JP6247135B2 - 接合用アルミニウム部材 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム部材を接着剤により接合して使用するための接合用アルミニウム部材、特に、自動車用部材として使用される接合用アルミニウム部材に関する。
自動車産業では、近年、CO排出規制などの地球環境問題から、部材の軽量化による燃費の向上が求められている。アルミニウム合金は、比重が鉄の約1/3と軽いため、今まで鉄材料が使用されていた部分に軽量化が求められて置き換わる材料として注目され、さらに、コスト面からもリサイクル材料の使用が可能な材料として注目されている。アルミニウム合金としては、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金がその特性に応じて使用されている。
例えば、特許文献1には、自動車用部材に用いられるAl−Mg−Si系合金からなる高強度・高靭性アルミニウム合金鍛造材が提案されている。また、自動車用部材としては、一方のアルミニウム部材(接合用アルミニウム部材)を接着剤により他方のアルミニウム部材に接合したアルミニウム接合構造部材が使用されている。
アルミニウム接合構造部材は、接着技術において、荷重が加わり破壊が生じる際、接着剤の内部で破壊が生じる凝集破壊となることが要求される。つまり、接着剤と被着体である接合用アルミニウム部材との界面で破壊が生じる界面破壊の場合、接着強度は界面状態に依存するため、強度が低く、ばらつきも大きくなる。そのため、界面破壊が生じる接合用アルミニウム部材は、強度設計には適さないものである。
また、自動車用部材として使用されるアルミニウム接合構造部材は、日光を受けて高温状態になる環境で使用される。そのため、高温状態で接着剤が劣化した状態でも、強度が低下せず、凝集破壊することが求められる。
一方で、Al−Mn系合金は、飲料用アルミ缶に広く使用されており、アルミ缶のリサイクルにより安価に製造することができる。Al−Mn系合金を接合用アルミニウム部材として使用できれば、コスト面から有用な技術となる。
特開2007−177308号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたアルミニウム合金鍛造材は、高温環境下での使用において、界面破壊の発生を十分抑制できるものではなく、使用されているAl−Mg−Si系合金もリサイクル性が高い材料であるとはいえないという問題がある。
また、Al−Mn系合金は耐力が低い材料であるため、Al−Mn系合金からなる接合用アルミニウム部材は、荷重が加わったときの変形量が大きくなる。その結果、このような接合用アルミニウム部材を使用したアルミニウム接合構造部材は、接合用アルミニウム部材と接着剤との界面で大きな変形が生じ、応力集中により界面破壊が生じ易くなるという問題がある。
特に、接着剤の焼付を行う炉内に温度分布が生じていることにより、接着剤の焼付が不十分であった場合、アルミニウム接合構造部材での界面剥離が生じる危険性が高まる。さらに、アルミニウム接合構造部材が太陽光線等により高温状態に保持された場合には、接着剤の劣化により界面破壊が生じる危険性が高まる。
なお、接合用アルミニウム部材の厚さを厚くすることで、荷重が加わったときの変形を抑えることができ、アルミニウム接合構造部材での界面破壊の発生を抑制することができるが、アルミニウム接合構造部材におけるコスト、重量の面でふさわしくない。
本発明は、前記課題を解決するためのものであり、自動車用部材であるアルミニウム接合構造部材に使用した際、接着性に優れ、コスト面においても優れた接合用アルミニウム部材を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る接合用アルミニウム部材は、一方のアルミニウム部材と、前記一方のアルミニウム部材と接着剤を介して接合される他方のアルミニウム部材とからなるアルミニウム接合構造部材における前記一方のアルミニウム部材である接合用アルミニウム部材において、Mn:0.6〜2.0質量%を含有するAl−Mn系合金からなる厚さ0.8mm以下の基板と、前記基板の表面に形成されるチタンおよびジルコニウムを含有する皮膜と、を備え、前記皮膜におけるチタン含有量が金属チタン換算値で1〜8mg/m、ジルコニウム含有量が金属ジルコニウム換算値で1〜8mg/mであることを特徴とする。
