日後の25℃における組成物中の2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン濃度、メチルヘスペリジン濃度に対する質量比を測定した結果を表2に示した。
Figure 0006247525
実施例19
イソプロピルメチルフェノールを25g/L、1,3−ブタンジオールを500g/L、メチルヘスペリジンを25g/Lとなるように蒸留水に加えた以外は実施例1と同様に加熱処理してイソプロピルメチルフェノール組成物を得た。
処理条件と、製造直後及び3日後の25℃における組成物中のイソプロピルメチルフェノール濃度、メチルヘスペリジン濃度に対する質量比を測定した結果を表3に示した。
実施例20〜21
加熱温度を100℃又は180℃とした以外は実施例19と同様に加熱処理してイソプロピルメチルフェノール組成物を得た。
処理条件と、製造直後及び3日後の25℃における組成物中のイソプロピルメチルフェノール濃度、メチルヘスペリジン濃度に対する質量比を測定した結果を表3に示した。
実施例22〜27
イソプロピルメチルフェノールと表3に示した成分をそれぞれ表3に示した量となるように蒸留水に加え、実施例19と同様に加熱処理してイソプロピルメチルフェノール組成物を得た。
処理条件と、製造直後及び3日後の25℃における組成物中のイソプロピルメチルフェノール濃度、成分(C)濃度に対する質量比を測定した結果を表3に示した。
比較例17
イソプロピルメチルフェノール25g/Lを蒸留水に加え、該スラリーを室温(25℃)で3日間攪拌(スターラー、500r/min)後、固形物を濾別した。処理条件と液部中のイソプロピルメチルフェノール濃度を測定した結果を表3に示した。
比較例18〜20
イソプロピルメチルフェノールと表3に示した成分をそれぞれ表3に示した量となるように蒸留水に加え、該スラリーを室温(25℃)で3日間攪拌(スターラー、500r/min)後、固形物を濾別した。処理条件と液部中のイソプロピルメチルフェノール濃度、メチルヘスペリジン濃度に対する質量比を測定した結果を表3に示した。
比較例21〜23
1,3−ブタンジオールとメチルヘスペリジンの両方或いはいずれかを添加しなかった以外は実施例19と同様に加熱処理してイソプロピルメチルフェノール組成物を得た。
処理条件と、3日後の25℃における組成物中のイソプロピルメチルフェノール濃度、メチルヘスペリジン濃度に対する質量比を測定した結果を表3に示した。
比較例24
反応温度を80℃とした以外は実施例19と同様にしてイソプロピルメチルフェノール含有水溶液としてイソプロピルメチルフェノール組成物を得た。
処理条件と、3日後の25℃における組成物中のイソプロピルメチルフェノール濃度、メチルヘスペリジン濃度に対する質量比を測定した結果を表3に示した。
Figure 0006247525
表1〜3より明らかなように、難水溶性芳香族化合物の通常の水への溶解度(比較例1、9、17)よりも遥かに高い溶解度を有する難水溶性芳香族化合物含有組成物を得ることができた。
また、実施例1〜27で得られた難水溶性芳香族化合物含有組成物を、室温に冷却しても、またそれを室温下で保存しても沈殿が析出することなく、極めて安定な溶解状態を保っていた。
一方、(B)ポリオールと(C)水溶性芳香族化合物の両方或いはいずれかを添加しない場合(比較例5〜7、比較例13〜15、比較例21〜23)、難水溶性芳香族化合物と共に(B)ポリオールや(C)水溶性芳香族化合物を添加しても室温で混合する場合(比較例2〜4、比較例10〜12、比較例18〜20)や加熱温度が低い場合(比較例8、16、24)には、難水溶性芳香族化合物の溶解度はあまり向上しなかった。もしくは、一時的に溶解性が向上するものの、安定性に課題があった。
実施例28
実施例19〜27で製造したイソプロピルメチルフェノール組成物4.08gにアルミニウムヒドロキシクロリド10g、ポリオキシエチレン硬化ひまし油0.2g、香料0.05gを添加し、精製水を加えて100gのデオドラントローションを調製した。組成は下記の通りである。
IPMP 0.1(質量%)
1,3−BG 2.04
アルミニウムヒドロキシクロリド 10.0
ポリオキシエチレン(40)硬化ひまし油 0.2
香料 0.05
精製水 残部
合計 100.0
実施例29
実施例19〜27で製造したイソプロピルメチルフェノール組成物78.74gに1,3ブチレングリコール6g、オレイルアルコール0.1g、POE(20)オレイルアルコールエーテル0.4g、メチルパラベン0.2g、グリチルリチン酸ジカリウム0.2g、香料0.04gを添加し、精製水を加えて100gのアクネ化粧水を調製した。組成は下記の通りである。
IPMP 0.1(質量%)
1,3−BG 9.74
オレイルアルコール 0.1
POE(20)オレイルアルコールエーテル 0.4
メチルパラベン 0.2
グリチルリチン酸ジカリウム 0.2
香料 0.04
精製水 残部
合計 100.0
実施例30
油相として、ステアリン酸12g、ミリスチン酸14g、ラウリン酸5g、ホホバ油3g、ソルビット14.047g、グリセリン10g、1,3−ブチレングリコール10gを加熱溶解し、70℃に保った。実施例19〜27で製造したイソプロピルメチルフェノール組成物21.053gに水酸化カリウム5gを溶解し、油相を撹拌しつつゆっくりと添加した。N-メチルタウリン4gをさらに加えて10分間撹拌を行って中和反応を十分に行った後に、POE(20)グリセロールモノステアリン酸エステル1.9gを添加した。25℃までゆっくりと冷却(放冷)して、ハンドウォッシュを調製した。組成は下記の通りである。