また、本発明の接合用アルミニウム部材は、前記皮膜における前記チタンが、チタンの酸化物またはチタンのフッ化物として含有され、前記皮膜における前記ジルコニウムが、ジルコニウムの酸化物またはジルコニウムのフッ化物として含有されることが好ましい。
本発明の接合用アルミニウム部材は、所定量のチタンおよびジルコニウムを含有する皮膜を備えるため、厚さの薄い接合用アルミニウム部材をアルミニウム接合構造部材に使用した場合にも、接着剤と皮膜との界面が、荷重変形による応力集中に耐える接着強度を有する。また、界面における水和が抑制できると共に、基板の溶出を抑制できる。その結果、アルミニウム接合構造部材での界面剥離が抑制でき、接着強度の低下が抑制できる。また、接合用アルミニウム部材は、部材を構成する基板がリサイクル性の高いAl−Mn系合金からなり、厚さも従来よりも薄いため、アルミニウム接合構造部材の製造コストを下げることができる。
本発明によれば、自動車用部材であるアルミニウム接合構造部材に使用した際、接着性に優れ、コスト面においても優れた接合用アルミニウム部材を提供できる。
本発明に係る接合用アルミニウム部材の構成を模式的に示す断面図である。 接合用アルミニウム部材を使用したアルミニウム接合構造部材の構成を模式的に示す断面図である。 接合用アルミニウム部材を使用したアルミニウム接合構造部材の構成を模式的に示す断面図である。 実施例で作製したアルミニウム接合構造部材を模擬した接着試験体の形状を示す側面図である。 接着試験体の引張り試験方法を示す側面図である。
<接合用アルミニウム部材>
以下、本発明に係る接合用アルミニウム部材について、具体的に説明する。
図1に示すように、接合用アルミニウム部材10は、基板1と、この基板1の表面に形成された皮膜2とを備えている。ここで、基板1の表面とは、基板1の表面の少なくとも一面を意味し、いわゆる片面、両面が含まれる。
以下、接合用アルミニウム部材10の各構成について説明する。
(基板)
基板1は、Mn:0.6〜2.0質量%、好ましくは0.8〜1.4質量%を含有するAl−Mn系合金からなるアルミニウム合金板である。Al−Mn系合金は、JIS規定の3000系合金であって、3104合金が好ましい。基板1がAl−Mn系合金からなることによって、リサイクル性の高い飲料用アルミ缶のスクラップを基板素材として使用することができるため、接合用アルミニウム部材10を使用したアルミニウム接合構造部材20の製造コストを下げることができる。
基板1の厚さは、0.8mm以下である。厚さを0.8mm以下とすることによって、従来の接合用アルミニウム部材の厚さよりも薄くできるため、アルミニウム接合構造部材20の製造コストを下げることができる。
基板1の0.2%耐力は、85MPa以下であることが好ましい。そのため、基板1は、その製造において焼鈍を行うO材(焼き鈍し材料をいう)で作製することが好ましい。基板1の0.2%耐力を85MPa以下とすることによって、アルミニウム接合構造部材20、21の製造の際の成形性が向上する。
(皮膜)
皮膜2は、所定量のチタンおよびジルコニウムを含有する皮膜である。そして、皮膜2におけるチタンは、チタンの酸化物またはチタンのフッ化物であることが好ましく。皮膜2におけるジルコニウムは、ジルコニウムの酸化物またはジルコニウムのフッ化物であることが好ましい。
皮膜2のチタン含有量は、金属チタン換算量で1〜8mg/mである。これにより、皮膜2の水、酸素、塩化物イオンなどの劣化因子に対する安定性が増し、アルミニウム接合構造部材20における接着剤11と皮膜2との界面における水和が抑制されると共に、基板1の溶出が抑制される。また、界面が、荷重変形による応力集中に耐える接着強度を有する。その結果、接合用アルミニウム部材10の接着性が向上する。皮膜2のチタン含有量が1mg/m未満であると前記の効果がなく、8mg/mを超えると前記の効果が飽和しコストアップとなる。チタン含有量の下限値は接着性の観点から2mg/m以上が好ましく、チタン含有量の上限値はコストの観点から6mg/m以下が好ましい。
皮膜2のジルコニウム含有量は、金属ジルコニウム換算量で1〜8mg/mである。これにより、皮膜2の水、酸素、塩化物イオンなどの劣化因子に対する安定性が増し、アルミニウム接合構造部材20における接着剤11と皮膜2との界面における水和が抑制されると共に、基板1の溶出が抑制される。また、界面が、荷重変形による応力集中に耐える接着強度を有する。その結果、接合用アルミニウム部材10の接着性が向上する。皮膜2のジルコニウム含有量が1mg/m未満であると前記の効果がなく、8mg/mを超えると前記の効果が飽和しコストアップとなる。ジルコニウム含有量の下限値は接着性の観点から2mg/m以上が好ましく、ジルコニウム含有量の上限値はコストの観点から6mg/m以下が好ましい。
皮膜2の厚さは、チタン含有量およびジルコニウム含有量が所定量であれば特に限定されないが、20〜150nmであることが好ましい。皮膜2の厚さが20nm未満であると接着性が維持し難くなり、皮膜2の厚さが150nmを超えると接着性が飽和しコストアップになり易い。
チタンおよびジルコニウムを含有する皮膜2を作製する方法としては、チタン化合物およびジルコニウム化合物の水溶液で基板1を表面処理する方法がある。ここで、チタン化合物はチタンの酸化物またはチタンのフッ化物、ジルコニウム化合物はジルコニウムの酸化物またはジルコニウムのフッ化物であることが好ましい。そして、表面処理条件を調整することによって、皮膜2のチタン含有量およびジルコニウム含有量を所定量に調整することができる。
皮膜2は、前記のチタン(チタンの酸化物および/またはフッ化物を含む)およびジルコニウム(ジルコニウムの酸化物および/またはフッ化物を含む)のほかに、残部がアルミニウム(アルミニウムの酸化物および/またはフッ化物を含む))および不純物からなる。
皮膜2中のチタン、ジルコニウム等の前記元素量は、蛍光X線(XRF:X−ray Fluorescence Analysis)によって測定することが可能である。また、皮膜2の厚さは、グロー放電発光分析装置(GD−OES:Glow Discharge Optical Emission Spectroscopy)によって測定することが可能である。また、元素量および厚さの測定法は、XRF、GD−OESに限定されず、前記測定法と同精度を持つ測定法であればよい。
(製造方法)
次に、前記した接合用アルミニウム部材の製造方法について、図1を参照して説明する。接合用アルミニウム部材10の製造方法は、基板作製工程と、皮膜形成工程とを含むものである。以下、各工程について説明する。
基板作製工程は、圧延によって基板1を作製する工程である。具体的には、以下のような手順で基板1を作製することが好ましい。
所定の組成を有するアルミニウム合金を連続鋳造により溶解、鋳造して鋳塊を製造し(溶解鋳造工程)、前記製造された鋳塊に均質化熱処理を施す(均質化熱処理工程)。次に、前記均質化熱処理された鋳塊に、熱間圧延を施して熱延板を製造する(熱間圧延工程)。次に、冷間圧延を少なくとも1回施して所定の厚さの冷延板(基板1)を製造する(冷間圧延工程)。冷間圧延の間に中間焼鈍を行ってもよく、冷間圧延後に仕上焼鈍を行ってもよい。中間焼鈍または仕上焼鈍を行うことで、アルミニウム接合構造部材20、21(図2、図3参照)の製造の際の成形性が向上する。なお、均質化熱処理、熱間圧延、冷間圧延および焼鈍の条件は、特に限定されるものではなく、冷延板を通常得る場合の条件でよい。
皮膜形成工程は、前工程で作製された基板1の表面を表面処理液で処理することによって、皮膜2を形成する工程である。