ステアリン酸 12.0(質量%)
ミリスチン酸 14.0
ラウリン酸 5.0
ホホバ油 3.0
ソルビット(ソルビトール70%水溶液) 14.047
グリセリン 10.0
1,3−BG 10.0
水酸化カリウム 5.0
N−メチルタウリン 4.0
POE(20)グリセロールモノステアリン酸エステル 1.9
IPMP 0.1
PG 8.421
精製水 残部
合計 100.0

Claims (13)

  1. 水性媒体の存在下、(A)難水溶性芳香族化合物と(B)ポリオールと(C)水溶性芳香族化合物を100〜180℃で加熱処理する工程を含み、
    前記(A)難水溶性芳香族化合物はイソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモン及びトランス−3,4'−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノンから選択される1種又は2種以上であり、
    前記(B)のポリオールはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール及びポリエチレングリコールから選択される1種又は2種以上であり、
    前記(C)の水溶性芳香族化合物は難水溶性ポリフェノール類の糖付加物、難水溶性ポリフェノール類のメチル化物、カテキン類、クロロゲン酸類、サリチル酸、カフェイン及びニコチンアミドから選択される1種又は2種以上である、難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
  2. 加熱処理する工程において、(B)ポリオールに対する(A)難水溶性芳香族化合物の質量比[(A)/(B)]が0.001〜0.5である、請求項記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
  3. 加熱処理する工程において、(C)水溶性芳香族化合物に対する(A)難水溶性芳香族化合物の質量比[(A)/(C)]が0.05〜5である、請求項1又は2記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
  4. 更に、加熱処理して得られた加熱処理液を0.2℃/s以上の冷却速度で冷却する工程含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法により得られる、難水溶性芳香族化合物含有組成物。
  6. (C)水溶性芳香族化合物に対する(A)難水溶性芳香族化合物の質量比[(A)/(C)]が0.05〜5である、請求項記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物。
  7. (A)難水溶性芳香族化合物がトランス−3,4'−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノンであって、トランス−3,4'−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノンの25℃における水への溶解量が1.5g/L以上である、請求項5又は6記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物。
  8. (A)難水溶性芳香族化合物が2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモンであって、2−(1−エチルペンチル)−7−メトキシクロモンの25℃における水への溶解量が2.2g/L以上である、請求項5又は6記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物。
  9. (A)難水溶性芳香族化合物がイソプロピルメチルフェノールであって、イソプロピルメチルフェノールの25℃における水への溶解量が20g/L以上である、請求項5又は6記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物。
  10. 有機溶媒の含有量が0〜10質量%である請求項5〜9のいずれか1項記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物。
  11. 炭素数4以下の一価アルコールの含有量が0〜10質量%である請求項5〜10のいずれか1項記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物。
  12. 界面活性剤の含有量が0〜0.1質量%である請求項5〜11のいずれか1項記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物。
  13. 請求項5〜12のいずれか1項記載の難水溶性芳香族化合物含有組成物を含有する化粧料。
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