皮膜形成工程では、例えば、表面処理液として、チタン濃度が30〜500ppmおよびジルコニウム濃度が30〜500ppmのチタン化合物およびジルコニウム化合物を含有する水溶液を用いる。そして、基板1に対して前記水溶液を噴霧または塗布すること、前記水溶液中に基板1を通過させること、または、前記水溶液中に基板1を浸漬することによって、基板1の表面に皮膜2を形成する。このような表面処理を行うことによって、基板1の表面に、チタン含有量が金属チタン換算値で1〜8mg/m、ジルコニウム含有量が金属ジルコニウム換算値で1〜8mg/m、および、厚さが20〜150nmである皮膜2が形成される。また、表面処理では、前記水溶液のpHを2.0〜4.5に調整するために硝酸、硫酸などの酸を添加してもよい。さらに、表面処理では、処理温度が20〜70℃、処理時間が3〜30秒であることが好ましい。
なお、前記した接合用アルミニウム部材10は、自動車用部材であるアルミニム接合構造部材として用いることができる。このアルミニウム接合構造部材は、一方のアルミニウム部材と、その一方のアルミニウム部材と接着剤を介して接合される他方のアルミニウム部材とからなる。例えば、図2に示すように、アルミニウム接合構造部材20では、一方のアルミニウム部材、他方のアルミニウム部材の両者に接合用アルミニウム部材10が使用される。また、図3に示すように、アルミニウム接合構造部材21では、一方のアルミニウム部材に接合用アルミニウム部材10が使用され、他方のアルミニウム部材には皮膜が形成されていない基板のみからなる第2アルミニウム部材12が使用される。
<アルミニウム接合構造部材>
次に、本発明に係る接合用アルミニウム部材を使用するアルミニウム接合構造部材について説明する。なお、以下では、接合用アルミニウム部材10は、基板1の片面に皮膜2を備えるもの(図1参照)で説明する。
図2に示すように、アルミニウム接合構造部材20の第1の形態は、2つの接合用アルミニウム部材10、10と、接着剤11とを備える。具体的には、アルミニウム接合構造部材20は、接合用アルミニウム部材同士10、10が、接着剤11を介して接合されている。そして、接着剤11は、その一面は一方の接合用アルミニウム部材10の皮膜2側に接合され、その他面は他方の接合用アルミニウム部材10の皮膜2側に接合されている。その結果、2つの接合用アルミニウム部材10、10の皮膜2、2のそれぞれは、接着剤11を介して互いに対向するように配置されることとなる。
(接合用アルミニウム部材)
接合用アルミニウム部材10については、前記したとおりであるので説明を省略する。
(接着剤)
接着剤11としては、特に限定されるものではなく、従来からアルミニウム合金板を接合する際に用いられてきた接着剤を用いることができる。例えば、熱硬化型のエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。接着剤11の厚さは、特に限定されるものではないが、50〜500μmが好ましく、150〜300μmがより好ましい。接着剤11の厚さが500μmを超える場合には、接合用アルミニウム部材10と接着剤11との界面で界面破壊が生じ易く、アルミニウム接合構造部材20の接着強度が不十分なものになり易い。接着剤11の厚さが50μm未満の場合には、凝集破壊強度が小さくなる場合があり、アルミニウム接合構造部材20の接着強度が不十分なものになり易い。
図3に示すように、アルミニウム接合構造部材21の第2の形態は、前記したアルミニウム接合構造部材20(図2参照)の2つの接合用アルミニウム部材10、10の一方に第2アルミニウム部材12を用いたものである。具体的には、接合用アルミニウム部材10からなる第1アルミニウム部材に、接着剤11を介して、アルミニウム合金からなる第2アルミニウム部材12が接合され、接着剤11は、第1アルミニウム部材の皮膜2側に接合されている。
なお、接合用アルミニウム部材10である第1アルミニウム部材、および、接着剤11は、前記したとおりであるので、説明を省略する。
(第2アルミニウム部材)
第2アルミニウム部材12は、前記した基板1と同様なアルミニウム合金板のみからなり、基板1には皮膜が形成されていないものである。第2アルミニウム部材12は、具体的には、JISに規定される、またはJISに近似する種々の非熱処理型アルミニウム合金または熱処理型アルミニウム合金からなる。非熱処理型アルミニウム合金としては、純アルミニウム(1000系合金)、Al−Mn系合金(3000系合金)、Al−Si系合金(4000系合金)およびAl−Mg系合金(5000系合金)が挙げられ、熱処理型アルミニウム合金としては、Al−Cu−Mg系合金(2000系合金)、Al−Mg−Si系合金(6000系合金)およびAl−Zn−Mg系合金(7000系合金)が挙げられる。
(製造方法)
アルミニウム接合構造部材20、21の製造方法、具体的には接着剤11を介する接合用アルミニウム部材10、10同士、接合用アルミニウム部材10と第2アルミニウム部材12との接合方法は、従来公知の接合方法が用いられる。そして、接着剤11は、皮膜2の表面に噴霧または塗布され、接着剤11が熱硬化型接着剤の場合には、例えば150〜180℃、7〜20分の熱処理を行う。
アルミニウム接合構造部材20、21は、図示しないが、接合用アルミニウム部材10として両面に皮膜2を備えるものを用いた場合には、接着剤11を介して、接合用アルミニウム部材10または第2アルミニウム部材12をさらに接合することが可能となる。
図示しないが、アルミニウム接合構造部材20、21を、自動車用パネル等の自動車用部材として使用する場合には、例えば、前記したアルミニウム接合構造部材20、21に切断加工、プレス加工等を施して所定形状にしたものを使用する。
次に、本発明の接合用アルミニウム部材について、本発明の要件を満たす実施例と、本発明の要件を満たさない比較例と、を対比させて具体的に説明する。
まず、JIS規定の3104系合金(Mn:0.8質量%)を用いて、前記した製造方法により、アルミニウム合金冷延板(厚さ0.8mm)を作製した。この冷延板の0.2%耐力は83MPaであった。そして、この冷延板を長さ200mm×幅25mmに切断して基板とした。この基板をアルカリ脱脂し、基板をチタン化合物(6フッ化チタン酸)およびジルコニウム化合物(6フッ化ジルコニウム酸)を含有する、チタン濃度およびジルコニウム濃度を所定に調整した表面処理液に浸漬(5秒)、水洗および乾燥することによって、基板の両面にチタンおよびジルコニウムを含有する皮膜が形成された合金板Aを作製した。なお、合金板Aの皮膜におけるチタンおよびジルコニウムの付着量は、蛍光X線(XRF)により測定した。チタン付着量は片面で4mg/m、ジルコニウム付着量は片面で4mg/mであった。
また、前記基板の表面処理液への浸漬を行わず、皮膜が形成されていない基板そのものを合金板Bとした。
また、JIS規定の6022系合金(Mg:0.6質量%、Si:1.0質量%)を用いて、前記した製造方法により、アルミニウム合金冷延板(厚さ0.8mm)を作製した。この冷延板の0.2%耐力は170MPaであった。この冷延板を長さ200mm×幅25mmに切断して基板とし、基板の表面処理液への浸漬を行わず、皮膜が形成されていない基板そのものを合金板Cとした。
次に、作製した合金板A〜Cを用いて、アルミニウム接合構造部材を模擬するように、図4に示すような下側試験片31と上側試験片33とを接着剤32を介して接合した接着試験体30(No.1〜16)を作製した。接着試験体30の具体的な作製方法は、以下のとおりであり、下側および上側試験片31、33に用いた合金板の種類については、表1に示すとおりである。そして、下側試験片31が、本発明の接合用アルミニウム部材に相当するものである。
図4に示すように、下側試験片31と上側試験片33とを、熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤(サンスター技研株式会社製、ペンギンセメント#1086)によりラップ長150mm(接着面積:25mm×150mm)となるように重ね合わせ貼り付けた。このとき、接着剤32の厚さが200μmとなるようにガラスビーズ(粒径200μm)を接着剤32に添加して調節した。その後、2つの条件(180℃×20分、160℃×10分)で焼付、硬化した。その後、室温で24時間静置して接着試験体30とした。
作製した接着試験体30(No.1〜16)に3条件(80℃×168時間、熱処理なし、80℃×120時間)の熱処理を施した後、図5に示すように、接着試験体30の下側および上側試験片31、33の未接着の部位を90度に折り曲げ、引張り試験機にて200mm/minの速度で引張り試験を行った。そして、接着試験体30(No.1〜16)の破壊形態の観察および接着強度の算出を下記の手順で行い、接着性を評価した。
(破壊形態)
引張り試験後の接着試験体30の剥離状態を観察し、接着剤32の内部での剥離を凝集破壊、下側試験片31と接着剤32との界面での剥離を界面破壊とし、下式(1)で凝集破壊率を算出した。
凝集破壊率(%)=100−{(下側試験片31の界面剥離面積/下側試験片31の接着面積)×100+(上側試験片33の界面剥離面積/上側試験片33の接着面積)×100)}・・・(1)
なお、各接着試験体30は2本ずつ作製し、凝集破壊率は2本の平均値とした。また、破壊形態の評価基準は、凝集破壊率が90%未満を不良「×」、90%以上を良好「○」とした。
(接着強度)
接着強度は、引張り試験時の応力−ひずみ線図から、初期30%および破断前10%を除外した応力の平均値とした。なお、各接着試験体30は2本ずつ作製し、接着強度は2本の平均値とした。また、評価基準は、65N/25mm未満を不良「×」、65N/25mm以上を良好「○」とした。
(接着性の評価)
破壊形態および接着強度の両者が良好であるときに接着性が良好、いずれか一方が不良のときには接着性が不良と評価した。
Figure 0006247135
表1に示すように、実施例である接着試験体(No.1〜8)は、チタンおよびジルコニウムを含む皮膜が形成された合金板Aを用いたため、接着性が良好であった。また、接着試験体(No.1、4、5、8)の結果から、接着剤を低い温度で焼き付けた場合でも接着性が低下しないことが確認された。さらに、接着試験体(No.2〜4、6〜8)の結果から、高温状態に晒された場合でも接着性が低下しないことが確認された。
一方、比較例である接着試験体(No.9〜12)は、皮膜が形成されていない合金板Bを用いたため、接着性が不良であった。また、接着試験体(No.7、12)の結果から、接着剤を低い温度で焼き付けた場合には接着性が低下することが確認された。また、接着試験体(No.10〜12)の結果から、高温状態に晒された場合には接着性が低下することが確認された。
また、比較例である接着試験体(No.13〜16)は、皮膜が形成されていない合金板Cを用いたため、接着強度が低く、接着性が不良であった。
以上、本発明に係るアルミニウム合金板について実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて改変・変更等することができることはいうまでもない。
1 基板
2 皮膜
10 接合用アルミニウム部材
11 接着剤
12 第2アルミニウム部材
20、21 アルミニウム接合構造部材

Claims (2)

  1. 一方のアルミニウム部材と、前記一方のアルミニウム部材と接着剤を介して接合される他方のアルミニウム部材とからなるアルミニウム接合構造部材における前記一方のアルミニウム部材である接合用アルミニウム部材において、
    Mn:0.6〜2.0質量%を含有するAl−Mn系合金からなる厚さ0.8mm以下の基板と、前記基板の表面に形成されるチタンおよびジルコニウムを含有する皮膜と、を備え、
    前記皮膜におけるチタン含有量が金属チタン換算値で1〜8mg/m、ジルコニウム含有量が金属ジルコニウム換算値で1〜8mg/mであることを特徴とする接合用アルミニウム部材。
  2. 前記皮膜における前記チタンが、チタンの酸化物またはチタンのフッ化物として含有され、前記皮膜における前記ジルコニウムが、ジルコニウムの酸化物またはジルコニウムのフッ化物として含有されることを特徴とする請求項1に記載の接合用アルミニウム部材。
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